JPH0631999Y2 - 車輌用シートバック - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車輌用シートバックの改良に関するものであ
る。

従来の技術 車輌用のシートバックには、後部側が背抜き状に形成さ
れたクッションパッドを用い、その背抜き部からパッド
内にシートバックフレームを組み付けてクッションパッ
ドをシートバックフレームで支持し、このクッションパ
ッドの後部側から前部側をシート表皮で被包すると共
に、バックプレートをシート表皮で被包されたクッショ
ンパッドの背抜き部内に嵌込み固定することにより組み
立てられるものがある。

その車輌用のシートバックにおいては、前部側の座面に
要求されるクッション性に応じて全体が比較的軟質なフ
ォーム層で形成されたクッションパッドが組み付けられ
ているのが通常である。

然し、この車輌用シートバックではシートバックフレー
ムを介して後部側に位置するクッションパッドのフォー
ム層も軟質なもので形成されているため、乗員の荷重に
よるシート表皮の張力で周回り形状が形崩れししかもシ
ート表皮に大きな皺や緩みが生ずるのを避けられない。
それに加えて、背抜き部周辺のフォーム層もシート表皮
の張力で容易に撓み変形することから背抜き部に嵌込み
固定されたバックプレートとの間に隙間が生ずることも
避け得ない。また、乗員がフロントシートの後部側に当
ったときにシートバックフレームの硬さを直に感じさせ
ないようにするべく、後部側を肉厚の厚いものに形成す
る必要がある。

考案が解決しようとする課題 本考案は、乗員の荷重によるシート表皮の張力に十分耐
えられて形状保持でき、皺や緩みがシート表皮に生じ或
いは隙間がバックプレートとの間に生ずるのを避けら
れ、また、シートバックフレームの硬さを乗員に感じさ
せないよう改良した車輌用のシートバックフレームを提
供することを目的とする。

課題を解決するための手段 本考案に係る車輌用シートバックにおいては、中央の座
面相当部，左右の土手相当部を含む前部側全面が軟質な
フォーム層で形成され、且つ、その後部側が背抜き部を
呈する額縁状に高硬度なフォーム層で一体成形されたク
ッションパッドを装備し、このクッションパッドの背抜
き部からパッド内にシートバックフレームを組み付ける
と共に、シート表皮の端末をクッションパッドの背抜き
部からパッド内のシートバックフレームに巻込み止着さ
せてクッションパッドをシート表皮で被包し、更に、そ
のシート表皮で被包されたクッションパッドの背抜き部
にバックプレートを緊密に嵌込み固定させて組み立てる
ことにより構成されている。

作用 この車輌用のシートバックでは、中央の座面相当部，左
右の土手相当部を含むクッションパッドの前部側全面が
軟質なフォーム層で形成されているから良好なクッショ
ン性を保有でき、また、シートバックフレームを介して
後部側に位置するクッションパッドのフォーム層が高硬
度な額縁状に一体成形されているから、その硬度な後部
側の剛性により乗員の荷重によるシート表皮の張力に十
分耐えられ、周回り形状や背抜き部回りの形状を所望通
りに保持できて皺や緩みがシート表皮に生じ或いはバッ
クプレートとの間に隙間が生ずるのを避けられる。ま
た、このクッションパッドの後部側を薄肉に形成して
も、シートバックフレームの硬さを乗員に感じさせるの
を防げる。

実施例 以下、添付図面を参照して説明すれば、次の通りであ
る。

図示の車輌用シートバックは、第１，２図で示す如く中
央の座面相当部並びに左右の土手相当部を含む前部側全
面が軟質なフォーム層１０で形成され、後部側の高硬度
なフォーム層１１で一体成形されたクッションパッド１
で組み立てられている。その後部側のフォーム層１１
は、硬質乃至は半硬質の発泡ウレタン等からシート表皮
３の張力に十分対抗できる硬度に形成されている。ま
た、後部側のフォーム層１１は背抜き部１２を呈する額
縁状に形成されている。

このクッションパッド１は、シートフレーム２を背抜き
部１２からパッド内に組み付けることによりシートバッ
クフレーム２で支持されている。その組付けに際しては
フォーム層１１が高硬度なものに形成されているから、
シートフレーム２を背抜き部１２からパッド内に嵌め合
せするのを簡単に行なえる。また、このクッションパッ
ド１はシート表皮３で被包されている。そのシート表皮
３は、端末を背抜き部１２からシート内に巻き込んでシ
ートフレーム２のクロスプレート２ａ並びに横梁プレー
ト２ｂに固定することにより端末止着されている。この
シート表皮３は後部側のフォーム層１１がシート表皮３
の張力に耐え得る高硬度なものに形成されているから、
メリハリを前部側にも付与するよう被着できしかも周回
り形状も額縁状の形状通りに保形することができる。そ
のシート表皮３で被包されたクッションパッド１１の後
部側には、背抜き部１２による凹部ができる。この凹部
には上部フック４ａをクロスプレート２ａと係止プレー
ト２ｃとの間に嵌込んで上部側を固定すると共に、下部
側を横梁プレート２ｂにあてがい固定することによりバ
ックプレート４が嵌込み固定されている。そのバックプ
レート４は後部側のフォーム層１１が高硬度に形成され
て正確に形状出しされているから、背抜き部１２の周側
面との間に隙間が生じないよう緊密に密着させて嵌込み
固定することができる。

このように構成する車輌用シートバックではクッション
パッド１のフォーム層１１が薄肉なもので形成されてい
ても、そのフォーム層１１が高硬度なものに形成されて
いるところからシートバックフレーム２の硬さを乗員に
感じさせることがない。また、このクッションパッド１
のフォーム層１１が高硬度に形成されてシート表皮３の
張力に耐え得るから形状を正確に保持でき、シートバッ
クフレーム２の組付けを容易に行えしかもバックプレー
ト４との間に隙間を生ずることなく確実に嵌込み固定す
ることができる。

なお、上述したクッションパッド１は第３図で示すよう
に予め高硬度に形成されたフォーム層１１を金型５の割
り型５ａに挿置し、その挿置後型締めさせて型本体５ｂ
の内部に充填させる軟質な発泡樹脂１０′を発泡成形す
ることにより発泡樹脂１０′がフォーム層１１に含浸す
ることから軟質なフォーム層１０として高硬度なフォー
ム層１１と一体に形成することができる。この成形後は
フォーム層１１が割り型５ａに嵌り合ったままでパッド
全体が型外しされるが、そのフォーム層１１は多少強制
的に引っ張れば割り型５ａから容易に取り外すことがで
きる。

考案の効果 以上の如く、本考案に係る車輌用シートバックに依れ
ば、中央の座面部並びに周回りを含めて外形形状を所望
通りに保形でき、乗員の荷重によるシート表皮の張力で
も皺や緩みがシート表皮に生じないから外観上極めて良
好なものに保て、また、バックプレートとの間に隙間が
生ずるのも防げてシートバックフレームの硬さを乗員に
感じさせないようにできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る車輌用シートバックの部分横断面
図、第２図は同シートバックの側断面図、第３図ａ〜ｃ
は同シートバックに組み付けられるクッションパッドの
成形工程を示す説明図である。 １：クッションパッド、１０：クッションパッドの前部
側、１１：クッションパッドの背部側、１２：背抜き
部、２：シートバックフレーム、３：シート表皮、４：
バックプレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クッションパッドをシートバックフレーム
   に組み付け、そのクッションパッドをシート表皮で被包
   し、バックプレートをクッションパッドの後部側に取り
   付けることにより組み立てられる車輌用シートバックに
   おいて、中央の座面相当部，左右の土手相当部を含む前
   部側全面が軟質なフォーム層で形成され、且つ、その後
   部側が背抜き部を呈する額縁状に高硬度なフォーム層で
   一体成形されたクッションパッドを装備し、このクッシ
   ョンパッドの背抜き部からパッド内にシートバックフレ
   ームを組み付けると共に、シート表皮の端末をクッショ
   ンパッドの背抜き部からパッド内のシートバックフレー
   ムに巻込み止着させてクッションパッドをシート表皮で
   被包し、更に、そのシート表皮で被包されたクッション
   パッドの背抜き部にバックプレートを緊密に嵌込み固定
   させて組み立てたことを特徴とする車輌用シートバッ
   ク。