JP2584280Y2 - 単結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ - Google Patents

単結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ

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JP2584280Y2 JP1857793U JP1857793U JP2584280Y2 JP 2584280 Y2 JP2584280 Y2 JP 2584280Y2 JP 1857793 U JP1857793 U JP 1857793U JP 1857793 U JP1857793 U JP 1857793U JP 2584280 Y2 JP2584280 Y2 JP 2584280Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、単結晶基板を溶融体
に接触させることにより単結晶基板上に単結晶薄膜を形
成する液相エピタキシャル成長法(以下、「LPE法」
という)に使用する単結晶薄膜製造装置における単結晶
基板保持ホルダに関し、更に詳細には、単結晶薄膜形成
後における単結晶基板と単結晶基板保持ホルダとの間に
溶融体が残留しにくくかつ高速回転に耐える構造とする
ことにより、溶融体の振り切り性をよくした単結晶基板
保持ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光通信や光計測等種々の光応用分
野において、単結晶光導波路型の光デバイスが使用され
ている。この種の導波路型光デバイスにおいては、種々
の電気光学的、非線形光学的、音響光学的等の特性を有
する単結晶の薄膜を単結晶基板上に格子整合状態で形成
し、これを導波路形状に加工して目的とする機能を発揮
させるようにしている。かかる光導波路としての単結晶
薄膜には、基板との格子整合性がよいことばかりでな
く、導波光のシングルモード性、光損失が低いこと、耐
光損傷性等の特性が要求される。このため単結晶薄膜は
基本的な組成元素に加えて、格子定数の整合や屈折率等
の調整のための種々の添加元素を含有させられるのが普
通である。
【0003】かかる単結晶薄膜の例としては、ニオブ酸
リチウム単結晶を挙げることができる。そして、ナトリ
ウム、マグネシウム、バナジウム、ホウ素等の添加元素
を含有させたニオブ酸リチウム単結晶の薄膜を、例えば
タンタル酸リチウム単結晶基板上に格子整合させて形成
し、導波路型光デバイスを構成することができる。この
ような添加元素を含有する単結晶薄膜を基板上に格子整
合状態で形成する手段として、LPE法が盛んに用いら
れている。熱拡散法等他の手段によるものと比較して結
晶性に優れ、その結果光デバイスとしての諸特性にも優
れるからである。
【0004】LPE法は、光導波路となる単結晶薄膜の
材料成分を高温で溶融した溶融体に、単結晶薄膜と同一
もしくは近似する結晶構造を有する単結晶基板を接触さ
せ、単結晶基板上に光導波路となる単結晶薄膜をエピタ
キシャル成長させるものである。かかるLPE法におい
ては、単結晶基板の一面を光学的平滑に調製して結晶成
長面となし、溶融体を充填したルツボの上方にかかる単
結晶基板を保持ホルダにより水平に保持し、この保持ホ
ルダを上下移動することにより、単結晶基板の結晶成長
面を溶融体に接触させて結晶成長を行い、そして所定時
間の結晶成長が終了した後は溶融体から基板を離間させ
るようにしている。
【0005】従って保持ホルダ、特に単結晶基板や溶融
体と直接接触する支持アームの材質としては、溶融体の
温度に耐える耐熱性、その温度での強度及び耐食性、そ
して溶融体や基板との反応性がないことが要求される。
前記のニオブ酸リチウム単結晶の薄膜を形成する場合、
溶融体の温度は約1000℃に達するので、このような特性
を満たす材料は限られており、例えば白金あるいは白金
−ロジウム合金がかろうじて使用可能なものとして挙げ
られるに留まっている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
単結晶基板保持ホルダには、以下の問題点があった。即
ち、ニオブ酸リチウム単結晶の薄膜を形成する場合、白
金あるいは白金−ロジウム合金といえども約1000℃程度
の温度領域での強度が充分とはいえないのである。
【0007】一方、単結晶基板保持ホルダは水平面内方
向の回転機能を有するのが普通である。単結晶基板を溶
融体に接触させているときにあっては、単結晶基板を回
転させることにより、形成される単結晶薄膜の膜厚の均
一性を向上できるからである。前記のタンタル酸リチウ
ム基板上にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成する例の
場合、 5〜150rpm程度の回転速度が一般的に使用され
る。そして、単結晶薄膜形成直後にあっては、単結晶基
板を回転させることにより、単結晶基板から溶融体を早
期に除去するためである。溶融体が基板上、特に単結晶
薄膜成長面側に残留していると、薄膜の膜厚均一度が悪
くなり、さらには熱履歴の不均一を招くことから、結晶
性自体も悪化することがあり好ましくない。前記のタン
タル酸リチウム基板上にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を
形成した後の溶融体の振り切りの場合、300〜1500rpm程
度の高速回転が望ましい。
【0008】ここにおいて、従来の白金あるいは白金−
ロジウム合金からなる単結晶基板保持ホルダの支持アー
ムは、約1000℃程度の高温時に200rpm以上の高速回転を
させると、強度不足のため遠心力に耐えられず半径方向
に拡大し、単結晶基板が保持ホルダから外れて溶融体の
ルツボに落下してしまうことがあった。このため、溶融
体振り切り時における基板の回転速度を充分上げること
ができず、結果として基板上の溶融体振り切りが不十分
となり、単結晶薄膜の膜厚不均一等の不具合を招いてい
た。かかる溶融体の残留は、特に単結晶基板の周縁と支
持アームとの接触部分において顕著に起こる。従って、
保持ホルダの支持アームは単結晶基板との接触部分の面
積がなるべく小さくなるような形状であるのが望ましい
のであるが、従来の保持ホルダでは前記の強度の問題等
により、接触面積を小さくすることができなかった。
【0009】これらのことから、従来の保持ホルダでは
単結晶基板の周縁と支持アームとの接触部分の面積が大
きく、かかる接触部分にかなりの量の溶融体が振り切ら
れずに残留し、単結晶薄膜における欠陥の発生を招いて
いた。程度によっては肉眼で識別できる巨視的欠陥が発
生することすらあった。このため、基板上に形成される
単結晶薄膜の良品率が悪く、また、良品であってもその
面内歩留まりが低く、生産性を上げることができなかっ
た。特に、単結晶基板が3インチ以上の大径のものであ
る場合にかかる不具合が顕著であった。また、製造しよ
うとする単結晶薄膜の種類によっては、白金が溶融体中
に溶出することによる支持アームの劣化と、溶出した白
金が単結晶薄膜中に混入することによる薄膜の特性変化
が問題となることもあった。
【0010】この考案は、上述した問題点を解決するた
めになされたものであり、液相エピタキシャル成長によ
る単結晶薄膜形成時においても充分な高温強度と被溶出
性とを有する材質よりなる単結晶基板との接触面積の小
さい単結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ
を提供することにより、単結晶薄膜成長直後における基
板上への溶融体の残留を最小限とし、且つこれを高速回
転により早期に振り切り、もって形成される単結晶薄膜
の歩留まり及び特性を改善して生産性を向上することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
にこの考案は、単結晶基板を溶融体中に浸漬し、液相エ
ピタキシャル成長により、該基板上に単結晶薄膜を形成
する単結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ
において、前記単結晶基板の周縁を保持する複数本の支
持アームがホルダ基体より延設され、該各支持アームは
耐熱靭性組成物を含有する白金系材料により構成される
と共に、くの字状に屈曲された屈曲部を有し、かつ該各
支持アームの断面は三角形状であり、前記単結晶基板の
周縁に点接触するように構成されていることを要旨とす
るものである。
【0012】ここにおいて耐熱靱性組成物とは、例えば
酸化ジルコニウム(ZrO2 )のような、高融点であり
かつ高温時においても脆化しない材料をいう。酸化ジル
コニウム以外のこの種の材料としては、例えば、炭化シ
リコン(SiC)等が考えられる。そして白金系材料と
は、貴金属である白金(Pt)またはこれを主成分とす
る合金等をいう。かかる合金としては、白金−ロジウム
(Rh)合金等が考えられる。前記耐熱靱性組成物の含
有量としては、酸化ジルコニウムの場合、炭化シリコン
の場合とも、0.1〜2.0重量%の範囲内が望ましい。
【0013】白金系材料に耐熱靱性組成物を含有させ均
一に分散させることにより、通常の白金系材料より大幅
に強度を向上させた材料とすることができる。特に、通
常の白金系材料では強度を維持しにくい1000℃程度の高
温域においてその効果が顕著である。また、白金の溶融
体中への溶出をも防ぐことができる。これにより、白金
系材料が本来有する優れた耐食性、低反応性等の特質を
維持しつつ、保持ホルダの支持アームに適した材料を得
ることができる。
【0014】
【作用】上記の構成を有するこの考案によれば、単結晶
薄膜製造装置により単結晶基板上に液相エピタキシャル
成長法により単結晶を生成させるに際し、その単結晶基
板の周縁が単結晶基板保持ホルダのホルダ基体より延設
される複数本の支持アームにて保持されるが、そのとき
に該各支持アームは、耐熱靭性組成物を含有する白金系
材料により構成されているので、溶融体温度まで加熱さ
れても充分に強度が維持され、かつ溶融体と化学反応し
たり、溶出したりすることがない。また、各支持アーム
は、くの字状の屈曲部を有し、かつ断面が三角形状をな
しているために、これらの支持アームにより単結晶基板
の周縁部を保持した状態において、単結晶基板と支持ア
ームとは点接触した状態にあって、その接触面積が非常
に小さいので、形成される単結晶薄膜は、膜厚が不均一
になったり、膜特性が損なわれたりといったことは生じ
ない。そして単結晶基板の薄膜形成を終えた後この単結
晶基板保持ホルダを引き上げて単結晶薄膜形成基板を溶
融体から取り出し、高速回転させて単結晶基板状の残留
融溶物を振り払うが、このとき各支持アームが耐熱高靭
材料により充分な高温強度を有しているので、高速回転
しても支持アームが変形することはなく、することによ
り単結晶基板から残留溶融体を速やかにかつ融溶物を残
さず振り切ることができる。
【0015】
【実施例】以下、この考案を具体化した一実施例を図面
を参照して説明する。図1に本実施例に係る単結晶薄膜
製造装置における単結晶基板保持ホルダ1の側面図を示
す。図1の単結晶基板保持ホルダ1は、ホルダ基体3
と、ホルダ基体3から斜め下方にそれぞれ固定して延設
される複数の支持アーム2より構成される。各支持アー
ム2の下端付近には、くの字形に内方向へ屈曲された屈
曲部4が形成されており、更にその断面は三角形状をし
ている。各支持アーム2は、それぞれの屈曲部4に単結
晶基板5の周縁を保持して単結晶基板5を水平に載置す
るものである。従って各支持アーム2において屈曲部4
の折角部6は、同一水準の高さに形成されている。単結
晶基板5を保持している単結晶基板保持ホルダ1を斜め
上方から見た斜視図を図2に示す。
【0016】図1及び図2に示す単結晶基板保持ホルダ
1では、3本の支持アーム2により単結晶基板5の周縁
を保持するようになっているが、支持アーム2の本数は
3本に限らず単結晶基板5を確実に保持でき、かつ単結
晶基板5の出し入れに邪魔にならない本数であれば何本
でもよい。実際には3本ないし6本程度が好適である。
かかる単結晶基板保持ホルダ1の支持アーム2は、1重
量%の酸化ジルコニウムを含有する白金系材料により構
成されている。尚、耐熱靱性組成物として酸化ジルコニ
ウムでなく炭化シリコンを含有する材料を使用する場合
でも、炭化シリコンの含有量は1重量%でよい。
【0017】かかる単結晶基板保持ホルダ1の支持アー
ム2は、その断面積が0.01〜10mm程度であることが望
ましい。そして、断面形状は三角形にすることが必要で
あり、その陵辺が単結晶基板5の周縁に接する向きに配
置されるのが望ましい。図3に支持アーム2が三角形断
面である場合の好ましい方向を水平面内の断面図で示
す。各支持アーム2のそれぞれ一陵辺が単結晶基板5に
接触しているように見えるが、実際にはこの支持アーム
2はくの字状に屈曲形成された屈曲部4で単結晶基板5
を保持しているので、単結晶基板5に点接触している状
態にあるといえる。
【0018】単結晶基板保持ホルダ1の各支持アーム2
は、屈曲部4のみによって単結晶基板5を保持するよう
になっており、単結晶基板5を保持するための別個の部
材は何ら有していない。従って、前記のように支持アー
ム2の断面積が小さいことと相俟って、単結晶基板5と
各支持アーム2との接触はいずれも点接触もしくは線接
触で、その接触面積は非常に小さい。単結晶基板5と各
支持アーム2との接触面積を小さくする理由は、単結晶
薄膜製造後における単結晶基板5への溶融体の残留を少
なくするためであるが、詳細は後述する。また、単結晶
基板5と各支持アーム2とがなす角(図1中θ1、θ2
は、いずれも10゜以上80゜以下とされている(10゜≦θ
1≦80゜,10゜≦θ2≦80゜)。θ1、θ2をかかる範囲内
の角度とする理由は、単結晶基板5を確実に単結晶基板
保持ホルダ1に保持し、かつ、単結晶薄膜製造後におけ
る単結晶基板5上に残留した溶融体の振り切りを容易に
するためであるが、詳細は後述する。
【0019】次に、前記構成を有する本実施例に係る単
結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ1を使
用してLPE法により単結晶基板5上に結晶成長を行う
単結晶薄膜製造装置7について、図4を参照して簡単に
説明する。単結晶薄膜製造装置7では、中央に白金ルツ
ボ11が配置され、白金ルツボ11内には製造しようと
する単結晶薄膜の材料成分が熱溶融された溶融体8が入
っている。そして、溶融体8を加熱するための熱源であ
る抵抗加熱ヒータ12が、周囲に巻回されている。ま
た、熱電対13により白金ルツボ11の温度をモニタし
て抵抗加熱ヒータ12の通電を制御することにより、溶
融体8の温度を一定に維持できるようになっている。
【0020】かかる単結晶薄膜製造装置7において、単
結晶基板保持ホルダ1は回転軸シャフト14の下端に取
り付けられた状態で白金ルツボ11の上方に配置され、
回転軸シャフト14の基端にはこれを回転駆動させるモ
ータ(図示せず)が連繋されている。そしてこの回転軸
シャフト14は、図示しない駆動手段により上下方向
(矢印A)に移動可能とされると同時に前記モータの駆
動により回転駆動され、単結晶基板ホルダ1を垂直軸周
りに回転(矢印B)させることもできるようになってい
る。かくして、単結晶基板保持ホルダ1を上方に移動さ
せ単結晶薄膜製造装置7の外部へ出すことにより、単結
晶基板5の脱着をすることができ、一方、単結晶基板保
持ホルダ1を下方に移動させると、保持している単結晶
基板5を白金ルツボ11内の溶融体8に接触させること
ができる。
【0021】続いて、かかる単結晶薄膜製造装置7によ
り単結晶薄膜製造を行う場合の単結晶基板保持ホルダ1
の動作について説明する。以下、単結晶基板5としてタ
ンタル酸リチウム(LiTaO3 )単結晶基板を用い、
その(0001)面上にニオブ酸リチウム(LiNbO3
単結晶薄膜を製造する場合を例にとって説明する。
【0022】まず、単結晶基板5となるタンタル酸リチ
ウム単結晶基板の一面を光学研磨し、更に化学研磨して
歪のない平滑面を得る。かかる平滑面を、ニオブ酸リチ
ウム単結晶薄膜の結晶成長面とする。このとき使用する
タンタル酸リチウム単結晶基板の厚さとしては、0.5〜2
mm程度が好適である。そして、本実施例の単結晶基板保
持ホルダ1を上方に移動させ単結晶薄膜製造装置7の外
部へ引き出し、各支持アーム2の屈曲部4により単結晶
基板5の周縁を保持して単結晶基板5を水平に載置す
る。このとき研磨して得た平滑面が下側になるように載
置する。また、各支持アーム2と単結晶基板5とのなす
角(図1中θ1、θ2)が80゜以内となっているので、保
持されている単結晶基板5が不用意にぐらつくことがな
い。
【0023】一方、単結晶薄膜製造装置7の白金ルツボ
11内には、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜の原料(Li
2O、Nb25 を主成分とする。この他、格子整合等の
ために、 Na2O、MgO、B23、V23等を含有さ
せてもよい。)が空気雰囲気の下、抵抗加熱ヒータ12
のジュール熱により加熱溶融され、溶融体8として貯え
られている。溶融体8の温度は、熱電対13の検知温度
により抵抗加熱ヒータ12の通電を制御することにより
一定温度に制御され、約1000℃に維持されている。かか
る溶融体8は、LPE結晶成長に供する前によく攪拌
し、微小な結晶核が残留しないよう完全に融解しておく
のがよい。
【0024】そして、単結晶基板保持ホルダ1を下方に
移動して単結晶基板5を単結晶薄膜製造装置7内に導入
し、その結晶成長面を溶融体8に接触させると、ニオブ
酸リチウムの単結晶が単結晶基板5に対し格子整合状態
で結晶成長する。このとき、単結晶基板5に 5〜150rpm
程度の水平面内回転を与えておくのがよい。得られるニ
オブ酸リチウム単結晶薄膜の膜厚及び特性を均一のもの
とするためである。このとき、単結晶基板保持ホルダ1
の各支持アーム2は、耐熱靱性組成物を含有する白金系
材料により構成されているので、約1000℃の温度の空気
中でも充分な強度及び耐食性を有し、かつ、溶融体8と
無用な化学反応を起こすことがない。また、溶融体8中
に溶出してニオブ酸リチウム単結晶薄膜に混入すること
もない。形成されるニオブ酸リチウム単結晶薄膜の膜厚
は、溶融体8と単結晶基板5との接触時間に略比例し、
その成長速度は溶融体8の温度を微調整すること等によ
り調整できる。
【0025】必要とされる膜厚のニオブ酸リチウム単結
晶薄膜が得られたら、単結晶基板保持ホルダ1を上方に
移動させ、単結晶基板5を溶融体8から離間し、その位
置で単結晶基板保持ホルダ1の上昇を一旦停止する。そ
して直ちに、単結晶基板保持ホルダ1を介して単結晶基
板5に300〜1500rpm程度の高速回転を与え、単結晶基板
5に付着している溶融体8を振り切る。単結晶基板5の
特にニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成した面に溶融体
8が残留すると、単結晶薄膜の膜厚不均一や、熱履歴不
均一からくる特性不均一を招くからである。このとき、
単結晶基板保持ホルダ1の各支持アーム2は、耐熱靱性
組成物を含有する白金系材料により構成されているの
で、約1000℃の温度でも充分な強度を有し、かかる高速
回転中も遠心力により半径方向に広がることがなく、従
って単結晶基板5が単結晶基板保持ホルダ1から外れて
白金ルツボ11内に落下することがない。
【0026】また、各支持アーム2はその断面積が0.01
〜10mm2 程度の細棒状部材により構成され、単結晶基板
5と各支持アーム2との接触が点もしくは線接触となっ
ていることから、単結晶基板5への溶融体8の残留(付
着)は、そもそも非常に少ない。そして、単結晶基板5
と各支持アーム2またはその屈曲部4とがなす角はいず
れも10゜以上の大きさの角度とされているため、高速回
転を与えることにより溶融体8は早期に振り切られる。
従って、形成されたニオブ酸リチウム単結晶薄膜には、
膜厚や特性の不均一は生じない。かかる高速回転は、1
0分程度行えば充分である。
【0027】この後、単結晶基板保持ホルダ1を更に上
方に移動させ、単結晶薄膜製造装置7の外部へ出す。こ
のときの上方への移動はゆっくりと行わなければならな
い。溶融体8の振り切り後ただちに単結晶薄膜製造装置
7の外部へ出すと、単結晶基板5が室温まで急冷される
ことになるからである。単結晶基板5が室温まで冷却さ
れる間にタンタル酸リチウムのキュリー温度である約 6
50℃を通過するので、冷却速度が速いとキュリー点で相
転移が起こるときに、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜に微
小クラックが入り品質が低下することとなる。これを防
ぐため、溶融体8の振り切り後における単結晶基板保持
ホルダ1の上昇速度は、単結晶薄膜製造装置7内の温度
分布を勘案して、単結晶基板5が急冷されることがない
ように定めなければならない。
【0028】かくして、単結晶基板保持ホルダ1を最終
的に単結晶薄膜製造装置7の外部へ出すと、単結晶基板
5を単結晶基板保持ホルダ1から外して回収することが
できる。かかる単結晶基板5の片面(結晶成長面)に
は、基板5のタンタル酸リチウム単結晶に対して格子整
合されたニオブ酸リチウム単結晶薄膜が形成されてい
る。このニオブ酸リチウム単結晶薄膜は、良品率がよ
く、かつ、膜厚、光学特性を始めとする諸特性の面内均
一性が良好である。かかるニオブ酸リチウム単結晶薄膜
に適宜パターニング加工等を施すことにより、特性のよ
い各種の導波路型電気光学デバイスを作製することがで
きる。
【0029】以上詳細に説明したように、本実施例に係
る単結晶基板保持ホルダ1によれば、単結晶基板5を溶
融体8中に浸漬し、LPE法によりその基板5上に単結
晶薄膜を形成する単結晶薄膜製造装置7において、単結
晶基板5の周縁を保持する複数本の支持アーム2がホル
ダ基体3より延設され、各支持アーム2は耐熱靭性組成
物を含有する白金系材料により構成されると共に、くの
字状に屈曲された屈曲部を有し、かつ三角形状断面であ
り、単結晶基板5の周縁に点接触する形状をなしている
こととしたので、膜厚等の諸特性の均一性がよい単結晶
薄膜を良品率よく製造することができる。
【0030】尚、前記実施例はこの考案を限定するもの
ではなく、この考案の要旨を逸脱しない範囲内において
種々の変形、改良が可能であることは勿論である。例え
ば、前記実施例ではタンタル酸リチウム単結晶基板上に
ニオブ酸リチウム単結晶薄膜を形成するものとして説明
したが、単結晶基板と単結晶薄膜との組合せはこれに限
られることはなく、他の基板あるいは他の薄膜であって
もこの考案を適用できることはいうまでもない。
【0031】
【考案の効果】以上説明したことから明かなように、こ
の考案の単結晶基板保持ホルダによれば、液相エピタキ
シャル成長による単結晶薄膜形成時において充分な高温
強度性を備え、かつ非溶出性を有し、しかも単結晶基板
との接触面積を小さくすることができることから、単結
晶薄膜成長直後における基板上への溶融体の残留を最小
限とし、且つこれを高速回転により早期に振り切り、も
って形成される単結晶薄膜の歩留まりを改善して生産性
を向上することができるものであり、光学デバイス類の
技術分野の発展に大いに寄与できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例に係る単結晶基板保持ホル
ダの外観構成を示す側面図である。
【図2】図1に示した単結晶基板保持ホルダの構成を示
す斜視図である。
【図3】この考案に係る単結晶基板保持ホルダにおける
支持アームの断面形状の一例を示す図である。
【図4】この考案が適用される単結晶薄膜製造装置の概
略構成を示す図である。
【符号の説明】
1 単結晶基板保持ホルダ 2 支持アーム 3 ホルダ基体 5 単結晶基板 7 単結晶薄膜製造装置 8 溶融体

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶基板を溶融体中に浸漬し、液相エ
    ピタキシャル成長により、該基板上に単結晶薄膜を形成
    する単結晶薄膜製造装置における単結晶基板保持ホルダ
    において、 前記単結晶基板の周縁を保持する複数本の支持アームが
    ホルダ基体より延設され、該各支持アームは耐熱靭性組
    成物を含有する白金系材料により構成されると共に、く
    の字状に屈曲された屈曲部を有し、かつ該各支持アーム
    の断面は三角形状であり、 前記単結晶基板の周縁に
    接触するように構成されていることを特徴とする単結晶
    基板保持ホルダ。
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