JPH0510695Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、車両用シートのサポート構造に関
し、特にシートのバケツト形状が乗降の邪魔とな
らず、しかもホールド性の向上を図つた構造に関
する。

《従来の技術》 車両用シートのうちバケツトタイプシートは、
シートクツシヨンおよびシートバツクともにその
両サイド部が突出したいわゆるサイドサポート部
を形成し、身体に対するホールド性を向上させて
いる。

第５図はバケツトタイプシートのシートバツク
フレームの一例を示しており、１はパイプを矩形
枠状に曲成したメインフレーム、２はメインフレ
ーム１の両側部に溶接などによつて一体化された
サイドサポートフレーム、３はメインフレーム１
の前面にあつて、両側を前記サポートフレーム２
の内側にリテーナ４を介して懸架された複数条の
Ｓバネである。

そして、この構造のフレームの外周部に第６図
に示すように、パツド５を介して表皮材６を被抱
することでシートバツクを完成する。

この構造のシートではサイドサポート部Ｂの突
出分だけ身体の両側部に対するホールド性が向上
し、特にスポーツ走行などでは身体を安定して保
持できる。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、この構造にあつては、サイドサ
ポート部Ｂは、前記サポートフレーム２の外周を
直接パツド５および表皮材６で覆つた形状であ
り、前部外側に傾斜した断面形状となつているた
め、急速度で急カーブを曲がる場合など大きな横
力が加わつた場合には、身体にはサイドサポート
部Ｂの傾斜に沿つてシートの外側に投げ出される
大きな力が加わり、足の踏ん張り力が弱く、また
シートベルトを装着していない場合では思わぬ事
故を起こす危険性があつた。

また、サイドサポート部Ｂの深さが充分に深い
設計とすれば、横力が加わつても投げ出されるよ
うなことはないが、この場合には、すつぽりとシ
ートの内部に身体が収まつた形となるため、乗降
しにくくなる欠点が生ずる。

この考案は以上の問題点を解決するものであつ
て、シートに荷重が加わつていない状態ではシー
トの表面形状を平坦に近いものとでき、これによ
つて乗降し易くするとともに、座つた状態、や横
力が加わつた状態で体側を支持する側のサイドサ
ポート部の深さを深く傾斜を急なものに変化させ
ることによつて、ホールド感および、安全性を向
上するようにした車両用シートのサポート構造を
提供することを目的としている。

《課題を解決するための手段》 前記目的を達成するため、この考案は、枠状に
形成されたメインフレームと、メインフレームの
両側部に一体に設けられたサイドサポートフレー
ムと、両端を前記サイドサポートフレームの前部
側に略並行して結合した複数のＳバネを備え、か
つ前記Ｓバネは、メイン部に当たる区間が長ピツ
チで形成され、メイン部からサイドサポートフレ
ームまでの区間が短ピツチで形成された不等バネ
によつて構成されていることを特徴とする。

《作用》 以上の構成によれば、バネには常時シートの表
面を平坦化しようとする力が加わり、その結果荷
重が加わつていない状態ではバケツト形状は浅
く、乗降し易いものとなる。

また、荷重が加わつた状態では主にメイン部が
変形してバケツト形状が深くなり、ホールド性を
得られるとともに、加速時に体重移動方向に移動
変形し、その結果体側を支持する側のサイドサポ
ート部の傾斜は急になり、この結果さらにホール
ド性が向上することになる。

《実施例》 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図、第２図はこの考案のサポート構造を適
用したシートバツクフレームを示している。

図において、このシートバツクフレームはパイ
プを矩形枠状に曲成したメインフレーム１０と、
メインフレーム１０の前部両側に上下端部を溶接
によつて一体的に接合した、前記メインフレーム
１０より径の細い金属パイプ成形物からなるサイ
ドサポートフレーム１２と、サポートフレーム１
２間に並行に懸架された３本のＳバネ１４からな
つている。

各Ｓバネ１４は、メイン部支持区画１６と、こ
の支持部の両側に所定の傾斜をなして屈曲状態に
一体化された一対のサイド部支持区画１８とから
なつている。そして、メイン部支持区画１６のバ
ネピツチは長ピツチであり、軟らかいバネ性をも
つている。

これに対しサイド部支持区画１８のバネピツチ
は短ピツチに形成され、かたいバネ性をもつてい
る。さらに各区画１６，１８の屈曲角度は浅く形
成され、この角度を保持すべくそのバネ力が設定
されている。

以上のシートバツクフレームには通常のパツド
２０および表皮材２２が被抱され、メイン部Ａの
両側に浅く突出したサイドサポート部Ｂを有する
シートバツクを完成する。

そして、通常の非着座状態では同図に示すよう
に、シートバツクのメイン部とサイドサポート部
との交差角度は前記設定されたバネ力に応じた浅
い交差角度に保持され、標準形の平坦性を保つた
シートに類似する形状となつている。

また、第３図ａに示すようにＳバネ１４に乗員
の背面荷重Ｆ１が加わると、Ｓバネ１４のメイン
部支持区画１６が主にその荷重を受けて変形する
結果、各サイド部支持区画１８には中央側に向け
て引つ張り荷重が加わり、通常のバケツトシー
ト、あるいはこれよりもやや深いホールド感をも
つて身体を支持する。

この状態から加速時などで荷重Ｆ２がさらに加
わると、メイン部支持区画１６の変形だけでな
く、サイド部支持区画１８が引つ張り荷重を受
け、この結果第３図ｂに示すごとくサイドサポー
ト部Ｂの傾斜角度は深くなり、さらにホールド感
を深める。

また、旋回時などで横力Ｆ３が加わつた場合に
は、第３図ｃに示すように、直接身体に接する側
のサイド部支持区画１８は屈曲点をヒンジ点とし
て垂直状態に移動変形し、この結果サイドサポー
ト部Ｂは接触側の体側に対するホールドをより深
い形にする。

したがつて、この実施例では横力Ｆ３が加わつ
た場合に、身体が投げ出されるような力とはなら
ず、逆に懐を深くすることでホールド性を向上さ
せるのである。

なお、第４図に示すように、各区画１６，１８
の横力による過度の移動変形を防止するために、
アシスト用のバネ３０を各区画の屈曲点とメイン
フレーム１０との間に懸架し、横方向の動きを規
制するようにしてもよい。

また、前記実施例ではこの考案をシートバツク
に適用した場合を例示したが、同様にしてシート
クツシヨンにも適用できることは言うまでもな
い。

《考案の効果》 以上実施例によつて詳細に説明したように、こ
の考案による車両用シートのサポート構造にあつ
ては、バネ部が横力による体重移動方向に移動変
形し、その結果体側を支持する側の側のサイドサ
ポート部の傾斜は急になり、この結果、ホールド
性が向上する。したがつて、この考案では横力が
加わることにより身体が投げ出されるなどの危険
性を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を適用したシートバツクフレ
ームの斜視図、第２図はシートバツクの組立完成
状態における横断面図、第３図ａ〜ｃは同シート
バツクの世紀の状態と変形を受けた状態を示す説
明図、第４図は実施例に変形例を示す部分断面
図、第５図は従来のシートバツクフレームの斜視
図、第６図は同従来のシートバツクの組立完成状
態における横断面図である。 １０……メインフレーム、１２……サイドサポ
ートフレーム、１４……Ｓバネ、１６……メイン
部支持区画、１８……サイド部支持区画。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 枠状に形成されたメインフレームと、メインフ
   レームの両側部に一体に設けられたサイドサポー
   トフレームと、両端を前記サイドサポートフレー
   ムの前部側に略並行して結合した複数のＳバネを
   備え、かつ前記Ｓバネは、メイン部に当たる区間
   が長ピツチで形成され、メイン部からサイドサポ
   ートフレームまでの区間が短ピツチで形成された
   不等バネによつて構成されていることを特徴とす
   る車両用シートのサポート構造。