JP2582680B2 - 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線 - Google Patents

共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線

Info

Publication number
JP2582680B2
JP2582680B2 JP3074123A JP7412391A JP2582680B2 JP 2582680 B2 JP2582680 B2 JP 2582680B2 JP 3074123 A JP3074123 A JP 3074123A JP 7412391 A JP7412391 A JP 7412391A JP 2582680 B2 JP2582680 B2 JP 2582680B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
resin
inner layer
self
fusing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3074123A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04284307A (ja
Inventor
大介 田中
清美 土屋
仁 吉川
雄三 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Totoku Electric Co Ltd
Original Assignee
Totoku Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Totoku Electric Co Ltd filed Critical Totoku Electric Co Ltd
Priority to JP3074123A priority Critical patent/JP2582680B2/ja
Publication of JPH04284307A publication Critical patent/JPH04284307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2582680B2 publication Critical patent/JP2582680B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Organic Insulating Materials (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自己融着性絶縁電線に関
する。更に詳しくは偏向ヨークコイルの巻線に適した、
皮膜を剥離することなくはんだ付け可能な自己融着性ポ
リエステルイミド絶縁電線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自己融着性絶縁電線の融着皮膜は当初ポ
リビニルブチラール樹脂が用いられ、以降ポリアミド樹
脂、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂が主として使用さ
れている。これらの公知の融着皮膜材料は一長一短の特
性を有しており改良の余地が多い。又、絶縁層はポリウ
レタン樹脂、ポリエステル樹脂が当初使用されていた。
【0003】最近の電子部品は高品質、高信頼性が要求
され、偏向ヨークの鞍型コイル(以下DYコイルと略記
する)においても同様で、小型化、広角化に伴い熱変形
の小さい高性能なコイルが要求されている。従ってこれ
に使用する線材は、異形コイルの巻線工程、通電加熱、
加圧接着等の過酷な工程を経るため、絶縁皮膜として耐
熱区分がF〜H種(155〜180℃)のポリエステル
イミド樹脂が用いられ、また、融着皮膜はポリアミド樹
脂或はフェノキシ樹脂が用いられる。これらの融着皮膜
にはそれぞれ長所と短所があり、ポリアミド融着皮膜は
耐熱接着強度の面では優れているが、反面吸湿率が高く
(特にアルコール可溶性の共重合タイプ)DYコイルの
耐吸湿変形性が劣っており、ひねり変形が大きくなると
いう欠点があった。一方フェノキシ融着皮膜は吸湿率が
低く、DYコイルの耐吸湿変形性は良好で、ひねり変形
も小さく寸法安定性に優れているがポリアミド融着皮膜
と比較して接着強度が弱かった。
【0004】また、上記した様な自己融着性絶縁電線の
融着皮膜は、表面滑り性に劣る欠点が有り、また巻治具
からの離型性が悪い欠点がある。従って、従来は接着塗
料の塗布,焼付後その表面に流動パラフィン、冷凍機油
等の液体潤滑剤を塗布していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】絶縁皮膜がポリエステ
ルイミド樹脂、融着皮膜がポリアミド樹脂或はフェノキ
シ樹脂からなる自己融着性絶縁電線を巻線したDYコイ
ルの端末の皮膜剥離は機械的、熱的及び化学的等の手段
で絶縁皮膜を剥離しはんだ付を行わなければならなかっ
た。特にこの剥離作業は絶縁皮膜の熱的強度が向上する
に従って複雑になっており、ポリウレタン絶縁皮膜を用
いた自己融着性絶縁電線と同様に皮膜を剥離することな
く直接はんだ付可能な線材が要求されていた。この要求
に対し絶縁皮膜にはんだ付け可能なポリエステルイミド
樹脂を用いた自己融着性絶縁電線も製造されているが、
絶縁皮膜の耐熱性(熱軟化温度)とはんだ付性とは相反
する特性であり、両特性を同時に満足させることはでき
なかった。
【0006】DYコイルを製造する場合は一対の鞍型形
状の金型に自己融着性絶縁電線を巻き込み、巻線後コイ
ルに通電し、加熱プレス成型を行うため、使用する線材
は特に耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐熱性(絶縁皮膜の熱軟
化温度)が重要視されている。一般に耐熱区分がF〜H
種のはんだ付け可能なポリエステルイミド絶縁電線の熱
軟化温度は280〜300℃とされているが、この絶縁
電線の外周にポリアミド融着皮膜を設けた自己融着性絶
縁電線の熱軟化温度は前記温度よりも30〜50℃低く
なり絶縁皮膜が有する特性値以下に低下するため、DY
コイルに巻線後コイルに通電し、加熱プレス成型を行う
際にコイルがレアショートを起こしてしまうという危険
性があった。
【0007】上記したはんだ付け可能な自己融着性ポリ
エステルイミド絶縁電線の熱軟化温度がはんだ付け可能
なポリエステルイミド絶縁電線の熱軟化温度よりも低く
なる現象は、融着皮膜にポリアミド樹脂を用いた場合に
最も顕著に認められる。この現象を解明するために種々
検討を行った結果、熱軟化試験の際に融着皮膜に亀裂が
発生すると絶縁皮膜までこの亀裂が伝播するという現
象、いわゆる皮膜の”共割れ”現象が認められた。そし
てこの”共割れ”は融着層の熱可塑性皮膜と絶縁層の熱
硬化性皮膜からなる複合皮膜の界面の接着強度に起因す
る現象であることが判明した。従ってこの”共割れ”現
象を防止すれば熱軟化温度が低下しないという結論に達
したものである。
【0008】また、融着皮膜にフェノキシ樹脂を用いた
はんだ付け可能なポリエステルイミド自己融着性絶縁電
線の場合は、前記したような熱軟化温度の低下は認めら
れないものの、はんだ付け可能なポリエステルイミド絶
縁皮膜のはんだ付け性を阻害してしまうという欠点があ
った。
【0009】また、自己融着性絶縁電線の融着皮膜に液
体潤滑剤を塗布する場合は、焼付後に塗布するため、滑
材の塗布工程を必要とするうえに表面に均一に塗布する
ことが困難で安定した滑り性が得られにくく、更にこの
滑材ではDYコイルに巻線後、巻治具からの離型性の面
からも満足な結果が得られず改良の余地があった。
【0010】本発明は上記従来技術が有する問題点を解
決するために為されたものであり、はんだ付性及び耐熱
性(絶縁皮膜の熱軟化温度)を損なわずに、前記”共割
れ”現象を防止し、耐熱接着力がポリアミド融着皮膜と
同等であり、耐吸湿変形性に優れ、また滑り性及びコイ
ルの離型性に優れ、皮膜を剥離することなく直接はんだ
付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、耐熱区分がF〜H種(155〜180℃)
のはんだ付け可能なポリエステルイミド絶縁塗料を導体
上に塗布,焼付して絶縁皮膜を設け、次にこの絶縁皮膜
上にブロム化ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を有機溶
剤に溶解してなる”共割れ”現象防止の内層皮膜用塗料
(以下、内層皮膜用塗料と略記する)を塗布,焼付して
0.001 mm厚さ以上の”共割れ”現象防止の内層皮膜を
設け、更にこの内層皮膜上に,融点が130〜200
℃, 平均分子量が30,000〜100,000の範囲
にある非晶質の分子構造を有するポリアミド樹脂(以
下、ポリアミド樹脂と略記する)とビスフェノール−グ
リシジルエーテル型のエポキシ樹脂(以下、エポキシ樹
脂と略記する)を有機溶剤中で反応させ、更に添加剤及
び滑剤を加えたエポキシ変性ポリアミド樹脂を主成分と
する接着塗料(以下、エポキシ変性ポリアミド樹脂接着
塗料と略記する)を塗布,焼付して前記内層皮膜との厚
さの比が2:8ないし3:7とした外層融着皮膜を設け
た共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な
自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線にある。
【0012】また、前記”共割れ”現象防止の内層皮膜
用塗料に用いられるブロム化ポリヒドロキシポリエーテ
ル樹脂は、下記化学式1で示される,R1 は少なくとも
1つがBr で残りがHとなる構造の分子量30,000
以上の樹脂である。
【0013】
【化1】
【0014】また、滑剤としては硫黄原子を含有した分
子量500〜1,500の脂肪族ポリエステル化合物
(以下、硫黄原子含有脂肪族ポリエステル化合物と略記
する)が好ましく用いられる。
【0015】本発明で使用されるはんだ付け可能なポリ
エステルイミド絶縁塗料は、絶縁皮膜の熱軟化温度とは
んだ付け温度の二律背反の関係にある両特性をバランス
良く両立させる必要があり、この両特性を満足させるは
んだ付け可能なポリエステルイミド絶縁塗料としては、
ISOWELD 1743(日触スケネクタディー社商
品名)及びF249,F316(東特塗料社商品名)等
を挙げることができる。
【0016】前記ブロム化ポリヒドロキシポリエーテル
樹脂は、一例を挙げれば公知常法によりブロム化ビスフ
ェノールAとエピクロルヒドリンの当モル反応比で得ら
れる分子量30,000以上の臭素化エポキシ樹脂で,
具体的にはYPB40CSB25−B20(東都化成社
商品名)が用いられる。このブロム化ポリヒドロキシポ
リエーテル樹脂が最適である理由は、第一に吸水性が少
なく、分子構造中に外層のエポキシ変性ポリアミド樹脂
のアミド基と強力に結合する極性基を有していないため
に”共割れ”現象が防止され、またブロム化ポリヒドロ
キシポリエーテル分子中の臭素原子の作用により皮膜が
熱分解を受け易くなり、且つ皮膜の分解残渣が少なく、
はんだ付け可能なポリエステルイミド絶縁皮膜のはんだ
付け性を阻害しないためである。
【0017】なお、内層皮膜の厚さにより”共割れ”現
象防止の効果が影響され、特に厚さが極端に薄い場合
(0.001mm未満)は、その効果が認められず、ま
た、厚い場合(外層融着皮膜との比率が60%を越えた
場合)は外層融着皮膜の接着特性にも影響を及ぼすた
め、内層皮膜の厚さは、0.002〜0.003mmと
し、且つ内層皮膜と外層融着皮膜の厚さの比は、2:8
ないし3:7とするのが好ましい。
【0018】また、本発明で使用されるエポキシ変性ポ
リアミド樹脂接着塗料の主成分として用いられるエポキ
シ変性ポリアミド樹脂は有機溶剤の存在下で常法に従っ
て非晶質ポリアミド樹脂の水酸基の全部又は一部をエポ
キシ樹脂のエポキシ基と反応させ変性したものである。
【0019】また、本発明で使用されるポリアミド樹脂
の具体例としてはグリロンCA−6E,同CR−9(エ
ムス社商品名)等のナイロン−12を主成分とする共重
合ポリアミド樹脂が挙げられる。
【0020】エポキシ樹脂の具体例としてはエピコート
1007(シェル化学社商品名)等を挙げることができ
る。エポキシ樹脂で非晶質ポリアミド樹脂を変性するこ
とにより融着皮膜の乾燥性、耐久性、耐薬品性が改善さ
れ、更にコイルの耐吸湿変形性及び離型性の向上に寄与
する。
【0021】エポキシ変性ポリアミド樹脂接着塗料の添
加剤としてはフェノール樹脂等が用いられる。フェノー
ル樹脂は接着塗料の粘度調整剤及び流れ調整剤として不
可欠である。具体例としてはヒタノール1140(日立
化成社商品名)等のアルキルフェノール樹脂を挙げるこ
とができる。
【0022】前記滑剤の硫黄原子含有脂肪族ポリエステ
ル化合物の一例を挙げれば、ペンタエリスリトールテト
ラキス−(3−ラウリル−チオプロピオネート)、See
nox412S(シプロ化成社商品名)等が挙げられる。
【0023】
【化2】
【0024】この硫黄原子含有脂肪族ポリエステル化合
物は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系
樹脂又はゴム等の酸化防止剤として用いられるが、これ
が接着塗料中に添加される滑剤として用いられる時は、
滑り性や巻治具からの離型性に極めて優れた効果を発揮
する。なお、分子量を500〜1,500に限定した理
由は、分子量が500未満では接着塗料を絶縁導体上に
塗布、焼付けする際の融着皮膜が形成される過程で、滑
剤が表面に十分に拡散移行されず、また分子量が1,5
00を越えると、滑剤と接着塗料中の樹脂とが分離して
しまうためである。
【0025】
【作用】ブロム化ポリヒドロキシポリエーテル樹脂から
なる”共割れ”現象防止の内層皮膜を、耐熱区分がF〜
H種(155〜180℃)のはんだ付け可能なポリエス
テルイミド絶縁皮膜を介して導体上に設け、更に前記内
層皮膜上にエポキシ変性ポリアミド融着皮膜を設けた本
発明の自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線は、内層
皮膜樹脂の分子中に外層のエポキシ変性ポリアミド融着
樹脂のアミド基と強力に結合する極性基を有していない
ため界面の接着強度が比較的弱く、熱軟化試験時更には
コイルの加熱プレス成型時において、外層のエポキシ変
性ポリアミド融着皮膜に亀裂が生じても直ちに絶縁層に
は伝播せず、一旦内層皮膜で受け止められ、この内層皮
膜がクッションの働きをするので”共割れ”現象が防止
でき、従ってポリアミド融着皮膜を用いたはんだ付け可
能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線よりも熱軟
化温度が高くなる。
【0026】また、内層皮膜のブロム化ポリヒドロキシ
ポリエーテル樹脂中の臭素原子の作用により、皮膜が熱
分解を受け易くなり、且つ分解残渣も少ないのではんだ
付け可能なポリエステルイミド絶縁皮膜のはんだ付け性
を阻害しないものと推定される。
【0027】また、外層融着皮膜に用いたエポキシ変性
ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂の水酸基の全部又は
一部がエポキシ樹脂のエポキシ基と反応し閉塞されてい
るので融着皮膜の耐熱性が向上し、またコイルの耐吸湿
変形性及び巻治具からの離型性も良好となる。
【0028】滑剤として添加する硫黄原子含有脂肪族ポ
リエステル化合物は、非極性のメチレン鎖が炭素原子を
中心にして前後左右対称的に配置している構造であり、
焼付け工程中において溶剤が飛散するに従って塗膜の表
面へ移行し、更に融着皮膜が形成される最終段階では長
いメチレン鎖を皮膜表面に向けて配列し、非極性の単分
子膜が形成され、優れた滑り性と離型性を皮膜に付与す
る。なお、分子中の硫黄原子は、2価であり最高の酸化
状態では更に2個の酸素を取り込むことができるため、
従来の滑剤より熱安定性が良好となる。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。なお本発明は
実施例に限定されるものではない。 1.使用する塗料 はんだ付け可能なポリエステルイミド絶縁塗料 ISOWELD 1743(日触スケネクタディー社商
品名) 濃度32% ”共割れ”現象防止の内層皮膜
用塗料 プロム化ポリヒドロキシポリエーテル樹脂(YPB40
CSB25−B20東都化成社商品名)をクレゾール、
キシレンの混合溶剤に溶解してなる濃度13%の塗料 エポキシ変性ポリアミド樹脂接着塗料 攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けた2,000mlの
セパラブル丸底フラスコにポリアミド樹脂としてグリロ
ンCA−6E(エムス社商品名)を122.5g、グリ
ロンCR−9(エムス社商品名)を44.5g、エポキ
シ樹脂としてエピコート1007(シェル化学社商品
名)を22.3g、更に溶剤としてm−クレゾール/キ
シロール=6/4を1,290g加え、攪拌しながら徐
々に加熱した。内部温度が120℃に到達したら、更に
その温度で3時間加熱攪拌を続けてポリアミド樹脂とエ
ポキシ樹脂を反応させた。この反応溶液を室温まで冷却
した後、添加剤として、ヒタノール1140(日立化成
社商品名)をm−クレゾール/キシロール=6/4の溶
剤で30%に溶解した溶液を18.57g、更に滑剤と
してSeenox 412S(シプロ化成社商品名)を5.8
5g加え、十分攪拌して濃度13%のエポキシ変性ポリ
アミド樹脂接着塗料を調製した。
【0030】2.共割れ現象防止の内層皮膜を有するは
んだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線
の製造 試料Aとして導体径0.34mmφ、及び試料Bとして
0.30mmφの軟銅線に前記のはんだ付け可能なポリ
エステルイミド絶縁塗料を塗布,焼付けして絶縁皮膜を
設け、次にこの外周にの内層皮膜用塗料を塗布,焼付
けして内層皮膜を設け、更にこの外周にのエポキシ変
性ポリアミド樹脂接着塗料を塗布,焼付けして外層融着
皮膜を設け、皮膜厚さ0種のはんだ付け可能な自己融着
性ポリエステルイミド絶縁電線を製造した。なお、製造
条件として、絶縁塗料の焼付は炉長2.5mの横型熱風
焼付炉を用い、炉温440℃、線速は0.30mmが50
m/分、0.34mmが43m/分で塗布,焼付した後、
内層皮膜用塗料及びエポキシ変性ポリアミド樹脂接着塗
料の焼付は炉長2.5mの横型熱風焼付炉を用い、炉温
320℃、線速は各サイズとも前記と同様にして7回
(内層皮膜2回、外層融着皮膜5回)塗布,焼付し、更
に外層融着皮膜の表面に流動パラフィンを塗布した。な
お、内層皮膜と外層融着皮膜の厚さの比率は2:8を目
標にして製造した。
【0031】比較例 比較例について説明する。なお、絶縁塗料は実施例と同
一のものを使用し、また内層皮膜用塗料は使用していな
い。 1.使用する接着塗料 (1) ポリアミド樹脂接着塗料 ポリアミド樹脂としてグリロンCA−6E 122.5
gとグリロンCR−944.5gをmクレゾール/キシ
レン=6/4の溶剤1118g中に溶解し濃度13%に
調製した接着塗料。 (2) フェノキシ樹脂接着塗料 フェノキシ樹脂としてYP50 (東都化成社商品名)
16.7gをm−クレゾール/キシレン=6/4の溶剤
1118gに溶解し濃度13%に調製した接着塗料。
【0032】2.自己融着性ポリエステルイミド絶縁電
線の製造 比較例1 試料Aとして導体径0.34mmφ、及び試料Bとして
0.30mmφの軟銅線に前記実施例の絶縁塗料を塗
布,焼付して絶縁皮膜を設け、次に(1) のポリアミド樹
脂接着塗料を塗布,焼付して融着皮膜を設け、皮膜厚さ
0種のはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド
絶縁電線を製造した。なお製造条件として、接着塗料の
塗布,焼付回数は7回とし、融着皮膜は実施例の各サイ
ズに相当する,内層皮膜と外層融着皮膜を加えた厚さに
合わせ、その他は実施例と同様にして製造した。 比較例2 接着塗料として(2) のフェノキシ樹脂接着塗料を用い、
その他は比較例1と同様にして自己融着性ポリエステル
イミド絶縁電線を製造した。
【0033】特性試験 前記実施例及び比較例1、2の自己融着性ポリエステル
イミド絶縁電線の特性を表1に示す。なお、試験方法は
JIS C 3003エナメル銅線試験方法に準拠し
た。この表において内層皮膜厚(注1)は製造中にレー
ザー外径測定器で測定した値、融着皮膜厚(注2)は実
施例の場合は内層皮膜を含んだ値、ひねり性(注3)の
規格は1.0mm以下、ひねり性(注4)の規格は1.
0mm以下、また治具離型性(注5)に於いて実施例は
離型剤を使用していないが、比較例1、2は離型剤を使
用している。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなように本発明の自己融着
性ポリエステルイミド絶縁電線は比較例1のポリアミド
融着皮膜を使用した自己融着性ポリエステルイミド絶縁
電線よりも熱軟化温度が20〜30℃高くなっている。
またはんだ付け性は、比較例2のフェノキシ融着皮膜を
使用した自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線が不可
であるのに対し良好で、更に比較例1よりも良い値を示
す。またDYコイル耐熱変形性は比較例1と殆ど変わら
ず良好であり規格を満足している。またDYコイル湿熱
変形性は比較例2と殆ど変わらず良好であり規格を満足
している。更に滑り性(動摩擦係数)及び離型性も良好
である。
【0036】
【発明の効果】本発明の自己融着性ポリエステルイミド
絶縁電線は、外層融着皮膜としてエポキシ変性ポリアミ
ド融着皮膜を使用しているので接着力が高くなる。また
ポリアミド融着皮膜の欠点である”共割れ”現象による
熱軟化温度の低下はブロム化ポリヒドロキシポリエーテ
ル樹脂の内層皮膜を設けることにより防止される。また
この内層皮膜ははんだ付け可能なポリエステルイミド絶
縁皮膜のはんだ付け性を阻害しないのではんだ付け性に
優れた自己融着性絶縁電線となる。
【0037】また偏向ヨークコイルに巻線した場合、コ
イル線間の接着力はポリアミド融着皮膜と同等の値を示
し、フェノキシ融着皮膜を使用した自己融着性絶縁電線
の欠点であったコイル窓側部分の線密度の少ない1本並
びの箇所の接着力が向上する。またポリアミド融着皮膜
を使用した自己融着性絶縁電線よりもコイルの耐吸湿変
形性(湿熱変形性)が良好となり、コイルのひねり変形
が小さくなる。
【0038】更に本発明に於いては滑材として硫黄原子
を含有した脂肪族ポリエステル化合物を用いているの
で、コイル巻線時の滑り性が良好となると共にコイル離
型性に優れたものとなる。
【0039】従って本発明の自己融着性ポリエステルイ
ミド絶縁電線は、皮膜を剥離せず、直接はんだ槽にコイ
ルの端末を浸漬することによりはんだ付けが可能であ
り、F〜H種(155〜180℃)の耐熱性を有し、特
に偏向ヨークコイル用の自己融着性絶縁電線として有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−142018(JP,A) 特開 平2−223107(JP,A) 特開 平1−93005(JP,A) 特開 平1−265411(JP,A) 特開 昭63−226816(JP,A) 特開 平2−253511(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱区分がF〜H種(155〜180
    ℃)のはんだ付け可能なポリエステルイミド絶縁塗料を
    導体上に塗布,焼付して絶縁皮膜を設け、次にこの絶縁
    皮膜上にブロム化ポリヒドロキシポリエーテル樹脂を有
    機溶剤に溶解してなる”共割れ”現象防止の内層皮膜用
    料を塗布,焼付して0.001 mm厚さ以上の”共割れ”
    現象防止の層皮膜を設け、更にこの内層皮膜上に,融
    点が130〜200℃, 平均分子量が30,000〜1
    00,000の範囲にある非晶質の分子構造を有するポ
    リアミド樹脂とビスフェノール−グリシジルエーテル型
    のエポキシ樹脂を有機溶剤中で反応させ、更に添加剤及
    び滑剤を加えたエポキシ変性ポリアミド樹脂を主成分と
    する接着塗料を塗布,焼付して前記内層皮膜との厚さの
    比が2:8ないし3:7とした外層融着皮膜を設けたこ
    とを特徴とする、共割れ現象防止の内層皮膜を有するは
    んだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電
    線。
  2. 【請求項2】 前記”共割れ”現象防止の内層皮膜用塗
    料に用いられるブロム化ポリヒドロキシポリエーテル樹
    脂は、下記化学式1で示される,R 1 は少なくとも1つ
    がBr で残りがHとなる構造の分子量30,000以上
    の樹脂であることを特徴とする請求項1記載の共割れ現
    象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性
    ポリエステルイミド絶縁電線。 【化1】
  3. 【請求項3】 前記滑剤は、硫黄原子を含有した分子量
    500〜1,500の脂肪族ポリエステル化合物である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の共割れ現象防止
    の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエ
    ステルイミド絶縁電線
JP3074123A 1991-03-13 1991-03-13 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線 Expired - Lifetime JP2582680B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3074123A JP2582680B2 (ja) 1991-03-13 1991-03-13 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3074123A JP2582680B2 (ja) 1991-03-13 1991-03-13 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04284307A JPH04284307A (ja) 1992-10-08
JP2582680B2 true JP2582680B2 (ja) 1997-02-19

Family

ID=13538114

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3074123A Expired - Lifetime JP2582680B2 (ja) 1991-03-13 1991-03-13 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2582680B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7163509B2 (en) 2002-12-19 2007-01-16 Pentax Corporation Component of endoscope and endoscope provided with the component

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63226816A (ja) * 1987-03-16 1988-09-21 古河電気工業株式会社 自己融着性絶縁電線
JPH0193005A (ja) * 1987-10-05 1989-04-12 Dainichiseika Color & Chem Mfg Co Ltd ハンダ処理可能な自己融着性絶縁電線
JPH0715805B2 (ja) * 1988-04-18 1995-02-22 大日精化工業株式会社 ハンダ処理可能な自己潤滑性絶縁電線
JP2827236B2 (ja) * 1988-11-24 1998-11-25 住友電気工業株式会社 自己融着性絶縁電線及びそのコイル
JPH0624083B2 (ja) * 1989-02-22 1994-03-30 東京特殊電線株式会社 半田付可能な自己融着性ポリエステルイミド系絶縁電線
JPH02253511A (ja) * 1989-03-28 1990-10-12 Hitachi Cable Ltd 耐熱自己融着性エナメル線

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7163509B2 (en) 2002-12-19 2007-01-16 Pentax Corporation Component of endoscope and endoscope provided with the component

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04284307A (ja) 1992-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR950007086B1 (ko) 동(銅)합금선과 절연전선으로 구성된 다중코어 결합선
JP2582680B2 (ja) 共割れ現象防止の内層皮膜を有するはんだ付け可能な自己融着性ポリエステルイミド絶縁電線
JP4245244B2 (ja) 絶縁電線
US5219658A (en) Self-bonding insulated wire and coils formed therefrom
US4810577A (en) Heat and oil-resistant electric insulated wire
WO1998022955A1 (fr) Cable isole auto-fusible
JP3525060B2 (ja) 自己融着性絶縁塗料およびこれを用いた自己融着性絶縁電線
JP3487340B2 (ja) 自己融着線、多芯自己融着線及びこれらを用いた偏向ヨークコイル
JP4782906B2 (ja) 絶縁電線
JP2002358836A (ja) 自己融着性エナメル線
JPS6161487B2 (ja)
JP2592050B2 (ja) 自己融着性塗料
JPH11306865A (ja) 自己融着性絶縁電線
JPH02223107A (ja) 半田付可能な自己融着性ポリエステルイミド系絶縁電線
JP3114940B2 (ja) 自己融着性エナメル線
KR100303861B1 (ko) 자기융착성 절연전선용 바니시 조성물
JPH01161607A (ja) 自己融着性絶縁電線
JPH11297124A (ja) 耐熱自己融着性エナメル線
JPH08185735A (ja) 集合絶縁電線の製造方法
JPH0160070B2 (ja)
JPH0773746A (ja) 自己融着性絶縁電線
JPH0223961B2 (ja)
JPS60223868A (ja) 自己融着性エナメル線
JP2003016847A (ja) 自己融着性絶縁電線
JPH1153952A (ja) 低臭気性自己融着性マグネットワイヤ