JP2814325B2 - ルチル単結晶の育成方法 - Google Patents

ルチル単結晶の育成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、EFG(Edge-defined
Film-fed Growth)法による酸化物単結晶育成方法、特
に、ルチル単結晶の育成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ルチル単結晶は偏光子用材料として知ら
れており、現在FZ(Floating Zone)法(例えば特公
昭61-101495 号)や、ベルヌーイ法等にて製造されてい
る。これらの方法による育成結晶の形状は、直径が約10
〜25mmで、その成長方向はC軸である。この場合の偏光
子形状は様々で、殆どの場合、C軸方位に育成された結
晶をC軸以外の方向に板状に切断し、その板状単結晶を
さらに加工し偏光子は作成されている。
【0003】一方、EFG法はサファイア,β−アルミ
ナをはじめいくつかの化合物をリボン,丸棒,円筒状
等、型(die )どおりの形状に引き上げることが可能な
結晶成長法として知られている(特公昭48-27593号)。
この原理を図1によって説明すると、ルツボ1の内部に
融液2を充填し、この中にスリットダイ3を装着したも
のである。したがって融液2はスリットダイ3に設けた
スリット(細孔の場合もある)4を通して毛細管現象に
て融液裏面を型上面にまで上昇させ、型上面に現れた融
液に種結晶5を装着して一定の速度で引き上げながら冷
却することにより、型どおりの形状の結晶を得るもので
ある。なお、6は育成結晶である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ルチル偏光子の作成で
は、実際に使用される面及び形状を得るために、C軸以
外の方向に必要な形状を持った結晶を成長させることに
より、結晶加工工程の効率化及び簡略化ができ、ルチル
偏光子の低価格化が実現される。そのような理由から、
ルチル単結晶のC軸以外の方位での育成が望まれてい
る。しかし、ルチル単結晶はC軸方位の熱伝導率が他の
方位に比べて大きく、その異方性が強いため、通常のF
Z法やベルヌーイ法ではC軸以外の方位に育成された結
晶を得るのは困難である。そこでEFG法での結晶育成
が有効と考えられるが、EFG法によるルチル単結晶育
成に関する報告例は見当らない。またEFG法は型材料
が融液の毛細管現象を実現できるものでなければなら
ず、型が融液に依って著しく侵食されてもいけない。本
発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、EFG法
を利用したルチル板状単結晶の育成方法を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはまず型材料の検討を行なった。材料と
してはIr ,Mo 及びWを検討対象としたが、Mo 及び
Wを用いた場合はルチル融液は型のスリットを通してそ
の毛管現象が実現されたものの、型材との反応が認めら
れてルツボ及び型を破損し、型材料としては不適である
ことがわかった。そして、Irの場合は融液との反応及
びルツボ,型の破損はなく、毛管現象により型上面に融
液が上昇したのが認められ、Ir が型材料として適して
おり、EFG法によるルチル単結晶育成が可能であるこ
とが分かった。実際、上面形状が長方形及び円形であ
る、Ir を用いた型を使用し育成実験を行ない、それぞ
れ型上面形状に相当した断面形状を持つルチル単結晶が
得られた。そこで上面形状が長方形である型を使用し、
結晶育成方位をC軸に対して0〜90度の範囲で変化させ
結晶育成を行なった結果、C軸から0度及び10〜90度傾
いた方位で育成した時、良質の単結晶の得られることが
分かった。なお、C軸以外の軸について検討したとこ
ろ、任意の方向にして同様の結果が得られた。
【0006】上記実験はすべて育成雰囲気の酸素分圧を
2×10-2気圧に保ち、出発原料組成はTi 2 であった
が、EFG法によるルチル単結晶育成では育成に伴なう
融液組成の変動があり、出発原料組成による結晶性の変
化が予想されることから、出発原料組成をTi
2-x (x=0〜0.3 )とし融液量に対する結晶固化率を
一定にし結晶を育成し、その結晶を偏光顕微鏡観察した
ところ、x=0〜0.15の範囲の出発原料の融液から育成
された結晶は単結晶化しており、出発原料組成がそれ以
外の場合は育成結晶が途中から多結晶体となっていた。
又、融液組成の変動は育成雰囲気の酸素分圧値の変動に
よる影響を受けると予想されることから、酸素分圧0〜
7×10-2気圧の範囲で制御された雰囲気でEFG法によ
る結晶育成を行なったところ、型形状及び育成結晶の結
晶性が酸素分圧により変化することが認められた。酸素
分圧2×10-6〜5×10-2気圧の範囲での結晶育成では型
の上面外形及び水平度,スリット形状に変化はなく、育
成結晶を一定雰囲気,一定温度で熱処理し、その結晶性
を偏光顕微鏡観察したところ、酸素分圧による変化は認
められなかった。しかし、酸素分圧が5×10-2気圧以上
の場合は型上面の形状は変化し、型表面は荒れることが
わかり、その結果、育成結晶の表面及び内部に多くの欠
陥の導入されることがわかった。又、酸素分圧が2×10
-6気圧以下の場合は、型形状に変化はないものの、育成
雰囲気の酸素濃度が低すぎたため育成結晶内の酸素欠陥
濃度が増加し、見かけ上の結晶の熱伝導率が小さくなっ
たため、育成結晶の形状変動が大きく、形状の制御が困
難となり、結晶内にはバウンダリーまたはクラックが入
り易くなった。このことは育成に伴なう融液組成の変動
が起因する育成結晶の結晶性変化は、育成雰囲気の酸素
分圧を2×10-6〜5×10-2気圧の範囲に制御し、原料組
成をTi 2-x (x=0〜0.15)とすることによって防
ぐことが可能であることを示している。以上より従来困
難であった、ルチル単結晶のC軸以外の方位での育成
は、EFG法により育成方位を選定することにより可能
となった。
【0007】次に結晶の引き上げ速度を検討した。引き
上げ速度を大きくすると、単位時間当りの固化潜熱量が
増加して、育成結晶中への移動熱量が増加する。そのた
め他の育成条件を一定にし引き上げ速度を大きくする
と、成長界面での結晶温度は高くなり、融液温度及びダ
イ温度が増加し、結果として結晶幅の変動が大きくなる
など、成長が不安定になる。そこで一般的には、育成速
度の増加にともなって、成長界面近傍の温度勾配を大き
くして育成結晶からの熱の放射量を増加させるとか、高
周波発振出力を減少させることにより、ダイ上端部及び
融液の温度を低下させるとかの対策をとる。しかし、成
長界面の温度勾配を大きくすると育成結晶の冷却速度が
大きくなり熱歪が生じ易く育成結晶の結晶性を劣らせる
とか、また融液温度には融点という下限基準点が存在し
ていることから、高周波発振出力の減少にも限界があ
る。上記理由により安定な育成を確保するためには、引
き上げ速度には限界があり、その値は今回の実験では30
mm/h であった。
【0008】又、板状結晶の育成において特徴的なこと
は、ダイ上端部の温度が高すぎる場合、育成結晶の幅が
減少してダイ上端部の温度を低下し、結晶育成に適当な
温度に近づこうとする、ダイの温度自己補正効果が働く
ことである。このため安定な育成を可能にする高周波発
振出力の範囲がCZ法育成に比べ大きくとれる。上記理
由によりダイ上面の温度自己補正効果の働く部分、即
ち、ダイ上面でスリット部を除いた部分の大きいほど、
安定な育成のできることが分かる。この効果が働くダイ
上面の有効面積の全面積に対する比率は、ダイ上面の面
積により多少異なることが予想されるが、実験の結果に
よると80%以下であることが分かった。
【0009】 更に、ダイ上面の場所による温度差に着
目して検討した。即ち、周辺部と中心部の温度差が大き
いと、結晶成長界面の形状はダイに対する凸部が大きく
なり安定な育成が困難となる。形状制御された結晶を安
定に育成するには、ダイ上面の温度分布を小さくするこ
とが必要となる。図2の1はダイの側面からみた断面図
であり、これが標準とした形状である。図1と同様に型
3にスリット4が設けられている。ここでダイ側面は高
周波誘導加熱され易く、ダイ上面は高周波誘導加熱され
づらいことから、ダイ上面の周辺部と中心部での温度差
は大きくなり、育成結晶の形状変動が大きくなり易いと
いう問題があった。そこで図2の2に示すような上端面
の幅がダイ本体の幅より小さいダイを用いることで、ダ
イ上端部の面内温度分布を小さくすることができ、形状
制御が容易となった。その理由は面a,bは高周波誘導
加熱され易いが、面c,dは高周波誘導加熱されづらい
ためダイ上面(面d)の周辺部温度の上昇が抑制され、
面中心部との温度差を小さくすることができる。以上の
ことから、図2の2のようにダイ上端部の形状を凸状に
し、ダイ本体とその凸状との間に水平面cを介すること
により、ダイ上面の面内温度分布を小さくすることがで
きる。又、その凸部の高さについては、高くなるほど、
面bは誘導加熱され易くなりダイ上面外周部の温度は高
くなり、水平面を介したことによるダイ上面の面内温度
分布を小さくする効果が減少するため、結晶育成を安定
にできるその凸部の高さの限界が存在する。結晶育成を
安定にできる最大引き上げ速度と、ダイ上端部の凸部の
高さとの関係を、凸部とダイ本体の断面積比率を変化さ
せ測定した結果、凸部の高さが大きいほど最大引き上げ
速度は小さくなり、凸部の断面積比率の大きいほど同じ
凸部高さの場合最大引き上げ速度が小さくなる傾向にあ
った。なお、ダイの形状は板状として示したが、この形
に限定されるものではなく、円形,その他であってもよ
い。又、水平面cは曲面又は傾斜面であってもよい。
【0010】ダイ側面の温度が高いとダイ上面の周辺部
の温度が高くなり、ダイ上面での面内温度分布が大きく
なり、育成結晶の形状制御が難しくなる。そこでダイ上
面の温度を低くすることが望まれる。ダイ側面の温度は
高周波誘導での直接加熱及びルツボ内壁及び融液表面か
らの放射熱により支配されている。高周波誘導加熱の抑
制はダイ形状の変更が有効と考えられ、それに関しては
既に述べた。本件はルツボ及び融液表面からの放射熱に
よるダイ側面の温度上昇を抑える手段に関するものであ
る。ダイ側面とルツボ内壁及び融液表面との距離を大き
くすることによりダイ側面への放射熱量を減少すること
ができ、それにはアスペクト比(高さ/直径)の小さい
ルツボを用いることが有効となる。しかしアスペクト比
が小さくなり過ぎると、育成時の高周波発振出力値が大
きくなって、ルツボ内壁温度は高くなり、同時にダイ側
面の誘導加熱量が大きくなりルツボ側面の温度は高くな
る。
【0011】[作用]EFG法は型(die )を用いるこ
とが特徴で、結晶形状は型上面の形状できまる。よって
結晶の引き上げ方位をC軸以外の方位とし育成結晶の曲
がりの生じ易い状況においても、結晶成長界面下の融液
メニスカスはその下端が型上面と接触してその位置が拘
束されていることから、大きな形状及び位置の変化はな
く、結果として育成結晶の大きな曲がりは防止される。
EFG法は一般の結晶引き上げ法に比べ育成結晶周辺の
温度勾配が大きく、引き上げ方位による結晶性の変化が
大きいと言われており、良質単結晶を得るには成長界面
内における引き上げ方向の成長速度を均一にすることが
必要となる。熱伝導度の異方性による成長速度の異方性
から育成結晶表面の凹凸度は大きくなり易く、良質板状
単結晶を得るには育成結晶表面の研磨が必要となる。ル
チル結晶の場合、C軸方向の成長速度が最も大きくその
異方性も大きいことから、引き上げ方位をC軸から少し
ずらした場合が、成長界面内での引き上げ方向の成長速
度の変動が最も大きく、育成結晶表面の凹凸度も大きく
なり易い。その結果、結晶内には歪,気泡,サブグレイ
ン組織等が導入され易くなり、その程度は引き上げ方位
がC軸からずれるに従って減少する。引き上げ方位をC
軸に対して0〜90度とし育成した結晶の屈折率変動を測
定した結果、C軸から0度及び10〜90度傾いた方向で育
成した結晶の場合、屈折率変動はFZ法で育成したルチ
ル単結晶と同様で3×10-6以内となり良質板状単結晶で
あった。この結果は上記した結晶性の引き上げ方位依存
性に依るもので、引き上げ方位がC軸から10度以上ずれ
ることにより、C軸方向の成長速度が引き上げ方向の成
長速度の変動に与える影響が小さくなり、結果として成
長界面内における引き上げ方向の成長速度が均一化した
ものと言える。
【0012】
【実施例】EFG法によるルチル板状単結晶育成に関
し、引き上げ方位,型材料、そして出発原料組成の検討
を行なった。以下にその実施例を示す。実施例1 直径50mm,高さ50mmのIr ルツボに組成Ti 2 の原料
100gをチャージし、図1に示したような通常のEFG法
引き上げ炉を用い、原料融液状況を観察した。即ち、ル
ツボ内に厚さ3mm×幅30mm×高さ40mm,スリット間隔0.
5 mmのスリットダイを取り付け、融液がスリット内を毛
管現象で上昇する状況の観察を行なった。その結果、融
液表面高さが型の上面から約20mm低い位置であるにもか
かわらず、型上面まで融液は上昇し、型上面全体が融液
で濡れているのが認められた。又、型及びスリット形状
に変化は認められなかった。なお、雰囲気はAr とし一
般ガス(99.998%以上)を用いた。
【0013】実施例2 直径50mm,高さ50mmのMo 及びWルツボにTi 2 原料
200gをチャージし、実施例1と同様の操作において、通
常のEFG法引き上げ炉を用いて原料の溶融実験を行な
った。ルツボ内には厚さ4mm×幅20mm×高さ40mm,スリ
ット間隔0.5 mmの型(スリットダイ)を取り付け、スリ
ット内を毛管現象で融液の上昇する状況を観察した。ル
ツボ内で原料を溶融し、ルツボ冷却した後のルツボ及び
型を観察したところ、融液がスリットを通して型上面に
上昇していたこと、そして型表面の変形していることが
確認された。さらに原料の溶融冷却を繰り返したとこ
ろ、型の重量減少が認められた。以上よりMo 及びWル
ツボはEFG法によるルチル板状単結晶の育成には不適
であった。
【0014】実施例3 直径50mm,高さ50mmのIr ルツボに組成Ti 2 の原料
250gをチャージし、図1に示したような通常のEFG法
引き上げ炉を用いて板状単結晶を引き上げた。即ち、ル
ツボ内に厚さ3mm×幅30mm×高さ40mm,スリット間隔0.
5 mmのスリットダイを取り付け、スリット内を毛管現象
で上昇した融液に種結晶を付け単結晶を引き上げ育成し
た。引き上げ軸方向はC軸[001],引き上げ速度は
約10mm/h であった。又、C軸方向に平行な(100)
面がスリットの幅方向に平行になるように種結晶の位置
を調整した。育成雰囲気は一般品Ar +O2 (2%)混
合ガスを21/min とした。その結果、厚さ約3mm,幅約
30mm,長さ約80mmの板状単結晶が得られた。育成結晶を
大気雰囲気中で約900 ℃,約12時間熱処理した後、表面
研磨し厚さ2.6 mmの板状単結晶となり、それを偏光顕微
鏡で調べたところ、歪,気泡,サブグレイン組織などは
検出されず、良質ルチル単結晶であることが分かった。
なお、屈折率変動は1.0 ×10-6であった。
【0015】実施例4 実施例3と同様のホットゾーン構成を用い、組成Ti
1.9 の原料250gをチャージし、引き上げ速度は7mm/h
とした。原料はTi 2 粉末,Ti23粉末を各々204
g,46 gひょう量混合し、約1000℃で焼成したものを用
いた。結晶の引き上げ方位は実施例3と同様とし育成し
た結果、厚さ約3mm,幅約30mm,長さ約80mmの板状単結
晶が得られた。実施例3と同様の操作において、偏光顕
微鏡で観察したところ、歪,気泡,サブグレイン組織な
どは検出されず、良質板状単結晶であった。
【0016】実施例5 実施例3と同様のホットゾーン構成を用い、組成Ti
1.7 の原料250gをチャージし、引き上げ速度は7mm/h
とした。原料はTi 2 粉末,Ti23粉末を各々106
g,144gひょう量混合し、約1000℃で焼成したものを用
いた。結晶の引き上げ方位は実施例3と同様とし、厚さ
約3mm,幅約30mm,長さ約80mmの板状結晶を育成した。
実施例3と同様の操作において、偏光顕微鏡で観察した
ところ、種結晶から約50mmの間では、歪,気泡,サブグ
レイン組織などは検出されず、良質単結晶であったが、
それ以降の部分には、歪,サブグレイ組織が認められ単
結晶化していなかった。
【0017】実施例6 実施例3と同様の操作において、雰囲気中の酸素分圧を
制御するために一般品Ar とO2 を100 対0,5,7の
3種類の割合で混合し、各々の場合において各混合ガス
を結晶育成炉内に導入し、21/min の流量で育成終了ま
で流し続けた。他の操作も実施例3と同様にして結晶育
成を行なった。Ar とO2 が100 対0及び5の場合は、
実施例3の時と同等の結晶が得られ、型の変形,変質は
認められなかった。しかし、Ar とO2 が100 対7の場
合は型上面の長方形形状が曲線で囲まれた形状となり、
その平滑であった表面が荒い面となった。このような型
上面の変形などにより、結晶成長速度の変動が大きく、
育成結晶の内部に歪及び気泡が多く観察され良質な単結
晶は得られなかった。さらに、純ガス品(99.9999 %以
上)のAr を用い、Ar 100 %の雰囲気で同様の実験を
行なった結果、型形状の変化はなかったが、育成結晶の
形状制御が困難となり、結晶内にバウンダリー及びクラ
ックが認められた。これは育成雰囲気中の酸素濃度が低
すぎたため、育成結晶中の酸素欠陥が多くなり、見かけ
上の結晶の熱伝導率が小さくなったためと考えられる。
なお、一般品及び純ガス品中に含まれる不純物酸素分圧
は、各々2×10-6及び1×10-7気圧であった。
【0018】実施例7 実施例3と同様のホットゾーン構成を用い、引き上げ軸
方向はC軸から5度傾いた方向とし、引き上げ速度は10
mm/h とした。又、引き上げ軸に平行で[100]を含
む面がスリットの幅方向と平行になるように種結晶の位
置を調整した。その結果、厚さ約3mm,幅約30mm,長さ
約85mmの板状単結晶が得られたものの、育成結晶表面の
研磨により得られた厚さ2.5 mmの板状結晶には歪,気
泡,サブグレイン組織等が検出され屈折率変動は2.0 ×
10-5であった。
【0019】実施例8 実施例3と同様のホットゾーン構成を用い、引き上げ軸
方向はC軸から60度傾いた方向とし、引き上げ速度は10
mm/h とした。又、引き上げ軸に平行で[100]を含
む面をスリットの幅方向と平行から直角になるように種
結晶の位置を変化、調整し育成を行なった。その結果、
厚さ約3mm,幅約30mm,長さ約70〜80mmの板状単結晶が
得られ、表面研磨で厚さは2.2 〜2.5 mmとなった。板状
単結晶の引き上げ方位による結晶性の変化は認められ
ず、屈折率変動は1.5 〜2.5 ×10-6であった。
【0020】実施例9 実施例3と同様のホットゾーン構成を用い、組成Ti
2.0 の原料250gをチャージし、引き上げ速度が20,30,
40mm/h の場合について、育成を行なった。引き上げ方
位及び育成雰囲気は実施例3と同様とした。引き上げ速
度が20,30mm/h の場合は、厚さ約3mm,幅約30mm,長
さ約80mmの板状単結晶が得られ、実施例3と同様の結果
が得られたが、引き上げ速度が40mm/h の場合は板状単
結晶の幅及び厚さの変動が大きくなり、結晶中に泡が生
じるとか、偏光顕微鏡観察の結果、結晶幅の変動の大き
な所からグレインバウンダリーが成長するなど、良質単
結晶は得られなかった。
【0021】実施例10 直径50mm,高さ50mmのIr ルツボに組成Ti 2 の原料
250gをチャージし、通常のEFG法引き上げ炉を用いて
板状単結晶を引き上げた。即ち、ルツボ内に厚さ3mm×
幅30mm×高さ40mmのダイを取り付け、スリット内を毛管
現象で上昇した融液に種結晶を付け、単結晶を引き上げ
育成した。なお、ダイはスリット間隔が各々1.0 mm,1.
5 mm,2.0 mm,2.2 mm,2.4 mm,2.6 mmのものを用い、
引き上げ軸方向はC軸[001]、そして引き上げ速度
は約10mm/h とし育成を行なった。育成雰囲気は超高純
度Ar +O2 (2%)混合ガスを21/min とした。その
結果、スリット幅1.0 〜2.4 mmのダイを用いた場合は厚
さ約3mm,幅約30mm,長さ約50〜80mmの板状単結晶が得
られたが、スリット幅2.6mmの場合は、安定な育成を行
なうため高周波発振出力を制御するが、その値を上昇さ
せると結晶幅の変動が大きくなり、又低下させると融液
が固化するなど、安定な育成を行なうことができなかっ
た。
【0022】実施例11 直径50mm,高さ50mmのIr ルツボに組成Ti 2 の原料
250gをチャージし、通常のEFG法引き上げ炉を用いて
板状単結晶を引き上げた。即ち、ルツボ内に厚さ5mm×
幅30mm×高さ40mmのダイを取り付け、スリット内を毛管
現象で上昇した融液に種結晶を付け、単結晶を引き上げ
育成した。なお、ダイはスリット間隔が各々2.0 mm,2.
5 mm,3.0 mm,3.5 mm,4.0 mm,4.25mmのものを用い、
引き上げ方位,引き上げ速度そして育成雰囲気は実施例
10と同様にした。その結果、スリット幅2.0 〜4.0 mmの
ダイを用いた場合は厚さ約5mm,幅約30mm,長さ約60〜
80mmの板状単結晶が得られたが、スリット幅4.25mmの場
合は実施例10のスリット幅2.6mmの場合と同様に安定な
育成はできなかった。
【0023】実施例12 直径50mm,高さ50mmのIr ルツボに組成Ti 2 の原料
125gをチャージし、通常のEFG法引き上げ炉を用いて
板状単結晶を引き上げた。ルツボ内に凸部形状が厚さ1
mmで高さ0〜20mmでダイ全体の高さ及び幅が40mm及び30
mm一定、そしてダイ本体の幅が3mm一定としたダイを取
り付け、0.5 mm幅のスリット内を毛管現象で上昇した融
液に種結晶を付け、単結晶を引き上げ育成した。又、同
様の実験を凸部形状の幅が2mm,2.8 mmの場合について
行なった。各々の場合で板状結晶の形状制御が可能であ
る最大引き上げ速度は異なり、それらを厚さ3mm×幅30
mm×高さ40mmでスリット間隔が0.5 mmのダイを用いたと
きの最大引き上げ速度と比較した。なお、引き上げ方
位,引き上げ速度そして育成雰囲気は実施例10と同様に
した。結果は図3に示す通りで、凸部を形成したダイを
用いることにより、最大成長速度の大きくなることが分
かった。
【0024】実施例13 直径50mmで、高さを直径の100 %,75%,50%,25%,
15%としたIr ルツボに、組成Ti 2 の原料を各々25
0g,187g,125g,38 gチャージし、通常のEFG引き上
げ炉を用いて板状単結晶を引き上げた。ルツボ内に取り
付けるダイの形状は各々厚さ3mm,幅30mmは共通とし、
高さを40mm,30mm,20mm,6mmとし、スリット間隔は0.
5 mm共通とした。毛管現象でスリットを上昇した融液に
種結晶を付け、単結晶の引き上げ育成を行ない、引き上
げ長さ20〜30mmの時点で結晶幅の変動を5%以内に抑え
ることのできる発振出力値の範囲を各々の場合について
比較した。なお、引き上げ方位,引き上げ速度そして育
成雰囲気は実施例10と同様にした。その結果,発振出力
値の範囲は、ルツボのアスペクト比(高さ/直径)が1.
0 の時約1.8 %であったのに対し、0.75〜0.25の時は3.
5 〜5.0 %、そして0.15の時は1.5 %であった。アスペ
クト比が0.75〜0.25のルツボを用いることにより、育成
結晶の形状制御が容易になることが分かった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればE
FG法によるルチル単結晶の育成が可能となり、従来で
は不可能であった大型ルチル単結晶の育成が可能とな
る。又、C軸に対し0度,10〜90度ずれた方位に沿った
単結晶を育成することにより、偏光子作成での育成結晶
の加工工程の簡略化ができ、偏光子製品の低価格化を実
現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EFG(Edge-defined Film-fed Growth)法を
説明する図。
【図2】ダイを側面からみた断面図。
【図3】凸部の高さを最大引き上げ速度の関係をダイの
厚さをパラメータとして示した図。
【符号の説明】
1 ルツボ 2 融液 3 型(スリットダイ) 4 スリット 5 種結晶 6 育成結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−12397(JP,A) 特公 昭57−61713(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御された雰囲気の高温炉内で、ルツボ
    内の原料融液内にスリットを有する 製の型(ダイ)
    を設け、前記型に設けたスリットを利用して融液を型の
    上面まで上昇させ、型どおりの形状に単結晶を引き上げ
    る結晶成長法(EFG)において、原料融液の原料組成
    二酸化チタンT2−x(x=0〜0.15)を主
    成分とし、育成雰囲気の酸素分圧を2×10 −6 〜5×
    10 −2 気圧の範囲に保ち、結晶の引き上げ方位をC軸
    及びC軸から10〜90度傾いた方位とすると共に、前
    記した型の上面におけるスリットの占める面積を上面積
    の80%以下としたことを特徴とするルチル単結晶の育
    成方法。
  2. 【請求項2】 結晶の引き上げ速度を30mm/h以下
    とすることを特徴とする請求項1記載のルチル単結晶の
    育成方法。
  3. 【請求項3】 結晶形状を制御する型上端部において、
    その上端面の幅がダイ本体の幅より小さい型を使用する
    ことを特徴とする請求項1記載のルチル単結晶の育成方
    法。
  4. 【請求項4】 使用するルツボのアスペクト比(高さ/
    直径)が0.25〜0.75であることを特徴とする請
    求項1記載のルチル単結晶の育成方法。
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