JPH10338593A - 引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボ - Google Patents
引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボInfo
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- JPH10338593A JPH10338593A JP16059697A JP16059697A JPH10338593A JP H10338593 A JPH10338593 A JP H10338593A JP 16059697 A JP16059697 A JP 16059697A JP 16059697 A JP16059697 A JP 16059697A JP H10338593 A JPH10338593 A JP H10338593A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 寿命が長く、変形し難い構造にすることで、
安定した品質の単結晶を安価に育成できるようにする。 【解決手段】 引き上げ法によって単結晶を育成する場
合に、溶融原料を収容するのに用いる貴金属ルツボであ
る。この貴金属ルツボ３０は、有底円筒状の貴金属ルツ
ボ本体の外周部に、該ルツボ本体と同材質の貴金属に酸
化物を添加した材料からなる強化貴金属板を密着させて
補強した構造である。例えば純白金ルツボ本体３２の外
周に、純白金に１重量％以下のジルコニウム酸化物又は
イットリウム酸化物が添加されている帯状の強化白金板
３４を密着させて補強する構造が好適である。
安定した品質の単結晶を安価に育成できるようにする。 【解決手段】 引き上げ法によって単結晶を育成する場
合に、溶融原料を収容するのに用いる貴金属ルツボであ
る。この貴金属ルツボ３０は、有底円筒状の貴金属ルツ
ボ本体の外周部に、該ルツボ本体と同材質の貴金属に酸
化物を添加した材料からなる強化貴金属板を密着させて
補強した構造である。例えば純白金ルツボ本体３２の外
周に、純白金に１重量％以下のジルコニウム酸化物又は
イットリウム酸化物が添加されている帯状の強化白金板
３４を密着させて補強する構造が好適である。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、引き上げ法により
単結晶を育成する場合に用いる貴金属ルツボに関し、更
に詳しく述べると、貴金属ルツボ本体の外周部を強化貴
金属板で補強することにより、貴金属ルツボの変形を抑
制し、製品の歩留り向上を図ることができる引き上げ法
による単結晶育成用の貴金属ルツボに関するものであ
る。この貴金属ルツボは、特にニオブ酸リチウム単結晶
の育成に有用である。
単結晶を育成する場合に用いる貴金属ルツボに関し、更
に詳しく述べると、貴金属ルツボ本体の外周部を強化貴
金属板で補強することにより、貴金属ルツボの変形を抑
制し、製品の歩留り向上を図ることができる引き上げ法
による単結晶育成用の貴金属ルツボに関するものであ
る。この貴金属ルツボは、特にニオブ酸リチウム単結晶
の育成に有用である。
【０００２】
【従来の技術】単結晶を育成する方法の一つに引き上げ
法がある。その育成装置の一例を図４に示す。この方法
では、貴金属ルツボ（通常、白金あるいは白金系合金
製）１０が用いられ、その中に単結晶の原料が入れられ
る。貴金属ルツボ１０の外側は、外部補強及び保温のた
めの耐火物ルツボ（例えばアルミナセラミックス製）１
２で取り囲まれ、両者の間はバブルアルミナ（細かな粒
子を「バブル」と称している）やバブルジルコニアなど
の充填材１４で満たされている。ここでバブルアルミナ
などの充填材１４は、保温と貴金属ルツボ１０の保持の
機能を果たす。耐火物ルツボ１２の外側に設けた高周波
コイル１６によって貴金属ルツボ１０を高周波加熱する
と、内部の原料が溶融する。温度調整された溶融原料１
８に、上方から種結晶２０を接触させて、これを回転さ
せながら引き上げることにより、単結晶２２を育成する
ことができる。なお符号２４は、温度測定用の熱電対
（図示せず）を挿入するためのパイプである。
法がある。その育成装置の一例を図４に示す。この方法
では、貴金属ルツボ（通常、白金あるいは白金系合金
製）１０が用いられ、その中に単結晶の原料が入れられ
る。貴金属ルツボ１０の外側は、外部補強及び保温のた
めの耐火物ルツボ（例えばアルミナセラミックス製）１
２で取り囲まれ、両者の間はバブルアルミナ（細かな粒
子を「バブル」と称している）やバブルジルコニアなど
の充填材１４で満たされている。ここでバブルアルミナ
などの充填材１４は、保温と貴金属ルツボ１０の保持の
機能を果たす。耐火物ルツボ１２の外側に設けた高周波
コイル１６によって貴金属ルツボ１０を高周波加熱する
と、内部の原料が溶融する。温度調整された溶融原料１
８に、上方から種結晶２０を接触させて、これを回転さ
せながら引き上げることにより、単結晶２２を育成する
ことができる。なお符号２４は、温度測定用の熱電対
（図示せず）を挿入するためのパイプである。
【０００３】光学部品などに用いられるニオブ酸リチウ
ム単結晶は、このような引き上げ法で育成しているが、
結晶育成温度が高く、不純物を嫌うために、ルツボ材と
しては専ら純白金が用いられている。
ム単結晶は、このような引き上げ法で育成しているが、
結晶育成温度が高く、不純物を嫌うために、ルツボ材と
しては専ら純白金が用いられている。
【０００４】上記のようにして１回の単結晶の引き上げ
（育成）を行った後は、温度を下げて単結晶の原料を貴
金属ルツボ内に補充し、温度を上げて原料を溶融し、次
の単結晶の育成を行う。一般には、貴金属ルツボ内に原
料を補充するのみで、貴金属ルツボを毎回交換すること
なく、前記のような育成サイクルを繰り返すことによっ
て単結晶を製造している。
（育成）を行った後は、温度を下げて単結晶の原料を貴
金属ルツボ内に補充し、温度を上げて原料を溶融し、次
の単結晶の育成を行う。一般には、貴金属ルツボ内に原
料を補充するのみで、貴金属ルツボを毎回交換すること
なく、前記のような育成サイクルを繰り返すことによっ
て単結晶を製造している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】しかし多数回にわたっ
て育成サイクルを繰り返して単結晶を製造すると、貴金
属ルツボの変形が甚だしくなり、次のような問題が生じ
る。育成した単結晶に捩じれ、クラック、転位などの
結晶欠陥が発生し易くなる。所望の均一な外径の単結
晶が育成できない。外側の耐火ルツボが割れて単結晶
育成に支障を来すことが多い。これらの結果、製品（単
結晶）の歩留りが悪化する。
て育成サイクルを繰り返して単結晶を製造すると、貴金
属ルツボの変形が甚だしくなり、次のような問題が生じ
る。育成した単結晶に捩じれ、クラック、転位などの
結晶欠陥が発生し易くなる。所望の均一な外径の単結
晶が育成できない。外側の耐火ルツボが割れて単結晶
育成に支障を来すことが多い。これらの結果、製品（単
結晶）の歩留りが悪化する。
【０００６】これらの問題を解決する一方策として、貴
金属ルツボを頻繁に交換することが考えられる。しか
し、この方法を採用すれば、製品の歩留りは向上するも
のの、製造コストが増大する問題が生じる。
金属ルツボを頻繁に交換することが考えられる。しか
し、この方法を採用すれば、製品の歩留りは向上するも
のの、製造コストが増大する問題が生じる。
【０００７】本発明の目的は、寿命が長く、変形し難い
構造にすることで、安定した品質の単結晶を安価に育成
できるような、引き上げ法で用いる単結晶育成用の貴金
属ルツボを提供することである。
構造にすることで、安定した品質の単結晶を安価に育成
できるような、引き上げ法で用いる単結晶育成用の貴金
属ルツボを提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は、引き上げ法に
よって単結晶を育成する場合に、溶融原料を収容するの
に用いる貴金属ルツボである。ここで本発明の特徴は、
有底円筒状の貴金属ルツボ本体の外周部に、該ルツボ本
体と同材質の貴金属に酸化物を添加した材料からなる強
化貴金属板を密着させて補強した点にある。貴金属ルツ
ボ本体は、例えば純白金製である。また強化貴金属板と
しては、純白金に１重量％以下のジルコニウム酸化物又
はイットリウム酸化物が添加されている材料が好適であ
る。
よって単結晶を育成する場合に、溶融原料を収容するの
に用いる貴金属ルツボである。ここで本発明の特徴は、
有底円筒状の貴金属ルツボ本体の外周部に、該ルツボ本
体と同材質の貴金属に酸化物を添加した材料からなる強
化貴金属板を密着させて補強した点にある。貴金属ルツ
ボ本体は、例えば純白金製である。また強化貴金属板と
しては、純白金に１重量％以下のジルコニウム酸化物又
はイットリウム酸化物が添加されている材料が好適であ
る。
【０００９】純白金ルツボを使用して単結晶の引き上げ
を繰り返す場合に、製品の歩留りが低下する理由は、ル
ツボの変形が進行して、それが限度を超えると結晶育成
に悪影響を及ぼすためと考えられる。多数回にわたる単
結晶の引き上げ実験を繰り返した結果によれば、ルツボ
の変形度を次式で定義した時、 変形度＝（変形後の最大外径−初期外径）／初期外径×
１００（％） 変形度が１％を超えると欠陥が生じ易くなり、２％を超
えると製品の歩留りが急激に悪化することが分かった。
純白金ルツボの変形の原因は、純白金ルツボが高温で軟
化し易いこと、ルツボ内の原料が１回の引き上げ毎に融
解・凝固を繰り返し、固体・液体の密度差によって溶融
・凝固の際にルツボが強い圧力を受けることである。そ
の変形は、単に外径が大きくなる（広がる）だけではな
く、真円からずれて歪むような変形も起こり、高さ方向
でも外径が異なるような変形が生じる。
を繰り返す場合に、製品の歩留りが低下する理由は、ル
ツボの変形が進行して、それが限度を超えると結晶育成
に悪影響を及ぼすためと考えられる。多数回にわたる単
結晶の引き上げ実験を繰り返した結果によれば、ルツボ
の変形度を次式で定義した時、 変形度＝（変形後の最大外径−初期外径）／初期外径×
１００（％） 変形度が１％を超えると欠陥が生じ易くなり、２％を超
えると製品の歩留りが急激に悪化することが分かった。
純白金ルツボの変形の原因は、純白金ルツボが高温で軟
化し易いこと、ルツボ内の原料が１回の引き上げ毎に融
解・凝固を繰り返し、固体・液体の密度差によって溶融
・凝固の際にルツボが強い圧力を受けることである。そ
の変形は、単に外径が大きくなる（広がる）だけではな
く、真円からずれて歪むような変形も起こり、高さ方向
でも外径が異なるような変形が生じる。
【００１０】変形した白金ルツボを使用した場合に製品
の歩留りが悪化する理由は、熱対称性がくずれるために
育成した単結晶に捩じれ、クラック、転位などの結晶欠
陥が発生し易くなるし、自動直径制御プログラムを使用
して結晶育成を行っているため、初期設定したルツボ径
と実際の（変形している）ルツボの径が異なったり複雑
な形状（真円からずれたり、高さ方向で外径が異なるよ
うな複雑な形状）となるために結晶成長速度が設定値と
異なってくることによる。また耐火物ルツボが割れる理
由も、白金ルツボの変形の応力を受けるためである。
の歩留りが悪化する理由は、熱対称性がくずれるために
育成した単結晶に捩じれ、クラック、転位などの結晶欠
陥が発生し易くなるし、自動直径制御プログラムを使用
して結晶育成を行っているため、初期設定したルツボ径
と実際の（変形している）ルツボの径が異なったり複雑
な形状（真円からずれたり、高さ方向で外径が異なるよ
うな複雑な形状）となるために結晶成長速度が設定値と
異なってくることによる。また耐火物ルツボが割れる理
由も、白金ルツボの変形の応力を受けるためである。
【００１１】ところで、白金あるいは白金系合金に、粒
径数μｍ以下のジルコニウム酸化物（ＺｒＯ2 ）あるい
はイットリウム酸化物（Ｙ2 Ｏ3 ）を均一に分散させた
材料が「強化白金」として市販されている。この材料は
白金粒子が成長し難いという特徴を有しており、そのた
め高温での粒成長による強度低下が純白金材に比べて格
段に小さい。そこで、貴金属ルツボを強化白金製とする
ことが考えられる。しかし、光学部品として使用するニ
オブ酸リチウム単結晶の育成に強化白金製ルツボを用い
ると、その表面に存在している酸化物粒子（ＺｒＯ2 や
Ｙ2 Ｏ3 ）が融液中に溶け出し、育成単結晶中に取り込
まれ結晶着色などの欠陥が生じる。
径数μｍ以下のジルコニウム酸化物（ＺｒＯ2 ）あるい
はイットリウム酸化物（Ｙ2 Ｏ3 ）を均一に分散させた
材料が「強化白金」として市販されている。この材料は
白金粒子が成長し難いという特徴を有しており、そのた
め高温での粒成長による強度低下が純白金材に比べて格
段に小さい。そこで、貴金属ルツボを強化白金製とする
ことが考えられる。しかし、光学部品として使用するニ
オブ酸リチウム単結晶の育成に強化白金製ルツボを用い
ると、その表面に存在している酸化物粒子（ＺｒＯ2 や
Ｙ2 Ｏ3 ）が融液中に溶け出し、育成単結晶中に取り込
まれ結晶着色などの欠陥が生じる。
【００１２】本発明は、このようなルツボ変形防止と不
純物混入防止の両方の問題を同時に解決するために、前
記のような２重構造を案出したものである。これによっ
て、再現性よく単結晶を育成することができ、ルツボ交
換までの結晶育成サイクル数を従来の純白金ルツボに比
べて多くでき、その結果、製造コストを低減することが
できるのである。なお、本発明においてジルコニウム酸
化物あるいはイットリウム酸化物の添加量を１重量％以
下としているのは、それを超えると加工性が劣化するた
めである。
純物混入防止の両方の問題を同時に解決するために、前
記のような２重構造を案出したものである。これによっ
て、再現性よく単結晶を育成することができ、ルツボ交
換までの結晶育成サイクル数を従来の純白金ルツボに比
べて多くでき、その結果、製造コストを低減することが
できるのである。なお、本発明においてジルコニウム酸
化物あるいはイットリウム酸化物の添加量を１重量％以
下としているのは、それを超えると加工性が劣化するた
めである。
【００１３】
【発明の実施の形態】本発明に係る貴金属ルツボの一実
施例を図１に示す。Ａは縦断面図であり、Ｂは横断面図
である。この貴金属ルツボ３０は、引き上げ法によって
単結晶を育成する場合に、溶融原料を収容するのに用い
るものである。有底円筒状の純白金ルツボ本体３２の外
周部に、帯状の強化白金板（ジルコニウム酸化物又はイ
ットリウム酸化物を含有する白金）３４を複数枚（ここ
では５枚）、前記ルツボ本体に密着するように熱圧着法
などで貼り付け補強した構造である。図２は他の実施例
を示しており、有底円筒状の純白金ルツボ本体３２の外
周面全面に１枚の広幅の強化白金板３６を密着させて補
強した構成である。強化白金板の枚数や厚みなどは、ル
ツボ本体の径や高さなどに応じて適宜変更してよい。な
お、ルツボ本体は純白金製のみならず、白金系合金製で
もよい。白金系合金とは、白金と他の白金族元素（ロジ
ウムなど）との合金をいい、育成する単結晶の組成や育
成温度などに応じて、適宜選択できる。
施例を図１に示す。Ａは縦断面図であり、Ｂは横断面図
である。この貴金属ルツボ３０は、引き上げ法によって
単結晶を育成する場合に、溶融原料を収容するのに用い
るものである。有底円筒状の純白金ルツボ本体３２の外
周部に、帯状の強化白金板（ジルコニウム酸化物又はイ
ットリウム酸化物を含有する白金）３４を複数枚（ここ
では５枚）、前記ルツボ本体に密着するように熱圧着法
などで貼り付け補強した構造である。図２は他の実施例
を示しており、有底円筒状の純白金ルツボ本体３２の外
周面全面に１枚の広幅の強化白金板３６を密着させて補
強した構成である。強化白金板の枚数や厚みなどは、ル
ツボ本体の径や高さなどに応じて適宜変更してよい。な
お、ルツボ本体は純白金製のみならず、白金系合金製で
もよい。白金系合金とは、白金と他の白金族元素（ロジ
ウムなど）との合金をいい、育成する単結晶の組成や育
成温度などに応じて、適宜選択できる。
【００１４】ルツボ本体に充填する原料の量（融液の
量）が少ない場合には、必ずしもルツボ本体の全高にわ
たって強化白金板を取り付ける必要はなく、例えばルツ
ボ本体の下半分を覆うような構成でも効果は十分ある。
また、図３に示すように、ルツボ本体３２の外周面に強
化貴金属板３６を設けると共に、底面にも強化貴金属板
３８を熱圧着すると、ルツボ本体底部の変形を防止する
ことも可能となる。強化白金は強度が大きいので、ルツ
ボ本体の肉厚に比べて薄くてよい。
量）が少ない場合には、必ずしもルツボ本体の全高にわ
たって強化白金板を取り付ける必要はなく、例えばルツ
ボ本体の下半分を覆うような構成でも効果は十分ある。
また、図３に示すように、ルツボ本体３２の外周面に強
化貴金属板３６を設けると共に、底面にも強化貴金属板
３８を熱圧着すると、ルツボ本体底部の変形を防止する
ことも可能となる。強化白金は強度が大きいので、ルツ
ボ本体の肉厚に比べて薄くてよい。
【００１５】また本発明は、上記のような貴金属ルツボ
内にＬｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 を収容し、引き上げ法に
よりニオブ酸リチウム単結晶を育成する方法である。本
発明は、タンタル酸リチウム（ＬｉＴａＯ3 ）などの他
の酸化物単結晶の育成にも利用できる。
内にＬｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 を収容し、引き上げ法に
よりニオブ酸リチウム単結晶を育成する方法である。本
発明は、タンタル酸リチウム（ＬｉＴａＯ3 ）などの他
の酸化物単結晶の育成にも利用できる。
【００１６】
【実施例】以下、本発明の実施例と比較例（従来技術）
について説明する。
について説明する。
【００１７】＜実施例１＞直径１５０mm、高さ１５０m
m、肉厚１．５mmの純白金ルツボ本体の外周部を、幅３
０mm、厚さ０．５mmの帯状の白金強化板（ジルコニウム
酸化物含有白金材）５枚を用いて、図１に示すように補
強し、白金ルツボを作製した。この白金ルツボを用いて
図４に示すような単結晶育成装置を組み上げた。純白金
ルツボ本体内に、Ｌｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定量の
混合物を仕込み、高周波誘導加熱によって１２００℃以
上に加熱溶融して、融液を得た。続いて、この融液を１
２５０℃に保ち、種付けを行い、結晶回転数５rpm 、引
き上げ速度３mm／時で、直径７５mmφ、長さ１００mmの
単結晶を育成した。結晶育成終了後、冷却し、引き上げ
た単結晶と同量の原料を補充し、上記の結晶育成を繰り
返した。１５回育成サイクルを繰り返しても白金ルツボ
の変形は小さく、単結晶にはクラックや捩じれなどの欠
陥は生じなかった。
m、肉厚１．５mmの純白金ルツボ本体の外周部を、幅３
０mm、厚さ０．５mmの帯状の白金強化板（ジルコニウム
酸化物含有白金材）５枚を用いて、図１に示すように補
強し、白金ルツボを作製した。この白金ルツボを用いて
図４に示すような単結晶育成装置を組み上げた。純白金
ルツボ本体内に、Ｌｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定量の
混合物を仕込み、高周波誘導加熱によって１２００℃以
上に加熱溶融して、融液を得た。続いて、この融液を１
２５０℃に保ち、種付けを行い、結晶回転数５rpm 、引
き上げ速度３mm／時で、直径７５mmφ、長さ１００mmの
単結晶を育成した。結晶育成終了後、冷却し、引き上げ
た単結晶と同量の原料を補充し、上記の結晶育成を繰り
返した。１５回育成サイクルを繰り返しても白金ルツボ
の変形は小さく、単結晶にはクラックや捩じれなどの欠
陥は生じなかった。
【００１８】＜実施例２＞直径１５０mm、高さ１５０m
m、肉厚１．５mmの純白金ルツボ本体の外周部を、幅１
５０mm、厚さ０．５mmの１枚の帯状の白金強化板（イッ
トリウム酸化物含有白金材）を用いて、図２に示すよう
に補強し、白金ルツボを作製した。この白金ルツボを用
いて図４に示すような単結晶育成装置を組み上げた。純
白金ルツボ本体内に、Ｌｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定
量の混合物を仕込み、高周波誘導加熱によって１２００
℃以上に加熱溶融して、融液を得た。続いて、この融液
を１２５０℃に保ち、種付けを行い、結晶回転数５rpm
、引き上げ速度３mm／時で、直径７５mmφ、長さ１０
０mmの単結晶を育成した。結晶育成終了後、冷却し、引
き上げた単結晶と同量の原料を補充し、上記の結晶育成
を繰り返した。１５回育成サイクルを繰り返しても白金
ルツボの変形は小さく、単結晶にはクラックや捩じれな
どの欠陥は生じなかった。
m、肉厚１．５mmの純白金ルツボ本体の外周部を、幅１
５０mm、厚さ０．５mmの１枚の帯状の白金強化板（イッ
トリウム酸化物含有白金材）を用いて、図２に示すよう
に補強し、白金ルツボを作製した。この白金ルツボを用
いて図４に示すような単結晶育成装置を組み上げた。純
白金ルツボ本体内に、Ｌｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定
量の混合物を仕込み、高周波誘導加熱によって１２００
℃以上に加熱溶融して、融液を得た。続いて、この融液
を１２５０℃に保ち、種付けを行い、結晶回転数５rpm
、引き上げ速度３mm／時で、直径７５mmφ、長さ１０
０mmの単結晶を育成した。結晶育成終了後、冷却し、引
き上げた単結晶と同量の原料を補充し、上記の結晶育成
を繰り返した。１５回育成サイクルを繰り返しても白金
ルツボの変形は小さく、単結晶にはクラックや捩じれな
どの欠陥は生じなかった。
【００１９】＜比較例＞直径１５０mm、高さ１５０mm、
肉厚２．５mmの純白金ルツボを用いて、図４に示すよう
な単結晶育成装置を組み上げた。純白金ルツボ内に、Ｌ
ｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定量の混合物を仕込み、高
周波誘導加熱によって１２００℃以上に加熱溶融して、
融液を得た。続いて、この融液を１２５０℃に保ち、種
付けを行い、結晶回転数５rpm 、引き上げ速度３mm／時
で、直径５０mmφ、長さ１００mmの単結晶を育成した。
結晶育成終了後、冷却し、引き上げた単結晶と同量の原
料を補充し、上記の結晶育成を繰り返した。２回目育成
時からルツボの変形が目立ち、５回目育成時には変形が
顕著となって、育成した単結晶にはクラックや捩じれな
どの欠陥が生じた。
肉厚２．５mmの純白金ルツボを用いて、図４に示すよう
な単結晶育成装置を組み上げた。純白金ルツボ内に、Ｌ
ｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2 Ｏ5 の所定量の混合物を仕込み、高
周波誘導加熱によって１２００℃以上に加熱溶融して、
融液を得た。続いて、この融液を１２５０℃に保ち、種
付けを行い、結晶回転数５rpm 、引き上げ速度３mm／時
で、直径５０mmφ、長さ１００mmの単結晶を育成した。
結晶育成終了後、冷却し、引き上げた単結晶と同量の原
料を補充し、上記の結晶育成を繰り返した。２回目育成
時からルツボの変形が目立ち、５回目育成時には変形が
顕著となって、育成した単結晶にはクラックや捩じれな
どの欠陥が生じた。
【００２０】表１に両実施例と比較例における白金ルツ
ボの変形度の評価結果を示す。変形度の定義は前記の式
によっている。この表１から、本発明の白金ルツボでは
１５回におよぶ育成後も変形度は１．０％であったのに
対して、従来の純白金ルツボでは４回の育成で２％を超
え、１５回終了の時点では６．１％にも達した。実験の
結果によれば、変形度が１％以内ならば結晶育成へのル
ツボ変形の影響は無く、２％を超えると欠陥が急増する
ことが判明しており、本発明品では何の問題もなく１５
回程度の育成を繰り返し行うことができるが、従来品で
はせいぜい４〜５回程度である。
ボの変形度の評価結果を示す。変形度の定義は前記の式
によっている。この表１から、本発明の白金ルツボでは
１５回におよぶ育成後も変形度は１．０％であったのに
対して、従来の純白金ルツボでは４回の育成で２％を超
え、１５回終了の時点では６．１％にも達した。実験の
結果によれば、変形度が１％以内ならば結晶育成へのル
ツボ変形の影響は無く、２％を超えると欠陥が急増する
ことが判明しており、本発明品では何の問題もなく１５
回程度の育成を繰り返し行うことができるが、従来品で
はせいぜい４〜５回程度である。
【００２１】
【表１】
【００２２】
【発明の効果】本発明は上記のように、貴金属ルツボ本
体の外周部に強化貴金属板を密着させて補強した単結晶
引き上げ育成用の貴金属ルツボであるから、ルツボの変
形を低減することができ、ルツボの耐用回数が伸び、結
晶欠陥の発生を防止できる。この結果、ルツボの交換回
数が減り、製品の歩留りが向上し、製品のコストダウン
が可能となる。
体の外周部に強化貴金属板を密着させて補強した単結晶
引き上げ育成用の貴金属ルツボであるから、ルツボの変
形を低減することができ、ルツボの耐用回数が伸び、結
晶欠陥の発生を防止できる。この結果、ルツボの交換回
数が減り、製品の歩留りが向上し、製品のコストダウン
が可能となる。
【図１】本発明に係る貴金属ルツボの一実施例を示す説
明図。
明図。
【図２】本発明に係る貴金属ルツボの他の実施例を示す
縦断面図。
縦断面図。
【図３】本発明に係る貴金属ルツボの更に他の実施例を
示す縦断面図。
示す縦断面図。
【図４】引き上げ法による単結晶の育成装置の一例を示
す説明図。
す説明図。
３０ 貴金属ルツボ ３２ 純白金ルツボ本体 ３４ 帯状の強化白金板
Claims (4)
- 【請求項１】 引き上げ法によって単結晶を育成する場
合に、溶融原料を収容するのに用いる貴金属ルツボにお
いて、 有底円筒状の貴金属ルツボ本体の外周部に、該ルツボ本
体と同材質の貴金属に酸化物を添加した材料からなる強
化貴金属板を密着させて補強したことを特徴とする引き
上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボ。 - 【請求項２】 貴金属ルツボ本体が純白金製である請求
項１記載の引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツ
ボ。 - 【請求項３】 強化貴金属板として、純白金に１重量％
以下のジルコニウム酸化物又はイットリウム酸化物が添
加されている材料を用いる請求項２記載の引き上げ法に
よる単結晶育成用の貴金属ルツボ。 - 【請求項４】 貴金属ルツボ内にＬｉ2 ＣＯ3 とＮｂ2
Ｏ5 を収容し、引き上げ法によりニオブ酸リチウム単結
晶を育成する方法において、 請求項１乃至３記載の貴金属ルツボを使用し、ＬｉＮｂ
Ｏ3 を育成することを特徴とするニオブ酸リチウム単結
晶の育成方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16059697A JPH10338593A (ja) | 1997-06-03 | 1997-06-03 | 引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP16059697A JPH10338593A (ja) | 1997-06-03 | 1997-06-03 | 引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10338593A true JPH10338593A (ja) | 1998-12-22 |
Family
ID=15718376
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP16059697A Pending JPH10338593A (ja) | 1997-06-03 | 1997-06-03 | 引き上げ法による単結晶育成用の貴金属ルツボ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10338593A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN1329559C (zh) * | 2004-08-10 | 2007-08-01 | 山东大学 | 一种用于近化学计量比铌酸锂晶体生长的悬挂坩埚及生长方法 |
| JP2012250874A (ja) * | 2011-06-02 | 2012-12-20 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | イリジウムルツボ及びそれを用いたタンタル酸リチウム単結晶の製造方法 |
| JP2019112240A (ja) * | 2017-12-21 | 2019-07-11 | 住友金属鉱山株式会社 | 単結晶育成用ルツボ |
| JP2021134117A (ja) * | 2020-02-27 | 2021-09-13 | 不二越機械工業株式会社 | 金属酸化物単結晶育成用るつぼ |
-
1997
- 1997-06-03 JP JP16059697A patent/JPH10338593A/ja active Pending
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN1329559C (zh) * | 2004-08-10 | 2007-08-01 | 山东大学 | 一种用于近化学计量比铌酸锂晶体生长的悬挂坩埚及生长方法 |
| JP2012250874A (ja) * | 2011-06-02 | 2012-12-20 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | イリジウムルツボ及びそれを用いたタンタル酸リチウム単結晶の製造方法 |
| JP2019112240A (ja) * | 2017-12-21 | 2019-07-11 | 住友金属鉱山株式会社 | 単結晶育成用ルツボ |
| JP2021134117A (ja) * | 2020-02-27 | 2021-09-13 | 不二越機械工業株式会社 | 金属酸化物単結晶育成用るつぼ |
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