JP2583524Y2 - 車両用腰掛の足掛装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、鉄道車両、自動車又は
航空機等（以下「車両等」という）の腰掛下部に構成す
る足掛装置に係り、特に足掛装置の使用に際し、その使
用者の前方へ近づけることができる車両用腰掛の足掛装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車両用の腰掛には、従来より座席を構成
する脚台の後部に後側の座席の使用者が使用する足掛を
設けたものがある。この足掛は、一般的には脚台の後方
へ突出する支持部材に対して格納位置と使用位置間に回
動展開する足載せ台を構成したものであり、適宜使用者
が該足載せ台を格納位置から使用位置に転換させて使用
する構造になっていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】従って、上記従来の足
掛にあっては、使用者の体位が異なるにも拘らず、一般
には足掛の位置が一定になっているものが殆どであり、
人によっては該足掛に足が届かず、使用不能になる場合
があり、適正な姿勢で使用することができず、かえって
疲れるなどの問題を有するものであった。

【０００４】 本考案は、上記問題に鑑みて創案された
ものであり、使用者の体位に合わせて好ましい足載せ位
置を確保することができると共に、使用しない側は邪魔
にならない様にして使用疲労感を解消することができる
車両用腰掛の足掛装置を提供することを目的とするもの
である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係る車両用腰掛の足掛装置は、脚台上に腰
掛本体の台枠を回転装置を介して正逆回転自在に構成し
た回転腰掛において、上記脚台に前後方向へ摺動自在に
支持枠を構成し、該支持枠の前後部に足掛装置を固設す
ると共に、該支持枠の中央部分と上記腰掛本体側の回転
装置の中心軸とに枠カムを介在して、上記腰掛本体の回
動に連動して上記支持枠を足掛装置と共に前後方向へ変
位し得るように構成したことを要旨とするものである。

【０００６】

【作用】上記構成によれば、背ずり側の足掛装置は、そ
の回転腰掛の後方即ち後部座席側へ大きく突出してお
り、後部座席に着座している者の前方へ大きく近づける
ことができる。また、座ぶとん側の足掛装置は、着座者
の座ぶとん真下において引っ込むように脚台側へ変位し
ているため着座者の足元で邪魔になることがない。

【０００７】一方、本考案に係る足掛装置は、腰掛本体
の回動に応じて支持枠の枠カムを介在して脚台の前後方
向へ変位し得るように構成されているため、腰掛本体の
向きを転向したときに、背ずり側で大きく突出している
足掛装置は、この背ずりが反対側へ回動すると同時に脚
台側へ引っ込むように変位する。逆に、座ぶとん側で引
っ込んでいた足掛装置はこの座ぶとんが反対側へ回動す
ると同時に多く突出するようになり、座ぶとん側の足掛
装置は引っ込んだ位置、及び背ずり側の足掛装置は突出
した位置にあるという位置関係は常時維持されることに
なる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案に係る車両用腰掛の足掛装置の
実施例を図面に従って説明する。図１及び図２は、本考
案に係る足掛装置を構成した２人掛けの車両用回転腰掛
を示すものである。図面において、１は、車両等の床面
に固設した脚台２に対して回転装置３を介して台枠４を
水平方向に正逆回転自在に装置した回転式の腰掛本体で
あり、該台枠４の上面に座ぶとん５を載置すると共に、
背面に背ずり６，６を傾倒自在に立設し、かつ該台枠４
の両側には肘掛け７，７を構成した袖部８，８を取り付
けて個々の座席を構成するものである。また、この脚台
２の通路側には、座席の使用時における腰掛本体１の脚
台２に対する回動を阻止する停止装置を操作するための
ペダル９を配設してある。而して、腰掛本体１は、所望
によりペダル９を踏下操作することによりその向きを車
両の進行方向又は座席相互の対向方向に転向させること
ができるものである。

【０００９】図３及び図４は、本考案に係る車両用腰掛
の足掛装置を示すものである。１０は、上記脚台２に前
後方向へ摺動自在に構成した支持枠であり、該支持枠１
０は、略四角形状に形成したフレームの前後部それぞれ
に２人用の足掛装置１１，１１…を取り付けたものであ
り、脚台２の両側面に前後方向へ取り付けた各レール１
２，１２上を摺動する凸条１３，１３を構成して成るも
のである。また、この支持枠１０の中央部分に枠カム１
４の枠１４ａを固設し、この枠カム１４の枠１４ａ内に
枠カム１４の接触子１４ｂを回動自在に構成し、この接
触子１４ｂは腰掛本体１側の回転装置３を構成する回転
板の中心軸１５の先端に固着してある。また、本実施例
では、この接触子１４ｂの先端にコロ１６を取り付けて
枠１４ａ内での回動を円滑に行い得るように構成してあ
る。１７は、支持枠１０の前後方向への摺動を円滑に行
い得ると共に、車両走行中の振動がこの支持枠１０を通
じて足掛装置１１へ伝達することを防止するために、支
持枠１０の前部と枠カム１４の枠１４ａ及び支持枠１０
の後部と枠カム１４の枠１４ａ間に介在させたコイルば
ね等の緩衝材である。

【００１０】上記足掛装置１１は、図３に示すように、
支持枠１０前後部のフレームにそれぞれ一対の支持部材
１８，１８を固設すると共に、該支持部材１８，１８の
先端部１８ａ，１８ａ間において、足載せ台１９の両側
面を回動自在に枢着し、この回動軸２０を中心にして格
納位置と使用位置との２段階に展開変位し得るように構
成したものである。なお、足掛装置１１を構成する上記
足載せ台１９の表面側にはクッションを張設することが
できる。このようにクッションを張設すれば、靴を脱い
だ状態で足を掛けることができるため、より快適な状態
で着座することができる。

【００１１】次に、本考案に係る足掛装置の動作につい
て説明する。脚台２に対して前後方向へ摺動自在に構成
した支持枠１０は、回転腰掛の背ずり６側では大きく突
出している。この位置における支持枠１０に取り付けら
れた足掛装置１１は、その回転腰掛の後方即ち後部座席
に着座している使用者の前方へ大きく突出しているた
め、その使用者はこの足掛装置１１に足を掛けることが
できる。更に足載せ台１９を展開させると、より使用者
側へ近づけることもできる。一方、該支持枠１０の反対
側（座ぶとん５側）に取り付けられた足掛装置１１は、
逆に脚台２側に引っ込んだ状態になるため、その回転腰
掛の座ぶとん５に着座している使用者の足元で邪魔にな
ることがない。

【００１２】使用者が腰掛本体１を回動させると、この
腰掛本体１の回動に連動する枠カム１４を介在して、該
支持枠１０を反対の位置へ変位させ、同時に足掛装置１
１を前後方向へ変位させ得る。而して、上記のように使
用者の座ぶとん５側の足掛装置１１は引っ込んでおり、
背ずり６側の足掛装置１１は大きく突出しているという
位置関係は常時維持される。

【００１３】上記説明では支持枠１０を前後方向へ変位
させるために、脚台２の側面にレール１２及び凸条１３
を介在させて前後方向へ摺動自在に構成したものについ
て説明したが、脚台２の前後方向へ支持枠１０を摺動自
在に変位し得るように構成したものであれば、例えば、
支持枠１０を脚台２上面に取り付けたものであってもよ
い。

【００１４】

【考案の効果】本考案に係る車両用腰掛の足掛装置は、
以上のように構成したから、簡単な構成により、回転腰
掛の座席の向きに応じて常時足掛装置を使用者の前方へ
近づけることができるため、座席の背ずりの角度を変え
たときも適正な足載せ位置に切り替え変位して使用疲労
感を解消することができる。

【００１５】また、使用しない足掛装置は脚台側へ変位
させて使用者の足元で邪魔にならず、足掛装置を長時間
使用する使用者の体位及び好みを対応して好適な使用感
を得ることができるという特徴を有するものであり、本
考案実施後の効果は極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る足掛装置を構成する車両用腰掛を
示す正面図である。

【図２】同じく側面図である。

【図３】脚台及び支持枠を示す平面図である。

【図４】同じく側面図である。

【図５】図４におけるＡ部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 腰掛本体 ２ 脚台 ３ 回転装置 ４ 台枠 １０ 支持枠 １１ 足掛装置 １２ レール １３ 凸条 １４ 枠カム １４ａ 枠 １４ｂ 接触子 １５ 中心軸 １９ 足載せ台

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 脚台上に腰掛本体の台枠を回転装置を介
   して正逆回転自在に構成した回転腰掛において、 上記脚台に前後方向へ摺動自在に支持枠を構成し、 該支持枠の前後部に足掛装置を固設すると共に、該支持
   枠の中央部分と上記腰掛本体側の回転装置の中心軸とに
   枠カムを介在して、上記腰掛本体の回動に連動して上記
   支持枠を足掛装置と共に前後方向へ変位し得るように構
   成したことを特徴とする車両用腰掛の足掛装置。