JP2593345B2 - ペースト状食品 - Google Patents

ペースト状食品

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正典 山本
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ペースト状食品に関し、更に詳細には色調
が鮮かで且つ長期間保存した場合であっても、鮮やかな
色調を長期間にわたって維持することができるペースト
状食品に関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする問題点] 従来より、例えば練り芥子、練りわさび、練り生姜、
練りにんにく、練り梅等の種々のペースト状食品が知ら
れている。
しかしながら、こうした従来のペースト状食品は、長
期間の保存により褐変するとの問題点があった。
また、延伸性を良くするために水分量を増加させる
と、ペースト状食品中の不溶性固形分の比率が低下し、
その結果、ペースト状食品の基本素材が有する本来の色
調とはかなり異なる極めて見栄えの悪い色調になるとの
問題点があった。この問題点は、(ペースト状食品の基
本素材の添加物を添加することなくペースト状食品とし
た場合の不溶性固形分の比率)/(ペースト状食品の基
本素材に水等の添加物を添加混合してペースト状食品と
した場合の不溶性固形分の低率)が1.2更には1.5を超え
る場合に特に顕著であった。
こうした問題点を解決する手段として、本出願人は、
既にペースト状食品に微結晶セルロースを分散させる技
術について出願を行っている(特開昭62−269650号、特
開昭62−269660号)。
しかしながら、該発明によれば、高価な微結晶セルロ
ースを使用せねばならず、それ故、得られる製品がコス
ト高になるとの問題点があった。また、微結晶セルロー
スは保水力が強く、微結晶セルロースの添加量・ペース
ト状食品の種類等によっては、得られるペースト状食品
の物性に大きな影響を与えることがあった。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は、得られる製品をコスト高にすることな
く、且つ得られるペースト状食品の物性に然程大きな影
響を与えることなく、前記した問題点を解決する手段に
ついて鋭意研究開発を行なった結果、ペースト状食品に
粉体状の天然カルシウム原料(卵殻の粉砕物を除く)を
分散させることにより、上記した目的を達成し得るとの
知見を得た。
該知見を基に完成された本発明の要旨は、粉体状の天
然カルシウム原料(卵殻の粉砕物を除く)を分散させて
なるペースト状食品にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるペースト状食品とは、従来よりあるペ
ースト状食品と異なるものではなく、例えばおろし生
姜、おろしにんにく、練り芥子、練り山葵、練り唐辛
子、おろし柚子皮、おろし橙皮、おろし大根、練り梅が
あり、その他にも鱈子、カラスミ、塩辛、トウバンジャ
ン、味噌、塩付けうに等を磨砕、撹拌、裏漉し等の手段
によってペースト状にし、適宜添加物を添加混合したも
のが例示できる。
本発明においては、上記ペースト状食品に粉体状の天
然カルシウム原料(卵殻の粉砕物を除く)−以下単に粉
体状の天然カルシウム原料という−を分散させることが
重要である。これにより、得られるペースト状食品の色
をペースト状食品の基本素材の色と同等にすることがで
きると共にペースト状食品を長期間保存した場合であっ
ても、使用する基本素材が有する良好な色調を維持する
ことができる。
粉体状の天然カルシウム原料としては、牛骨粉・魚骨
粉等の骨粉、貝殻の粉砕物及び真珠の粉砕物等があり、
これらの中から1種又は2種以上を選択して使用する。
粒子径としては、100.0ミクロン以下更には5.0〜70.0ミ
クロンが好ましい。これにより、得られるペースト状食
品がざらついた舌触りになることを有効に防止すること
ができる。また、添加量は、ペースト状食品全体に対し
て0.5〜15.0重量%更には2.0〜10.0重量%であることが
好ましい。
次に、本発明の製造法を説明する。
先ず、生姜、にんにく、芥子、山葵、唐辛子、柚子
(皮)、橙(皮)、大根等の香辛野菜、梅肉(塩付けし
た梅果の果肉部分)、鱈子、カラスミ、塩辛、トウバン
ジャン、味噌、塩付けうに等のペースト状食品の基本素
材を磨砕、撹拌、裏漉し等の手段によってペーストにす
る。
次に、これに必要により、水、着色料、調味料、澱粉
類、ガム類、PH調整剤、アルコール等の添加物の1種又
は2種以上を適宜選択し添加混合する。
上記水はそのままの状態で添加しても良いし或いは上
記着色料、調味料、澱粉類、ガム類、PH調整剤等を適宜
溶解した水溶液の状態で添加しても良い。これにより、
得られるペースト状食品の延伸性が優れたものになる。
添加量は、得られるペースト状食品の水分が40.0〜95.0
重量%更に60.0〜80.0重量%となる量使用することが好
ましい。
着色料は、ペースト状食品の色調に合わせて食用の着
色料の中から1種又は2種以上を適宜選択して使用す
る。その例としては、クチナシ色素、赤ジソ色素等の天
然着色料、食用青色1号、食用黄色4号アルミニウムレ
ーキ等の合成着色料がある。添加量は、得られるペース
ト状食品全体の0.001〜2.0重量%更には0.005〜0.5重量
%であることが好ましい。
糖類の添加により、得られるペースト状食品の風味を
調整することができる。使用する糖類としては、例えば
蔗糖、果糖、グリコール、D−ソルビトール等がある。
添加量は、得られるペースト状食品全体の0.1〜50.0重
量%更には0.1〜30.0重量%であることが好ましい。
また、調味料としては、例えばグルタミン酸ソーダ、
イノシン酸ソーダ、コハク酸ソーダ等がある。添加量
は、得られるペースト状食品全体の0.01〜2.0重量%更
には0.1〜1.0重量%であることが好ましい。
澱粉類の添加により、得られるペースト状食品の粘度
・物性を調整することができる。使用する澱粉類として
は、可溶性澱粉、デキストリン等の加工澱粉がある。添
加量は、得られるペースト状食品全体の0.1〜40.0重量
%更には0.1〜20.0重量%であることが好ましい。
ガム類の添加により、得られるペースト状食品の保存
時における離水を有効に防止することができる。使用す
るガム類としては、例えば、キサンタンガム、カラヤガ
ム、グアーガム等がある。添加量は、得られるペースト
状食品全体の0.01〜5.0重量%更には0.05〜2.0重量%で
あることが好ましい。
PH調整剤の添加により、得られるペースト状食品の保
存性を向上させることができる。使用するPH調整剤とし
ては、例えばリンゴ酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸
等の有機酸及びリン酸塩類がある。添加量は、得られる
ペースト状食品のPHが、2.0〜7.0更には2.0〜5.0となる
量使用することが好ましい。
アルコールの添加により、得られるペースト状食品の
微生物の繁殖を有効に抑制することができる。添加量
は、得られるペースト状食品全体の0.1〜8.0重量%更に
は0.1〜4.0重量%であることが好ましい。
次に、上記ペースト状食品に粉体状の天然カルシウム
原料を分散させる。添加量は、ペースト状食品全体に対
して0.1〜5.0重量%更には0.1〜2.0重量%であることが
好ましい。添加量が0.1重量%を下回る場合には、本発
明の効果が低下する傾向にあり、5.0重量%を上回る場
合には、得られるペースト状食品がややザラついた食感
になる傾向にある。また、粉体状の天然カルシウム原料
の添加時期は、ペースト状食品を製造した後に、添加混
合しても良いし、或いはペースト状食品の製造過程の任
意の時期に添加混合してもよく特に制限されない。
更に、ペースト状食品には、種類によって種々の固形
物を含有させても良い。但し、この場合、前記した添加
物の添加量及び粉体状の天然カルシウム原料の添加量は
該固形物の重量を差し引いた状態のペースト状食品の重
量に基づいて決定する。使用する固形物は特に制限され
ず、具体的にはにんにく、生姜、本山葵、芥子粒、唐辛
子、柚子(皮)、橙(皮)、山菜、果物、鰹節、しそ
漬、キュウリの塩漬け、ぬか漬、塩漬、醤油漬、酢づ
け、みそ漬、からし漬、こうじ漬、もろみ漬等の漬物
類、コンブ、ワカメ、ヒジキ、のり等の海藻類、或いは
きのこ類、肉加工類が例示できる。固形物の大きさは特
に制限されないが、例えば0.5〜100.0mm3が適当であ
る。
尚、本発明のペースト状食品の製造法は、粉体状の天
然カルシウム原料をペースト状食品に添加分散させる点
を除いては、従来のペースト状食品の製造法と全く同じ
である。従って、具体的工程は、目的とするペースト状
食品の種類によって実施者において適宜決定すれば良
い。
このようにして得られるペースト状食品を適宜ビン、
チューブ等の容器に充填し製品とする。
[実施例] 実施例1おろし生姜 生姜の皮を剥き、常法によりおろして、ペースト状の
生姜を得た。該ペースト状の生姜90.0重量%に水0.4重
量%、澱粉3.0重量%、クエン酸0.5重量%、食塩1.0重
量%、天然黄色素(ウコン、ベニバナ黄色素)0.1重量
%、魚骨粉(粒子径約70.0ミクロン)5.0重量%を添加
混合し、おろし生姜を得た。得られたおろし生姜は、明
るい黄色をした色調の鮮かなものであり、基本素材とし
て使用したペースト状の生姜(添加物を添加することな
くペースト状としたもの)と同等な色調を呈していた。
実施例2練り梅 常法により得られたしそ漬け梅干から種子の除去した
後、磨砕して梅肉を得た。次いで、梅肉60.0重量%に水
30.0重量%、赤ジソ色素0.1重量%、蔗糖3.0重量%、デ
キストリン4.9重量%添加混合し、その後、牛骨粉(粒
子径約70.0ミクロン)2.0重量%を添加混合し、練り梅
を得た。得られた練り梅は、明るい赤紫色をした色調の
鮮やかなものであり、基本素材として使用した梅肉と同
様な色調を呈していた。
<比較実験1> 骨粉を添加しないことの他は、実施例2と同様な方法
で練り梅(以降比較製品1という)を得た。実施例2で
得られた練り梅(以降本発明品1という)と比較製品1
の色調について15名のパネルによる官能評価を行った。
その結果を第1表に示す。表中色調の項目は、原料とし
て使用した梅肉と比較してその色調が同等としたパネル
の人数を示す。
上記第1表によれば、本発明品1の色調が使用した梅
肉の色調と比較して同等としたパネルの人数が15人であ
り、比較製品1の色調が使用した梅肉の色調と比較して
同等としたパネルの人数が1人であった。従って、骨粉
(粉体状の天然カルシウム原料)を分散させることによ
り、得られるペースト状食品の色調を使用したペースト
状食品の基本素材と同等となし得ることが明白となっ
た。
<比較実験2> 上記した本発明品1と比較製品1とをそれぞれチュー
ブ(ポリオレフィン/培養性樹脂/酢酸ビニル共重合体
ケン化物/培養性樹脂/ポリオレフィン)に充填し、6
ケ月間常温で保存した。その後、長期間保存に伴う褐変
防止の効果について、15名のパネルによる官能評価を行
った。その結果を第2表に示す。表中色調の項目は、製
造直後の各サンプルの色調を10点とした場合の10段階評
価を行い、その平均値(小数点第二位以下四捨五入)を
示したものである。
上記第2表によれば、色調に関する項目が本発明品1
が8.7であるのに対して比較製品1が5.2である。従っ
て、ペースト状食品に骨粉(粉体状の天然カルシウム原
料)を分散させることにより、ペースト状食品を長期間
保存した場合であっても、使用する基本素材が有する良
好な色調を維持することができるということが明白にな
った。
実施例3おろし生姜 魚骨粉(粒子径約70.0ミクロン)のかわりに貝殻の粉
砕物(粒子径約60.0ミクロン)を使用することの他は、
実施例1と同様な方法でおろし生姜を得た。得られたお
ろし生姜は、明るい黄色をした色調の鮮かなものであ
り、基本素材として使用したペースト状の生姜(添加物
を添加することなくペースト状としたもの)と同等な色
調を呈していた。
実施例4練り梅 牛骨粉(粒子径約70.0ミクロン)のかわりに真珠の粉
砕物(粒子径約60.0ミクロン)を使用することの他は、
実施例2と同様な方法で練り梅を得た。得られた練り梅
は、明るい赤紫色をしており、基本素材として使用した
梅肉と同様な色調を呈していた。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明によれば、ペースト状食
品に粉体状の天然カルシウム原料を分散させることによ
り、得られるペースト状食品をコスト高にすることな
く、且つ得られるペースト状食品の物性に大きな影響を
与えることなく、その色調を使用する基本素材の色調と
同様になし得、且つペースト状食品を長期間保存した場
合であっても、使用する基本素材が有する良好な色調を
維持することができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】粉体状の天然カルシウム原料(卵殻の粉砕
    物を除く)を分散させてなるペースト状食品。
  2. 【請求項2】粉体状の天然カルシウム原料が、骨粉、貝
    殻の粉砕物及び真珠の粉砕物よりなる群から選択される
    1種又は2種以上である請求項(1)記載のペースト状
    食品。
  3. 【請求項3】粉体状の天然カルシウム原料の添加量が、
    ペースト状食品全体の0.5〜15.0重量%である請求項
    (1)又は(2)記載のペースト状食品。
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