JPH0614627Y2 - シートの組立構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車輌用シートクッションの後部側を組み立て
るのに好適なシートの組立構造に関するものである。

従来の技術 例えば、車輌用シートのシートクッションにおいては第
５図のＡ−Ａ線で示す後部側を組み立てる場合、第６図
に示すようなシートフレーム１の相対的に大きな立上り
寸法を有する左右のフランジ部（図示せず）にクッショ
ンスプリング２を張設し、クッションパッド３の後部側
をシートフレーム１の後部フランジ１ａに対応位置させ
てクッションパッド３をクッションスプリング２上に載
置し、このクッションパッド３を被包するシート表皮４
をクッションパッド３の後部面からシートフレーム１の
後部フランジ１ａから外表面に被せ、端末４ａをシート
フレーム１の下部側にＣ字リング等で止着することによ
り組み立てるものがある。

然し、そのシートクッションでは第７図で示すように座
者の荷重が加わると座部面が全体的に撓んでシートバッ
クＢとの間に隙間Ｇが生じ、或いは第８図で示す如く後
部乗員の足が掛けられるのに伴って座面部が前方に偏位
することによりクッション性が損なわれるところから好
ましくない。

このため、車輌用シートにおいては第９，１０図で示す
ようにシートフレーム１の後部フランジ１ａを大きく立
上り成形し、そのシートフレーム１の内部にクッション
パッド３を組み付けてシート表皮４を被着すると共に、
このシート表皮４を後部フランジ１ａの外表面にまで被
せ、端末４ａをシートフレーム１の下部側に引張止着す
ることによりシートクッションの後部側を組み立てるこ
とが行われている。

然し、そのシートではシート表皮４の端末を後部フラン
ジ１ａの外表面からシートフレーム１の下部側に引張止
着するため、第１１図で示すように座者の荷重で座部面
が撓むのに伴ってシート表皮４が突っ張って座部面の撓
みが制約されることからクッション性が損なわれること
により好ましくない。

考案が解決しようとする課題 本考案は、上述したシートフレームの外表面から下部面
に引張止着されるシート表皮の突張りを防いで、良好な
クッション性を発揮可能なシートの組立構造を提供する
ことを目的とする。

課題を解決するための手段 本考案に係るシートの組立構造においては、クッション
パッドをシート表皮で被包すると共に、そのクッション
パッドを被包するシート表皮による座面部と略同一高さ
の立上りフランジ部を有するシートフレームに組み付
け、このシートフレームの立上りフランジ部を外表面か
ら下部面に引張止着する表皮材で被包するもので、クッ
ションパッドを被包するシート表皮をクッションパッド
の側面から下部側に引張させて端末止着し、そのクッシ
ョンパッドを被包するシート表皮の側面と立上りフラン
ジ部の内面との間に差込み挿置される余剰な表皮部分を
介し、その表皮部分と連続する表皮材で立上りフランジ
部の外表面から下面部を被包することにより構成されて
いる。

作用 このシートの組立構造では、クッションパッドを被包す
るシート表皮の端末をクッションパッドの側面より下部
側に止着するから、シート表皮がクッションパッドの撓
み変形に追従できることにより良好なクッション性を発
揮できるばかりでなく、立上りフランジ部の外表面から
下部側を被包する表皮材で立上りフランジ部の内面側も
被包できることから体裁上も良好に保て、また、その立
上りフランジ部がシート表皮による座面部と略同一高さ
を有することにより座面部が後部乗員で押されたり或い
は座部面が座者の荷重で撓んでもシートバックとの間に
隙間が生ずることも防止できるようになる。

実施例 以下、第１〜４図を参照して説明すれば、次の通りであ
る。

このシートの組立構造は、車輌用シートクッションの後
部側を組み立てるのに適用されている。その後部側にお
いては、第１図で示す如く比較的大きな立上り寸法の後
部側フランジ部１０ａを有するシートフレーム１０を用
いて組み立てられている。このシートフレーム１０の内
部にはジグザグバネ等のクッションスプリング１１を張
設し、そのクッションスプリング１１上に載置すること
によりウレタンフォーム等のクッションパッド１２が組
み付けられている。また、このクッションパッド１２の
座部面個所にはシート表皮１３が被着され、そのシート
表皮１３による座部面とはシートフレーム１０の後部側
フランジ１０ａが略同一高さを持つよう組み立てられて
いる。

シート表皮１３としては、表皮材１３ａ，ワディング材
１３ｂ，裏打材１３ｃを積層成形したものを用いること
ができる。また、そのシート表皮１３には吊込み止着に
用いられる表皮端末１３ｄが縫着等で縁辺に取り付けて
備え付けられている。この表皮端末１３ｄは、シート表
皮１３をクッションパッド１２の側面に被せることによ
りシートフレーム１０の後部側フランジ１０ａとの間に
挿置されている。また、その表皮端末１３ａの端縁に沿
って取り付けられる樹脂板等の補強材１４と共に、Ｃ字
リング等の止め具１５でクッションスプリング１１の軸
線上に固定することにより端末止着されている。

シートフレーム１０の後部側フランジ部１０ａは、シー
ト表皮１３と別部材の表皮材１６で外表面から下面側が
被包されている。この表皮材１６は後部側フランジ部１
０ａの上端縁からシートフレーム１０の内部に巻き込ま
れる余剰部分１６′を有し、その余剰部分１６′はクッ
ションパッド１２を被包するシート表皮１３の側面と立
上りフランジ部１０ａの内面との間に差込み挿置されて
いる。その表皮材１６の下端側は、フック等の止め具１
７でシートフレーム１０の下部面に止着することにより
シートフレーム１０に固定されている。そのシートフレ
ーム１０の下部面に止着する端末側と同様に、第２図で
示す如くシートフレーム１０の内部に挿置する余剰部分
１６′もフック等の止め具１８を縁辺に取り付けてシー
トフレーム１０の側面に切起し成形する掛止め爪１０ｂ
と噛合することによりシートフレーム１０に固定するこ
とができる。

このように構成するシートの組立構造では、シート表皮
１３の端末１３ｄがクッションパッド１２の側面に被せ
てシートフレーム１０の後部側フランジ部１０ａとの間
に挿置されているから、第３図で示すようにシート表皮
１３を含むクッションパッド１２が座者の荷重で自在に
撓み変形できることにより良好なクッション性を発揮で
きるようになる。また、比較的大きな立上り寸法を有す
るシートフレーム１０の後部側フランジ１０ａ部は外表
面から内面が表皮材１６で被包されているから体裁上良
好に保持でき、しかもその後部側フランジ部１０ａで後
部乗員が座部面を押圧するのを遮ることができると共
に、座部面が撓み変形するのに伴ってシートバックとの
間に生ずる隙間を遮閉できるようになる。

なお、上述した実施例ではシート表皮１３とシートフレ
ーム１０を覆う表皮材１６とを別体に成形させて組み付
けたが、第４図で示すようにシート表皮１０と余剰部分
１６′で連続した表皮材１６で組み立てることもでき
る。この場合には表皮材１６の余剰幅分１６′をクッシ
ョンパッド１２の側面を被包するシート表皮１３と後部
側フランジ１０ａの内面との間に差込み挿置すれば、上
述したと同様にシート表皮１３が表皮材１６で突張るの
を防止することができる。また、上述した実施例では車
輌用シートクッションの後部側を組み立てる場合で説明
したが、車輌用シートバックまたは航空機のシートや一
般家具用のシート等を組立てるにも広く適用することが
できる。

考案の効果 以上の如く、本考案に係るシートの組立構造に依れば、
座者の荷重が加わるのに伴って座部面を自在に撓み変形
させしかも後部乗員による座部面の押圧も遮ることがで
きるから着座感を良好に保て、また、シートフレームの
外表面から内面を表皮材で覆いしかも座部面が撓み変形
するのに伴ってシートバックとの間に生ずる隙間も遮蔽
できるから体裁上も良好に形成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートの組立構造を示す断面図、
第２図は同組立構造で適用可能な表皮材の被着構造を示
す断面図、第３図は同組立構造を適用したシートの座部
面撓み状態を示す説明図、第４図は同組立構造の変形例
を示す断面図、第５図は同組立構造を適用可能なシート
クッションの一般例を示す斜視図、第６図は従来の一例
に係るシートの組立構造を示す断面図、第７，８図は同
組立構造を適用したシートの問題点を示す説明図、第
９，１０図は従来の別例に係るシートの組立構造を示す
断面図、第１１図は同組立構造を適用したシートの問題
点を示す説明図である。 １０：シートフレーム、１０ａ：立上りフランジ部、１
２：クッションパッド、１３：シート表皮、１６：表皮
材、１６′：表皮材の余剰部分。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クッションパッドをシート表皮で被包する
   と共に、そのクッションパッドを被包するシート表皮に
   よる座面部と略同一高さの立上りフランジ部を有するシ
   ートフレームに組み付け、このシートフレームの立上り
   フランジ部を外表面から下部面に引張止着する表皮材で
   被包するシートの組立構造において、クッションパッド
   （１２）を被包するシート表皮（１３）をクッションパ
   ッド（１２）の側面から下部側に引張させて端末止着
   し、そのクッションパッド（１２）を被包するシート表
   皮（１３）の側面と立上りフランジ部（１０ａ）の内面
   との間に差込み挿置される余剰な表皮部分（１６′）を
   介し、この表皮部分（１６′）と連続する表皮材（１
   ６）で立上りフランジ部（１０ａ）の外表面から下面部
   を被包してなることを特徴とするシートの組立構造。