JP2576652B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2576652B2 JP1327021A JP32702189A JP2576652B2 JP 2576652 B2 JP2576652 B2 JP 2576652B2 JP 1327021 A JP1327021 A JP 1327021A JP 32702189 A JP32702189 A JP 32702189A JP 2576652 B2 JP2576652 B2 JP 2576652B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明はサスペンション制御装置に関し、詳しくは、
ショックアブソーバの減衰力特性を変更して車体振動を
抑制するサスペンション制御装置に関する。
[従来の技術] この種のサスペンション制御装置として、路面状態の
変化に基づく車両の振動変化を検出し、ショックアブソ
ーバの減衰力特性を高める側あるいは低い側に変更する
ものがある。例えば、ショックアブソーバの減衰力の変
化率を検出し、この変化率が所定のしきい値以上となっ
たとき、即ち路面の凹凸やブレーキ操作等に基づいて減
衰力が急変するとき、ショックアブソーバの動きに対す
る減衰力の発生パターンを高い側から低い側に速やかに
切り換えるものが知られている(特開昭64−67407号公
報等)。減衰力の変化率は応答性に極めて優れた信号な
ので、こうしたサスペンション制御装置は、減衰力のパ
ターンを路面状態の変化に素早く追従させ、乗り心地を
良好に保つことができる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、かかるサスペンション制御装置は、所
定の条件を満たしたときに、ショックアブソーバの減衰
力の設定を高い側から低い側へあるいはその逆に切り換
えるだけなので、運転者の意思に応じて、ショックアブ
ソーバの減衰力特性の制御を、全体として乗り心地重視
の傾向となるように切り換えたり、あるいは操縦安定性
を重視した傾向になるように切り換ることは容易でな
い。即ち、ショックアブソーバの減衰力の制御モードを
設定(例えば乗り心地優先のノーマルモードや操縦安定
性優先のスポーツモードに設定)することは困難であ
る。
また、本願出願人は、特願平1−235232号で、前記従
来のサスペンション装置を、平坦路や悪路が継続してい
る場合の乗り心地や操縦安定性の点で、改善する発明を
提案しており、この発明では、平坦路もしくは悪路の何
れか一方が継続されてハードまたはソフトの状態が偏る
と、これが是正して、操縦安定性,乗り心地のバランス
がとられる。この結果、ショックアブソーバの制御モー
ドを複数設定することは一層困難になる。
本発明は、ショックアブソーバの制御モードを容易に
切換え、運転手の意思に基づて制御モードに設定可能な
サスペンション装置を提供することを目的とする。
発明の構成 かかる目的を達成する本発明の構成について以下説明
する。
[課題を解決するための手段] 本発明のサスペンション制御装置は、第1図に例示す
るように、 路面状態の変化に基づく車両の振動変化を検出し、シ
ョックアブソーバM1の減衰力特性を高い側または低い側
に変更して車体振動を抑制するサスペンション制御装置
において、 車体の振動変化を検出する車体振動検出手段M2と、 該車体振動検出手段M2による検出信号に基づいて、車
体のばね上共振周波数の近傍周波数の車体振動を抽出す
る振動抽出手段M3と、 該抽出した車体振動の振幅が少なくともしきい値を越
えた場合に、減衰力の変更の対象となる前記ショックア
ブソーバM1の減衰力特性を前記高い側に強制的に設定す
る減衰力設定手段M4と、 前記抽出した車体振幅のその後の変化状態が所定条件
となったら、前記強制的な設定を解除する強制設定解除
手段M5と、 該ショックアブソーバM1の減衰力の制御モードを任意
の選択により切り換えるモード切換手段M6と、 該モード切換手段M6の選択に応じて、前記車体にばね
上共振周波数の近傍周波数の振動が生じてから前記強制
設定までの応答性、または前記強制設定解除の応答性を
変更する応答性変更手段M7とを備え、 該応答性変更手段M7は、次の〜のいずれかとして
構成されることを特徴とする。
即ち、応答性変更手段M7は、 前記しきい値の大きさを変更することによって前記
強制設定までの応答性または前記強制設定解除の応答性
を変更する手段、 前記車体振動の抽出を行う車輪を前輪と後輪とで変
更することによって前記強制設定までの応答性または前
記強制設定解除の応答性を変更する手段、 前記しきい値を越えてから前記減衰力設定手段M4が
ショックアブソーバM1の減衰力特性を高い側に強制的に
設定するまでの時間を長短変更することによって前記強
制設定までの応答性を変更する手段、若しくは、 前記強制設定後の車体振幅の変化状態が所定条件と
なってから前記強制設定を解除するまでの時間を長短変
更することによって前記強制設定解除の応答性を変更す
る手段のいずれかとして構成されることを特徴とする。
ここで、上記の様に構成する場合、しきい値を大き
くすると強制設定に入り難くなるので、上記強制設定の
応答性が低下することとなる。逆に、しきい値を小さく
すれば強制的設定に入りやすくなるので応答性が向上す
る。そして、こういったしきい値は何等かの形で強制設
定解除の条件に関係することがあり、この場合には、し
きい値を大きくすることで強制設定解除が早く行われそ
の応答性を高めることとなり、逆にしきい値を小さくす
ることで強制設定解除は行われ難くなって応答性を低下
させることとなる。また、の様に構成する場合、例え
ば後輪で検出すると前輪に比べて車体振幅の生じるタイ
ミングが遅くなる分だけ上記強制設定の応答性が低下す
ることとなる。この逆に前輪で検出すると後輪の場合に
比べて車体振幅の生じるタイミングが早まり、強制設定
の応答性は向上する。強制設定の解除についても車体振
幅の収束は前輪が早いので、前輪側に設定することで強
制設定解除の応答性を向上させ、逆に後輪側に設定する
ことでこの応答性を低下させることができる。さらに、
の様に構成する場合、この時間を長く採れば上記強制
設定の応答性は低下することとなり、逆に短く採れば応
答性は向上することのなる。そして、の様に構成する
場合、この時間を長く採れば上記強制設定解除の応答性
が低下することとなり、逆に短くすれば応答性は向上す
ることとなる。
[作用] 上記構成を有する本発明のサスペンション制御装置
は、車両走行中、車体の振動変化を車体振動検出手段M2
によって検出する。車体振動検出手段M2による検出信号
のうち、ばね上共振周波数の近傍周波数の車体振動が振
動抽出手段M3によって抽出される。抽出された信号は、
車高変化のうち、ばね上共振周波数近傍での車高変化の
際に発生する減衰力を捉えたもので、ばね上共振周波数
近傍での大きな車高変化、いわゆる車体のあおり(車酔
いの主因になる振動)の発生を判断できる信号である。
減衰力設定手段M4では、振動抽出手段M3によって抽出
された減衰力検出信号の振幅がしきい値を越えたという
条件を少なくとも満たしたとき(しきい値を所定時間越
え続ける等、他の条件が必要であってもよい)、ばね上
共振周波数近傍での大きな車高変化である車両のあおり
が発生する前兆であるとして、ショックアブソーバM1の
減衰力特性を低い側から高い側に強制的に切り換えて、
車両のあおりを未然に防止するため、サスペンションを
ハードに設定する。そして、この強性的なハードへの設
定を、その後の車体振幅の変化状態が所定条件となった
ら、強制設定解除手段M5によって解除する。
このような制御を実施する場合、モード切換手段M6に
よって運転者が任意に選択したお好みのモードに応じ
て、ばね上共振周波数の近傍周波数の振動(あおり)が
車体に生じてから前記強制設定までの応答性または該強
制設定解除の応答性を、応答性変更手段M7によって変更
する。
このようにあおりに対する応答性を変更することによ
って、モード切換手段M6によって選択したあるモードで
は、ショックアブソーバM1の減衰力が高い側に小気味良
く切換わり、一方他のモードでは減衰力特性の高い側へ
の切換わりが相対的にゆるやかとなる。この結果、ショ
ックアブソーバの減衰力特性の制御モードが明確に複数
設定されることとなる。
[実施例] 以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにする
ために、以下本発明のサスペンション制御装置の好適な
実施例について説明する。第2図はこのサスペンション
制御装置の構成を表わす概略構成図である。第3図
(A)はそのショックアブソーバを一部破断した全体構
成図、第3図(B)はショックアブソーバの要部拡大断
面図である。
第2図に示すように、本実施例のサスペンション制御
装置1は、減衰力可変型ショックアブソーバ(以下,単
にショックアブソーバという)2FL,2FR,2RL,2RR、及び
これら各ショックアブソーバと接続されその減衰力を制
御する電子制御装置4を備えている。
ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRは、後述するよ
うに、ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRに作用する
力を検出するピエゾ荷重センサと、ショックアブソーバ
2FL,2FR,2RL,2RRの減衰力の発生パターンを切り換える
ピエゾアクチュエータとを各々一組ずつ内蔵している。
また各ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRは、夫
々、左右前後輪5FL,5FR,5RL,5RRのサスペンションロワ
ーアーム6FL,6FR,6RL,6RRと車体7との間に、コイルス
プリング8FL,8FR,8RL,8RRと共に併設されている。
次に、上記各ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRの
構造を説明する。尚、上記各ショックアブソーバ2FL,2F
R,2RL,2RRの構造は総で同一であるため、ここでは左前
輪5FL側のショックアブソーバ2FLを例にとり説明する。
又、以下の説明では、各部材に付した符号の添え字(F
L,FR,RL,RR)を必要に応じて省略することとする。
ショックアブソーバ2は、第3図(A)に示すよう
に、シリンダ11側の下端にて車軸側部材11aを介してサ
スペンションロワーアーム6に固定され、一方、シリン
ダ11に貫挿されたロッド13の上端にて、ベアリング7a及
び防振ゴム7bを介して車体7にコイルスプリング8と共
に固定されている。
シリンダ11内部には、ロッド13の下端に連接された内
部シリンダ15,連結部材16および筒状部材17と、シリン
ダ11内周面にそって摺動自在なメインピストン18とが、
配設されている。ショックアブソーバ2のロッド13に連
結された内部シリンダ15には、ピエゾ荷重センサ25とピ
エゾアクチュエータ27とが収納されている。
メインピストン18は、筒状部材17に外嵌されており、
シリンダ11に嵌合する外周にはシール材19が介装されて
いる。従って、シリンダ11内は、このメインピストン18
により第1の液室21と第2の液室23とに区画されてい
る。筒状部材17の先端にはバックアップ部材28が螺合さ
れており、筒状部材17との間に、メインピストン18と共
に、スペーサ29とリーフバルブ30を筒状部材17側に、リ
ーフバルブ31とカラー32をバックアップ部材28側に、そ
れぞれ押圧・固定している。また、リーフバルブ31とと
バックアップ部材28との間には、メインバルブ34とばね
35が介装されており、リーフバルブ31をメインピストン
18方向に付勢している。
これらリーブバルブ30,31は、メインピストン18が停
止している状態では、メインピストン18に設けられた伸
び側及び縮み側通路18a,18bを、各々片側で閉塞してお
り、メインピストン18が矢印AもしくはB方向に移動す
るのに伴って片側に開く。従って、両液室21,23に充填
された作動油は、メインピストン18の移動に伴って、両
通路18a,18bのいずれかを通って、両液室21,23間を移動
する。このように両液室21,23間の作動油の移動が両通
路18a,18bに限られている状態では、ロッド13の動きに
対して発生する減衰力は大きく、サスペンションの特性
はハードとなる。
内部シリンダ15の内部に収納されピエゾ荷重センサ25
及びピエゾアクチュエータ27は、第3図(A),(B)
に示すように、圧電セラミックスの薄板を電極を挟んで
積層した電歪素子積層体である。ピエゾ荷重センサ25の
各電歪素子は、ショックアブソーバ2に作用する力、即
ち減衰力によって分極する。従って、ピエゾ荷重センサ
25の出力を所定インピーダンスの回路により電圧信号と
して取り出せば、減衰力の変化率を検出することができ
る。
ピエゾアクチュエータ27は、高電圧が印加されると応
答性良く伸縮する電歪素子を積層してその伸縮量を大き
くしたものであり、直接にはピストン31を駆動する。ピ
ストン31が第3図(B)矢印B方向に移動されると、油
密室33内の作動油を介してプランジャ37大びH字状の断
面を有するスプール41も同方向に移動される。こうして
第3図(B)に示す位置(原点位置)にあるスプール41
が図中B方向に移動すると、第1の液室21につながる副
流路16cと第2の液室23につながるブッシュ39の副流路3
9bとが連通されることになる。この副流路39bは、更に
プレートバルブ45に設けられた油穴45aを介して筒状部
材17内の流路17aとが連通されているので、スプール41
が矢印B方向に移動すると、結果的に、第1の液室21と
第2の液室23との間を流動する作動油流量が増加する。
つまり、ショックアブソーバ2は、ピエゾアクチュエー
タ27が高電圧印加により伸張すると、その減衰力特性を
減衰力大(ハード)の状態から減衰力小(ソフト)側に
切り換え、電荷が放電されて収縮すると減衰力特性を減
衰力大(ハード)の状態に復帰させる。
尚、メインピストン18の下面に設けられたリーフバル
ブ31の移動量は、バネ35により、リーフバルブ30と較べ
て規制されている。また、副流路39bに引続く末端空間3
9cに摺動自在に備えられたプレートバルブ45には、油穴
45aより大径の油穴45bが、油穴45aより外側に設けられ
ており、プレートバルブ45がばね46の付勢力に抗してブ
ッシュ39方向に移動すると、作動油は、油穴45bを通っ
て移動可能となる。従って、スプール41の位置の以下に
問わず、メインピストン18が矢印B方向に移動する場合
の作動油流量は、メインピストン18が矢印A方向に移動
する場合より大きくなる。即ち、メインピストン18の移
動方向によって減衰力を変え、ショックアブソーバとし
ての特性を一層良好なのものとしているのである。ま
た、油密室33と第1の液室21との間には作動油補給路38
がチェック弁38aと共に設けられており、油密室33内の
作動油流量を一定に保っている。スプール41の隔壁41a
には油路41dが、スプール41の環状溝40には油路41dが径
より大きな径の下部連通孔41eが開けられている。
次に、上記したショックアブソーバ2の減衰力を切換
制御する電子制御装置4について、第4図を用いて説明
する。
この電子制御装置4には、各ショックアブソーバ2の
ピエゾ荷重センサ25や、車両の走行状態を検出するため
のセンサとして図示しないステアリングの操舵角を検出
するステアリングセンサ50と、車両の走行速度を検出す
る車速センサ51と、エンジンの回転を変速して出力する
図示しない変速機のシフト位置を検出するシフト位置セ
ンサ52と、図示しないブレーキペダルが踏まれたときに
信号を発するストップランプスイッチ53と、ショックア
ブソーバ2の減衰力特性の制御モードを選択可能なモー
ド切換スイッチMSが接続されている。
各ショックアブソーバ2のピエゾ荷重センサ25の検出
信号や走行状態を検出する各種センサの検出信号等に基
づき上述したピエゾアクチュエータ27に制御信号を出力
する電子制御装置4は、CPU4a,ROM4b,RAM4cを中心に論
理演算回路として構成され、これらとコモンバス4dを介
して相互に接続された入力部4e及び出力部4fによって外
部との入出力を行う。
電子制御装置4には、CPU4a等の他、ピエゾ荷重セン
サ25が接続された減衰力検出回路54、減衰力検出路54が
接続されたローパスフィルタ55、ローパスフィルタ55の
出力が入力されるハイパスフィルタ56、ステアリングセ
ンサ50および車速センサ51が接続された波形整形回路5
7、ピエゾアクチェエータ27に接続される高電圧印加回
路58、バッテリ61の電圧を昇圧してピエゾアクチュエー
タ駆動用の駆動電圧を出力するいわゆるスイッチングレ
ギュレータ型の高電圧電源回路62、バッテリ61の電圧を
変圧してこの電子制御装置4の作動電圧(5v)を発生す
る電源64等が備えられている。
以上の減衰力検出回路54,ハイパスフィルタ56,波形整
形回路57,シフト位置センサ52,ストップランプスイッチ
53は入力部4eに、高電圧印加回路58,出力回路60,高電圧
電源回路62は出力部4fにそれぞれ接続されている。尚、
バッテリ61と電源64との間には、イグニッションスイッ
チ63が介装されている。
減衰力検出回路54は各ピエゾ荷重センサ25FL,25FR,25
RL,25RRに対応して設けられた4個の検出回路からな
り、各々の検出回路は、路面からショックアブソーバ2
が受ける作用力に応じてピエゾ荷重センサ25が出力する
電圧信号を減衰力変化率検出信号としてCPU4aに出力す
ると共に、電圧信号を積分した信号を減衰力検出信号と
してCPU4aやローパスフィルタ55に出力するよう構成さ
れている。
出力された減衰力検出信号の成分のうち、ローパスフ
ィルタ55を通過した成分はハイパスフィルタ56に出力さ
れ、ローパスフィルタ55およびハイパスフィルタ56を通
過した成分の信号(以下あおり成分検出信号という)は
CPU4aに出力される。
ローパスフィルタ55は周波数約1.3[Hz]以下の周波
数の信号を通過するものである。一方、ハイパスフィル
タ56は周波数約1.0[Hz]以上の周波数の信号を通過す
るものである。従って、減衰力検出回路54から出力され
た減衰力検出信号がこれらローパスフィルタ55およびハ
イパスフィルタ56を通過すると、減衰力検出信号の成分
のうち、周波数1.0[Hz]以上周波数1.3[Hz]以下のば
ね上共振周波数の近傍周波数のあおり成分検出信号が抽
出される。
従って、CPU4aは、減衰力検出回路54が出力する減衰
力変化率検出信号や減衰力検出信号と、減衰力検出信号
の成分のうちローパスフィルタ55およびハイパスフィル
タ56を通過したあおり成分検出信号と、ステアリングセ
ンサ50等の検出信号をCPU4aにおける処理に適した信号
に波形整形して出力する波形整形回路57からの出力信号
等に基づいて、路面状態や車両の走行状態等を判定し、
その結果に応じてショックアブソーバ2の減衰力の程度
を切り換えるべく、対応する高電圧印加回路58に制御信
号を出力する。
ピエゾアクチュエータ駆動用の駆動電圧を出力する高
電圧電源回路62から高電圧の供給を受ける高電圧印加回
路58は、CPU4aからの制御信号(減衰力切り換え信号)
に応じてその駆動電圧をピエゾアクチュエータ27に印加
してこれを駆動し、減衰力切り換え信号に応じたショッ
クアブソーバ2の減衰力切り換えを実行するよう構成さ
れている。より詳細に説明すると、CPU4aから減衰力切
り換え信号としてローレベルの信号が入力されたときに
は高電圧+500ボルトを印加してピエゾアクチュエータ2
7を伸張させ、逆に減衰力切り換え信号としてハイレベ
ルの信号が入力されたときには負の電圧−100ボルトに
切換えて印加し、ピエゾアクチュエータ27を収縮させる
よう構成されている。
従って、各ショックアブソーバ2の減衰力特性は、高
電圧を印加してピエゾアクチュエータ27を伸張させたと
きには、既述したスプール41(第3図)により、ショッ
クアブソーバ2内の第1の液室21と第2の液室23と間を
流動する作動油の流量が増加するため減衰力(ソフト)
となり、負の電圧により電荷を放電されてピエゾアクチ
ュエータ27を収縮させたときには、作動油流量が減少す
るため減衰力大(ハード)となる。
次に、上記した構成を備える本実施例のサスペンショ
ン制御装置1が減衰力の制御処理について、第5図,第
6図のフローチャートに基づいて説明する。各図に示し
たルーチンは、割込処理によって一定時間毎に各々繰り
返して実施される。各ルーチンの処理内容の概略は次の
通りである。
減衰力制御ルーチン(第5図) 本ルーチンはメインルーチであって、路面の状態を主
にショックアブソーバ2の減衰力変化率によって判断す
ると共に、下記あおり状態検出ルーチンで処理されるフ
ラグによって車体のあおり状態をも判断して、減衰力を
高い側または低い側に制御する。
あおり状態検出ルーチン(第6図) このルーチンは、車体の右車輪側と左車輪側とで互い
に独立に実施されるものであって、ローパスフィルタ55
およびハイパスフィルタ56を通過したあおり成分検出信
号に基づいて車体のあおりの発生・終了の前兆を示す各
フラグをセット・リセットするものである。
まず、減衰力制御ルーチンを説明する。減衰力制御ル
ーチンは、各車輪について実施されるが、それらの制御
の内容には変わりはないので、その1つを例として説明
する。このルーチンでは、第5図のフローチャートに示
すように、処理を繰り返す毎に、ハード優先切換フラグ
HFがセットされたか否かの判断処理(ステップ100)を
行なう。このハード優先切換フラウHFは、本減衰力制御
ルーチンの下記ステップ120にて、サブルーチンである
あおり状態検出ルーチン(第6図)での処理結果を参照
して、同130にてセットされるフラグである。そのセッ
ト・リセットの状態を本ステップ100で判断することに
よって本減衰力制御ルーチンで行なう処理が、下記のよ
うに切り換えられる。
ステップ100でハード優先切換フラグHFがセットされ
ていないと判断された場合は、路面状態に基づく通常の
減衰力制御処理(ステップ110)を行なう。減衰力制御
処理の概要は、各種センサからの検出信号に基づき走行
状態(操舵角,車側等)を判断すると共に、本ルーチン
(各車輪毎に行なわれるもののうち、ここで取り上げた
1のルーチン)の制御対象であるショックアブソーバ2
(2FR,2FL,2RRまたは2RL)の減衰力検出回路54からの減
衰力変化率信号に基づいて路面状態を判断し、その結果
に応じてショックアブソーバ2の減衰力の高低の設定を
切り換えて、サスペンションをソフト又はハードに切り
換えるというものである。即ち、一般に、減衰力変化率
信号が所定のしきい値を越えた場合には、サスペンショ
ンをハードからソフトに切換え、その信号が当該しきい
値を所定時間下回り続けたときには、サスペンションを
ソフトからハードに戻す。従って、通常路面の状態が悪
ければソフトとなり、路面が平坦であればハードとな
る。
この減衰力制御処理(ステップ110)の後には、互い
に独立なあおり状態検出サブルーチンで処理されるあお
り開始フラグSF R,SF Lのうちの一方でもセットされた
か否かの判断処理(ステップ120)を行なう。後に詳記
するが、上記あおり開始フラグSF Rは、車両の右側の車
輪(前輪5FRか後輪RRかはあおり状態検出サブルーチン
で決定される)の状況に基づいて、一方、あおり開始フ
ラグSF Lは、車両の左側の車輪(前輪5FLか後輪5RLか
は、あおり開始フラグSF Rについてと同一の側である)
の状況に基づいて、互いに独立に処理され、各々あおり
発生の前兆が捉えられた場合にセットされる点に特徴を
もつ。
あおり開始フラグSF R,SF Lの一方でもセットされた
と判断すれば(ステップ120)、上述のハード優先切換
フラグHFをセットする処理(ステップ130)を行なっ
て、本ルーチンを終了する。
これに対して、ステップ100でハード優先切換フラグH
Fがセットされていると判断した場合には、あおり防止
実行処理(ステップ140)を行ない、車酔いの主因とな
るあおりを防止する。この実行処理では、路面の状態に
かかわらずショックアブソーバ2の減衰力の設定を優先
的に高減衰力にする処理を行ない(この処理は、総ての
ショックアブソーバ2についての減衰力制御ルーチンで
同時に実施される)、サスペンションがソフトであれば
ハードに切り換え、ハードであればハードのまま維持す
る。
上記のあおり防止実行処理(ステップ140)の後に
は、互いに独立なあおり状態検出ルーチンで処理される
あおり終了フラグEF R,EF Lの両方ともがセットされた
か否かの判断処理(ステップ150)を行なう。上記あお
り終了フラグEF Rは、後に詳記するように、車両の右側
の車輪(前輪5FRか後輪5RRかは、あおり開始フラグSF R
についてと同一側である)の状況に基づいて、一方、あ
おり防止開始フラグELは、車両の左側の車輪(前輪5FL
か後輪5RLかはあおり開始フラグSF Rについてと同一側
である)の状況に基づいて、互いに独立に処理され、そ
れぞれあおりの低減が認められた場合にセットされるも
のである。
両方のあおり終了フラグEF R,EF Lがセットされてい
る場合(ステップ150)は、あおり発生のおそれが解消
したと判断し、上述のハード優先切換フラグHFをリセッ
トする処理(ステップ160)を行なう。ハード優先切換
フラグHFがリセットされると、次回の本ルーチンの実行
では、ステップ110の路面状態に基づく通常の減衰力制
御処理を行ない、路面の状態が悪ければサスペンション
をソフトにし、路面の状態が平坦であればハードにす
る。
以上のように、減衰力制御ルーチンでは、あおり開始
フラグSF R,SF Lのうち一方のフラグがセットされてい
る場合には、あおりが車両全体で高まる可能性が強いと
して、ハード優先切換フラグHFをセットし、4輪総ての
サスペンションを優先的にハードにして、あおり発生の
防止を図る。また、あおり発生防止処理の後、あおり終
了フラグEF R,EF Lが共にリセットされたと判明すれ
ば、もはや車両全体であおりは生じないとして、ハード
優先切換フラグHFをリセットし、サスペンションの固さ
を優先的にハードにする処理を終了する。
以下に、かかる減衰力制御ルーチンで参照されるあお
り開始フラグSF Rおよびあおり終了フラグEF Rを処理す
るあおり状態検出ルーチン(あるいはこのルーチンとは
独立であって、あおり開始フラグSF Lおよびあおり終了
フラグEF Lを処理するあおり状態検出ルーチン)を、第
6図のフローチャートに基づいて説明する。尚、独立し
て行なわれるあおり状態検出ルーチンの一方は車両の左
側、他方はその右側に関するものであるが、その処理の
内容には変わりないので、ここでは右側についての処理
を例にとり説明する。
第6図に示すあおり状態検出ルーチンは、モード切換
スイッチMSによって選択された減衰力の制御モードがど
ちら(「ノーマル」または「スポーツ」であるかを判断
し(ステップ200)、「ノーマル」の場合には、右後輪5
RRについての減衰力データPRを読み込み(ステップ21
0)、「スポーツ」の場合には、右前輪5FRについての減
衰力データPRを読み込む(ステップ220)。読み込む減
衰力データPRは、ローパスフィルタ55とハイパスフィ
ルタ56とを介して入力された周波数約1.0〜約1.3[Hz]
のあおり成分検出信号によって構成されるデータであ
る。
本実施例では、同じ路面の同じ箇所を車両が走行して
いても、ステップ200後に(即ちステップ210,220に)読
み込まれる減衰力データPRの違いによって、本あおり
状態検出ルーチンでの処理結果に違いが生じ、結果とし
て、その処理結果を参照する減衰力制御ルーチンでの制
御が異なったものとなるのである。
尚、後の説明の参考のために、第7図(A)に、ある
路面を走行したときの右前輪5FRの減衰力データPRと時
刻との関係を示すグラフを示し、第7図(B)に、同じ
路面に対する右後輪5RRの減衰力データPRと時刻との関
係を示すグラフを示す。
減衰力データPRの読み込み(ステップ210または22
0)の後は、ハード優先切換フラグHFが値1にセットさ
れているか否かの判断処理(ステップ230)を実行す
る。ハード優先切換フラグHFがセットされていないと判
断した場合は、ステップ240以降に示すあおり防止実行
についての開始条件を判定する処理を実行する。一方、
ステップ230でハード優先切換フラグHFがセットされて
いると判断した場合は、開始条件の判定処理を飛ばし
て、第6図の結合子以下に示すあおり防止実行の終了
条件を判定する処理に移行する。
開始条件の判定処理は、読み込んだ減衰力データPR
を監視していて、あおり発生の前兆を示す条件が満たさ
れたときには、あおり開始フラグSFRをセットすること
を概要とする。
この判定処理では、まずショックアブソーバ2FRまた
はRR(即ち、ステップ200で、ノーマルモードの場合に
はショックアブソーバ2FR,スポーツモードの場合にはシ
ョックアブソーバ2RR。この点は、以下「ショックアブ
ソーバ2FRまたは2RR」と記す場合同様である)の減衰力
の設定が低減衰力(ソフト)が高減衰力(ハード)かを
判定する処理(ステップ240)を行なう。設定が低減衰
力であると判断した場合は、ショックアブソーバ2FRま
たは2RRの減衰力データPRの絶対値が低側しきい値SL1
以上か否かの判断処理(ステップ250)を行なう。例え
ば第7図(A)のグラフでの時刻t1直後、また第7図
(B)のグラフでの時刻T1直後では、「YES」と判定さ
れる。
一方、ステップ240で設定が高減衰力であると判断し
た場合は、ショックアブソーバ2FRまたは2RRの減衰力デ
ータPRの絶対値が高側しきい値SL2以上か否かの判断処
理(ステップ260)を行なう。高側しきい値SL2は低側し
きい値SL1より大きな値であって、同じ路面であっても
車両走行中に発生する減衰力のレベルが高減衰力(ハー
ド)の設定では低減衰力(ソフト)の設定よりも高くな
ることを補償する値である。
ステップ250または260において、減衰力データPRが
各々しきい値±SL1,±SL2の範囲内であると判断した場
合は、ショックアブソーバ2FRまたは2RRの減衰力デート
PRからは、車両のあおり発生の前兆はないと判断し、
後述する開始条件の判定期間ΔTsを計時するためのカウ
ンタCSRをクリアする処理(ステップ270)、およびあ
おり防止開始フラグSF Rをリセットする処理(ステップ
280)を行なって、本処理を一旦終了する。
一方、ステップ250で、ショックアブソーバ2FRまたは
2RRの減衰力データPRの絶対値がしきい値SL1以上と、
あるいはステップ260で、ショックアブソーバ2FRまたは
2RRの減衰力データPRの絶対値がしきい値SL2以上と判
断した場合は、車両のあおり発生の前兆を捉えている可
能性があるから、判定期間ΔTsを計時するカウンタCSR
をインクリメントする処理(ステップ290)と、インク
リメントしたカウンタCSRが判定値VS以上か否か、即
ちカウンタCSRのインクリメントにより判定期間ΔTsの
計時が完了したか否かを判断する処理(ステップ300)
を行なう。
例えば、第7図のグラフに示すように、サスペンショ
ンの設定が時刻t0でソフトになっている例では、時刻t1
以降(第7図(A)の場合)または時刻T1以降(第7図
(B)の場合)、減衰力が継続してしきい値SL1以上と
なると、あおり防止制御サブルーチンでは処理を繰り返
す毎に、減衰力データPRの絶対値がステップ250でしき
い値SL1以上と連続して判断される。従って、カウンタ
CSRはリセットされることなく、次々にステップ290で
インクリメントされ、判定値VSまで増加する。この結
果、時刻t2(第7図(A)の場合)または時刻T2(第7
図(B)の場合)に、判定期間ΔTsを満了する。
この例のようにカウンタCSRが増加して、ステップ30
0において判定値VS以上と判断された場合は、あおり発
生の前兆を捉えたと判断され、あおり防止開始フラグSF
Rをセットする処理(ステップ310)を実行する。一方、
カウンタCSRが判定値VS以下となった場合は、読み込
んだ減衰力データPRからはあおり発生の前兆を捉えて
いないと判断して、本処理を一旦終了する。
ステップ310においてあおり開始フラグSF Rがセット
された場合は、既述したように減衰力制御ルーチンにお
いてハード優先切換フラグHFがセットされ(第5図ステ
ップ130参照)、4輪総てのショックアブソーバ2の減
衰力の設定を高減衰力に切り換えるあおり防止実行処理
(ステップ140)が実行される。第7図の例では、時刻t
2(第7図(A)の場合)からまたは時刻T2(第7図
(B)の場合)から全輪のサスペンションがハードにな
る。
なお、図示しない車両の左側についてのあおり状態検
出サブルーチンにおいて、左輪5FLまたは5RLのあおり開
始フラグSF Lがセットされた場合も、同様に減衰力制御
ルーチンにおいてあおり防止実行処理(第5図ステップ
140)が行なわれる。
以上説明した開始条件の判定処理において、カウンタ
CSRが判定値VS以上となること、即ち減衰力がしきい
値SL1,SL2を判定期間ΔTsの間、継続して越えることを
条件としたのは、例えばローパスフィルタ55の精度を補
い、判定精度を高めるためである。フィルタ55の特性
上、周波数1.3[Hz]より若干高い周波数の成分も幾分
かは通過するが、あおりとは無関係なこの成分は、しき
い値SL1,SL2を越えても、すぐに立ち下がる。そこで、
上述したように減衰力が判定期間ΔTsの間連続してしき
い値以上になることを要件にすれば、すぐに立ち下がる
高い周波数成分による誤判定のおそれは除去される。
次に、第6図の終了条件の判定処理(結合子以下)
について説明する。
終了条件の判定処理は、以上のように開始条件の判定
処理においてあおり開始フラグSF Rがセットされた場
合、あるいは最初のステップ100においてハード優先切
換フラグHFがセットされていると判断された場合に行な
われる。その判定処理は、読み込んだ減衰力データPR
を監視していて、あおり防止処理の実行を終了すべき可
能性が生じた場合にセットすることを概要とする。
この判定処理では、まず、ステップ210または220で読
み込んだショックアブソーバ2FRまたは2RRの減衰力デー
タPRの絶対値が所定のしきい値SL3未満か否かの判断処
理(ステップ320)を実行する。ステップ320で減衰力デ
ータPRの絶対値がしきい値SL3(第7図参照)以上と判
断した場合は、減衰力が依然大きい場合である。従っ
て、あおり防止実行を終了したのでは車両にあおりが発
生するから、後述する終了条件の判定期間ΔTeを計時す
るカウンタCERをクリアする処理(ステップ330)を行
なうと共に、あおり防止終了フラグEF Rをリセットする
処理(ステップ340)を行ない、本処理を一旦終了す
る。
一方、ステップ320で減衰力データPRがしきい値±SL
3の範囲内であると判断されるのは、減衰力が小さい場
合(第7図(A)においては例えば時刻t3直後や時刻t5
以降、第7図(B)においては例えば時刻T3直後や時刻
T5以降)であり、この場合には減衰力データPRを読み
込んだ車輪について終了条件を満足する可能性があるか
ら、その判定期間ΔTeを計時するカウンタCERをインク
リメントする処理(ステップ350)と、インクリメント
したカウンタCERが判定値VE以上か否か、即ちカウン
タCERのインクリメントにより終了の判定期間ΔTeの計
時が完了したか否かをは判断する処理(ステップ360)
を行なう。
カウンタCERは、あおり防止制御ルーチンを繰り返す
毎に、減衰力データPRがしきい値±SL3の範囲内に収ま
っているとステップ320で連続して判断された場合に、
次々にステップ350でインクリメントされ、判断値VEま
で増加する。例えば、第7図(A)に示す時刻t3や第7
図(B)に示す時刻T3以降に行なわれる処理では、減衰
力データPRがしきい値±SL3の範囲内に収まっているか
ら、カウンタCERは連続して増加するが、時刻t4または
時刻T4に減衰力データPRがしきい値±SL3の範囲を外れ
るため、ステップ330でリセットされ、判定値VEまで増
加しない。こうした場合には、ステップ360でカウンタ
CERが判定値VE未満と判断され、あおり防止実行を終
了したのではあおり発生のおそれがあれと判断して、あ
おり終了フラグEF Rのリセット処理(ステップ340)の
実行の後、一旦処理を終了する。
一方、第7図(A)に示す時刻t5や,第7図(B)に
示す時刻T5以降では、ショックアブソーバ2FRまたは2RR
の減衰力データPRがしきい値±SL3の範囲内に継続して
収まっているから、カウンタCERが判定値VEまで増加
する。従って、カウンタCERが判定値VEまで増加した
時刻t6または時刻T6には、ステップ360でカウンタCER
が判定値VE以上と判断され、少なくともショックアブ
ソーバ2FRまたは2RRの減衰力データPRからは、あおり
防止処理を終了してもあおり発生の可能性が小さいと判
断して、当該車両の右側に関するあおり終了フラグEF R
をセットする(ステップ370)。
第7図(A)では時刻t6,第7図(B)図では時刻T6
に終了条件の判定期間ΔTeが満了する。
以上のようにしてステップ370で車両の右側のあおり
終了フラグEF Rがセットされ、かつ図示しない車両の左
側(前輪か後輪かは車両の右側と同一側)のあおり状態
検出ルーチンの同様な処理の実行により車両の左側のあ
おり終了フラグEF Lがセットされると、既述したように
減衰力制御ルーチンにおいてハード優先切換フラグHFが
リセット(ステップ160)される。
以降、減衰力制御ルーチンでは、通常の路面状態に基
づく減衰力制御処理(ステップ110)を行ない、路面の
状態が悪ければサスペンションをソフトにし、路面が平
坦であればハードにする。
終了条件の判定処理において、カウンタCSRが判定値
VS以上となること、即ち減衰力データPRが判定期間Δ
Teの間、継続してしきい値±SL3の範囲内に収まること
を条件としたのは、既述したように第7図(A)での時
刻t3または第7図(B)での時刻T3以後に減衰力データ
PRが一旦しきい値±SL3の範囲内に収まっても、そのす
ぐ後の時刻t4または時刻T4に減衰力データPRが再びし
きい値±SL3の範囲を外れる場合に、終了条件を成立さ
せずにおく方が、サスペンション設定の過度に頻繁な切
換につながらず乗員に不自然な感じを与えなくて済むか
らである。こうした目的から、終了条件の判定期間ΔTe
は、周波数1.0[Hz]ないし1.3[Hz]のばね上共振周波
数近傍の振動の周期よりも長い期間、減衰力データPR
を監視するものに設定される。
以上説明したように、あおり状態検出サブルーチンで
は、あおりの発生・終了の前兆を車両の前輪側で検出す
るか、後輪側で検出するかが、モード切換スイッチMSに
よって、切り替わる。即ち、その前兆を、「ノーマル」
モードの場合には後輪側、「スポーツ」モード場合には
前輪側で検出する。
従って、メインルーチンである減衰力制御ルーチン
は、モード切換スイッチMSが「スポーツ」に選択されて
いるときは、車両の前輪側に関する各あおり状態検出ル
ーチン(即ち前輪側でのあおりを検出するルーチン)で
セット・リセットされる各フラグSF R,SF L,EF R,EF L
を参照しつつ、ショックアブソーバ2の減衰力の制御
を、減衰力制御ルーチンにより実行することとなる。こ
の結果、第8図(A)に例示するように、矢印Xのよう
に進む車両の走行する路面が荒れてくると、第8図
(B)に示すように、路面状況に応じてまず前輪側のサ
スペンションが頻繁にソフト状態とされ(第5図のステ
ップ110による)、その前輪側があおった状態と検知さ
れた時には、前輪側のみならず、後輪側もそのあおり状
況の如何を問わずに、サスペンションはソフト状態が禁
止されてハード状態が維持されることによって(第5図
のステップ140による)、あおりが防止される。即ち、
車両の前輪側があおり気味になれば、即座に車両全体の
サスペンションはハードとされ、ばね上の動きが抑止さ
れる。この結果、サスペンションは一般にハードに応答
性良く切り換わり、制御全体としては、操縦安定性重視
の味付けとなる。
一方、モード切換スイッチMSが「ノーマル」に選択さ
れているときには、メインルーチンである減衰力制御ル
ーチンは、車両の後輪側についての各あおり状態検出ル
ーチン(即ち後輪側でのあおりを検出するルーチン)で
セット・リセットされる各フラグSF R,SF L,EF R,EF L
を参照しつつ、ショックアブソーバ2の減衰力の制御を
実施することとなる。この結果、第8図(A)に示すよ
うに、車両の走行する路面が荒れてくると、第8図
(C)に示すように、路面状況に応じて前輪側,後輪側
の順にサスペンションが頻繁にソフト状態とされ(第5
図でのステップ110による)、その後,後輪側があおっ
た状態にあると検知された時に初めて、前輪側,後輪側
のサスペンション共にソフト状態が禁止されてハード状
態が維持されることによって(第5図のステップ140に
よる)、あおりが防止される。即ち、車両全体が多少あ
おり気味になっても、サスペンションのハードへの切換
わりは、モード切換スイッチMSが「スポーツ」に選択さ
れているときよりも、相対的にゆるやかとなり、結果的
にサスペンションがソフト状態が維持される傾向にな
る。そのため、サスペンションの制御全体として、乗り
心地優先に味付けされたものとなる。
以上説明したように、本実施例のサスペンション装置
では、モード切換スイッチMSでは、あおりを検出する箇
所を車両の前輪側から後輪側かに切り換えることによっ
て、ショックアブソーバの減衰力の制御モードを乗り心
地優先モードもしくは操作安定性優先モードに切り換え
ることができる。即ち、本実施例のサスペンション装置
は、明確に違いのある2つのショックアブソーバ制御モ
ード(「ノーマル」,「スポーツ」)が設定可能であ
る。
尚、上記実施例では、あおりを減衰力変化に基づいて
検知したが、その代わりにばね上・ばね下に相対車高を
検出するストロールセンサ等によって検知してもよい。
本発明のサスペンションの第2の実施例について説明
する。第2実施例は、第1実施例とは、あおり状態検出
ルーチンのみが、次の点で異なる。
第1の実施例では、モード切換スイッチMSによって、
あおり検出用に読み込む減衰力データPRを前輪側,後
輪側に切り換えたが、本第2実施例のあおり状態検出ル
ーチンでは、常に前輪側の減衰力データPRを読み込む
ものとし(常に後輪側の減衰力データPRを読み込むも
のして良い)、モード切換スイッチMSの選択に応じて、
第1実施例のあおり状態検出ルーチンのステップ300に
対応するステップで、判定値VSが切り替わる構成とす
る。即ち、モード切換スイッチMSで「ノーマル」が選択
されたときには、大きな判定値Vsbとなり、「スポーツ
が」が選択されたときには、小さな判定値Vssとなると
する。
本第2実施例では、モード切換スイッチMSで「ノーマ
ル」が選択されると、あおり防止制御が開始され難く、
そのためサスペンションは、ソフトとなりやすくなり、
結果として乗り心地が重視され、一方「スポーツ」が選
択されると、あおり防止制御が開始されやすく、そのた
めサスペンションはハードとなりやすく、結果として操
縦安定性が重視される。
このように、本第2実施例では、モード切換スイッチ
MSの選択によって判定地VSを切り換えることに基づい
て、明確に減衰力特性に違いのあるショックアブソーバ
制御モードを設定できる。
尚、第2実施例では、モード切換スイッチMSによっ
て、判定値VSを切り換えたが、その切り換えと共にあ
るいはその変わりに、しきい値SL1(SL2も併せて)、し
きい値SL3、判定値VEの1以上を切り換える構成として
も、同様な効果が得られる。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し
得ることは勿論である。例えば、車両のあおり発生を検
出する減衰力を得る検出輪を左右両輪ではなく、左右片
側としてもよい。この場合は電子制御装置4が行なう処
理を簡素化することができる。また、ショックアブソー
バ2の減衰力は3段階以上の多段階の設定可能であって
もよい。この場合、その多段階間の切換に基づく減衰力
特性の制御モード設定と共に、例えば、上記実施例に挙
げたようなあおり検出輪の切換に基づく減衰力特性の制
御モード設定が可能となり、この結果、より多種類の制
御モード設定が可能となる。更に、上記実施例では、あ
おりが検出されない場合には、減衰力変化率の信号に主
に基づいて路面状態を判定し、ショックアブソーバの減
衰力特性を制御しているが、その制御をその他の信号、
例えば車高セサからの信号に基づいて実施してもよい。
また、上記実施例では終了条件のしきい値SL3は、開
始条件のしきい値SL1よりも大きいが、車両の振動特性
等によってはしきい値SL1としきい値SL3とが同じ場合が
あるなど両値には種々の関係が考えられる。加えて、上
記実施例では開始条件のしきい値(±SL1,±SL2)およ
び終了条件のしきい値(±SL3)のそれぞれについて、
第7図に示したように正符号側のしきい値と負符号側の
しきい値とを同じ絶対値の値として説明したが、正符号
側のしきい値の絶対値と負符号側のしきい値の絶対値と
が相違する構成、例えば前者を後者よりも相対的に大き
く設定する構成でもよい。一般にショックアブソーバ2
が発生する減衰力はその伸び側と縮み側とで大きさが異
なるが、上記構成では、伸び側と縮み側との減衰力の違
いを補償するしきい値が設定できるため、開始条件およ
び終了条件の判定精度が向上する。さらに、開始条件の
判定および終了条件の判定を行なう構成についてはマイ
クロコンピュータによって、ディスクリートな回路素子
により構成してもよい。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の車両用サスペンション
制御装置によれば、モード切換手段の選択に応じて、車
体にばね上共振周波数の近傍周波数の振動が生じてか
ら、ショックアブソーバの減衰力特性をハードに強制設
定までの応答性、または当該強制設定解除の応答性を変
更するので、ショックアブソーバの減衰力の全体として
の制御特性を上記応答性に基づき切り換えることが可能
となる。即ち、明確に違いのある制御モード(即ちショ
ックアブソーバの減衰力特性の制御モード)が設定可能
となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成を例示するブロック図、第
2図は本発明一実施例としてのサスペンション制御装置
の全体構成を表わす概略構成図、第3図(A)はそのシ
ョックアブソーバの構造を示す部分断面図、第3図
(B)はショックアブソーバの要部拡大断面図、第4図
は本実施例の電子制御装置の構成を表わすブロック図、
第5図は減衰力制御ルーチンを示すフローチャート、第
6図はあおり状態検出ルーチンを示すフローチャート、
第7図は路面の状況と右前輪5FRまたは右後輪5RRの減衰
力データPRと時刻との関係を示すグラフ、第8図は路
面の状況と減衰力データPRとショックアブソーバの制
御状況とを示す説明図である。 2FL,2FR,2RL,2RR……減衰力可変型ショックアブソーバ 4……電子制御装置 25FL,25FR,25RL,25RR……ピエゾ荷重センサ 27FL,27FR,27RL,28RR……ピエゾアクチュエータ 54……減衰力検出回路 55……ローパスフィルタ 56……ハイパスフィルタ 58……高電圧印加回路 62……高電圧電源回路 MS……モード切換スイッチ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】路面状態の変化に基づく車両の振動変化を
    検出し、ショックアブソーバの減衰力特性を高い側また
    は低い側に変更して車体振動を抑制するサスペンション
    制御装置において、 車体の振動変化を検出する車体振動検出手段と、 該車体振動検出手段による検出信号に基づいて、車体の
    ばね上共振周波数の近傍周波数の車体振動を抽出する振
    動抽出手段と、 該抽出した車体振動の振幅が少なくともしきい値を越え
    た場合に、減衰力の変更の対象となる前記ショックアブ
    ソーバの減衰力特性を前記高い側に強制的に設定する減
    衰力設定手段と、 前記抽出した車体振幅のその後の変化状態が所定条件と
    なったら、前記強制的な設定を解除する強制設定解除手
    段と、 該ショックアブソーバの減衰力の制御モードを任意の選
    択により切り換えるモード切換手段と、 該モード切換手段の選択に応じて、前記車体のばね上共
    振周波数の近傍周波数の振動が生じてから前記強制設定
    までの応答性、または前記強制設定解除の応答性を変更
    する応答性変更手段とを備え、 該応答性変更手段は、 前記しきい値の大きさを変更することによって前記強制
    設定までの応答性または前記強制設定解除の応答性を変
    更する手段、 前記車体振動の抽出を行う車輪を前輪と後輪とで変更す
    ることによって前記強制設定までの応答性または前記強
    制設定解除の応答性を変更する手段、 前記しきい値を越えてから前記減衰力設定手段がショッ
    クアブソーバの減衰力特性を高い側に強制的に設定する
    までの時間を長短変更することによって前記強制設定ま
    での応答性を変更する手段、若しくは、 前記強制設定後の車体振幅の変化状態が所定条件となっ
    てから前記強制設定を解除するまでの時間を長短変更す
    ることによって前記強制設定解除の応答性を変更する手
    段のいずれかとして構成されることを特徴とするサスペ
    ンション制御装置。
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