JPS6312765Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は座席特に車両用座席におけるシート構
造体に関するものである。

従来この種のシート構造体はシートフレームに
Ｓばねを架設したり、また複数の金属線条の離隔
連結体を両側縁においてコイルスプリングにより
支持するいわゆるすだれ状ばねを架張する等して
構成されているが、これ等は主として金属ばねが
用いられているので、重量が大で、シートの軽量
化ができず、また製作、組立においては、Ｓばね
の場合はシートフレームに対して一本宛係着する
ので作業に手数を要し、またすだれ状ばねはシー
トフレームに対する係着はもとより、それ自体の
組立にも手数を要する等、製作、組立工数が多
く、また一部即ち両側縁部のみに弾力を保有させ
たすだれ状ばね等の場合は反発力が小さく、その
ためにシートフレームには内方への引張力が大き
く作用することになり、従つてシートフレームも
強度を必要とし堅牢に製作しなければならずコス
ト高になつていた。

そこで本考案は弾性支持体を繊維強化合成樹脂
等の高分子材料により成形することにより製作、
組立が簡単で弾性支持体自体に十分な弾力性を保
有させて、シートフレームに不要な押圧力を作用
させることがなく快適な着座姿勢をとることがで
きると共に座席の軽量化ができるようにしたシー
ト構造体を提供するものである。

即ち本考案は高分子材料より成形され、少なく
とも両側部に弾力性を保有して表面側に傾斜する
支持縁部を有する支持板体と、その支持板体の少
なくとも両側部の裏面側に弾力性を保有して係合
設置される脚体とから成る弾性支持体を、シート
フレームに上記脚体側から係着して成り、上記支
持板体の表面から周縁部にかけてクツシヨン部材
を被覆し、シートを形成するようにしたものであ
る。

以下図面について本考案の実施例を説明する。

第１図は、本考案によるシート構造体を適用し
た車両用座席を示し、Ｓは座席でシートバツク
SbをシートクツシヨンScに対してリクライニン
グ装置Ｒを介して前後方向に傾斜調節自在に連結
して構成されている。

第２図は第１図におけるシートクツシヨンSc
の拡大横断面図を示し、１は本考案による一例の
シート構造体であつて繊維強化合成樹脂等の高分
子材料により形成される弾性支持体２と、断面コ
字状の金属材から成るシートフレーム３とにより
構成され、このシート構造体１の弾性支持体２の
表面から周縁部にかけてクツシヨン材４を囲繞
し、その外面を表皮５により被覆することにより
シートクツシヨンScが形成されている。

更に第３図以降について本考案による一例のシ
ート構造体１を詳細に説明するに、先ず弾性支持
体２は繊維強化合成樹脂等の高分子材料の射出成
形等により成形される支持板体２１と脚体２２と
より構成されるもので、支持板体２１は、両側部
に表面側に弾力性を保有して傾斜する支持縁部２
３ａ，２３ｂが形成され、この支持縁部２３ａ，
２３ｂに長手方向に所要間隔で係合孔２４ａ，２
４ｂが穿設されている。また脚体２２は両側一対
２２ａ，２２ｂに形成された支持板体２１の支持
縁部２３ａ，２３ｂの長さと略同長で弾力性を保
有して断面く字状に形成され、前縁部には支持板
体２１の係合孔２４ａ，２４ｂに係合される係合
爪２５ａ，２５ｂが隆起形成され、後縁部には先
狭のテーパー状で水平方向に屈曲されて挿入片２
６ａ，２６ｂが形成されている。

この支持板体２１と脚体２２、即ち両脚体２２
ａ，２２ｂとを、両脚体２２ａ，２２ｂの係合爪
２５ａ，２５ｂを支持板体２１の係合孔２４ａ，
２４ｂに裏面側から挿入し係合することにより連
結して弾性支持体２を形成する。なお、支持板体
２１には任意位置に長孔２７が形成されて弾性支
持体２の全体としての重量を軽減すると共に材料
を削減できるようになされている。

一方シートフレーム３の内面には弾性支持体２
の脚体２２ａ，２２ｂの挿入片２６ａ，２６ｂが
挿入係合される係合部３１ａ，３１ｂが形成され
ており、この係合部３１ａ，３１ｂに脚体２２
ａ，２２ｂの挿入片２６ａ，２６ｂを挿入係合す
ることにより弾性支持体２はシートフレーム３に
係着される。この係着において脚体２２ａ，２２
ｂの挿入片２６ａ，２６ｂは先狭のテーパー状に
形成されているため、シートフレーム３の係合部
３１ａ，３１ｂに食込むように挿入係合されるの
で係着が確実に行えることになる。

なお、シートフレーム３の係合部３１ａ，３１
ｂは側面等に通孔とし形成してもよい。

このように弾性支持体２とシートフレーム３の
係着によりシート構造体が構成され、この表面側
に上述の如くクツシヨン材４、表皮５を被着する
ことにより、シートクツシヨンScを形成する。
この表皮５の被着において表皮５のシート構造体
１に対する結着いわゆるトリムは支持板体２１の
支持縁部２３ａ，２３ｂの端縁に形成された掛合
部２８ａ，２８ｂに掛合架張されるトリムワイヤ
６に縁部を結着することにより行う（第２図参
照）。このようにして形成されるシートクツシヨ
ンScに着座すると荷重がクツシヨン材４、弾性
支持体２を介してシートフレーム３において受け
ることになるが、弾性支持体２の脚体２３ａ，２
３ｂは弾力性を保有しているので荷重が加わると
撓み、その衝動を吸収し、一方支持縁部２３ａ，
２３ｂも弾力性を保有しているのでシートクツシ
ヨンScの縁部にも弾力が生じ着座者の着座時に
おける衝撃も吸収され圧迫感が緩和される。

なお以上の構成において弾性支持体２の支持板
体２１は一体に形成されているが、この支持板体
２１を複数に分割する短冊状板２１′に形成し、
この短冊状板２１′の両側の支持縁部２３a′，２
３b′には夫々係合孔２４a′，２４b′を穿設してお
き（第５図参照）、この短冊状板２１′を上述の脚
体２２ａ，２２ｂ間に順次並べて係合爪２５ａ，
２５ｂに係合孔２４a′，２４b′を係合して横架し
弾性支持体２を形成してもよく、この場合は、シ
ートの組立時に弾性支持体を任意の大きさに形成
でき、また高分子材料による成形も容易に行える
ことになる。また以上の各実施例において支持板
体２１又は短冊状板２１′と脚体２２ａ，２２ｂ
とは超音波等で接着してもよく、この場合支持縁
部２３ａ，２３ｂ又は２３a′，２３b′と係合爪２
５ａ，２５ｂとの間で接着し得る。

以上の各実施例は本考案をシートクツシヨン
Scに適用した場合であるが、シートバツクSbに
も同様に本考案を適用し得ることは勿論であり、
この場合シートバツクSbの弾性支持体に受ける
荷重はシートクツシヨンScに受ける荷重より小
であるため、脚片にシートクツシヨンScに用い
るものより弱い弾力性を保有させ、また支持片の
立上り角を大にして座着者の背部に側面から当接
するように形成し得る。

また、本考案の範囲を逸脱することなく各種の
変形が可能である。

本考案によれば、弾性支持体は支持板体の支持
縁部とシートフレームとの間に断面略く字状の脚
体を外方に開口した状態で介在してシートフレー
ムに係着するため、支持板体はその支持縁部裏面
側から脚体により表面方向に弾性的に押出すよう
に支持されることになる。そのため脚体の支持板
体に対する力の作用効率が良く、支持板体は左右
安定して支持される。

また支持板体の両側支持縁部は着座時において
支持板体自体の撓みと、脚体にこの撓みによつて
生じる反力、及び脚体自体の弾力による押出弾力
とにより着座者に対して両側から弾性的に押当て
られるように支持作用することになる。従つて、
これらの弾力的支持作用により着座者の身体拘束
力が増大するため快適な着座感が得られる。更に
支持板体の両側支持縁部は夫々独立した弾力支持
作用となり着座時における動きの自由度が大とな
る。

加えてシートフレームに対する弾性支持体の組
付けにおいてはシートフレームに脚体を係着した
後、この脚体の上部に支持板体を組付ければよい
ので組付け作業が確実に、しかも容易に行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるシート構造体を適用した
車両用座席の斜視図、第２図は第１図におけるシ
ートクツシヨンの拡大横断面図、第３図は弾性支
持体の一例の斜視図、第４図はシート構造体の一
例の一部分の斜視図、第５図は弾性支持体を構成
する支持板体の他例の斜視図である。 図中１はシート構造体、２は弾性支持体、３は
シートフレーム、２１は支持板体、２２ａ，２２
ｂは脚体、２３ａ，２３ｂは支持縁部、２６ａ，
２６ｂは挿入片、３１ａ，３１ｂは係合部であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両側部に弾力性を保有し表面側に傾斜する支持
   縁部を有する支持板体と、弾力性を保有する断面
   略く字状で上記支持板体の支持縁部の裏面側に外
   方に開口した状態で取付けられる脚体とから成る
   高分子材料製弾性支持体を、シートフレームに上
   記脚体を介して係着して成り、上記支持板体の表
   面から両側支持縁部にかけてクツシヨン部材を被
   覆し、シートを形成するようにしたことを特徴と
   するシート構造体。