JP2584390B2 - 自動車用空気吹出し装置のダイヤル取付構造 - Google Patents

自動車用空気吹出し装置のダイヤル取付構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用空気吹出し装
置に設けられるダイヤル取付構造に関し、自動車車室へ
の換気や空調の風量調整等に利用される。
【0002】
【従来の技術】自動車用空気吹出し装置には、通常、空
調等の風量調整用ダンパーを設け、これを開閉させるダ
イヤルは、空気吹出し装置を構成するケース本体側壁に
取付けられている。ダンパー作動は、ダンパーとダイヤ
ルとをアームで連結することで、車室からのダイヤル回
転操作により行えるしくみとなっている。ここで、ダイ
ヤルを回転して、所望の風量状態となるようにダンパー
をセット(ダンパーの開状態、閉状態、又は、中間状態
のいずれかをいう。)した場合には、風圧によってダン
パーが誤動作しないよう節度をもたせる必要がある。こ
の節度をもたす方法として、従来は、図7のような取付
構造をとっていた。即ち、ケース本体Aから節度用リブ
6を出し、ダイヤル取付用のボス1へダイヤル3を差し
込み、更に、この上へ節度を出すためのスプリング7
(一般に、バネ鋼等の金属部品を用いる。)を載せて、
上記ダイヤル3とストッパ4とでスプリング7を挟み込
んだ後、ねじ5で固定していた。そして、組付け後は、
ダイヤル3を回転させると、スプリング7も一緒に回転
し、節度用リブ6に形成した突起部61、62、63
に、スプリング7が当たるようにすることによって、ス
プリングが、この突起部を乗り越えようとする力に節度
をもたせていた。尚、突起部61、62、63は、各々
ダンパーが開状態、閉状態、中間状態となる位置に相応
する。符号39は、ダイヤル3に形成したスプリング位
置決めのピンを示し、符号71は、ピン39の差込み用
の孔を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
ダイヤル取付構造においては、節度感を出すためにのみ
スプリングを必要とし、部品点数が増え、それに伴い、
組付け工数も大きくなっていた。また、このスプリング
という別部品が多くなる分、組付時の寸法にバラツキが
生じることによりダイヤル操作力のバラツキを発生さ
せ、斯る微妙な操作力(或いは、節度感)が必要な部位
では、後の調整が難しかった。更に、スプリングが金属
製であるために、突起部は磨耗による削れが生じ、操作
力のバラツキを助長していた。
【0004】本発明は、上記問題点を克服するものであ
り、従来、必要としたスプリングをストッパに担わせる
ことで、後調整の必要もなく、ダイヤルの節度感を維持
しながら、組付工数の低減を図り、且つ組付時の寸法バ
ラツキを少なくしてダイヤル操作力のバラツキを抑え、
更には、突起部の削れをも防止する自動車用空気吹出し
装置のダイヤル取付構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の自動車用空気吹
出し装置のダイヤル取付構造は、ケース本体に立設した
ダイヤル取付用のボス(1)と、ストッパに取付けるた
めの挿着孔を具備し、且つ外周縁に凹部と凸部とを形成
したストッパ摺動部を具備するダイヤル(3)と、該ダ
イヤルの上記挿着孔に差し込んでダイヤルを回動可能に
保持するダイヤル取付部(41)と、上記ダイヤル取付
部の一端から径外方向に延び上記ダイヤルとの組付時に
上記ストッパ摺動部と対向する突起部が先端に形成され
ておりバネ作用を有する突出片(42)と、からなるス
トッパ(4)と、該ストッパを上記ボスに螺着させるね
じ(5)と、を備え、上記ダイヤル取付部に上記ダイヤ
ルが保持された上記ストッパを上記ボスに嵌挿すると共
に、該ストッパを該ボスに上記ねじで固定することによ
り、上記ケース本体に組付けられ、該ダイヤルを回した
ときに上記突出片のバネ作用により、上記突起部が
記ダイヤルの径外方向から上記ストッパ摺動部の凹部及
び凸部に弾性的に押圧されるように構成されており、
記ボス(1)周辺の上記ケース本体には位置決めピン
(2)が突設されており、上記ダイヤル(3)には上記
ストッパ摺動部に沿って円弧状にくり抜かれ該位置決め
ピンを挿通する通過孔(34)が設けられており、上記
ストッパの上記突出片(42)には該位置決めピンを挿
通するための通過溝(422)が設けられており、上記
ダイヤルの回動範囲は上記位置決めピンが上記通過孔の
一端に当接する位置から他端に当接する位置までであ
り、且つこの回動範囲は上記位置決めピンにより制限さ
れることを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明に係る自動車用空気吹出し装置のダイヤ
ル取付構造は、ストッパが従来の作動と異にし、ボスに
完全固定され、スプリングの役割をも果たす形状を一体
樹脂成形により作るので、スプリングが不要になる。そ
して、金属製スプリングを使わなくなり、削れによる不
具合もなくなる。また、ダイヤルとストッパとで節度出
しを行うので、組付時の寸法バラツキも減少する。更
に、ストッパとダイヤルとを、予めサブアッセンブリー
した後に、これをボスへ取付けるので、後調整もなくな
る。そして、本発明の取付構造によると、ダイヤルの径
外方向からストッパの突起部がストッパ摺動部の凹凸に
弾性的に押圧されるので、ストッパを固定するねじの位
置が軸方向に変動した場合にも、この押圧力が変化しに
くい横造となっている。従って、組付誤差に起因する製
品間のダイヤル操作力のバラツキや、ねじの緩みによる
ダイヤル操作力の変動を低減することができる。 また、
ストッパに設けられたダイヤル取付部によりダイヤルが
回動可能に保持され、このようにダイヤルを保持した状
態のストッパをボスに取付ける構造としているので、ダ
イヤル及びストッパをそれぞれ異なる軸に取付ける場合
に比べて、これらの部品の径方向に対して相対位置の誤
差が少なくなる。これにより、突起部がストッパ摺動部
に弾性押圧される力のバラツキが少なくなるので、製品
間におけるダイヤル操作力のバラツキを低減することが
できる。
【0007】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (1)自動車用空気吹出し装置のダイヤル取付構造 図1〜3は、本発明に係るダイヤル取付構造の一実施例
を示すもので、ボス1と、位置決めピン2と、ダイヤル
3と、ストッパ4と、タッピングスクリュー51と、か
ら構成される。
【0008】ボス1は、自動車用空気吹出し装置のケー
ス本体Aと一体樹脂成形により設けられたもので、肉厚
の中空円筒形状をなす。このボス1の周辺に設けられた
位置決めピン2も、ケース本体と一体樹脂成形れたも
のである。ボス1と位置決めピン2は、ケース本体側壁
に立設するように形成されている。ダイヤル3は、全体
形状を略ドーナツ板とし、その略中心に挿着孔31を有
する。そして、このダイヤルの外周縁の一部を膨らませ
て、操作つまみ32を設けると共に、これに対向する外
周縁には、3つの凹部331と2つの凸部332とから
なるストッパ摺動部33を形成している。符号34は、
ストッパ摺動部33に沿って、ダイヤル板面を円弧状に
くり抜いた通過孔を示す。この通過孔34は、ダイヤル
3の組付時に位置決めピン2を挿通することにより、後
述する図5及び図6に示すように、位置決めピン2によ
りダイヤル3の回動範囲を制限する作用を有する。尚、
上記ケース本体及びこのダイヤルは、アクリロニトリル
−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂製であ
る。
【0009】ストッパ4は、ダイヤル取付部41と、突
出片42と、からなる。このストッパ4は自己潤滑性に
優れるポリアセタール樹脂、フッ素樹脂等から構成する
のが好ましい。ダイヤル取付部41は円筒形状をなし、
頭部411と、筒部412と、爪部413と、から構成
される(図3)。頭部411は、孔4111を有する円
盤形態をなす。筒部412の外径は、ダイヤルの挿着孔
31より僅かに小さく、筒部412の高さは、挿着孔回
りのダイヤル3の板厚より僅かに大きい。ダイヤル3へ
筒部412を挿着した場合、ダイヤル3は、頭部411
と爪部413とでダイヤル取付部41に一体保持され、
ストッパに対し回動できるような構成になっている(図
3)。尚、筒部412と爪部413とは、円筒縦方向に
4ヶ所のスリットが入り、4分割された状態にある。
【0010】突出片42は、ダイヤル取付部41の頭部
411から、図1の如く、水平に張出した部分で、長方
形状板で、先端が直角に折れてダイヤル当接部421を
形成している。実際には、ダイヤル当接部421の内側
に突起部4211が設けられ(図2)、ダイヤル3とス
トッパ4とを正しくボス1に取付けた場合、この突起部
4211が、ストッパ摺動部33に当接する構成をと
る。詳しくは、ストッパ4をダイヤル3に挿着し、これ
をボス1に取付け、タッピングスクリュー51で螺着し
た状態を図3に示すが、ボス1の中心からダイヤル3の
凹部331までと、ボス中心からストッパの突起部42
11までとの距離を等しくする。そのため、ボス中心か
らダイヤル凸部332までは、ボス中心からストッパの
突起部4211までの距離より多少大きくなり、節度感
を出せる構造になっている。符号422は、突出片42
を部分開口した通過溝を示す(図2)。位置決めピン2
を通すためのものである。ストッパ4はボス1に螺着さ
れるが、たとえねじが緩んでストッパ4が回動しても、
通過溝422に位置決めピン2が係止され、ストッパ4
の位置ズレが起こることはない。また、ダイヤル取付部
寄りの突出片42には、これを横断するようにして薄肉
部423が形成されている。ダイヤル3が凹部331か
ら凸部332へと摺動する時に、バネ作用を発揮して、
ここに突起部4211をダイヤル3の径外方向から弾性
的に押圧するためである(図4)。本実施例では、ねじ
として、タッピングスクリュー51を用いた。ダイヤル
3を一体的に組付けたストッパ4をボス1に螺着するも
のである。
【0011】(2)本発明に係るダイヤルの組立 ダイヤル取付部41の爪部413をダイヤルの挿着孔3
1に挿入して、ダイヤル3とストッパ4とを一体化す
る。筒部412及び爪部413は、スリットが形成され
ているため内方に曲がりながら挿着孔31を容易に通過
する。尚、この時点では、ストッパ4の突起部4211
は、ダイヤル3の凹部331に当接させた状態にするの
が好ましい。その後、通過孔34及び通過溝422へ位
置決めピン2を貫通させるようにして、筒部412をボ
ス1へ差し込むことで、ダイヤル3と一体となったスト
ッパ4をケース本体側壁に取付ける。次いで、タッピン
グスクリュー51にて、孔4111を利用するようにし
てストッパ4をボス1へ螺着して、自動車用空気吹出し
装置のダイヤル取付が完了する(図3)。
【0012】(3)ダイヤルの操作 ダンパーが、開のダイヤル取付状態を図5に示す。尚、
図5(図6も含む。)では、図1〜3に図示したものと
ダイヤル形状を多少変更している。符号35はダンパー
と連結するアーム取付用の係止軸を示す。この状態のダ
イヤル3のストッパ摺動部33と、ストッパ4の突起部
4211との位置関係は、図3のようになっている。
た、ダンパー開方向へのダイヤル3の回転範囲は、位置
決めピン2は通過孔34の一端に当接する位置までであ
り、これによりダイヤル3が過剰に回転することを制限
している。次に、ダンパーを閉にすべくダイヤル回転操
作をする。ダイヤル3を回して、凹部331から凸部3
32に突起部4211が当接するようになると、ストッ
パ4は、タッピングスクリュー51と位置決めピン2と
で回転移動できないように固定されているため、突出片
42は距離をかせぐべく、薄肉部423がスプリング作
用のような働きをし、やや上方に持ち上がることになる
(図4参照)。この凹部331と凸部332との落差
が、適度な操作力を与えている。そうして、このダイヤ
ル3を回す手に節度を感じながら回転していくと、ダン
パー半開の位置でクリック感を感じて、一旦、セット状
態にはいる。更に、ダイヤル3を回せば接触感が変わっ
て、パチンと収まる状態に入り込んで、ダンパー閉にダ
イヤルセットされる(図6)。また、ダンパー閉方向へ
のダイヤル3の回転範囲は位置決めピン2が通過孔34
の他端に当接する位置までであり、これによりダイヤル
3が過剰に回転することを制限している。このようにし
て、ダンパー閉状態にセットされると、多少の風圧等で
は、凸部332を乗り越えて半開状態の凹部331へ移
動できないようになり、誤動作しない節度が保たれる。
【0013】(4)実施例の効果 本実施例に係るダイヤルを用いて、ダイヤル回転操作を
行ったところ、適度な節度感を持ち、風圧等によってダ
ンパーが誤動作することはなかった。また、ストッパ4
をボス1と位置決めピン2とで完全位置固定して、且つ
スプリング機能を持たす突出片42を一体成形で作った
ので、ストッパ4がスプリングの役割をも果たすように
なり、スプリングが不要になった。それに伴い、部品点
数が減り、組付工数も低減した。更に、筒部412を挿
着孔31に挿入して、ダイヤル3とストッパ4とを予め
一体化でき、且つ、ダイヤル3とストッパ4のみで節度
出しを行えるので、サブアッセンブリー時点で節度感あ
る感触に設定でき、節度を持つ操作力調整も容易であっ
た。そして、後調整は不要となった。加えて、突出片4
2に薄肉部423を設けることによってバネ効果が得ら
れたので、突出片42の突起部4211をストッパ摺動
部33の凸部332へ、適度な節度感をもって当接させ
ることができた。そして、ストッパ4をポリアセタール
樹脂製にしたので、自己潤滑性に優れ、製品が削れる虞
れもなくなった。
【0014】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途等に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、上記ダイヤル、上記ストッパの形状、大きさ等は、
使用目的に応じ、適宜変更される。具体的には、用途に
応じ、ストッパの突設片全体に薄肉化を図り、全体的に
バネ作用をもたらすものであってもよい。更に、本実施
例に示すダンパーの作動に限らず、ベンチレータの縦ル
ーバ等の作動に利用してもよい。
【0015】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る自動車用空
気吹出し装置のダイヤル取付構造によれば、スプリング
が不要になるので、組付工数の低減を図れる他、突起部
の削れも防止できる。また、ダイヤルとストッパとで節
度出しを行うので、組付時の寸法バラツキが減少し、操
作力調整の作業も減少する。更に、予めダイヤルとスト
ッパとをサブアッセンブリーできるので、後調整はなく
なり、組付作業性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係る自動車用空気吹出し装置のダイ
ヤル取付構造を示す分解斜視図である。
【図2】図1のストッパのダイヤル当接部の拡大斜視図
である。
【図3】本実施例に係る自動車用空気吹出し装置のダイ
ヤルのケース本体への取付けを示す説明縦断面図であ
る。
【図4】図3のダイヤルを回転操作してダイヤルの凸部
とストッパの突起部とが当接した状態を示す説明縦断面
図である。
【図5】ダンパーが開状態のダイヤルとストッパの位置
関係を示す正面図である。
【図6】ダンパーが閉状態のダイヤルとストッパの位置
関係を示す正面図である。
【図7】従来の自動車用空気吹出し装置のダイヤル取付
構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1;ボス、2;位置決めピン、3;ダイヤル、31;挿
着孔、33;ストッパ摺動部、331;凹部、332;
凸部、34;通過孔、、4;ストッパ、41;ダイヤル
取付部、42;突出片、421;ダイヤル当接部、42
11;突起部、422;通過溝、423;薄肉部、5;
ねじ、51;タッピングスクリュー、6;節度用リブ、
7;スプリング。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケース本体に立設したダイヤル取付用の
    ボス(1)と、ストッパに取付けるための挿着孔を具備
    し、且つ外周縁に凹部と凸部とを形成したストッパ摺動
    部を具備するダイヤル(3)と、 該ダイヤルの上記挿着孔に差し込んでダイヤルを回動可
    能に保持するダイヤル取付部(41)と、上記ダイヤル
    取付部の一端から径外方向に延び上記ダイヤルとの組付
    時に上記ストッパ慴動部と対向する突起部が先端に形成
    されておりバネ作用を有する突出片(42)と、からな
    るストッパ(4)と、 該ストッパを上記ボスに螺着させるねじ(5)と、を備
    え、上記 ダイヤル取付部に上記ダイヤルが保持された上記ス
    トッパを上記ボスに嵌挿すると共に、該ストッパを該ボ
    スに上記ねじで固定することにより、上記ケース本体に
    組付けられ、該ダイヤルを回したときに上記突出片の
    バネ作用により、上記突起部が上記ダイヤルの径外方向
    から上記ストッパ摺動部の凹部及び凸部に弾性的に押圧
    されるように構成されており、 上記ボス(1)周辺の上記ケース本体には位置決めピン
    (2)が突設されており、上記ダイヤル(3)には上記
    ストッパ摺動部に沿って円弧状にくり抜かれ該位置決め
    ピンを挿通する通過孔(34)が設けられており、上記
    ストッパの上記突出片(42)には該位置決めピンを挿
    通するための通過溝(422)が設けられており、上記
    ダイヤルの回動範囲は上記位置決めピンが上記通過孔の
    一端に当接する位置から他端に当接する位置までであ
    り、且つこの回動範囲は上記位置決めピンにより制限さ
    れる ことを特徴とする自動車用空気吹出し装置のダイヤ
    ル取付構造。
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