JP2001039791A - 高品質単結晶の育成方法とその装置 - Google Patents

高品質単結晶の育成方法とその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 るつぼ内で加熱融解した原料溶液に種子結晶
を接触させて単結晶を育成する方法を、高性能、高品質
なものとして実現する。 【解決手段】 るつぼ内の原料溶液中に羽根体もしくは
じゃま板体を配置し、るつぼを回転させながら引上げ育
成することにより、CLBOをはじめとする各種の単結
晶を、高粘性の原料溶液から、高品質、高性能な結晶と
して育成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、高品質単
結晶の育成方法とその装置に関するものである。さらに
詳しくは、この出願の発明は、高粘性の溶液原料であっ
ても高品質な単結晶を育成することのできる新しい結晶
育成方法とそのための装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、酸化物等の単結晶
の育成方法として、原料をるつぼ内で加熱融解した後
に、種子結晶を原料溶液に接触させ、この種子結晶を回
転させながら丸棒状単結晶を引上げて育成する方法が知
られている。この引上げ法は、大口径結晶を効率良く育
成することができる方法として様々な単結晶の育成のた
めに用いられてもいる。
【0003】また、原料をるつぼ内で加熱融解した後
に、種子結晶を原料溶液に接触させ、液面下で温度を徐
冷して結晶を析出させて育成する方法(カイロポーラス
法)等も知られている。
【0004】しかしながら、従来の種結晶との接触によ
る単結晶の育成方法には、所要温度での育成時の原料溶
液の粘性が高い場合には、るつぼ内の原料溶液の流れが
悪くなるため、温度や過飽和度等の不均一性が生じ、結
晶の品質が低下しやすいという問題があった。
【0005】たとえば、非線形光学結晶としてのCsL
iB6 10(CLBO)等は高出力紫外レーザー光発生
用のものとして注目がされているものであって、極高レ
ーザー損傷耐力、極低光学損失、高均一性等の優れた性
能と品質を持つものとすることが望まれているが、ボレ
ート系結晶であることからもその融解溶液の粘性が高
く、このことが高品質、高性能な単結晶を育成すること
を難しくしていた。実際の測定でも、たとえばセルフフ
ラックス組成のCLBO溶液の粘性は、育成温度の84
0℃近傍において約1000CS(センチストークス)
の高い粘度にあることが確認されている。
【0006】そして、たとえばCLBO冷却法でのシー
ド棒回転による単結晶の育成では、図8に示したように
原料溶液の温度分布が良好でなく、しかも結晶成長が速
いため、どうしても高品質、高性能結晶を育成すること
が制約されていた。
【0007】そこで、この出願の発明は、以上のとおり
の従来技術の問題点を解消し、高粘性の原料溶液であっ
ても、高品質、高性能な単結晶を育成することのでき
る、改善された新しい方法と、そのための装置を提供す
ることを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1には、るつぼ内で加
熱融解した原料溶液に種子結晶を接触させて単結晶を育
成する方法において、るつぼ内の原料溶液中に羽根体も
しくはじゃま板体を配置し、該羽根体もしくはじゃま板
体は回転させることなくるつぼを回転させながら育成す
ることを特徴とする高品質単結晶の育成方法を提供す
る。
【0009】また、この出願の発明は、第2には、原料
溶液に接触させた種子結晶を徐々に引上げることにより
育成する方法を、第3には、種子結晶が接触する原料溶
液の液面下を徐冷して種子結晶の表面に単結晶を折出さ
せて育成する方法を、第4には、るつぼを回転させると
ともに、種子結晶も回転させる方法を、第5には、酸化
物単結晶を育成する前記方法を、第6には、酸化物単結
晶がボレート系酸化物の単結晶である方法を、第7に
は、ボレート系酸化物が、CsLiB6 10またはこの
もののCsおよびLiの少なくとも一方を他のアルカリ
金属元素並びにアルカリ土類金属元素の少なくとも一種
により部分的に置換した酸化物である方法を、第8に
は、AlおよびGaの元素の少なくとも一方がドープされて
いる酸化物である方法を提供する。そして、この出願の
発明は、第9には、ボレート系酸化物が、GdX 1-X
Ca4 O(BO3 3 (0<x<1)で表わされ、引き
上げ法により育成される方法を、第10には、酸化物単
結晶が、LiNbO3 、LiTaO3 、酸化物高温超伝
導物質または酸化物熱電変換物質である方法を提供す
る。
【0010】さらにこの出願の発明は、第11には、る
つぼ内で加熱融解した原料溶液に種子結晶を接触させて
単結晶を育成するための装置において、るつぼ内の原料
溶液中に配置される羽根体もしくはじゃま板体ととも
に、るつぼを回転させる回転体を備えていることを特徴
とする高品質単結晶の育成装置を提供し、第12には、
原料溶液に接触させた種子結晶を徐々に引上げる引上げ
機構が具備されている育成装置を、第13には、種子結
晶が接触する原料溶液の液面下を徐冷する冷却機構が具
備されている育成装置を、第14には、種子結晶を回転
させる機構が具備されている育成装置を、第15には、
上記いずれかの育成装置よりなる酸化物単結晶育成装置
を、第16には、ボレート系酸化物単結晶を育成するた
めの上記育成装置をも提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとおり
の特徴を有するものであるが、以下にその実施の形態に
ついて説明する。
【0012】まず、この出願の発明の単結晶の育成方法
においては、るつぼ内で加熱融解した原料溶液に種子結
晶を接触させて単結晶を育成することを基本としてい
る。そしてこの発明の育成方法においては、従来より知
られている引上げ法、あるいは徐冷による冷却法(カイ
ロポーラス法)等の各種の態様が適宜に採用される。い
ずれの場合でも原料物質の融解により生成させた溶液
(融液である場合を含む)に、種結晶を接触させて単結
晶育成する点において共通している。
【0013】この発明の方法の実施においては、育成装
置は、るつぼと、このるつぼ内に入れた原料を加熱融解
するための加熱手段と、加熱温度の検出・制御手段、そ
して加熱融解された原料溶液(融液を含む)に種子結晶
を接触させる結晶支持手段とを基本的に備えている。そ
して、この出願の発明においては、たとえばその概要図
を示した図1のように、るつぼ(1)内で加熱融解した
原料溶液(2)に、シード棒(3)等の結晶支持手段に
より支持した種子結晶(4)を接触させて単結晶を育成
するに際し、るつぼ(1)内の原料溶液(2)中には、
羽根体(5)もしくはじゃま板体を配置し、るつぼ
(1)を回転させながら育成することを特徴としてい
る。このるつぼ(1)の回転のために、育成装置には、
たとえばるつぼ(1)を載置した状態で回転する回転体
(6)を備えてもいる。
【0014】引上げ法による場合には、シード棒(3)
を回転しながら、もしくは回転しない静止した状態でシ
ード棒(3)を上方へ引上げることになる。一方、冷却
法による場合には、中空のシード棒(3)を用いて中空
部に冷却ガスを供給し、液面下を徐冷して種子結晶
(4)の表面に単結晶を析出させて育成する方法や、液
面下の徐冷のために炉のヒーター全体の温度を徐々に下
げる方法等が採用される。前者の方法は、種結晶を溶か
さないようにするために用いられる。これらの場合もシ
ード棒(3)等の支持手段は回転させてもよいし、ある
いは回転しない静止状態にあってもよい。ただ、この出
願の発明は、基本的思想として、以上のようなシード棒
(3)、そしてこれに支持した種子結晶(4)の回転を
必須とすることなしに、るつぼ(1)を回転させること
を特徴としている。シード棒(3)と種子結晶(4)の
回転は、このるつぼ(1)の回転に対しての相対運動と
して適宜に必要に応じて選択されることになる。
【0015】そして、この出願の発明では羽根体(5)
もしくはじゃま板体は、原料溶液(2)内においてはそ
れ自身は静止状態にあってよく、一方、るつぼ(1)
は、たとえば図1のように、回転体(6)によって回転
するようにしている。このような特徴のある羽根体
(5)もしくはじゃま板の存在と、るつぼ(1)の回転
によって、原料溶液の攪拌効果が高まり、育成の場合に
問題となる拡散境界層 (diffusion boundary layer)
を薄くでき、原料物質の成長表面への供給量を増加さ
せ、かつ過飽和度を均一にすることができる。このこと
によって、育成温度において高粘性の原料溶液であって
も、高品質、高性能な単結晶を育成することが可能とな
る。
【0016】羽根体(5)もしくはじゃま板体について
は各種の形状のものとして、育成の対象となる単結晶や
原料物質の組成、種類、そして原料溶液の組成や粘性、
さらには、原料溶液(2)中への挿入深さや、るつぼ
(1)の回転中心からの距離、原料溶液(2)の流れ方
向と流れ速度等を考慮して配置することができる。好適
なものとしては、たとえば複数枚の羽根を放射状に配設
してそれらの中心部において固定した。いわゆるスクリ
ュー形状のものとすることや、複数枚のじゃま板小片を
配設したもの等が例示され る。
【0017】これらの羽根体(5)やじゃま板体は、回
転しない静止状態に置いているが、所望によっては、振
動や、上下方向並びに水平方向の少なくともいずれかの
往復運動等の動きを与えるようにしてもよい。また、羽
根体(5)やじゃま板体は、図1のように、支持棒
(7)により上方よりるつぼ(1)内に挿入し、かつ引
上げできるようにし、原料溶液(2)中への配置深さ等
を調整できるようにしてもよいし、るつぼ(1)の底部
等に取付け固定できるようにしてもよい。より好ましく
は前者のようにすることが考慮される。
【0018】回転体(6)によるるつぼ(1)の回転に
ついては、種子結晶(4)の回転方向に対して、正回
転、あるいは正逆切替え回転できるようにすることが考
慮される。また、このるつぼ(1)の回転については、
育成の過程において回転速度を変更制御できるようにす
ることも考慮される。回転方向や回転速度の変更制御
は、たとえばるつぼ(1)中の溶液の流れ、温度や単結
晶の育成の大きさ等の光学的検知や、あるいは溶液の流
れ、温度等の羽根体(5)ないしは支持棒(7)での感
圧、感熱検知等と連係したものとすることも考慮され
る。
【0019】そして、この発明が対象とする単結晶は、
各種のものであってよく、育成温度における原料溶液が
高粘性のものに対してこの発明はより効果的である。単
結晶としては、たとえば各種の酸化物がある。特に、こ
の発明は、高品質、高性能な単結晶が望まれているCs
LiB6 10(CLBO)、あるいはその組成における
Cs,Liの他のアルカリ金属、もしくはアルカリ土類
金属原子による部分的置換組成さらには、Al,Ga等
の原子のドープされたもの等の粘性の高いボレート系結
晶の育成に好適である。後述の実施例においては前記C
LBOの冷却法による育成を例として説明しているが、
これに限られることはない。引き上げ法(チョクラルス
キー法:Cz法)によるGdYCOB、すなわちGdX
1-X Ca4 O(BO3 3 の結晶育成においても、こ
の発明の方法によって高品質な結晶が得られている。特
に引き上げ法においてはじゃま板体の配置が有効でもあ
る。
【0020】また、育成される酸化物としては、LiN
bO3 、LiTaO3 、そして、酸化物高温超伝導材
料、Nax Co2 4 (xは約1)等の酸化物熱電変換
材料も例示される。 そこで以下に実施列を示し、さら
に詳しくこの出願の発明について説明する。
【0021】
【実施例】実施例1 (育成装置)育成装置として、全体が図2の構成となる
ようにした。白金るつぼを用い、このるつぼをモーター
により回転できるようにしている。また、この装置で
は、シード棒(3)として中空のものを用い、その下端
には種子結晶(4)を支持し、中空のシード棒(3)内
へのシード冷却用ガスの供給により、種子結晶(4)を
冷却できるようにしている。これによって、種子結晶
(4)が溶け落ちるのを防止している。この装置によれ
ば、従来では種子結晶が融解して困難であったメルト組
成での育成も可能となる。
【0022】白金るつぼ内には、図3および図4に示し
た白金製のスクリュー型羽根体(5)を支持棒(7)に
取付けて配置した。羽根体(5)は、6枚の羽根を有
し、羽根角度40°として配置している。羽根体(5)
は、その羽根中心(A)が、るつぼの回転中心に相当す
る平面位置に配置され、るつぼの内底面からの羽根中心
(A)の距離(H)が調整できるようにしている。な
お、距離(H)についてはできるだけるつぼの内底面近
傍に位置するようにした。
【0023】なお、図4に示しているアルシント管およ
びFKSパイプは、いずれも株式会社フルヤ金属(FU
RUYAMETAL CO.,LTD.)から購入した
ものであって、アルシント管は、アルミナ(Al
2 3 )が主原料とされているものであり、またFKS
パイプは、白金(Pt)にZrO2 を含有したものによ
り構成されている。 (単結晶育成)上記の育成装置を用いて、るつぼを回転
させて冷却法によりCLBO単結晶の育成を行った。
【0024】シード棒は回転させず、同様に羽根体も回
転しない静止状態において育成を行った。原料溶液はC
LBOセルフフラックス組成としている。このセルフフ
ラックスの成分組成は、Cs:Li:B:O=1:1:
5.5:9.2とした。また、この組成は化学量論組成
(メルト組成)とすることも良好であることが確認され
ている。
【0025】原料溶液の最高加熱温度は900℃とし
た。
【0026】温度降下とるつぼ回転の条件は次のとおり
とした。
【0027】温度降下 0.1℃/day るつぼ回転 30rpm 温度降下の側定点は、最初の基準は溶液の液面とし、そ
の後、その液面の温度に対して0.1℃/dayが降下
させている。その際の温度測定は、図2に示した制御用
センサにより行い、溶液全体に一様に0.1℃/day
で降下させるようにしている。
【0028】図5は、従来の通常法と比較した場合の結
晶履歴を示したものであり、図6は、原料溶液の温度分
布を示したものである。図6からは、るつぼ内の溶液の
温度分布が従来 法に比べて液面からの高さ方向でより
均一化され、結晶成長が均一となっていることがわか
る。
【0029】この図6の原料溶液の温度分布の結果につ
いてさらに検討したところ、液面からの高さ(深さ)が
約10cmの位置までの間の温度差(△t)がー0.5°
Cまでの範囲にあること、つまりー0.5°C〜0°C
であることが良質な単結晶の育成のために望ましいこと
が確認された。
【0030】また、図5に示されているように、従来の
育成法では、最初の立ち上がりの成長は遅いが、途中で
成長速度が上がり、最終的な成長速度はかなり速くな
る。これは、結晶が小さい時はシード棒が回転しても攪
拌効果があまりなく、結晶が大きくなると結晶自身が溶
液を攪拌し、急に成長が速くなることを示している。
【0031】これに対し、この発明の方法による羽根体
を挿入してのるつぼ回転による育成では、最初の立ち上
がりの成長は、従来のシード棒回転による育成の場合よ
りも速い。なぜならるつぼの回転によって溶液の攪拌が
十分行われているため、拡散境界層と呼ばれる育成速度
を決定する層が薄くなるからである。さらに過飽和度が
均一になるからである。 (結晶の評価)育成された結晶の品質を評価するため、
結晶を厚さ1.5cmでウェハー状にカットし3面研磨
を施したサンプルについてHe−Neレーザーにより結
晶の内部散乱を観察した。品質の良い結晶では内部に散
乱が起こり、内部が赤く光り散乱点が分かる。悪い場所
については、パスが見える。
【0032】観察の結果、この発明の方法によって羽根
体を挿入してのるつぼ回転により育成した結晶は品質に
優れていることが確認され、わずかに種子結晶の下部に
おいてパスが見られた。
【0033】一方、従来法により育成された結晶では、
全体的にパスが見られ、結晶の品質において問題があっ
た。
【0034】また、耐レーザー特性評価用試料として、
上記と同じもの、および従来の方法で育成した結晶の1
0mm×10mm×15mmのサイズのものを用いた。
損傷閾値の測定は(001)面について行った。レーザ
ーの光源は縦、横シングルモードのQスイッチNd:Y
AGレーザーを用いた。評価は、Nd:YAGレーザー
の第4高調波である発振波長266nmに対して行っ
た。パルス幅は0.75nsである。
【0035】直径8mmの光を焦点距離100mmのレ
ンズにより集光させた。ここでは、焦点部が入射表面か
ら5mmになるように結晶の位置を調整し、1ショット
ごとに結晶を移動させた。この場合の集光条件では入射
表面に損傷が生じてないことを確認している。Nd:Y
AGレーザーの同軸状に連続光のHe−Neレーザーを
通し、移動ごとにレーザー照射部に散乱点があるかどう
かを確認するとともに、ショット後に新しく散乱点が発
生するかどうかを目視によって調べ、損傷の有無を判断
した。入射エネルギーが損傷閾値に比べて高い場合、集
光部ではプラズマが観察される。閾値付近では散乱点の
発生が確認されるだけである。レーザーパルスの強度は
λ/2板(偏光回転子)とポラロイザの組み合わせによ
り変化させた。入射エネルギーはカロリーメーターで較
正を行ったバイプラナフォトチューブとオシロスコープ
によりモニタしている。参照試料として溶融石英(1
0.4GW/cm2 )を用いた。
【0036】このような手順でNd:YGAレーザーの
第4高調波 (266nm)により内部レーザー損傷閾
値を測定した。この発明の方法によって羽根体を挿入し
てのるつぼ回転により育成した結晶の内部レーザー損傷
閾値と、従来法で育成した結晶並びに溶融石英の内部レ
ーザー損傷閾値を表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】表1で示されるように、従来の育成法によ
り育成した結晶の内部レーザー損傷閾値は溶融石英に比
べ低かったのに対し、羽根体を挿入してのるつぼ回転に
より育成したこの発明の方法による結晶の内部レーザー
損傷閾値は、低いところでも溶融石英より高い値をも
ち、最も高いところでは溶融石英の2倍程度にもなるこ
とが確認された。
【0039】以上のように、従来の方法で育成した結晶
とこの発明の方法により育成した結晶の内部レーザー損
傷閾値を比較すると、この発明の結晶の方が従来のもの
よりかなり高く なることがわかる。これは結晶性がか
なり良くなったことを意味している。実施例2 GdYCOB結晶の引き上げ法(Cz法)による育成装
置について、るつぼ内の原料溶液中に配置するじゃま板
体を図7のように構成した。
【0040】じゃま板体(8)は、4本の垂下支持棒
(9)により一対の上方への屈曲じゃま板(8A)(8
B)が支持されたものとしている。垂下支持棒(9)の
上端は、るつぼ(1)以外の育成装置部位に固定され、
るつぼ(1)が回転可能とされている。じゃま板体
(8)は、イリジウム(Ir)金属によって形成した。
【0041】このじゃま板体(8)によって、るつぼ
(1)の回転で、GdYCOB結晶が引き上げ法によっ
て高品質なものとして育成されることが確認された。
【0042】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この出願の
発明によって、CLBOをはじめとする各種の単結晶
が、高粘性の原料溶液から、高品質、高性能な結晶とし
て育成されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法、装置の概要を示した構成図で
ある。
【図2】実施例としての育成装置を示した断面図であ
る。
【図3】羽根体を例示した平面図である。
【図4】羽根体の側面図である。
【図5】結晶成長の履歴を示した図である。
【図6】原料溶液の温度分布を示した図である。
【図7】じゃま板体を配置した装置例を示した部分断面
図とじゃま板体の平面図である。
【図8】従来法の場合の溶液の温度分布を示した図であ
る。 1 るつぼ 2 原料溶液 3 シード棒 4 種子結晶 5 羽根体 6 回転体 7 支持棒 8 じゃま板体 8A,8B じゃま板 9 垂下支持棒
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C30B 15/30 C30B 15/30 29/22 29/22 C 29/30 29/30 A B Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AD07 4G076 AA02 BA18 BB04 BC10 CA34 4G077 AA02 BB10 BC32 BC37 BD07 CF10 EG01 EG12 EG25 GA06 HA02 HA05 HA08 PA08

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 るつぼ内で加熱融解した原料溶液に種子
    結晶を接触させて単結晶を育成する方法において、るつ
    ぼ内の原料溶液中に羽根体もしくはじゃま板体を配置
    し、該羽根体もしくはじゃま板体は回転させることなく
    るつぼを回転させながら育成することを特徴とする高品
    質単結晶の育成方法。
  2. 【請求項2】 原料溶液に接触させた種子結晶を徐々に
    引上げることにより育成する請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 種子結晶が接触する原料容液の液面下を
    徐冷して種子結晶の表面に単結晶を折出させて育成する
    請求項1の方法。
  4. 【請求項4】 るつぼを回転させるとともに、種子結晶
    も回転させる請求項1ないし3のいずれかの方法。
  5. 【請求項5】 酸化物単結晶を育成する請求項1ないし
    4のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 酸化物単結晶がボレート系酸化物の単結
    晶である請求項5の方法。
  7. 【請求項7】 ボレート系酸化物が、CsLiB6 10
    またはこのもののCsおよびLiの少なくとも一方を他
    のアルカリ金属元素並びにアルカリ土類金属元素の少な
    くとも一種により部分的に置換した酸化物である請求項
    6び方法。
  8. 【請求項8】 AlおよびGaの元素の少なくとも一方が
    ドープされている酸化物である請求項7の方法。
  9. 【請求項9】 ボレート系酸化物がGdX 1-X Ca4
    O(BO3 3 (0<x<1)で表わされ、引き上げ法
    により育成される請求項6の方法。
  10. 【請求項10】 酸化物単結晶が、LiNbO3 、Li
    TaO3 、酸化物高温超伝導物質または酸化物熱電変換
    物質である請求項5の方法。
  11. 【請求項11】 るつぼ内で加熱融解した原料溶液に種
    子結晶を接触させて単結晶を育成するための装置におい
    て、るつぼ内の原料溶液中に配置される羽根体もしくは
    じゃま板体とともに、るつぼを回転させる回転体を備え
    ていることを特徴とする高品質単結晶の育成装置。
  12. 【請求項12】 原料溶液に接触させた種子結晶を徐々
    に引上げる引上げ機構が具備されている請求項11の育
    成装置。
  13. 【請求項13】 種子結晶が接触する原料溶液の液面下
    を徐冷する例却機構が具備されている請求項11の育成
    装置。
  14. 【請求項14】 種子結晶を回転させる機構が具備され
    ている請求項1ないし13のいずれかの育成装置。
  15. 【請求項15】 請求項11ないし14のいずれかの育
    成装置よりなる酸化物単結晶育成装置。
  16. 【請求項16】 ボレート系酸化物単結晶を育成するた
    めの請求項15の育成装置。
JP2000150679A 1999-05-22 2000-05-22 Clbo単結晶の育成方法 Expired - Lifetime JP3893012B2 (ja)

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