JP2593344B2 - ペースト状食品 - Google Patents

ペースト状食品

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JP2593344B2 JP21227788A JP21227788A JP2593344B2 JP 2593344 B2 JP2593344 B2 JP 2593344B2 JP 21227788 A JP21227788 A JP 21227788A JP 21227788 A JP21227788 A JP 21227788A JP 2593344 B2 JP2593344 B2 JP 2593344B2
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正典 山本
優 渋木
今義 今田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ペースト状食品に関し、更に詳細には色調
が鮮かで且つ長期間保存した場合であっても、鮮やかな
色調を長期間にわたって維持することができるペースト
状食品に関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする問題点] 従来より、例えば練り芥子、練りわさび、練り生姜、
練りにんにく、練り梅等の種々のペースト状食品が知ら
れている。
しかしながら、こうした従来のペースト状食品は、長
期間の保存により褐変するとの問題点があった。
また、延伸性を良くするために水分量を増加させる
と、ペースト状食品中の不溶性固形分の比率が低下し、
その結果、ペースト状食品の基本素材が有する本来の色
調とはかなり異なる極めて見栄えの悪い色調になるとの
問題点があった。この問題点は、(ペースト状食品の基
本素材の添加物を添加することなくペースト状食品とし
た場合の不溶性固形分の比率)/(ペースト状食品の基
本素材に水等の添加物を添加混合してペースト状食品と
した場合の不溶性固形分の比率)が1.2更には1.5を超え
る場合に特に顕著であった。
こうした問題点を解決する手段として、本出願人は、
既にペースト状食品に微結晶セルロースを分散させる技
術について出願を行っている(特開昭62−269650号、特
開昭62−269660号)。
しかしながら、該発明によれば、高価な微結晶セルロ
ースを使用せねばならず、それ故、得られる製品がコス
ト高になるとの問題点があった。また、微結晶セルロー
スは保水力が強く、微結晶セルロースの添加量・ペース
ト状食品の種類等によっては、得られるペースト状食品
の物性に大きな影響を与える場合があった。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は、得られる製品をコスト高にすることな
く、且つペースト状食品の物性に然程大きな影響を与え
ることなく、前記した問題点を解決する手段について鋭
意研究開発を行なった結果、ペースト状食品に卵殻の粉
砕物を分散させることにより、上記した目的を達成し得
るとの知見を得た。
該知見を基に完成された本発明の要旨は、卵殻の粉砕
物を分散させてなるペースト状食品にある。
尚、従来、本願発明の一見類似する発明として、「お
ろし生姜に対して、食酢中の酢酸の重量1に対して卵
殻、重炭酸ソーダ、および苛性ソーダの中の1種もしく
は2種以上の物質を0.29〜1.10の割合で食酢に加えて酢
酸の重量パーセントの方が高くなるように調製した食酢
溶液(ただし卵殻または重炭酸ソーダ単独の場合は0.60
〜1.10、苛性ソーダ単独の場合は0.29〜0.53の割合で食
酢に加えて調製した食酢溶液)を添加することを特徴と
するおろし生姜の香味劣化防止法」との構成を有し、お
ろし生姜の変色を防止するとともに、おろし生姜に特有
の香りと辛味を長期間にわたって安定性に保持せしめる
との効果を奏する発明が知られている(特開昭52−1455
51号)。
しかしながら、該発明は食酢中に卵殻等を溶解せしめ
て、食酢中の酢酸の一部を酢酸塩となし、該酢酸と酢酸
塩とが共存する食酢溶液をおろし生姜に添加することに
より、上記効果を奏する点に特徴を有するものである。
これに対して、本願発明は、卵殻を溶解させない状態で
ペースト状食品全体に分散させることにより、得られる
ペースト状食品の色調を使用する基本素材の色調と同等
になし得、且つペースト状食品を長期間保存した場合で
あっても、使用する基本素材が有する良好な色調を維持
することができる点に特徴を有するものであり、前記発
明とは全く異なる構成及び作用効果を有するものであ
る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるペースト状食品とは、従来よりあるペ
ースト状食品と異なるものではなく、例えばおろし生
姜、おろしにんにく、練り芥子、練り山葵、練り唐辛
子、おろし柚子皮、おろし橙皮、おろし大根、練り梅が
あり、その他にも鱈子、カラスミ、塩辛、トウバンジャ
ン、味噌、塩付けうに等を磨砕、撹拌、裏漉し等の手段
によってペースト状にし、適宜添加物を添加混合したも
のが例示できる。
本発明においては、上記ペースト状食品に卵殻の粉砕
物を分散させることが重要である。これにより、得られ
るペースト状食品の色をペースト状食品の基本素材の色
と同等にすることができると共にペースト状食品を長期
間保存した場合であっても、使用する基本素材が有する
良好な色調を維持することができる。
卵殻の粉砕物は、動物の卵の殻を粉砕したものであ
り、鶏の卵殻を粉砕処理したものが好適に利用できる。
粒子径としては、100.0ミクロン以下更に5.0〜70.0ミク
ロンが好ましい。これにより、得られるペースト状食品
がざらついた舌触りになることを有効に防止することが
できる。また、添加量は、ペースト状食品全体に対して
0.5〜15.0重量%更には2.0〜10.0重量%であることが好
ましい。
次に、本発明の製造法を説明する。
先ず、生姜、にんにく、芥子、山葵、唐辛子、柚子
(皮)、橙(皮)、大根等の香辛野菜、梅肉(塩付けし
た梅果の果肉部分)、鱈子、カラスミ、塩辛、トウバン
ジャン、味噌、塩付けうに等のペースト状食品の基本素
材を磨砕、撹拌、裏漉し等の手段によってペーストにす
る。
次に、これに必要により、水、着色料、調味料、澱粉
類、ガム類、PH調整剤、アルコール等の添加物の1種又
は2種以上を適宜選択し添加混合する。
上記水はそのままの状態で添加しても良いし或いは上
記着色料、調味料、澱粉類、ガム類、PH調整剤等を適宜
溶解した水溶液の状態で添加しても良い。これにより、
得られるペースト状食品の延伸性が優れたものになる。
添加量は、得られるペースト状食品の水分が40.0〜95.0
重量%更に60.0〜80.0重量%となる量使用することが好
ましい。
着色料は、ペースト状食品の色調に合わせて食用の着
色料の中から1種又は2種以上を適宜選択して使用す
る。その例としては、クチナシ色素、赤ジソ色素等の天
然着色料、食用青色1号、食用黄色4号アルミニウムレ
ーキ等の合成着色料がある。添加量は、得られるペース
ト状食品全体の0.001〜2.0重量%更には0.005〜0.5重量
%であることが好ましい。
糖類の添加により、得られるペースト状食品の風味を
調整することができる。使用する糖類としては、例えば
蔗糖、果糖、グリコール、D−ソルビトール等がある。
添加量は、得られるペースト状食品全体の0.1〜50.0重
量%更には0.1〜30.0重量%であることが好ましい。
また、調味料としては、例えばグルタミン酸ソーダ、
イノシン酸ソーダ、コハク酸ソーダ等がある。添加量
は、得られるペースト状食品全体の0.01〜2.0重量%更
には0.1〜1.0重量%であることが好ましい。
澱粉類の添加により、得られるペースト状食品の粘度
・物性を調整することができる。使用する澱粉類として
は、可溶性澱粉、デキストリン等の加工澱粉がある。添
加量は、得られるペースト状食品全体の0.1〜40.0重量
%更には0.1〜20.0重量%であることが好ましい。
ガム類の添加により、得られるペースト状食品の保存
時における離水を有効に防止することができる。使用す
るガム類としては、例えば、キサンタンガム、カラヤガ
ム、グアーガム等がある。添加量は、得られるペースト
状食品全体の0.01〜5.0重量%更には0.05〜2.0重量%で
あることが好ましい。
PH調整剤の添加により、得られるペースト状食品の保
存性を向上させることができる。使用するPH調整剤とし
ては、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸
等の有機酸及びリン酸塩類がある。添加量は、得られる
ペースト状食品のPHが、2.0〜7.0更には2.0〜5.0となる
量使用することが好ましい。
アルコールの添加により、得られるペースト状食品の
微生物の繁殖を有効に抑制することができる。添加量
は、得られるペースト状食品全体の0.1〜8.0重量%更に
は0.1〜4.0重量%であることが好ましい。
次に、上記ペースト状食品に卵殻に粉砕物を分散され
る。添加量は、ペースト状食品全体に対して0.1〜5.0重
量%更には0.1〜2.0重量%であることが好ましい。添加
量が0.1重量%を下回る場合には、本発明の効果が低下
する傾向にあり、5.0重量%を上回る場合には得られる
ペースト状食品がややザラついた食感になる傾向にあ
る。また、卵殻の粉砕物の添加時期は、ペースト状食品
を製造した後に、添加混合しても良いし、或いはペース
ト状食品の製造過程の任意の時期に添加混合してもよく
特に制限されない。
更に、ペースト状食品には、種類によって種々の固形
物を含有させても良い。但し、この場合、前記した添加
物の添加量及び卵殻の粉砕物の添加量は該固形物の重量
を差し引いた状態のペースト状食品の重量に基づいて決
定する。使用する固形物は特に制限されず、具体的には
にんにく、生姜、本山葵、芥子粒、唐辛子、柚子
(皮)、橙(皮)、山菜、果物、鰹節、しそ漬、キュウ
リの塩漬け、ぬか漬、塩漬、醤油漬、酢づけ、みそ漬、
からし漬、こうじ漬、もろみ漬等の漬物類、コンブ、ワ
カメ、ヒジキ、のり等の海藻類、或いはきのこ類、肉加
工類が例示できる。固形物の大きさは特に制限されない
が、例えば0.5〜100.0mm3が適当である。
尚、本発明のペースト状食品の製造法は、卵殻の粉砕
物をペースト状食品に添加分散させる点を除いては、従
来のペースト状食品の製造法と全く同じである。従っ
て、具体的工程は、目的とするペースト状食品の種類に
よって実施者において適宜決定すれば良い。
このようにして得られるペースト状食品を適宜ビン、
チューブ等の容器に充填し製品とする。
[実施例] 実施例1おろし生姜 生姜の皮を剥き、常法によりおろして、ペースト状の
生姜を得た。該ペースト状の生姜90.重量%に水0.4重量
%、澱粉3.0重量%、クエン酸0.5重量%、食塩1.0重量
%、天然黄色素(ウコン、ベニバナ黄色素)0.1重量
%、鶏の卵殻の粉砕物(50.0ミクロン)5.0重量%を添
加混合し、おろし生姜を得た。得られたおろし生姜は、
明るい黄色をしており、色調の鮮かなものであり、基本
素材として使用したペースト状の生姜と同等な色調を呈
していた。
実施例2練り梅 常法により得られたしそ漬け梅干から種子を除去した
後、磨砕して梅肉を得た。次いで、梅肉60.0重量%に水
30.0重量%、赤ジソ色素0.1重量%、蔗糖3.0重量%、デ
キストリン4.9重量%添加混合し、その後、鶏の卵殻の
粉砕物(50.0ミクロン)2.0重量%を添加混合し、練り
梅を得た。得られた練り梅は、明るい赤紫色をしてお
り、基本素材として使用した梅肉と同様な色調を呈して
いた。
<比較実験1> 卵殻の粉砕物を添加しないことの他は、実施例2と同
様な方法で練り梅(比較比較製品1という)を得た。実
施例2で得られた練り梅(以降本発明品1という)と比
較製品1について、その色調について15名のパネルによ
るパネルテストを行った。その結果を第1表に示す。表
中色調の項目は、使用した梅肉と比較してその色調が同
等としたパネルの人数を示す。
上記第1表によれば、本発明品1の色調が使用した梅
肉の色調と比較して同等としたパネルの人数が15人であ
り、比較製品1の色調が使用した梅肉の色調と比較して
同等としたパネルの人数が1人であった。従って、卵殻
の粉砕物を分散させることにより、得られるペースト状
食品の色調を使用したペースト状食品の基本素材と同等
となし得ることが明白となった。
<比較実験2> 上記した本発明品1と比較製品1とをそれぞれチュー
ブ(ポリオレフィン/培養性樹脂/酢酸ビニル共重合体
ケン化物/培養性樹脂/ポリオレフィン)に充填し、6
ケ月間常温で保存した。その後、長期間保存した場合の
ペースト状食品の色調維持の効果について15名のパネル
によるパネルテストを行った。その結果を第2表に示
す。表中色調の項目は、製造直後の各サンプルの色調を
10点とした場合の10段階評価を行い、その平均値(小数
点第二位以下四捨五入)を示したものである。
上記第2表によれば、色調に関する項目が本発明品1
が8.9であるのに対して比較製品1が5.0である。従っ
て、ペースト状食品に卵殻の粉砕物を分散させることに
より、ペースト状食品を長期間保存した場合であって
も、使用する基本素材が有する良好な色調を維持するこ
とができるということが明白になった。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明によれば、ペースト状食
品に卵殻の粉砕物を分散させることにより、得られるペ
ースト状食品をコスト高にすることなく、且つ得られる
ペースト状食品の物性に大きな影響を与えることなく、
得られるペースト状食品の色調を使用する基本素材の色
調と同等になし得、且つペースト状食品を長期間保存し
た場合であっても、使用する基本素材が有する良好な色
調を維持することができる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】卵殻の粉砕物を分散させてなるペースト状
    食品。
  2. 【請求項2】卵殻の粉砕物がペースト状食品全体の0.5
    〜15.0重量%である請求項(1)記載のペースト状食
    品。
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