JP2589099B2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は食品のかく拌機能を有する高周波加熱装置に
関するものである。

従来の技術 従来のこの種の高周波加熱装置は実開昭55−71489号
公報に提案されている。

この構成は、加熱室内に回転自在に設けたターンテー
ブルにかく拌容器を着脱自在に取付けると共に、そのか
く拌容器内に設けたかく拌羽根を前記ターンテーブルの
回転軸を貫通する固定軸に着脱可能に取付けたものであ
る。

発明が解決しようとする問題点 上記構成によると、かく拌羽根が静止しており、ター
ンテーブルに取付けたかく拌容器自体が回転するように
なっているので、高速回転（通常のターンテーブルより
も相対的に速い回転）しようとすると、被加熱物が慣性
により飛び出してしまう。そこで通常の高周波加熱時の
ターンテーブルの回転数５〜6rpmに限定され、十分なか
く拌性能が得られない問題があった。

問題点を解決するための手段 本発明は上記欠点を除くためになされたものであり、
高周波発振器を加熱源とし、加熱室内に被加熱物を載置
するターンテーブルと、かく拌羽根を回転自在に内蔵す
るかく拌容器のいずれか一方を加熱室内に選択的に設置
し、上記かく拌羽根の駆動軸Ａを金属筒体で形成し、こ
の駆動軸Ａの中空部をターンテーブル駆動用の駆動軸Ｂ
を貫通させ、なお駆動軸Ａの上端はかく拌容器を加熱室
の底面に固定する金属製の固定具の中央に形成する円形
穴の途中に位置させて設けたものである。

作用 上記のように構成したことにより、加熱室内に設けた
かく拌容器と、加熱室の底面中央に設けたかく拌容器の
固定具と、この固定具の中央の円形穴の途中に位置させ
て設けた金属筒体のかく拌羽根の駆動軸Ａは、かく拌容
器を静止した状態で使用し、かく拌羽根を例えば200rpm
前後で高速回転させて食品原料をかく拌し、加熱室内に
設けたターンテーブルと、かく拌羽根の駆動軸Ａの中空
部を貫通して設けたターンテーブルの駆動軸Ｂは被加熱
物自体を５〜6rpm程度の低速回転させながら高周波加熱
処理を行い、更に加熱室内に突き出さないようにした駆
動軸Ａの上端は加熱室内の高周波エネルギーにさらされ
ないのでこの駆動軸Ａに沿って外部に漏洩しようとする
高周波を少なくし、高周波漏洩を防止する作用をする。

実施例 以下本発明の一実施例を図面により説明する。

実施例の構成は第１図から第５図に示すとおりであ
る。

本実施例は、かく拌容器としてパン原料のこねから燃
成までを行うパン容器を使用し、かく拌羽根としてパン
容器内で使用するこね羽根を用いた例を示す。

図において、１は高周波加熱装置内に設けた加熱室で
ある。２は導波管３を介して加熱室１に高周波エネルギ
ーを供給する高周波発振器である。４は加熱室１の上部
外面に設けた上ヒーター、５は加熱室１内の下部に設け
た下ヒーターでケーキ、パン焼き等のオーブン料理の際
の加熱源である。６はオーブン料理時に使用する角皿７
（第５図）を支える皿受棚である。８は加熱室１の前面
入口を開閉するドア、９は加熱をコントロールするため
の操作パネルである。10は外箱、11は外箱10の下面に取
付けた足である。12は小麦粉、イースト、水等の食品原
料（以下本実施例ではパン原料と呼ぶ）13をこね合わせ
て、焼き上げるまで行うかく拌容器（パン容器）であ
る。14はかく拌容器12内の下部に回転自在に設けたかく
拌羽根（こね羽根）である。15はかく拌羽根14の回転軸
である。

第１図において、16は変速駆動部で、被加熱物18を載
置するターンテーブル19（第３図）を５〜6rpmの低速回
転させるテーブル用モーター22と、かく拌容器12使用に
よるパン焼時にかく拌羽根14を200rpm前後の高速回転さ
せるかく拌用モーター23とを駆動源とするものである。
17は駆動軸Ａで、かく拌用モーター23の回転力を小形プ
ーリー24、ベルト25、大形プーリー26、しゅう動用金属
筒30を介してかく拌羽根14の回転軸15に伝達するための
ものである。なお駆動軸A17は金属筒体からなるもので
ある。27は駆動軸Ｂで、テーブル用モーター22の回転力
をターンテーブル19を回転自在に支持する回転台20（第
３図）の回転連結軸21に伝達するためのものである。な
お駆動軸B27は高周波透過性の誘電体からなるものであ
る。28は回転軸15に対する軸受Ａである。29は駆動軸A1
7に対する軸受Ｂである。なお駆動軸B27は駆動軸A17の
中空部を貫通しているものである。31はテーブル用モー
ター22とかく拌用モーター23とを取付けるためのモータ
ー取付台である。32はモーター取付台31内に外気を取り
入れて電気部品類を冷却するための吸気孔である。33は
大形プーリー26を駆動軸A17に固定するための止め具で
ある。34は駆動軸A17のスラスト荷重を受ける中空円板
である。35は回転軸15が上方にはずれるのを防止する支
持金具36の下部に一体成形により取付けられた耐熱樹脂
から成る係合片であり、この係合片35の他方端は駆動軸
A17の軸端面と係合するものである。37はかく拌羽根14
の回転時に軸受A28支持金具36とが直接ぶつかって騒音
を出すのを防ぐための緩衝材である。38はかく拌容器12
に入れたパン原料、特に液体がこぼれるのを防止するた
めのシリコーンゴム等のパッキンである。39は四ふっ化
エチレン等の摩擦の少ないワッシャＡで、ステンレスス
チール等のワッシャB40と共にパッキン38を上部から押
してパッキン38の液体シール効果を増すと共に、かく拌
羽根14の回転時にかく拌容器12の底を傷つけないための
ものである。41は回転軸15が下方向に外れるのを防止す
る止め輪である。42はかく拌容器12を加熱室１の底面に
保持する支持台である。43は支持台42とかく拌容器12と
を固定するリベットである。44は支持台42を加熱室１の
底面に着脱自在に固定する固定具で、第２図に示すよう
に固定具44は絞り形成する金属板からなり、中央部に前
記係合片35を通す円形穴50を有し、この円形穴50の直径
Ｄは高周波の自由空間波長λ、駆動軸B27及び係合片35
の比電導率を共にεγとすると、円形導波管の基本モー
ドTE₁₁がカットオフとなる寸法ＤはＤλ／（1.7√∈
τ）に選定してある。51は固定具44に形成する引掛け部
で、前記支持台42の足部42aに引掛け係合するものであ
る。45は電導体からなる緩衝部材で、上記固定具44の引
掛け部51の下部にかく拌羽根14の回転時に加熱室１の底
面1aと支持台42との間の衝撃による振動騒音を防止する
ためのものである。52は固定具44に形成する抜き穴で、
前記緩衝部材45を加熱室１内に突出させるためのもので
ある。この抜き穴52の最大抜幅Ｗは緩衝部材45の比誘電
率により短縮された高周波の波長の1/2以下とするもの
である。53は止めねじ54を通す小穴である。46は駆動軸
A17の外周を通って加熱室１の外部へ漏洩しようとする
高周波を低減するためのチョーク空胴47を形成するため
の空胴壁面で、アルミニウムダイキャスト等の金属体か
らなるものである。48はチョーク空胴47の上下方向の厚
みを減らすために、チョーク空胴47内の高周波伝送経路
49を略Ｕ字形にして実質的な電気長を調節し、チョーク
空胴47を共振させる仕切板で、金属体からなるものであ
る。また駆動軸A17の上端はかく拌容器12を加熱室１の
底面に固定用の金属製の前記固定具44の央部に形成する
円形穴50の途中に位置させて設け、この駆動軸Ａの上端
を加熱室１内に突き出さないようにしたものである。

次に上記構成からなる本実施例の作用について説明す
る。

かく拌容器12使用によるパン焼きの場合は、第３図の
ようにホームベーカリーと同様に、加熱室１内にかく拌
容器12を設置する。かく拌容器12にパン原料13を入れ
て、かく拌羽根14を変速駆動部16により200rpm前後で回
転させてパン原料13をこね合わせ、その後上、下ヒータ
ー4,5あるいは高周波エネルギーによる加熱も適宜加
え、発酵、かく拌羽根14の数秒間の回転によるガス抜き
等の工程を経て、焼き上げまで行うことができる。この
場合、パンはかく拌容器12の断面形状をして上部が盛り
上がったいわゆる山形パンとなる。

次にロールパン等の他の形状のパンを作る場合は、か
く拌容器12でこね合わせから発酵までを行い、そのあと
かく拌容器12を加熱室１から取り出して、パン原料13を
目的とするパンの種類に応じて分割し、丸めて、第５図
のように電気オーブンあるいはオーブンレンジと同様に
角皿７に載せて成形発酵から焼き上げまで行うことがで
きる。

ターンテーブル19を使用する場合は、第４図のように
単機能電子レンジまたはオーブンレンジと同様に、被加
熱物18を載せるターンテーブル19及びこのターンテーブ
ル19を支持する回転台20を加熱室１内に設置して、変速
駆動部16によりターンテーブル19を５〜6rmpで回転させ
る。高周波発振器２から加熱室１内に供給した高周波エ
ネルギーあるいは上、下ヒーター4,5により被加熱物18
を加熱調理することができる。

また、誘電体製の駆動軸B27が金属製の駆動軸17Aの中
空部を貫通しているので、高周波加熱中に駆動軸B27に
沿って加熱室１の外へ漏洩しようとする高周波に対して
は駆動軸A17をカットオフの円形導波管として作用さ
せ、駆動軸A17の外面に沿って漏洩しようとする高周波
に対してはチョーク空胴47を作用させることにより抑制
することができる。例えば2,450MHzの高周波に対して駆
動軸B27の比誘電率を４とすれば、駆動軸A17の中空部の
直径が36mmでカットオフとなる。実用的には中空部の直
径が10mm前後となるので十分余裕をもってカットオフ領
域で使用することができる。

更に、駆動軸A17は金属製であるが、この駆動軸A17の
上端が加熱室１内へ突き出さないようにしたため、駆動
軸A17は加熱室１内の高周波エネルギーにさらされない
ので、駆動軸A17に沿って外部へ漏洩しようとしてチョ
ーク空胴47に向かう高周波が少なくなり、高周波漏洩防
止が容易となる。

なお、ヒーター4,5を省略して、かく拌容器にてホワ
イトソース、うどん、もち等のかく拌あるいはこねを行
なうかく拌機として使用してもよい。

発明の効果 以上本発明によれば、加熱室内にかく拌羽根を有する
かく拌容器と、ターンテーブルのいずれか一方を選択的
に設置したから、かく拌時のかく拌羽根の高速回転、あ
るいは高周波加熱時のターンテーブルの低速回転とを選
択的に使い分けているため、目的に応じた適切な調理操
作をすることができるとともに電子レンジ、電気オーブ
ン、ホームベーカリー、かく拌機といった多種の機能に
展開していくベースとすることができ、経済性、省スペ
ースの点でも有利である。

またかく拌羽根の駆動軸を金属筒体で形成し、この駆
動軸の中空部にターンテーブルの駆動軸を貫通させ、か
く拌羽根の駆動軸の上端を加熱室内へ突出せぬように位
置させたから、駆動軸A,Bに沿った高周波漏洩防止が容
易であり、実施する効果は大なるものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す高周波加熱装置の要部
断面図、第２図は同固定具の斜視図、第３図は高周波加
熱装置の断面図（ホームベーカリー用）、第４図は同断
面図（電子レンジ用）、第５図は同断面図（電気オーブ
ン用）である。 １……加熱室、２……高周波発振器、４……上ヒータ
ー、５……下ヒーター、12……かく拌容器、13……食品
原料（パン原料）、14……かく拌羽根、17……駆動軸
Ａ、18……被加熱物、19……ターンテーブル、27……駆
動軸Ｂ、44……固定具、50……円形穴。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高周波発振器（２）を加熱源とする高周波
   加熱装置の加熱室（１）内に被加熱物（18）を回転自在
   に載置するターンテーブル（19）と、食品原料（13）の
   かく拌を行うためのかく拌容器（12）のいずれか一方を
   選択設置し、このかく拌容器（12）の内部に回転自在に
   設けたかく拌羽根（14）の駆動軸Ａ（17）を金属筒体で
   形成し、この駆動軸Ａ（17）の上端を加熱室（１）内へ
   は突き出さないようにかく拌容器（12）を加熱室（１）
   の底面にかく拌容器（12）固定用に設けた金属製の固定
   具（44）の中央に形成する円形穴（50）の途中に位置さ
   せて設け、ターンテーブル（18）の駆動軸Ｂ（27）を駆
   動軸Ａ（17）の中空部を貫通して設けたことを特徴とす
   る高周波加熱装置。