JPH065551U - シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着座用シートの前滑りを防ぐことにより、楽
な着座姿勢をとりながらも着座者を安定的にホールドで
きるようにする。 【構成】 着座者に前向きの力が加わった場合において
も、シートクッション１０上面のシートバック１１寄り
に、滑り止め凹凸部として滑り止め溝２０が設けられて
いるため、着座者の尻から大腿付根部にかけて大きな摩
擦抵抗が働き、身体が前方にずれ動くことを防ぐ。ま
た、シートクッション１０上面の前縁部中央には滑り止
め用隆起部２１が設けられているため、着座者に前向き
の力が加わっても、この滑り止め用隆起部２１が着座者
の股間部に位置して着座者のずれ動きを防止する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は車両用又は事務用等に用いられる着座用のシートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

例えば、車両用のシートは、着座用のシートクッションと背もたれ用のシート バックからなる。シートの着座姿勢の調整機構としては、シートバックの傾きを 変えるリクライニング機構やシートクッションの傾きを変えるバーチカル機構等 があり、シートクッションやシートバックの傾きを変更することにより好みの着 座姿勢をとることができる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、図４に示すようにシートバック１を後方に傾けて楽な着座姿勢をとっ た場合、前方視界の視野が狭くなるため、特に市街地走行の際の運転にとっては 好ましくない。逆に、図５に示すようにシートバック１を立てれば前方視界は十 分に確保されるが、着座者の胴と大腿との間の角度が小さくなって姿勢が窮屈に なるため、長時間運転にとっては好ましくはない。

【０００４】 そこで、楽な姿勢をとりながら前方視界を広くするため、シートバック１を後 方に傾けた状態でその角度を保ちながらシートクッション２を前傾させることも 考えられる。しかし、シートクッション２を前傾させた場合には、着座者がブレ ーキングの際等に前滑りし易く、着座者を安定的にホールドするというシートの 機能が損なわれる。

【０００５】 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、楽な着座姿勢をとりながらも着座 者を安定的にホールドできるシートを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】 本考案のシートは、着座用のシートクッションと、このシートクッションの後 部から立ち上がるシートバックとを備え、前記シートクッション上面のうち前記 シートバック寄りには滑り止め用凹凸部が設けられると共に、シートクッション 上面の前縁部中央には滑り止め用隆起部が設けられていることに特徴を有する構 成としてある。

【０００７】

【作用】

例えば車両用のシートにあって、急ブレーキ時等には着座者に前向きの力が加 わる。この場合においても上記手段のシートでは、シートクッション上面に凹凸 部が設けられているため、着座者の尻から大腿付根部にかけて大きな摩擦抵抗が 働き、身体が前方にずれ動くことを防ぐ。また、シートクッション上面の前縁部 中央には滑り止め用隆起部が設けられているため、着座者に前向きの力が働いて もこの隆起部が着座者の股間部に位置して着座者のずれ動きを防止する。

【０００８】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案のシートによれば、着座用シートクッション上面の シートバック寄りに凹凸部を設け、シートクッション上面の前縁部中央に隆起部 を設けたことにより、着座者の前滑りを防止することができる。従って、シート クッションを前傾させ、且つシートクッションとシートバックの間の角度を大き くした状態でも安定して着座することができる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案を車両用シートに適用した一実施例について図面に従って詳細に 説明する。

【００１０】 本考案のシートは、図１に示すように着座用のシートクッション１０と背もた れ用のシートバック１１からなる。このシートバック１１はシートクッション１ ０後縁部において立ち上がり状態で軸支されており、図示しない公知のリクライ ニング機構によって回動可能とされている。また、シートクッション１０は図示 しない公知のバーチカル機構により、前後の傾きを変更することができる。

【００１１】 シートクッション１０は内部が発泡体でできたクッションパッド１２の表面を 表皮材１３にて覆って構成されており、クッションパッド１２と表皮材１３は接 着剤により接着されている。シートクッション１０の左右両側縁部には突条部１ ０ａが設けられているため、走行中に身体が左右にずれ動くことが防止される。 本実施例では滑り止め用凹凸部は６本の滑り止め溝２０から構成してある。こ れは図１及び図２に示すように、シートクッション１０上面の後部に設けられ、 溝の断面形状は開放上部が後方に傾いたコの字形をなす。また、シート上面から 見た形状は頂点が前方にあるＶ字形をなし、滑り止め溝２０と着座者の大腿部と が直角に交わるような形状となっている。

【００１２】 一方、滑り止め用隆起部２１は着座者の股間部に位置するように、シートクッ ション１０の上面前縁部中央に設けられている。これは、シート上面から見た形 状は頂点が後方を向く三角形をなす。

【００１３】 次に上記構成の作用について説明する。前方視界を十分に確保するためにはシ ートバック１１を立てた状態とし、ここに着座する。この状態で楽な着座姿勢を とるためには、図３に示すようにシートクッション１０をバーチカル機構により 調整し、シートクッション１０とシートバック１１の角度を大きくする。

【００１４】 このような状態では、仮に急ブレーキをかけると、着座者に前方に動こうとす る大きな力が働く。しかし本実施例では、滑り止め溝２０がシートクッション１ ０上面の後部に設けられているため、この凹凸部によって着座者の大腿部に大き な摩擦力が働く。また、この滑り止め溝２０の断面形状は開放上部が後方に傾い たコの字形であるため、着座者に前方への力が作用すると滑り止め溝２０の開口 縁部と大腿部との接触部分の摩擦力はより大きくなる。さらに、この滑り止め溝 ２０は着座者の大腿と直角に交わっているため、着座者の前向きの力に対して最 大の摩擦力が働く。

【００１５】 以上の構成により、滑り止め溝２０は、着座者に前向きの力が加わった場合で も着座者の前方へのずれ動きを防止できる。また、シートの前縁部中央に滑り止 め用隆起部２１が設けられているから、着座者に前方に動こうとする力が働いて も、滑り止め用隆起部２１が着座者の股間部に位置し、着座者の前方へのずれ動 きを一層確実に防止する。

【００１６】 上記のように、本実施例のシートによれば、シートクッション１０の上面後方 に滑り止め溝２０を設け、さらに上面前縁部中央に滑り止め用隆起部２１を設け たことにより、着座者に急ブレーキ等の前向きの力が加わった場合においても前 滑りを防止することができる。従って、シートクッション１０とシートバック１ １との角度を十分にとり、且つシートクッション１０を前傾させた状態でも安定 に着座することができる。

【００１７】 なお、本考案は上記実施例に限定されるものではなく、次のような変更が可能 である。

【００１８】 （１）本実施例では滑り止め用凹凸部はコの字形の断面形状の滑り止め溝２０ としたが、滑り止め用の凹凸部としてはこれに限らず、コの字形或いはＵ字形の 断面形状の突条部としてもよい。

【００１９】 （２）本実施例では車両用シートに適用した例を示したが、これに限らず、事 務用椅子などに適用することもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例のシートの斜視図

【図２】シートクッションの断面図

【図３】シートバックを立てて、シートクッションを前
傾させて着座した状態を示す側面図

【図４】シートバックを倒して着座した状態を示す側面
図

【図５】シートバックを立てて着座した状態を示す側面
図

【符号の説明】

１０…シートクッション １１…シートバック ２０…滑り止め溝 ２１…滑り止め用隆起部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 着座用のシートクッションと、このシー
   トクッションの後部から立ち上がるシートバックとを備
   え、前記シートクッション上面のうち前記シートバック
   寄りには滑り止め用凹凸部が設けられると共に、シート
   クッション上面の前縁部中央には滑り止め用隆起部が設
   けられていることを特徴とするシート。