JP2580334B2 - パイロット噴射制御装置 - Google Patents

パイロット噴射制御装置

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JP2580334B2
JP2580334B2 JP1193516A JP19351689A JP2580334B2 JP 2580334 B2 JP2580334 B2 JP 2580334B2 JP 1193516 A JP1193516 A JP 1193516A JP 19351689 A JP19351689 A JP 19351689A JP 2580334 B2 JP2580334 B2 JP 2580334B2
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良光 辺田
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電歪式アクチュエータを用いたディーゼル機
関用燃料噴射装置の噴射率制御装置に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
ディーゼルエンジンにおいて、各噴射サイクル毎に主
噴射に先行してパイロット噴射を行えば、燃焼騒音やNO
xを低減させる上で有効であることが知られている。例
えば、特開昭61−25925号公報、特開昭62−3133号公報
には、噴射ポンプの噴射経路に、印加電圧に応じて伸縮
する電歪式アクチュエータを組み込み、所定の時期に前
記電歪式アクチュエータを制御することによって、パイ
ロット噴射を行うものが示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、電歪式アクチュエータへの高電圧印加時
期、すなわちパイロット制御時期は、最適な時期に制御
しなければ燃焼騒音、NOx等の低減効果が得られない。
例えば、上記特開昭61−25925号公報には、プランジャ
により昇圧されるポンプ室圧力に比例して電歪式アクチ
ュエータに発生する電圧を検出し、この電圧が所定値に
なった時をパイロット制御時期とする方式が示されてい
る。
ところが、このパイロット噴射時期は、主噴射に対し
一定の時期ではなく、実際には高回転ほど早い時期、す
なわち、電歪式アクチュエータの発生電圧が低い時点に
パイロット制御時期を設定しなければ、主噴射と分離し
た最適なパイロット噴射形態とはならない。即ち、少な
くともある回転数以上(エンジン回転数約2000rpm以
上)では、前記発生電圧が生じる前にパイロット時期を
設定しなければ、最適なパイロット噴射形態とはならな
いという問題が生じた。特に最近は、直噴射ディーゼル
エンジンに対し、高速高負荷領域に至るまでの騒音及び
排気エミッション低減の要求が高まってきており、高速
高負荷領域でもパイロット噴射を最適な形態で実行する
必要性が大きいのでなおさらである。
プランジャリフト量の影響を受けない制御時期を得る
方法としては、高精度なポンプ角度センサを具備させ、
それに基づいて運転状態に応じた制御時期を設定する方
式があるが、調量を電子制御で行う噴射ポンプの場合は
前記角度センサを調量のためにもともと具備しているこ
とが多いが、パイロット噴射時期の決定に新たに複雑な
マップを設定せねばならない。また、メカニカルな調量
を行う噴射ポンプの場合は、高精度な角度センサを新た
に具備する必要があり、上記方式では大幅なポンプ構造
変更を要し、コストが高くなってしまうという問題があ
る。
本発明は、以上の問題点に基づき、高速時でも最適な
パイロット噴射が得られる制御装置を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
このため、本発明では、以前の噴射における可変容積
室とポンプ室とを連通するポートの開閉時期を検出し
て、この検出信号に応答してパイロット噴射を実行する
時期を決定するようにした。
〔作用〕
この構成により、プランジャが今回の噴射における加
圧作用を開始するよりも以前の所定の時期を起点として
今回のパイロット噴射時期を決定できるので、たとえ高
速時であってもパイロット噴射時期の決定が早く行われ
るため、パイロット噴射の実行が遅れることがなくな
り、最適な形態でパイロット噴射を実行することが可能
となる。
〔実施例〕
以下、本発明装置になる実施例を説明する。第1図は
本発明が適用される燃料噴射装置の構造図である。
第2図は第1図中のプランジャ6の先端部付近の拡大
断面図、第3図は第2図中のR−R線に沿う断面図であ
る。
第1図において、燃料噴射ポンプ1に噴射率制御装置
2が取付けられている。
まず、燃料噴射ポンプ1について説明する。ポンプケ
ーシング4のシリンダボア5内に摺動自在に支持された
プランジャ6は、エンジン回転数の1/2に同期して回転
往復運動を行う。即ち、エンジンの回転はギヤ又はタイ
ミングベルトを介して駆動軸(図示せず)に伝達され、
プランジャ6はこの駆動軸により同軸的に回転駆動され
るとともに、プランジャ6と一体的に結合されたフェイ
スカム7がローラ8に係合することにより往復運動す
る。
フェイスカム7はバネ(図示せず)により常時図の左
方に付勢されてローラ8に当接されており、プランジャ
6の往復運動は、軸心周りに回転してフェイスカム7の
カム面の形状に従うことにより行われる。プランジャ6
は、その外周に1個の分配ポート9とエンジン気筒数と
同数個の吸入ポート10とが形成され、このプランジャ6
の先端面とシリンダボア5との間には、プランジャ6に
より昇圧されるポンプ室3が形成される。
ポンプケーシング4には、低圧室15とこの低圧室15を
シリンダボア5に連通する吸入通路(図示せず)と、外
部の各噴射弁11をシリンダボア5に導通可能な分配通路
12が形成される。分配通路12はエンジン気筒数と同数個
設けられるとともに、その途中にはそれぞれデリバリ弁
13が設けられる。デリバリ弁13はばね14に抗して開口可
能であり、逆止弁としての機能及び吸戻し弁としての機
能を有する。
しかして、プランジャ6が第1図中において左行して
ポンプ室3が膨張する時、いずれかの吸入ポート10が吸
入通路(図示せず)を通じて低圧室15と導通して、この
低圧室15内の燃料がポンプ室3に吸入されるようになっ
ている。これとは逆に、プランジャ6が第1図中におい
て右行してポンプ室3が縮小加圧される時、分配ポート
9がいずれかの分配通路12に導通してポンプ室3内の燃
料が外部に送出される。
燃料の送出はプランジャ6が右行を始めた時に始ま
り、さらにプランジャ6が右行してスピルポート16がス
ピルリング17の右端面より低圧室15内へと開放された時
に終わる。ここで、スピルポート16は、プランジャ6に
設けられてポンプ室3と低圧室15とを導通するための開
口であり、スピルリング17は短いシリンダ状であって、
その内孔をプランジャ6が摺動するものである。スピル
リング17は、レバー18によってその固定位置を変えるこ
とができ、スピルリング17の位置によってポンプ室3か
らの燃料の吐出量を変えることができる。レバー18は間
接的にアクセルレバーと連動している。
シリンダ19の右端面には、盲栓20をネジ21によりネジ
込んで、断面が三角形状の環状突起22によりポンプ室3
の圧力漏洩を防いでいる。
本発明が適用される燃料噴射ポンプには、さらにポン
プ室3とスピルポート16とを結ぶプランジャ6の中央ポ
ート23に導通するポートB24、該ポートB24に導通するプ
ランジャ外周の溝部25を形成してある。さらに、シリン
ダ19には、シリンダボア5に開口するポートA26とポー
トC27とが形成されている。
ポートA26と外周溝25との位置関係は、第2図の部分
拡大図に示す様にプランジャ6が一定リフト(第2図中
に示すリフトA)するまで導通状態であり、一定リフト
後に遮断される様にしてある。さらに、ポートA26の第
2図中のR−R線に沿う断面図は第3図に示される様に
角穴状としてある。
次に、噴射率制御装置2について説明する。噴射率制
御装置2は、ポンプケーシング4の凹部28に設置されて
いる。凹部28内に挿入されたケーシング29の中には、第
1図に示されるように上から電歪式アクチュエータ30、
ピストン31が収納され、ケーシング29の下端面とポンプ
ケーシング4の凹部28の底面との間にはパッキン32が配
置され、ケーシング29はネジ33によりパッキン32を押圧
した状態でポンプケーシング4に固定されている。
ピストン31の下端面とポンプケーシング凹部28の底面
との間で形成され、パッキン32で密閉された可変容積室
34内には、板バネ35を配設してピストン31を介して、電
歪式アクチュエータ30に常に上向きの押圧力を加える様
にしてある。そして、可変容積室34はポートC27、なら
びにポートA26と導通している。また、ポートAはプラ
ンジャ6のリフト位置に応じて開閉制御されるものであ
り、ポートAが開いている時はポンプ室3と可変容積室
34とが連通する。
また、可変容積室34の圧力がピストン31を介して電歪
式アクチュエータ30側に漏洩しないように、ピストン31
の摺動面とケーシング29の摺動面とは摺動に必要な僅か
なクリアランスを有して油密に形成されている。
電歪式アクチュエータ30は薄い円盤状(φ15mm×t0.5
mm)の電歪素子を約50枚積層して円柱状となしたもので
ある。この電歪素子はPZTと呼ばれるセラミック材料製
であり、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分としており、そ
の厚み方向に500V程度の電圧を印加すると1μm程度伸
びる。これを50枚積層して各々の素子の厚み方向に500V
印加すると、全体として50μmの伸張が得られる。この
電圧を解除するか又は若干の負電圧を印加すれば、50μ
mの縮小を起こして元の長さに戻る。また、この電歪式
アクチュエータ30に軸方向圧縮の荷重をかけた時は1枚
1枚の電歪素子には荷重に比例した電圧が発生する。例
えば、500kgの負荷で500Vの電圧が発生する。これらの
電歪素子及び電歪式アクチュエータの性質は公知であ
る。
電歪式アクチュエータ30への所定の時期における電圧
の印加、ショート、オープン等の操作はリード線36を介
して外部の制御回路であるコントローラ100によって制
御される。
電歪式アクチュエータ30の伸縮作用はピストン31に伝
えられ、可変容積室34の容積を縮小・拡大する。
次に、ポートA26の開閉位置関係について説明する。
第4図は第1図中のプランジャ6(またはフェイスカ
ム7)の回転角とプランジャ6のリフト量の関係、及び
ポートA26の開閉状態を示す作動説明図である。なお、
プランジャ6(またはフェイスカム7)の回転角は横軸
に表されている。第4図の波形において、90゜毎に示さ
れている山状の凸部はプランジャ6の往復動を示すもの
で、即ちフェイスカム7のリフト量を示している。燃料
の噴射は、フェイスカムのリフト上昇中に実行される。
尚、この図は4気筒用ポンプの場合である。
ポートA26は、フェイスカム7が所定リフト(第2図
及び第4図中にリフトAとして示す)以上で閉となり、
所定リフト(リフトA)以下で開となる。このリフトA
は、ポンプ室3の圧力が噴射ノズル11と開弁圧以上とな
り、実際に噴射が開始する時のカムリフト量よりも、わ
ずかに大きいリフト量に設定してある。
ここで、「ポートA26開」とは、ポートA26とプランジ
ャ6の外周に設けた溝部25とが導通する状態であり、
「ポートA26閉」とは、ポートA26とプランジャ6の外周
溝部25とが遮断された状態である。
従って、今カムリフトの上昇が開始する、即ちポンプ
の圧送行程が開始すると、プランジャ6によって加圧さ
れたポンプ室3の圧力が、中央ポート23→ポートB24→
プランジャ6の外周の溝部25→ポートA26→ポートC27を
介して可変容積室34へと導入される。一方、プランジャ
6がリフトAだけリフトすると、ポートA26はプランジ
ャ6の外周の溝部25と遮断されて閉じられ、その後は可
変容積室34はポンプ室3から遮断され密室状態となるた
め、以後はカムリフト量に関係なく遮断した時点の圧力
がそのまま保持されることになる。その後、プランジャ
6が最大カムリフト位置を過ぎ、下降途中のリフトAの
リフト位置に達したところで、可変容積室34とポンプ室
3とは再び連通し、可変容積室34に保持されていた圧力
はすでに低圧となっているポンプ室3へ抜け、可変容積
室34の圧力は低圧となる。
そして、本実施例では、このポートA26の閉→開とな
る時期を検出して、パイロット噴射の制御時期の決定に
反映させている。これについては後で詳しく述べる。
次に、上記構成による従来の作用・作動を説明する。
第5図は第1図中のプランジャ6(またはフェイスカ
ム7)の回転角を横軸にとり、各部の状態変化を示した
作動説明図であり、(A)はポンプ室3内の圧力変化、
(B)は可変容積室34内の圧力変化、(C)は電歪式ア
クチュエータ30の端子間の電圧変化、(D)は噴射弁11
からの燃料の噴射率変化、(E)はプランジャ6と一体
的に形成されたフェイスカム7のカムリフトをポートA2
6の開閉状態と共に各々示したものである。
第5図において、第1図に示される電歪式アクチュエ
ータ30をショートさせなかった時、即ち電気的にオープ
ンとした時には、ポンプ室3の圧力は第5図(A)の破
線で示した曲線となる。図中に示す凸部分が燃料圧送カ
ムの上昇行程であって、プランジャ6が第5図(E)に
示すカムリフトにより第1図中において右行し、かつ、
スピルポート16がスピルリング17によって覆われている
時に対応する。このうち、噴射弁11の開弁圧及び閉弁圧
より高い部分が噴射に寄与する部分である。すなわち、
この期間噴射弁11は開弁しており、その開弁リフトはそ
の圧力と比例している。よって、噴射量もその圧力と概
ね比例している。
噴射弁11からの単位時間当りの燃料噴射量、すなわち
燃料噴射率は第5図(D)のようになる。
燃料の圧送行程において、第5図(A)のようにポン
プ室3内の圧力が上昇し始めると、この時点ではまだポ
ートA26とポンプ室3とは導通状態にあるため、可変容
積室34内の圧力も上昇し始める。
電歪式アクチュエータ30にはこの時の圧力に比例した
電荷が生じ、第5図(C)に示す電圧が発生する。
さらに圧送が続き、カムリフト量が第5図の(E)中
に示されるリフトAとなった時、ポートA26とポンプ室
3との導通は断たれる。この後、さらに圧送が続き、ポ
ンプ室3の圧力はさらに上昇を続け、また、第5図
(D)の噴射率も上昇し続ける。
一方、第5図(B)の可変容積室34の圧力変化は可変
容積室34がポートA26との導通を断たれると同時に、圧
力の逃げ場のない密室を形成するため、圧力の上昇がな
く低下もない状態で維持される。第5図(C)の電歪式
アクチュエータ30の発生電圧は、第5図(B)の可変容
積室34の圧力と同様に変化する。
ここまでは、電歪式アクチュエータ30を電気的にオー
プンした時、即ち、パイロット噴射を実行しないときの
説明をしてきたが、次に噴射率制御時の説明に入る。
第5図中の実線は、パイロット噴射時、すなわち噴射
率制御時の各部の状態を示す。
ポンプが圧送を開始すると、ポンプ室3および可変容
積室34の圧力は上昇していき、電歪式アクチュエータ30
に油圧に比例した押圧力が加わるため、電歪式アクチュ
エータ30の端子電圧は第5図(C)の如く上昇してい
く。この端子電圧が所定の(開弁圧前の所定の圧力に相
当する)電圧になった時に、電歪式アクチュエータ30に
外部より高電圧を印加してやると、電歪式アクチュエー
タ30は伸長し、可変容積室34の圧力は第5図(B)の実
線のように急に高くなり、開弁圧を越える。従って、ノ
ズル11より燃料を噴射するが、電歪式アクチュエータ30
の伸長による仕事の大半は油圧を開弁圧以上に加圧され
るのに費やされ、吐出量としては1〜2mm3にすぎない。
電歪式アクチュエータ30が伸長してパイロット噴射を行
った直後、電歪式アクチュエータ30の印加電圧を解除す
ると(第5図(C))電歪式アクチュエータ30は収縮
し、可変容積室34の圧力は低下するため、噴射が中断す
る(第5図(D))。このようにしてパイロット噴射を
実現している。その後はプランジャ6の右行により再び
ポンプ室3の圧力は高くなり、メイン部の噴射が行われ
る。
さらにその後圧送が続き、カムリフト量が第5図
(E)に示されるリフトAとなった時、ポートA26とポ
ンプ室3との導通は断たれ、可変容積室34内にはその直
前の圧力が閉じ込められる状態となる(第5図
(B))。よって、電歪式アクチュエータ30の発生電圧
(第5図(C))も同様の状態を示す。
その後、圧送行程が終了し、カムリフトが下降行程に
入り、再びポートA26がポンプ室3と導通した時にはポ
ンプ室3内の圧力はフィード圧となっているので、可変
容積室34内に閉じ込められた圧力は低圧部に向かって流
出して圧力が低下する(第5図(B))。電歪式アクチ
ュエータ30の端子間の発生電圧も同様に変化する(第5
図(C))。
ところで、この噴射率制御装置2を特に直噴ディーゼ
ルエンジンに適用する場合、エンジンの高速時・高負荷
時までパイロット噴射を行いたいという要求が出てき
た。これは、最近特に直噴ディーゼルエンジンにおいて
は高速時、高負荷時の燃焼騒音やNOx・THCなどの排気エ
ミッションが問題となっているのに対し、高速時・高負
荷時にも従来低負荷時でしか行われなかったパイロット
噴射を行うことによって、燃焼騒音や排気エミッション
の低減が可能であることが判明したからである。高速時
・高負荷時におけるパイロット噴射の効果について、発
明者らが実験により明らかにした結果を次に示す。
第6図は、エンジンが最高回転数(3000rpm)、全負
荷におけるエンジン騒音を無響室にてエンジンの左・右
・前・上の4方向からそれぞれ1mの距離において測定し
た騒音を平均化した、いわゆる4方向1m平均騒音値を、
パイロット噴射有とパイロット噴射無のそれぞれの場合
について測定した結果である。この実験から、パイロッ
ト噴射を行うことによって1.5dBの騒音低減効果が得ら
れることが判明した。
また、第7図はエンジン回転数2720rpm,3/4負荷にお
けるTHCとNOxの排出量を、噴射開始時期をパラメータと
してパイロット噴射有とパイロット噴射無のそれぞれの
場合について測定した結果である。パイロット噴射有は
パイロット噴射無と比べ等THCでNOxが30%低減してい
る。
第6図及び第7図からわかるように、直噴ディーゼル
エンジンにおける高速時・高負荷時のパイロット噴射は
エンジン騒音の低減、排気エミッションの低減に非常に
効果がある。しかし、前述した従来のパイロット制御方
式では、次に示す問題から高速時のパイロット噴射制御
ができない。
従来のパイロット制御方式では、前述した通りポンプ
が圧送を開始すると、電歪式アクチュエータ30が自然に
電圧を発生するが、この電圧がある所定の電圧になった
時をパイロット制御時期としている。ここで、最適パイ
ロット噴射形態を得るための各エンジン回転数での最適
パイロット制御時期を第8図(A)に示す。第8図
(A)に示すように、最適パイロット制御時期はエンジ
ン回転数が高くなる程、カムの回転角度に対して早い時
期であり、すなわち電歪式アクチュエータ30の発生電圧
が低い時期となる(第8図(B))。特に、エンジン回
転数2000rpm以上では、最適パイロット噴射時期に対応
する電歪式アクチュエータ30の発生電圧はほとんど0V近
くであり、従って、エンジン回転数2000rpm以上では電
歪式アクチュエータ30の発生電圧を検知して、パイロッ
ト制御時期とする従来の方式では最適なパロイット噴射
形態を得られないという問題がある。
次に、第1図ないし第4図の構成に適用した第1の実
施例を第9図に従って説明する。パイロット制御を行っ
た時の電歪式アクチュエータ30の端子電圧は第9図
(A)に示される。そして、第9図(A)に矢印↓で示
している時期がポートA26が閉→開となる時期(以後、
単にポート開時期という)である。本実施例では、この
ポート開時期T0を電歪式アクチュエータの電圧波形(第
9図(A))から判定し、そこを基準位置とする時間計
測あるいは角度計測によりパイロット制御時期を決定し
ようとするものである。すなわち、時間計測の場合はポ
ート開時期に第9図(B)に示すポート開信号を発生さ
せ、そのポート開信号T0から所定時間τの経過後にパ
イロット制御信号TC(第9図(C))を発生し、第9図
(A)のように電歪式アクチュエータ30に高電圧を印加
するものである。電歪式アクチュエータ30の電圧波形か
らポート開時期を判定する具体方式については後述す
る。
このポート開時期は第9図(D)のカムリフトの下降
時のリフトAとなる時点と対応するものであり、すなわ
ち、噴射ポンプの所定カム角度に一対一に対応するもの
である。従って、このポート開時期を基準とすること
は、例えばエンジンの所定クランク角度で磁気抵抗素子
(MRE)やマグネットピックアップ(MPU)などによって
信号を発生させ、基準位置とする方式と比べて、噴射ポ
ンプの進角特性の影響、噴射ポンプの初期セット位置の
ばらつきによる影響を受けずに、常に噴射ポンプの圧送
に対応した基準信号を得ることができる。また、本方式
は、電歪式アクチュエータ30自身をセンサとしても活用
しているため、他に新たなセンサを具備する必要がな
く、コストアップにならないというメリットも有する。
ところで、T0からの時間でパイロット噴射時期を決め
る時間制御であると、エンジンの回転変動が大きい場
合、その影響を受けるとカム角度に対するパイロット制
御時期がばらついてしまい、安定したパイロット噴射が
得られなくなる場合がある。従って、回転変動の大きい
低回転では、従来の制御方式、すなわち電歪式アクチュ
エータ30の発生電圧が所定電圧に達した時点をパイロッ
ト制御時期とする方式で行い、高回転側の最適パイロッ
ト制御時期が電歪式アクチュエータ30の発生電圧がほと
んどない時点である高回転数領域(約2000rpm)以上で
のみポートの開閉時期を基準とする方式に切換えるよう
にしてもよい。
次に、電歪式アクチュエータ30の端子電圧からポート
開時期を判定する具体方式について、第10図に従って説
明する。第10図は第9図の矢印↓の示すポート開時期付
近を拡大して示したものである。ポートA26が閉じてい
る時(以後、ポート閉時という)、電歪式アクチュエー
タ30にはV1の電圧が保持されている。ポートA26が開く
と電圧は低下するが、電圧V1よりも低い電圧V2だけにま
で電歪式アクチュエータ30の端子電圧が低下した時点t2
をポート開時期として信号T0を出すように行う。なお、
電圧V2はV1の影響を受けない所定値に予め設定してあ
る。従って、この方式ではポート閉時、電圧V1が変動し
ても常に同じカム角度位置でポート開信号T0が得られ
る。
ポート開信号T0からパイロット制御信号TCを発生させ
るまでの時間(第9図中におけるτ)は、エンジン回
転数に応じて設定する必要があるが、その値は第11図に
示されるようにエンジン回転数とは反比例関係にあり、
即ち、高回転ほどτは短縮される。
次に、アクチュエータ30の制御回路であるコントロー
ラ100について説明する。
第12図は第1図中のコントローラ100の詳細を示す回
路図である。
第12図中、120はポート開信号(第10図におけるT0
を求めるポート開時期判定回路(開閉時期検出手段)で
ある。電歪式アクチュエータ30の端子電圧は抵抗121,12
2により1/250に分圧され、ひとつは第1コンパレータ12
3の非反転入力に、ひとつはアナログスイッチ133に、も
うひとつは第2コンパレータ141の反転入力に接続され
ている。第1コンパレータ123、第1ワンショットマル
チバイブレータ124、第2ワンショットマルチバイブレ
ータ127は、ポート閉時電圧(第10図におけるV1)をサ
ンプルホールドする期間を設定するためのものである。
第1コンパレータ123の反転入力端子には、基準電圧VR
が接続されている。この電圧VRは電歪式アクチュエータ
30の端子電圧である40Vに相当する。第1コンパレータ1
23の出力は第1ワンショットマルチバイブレータ124の
立上りトリガ入力端子に接続されている。第1ワンショ
ットマルチバイブレータ124の出力パルス幅はコンデン
サ125、抵抗126により決定され、電圧V1のサンプルホー
ルド開始までの時間を設定している。第1ワンショット
マルチバイブレータ124のQ出力端子は第2ワンショッ
トマルチバイブレータ127の立下りトリガ入力端子に接
続されている。第2ワンショットマルチバイブレータ12
7の出力パルス幅はコンデンサ128、抵抗129により決定
されるが、これは500μsに設定してある。この時間は
電圧V1をサンプルホールドする時間である。第2ワンシ
ョットマルチバイブレータ127のQ出力はアナログスイ
ッチ133のコントロール入力に接続されている。
アナログスイッチ133はコントロール入力が“1"レベ
ルになるとオンとなり、電歪式アクチュエータ30の電圧
を分圧した後の電圧を出力する。アナログスイッチ133
の出力はサンプルホールドコンデンサ134及び第1オペ
アンプ135の非反転入力端子に接続されている。第1オ
ペアンプ135の反転入力端子は出力端子に接続されてお
り、前記コンデンサ134の電荷を逃がさないようにハイ
インピーダンスのバッファとして働く。第1オペアンプ
135の出力信号は抵抗136を介して第2オペアンプ140の
非反転入力端子及び抵抗138に印加され、一方、基準電
圧V2は抵抗137を介して第2オペアンプ140の反転入力端
子及び抵抗139を介して同出力端子に印加されている。
これら第2オペアンプ140及び抵抗137,138,139,140はい
わゆる差動増幅回路を構成しており、抵抗137,138,139,
140は全て同じ抵抗値としているので、第2オペアンプ1
40の出力電圧値は第1オペアンプ135の出力電圧値から
基準電圧V2を引いた電圧値となる。基準電圧V2は電歪式
アクチュエータ30の端子電圧の40Vに相当し、これが即
ち、第10図における電圧V2である。
第2オペアンプ140の出力は第2コンパレータ141の非
反転入力となり、電歪式アクチュエータ30の電圧と比較
されることになる。すなわち、第2オペアンプ140の出
力値を電歪式アクチュエータ30の電圧が下回った時、第
2コンパレータ141の出力は“1"となる。
また、第2ワンショットマルチバイブレータ127の
出力は第3ワンショットマルチバイブレータ130の立上
りトリガ入力となる。
第3ワンショットマルチバイブレータ130の出力幅は
コンデンサ131、抵抗132により決定され、ポート開信号
のマスクとして働く。142は二入力ANDゲートであり、そ
の一方の入力端子は第3ワンショットマルチバイブレー
タ130のQ出力端子に接続され、もう一方の入力端子は
第2コンパレータ141の出力端子に接続されている。そ
して、二入力ANDゲート142の出力にはポート開信号が出
力される。
回路150はパイロット噴射制御時期の決定、および駆
動回路110を駆動させる信号を供給するパイロット噴射
時期決定(パイロット噴射時期決定手段)回路である。
回路120からのポート開信号は第4ワンショットマルチ
バイブレータ151の立上りトリガ入力端子に接続されて
いる。
また、102は例えばマグネットピックアップを利用し
たエンジン回転数を検出する回転センサで、ポンプのド
ライブシャフトに装着された突起を有する円板103に対
向させて設置され、エンジン回転数に応じた周波数の信
号を出力する。この信号は、周波数を電圧に変換する、
いわゆるF−V変換器163に接続され、従ってF−V変
換器163はエンジン回転数に比例した電圧を出力する。
この出力は抵抗153に接続されており、第4ワンショッ
トマルチバイブレータ151の出力パルス幅は、F−V変
換器163の出力電圧とコンデンサ152、抵抗153により決
定される。従って、第4ワンショットマルチバイブレー
タ151の出力信号のパルス幅の大きさは、第11図に近似
したエンジン回転数に反比例した出力パルス幅となる。
そして、この出力パルス幅がポート開時期からパイロッ
ト制御時期までの時間(第9図におけるτ)を設定し
ている。すなわち、第4ワンショットマルチバイブレー
タ151の出力信号の立上りがパイロット制御時期であ
る。第4ワンショットマルチバイブレータ151の出力
信号は、第5ワンショットマルチバイブレータ154の立
上りトリガ入力となる。第5ワンショットマルチバイブ
レータ154の出力パルス幅はコンデンサ155、抵抗156に
より決定されるもので、この幅は約500μsに設定して
ある。この時間は後述の如く、電歪式アクチュエータ30
に高電圧が印加されている時間であり、この時間だけ電
歪式アクチュエータ30が伸長し、燃料を押し出すことに
なる。第5ワンショットマルチバイブレータ154のQ出
力は、第6ワンショットマルチバイブレータ157の立下
りトリガ入力となる。第6ワンショットマルチバイブレ
ータ157の出力パルス幅はコンデンサ158、抵抗159によ
り決定され、これは300μsに設定してある。この時間
は後述の如く、電歪式アクチュエータ30がショートして
いる時間である。第6ワンショットマルチバイブレータ
157のQ出力は、トランジスタ111のベース入力となる。
一方、第4ワンショットマルチバイブレータ151の
出力端子は、第7ワンショットマルチバイブレータ160
の立上りトリガ入力端子に接続されている。第7ワンシ
ョットマルチバイブレータ160の出力パルス幅はコンデ
ンサ161、抵抗162によって決定され、第7ワンショット
マルチバイブレータ160の出力信号はトランジスタ112
のベースに入力され、トランジスタ112のオン・オフを
行っている。
次に、駆動回路110について説明する。110は例えば24
Vの車載バッテリで、このバッテリ110からの供給電源
が、例えばけい素鋼板を多数枚積層してなる鉄心トラン
ス(変圧器)113の1次コイル114の一方の端子に接続さ
れている。1次コイル114の他方の端子は、トランジス
タ112のコレクタに接続されており、トランジスタ112の
オン・オフにより1次コイル114に流れる電流をスイッ
チする。トランス113には2次コイル115が巻回されてい
る。1次コイル114と2次コイル115の巻数比は、2次側
の発生電圧、2次電圧の立上り時間等を考慮して決めら
れており、1次側の約4倍の巻数となっている。
2次コイル115の一端には電歪式アクチュエータ30が
接続されており、他端はダイオード116のカソード及び
トランジスタ111のコレクタに接続されている。よっ
て、電歪式アクチュエータ30をショートするときは、ト
ランジスタ111をオンさせることで、電歪式アクチュエ
ータ30から2次コイル115を介してトランジスタ111に至
る放電回路が形成される。また、電歪式アクチュエータ
に対する電圧印加時はトランジスタ111をオフ状態にし
ておき、ダイオード116、2次コイル115を介して電歪式
アクチュエータ30に電荷を供給する充電回路が形成され
る。なお、117は電歪式アクチュエータ30に逆方向の電
圧がかかるのを防ぐためのダイオードである。
次に、第12図の回路構成における作動について以下説
明する。第13図は説明に供する各部波形図である。
パイロット制御を行っている時、電歪式アクチュエー
タ30の端子電圧は第13図(A)に示す電圧波形となって
いる。この端子電圧が基準電圧値VR以上の時、第1コン
パレータ123の出力は“1"レベルとなる(第13図
(B))。これにより第1ワンショットマルチバイブレ
ータ124がトリガされ、ポート閉時の電歪式アクチュエ
ータ30の端子電圧V1をサンプルホールドする開始時間を
設定している(第13図(C))。そして、第1ワンショ
ットマルチバイブレータ124の立下りで第2ワンショッ
トマルチバイブレータ127がトリガされるため、第2ワ
ンショットマルチバイブレータ127のQ出力として、500
μsの間、パルスが発生する(第13図(D))。これに
より、アナログスイッチ133がオンし、ポート閉時の電
歪式アクチュエータ30の端子電圧V1(第13図(A))が
サンプルホールドコンデンサ134に蓄えられ、第1オペ
アンプ135に出力される。そして、第2オペアンプ140及
び抵抗136,137,138,139で構成される差動増幅回路によ
り、40Vに設定されている基準電圧V2(第13図(A))
だけ第1オペアンプ135の出力電圧値から差し引いた電
圧値が、第2オペアンプ140の出力として生ずる。すな
わち、第2オペアンプ140の出力は(V1−V2)の電圧値
となる。そして、この電圧値と電歪式アクチュエータ30
の端子電圧とが第2コンパレータ141により比較され、
電歪式アクチュエータ30の端子電圧が、第2オペアンプ
140の出力電圧(V1−V2)を下回る時、第2コンパレー
タ141の出力は“1"レベルとなる(第13図(F))。
一方、第2ワンショットマルチバイブレータ127の
出力信号の立上りにより第3ワンショットマルチバイブ
レータ130はトリガされ、設定されたマスク時間だけパ
ルスが発生する(第13図(E))。そして、この第3ワ
ンショットマルチバイブレータ130のQ出力と、第2コ
ンパレータ141の出力とが、二入力ANDゲート142に入力
され、このANDの信号がポート開信号となる(第13図
(G))。そして、このポート開信号を基準としてパイ
ロット制御時期が決定されることになる。
二入力ANDゲート142の出力は第4ワンショットマルチ
バイブレータ151を所定時間トリガする。この所定時間
は例えば第11図により決定される時間τで、すなわ
ち、第4ワンショットマルチバイブレータ151の出力
信号の立上り時期がパイロット制御時期となる(第13図
(H))。
第4ワンショットマルチバイブレータ151の出力は
第7ワンショットマルチバイブレータ160をトリガし
(第13図(K))、この時期でトランジスタ112のオン
時期が決定される。トランジスタ112をオンすると、1
次コイル114を流れる電流は時間と共に増加していく
(第13図(L))。そして、第7ワンショットマルチバ
イブレータ160の出力信号がオフした時、すなわちパ
イロット制御時期にはトランジスタ112はオフされるこ
とになり、1次コイル114に蓄えられていたエネルギー
が高電圧となり、2次コイル115から電歪式アクチュエ
ータ30に印加される(第13図(A))。この高電圧印加
によって電歪式アクチュエータ30は伸長し、可変容積室
34の圧力は上昇し、ノズル11よりパイロット噴射を開始
する。
一方、第4ワンショットマルチバイブレータ151の
出力信号は第5ワンショットマルチバイブレータ154を
トリガし(第13図(I))、さらに500μs後第6ワン
ショットマルチバイブレータ157をトリガするため、300
μsの間、第6ワンショットマルチバイブレータ157の
Q出力にパルスが発生する(第13図(J))。このパル
スによりトランジスタ111がオンされ、2次コイル115を
介して電歪式アクチュエータ30をショートする(第13図
(A))。その結果、電歪式アクチュエータ30は収縮
し、可変容積室34及びポンプ室3の圧力は下がり、パイ
ロット噴射を終了する。その後、プランジャはさらに燃
料の圧送を継続しているため、ポンプ室3の圧力は再び
上昇し、やがて主噴射を開始する。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
第1実施例との相違点は、電歪式アクチュエータ30の
端子電圧からポート開時期を判定する方式にある。即
ち、本実施例では前記端子電圧を微分することにより、
ポート開時期を判定するものである。
第14図に第2実施例の制御回路の構成を示す。ポート
開信号を求める回路であるポート開時期判定回路170以
外の回路であるパイロット噴射時期制御回路150及び駆
動回路110は、第1実施例と同一であるので細部を省略
してある。
電歪式アクチュエータ30の端子電圧は抵抗171,172に
より1/250に分圧され、コンデンサ173、抵抗174、オペ
アンプ175で構成される微分回路に接続されている。オ
ペアンプ175の電源としては正電圧のみが供給されてい
るので、オペアンプ175の出力としてはコンデンサ173の
入力波形のうち、立下り信号のみが生ずる。
一方、抵抗171,172により分圧された電歪式アクチュ
エータ30の端子電圧は、コンパレータ176の非反転入力
端子にも接続されている。コンパレータ176、第1ワン
ショットマルチバイブレータ177、第2ワンショットマ
ルチバイブレータ180はポート開信号のマスクを目的と
している。コンパレータ176の反転入力としては基準電
圧VRが印加されている。この電圧VRは電歪式アクチュエ
ータ30の端子電圧である40Vに相当する。コンパレータ1
76の出力端子は第1ワンショットマルチバイブレータ17
7の立上りトリガ入力端子に接続されている。第1ワン
ショットマルチバイブレータ177の出力パルス幅はコン
デンサ178、抵抗179により決定されるもので、このパル
ス幅でポート閉期間中の所定時期t0までの時間を設定し
ている。第1ワンショットマルチバイブレータ177のQ
出力端子は第2ワンショットマルチバイブレータ180の
立下りトリガ入力端子に接続されている。第2ワンショ
ットマルチバイブレータ180の出力パルス幅はコンデン
サ181、抵抗182により決定されるもので、このパルス幅
でマスク時間を設定している。
183は二入力ANDゲートであり、その一方の入力端子は
オペアンプ175の出力端子に接続され、もう一方の端子
は第2ワンショットマルチバイブレータ180のQ出力端
子に接続されている。そして、二入力ANDゲート183の出
力端子からはポート開時期t1を示すポート開信号が出力
され、この信号はパイロット制御時期の決定および駆動
回路110を駆動させる信号を発生する前述したパイロッ
ト噴射時期決定回路150へと供給される。
以上の構成における第2実施例の作動について、第15
図の各部波形図をもとに説明する。
オペアンプ175の出力には電歪式アクチュエータ30の
端子電圧(第15図(A))の微分波形、すなわち、前記
端子電圧の変化率を示す波形が出力される(第15図
(B))。本来は第15図(B)の破線も含めた波形が出
力されるのであるが、オペアンプ175の電源は、前述し
た通り正電圧のみであるため負電圧は出力されず、第15
図(B)の実線で示す波形のみが出力される。
一方、電歪式アクチュエータ30の端子電圧が基準電圧
VR以上の時、コンパレータ176の出力は“1"レベルとな
る(第15図(C))。これにより、第1ワンショットマ
ルチバイブレータ177がトリガされ、マスク開始までの
時間を設定する(第15図(D))。さらに第1ワンショ
ットマルチバイブレータ177の立下りと同時に第2ワン
ショットマルチバイブレータ180がトリガされ、この時
点からマスク時間が設定される(第15図(E))。そし
て、オペアンプ175の出力信号と第2ワンショットマル
チバイブレータ180のQ出力信号とが二入力ANDゲート18
3に入力され、このANDゲート183からの出力信号がポー
ト開信号となる(第15図(F))。
第2実施例はポートが開くことによる電歪式アクチュ
エータ30の端子電圧の変化を微分波形を利用して直接と
らえているため、回路構成が第1実施例に比べて簡単に
なるという利点がある。
次に、第3実施例について説明する。
本実施例も電歪式アクチュエータ30の端子電圧からポ
ート開時期を判定する方式に第1、第2実施例に対し相
違点があり、即ち、本実施例ではポート開時における電
歪式アクチュエータ30の端子電圧を強制的に所定の一定
電圧に制御する手段を設け、ポート開時期を電歪式アク
チュエータ30の端子電圧が前記一定電圧より低い、ある
いは固定電圧値に低下した時点とみなすものである。
第16図に第3実施例の制御回路の構成を示す。
ポート開信号を求めるポート開時期判定回路190以外
の駆動回路110及びパイロット噴射時期決定手段150は第
1実施例と同一であるので、細部は省略してある。
電歪式アクチュエータ30の端子電圧は、電流制限用抵
抗201を介してトランジスタ199のコレクタに印加されて
いる。また、トランジスタ199のエミッタは100V以上の
逆電圧で電流が流れる特性を示す定電圧ダイオード200
のカソードに接続されている。従って、トランジスタ19
9がオンした時、電歪式アクチュエータ30の端子電圧が1
00V以上の場合は、この端子電圧は100Vに設定される。
一方、電歪式アクチュエータ30の端子電圧は抵抗191,
192により1/250に分圧され、コンパレータ193の非反転
入力にも印加されている。ここで、コンパレータ193の
反転入力端子には基準電圧VRが印加されている。この電
圧VRは40Vに相当する。コンパレータ193の出力は3つに
分岐され、第1の出力はワンショットマルチバイブレー
タ194の立上りトリガ入力となる。ワンショットマルチ
バイブレータ194の出力パルス幅はコンデンサ195、抵抗
196により決定され、トランジスタ199をオンするまでの
時間を設定している。コンパレータ193の第2の出力は
二入力NORゲート197の一方の入力端子に入力されてお
り、二入力NORゲート197のもう一方の入力としてはワン
ショットマルチバイブレータ194のQ出力信号が与えら
れる。この二入力NORゲートの出力信号がポート開信号
であり、このポート開信号がパイロット噴射制御時期決
定回路150に供給されている。また、コンパレータ193の
第3の出力は、二入力ANDゲート198の一方の入力端子に
入力されており、二入力ANDゲート198のもう一方の入力
としてはワンショットマルチバイブレータ194の出力
信号が与えられる。そして、二入力ANDゲート198の出力
端子はトランジスタ199のベースに接続されており、ポ
ート閉時の電歪式アクチュエータ30の端子電圧を制御す
るタイミングを決めている。
以上の構成における第3実施例の作動について、第17
図の各部波形図をもとに説明する。
第17図(A)に示す電歪式アクチュエータ30の端子電
圧が基準電圧VR以上の時、コンパレータ193の出力は
“1"レベルとなる(第17図(B))。これにより、ワン
ショットマルチバイブレータ194がトリガされ、ワンシ
ョットマルチバイブレータ194のQ出力信号はポートが
閉じている状態におけるある時点t0まで“1"レベルが続
く(第17図(C))。逆に、ワンショットマルチバイブ
レータ194の出力はt0時点から“1"レベルとなり、こ
れとコンパレータ193の出力とのANDをとることにより、
第17図(E)の信号が得られる。これによりトランジス
タ199がオンされ、ポート閉におけるこの時点t0以後の
電歪アクチュエータ30の端子電圧はツェナーダイオード
200の設定電圧100Vに落とされる(第17図(A))。そ
の後、時点t1においてポートが開くと、電歪式アクチュ
エータ30の端子電圧が下降するが、この端子電圧が40V
になった時点でコンパレータ193の出力は“1"から“0"
になる(第17図(B))。従って、コンパレータ193の
出力とワンショットマルチバイブレータ194のQ出力と
のNORをとると、第17図(D)に示す信号が得られる。
この信号の立上り時期t2がポート開時期である。
本実施例においては、ポートが開く前の電歪式アクチ
ュエータ30の端子電圧は常に同じ一定の値(100V)に強
制的に制御されているため、ポート開判定レベルが固定
値(40V)であってもポート開信号がばらつくことはな
い。
なお、上述した実施例はいずれも電歪式アクチュエー
タに対し、パイロット制御時期に高電圧を印加し、その
直後にショートさせる方式であるが、本発明の適用はこ
の方式に限られるものではなく、パイロット時期で電歪
式アクチュエータに発生した電圧をショートさせる方
式、電歪式アクチュエータの分極方向と逆方向の電圧を
印加する方式、あるいは電歪式アクチュエータの電荷を
コンデンサが抜き取る方式にも適用できる。
また、ポート開時期の検出からパイロット制御時期を
決定するにあたり、時間τをパラメータとして行った
が、噴射ポンプもしくはエンジンの回転角度を検出する
角度センサを具備させて、それに基づく角度をパラメー
タとして、パイロット噴射の制御を行ってもよい。ま
た、時間をパラメータとした場合、第11図のマップをマ
イクロコンピュータに内蔵させ、コンピュータに内蔵の
タイマを利用してパイロット噴射制御時期を決定しても
よい。
またさらに、噴射ポンプの調量方式としては、メカニ
カルなガバナで調量するもの、あるいは電子制御で調量
するもののいずれに対しても同様に本発明を適用でき
る。
また、前回の噴射行程におけるポートA26が開く時期
をパイロット噴射時期演算のための起点としたが、ポー
トA26の閉じる時期を起点としてもよいのはもちろんで
ある。
なお、上述した実施例では、ポートの開閉時期を検出
するにあたり、パイロット噴射を制御する電歪式アクチ
ュエータ自身をセンサとして活用していることにより、
他に新たなセンサ必要としない点で、構造が簡単で安価
なものになるが、ポートの開閉時期の検出を別の圧力セ
ンサ、あるいはプランジャのリフト位置を検出するセン
サ等にて行うようにしてもよいのはもちろんである。
〔発明の効果〕
以上詳細に示したように、本発明によれば、前回の噴
射行程での可変容積室の開閉時期に基づいてパイロット
噴射時期を決定しているので、高速時でも最適な形態で
パイロット噴射を実行することが可能となり、高速時の
騒音低減、排気エミッション低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明を適用する装置の部分断面図、第2図は
第1図の部分拡大図、第3図は第2図のR−R線に沿う
断面図、第4図ないし第5図は第1図の作動説明図、第
6図はパイロット噴射の有無と騒音との関係図、第7図
はパイロット噴射の有無と排出ガス成分との関係図、第
8図は従来技術の説明図、第9図ないし第10図は本発明
の説明図、第11図は第9図中τの特性図、第12図は本
発明の第1実施例をなす回路構成図、第13図は第12図の
作動説明図、第14図は本発明の第2実施例を示す回路構
成図、第15図は第14図の作動説明図、第16図は本発明の
第3実施例をなす回路構成図、第17図は第16図の作動説
明図である。 1……燃料噴射ポンプ,3……ポンプ室,6……プランジ
ャ,15……低圧室,23……中央ポート,24……ポートB,26
……ポートA,27……ポートC,30……電歪式アクチュエー
タ,34……可変容積室,100……コントローラ,102……回
転センサ,103……円板,110……駆動回路,120,170,190…
…ポート開時期判定回路,150……パイロット噴射時期決
定回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榊原 康行 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 阿部 誠幸 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 榎本 滋郁 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 柳原 弘道 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 辺田 良光 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 松村 敏美 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内 (72)発明者 柴田 真典 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本 電装株式会社内

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン回転に同期してポンプ室内の燃料
    を加圧するプランジャを収納するシリンダの側壁に穿設
    され、前記プランジャの一往復行程中での所定のリフト
    位置でプランジャにて開閉されるポートと、 該ポートを介して前記ポンプ室に連通する可変容積室と
    を有し、 該可変容積室の容積を今回の往復行程途中での前記ポー
    トの開期間における所定の時期に制御することで今回の
    往復行程でのパイロット噴射を実行するパイロット噴射
    制御装置において、 今回より以前のプランジャ往復行程における前記ポート
    の開閉時期を検出する開閉時期検出手段と、 前記開閉時期検出手段よりの信号に応答して、前記所定
    の時期を決定するパイロット噴射時期決定手段と を備えるパイロット噴射制御装置。
  2. 【請求項2】前記パイロット噴射時期決定手段は、前記
    開閉時期検出手段にて検出される前記ポートの開閉時期
    を起点としてパイロット噴射を実行させるまでの所定期
    間を演算する期間決定手段を有する請求項1に記載のパ
    イロット噴射制御装置。
  3. 【請求項3】前記期間決定手段は、エンジン回転数をパ
    ラメータとして前記所定期間を決定する請求項2に記載
    のパイロット噴射制御装置。
  4. 【請求項4】前記パイロット噴射制御装置は、前記可変
    容積室の容積を電歪式アクチュエータにより制御する請
    求項1に記載のパイロット噴射制御装置。
  5. 【請求項5】前記開閉時期検出手段は、前記電歪式アク
    チュエータの発生電圧に基づいて前記ポートの開閉時期
    を検出する請求項4に記載のパイロット噴射制御装置。
  6. 【請求項6】前記開閉時期検出手段は、前記電歪式アク
    チュエータの発生電圧が所定電圧値まで低下した時期を
    前記ポートの開閉時期として検出する請求項5に記載の
    パイロット噴射制御装置。
  7. 【請求項7】前記所定電圧値は、前記ポンプ室と前記可
    変容積室とが遮断されている期間における前記電歪式ア
    クチュエータの電圧値よりも所定電圧だけ低い電圧値に
    設定されている請求項6に記載のパイロット噴射制御装
    置。
  8. 【請求項8】前記ポンプ室と前記可変容積室とが遮断さ
    れている期間における前記電歪式アクチュエータの電圧
    値は、一定の電圧値に設定されている請求項6に記載の
    パイロット噴射制御装置。
  9. 【請求項9】前記パイロット噴射制御装置は、今回のプ
    ランジャ往復行程における前記ポートの開閉間において
    前記ポンプ室の圧力が所定値に達した時期に前記電磁歪
    アクチュエータを駆動してパイロット噴射を実行するパ
    イロット噴射手段を備えると共に、運転条件に応じて、
    前記パイロット噴射時期決定手段の代わりに前記パイロ
    ット噴射手段を作動させる請求項4に記載のパイロット
    噴射制御装置。
  10. 【請求項10】前記開閉時期検出手段は、前記電歪式ア
    クチュエータの発生電圧の微分波形に基づいて前記ポー
    トの開閉時期を検出する請求項5に記載のパイロット噴
    射制御装置。
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