JPH0641860Y2 - ドアトリム用プルハンドルの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、自動車用ドアトリムのアームレストに設置
されるドアトリム用プルハンドルの取付構造に関する。

《従来の技術》 従来、第６図に示すように、ドアインナーパネルに内装
されるドアトリム１は、そのほぼ中央部が車室内側に膨
出形成され、アームレスト２が形成され、このアームレ
スト２の上面開口に樹脂成形体からなる有底箱状のプル
ハンドル３が装着されている。そして、乗員はこのプル
ハンドル３に手を入れて、ドアの開閉操作を行ってい
る。

上記プルハンドル３の取付構造は、第７図，第８図に示
すように、芯材４と表皮材５とから構成されるドアトリ
ム１のアームレスト２上面開口にこのプルハンドル３を
嵌込み、プルハンドル３のフランジ3aが上記開口縁部を
覆うようにして、プルハンドル３の底部3bを、図示しな
いドアインナーパネルに固定された金属製ブラケット６
にビス７により固定し、さらに、外観見栄えを考慮し
て、ビス７の頭部を隠すため、キャップ８を取付けてい
る。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、このような従来のプルハンドルの取付構
造にあっては、ブラケット６の取付座面6aにプルハンド
ル３を取付けた状態では、プルハンドル３のフランジ3a
の位置が確定してしまうため、表皮材の厚み仕様の変化
に対応することができない。例えば、表皮材５として塩
ビレザー等の比較的薄手の表皮材を使用した場合、プル
ハンドル３のフランジ3aと表皮材５との間に間隙が生
じ、極めて見栄えの悪いものになり、また逆に、表皮材
５として比較的厚手、例えばクッション材等を介挿した
表皮材５を使用する場合には、プルハンドル３をビス７
止め固定する際、固定作業がやりづらく、無理にビス止
めを行った場合、プルハンドル３の底面3bに割れが生じ
るなどの不具合が指摘されている。

また、プルハンドル３の寸法のバラツキやブラケット６
の設定位置のバラツキによっても、表皮材５とプルハン
ドル３のフランジ3aとの間に間隙が生じたり、プルハン
ドル３の取付作業がやりづらいなどの問題点も同時に指
摘されている。

さらに、プルハンドル３は、ブラケット６に対して１箇
所でビス７止め固定されている関係で、剛性が不足し、
安定した操作が期待できないという不具合も指摘されて
おり、加えて、プルハンドル３の底面3bにビス７止め固
定した後、このビス７の頭部を被覆するキャップ８を必
要とするため、部品点数の増大ならびにキャップ８の違
和感から生じる見栄えの低下を招く不具合もある。

この考案は、上述の事情に鑑みてなされたもので、本考
案の目的とするところは、表皮材の厚み使用の変化に有
効に対応することができるとともに、プルハンドルの寸
法誤差やブラケットの取付誤差などのバラツキを有効に
吸収して、アームレストの上面開口縁部とプルハンドル
周縁部との間に隙間が発生せず、かつプルハンドルを簡
単に取付けることができ、しかも、剛性を強化したドア
トリム用プルハンドルの取付構造を提供することにあ
る。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、本考案は、ドアトリムのほ
ぼ中央部を車室内側に膨出形成して、アームレストを形
成するとともに、このアームレストの上面開口に嵌込み
固定されるドアトリム用プルハンドルの取付構造におい
て、 前記プルハンドルは、ケース状に成形された樹脂成形体
からなり、一体に形成されたブラケットを介して、イン
ナーパネルに固定されるプルハンドル本体と、上記プル
ハンドル本体の上面開口縁部に沿って周設されたフラン
ジに固定される装飾用フレームとから構成されるととも
に、上記装飾用フレームには、側面に多段突起を有する
挿入用脚片が周縁に沿って、下方に向けて突設形成され
る一方、上記プルハンドル本体のフランジには、上記挿
入用脚片に対応して取付用長孔が開設され、上記挿入用
脚片の挿入寸法を選択して多段突起を取付用長孔縁部に
係着することにより、上記プルハンドル本体に対して、
装飾用フレームを取付けることを特徴とする。

《作用》 以上の構成から明らかなように、本考案によるドアトリ
ム用プルハンドルの取付構造によれば、プルハンドル
が、インナーパネルに固定されるプルハンドル本体と、
このプルハンドル本体の上面開口縁部に周設されるフラ
ンジに対して上下位置調整可能に取付けられる装飾用フ
レームとから構成されており、装飾用フレームには、側
面に多段突起を有する挿入用脚片が周縁に沿って下方に
向けて突設形成され、プルハンドル本体のフランジに
は、上記挿入用脚片に対応して取付用長孔が開設されて
いるため、装飾用フレームの挿入寸法を適宜選択して、
多段突起を取付用長孔縁部に係着することにより、厚手
表皮材，薄手表皮材等の表皮材の厚み仕様の変化に対応
することが可能となる。

さらに、プルハンドル本体の寸法誤差や、ブラケットの
設定位置のバラツキ等も装飾用フレームの挿入寸法を適
宜選択することにより有効に吸収できる。

また、プルハンドル本体はインナーパネルに直接固定さ
れているため、プルハンドルの剛性が強化されるととも
に、従来プルハンドル底部を取付ける取付用ビスならび
に、このビスの頭部を被覆するキャップ等を廃止するこ
とができる。

《実施例》 以下、本考案によるドアトリム用プルハンドルの取付構
造の実施例を添付図面を参照しながら詳細に説明する。

第１図は本考案によるドアトリム用プルハンドルの構成
を示す分解斜視図、第２図は同ドアトリム用プルハンド
ルをドアトリムに取付けた状態を示す断面図、第３図，
第４図は本考案によるドアトリム用プルハンドルの装飾
用フレームの挿入寸法を可変させて、表皮材仕様の変化
に対応させた状態を示す各断面図、第５図は本考案によ
るプルハンドル本体の変形例を示す断面図である。

第１図において、本考案によるドアトリム用プルハンド
ル10は、図示しないドアインナーパネルに直接取付けら
れるケース状のプルハンドル本体11と、このプルハンド
ル本体11の上面側に取着される装飾用フレーム12とから
大略構成される。

さらに詳しくは、上記プルハンドル本体11は、樹脂成形
体からなり、両側壁ならびに下側壁部にブラケット13が
一体に形成されており、このブラケット13に設けた取付
孔13aを介して図示しないドアインナーパネル側にビス
止め固定される。さらに、プルハンドル本体11の内奥壁
外面に仮止め用係止片14が形成されており、ドアインナ
ーパネルに仮止めした状態を維持できるように構成され
ている。また、このプルハンドル本体11の上面開口縁部
にフランジ15が周設され、このフランジ15に沿って、取
付用長孔16が複数箇所に設定されている。

一方、このプルハンドル本体11に取付けられる装飾用フ
レーム12は、上記プルハンドル本体11のフランジ15に沿
って取付けられるが、取付用長孔16に対応して挿入用脚
片17が一体に設けられ、この挿入用脚片17の側面に多段
突起18が形成されている。

次に、上記プルハンドル10をドアトリム20に取付ける状
態について第２図を基に説明する。

まず、ドアトリム20は、芯材21の表面にパッド材22を配
置して、外周を表皮材23により被覆した３層構造のもの
が本例では使用されているが、適宜パッド材22を省略し
て、芯材21と表皮材23との２層構造でも良く、また、表
皮材23は、塩ビレザー，樹脂シート等の薄手の仕様のも
のでも、発泡シート等の比較的厚手の仕様のものでも適
宜選択されて良い。また、上記ドアトリム20のほぼ中央
部は車室内側に膨出形成されて、アームレスト24が形成
され、このアームレスト24の上面開口25に上記プルハン
ドル10が嵌込み固定される。

すなわち、プルハンドル本体11が、この開口25内に嵌込
まれて、プルハンドル本体11に形成されたブラケット13
がビス27によりドアインナーパネル26により強固に固定
される。このとき、プルハンドル本体11に形成した仮止
め用係止片14によりこのプルハンドル本体11は適正位置
に仮止めがなされる。

そして、このようにドアインナーパネル26に対して強固
に取付けられたプルハンドル本体11の上面側に装飾用フ
レーム12が嵌込み固定されるが、この装飾用フレーム12
の嵌込み操作において、挿入用脚片17をプルハンドル本
体11のフランジ15に形成された取付用長孔16内に嵌着す
れば、挿入用脚片17に形成された多段突起18により、装
飾用フレームは適宜位置にこのフランジ15に対して強固
に嵌着固定できる。そして、この装飾用フレーム12によ
りアームレスト24の上面開口25の縁部を覆うようにプル
ハンドル10がドアトリム20側に取付けられる。

本考案は以上のように構成されているため、例えば、第
３図に示すように表皮材23として塩ビレザー等の薄手表
皮材を使用するタイプのものにおいては、装飾用フレー
ム12をプルハンドル本体11に対して比較的深く挿入する
ようにすれば、表皮材23と装飾用フレーム12との間に間
隙が生じることがなく、プルハンドル10をドアトリム20
側に取付けることができる。

また、表皮材23として厚手の発泡シートを使用したり、
またパッド材22を介挿したりして、表皮材の厚みを比較
的厚く設定したタイプのものにあっては、装飾用フレー
ム12を比較的浅く嵌着すれば良い（第４図参照）。

このように本考案によるプルハンドル10によれば、表皮
材の厚み仕様の変化に対応して、プルハンドル10と、表
皮材23との間に空きが発生することがなく、外観上美麗
に仕上げることができる。

また、このように装飾用フレーム12をプルハンドル本体
11に対して上下位置調整可能なように嵌着することによ
り、例えば、プルハンドル本体11の寸法誤差や、ブラケ
ット13の取付誤差等があったとしても、装飾用フレーム
12の位置を上下位置可変とできるため、ドアトリム20の
表皮材23とプルハンドル10との空きが発生することがな
い。

加えて、本考案によるプルハンドル10は、プルハンドル
本体11がドアインナーパネル26に対して直接ビス27止め
固定されているため、十分な強度が保証され、頻繁に行
われるドアの開閉操作に十分耐え得る剛性を有する。

さらに、本考案によれば取付用ビスが外部に露出せず、
このことによりビスの頭部を被覆するキャップも必要と
しないため、安価でかつ見栄えも良好なものとなるとと
もに、本考案はプルハンドル本体11と装飾フレーム12と
分割構成したため、外部に見える装飾用フレーム12のグ
レードアップをすることにより、少ない材料で高級感を
出すことができる。

次に第５図に示すものは本考案による変形例を示すもの
で、装飾用フレーム12と、プルハンドル本体11との一体
感を出すために、プルハンドル本体11の内壁面に段部28
を設け、外観をさらに向上させた実施例を示す。

《効果》 以上の記載から明らかなように、本考案によるドアトリ
ム用プルハンドルは、ドアインナーパネルに直接取付け
られるプルハンドル本体と、このプルハンドル本体に対
して上下位置調整可能に取付けられる装飾用フレームと
により構成されるため、下記の格別の作用効果を有す
る。

プルハンドル本体に対して装飾用フレームを上下位置
調整可能に構成したため、表皮材の厚み仕様の変化に対
応することができ、厚手表皮材，薄手表皮材いずれを使
用しても、プルハンドルと表皮材との間に隙間が発生せ
ず、プルハンドル周縁部分の見栄えが著しく向上する利
点がある。

本考案によるドアトリム用プルハンドルによれば、装
飾用フレームをプルハンドル本体に対して上下位置調整
可能に構成されているため、プルハンドル本体の寸法誤
差や、ブラケットの取付誤差等があっても、挿入寸法を
適宜変え得ることにより、ドアトリムの表皮材とプルハ
ンドルとの間に隙間が発生せず、美麗な外観が得られる
とともに、従来のように無理に取付けることによるプル
ハンドルの破損が未然に防止できる。

本考案によるドアトリム用プルハンドルはプルハンド
ル本体を直接ドアインナーパネルに固定するため、操作
時の剛性が十分得られ、安定したプルハンドルの操作性
が期待できる利点がある。

本考案によるドアトリム用プルハンドルは、取付用ビ
スが外部に露出しないため、ビスの頭部を被覆するキャ
ップの必要がなく、部品点数の削減によるコストダウン
ならびにキャップによる違和感からくる美観の低下を防
止できる効果がある。

本考案によるドアトリム用プルハンドルは、プルハン
ドル本体とプルハンドル本体に嵌着する装飾用フレーム
との分割構成にしたため、外部に目立つ装飾用フレーム
だけグレードアップすれば、材料が少なく高級感が得ら
れるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるドアトリム用プルハンドルの構成
を示す全体斜視図、第２図は本考案によるドアトリム用
プルハンドルをドアトリム側に取付けた状態を示す断面
図、第３図，第４図は本考案によるドアトリム用プルハ
ンドルを薄手表皮材，厚手表皮材にそれぞれ適用した状
態を示す各断面図、第５図は本考案による変形例を示す
要部断面図、第６図は従来の自動車用ドアトリムを示す
正面図、第７図は従来のドアトリム用プルハンドルのド
アトリム側への取付状態を説明する全体図、第８図は第
６図中VIII-VIII線断面図である。 10…ドアトリム用プルハンドル 11…プルハンドル本体 12…装飾用フレーム 13…ブラケット 15…フランジ 16…取付用長孔 17…挿入用脚片 18…多段突起 20…自動車用ドアトリム 23…表皮材 24…アームレスト 25…開口 26…ドアインナーパネル 28…段部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ドアトリム（20）のほぼ中央部を車室内側
   に膨出形成して、アームレスト（24）を形成するととも
   に、このアームレスト（24）の上面開口（25）に嵌込み
   固定されるドアトリム用プルハンドル（10）の取付構造
   において、 前記プルハンドル（10）は、ケース状に成形された樹脂
   成形体からなり、一体に形成されたブラケット（13）を
   介して、インナーパネル（26）に固定されるプルハンド
   ル本体（11）と、上記プルハンドル本体（11）の上面開
   口縁部に沿って周設されたフランジ（15）に固定される
   装飾用フレーム（12）とから構成されるとともに、上記
   装飾用フレーム（12）には、側面に多段突起（18）を有
   する挿入用脚片（17）が周縁に沿って、下方に向けて突
   設形成される一方、上記プルハンドル本体（11）のフラ
   ンジ（15）には、上記挿入用脚片（17）に対応して取付
   用長孔（16）が開設され、上記挿入用脚片（17）の挿入
   寸法を選択して多段突起（18）を取付用長孔（16）縁部
   に係着することにより、上記プルハンドル本体（11）に
   対して、装飾用フレーム（12）を取付けることを特徴と
   するドアトリム用プルハンドルの取付構造。