JP4637934B2 - 光学材料のレーザー損傷評価方法 - Google Patents

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この出願の発明は、光学結晶等の光学材料のレーザー損傷評価方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、非破壊・非接触であって短時間で安価に光学材料のレーザー損傷耐力を評価することのできる光学材料のレーザー損傷評価方法に関するものである。
従来より、レーザー光源は、情報・通信、超微細加工や医療分野で幅広く利用されており、そこではレーザー光の波長変換、集光・反射や増幅素子として光学結晶等の光学材料が用いられているが、レーザー出力が大きくなるにつれて光学素子や非線形光学結晶などの光学材料に生じるレーザー損傷が問題となる。とくに、高調波を発生する波長変換素子ではより高い出力が求められるが、それら波長変換素子はレーザー損傷閾値以下で使用する必要があり、レーザー損傷閾値を知る必要性が高い。しかしながらこれまで、非線形光学結晶の品質については評価基準がなく、全固体紫外レーザー光源の開発では実際に波長変換素子を用いて光を発生させなければ、必要とするレーザーの性能を満足するのに結晶が耐え得るのかが分からなかった。
これまでの光学材料、たとえば光学結晶の結晶性評価の経緯としては、転位密度や、X線トポグラフ観察などの結晶学的な手法が一般的に広く用いられているが、結晶の局所的部分のみの評価、特殊なサンプルの加工が必要であり、レーザーに関係した特性との相関性がないなどの技術的課題を有している。
そこで、レーザーに関係した特性との相関性という意味で、たとえば図8に示すように、Nd:YAGパルスレーザー(60)から出射したレーザー光を非線形光学結晶であるKTP結晶(61)に照射して第2高調波を発生させ、さらにCLBO結晶(62)を用いて第4高調波である266nm光を発生させて、その266nmレーザー光をアテニュエータ(63)を介してレンズ(焦点距離100mm)(64)で集光して非線形光学結晶などの試料(65)に照射し、レーザー損傷の有無を、He−Neレーザー(66)から出射されたHe−Neレーザー光を試料(65)に照射することで確認し(レーザー損傷が発生すればそのHe−Neレーザー光が試料を透過せずに損傷部分のクラックで散乱する)、損傷が発生した時の入射エネルギー強度をパワーメータ(図示省略)で計測し、ビーム径およびパルス幅から単位面積・時間当たりのレーザー強度を算出して損傷閾値とするレーザー損傷耐力測定が行われているが、その場合、非線形光学結晶といった試料の破壊値を測定しており、評価した試料は実際にレーザー装置に使用することは不可能であった。
また非破壊でレーザー損傷閾値を測定する方法として、非線形光学結晶であるCLBO結晶の結晶性を測定するのにビッカース硬度から推定する方法(特許文献1)も見出されたが、このビッカース硬度から推定する方法では結晶表面とその極近傍の内部での内部レーザー損傷閾値との相関を利用するため、表面近傍のみの評価か、均質で薄板の良質な材料については結晶全体の品質を正確に測定することができるが、通常の材料では結晶全体の品質分布が分からなかった。また、光学材料の非線形光学定数(二光子吸収係数・光誘起屈折率変化)の測定に関しては、Zスキャン法が確立されているが、そのZスキャン法は二光子吸収係数・光誘起屈折率変化などの物性値を正確に測定するために用いられている手法で、通常は解析が困難であり不確定なパラメータが発生する可能性がある厚板材料は用いずに薄板、薄膜試料を用いている。
特開2003−161683
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、非破壊・非接触であって短時間で安価に光学材料のレーザー損傷耐力を評価することのできる光学材料のレーザー損傷評価方法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、光入射エネルギーを増加させながらその透過率の変化を調べたときに、透過率が線形吸収による減少の後、非線形的に減少する挙動を示し、さらに光入射エネルギーを増加させると、破壊となる現象が生じ、且つ非線形的に減少する挙動が光学材料の結晶品質により異なり、その非線形的な透過率減少が二光子吸収によると判断されるパルスレーザー光と光学材料について、入射パルスレーザー光強度を変化させて入射レーザー光強度と透過レーザー光強度を測定し、予め求めておいたレーザー損傷閾値の分かった同種の複数の結晶材料における入射パルスレーザー強度を変化させた入射光強度と透過レーザー光強度を測定した結果と比較して、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第2には、上記第1の発明において、光学材料に、Nd:YAGレーザーより出射したレーザー光を波長変換して得られた高調波パルスレーザー光を集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第3には、上記第1の発明において、光学材料に、パルスレーザー光を紫外レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第4には、上記第1の発明において、光学材料に、パルスレーザー光をフェムト秒レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第5には、上記第2の発明において、CLBO光学結晶に、Nd:YAGレーザーにより出射した波長が266nmであってパルス幅が5〜6nmの高調波パルスレーザー光をNd:YAGレーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第6には、上記第4の発明において、CaF結晶に、波長が775nmであってパルス幅が100fsのフェムト秒パルスレーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
また、第7には、上記第3の発明において、石英ガラスに、波長が266nmであってパルス幅が4〜5nsのパルスレーザー光を紫外レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
さらに、第8には、上記第1ないし7の発明のいずれかにおいて、光学材料に対して、前記パルスレーザー光をスキャンさせ、光学材料内の多数の位置において透過率の低下を測定し、その結果を三次元でマッピングすることで光学材料の材料内全体について品質を評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法を提供する。
以上、詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、非破壊・非接触であって短時間で安価に光学材料のレーザー損傷耐力を評価することのできる新しい光学材料のレーザー損傷評価方法が提供され、この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法により、今までよりも波長変換素子の信頼性がはるかに向上し、高出力・長寿命な高性能全固体紫外レーザー光源を実現することができる。またこの出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の評価結果を光学材料製造段階にフィードバックすることで、より高均質・高レーザー耐力な波長変換結晶を作製するための高品質結晶育成条件の最適化にも大きく寄与することができる。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法では、光入射エネルギーを増加させながらその透過率の変化を調べたときに、透過率が線形吸収による減少の後、非線形的に減少する挙動を示し、さらに光入射エネルギーを増加させると、破壊となる現象が生じ、その非線形的な透過率減少が二光子吸収によると判断されるパルスレーザー光と光学材料について、入射パルスレーザー光強度を変化させて入射レーザー光強度と透過レーザー光強度を測定し、予め求めておいたレーザー損傷閾値の分かった同種の複数の結晶材料における入射パルスレーザー強度を変化させた入射光強度と透過レーザー光強度を測定した結果と比較して、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを大きな特徴としている。
パルスレーザー光の波長としてはパルス幅が10-16s以上10-6s以下であるものを用いることができ、また、波長としては、透過限界波長以上の波長を有し、上限は、例えば、下記式(1)で表されるものを用いることができる。
λ0≦λ≦−100logT−560+λ0(nm) ・・・(1)
(ただし、λ0はその光学材料の透過限界波長(単位nm)、Tはパルス幅(単位s)である)
なお、この出願の明細書において、「光学材料」とは、光学結晶の他、石英ガラス等のガラス、プラスチック等の光学分野に使用される材料を意味する。
なおこのとき、パルスレーザー光のパルス幅を10-15s以上10-7s以下とするのがより好ましく、またパルスレーザー光の波長λ(nm)を下記式(2)で表される波長するのがより好ましく、とくに上記の範囲において、パルス幅が短く、波長が短いほど好ましい。
λ0≦λ≦−110logT−685+λ0(nm) ・・・(2)
(ただし、λ0はその光学材料の透過限界波長(単位nm)、Tはパルス幅(単位s)である)
パルスレーザー光の波長が透過限界波長よりも短い場合には、パルスレーザー光の透過が極めて小さくなるため透過率低下によるレーザー損傷耐力の評価が困難となり、パルスレーザー光の波長が上記式(1)の上限より長い場合には二光子吸収の発生が少なくなり、効果的な光学材料のレーザー損傷評価方法が困難となる。また、パルスレーザー光のパルス幅が10-16sより短いものは現在の技術では達成が困難であり、パルスレーザー光のパルス幅が10-6sより長くなると、パルスレーザー光照射によるレーザー損傷が発生するおそれがでてくる。
上記式(1)の範囲およびより好ましい上記(2)の範囲は実験的に求めたものである。二光子吸収が起こるためには不純物、欠陥などがない状態では一光子エネルギーの2倍のエネルギーが必要であり、その一光子エネルギーの値は波長により異なる(波長が長いものほど1光子エネルギーが小さくなる)ため、光学材料のレーザー損傷評価を効果的に行うパルスレーザー光の波長とパルス幅の関係を上記のように規定した。なお、結晶材料中に不純物、欠陥などが存在していると、結晶材料中のその部位は中間準位となっており、より小さいエネルギーで二光子吸収が起きる。
たとえば、非線形光学結晶であるCLBO結晶に対しては、紫外領域のパルスレーザー光を集光照射することにより、CLBO結晶中に二光子吸収をより容易に発生させることができ、レーザー損傷耐力を測定することが可能となり、またたとえばCaF2結晶に対しては、波長860nmのフェムト秒レーザー光で二光子吸収を発生させレーザー損傷耐力を測定するといったことが可能である。
これは、光学材料に、上記パルスレーザー光を集光照射して光学材料のエネルギー密度を増加させることで、レーザー光の出力が弱い場合には、材料固有の吸収係数に起因する線形吸収のみであるが、出力が増加してある程度のエネルギー密度になると線形吸収よりさらに大きな吸収である二光子吸収の発生確率が急激に増加し、この二光子吸収の発生により透過率が低下するため、この透過率の変化を測定することによってレーザー損傷を評価するものであり、レーザー損傷閾値が低いものほど透過率の低下が大きく、逆に、レーザー損傷閾値が高く、結晶品質が優れているほど透過率低下が小さい。なお「二光子吸収」とは物質が2つの光子を吸収して励起させる現象である。
なおこのとき、光学材料に対して入射するパルスレーザー光の入射レーザー光強度Iと光学材料を通過した後の透過レーザー光強度I0の関係は図1のようになり、入射レーザー光強度Iと透過レーザー光強度I0の間には以下のような関係式が成り立つ。
<数1>
0=Iexp(−A)
ここで、A=(α+βI)d
α:線形吸収係数
β:二光子吸収係数
d:光学材料の厚さ
I:入射レーザー光強度
0:透過レーザー光強度
透過後のレーザー光強度である透過レーザー光強度I0は光学材料の特性である二光子吸収係数βに依存して入射レーザー光強度Iの2乗にしたがって減少する。なお、当然線形吸収係数αにも差は見られるが、非常に小さいため分光器などでは計測は困難である。
入射レーザー光がある程度大きくなると、結果的にレーザー損傷が発生する。このことから、レーザー損傷が発生しないある程度強い入射レーザー光強度でも、同一材料で品質に起因する差(β:二光子吸収係数)を顕著に調べることができ、精度が良い市販の計測機器を用いれば、さらに弱い入射レーザー光強度でも充分に評価することが可能となる。
なお品質に起因した、たとえば異なる種類あるいは異なる結晶性の光学結晶間の差は、線形吸収からの傾きのずれ、すなわち二光子吸収係数βで比較すると容易ではあるが、短焦点のレンズで集光した場合、材料内部で非常に微小なビームスポット径を形成するために計測が困難であり、照射条件によって微妙に変化するパルス幅などのパラメータが含まれているため、現状ではその数値を精度よく求めることができない。
そこで、均質で品質が安定している代表的なレーザー用光学材料である石英ガラスについて基準として同様の入射レーザー光強度と透過レーザー光強度を取り込みそれに対して、目的とする試料を同様に計測することで線形吸収からの傾きのずれに関して比較を行うといった方法が可能である。
また石英ガラスおよびいくつかの異なる種類の試料についてはレーザー損傷耐力が既に分かっているので、それらの入射レーザー光強度と透過レーザー光強度をあらかじめ測定しておき、目的とするサンプルについて線形吸収からの傾きのずれの程度を調べて、既知の材料と比較することで、品質の程度とレーザー損傷耐力を逆に見積もることも可能となる。
そしてこの出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法により、これまでのレーザー損傷閾値の測定方法のように光学材料を破壊することなく、非破壊かつ短時間でレーザー損傷耐力を評価することができるのである。
また、短焦点のレンズを用いて光学材料内に上記式(1)の範囲の波長を有しパルス幅が10-16s以上10-6s以下であるパルスレーザー光を集光照射することで、数十μm程度の局所的な部分の品質を非破壊・非接触で評価することができ、逆に、長焦点のレンズを使用することで、ある一定の領域の情報が積分されて測定できる。また、ビームをコリメートして小さいビーム径で測定を行うことで、ビームが伝搬した領域すべての情報を測定することができる。またさらにマッチングオイルなどのセルを用いることで任意の形状の光学材料であっても評価が可能となる。
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法においては、レーザー損傷耐力を評価する光学材料のレーザー進行方向の厚みは、基本的に、使用するレンズの焦点距離よりも短ければよい。またこの出願の発明は、CLBO結晶などの非線形光学結晶に対して好適に用いることができるが、もちろんその他の光学結晶、ガラス等を含む光学材料にも適用することができ、例えば光学薄膜やレンズ材料のフッ化カルシウム(CaF2)や
石英ガラスについても適用可能である。
そして、この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法により、光学材料に対して、前記パルスレーザー光をスキャンさせ、光学材料内の多数の位置において二光子吸収に起因する透過率低下を測定し、その結果を三次元でマッピング(イメージング)することで光学材料の材料内全体について品質を評価するといったことも可能となり、この非線形光学結晶のイメージングにより新しい光学材料評価技術が実現できれば、測定時間も短くてすみ、評価システムも安価に構成することができることから、光学メーカーなどの現場レベルでの導入も容易となる。
また、この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法により、as−grownの結晶や最終的な波長変換素子の状態でも結晶性などの品質の評価が可能となり、非破壊・非接触なこれまでにない新しい実用的な評価技術を開発することが期待できる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の一例を用いて、試料のレーザー損傷耐力の評価を行った。なお、紫外光ではない波長532nmのレーザー光を用いた場合のレーザー損傷耐力も同様に評価した。
まず図2(a)に示すように、パルス幅が5〜6nsのNd:YAGパルスレーザー(1)から直線偏光の第2高調波(波長532nm)を出射し、そのレーザー光を波長変換結晶であるCLBO結晶(CsLiB610結晶:透過限界波長180nm)(2)に照射し、そのCLBO結晶(3)を用いて第4高調波(波長266nm)を発生させ、プリズム(3)を用いて波長ごとに分光して266nmレーザー光のみを取り出した。なお、プリズム(3)を用いて波長ごとに分光した266nm以外の、波長1064nmおよび530nmのレーザー光についてはビームダンパー(4)に照射させた。
次に、他の波長のレーザー光から分離した266nmレーザー光をミラー(5)で反射させ、1/2波長板(6)、偏光子(7)、ビームスプリッター(8)からなるアテニュエータ(9)を通過させ、その出力の一部をパワーメータA(10)に照射させてモニターし、その残りの出力を焦点距離100mmの短焦点レンズ(11)で非線形光学結晶としてのCLBO結晶からなる試料(12)内に集光し、試料(12)内での焦点スポットが50μm以下になるようにして図2(b)に示すように微小な領域(レーザーの進行方向に10mm、レーザーの進行方向と直角方向に50μmの領域)でのみ二光子吸収が発生するようにし、試料(12)内から透過した出力を高精度なパワーメータB(13)で測定した。
レーザー光の出力が弱い場合は、材料固有の吸収係数に起因する線形吸収のみであるが、出力が増加してある程度のエネルギー密度になると、二光子吸収の発生確率が急激に増加し、線形吸収よりさらに大きな吸収(二光子吸収)が起こる。なお二光子吸収の発生確率は電界の強度の2乗に比例するので、1/2波長板(6)を用いて試料(12)に入射する266nm光の強度を増加させ、試料(12)内でのレーザー光のエネルギー密度を増加させていった。そしてその入射レーザー光強度と透過レーザー光強度を比較し、二光子吸収を測定して透過率の変化を求めた結果、図3のグラフに示すような結果が得られた。
なお、この例においては試料として結晶性が異なりレーザー損傷耐力が異なる厚さ10mm程度の3つのCLBO結晶を用いており、試料A(12A)はレーザー光(波長266nm、パルス幅4〜5ns)に対するレーザー損傷閾値が13.5GW/cm2であり、試料B(12B)は同レーザー損傷閾値が16.7GW/cm2であり、試料C(12C)は同レーザー損傷閾値が18.7GW/cm2であった。一般に、二光子吸収の発生確率(二光子吸収係数)は材料内の欠陥や不純物などの品質にも依存する。CLBO結晶の場合、高品質化育成により結晶内の転位密度が大幅に低減させることができ高レーザー耐力化に成功している。そのため、試料(12)内の転位密度が多く、レーザー損傷閾値が低い品質が悪い材料ほど二光子吸収の発生確率が大きくなると考えられる。
図3のレーザー光の入射強度と透過率の関係のグラフからも分かるように、品質が悪い試料(試料C)ほど入射レーザー光強度が大きくなるにしたがって透過率が低くなっている。一方、内部レーザー損傷閾値の高い結晶、すなわちより高品質な結晶ほど二光子吸収が少ないことが明らかになった。また、図3中の3本の曲線が途切れた点がレーザー損傷閾値を示している。
<実施例2>
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の一例を用いて、半導体リソグラフィー用のステッパー光学系や紫外用光学材料の一つであるCaF2結晶(限界透過波長150nm)について評価を行った。CaF2結晶は、紫外レーザー光(波長266nm、パルス幅4〜5ns)に対するレーザー損傷閾値がA:5.8mJ/cm2、B:13.4mJ/cm2、C:22.9mJ/cm2のそれぞれ異なる結晶品質(レーザー損傷閾値)のものを用意した。
波長775nm、パルス幅100fs、繰り返し周波数1kHzの超短パルスレーザー光をf=100mmのレンズでCaF2結晶内に、高調波発生光学結晶は用いないで、それぞれ照射した。光学系は図2の(5)〜(11)、(13)については実施例1と同様である。超短パルスレーザーは、波長が長くても極めて電界強度のピーク値が大きいことから、CLBO結晶を測定したナノ秒のパルス幅の紫外レーザー光と同様に二光子吸収を容易に発生させることができる。レーザー光の照射強度を増加させながら、入射レーザー光強度とCaF2結晶を透過したレーザー光強度の関係から計算した透過率の変化を図4に示す。品質の悪い結晶ほどレーザー光強度が大きくなるにしたがって透過率が低くなっている。一方、内部レーザー損傷の高い結晶、すなわちより高品質な結晶ほど二光子吸収が少ないことが明らかになった。
<実施例3>
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の一例を用いて、レーザーの光学系に幅広く用いられている石英ガラス材料(限界透過波長180nm)について同様の評価を行った。石英ガラス材料は、通常の石英ガラス(レーザー光(波長266nm、パルス幅4〜5ns)に対するレーザー損傷閾値6.9mJ/cm2)と紫外域でのレーザー耐性の改善のためにフッ素を100ppm(8.4mJ/cm2)ドープしたものと3700ppm(8.2mJ/cm2)ドープしたもの((同レーザー損傷閾値8.2〜8.4mJ/cm2)したものをそれぞれ用意した。
波長266nm、パルス幅4〜5nsの紫外レーザー光をf=100mmのレンズで石英ガラス内に、実施例1と同様な光学系により、それぞれ照射した。照射スポット径は約50μmであった。レーザー光の照射強度を増加させながら、入射レーザー光強度と石英ガラスを透過したレーザー光強度の関係から計算した透過率の変化を図5に示す。光学結晶の場合と同様に品質の悪い材料ほどレーザー高強度が大きくなるにしたがって透過率が低くなっている。一方、内部レーザー損傷耐力の高い材料、すなわちより高品質な材料ほど二光子吸収が少ないことが明らかになった。
<比較例>
一方、上記の例の比較例として、図6に示すように、パルス幅6〜7nsのNd:YAGパルスレーザー(1)から直線偏光の第2高調波(波長532nm)を発生させ、その532nmレーザー光を光学結晶からなる試料(12)に照射し、その透過率の変化を測定した。なお、Nd:YAGパルスレーザー(1)からの532nmレーザー光をプリズム(3)を用いてミラー(5)に照射して反射させ、その他の波長のレーザー光をビームダンパー(4)に照射し、波長532nmレーザー光のみを、1/2波長板(6)、偏光子(7)、ビームスプリッター(8)からなるアテニュエータ(9)を通過させ、出力の一部をパワーメータA(10)でモニターしてその残りの出力を焦点距離100mmの短焦点レンズ(11)で試料(14)内に集光し、その試料(14)を透過したレーザー光の強度をパワーメータB(13)で測定した。なおこの場合、試料(14)として結晶性が異なりレーザー損傷耐力が異なる厚さ10mm程度の2つのCLBO結晶(試料A(レーザー光(波長266nm、パルス幅4〜5ns)に対するレーザー損傷閾値19GW/cm2)、試料B(同レーザー損傷閾値15GW/cm2):透過限界波長180nm)を用いており、試料A、試料Bのどちらとも図7のグラフに示すように、透過レーザー光と入射レーザー光の強度の関係はほぼ線形で、結晶品質による吸収の差はほとんど見られなかった。この比較例で用いたパルスレーザー光の波長は上記式(1)の範囲外のものであった。したがって、波長532nmのレーザー光を用いた場合には二光子吸収を発生させることができず、レーザー損傷閾値を求めることはできないことが分かった。
この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の原理の一部を示す概念図である。 この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の一実施形態を例示した概念図である。 この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の一実施形態の結果を示すグラフである。 この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法の別の実施形態の結果を示すグラフである。 この出願の発明の光学材料のレーザー損傷評価方法のさらに別の実施形態の結果を示すグラフである。 532nmレーザー光を用いた場合のレーザー損傷評価方法の一実施形態を例示した概念図である。 532nmレーザー光を用いた場合のレーザー損傷評価方法の一実施形態の結果を示すグラフである。 従来のレーザー損傷耐力測定方法の一実施形態を例示した概念図である。
符号の説明
1 Nd:YAGパルスレーザー
2 CLBO結晶
3 プリズム
4 ビームダンパー
5 ミラー
6 1/2波長板
7 偏光子
8 ビームスプリッタ−
9 アテニュエータ
10 パワーメータA
11 短焦点レンズ
12、12A、12B、12C 試料
13 パワーメータB
14、14A、14B 試料

Claims (8)

  1. 光入射エネルギーを増加させながらその透過率の変化を調べたときに、透過率が線形吸収による減少の後、非線形的に減少する挙動を示し、さらに光入射エネルギーを増加させると、破壊となる現象が生じ、且つ非線形的に減少する挙動が光学材料の結晶品質により異なり、その非線形的な透過率減少が二光子吸収によると判断されるパルスレーザー光と光学材料について、入射パルスレーザー光強度を変化させて入射レーザー光強度と透過レーザー光強度を測定し、予め求めておいたレーザー損傷閾値の分かった同種の複数の結晶材料における入射パルスレーザー強度を変化させた入射光強度と透過レーザー光強度を測定した結果と比較して、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とするレーザー損傷評価方法。
  2. 光学材料に、Nd:YAGレーザーより出射したレーザー光を波長変換して得られた高調波パルスレーザー光を集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項1に記載のレーザー損傷評価方法。
  3. 光学材料に、パルスレーザー光を紫外レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項1に記載のレーザー損傷評価方法。
  4. 光学材料に、パルスレーザー光をフェムト秒レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項1に記載のレーザー損傷評価方法。
  5. CLBO光学結晶に、Nd:YAGレーザーより出射したレーザー光を波長変換して得られた波長が266nmであってパルス幅が5〜6nsのパルスレーザー光を集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項2に記載のレーザー損傷評価方法。
  6. CaF結晶に、波長が775nmであってパルス幅が100fsのフェムト秒パルスレーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項4に記載のレーザー損傷評価方法。
  7. 石英ガラスに、波長が266nmであってパルス幅が4〜5nsのパルスレーザー光を紫外レーザーにより集光させ、レーザー光照射にともなうレーザー損傷耐力を非破壊で評価することを特徴とする請求項3に記載のレーザー損傷評価方法。
  8. 光学材料に対して、前記パルスレーザー光をスキャンさせ、光学材料内の多数の位置において透過率の低下を測定し、その結果を三次元でマッピングすることで光学材料の材料内全体について品質を評価することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のレーザー損傷評価方法。
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