JP2578531Y2 - 凹部を有するシートの組立構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、アームレストやヘッド
レスト等の装備品を収納可能な凹部を有するシートの組
立構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、自動車用シートには図６で示す
如くアームレストＡを収納する凹部ＷをシートバックＢ
の側部に設けるものがある。

【０００３】従来、その凹部Ｗを形状保持するべく、図
７で示すようにクッションパッド１の凹所と当該凹所を
被包するシート表皮２の表皮部分とを貼合せファスナ３
等で接着固定することが行なわれている。然し、この貼
合せファスナ３等による接着固定ではシート表皮２の所
定な表皮部分をクッションパッド１の凹所と画一的に位
置合せさせて固定することが難しいため、製品としてバ
ラ付きや外観不良が生じ易い。また、その貼合せファス
ナ３によるとシート表皮２をクッションパッド１に接着
固定できても、クッションパッド１をシートフレーム４
に固定することができないため、この必要上からクッシ
ョンパッド１をシートフレーム４に別途組付け固定する
別個の固定手段が取られている。

【０００４】図７で示す従来例とは別に、図８で示す如
く凹部形状に相応させて樹脂成形したカバー部材５をク
ッションパッド１の凹所に組み付け、このカバー部材５
を外部から挿入するビス６でシートフレーム４にねじ止
め固定することも行なわれている。然し、そのカバー部
材５を外部に取り付けるシートにあっては主としてシー
ト表皮２による外観を形成するものに比べて商品性が低
下することを免れ得ない。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】本考案は凹部の正確な
形状保持は勿論のこと、シート表皮と共にクッションパ
ッドをシートフレームに簡単な構造できて商品性の向上
をも図れる凹部を有するシートの組立構造を提供するこ
とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の請求項１に係る
凹部を有するシートの組立構造においては、凹所の内面
を区画する少なくとも一面とほぼ同形のバックプレート
をシート表皮の凹所に被される表皮部分の内面側に取り
付け、そのバックプレートを該凹所の内面にあてがい位
置させて該シート表皮の表皮部分を凹状に保形し、且
つ、バックプレートの板面より突出するクリップをシー
トフレームの止め穴に嵌着させて、クッションパッドの
凹所部分をバックプレートとシートフレームとで挟むと
共に、バックプレートをシートフレームに位置決め固定
することにより構成されている。

【０００７】同請求項２に係るシートの組立構造におい
ては、クリップの突出個所に対応させてクッションパッ
ドの凹部に空洞部を設け、その空洞部の内側にシートフ
レームから突出する受け板部を組付け配置し、この受け
板部の止め穴にバックプレートの板面より突出するクリ
ップを嵌着させて、バックプレートを受け板部に位置決
め固定することにより構成されている。

【０００８】同請求項３に係るシートの組立構造におい
ては、バックプレートが取り付けられるシート表皮の表
皮部分よりほぼ直角方向に連続する表皮部分の内面側に
該バックプレートの端部を延長位置し、その表皮部分相
互の隅角辺に対応させてバックプレートの板面にフィル
ムヒンジを設け、このフィルムヒンジでバックプレート
の端部をを折り曲げて該表皮部分相互の隅角辺を保形す
ることにより構成されている。

【０００９】

【作用】本考案の請求項１に係る凹部を有するシートの
組立構造では、凹所の内面を区画する少なくとも一面と
ほぼ同形の形状を有するバックプレートをシート表皮の
内面側に取り付けるから、このバックプレートを凹所の
内面にあてがい位置することによりシート表皮の凹所に
被される表皮部分を当該凹所に合せて確実に保形できる
と共に、そのバックプレートをクリップでシートフレー
ムに位置決め固定するから、クッションパッドの凹所部
分をバックプレートとシートフレームとで挟み込むこと
によりシートフレームに固定することができる。

【００１０】本考案の請求項２に係る凹部を有するシー
トの組立構造では、バックプレートをシートフレームの
受け板部に位置決め固定するため、バックプレートを安
定よく取り付けできて凹部を画一的に形状出しすること
ができる。

【００１１】本考案の請求項３に係る凹部を有するシー
トの組立構造では、凹部の隅角辺をバックプレートの折
曲げで形状出しするため、凹部の形状を美麗に保形する
ことができる。

【００１２】

【実施例】以下、図１〜５に参照して説明すれば、図１
は図６のＸ−Ｘ線で示す個所の部分断面図であり、アー
ムレストの収納用として凹部ＷをシートバックＢの側部
に設ける場合を示す。同図中、１０はクッションパッ
ド、１１はシート表皮、１２はシートバックフレーム、
１３はバックプレートを示す。

【００１３】クッションパッド１０はウレタン等の発泡
成形品でなり、その側部にはアームレストを収納するの
に足る凹所１０ａが発泡成形時に設けられている。ま
た、このクッションパッド１０には後述するシートフレ
ーム１２の受け板部を組み付ける空洞部１０ｂが凹部１
０ａの底肉厚を貫通するよう設けられている。

【００１４】シート表皮１１は、図２にも示す如くシー
ト前部側を被包する表皮部分１１ａ，クッションパッド
１０の側部から凹所１０ａの内側面を被包する表皮部分
１１ｂ，該凹所１０ａの底面を被包する表皮部分１１
ｃ，シート後部側を被包する表皮部分１１ｄを縫着した
ものでなる。そのうち、凹所１０ａの底面を被包する表
皮部分１１ｃにはバックプレート１３が内面側に縫着す
ることにより取り付けられている。

【００１５】バックプレート１３はポリエチレン等の樹
脂成形板材でなり、凹所１０ａの内面を区画する少なく
とも一面とほぼ同形に形成されている。図示実施例では
凹所１０ａの底面を被包する表皮部分１１ｃをバックプ
レート１３で保持することで凹部Ｗを所定形状に保形で
きるところから、バックプレート１３としては凹所１０
ａの底面とほぼ同形に形成したものが当該表皮部分１１
ｃと共縫いすることにより取り付けられている。

【００１６】そのバックプレート１３には、クリップ１
３ａがクッションパッド１０と対面する側に突設されて
いる。このクリップ１３ａは、シートフレーム１２の止
め穴（図示せず）に圧入嵌着することによりバックプレ
ート１３をシートフレーム１２に位置決め固定される。
そのクリップ１３としては図１で示す形状のものに代え
て、アンカークリップ等を備えてもよい。また、このク
リップ１３は複数本定間隔毎に一体成形し或いは別もの
を固定することにより備え付けることができる。そのク
リップ１３の突出個所に対応させて、上述した空洞部１
０ｂがクッションパッド１０の凹所１０ａに設けられて
いる。

【００１７】また、バックプレート１３には板厚をＶ溝
状に切り欠くことにより薄肉状のフィルムヒンジ１３ｂ
が設けられている。そのフィルムヒンジ１３ｂは、シー
ト表皮１１の表皮部分１１ｃよりほぼ直角方向に連続す
る表皮部分１１ｂの内面側にバックプレート１３の端部
１３ｃを延長位置させて、表皮部分１１ｂ，１１ｃの隅
角辺に対応位置するよう設けられている。なお、図１，
２ではフィルムヒンジ１３ｂが表皮部分１１ｂの関係の
みで示されているが、凹部Ｗの上下各部を形成する表皮
部分との関係でも設けるとよい。

【００１８】シートフレーム１２はメインパイプフレー
ム１２ａ，サイドフレーム１２ｂ並びにクッションパッ
ド１０の要所を支持するのに必要な各部を有し、クッシ
ョンパッド１０の凹所１０ａが設けられたパッド部分は
サイドフレーム１２ｂで組付け支持されている。そのサ
イドフレーム１２ｂには、空洞部１０ｂの内側に組み付
けられる受け板部１２ｃが設けられている。この受け板
部１２ｃはバックプレート１３を支持するのに足る平板
部分を持って、サイドフレーム１２ｂの板面を膨出成形
し或いは切曲げ成形することにより設けられている。

【００１９】この各部材からシートバックＢを組み立て
るには、サイドフレーム１２ｂの受け板部１２ｃをクッ
ションパッド１０の空洞部１０ｂに嵌め合せてクッショ
ンパッド１０をシートフレーム１２に組み付ける。その
クッションパッド１０に対しては、凹所１０ａを含む全
体をシート表皮１１で被包する。この被包の際に、バッ
クプレート１３は端部１３ｃをフィルムヒンジ１３ｂで
折り曲げて凹所１０ａの底面にあてがい位置すると共
に、クリップ１３ａを受け板部１２ｃの止め穴（図示せ
ず）に圧入嵌着させてシートフレーム１２に位置決め固
定する。

【００２０】そのバックプレート１３をシートフレーム
１２に位置決め固定すると、シート表皮１１は凹所１０
ａの底面を被包する表皮部分１１ｃがバックプレート１
３で全面支持されているから、凹所１０ａと相応する形
状に付形保持される。また、当該表皮部分１１ｃからほ
ぼ直角方向に連続する表皮部分１１ｂとの隅角辺はバッ
クプレート１３の端部１３ｃをフィルムヒンジ１３ｂで
折り曲げることにより美麗な直線状に付形される。この
バックプレート１３による凹部Ｗの保形と共に、バック
プレート１３はクッションパッド１０の凹所部分を挟み
込むことからクッションパッド１０をシートフレーム１
２に押込み固定することができる。また、バックプレー
ト１３はシートフレーム１２の受け板部１２ｃに直接固
定されるため、安定よく取付け固定できて凹部Ｗを画一
的に形状保持することができる。

【００２１】上述した実施例はアームレストの収納用凹
部をシートバックＢに設ける場合で説明したが、図３で
示す如くヘッドレストＨを上下に位置調整可能にリヤシ
ートのシートバックＢに装備する凹部Ｗやアームレスト
ＡをシートバックＢの中央に出入れ自在に装備する凹部
Ｗを設けるのに適用することができる。その各凹部Ｗに
おいては凹所の奥側面に対応させてバックプレートを取
り付け、或いは側部面乃至底部面に対応させてバックプ
レートをシート表皮１１の表皮部分に取り付けることに
より形状保持することができる。

【００２２】また、図４で示すように出入れ自在なテー
ブルＴの収納用凹部ＷをシートバックＢの背部に設ける
場合にも適用できる。その他に、図５で示す如くシート
バックＢの座部ｂ₁ をヘッドレスト兼用として上下に位
置調整自在に装備する凹部ＷやシートクッションＳの前
部Ｓ₁ を前後に位置調整自在に装備する凹部Ｗを設ける
場合でも適用できる。

【００２３】

【考案の効果】以上の如く、本考案に係る凹部を有する
シートの組立構造に依れば、凹部を形成するシート表皮
の表皮部分を確実に形状保持できて凹部を美麗に付形で
きるばかりでなく、シート表皮の形状保持と共にクッシ
ョンパッドを簡単な構造でシートフレームに組付け固定
するよう構成できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る凹部を有するシートの組立構造を
示す部分断面図である。

【図２】図１の組立構造に用いられるシート表皮の説明
図である。

【図３】本考案に係るシートの組立構造を適用可能な別
の凹部を有するシートの説明図である。

【図４】本考案に係るシートの組立構造を適用可能な別
の凹部を有するシートの説明図である。

【図５】本考案に係るシートの組立構造を適用可能な更
に別の凹部を有するシートの説明図である。

【図６】一般例に係る凹部を有するシートの説明図であ
る。

【図７】従来例に係る凹部を有するシートの組立構造を
示す部分断面図である。

【図８】従来例に係る別の凹部を有するシートの組立構
造を示す部分断面図である。

【符号の説明】

１０ クッションパッド １０ａ クッションパッドの凹所 １０ｂ クッションパッドの空洞部 １１ シート表皮 １１ｂ，１１ｃ クッションパッドの凹所を被包
する表皮部分 １２ シートフレーム １２ｃ シートフレームの受け板部 １３ バックプレート １３ａ クリップ １３ｂ フィルムヒンジ １３ｃ バックプレートの端部 Ｗ 凹部

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 凹所が形成されたクッションパッドをシ
   ートフレームに組み付け、その凹所を含むクッションパ
   ッドの外側をシート表皮で被包し、アームレストやヘッ
   ドレスト等の付属品を収納する凹部を外部面に設けるシ
   ートの組立構造において、上記凹所の内面を区画する少
   なくとも一面とほぼ同形のバックプレートをシート表皮
   の凹所に被される表皮部分の内面側に取り付け、そのバ
   ックプレートを該凹所の内面にあてがい位置させて該シ
   ート表皮の表皮部分を凹状に保形し、且つ、バックプレ
   ートの板面より突出するクリップをシートフレームの止
   め穴に嵌着させて、クッションパッドの凹所部分をバッ
   クプレートとシートフレームとで挟むと共に、バックプ
   レートをシートフレームに位置決め固定したことを特徴
   とする凹部を有するシートの組立構造。
2. 【請求項２】 上記クリップの突出個所に対応させてク
   ッションパッドの凹部に空洞部を設け、その空洞部の内
   側にシートフレームから突出する受け板部を組み付け配
   置し、この受け板部の止め穴にバックプレートの板面よ
   り突出するクリップを嵌着させて、バックプレートを受
   け板部に位置決め固定したことを特徴とする請求項１の
   凹部を有するシートの組立構造。
3. 【請求項３】 上記バックプレートが取り付けられるシ
   ート表皮の表皮部分よりほぼ直角方向に連続する表皮部
   分の内面側に該バックプレートの端部を延長位置し、そ
   の表皮部分相互の隅角辺に対応させてバックプレートの
   板面にフィルムヒンジを設け、このフィルムヒンジでバ
   ックプレートの端部を折り曲げて、該表皮部分相互の隅
   角辺を保形したことを特徴とする請求項１の凹部を有す
   るシートの組立構造。