JP2853394B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2853394B2
JP2853394B2 JP3225246A JP22524691A JP2853394B2 JP 2853394 B2 JP2853394 B2 JP 2853394B2 JP 3225246 A JP3225246 A JP 3225246A JP 22524691 A JP22524691 A JP 22524691A JP 2853394 B2 JP2853394 B2 JP 2853394B2
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60GVEHICLE SUSPENSION ARRANGEMENTS
    • B60G17/00Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load
    • B60G17/015Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements
    • B60G17/018Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements characterised by the use of a specific signal treatment or control method
    • B60G17/0182Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements characterised by the use of a specific signal treatment or control method involving parameter estimation, e.g. observer, Kalman filter

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】車体と車輪間に生じる振動を減衰
させる例えばショックアブソーバ等の振動減衰器におい
て、大きな減衰力を発生させて振動を急激に減衰させる
ハードな状態と、小さな減衰力しか発生させないで振動
をゆるやかに減衰させるソフトな状態との間で切換え可
能なものが知られている。この形式の振動減衰器を備え
た車両ではコントローラを用いて、適宜ハード・ソフト
を切換える。本発明は、上記した減衰力発生特性が切換
え可能な振動減衰器とコントローラとを有するサスペン
ション制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記形式のサスペンション制御装置にお
いて、振動減衰器で発生している減衰力の時間変化率を
検出する減衰力変化率検出手段を付加し、検出された減
衰力変化率(V)が参照変化率(Vref )を越えたとき
に、振動減衰器をソフトに切換える技術が開発されてい
る。これは特開昭64−67407号公報あるいは特開
平3−96414号公報に開示されている。
【0003】後者の公報では、さらに、参照変化率(V
ref )を最適な値に調整するために、学習方式でこの参
照変化率を修正・更新してゆく技術が示されている。こ
の技術では、参照変化率(Vref )よりも若干低いレベ
ルに学習用参照値(Vref G)を設定し、発生している
減衰力変化率(V)が所定時間内に学習用参照値(Vre
f G)を越える頻度(N)を検出する。この頻度(N)
が所定頻度(Nref )以上なら参照変化率(Vref )を
増大修正し、一方頻度(N)が所定頻度(Nref )以下
なら参照変化率(Vref )を減少修正する。これにより
参照変化率(Vref )は路面状態に適応した適値に学習
更新されてゆき、減衰器は最適の態様でソフト・ハード
が切換えられる。これにより車両の走行安定性と乗心地
がバランスよく確保される。
【0004】この技術によると、検出された減衰力変化
率(V)が適値に調整された参照変化率(Vref )を越
えたときにハードからソフトに切換えられる。しかしな
がら逆に減衰力変化率(V)が参照変化率(Vref )よ
りも小さくなったからといって直ちにハードに切換えら
れるものではない。仮にそのようにすると、ソフトに切
換えられたために振動減衰力が小さくなったことに起因
して再度ハードに復帰してしまう。すなわちハード・ソ
フトの切換えがむやみと繰返されてしまう。そこで一旦
ソフトに切換えれば、そのときに生じている振動が減衰
するまでの間はソフトに保持する必要がある。前記特開
平3−96414号公報記載の技術では、ソフトに切換
えたのち、所定時間以上V<Vref の状態が継続したと
きに振動減衰器をハードな状態に切換える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち従来の技術に
よるときは、ソフト保持時間が一定であり、一旦ソフト
に切換えられると、それが良路にあった局部的凹凸に起
因してソフトに切換えられたものであり、振動が急激に
減衰されるものであっても所定時間が経過するまではソ
フトのまま保持されてしまうのである。そこで本発明で
はソフトに切換えられたとき以後の路面状態を早期に検
出し、ソフト保持時間を路面状態に適したものとするこ
とのできる新たな制御装置を開発しようとするのであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明で
は、上記目的を実現するために、その概要が図1に模式
的に示されるサスペンション制御装置、すなわち、車体
Aと車輪C間の振動を減衰させる減衰力の発生特性がハ
ードとソフトの間で切換可能な振動減衰器B、該振動減
衰器Bに発生している減衰力の時間変化率(V)を検出
する減衰力変化率検出手段D、該減衰力変化率検出手段
Dで検出された減衰力変化率(V)が参照変化率(Vre
f )を越えたときに該振動減衰器Bをソフトに切換える
コントローラ(E,F)とを備えたサスペンション制御
装置において、減衰力変化率を台とする適数個のファジ
ィ集合のメンバーシップ関数を記憶しておく手段G1、
該振動減衰器Bがハードからソフトに切換えられたとき
から該減衰力変化率(V)が所定変化率(Vref S)内
に収束するまでの収束時間(TS)を台とする適数個の
ファジィ集合のメンバーシップ関数を記憶しておく手段
G2、ソフト保持時間(TSK)を台とする適数個のフ
ァジィ集合のメンバーシップ関数を記憶しておく手段G
3、該振動減衰器Bがハードからソフトに切換えられた
後、前記減衰力変化率の極値(VP)と前記収束時間
(TS)を前記減衰力変化率検出手段Dで検出し、検出
された前記減衰力変化率の極値(VP)と前記収束時間
(TS)を入力変数とし前記ソフト保持時間(TSK)
を出力変数とするように前記3種のメンバーシップ関数
からなるファジイ制御則に基づいて、前記ソフト保持時
間(TSK)の最適値(TSK推論値)を推論するファ
ジィ推論手段I、該振動減衰器Bがソフトに切換えられ
た後、該ファジィ推論手段Iによる推論値(TSK推論
値)を経過したときに、該振動減衰器Bをハードに切換
える手段Jとが付加されたことを特徴とするサスペンシ
ョン制御装置を開発した。
【0007】
【作用】本発明の作用を図2を参照して説明する。図2
(a) は横軸に時間、縦軸に検出された減衰力変化率
(V)を示し、その変化の一例を示している。図中Vre
f は参照変化率を示し、検出された減衰力変化率(V)
が参照変化率(Vref )を越えると(時刻T1参照)、
振動減衰器Bはソフトに切換えられ、それ以後同一の振
動速度に対して発生する減衰力が小さな状態となる。図
中VPはソフトに切換えられた直後の極大の減衰力変化
率を示し、これがファジィ推論手段Iに入力される一つ
の値VPとなる。
【0008】図中Vref Sは振動が収束したか否かを判
定するための所定変化率を例示しており、この場合、減
衰力変化率(V)の極値が所定条件を続けてVref S以
下となる現象の看視のために用いられる。図中の例は2
度続けて極値がVref S以下となる場合を示しており、
ソフトに切換えられた後振動が収束するまでの時間TS
がVref Sを用いて検出されることを示している。
【0009】図2中(b) は減衰力変化率を台とする適数
個のファジィ集合の一例を示しており、例示のものは
“減衰力変化率が大きい”というファジィ集合に対する
メンバーシップ関数b1と“減衰力変化率が小さい”と
いうファジィ集合に対するメンバーシップ関数b2を例
示している。これは2個に限られるものでなく、“減衰
力変化率が中間”といったファジィ集合があってもよ
い。すなわちファジィ集合は2個以上であればよい。こ
の関数は手段G1に記憶されている。
【0010】図2中(c) は収束時間(TS)を台とする
適数個のファジィ集合の一例を示しており、例示のもの
は“収束時間が長い”というファジィ集合に対するメン
バーシップ関数c1と、“収束時間が短い”というファ
ジィ集合に対するメンバーシップ関数c2を例示してい
る。これについてもファジィ集合の数がもっと多くても
よい。この関数は手段G2に記憶されている。
【0011】図2中(d) は、ソフト保持時間(TSK)
を台とする適数個のファジィ集合の一例を示しており、
例示のものは“ソフト保持時間が長い”というファジィ
集合に対するメンバーシップ関数d1と、“ソフト保持
時間が短い”というファジィ集合に対するメンバーシッ
プ関数d2とを例示している。このファジィ集合の数に
ついても2個以上であればよい。この関数は手段G3に
記憶されている。
【0012】ファジィ制御技術によるときは、例えば、
もしも減衰力変化率の極値が小さければソフト保持時間
は短い、もしも減衰力変化率の極値が大きければソフト
保持時間は長い、もしも収束時間が長ければソフト保持
時間も長い、もしも収束時間が短ければソフト保持時間
も短い、といったファジィ制御則が用いられる。
【0013】手段Iは、減衰力変化率の極値VPと収束
時間TSを入力し、前記の減衰力変化率の極値(VP)
と収束時間(TS)を入力変数とし前記ソフト保持時間
(TSK)を出力変数とするように前記手段G1〜G3
に記憶されている3種のメンバーシップ関数(例えばb
1とb2、c1とc2、d1とd2)からなるファジィ
制御則に基づいて、ソフト保持時間を推論する。ここで
推論されたソフト保持時間(TSK推論値)はファジィ
理論と実験により、最適なソフト保持時間となることが
知られている。このため本発明によると、ファジィ制御
理論に立脚して、最適なソフト保持時間が推論され、路
面状態に適応した時間だけソフトに保持されることにな
る。
【0014】
【実施例】以上説明した本発明の構成・作用を一層明ら
かにするために、以下本発明のサスペンション制御装置
の好適な実施例について説明する。図3はこのサスペン
ション制御装置1全体の構成を表す概略構成図であり、
図4はショックアブソーバを一部破断した断面図であ
り、図5はショックアブソーバの要部拡大断面図であ
る。
【0015】図3に示すように、本実施例のサスペンシ
ョン制御装置1は、減衰力の発生特性がハードとソフト
に切換え可能なショックアブソーバ2FL,2FR,2
RL,2RRと、これら各ショックアブソーバに接続さ
れその減衰力の発生特性を切換える電子制御装置(コン
トローラ)4とから構成されている。各ショックアブソ
ーバ2FL,2FR,2RL,2RRは、それぞれ左右
前後輪5FL,5FR,5RL,5RRのサスペンショ
ンロワーアーム6FL,6FR,6RL,6RRと車体
7との間にコイルスプリング8FL,8FR,8RL,
8RRと共に併設されている。
【0016】ショックアブソーバ2FL,2FR,2R
L,2RRは、後述するように、ショックアブソーバ2
FL,2FR,2RL,2RRに発生している減衰力を
検出するピエゾ荷重センサと、ショックアブソーバ2F
L,2FR,2RL,2RRの減衰力発生特性をハード
・ソフトに切換えるピエゾアクチュエータとを各々一組
ずつ内蔵している。
【0017】次に、上記各ショックアブソーバ2FL,
2FR,2RL,2RRの構造を説明するが、上記各シ
ョックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRの構
造はすべて同一であるため、ここでは左前輪5FL側の
ショックアブソーバ2FLを例にとり説明する。また、
以下の説明では、各車輪に設けられた各部材の符号には
必要に応じて、左前輪5FL、右前輪5FR、左後輪5
RL、右後輪5RRに対応する添え字FL,FR,R
L,RRを付けるものとし、各輪に関して差異がない場
合には添え字を省略するものとする。
【0018】ショックアブソーバ2は図4に示すよう
に、シリンダ11側の下端にて車軸側部材11aを介し
てサスペンションロワーアーム6に固定され、一方、シ
リンダ11に貫挿されたロッド13の上端にてベアリン
グ7a及び防振ゴム7bを介して車体7にコイルスプリ
ング8と共に固定されている。
【0019】シリンダ11内部にはロッド13の下端に
連接された内部シリンダ15、連結部材16及び筒状部
材17と、シリンダ11内周面にそって摺動自在なメイ
ンピストン18とが配設されている。ショックアブソー
バ2のロッド13に連結された内部シリンダ15にはピ
エゾ荷重センサ25とピエゾアクチュエータ27とが収
納されている。
【0020】図5によく示されているように、メインピ
ストン18は筒状部材17に外嵌されており、シリンダ
11に嵌合する外周にはシール材19が介装されてい
る。従って、シリンダ11内はこのメインピストン18
により第1の液室21と第2の液室23とに区画されて
いる。筒状部材17の先端にはバックアップ部材28が
螺合されており、筒状部材17との間にメインピストン
18と共に筒状部材17側にスペーサ29とリーフバル
ブ30を、バックアップ部材28側にリーフバルブ31
とカラー32をそれぞれ押圧・固定している。また、リ
ーフバルブ31とバックアップ部材28との間には、メ
インバルブ34とばね35が介装されており、リーフバ
ルブ31をメインピストン18方向に付勢している。
【0021】これらリーフバルブ30,31はメインピ
ストン18が停止している状態では、メインピストン1
8に設けられた伸び側及び縮み側通路18a,18bを
各々片側で閉塞しており、メインピストン18が矢印A
もしくはB方向に移動するのに伴って片側に開く。従っ
て、両液室21,23に充填された作動油は、メインピ
ストン18の移動に伴って両通路18a,18bのいず
れかを通って両液室21,23間を移動する。このよう
に両液室21,23間の作動油の移動が両通路18a,
18bに限られている状態では、ロッド13の動きに対
して発生する減衰力は大きく、サスペンションの特性は
ハードとなる。
【0022】図4に示されている内部シリンダ15の内
部に収納されたピエゾ荷重センサ25及び図4,5に示
されるピエゾアクチュエータ27は、圧電セラミックス
の薄板を電極を挟んで積層した電歪素子積層体である。
ピエゾ荷重センサ25の各電歪素子は、ショックアブソ
ーバ2に作用する力、即ち、減衰力によって分極する。
従って、ピエゾ荷重センサ25の出力を所定インピーダ
ンスの回路により電圧信号として取出せば、減衰力の変
化率を検出することができる。
【0023】ピエゾアクチュエータ27は、高電圧が印
加されると応答性良く伸縮する電歪素子を積層してその
伸縮量を大きくしたものであり、直接にはピストン36
を駆動する。ピストン36が図5の矢印B方向に移動さ
れると、油密室33内の作動油を介してプランジャ37
及びH字状の断面を有するスプール41も同方向に移動
される。こうして図5に示す位置(原点位置)にあるス
プール41が図中B方向に移動すると、第1の液室21
につながる副流路16cと第2の液室23につながるブ
ッシュ39の副流路39bとが連通されることになる。
この副流路39bは更にプレートバルブ45に設けられ
た油穴45aを介して筒状部材17内の流路17aに連
通されているので、スプール41が矢印B方向に移動す
ると、結果的に第1の液室21と第2の液室23との間
を流動する作動油流量が増加する。つまり、ショックア
ブソーバ2はピエゾアクチュエータ27が高電圧印加に
よって伸長すると、その減衰力発生特性をハードの状態
からソフトの状態に切換え、電荷が放電されて収縮する
と減衰力特性をハードの状態に復帰させる。
【0024】なお、メインピストン18の下面に設けら
れたリーフバルブ31の移動量はバネ35によりリーフ
バルブ30と較べて規制されている。また、プレートバ
ルブ45には油穴45aより大径の油穴45bが油穴4
5aより外側に設けられており、プレートバルブ45が
ばね46の付勢力に抗してブッシュ39方向に移動する
と、作動油は油穴45bを通って移動可能となる。従っ
て、スプール41の位置の如何を問わず、メインピスト
ン18が矢印B方向に移動する場合の作動油流量はメイ
ンピストン18が矢印A方向に移動する場合より大きく
なる。すなわち、メインピストン18の移動方向によっ
て減衰力を変え、ショックアブソーバとしての特性を一
層良好なものとしているのである。また、油密室33と
第1の液室21との間には作動油補給路38がチェック
弁38aと共に設けられており、油密室33内の作動油
流量を一定に保っている。
【0025】次に、上記したショックアブソーバ2の減
衰力の発生特性を切換制御する電子制御装置4について
図6を用いて説明する。この電子制御装置4には、車両
の走行状態を検出するためのセンサとして、各ショック
アブソーバ2のピエゾ荷重センサ25の他、図示しない
ステアリングの操舵角を検出するステアリングセンサ5
0と、車両の走行速度を検出する車速センサ51と、図
示しない変速機のシフト位置を検出するシフト位置セン
サ52と、図示しないブレーキペダルが踏まれたときに
信号を発するストップランプスイッチ53等が接続され
ている。
【0026】これら検出信号等に基づき上述したピエゾ
アクチュエータ27に制御信号を出力する電子制御装置
4は、周知のCPU61,ROM62,RAM64を中
心に算術理論演算回路として構成され、これらとコモン
バス65を介して相互に接続された入力部67及び出力
部68により外部との入出力を行なう。
【0027】電子制御装置4には、このほかピエゾ荷重
センサ25に接続された減衰力変化率検出回路70、ス
テアリングセンサ50及び車速センサ51に接続された
波形整形回路73、ピエゾアクチュエータ27に接続さ
れる高電圧印加回路75、イグニッションスイッチ76
を介してバッテリ77から電源の供給を受けピエゾアク
チュエータ駆動用の駆動電圧を出力するいわゆるスイッ
チングレギュレータ型の高電圧電源回路79、バッテリ
77の電圧を変圧して電子制御装置4の作動電圧(5
v)を発生する定電圧電源回路80等が備えられてい
る。シフト位置センサ52、ストップランプスイッチ5
3、減衰力変化率検出回路70、波形整形回路73は入
力部67に、一方、高電圧印加回路75、高電圧電源回
路79は出力部68にそれぞれ接続されている。また、
出力部68には各車輪の減衰力の設定状態を示すインジ
ケータ85が接続されている。電子制御装置4にはこの
他インジケータ85を駆動する駆動回路86も組込まれ
ている。
【0028】減衰力変化率検出回路70は各ピエゾ荷重
センサ25FL,FR,RL,RRに対応して設けられ
た4個の検出回路からなり、各々の検出回路は路面から
ショックアブソーバ2が受ける減衰力に応じて分極する
ピエゾ荷重センサ25を含む回路から出力される電圧信
号をショックアブソーバ2の減衰力変化率としてCPU
61に出力するよう構成されている。また、波形整形回
路73はステアリングセンサ50や車速センサ51から
の検出信号をCPU61における処理に適した信号に波
形整形して出力する回路である。従って、CPU61は
この減衰力変化率検出回路70と波形整形回路73とか
らの出力信号、更には自己の処理結果等に基づき、路面
状態や車両の走行状態等を判定することができる。CP
U61はかかる判定に基づいて各車両に対応して設けら
れた高電圧印加回路75に制御信号を出力する。
【0029】この高電圧印加回路75は高電圧電源回路
79から出力される+500ボルトもしくは−100ボ
ルトの電圧をCPU61からの制御信号に応じてピエゾ
アクチュエータ27に印加する回路である。従って、こ
の減衰力切換信号によって、ピエゾアクチュエータ27
が伸張(+500ボルトト印加時)もしくは収縮(−1
00ボルト印加時)し、作動油流量が切換えられて、シ
ョックアブソーバ2の減衰力発生特性がソフトもしくは
ハードに切換えられる。すなわち、各ショックアブソー
バ2の減衰力発生特性は、高電圧を印加してピエゾアク
チュエータ27を伸張させたときには、既述したスプー
ル41(図5参照)により、ショックアブソーバ2内の
第1の液室21と第2の液室23との間を流動する作動
油の流量が増加するため発生する減衰力の小さな状態と
なり、負の電圧により電荷が放電されてピエゾアクチュ
エータ27を収縮させたときには作動油流量が減少する
ため発生する減衰力の大きな状態となるのである。
【0030】なお、各車輪のショックアブソーバ2の減
衰力発生特性の状態を表示するインジケータ85は図7
に詳細を示すように、インナパネル87の速度計88の
近傍に設けられており、各車輪のピエゾアクチュエータ
27FL,FR,RL,RRに対応して、2段階に点灯
可能な発光ダイオード90FL,FR,RL,RRから
構成されている。これらの発光ダイオード90FL,F
R,RL,RRは、減衰力発生特性がハードに設定され
ている場合には、出力部68により小さな電流でドライ
ブされて薄い緑色に発光しており、ソフトに切換えられ
た時には、大きな電流でドライブされて明るい緑色に点
灯する。従って、運転者は現在の各車輪の減衰力発生特
性を容易に知ることができる。なお、表示消去スイッチ
92を操作することで駆動回路86のトランジスタをタ
ーンオフし、このインジケータ85の表示を中止するこ
ともできる。従って、減衰力発生特性の切換えに慣れ、
表示が不要となった場合にはこれを消灯しておくことも
容易である。
【0031】次に、上記した構成を備える本実施例のサ
スペンション制御装置1が行なう減衰力発生特性の切換
制御について、図8、図9、図10のフローチャートに
基づき説明する。各図に示した各ルーチンは、割込処理
により一定時間毎に各々繰返し実行される。なお、これ
らの処理は各車輪の各ショックアブソーバ2FL,F
R,RL,RRについて各々実行されるものであるが、
各車輪についての処理に変わりはないので、特に区別せ
ずに説明する。各ルーチンの処理内容は次の通りであ
る。
【0032】1. ハード、ソフト切換制御ルーチン(図
8) 減衰力変化率Vに基づいてピエゾアクチュエータ27を
切換え、減衰力発生特性をハードもしくはソフトな状態
に切換える。 2. 頻度検出割込ルーチン(図9) 所定時間内に減衰力変化率が学習用参照値Vref Gを越
える回数を頻度Nとして検出する。 3. 参照変化率Vref 学習ルーチン(図10) 減衰力発生特性の切換えに用いる参照変化率Vref を検
出された頻度Nの大小に基づいて学習する。
【0033】各ルーチンの詳細についてハード・ソフト
切換制御ルーチン(図8)から順に説明する。
【0034】このルーチンを開始すると、まず、入力部
67を介して車速センサ51から車速を読込み、これを
Sとして記憶する(ステップ100)。次に同じく入力
部67を介して減衰力変化率検出回路70から各ショッ
クアブソーバ2の減衰力の変化率Vを読込み、これをV
として記憶する処理を行なう(ステップ102)。
【0035】次に、ショックアブソーバ2がソフトに切
換えられている間は「1」が、ハードに切換えられてい
る間は「0」が設定されているソフトフラッグ(FH
S)の値を調べる(ステップ104)。FHSが0な
ら、すなわちショックアブソーバ2がハードな状態にあ
ればステップ104の判断はノーとなり、次にステップ
106で検出された減衰力変化率(V)が参照変化率
(Vref )を越えているか否かを比較する。実際には変
化率Vの絶対値が比較されるが、以後単に比較すると称
する。|V|<Vref ならばショックアブソーバ2をハ
ードな状態に維持する(ステップ122)。すなわちシ
ョックアブソーバ2に電圧を掛けない状態を続け流路1
6cと39b間を遮断し続ける。このときはソフトフラ
ッグFHSをゼロにしておく(ステップ124)。
【0036】一方、ステップ106で|V|>Vref と
判断されると、ステップ118でショックアブソーバ2
をソフトに切換える。すなわちショックアブソーバ2に
+500ボルトを印加し、流路16cと39b間を連通
させる。このときはソフトフラッグFHSを「1」にし
ておく(ステップ120)。そしてこのときはソフト保
持時間を算出するための各種変数の値、すなわちタイマ
T1、タイマT2、ソフト後の減衰力変化率の極値(V
P)、収束時間(TS)、ならびにTSK推論値を全部
ゼロに初期化する(ステップ108,110,112,
114,116)。
【0037】ステップ118でソフトに切換えられる
と、次の実行時にはステップ104の判定がイエスとな
る。このときはタイマT1を1インクリメントする(ス
テップ130)。すなわちタイマT1でソフトに切換え
られたときからの経過時間を計時させる。次に検出され
た減衰力変化率Vの絶対値がそれまでの最大値VPを越
えたか否かが判別される(ステップ132)。イエスな
らばステップ134で最大値VPを更新する。ノーなら
ばステップ134をスキップして最大値VPの値を維持
する。これによりVPに極値が記憶されることになる。
【0038】次にステップ136で減衰力変化率|V|
が所定レベルVrefS以内に収まっているかどうかを比
較する。ここでVref Sは図2(a) で説明したように、
振動がほぼ収まりつつあるとしてよいレベルに設定され
ている。振動が所定レベルVref S以内にある時間が次
にタイマT2で計時される(ステップ138)。ここで
タイマT2は|V|>VrefSだとゼロに初期化される
ため(ステップ140)、タイマT2には|V|<Vre
f Sである条件が引続き成立している時間が計時される
ことになる。このようにして計時されたタイマT2の値
は次にステップ142でT2Cと比較される。ここでT
2Cは図2に示したように振動が収束したとみなしてよ
い時間に対応しており、この実施例の場合、減衰力変化
率の1周期に相当する時間が設定されている。すなわち
この実施例では減衰力変化率が1周期変動する間にVre
f Sを越えることがなければ振動が減衰しつつあるとし
てよいという条件を利用している。このようにして振動
が減衰しつつあることが判別されると(ステップ142
でイエスとなると)、ソフトに切換えられたときからの
経過時間T1が収束時間TSとして記憶される(ステッ
プ144)。
【0039】さて、このようにして車速(S)(ステッ
プ100)、ソフト切換後の減衰力変化率の極値(V
P)(ステップ134)、収束時間(TS)(ステップ
144)が決定されると、それに基づいてファジィ推論
(ステップ146)が実施される。ファジィ推論手続き
には各種手法が提案されており、そのいずれもが本発明
には適用可能であるが、本実施例では下記のようにして
ファジィ推論を実行する。
【0040】まずROM62に記憶されているメンバー
シップ関数を検索し適合度を検索する。図12におい
て、関数12−1は減衰力変化率Vを台とする「減衰力
変化率が大きい」というファジィ集合のメンバーシップ
関数を示しており、この関数とステップ134で求めら
れた極値VPの値から適合度LVP1を検索する。関数
12−3は収束時間TSを台とする「収束時間が長い」
というファジィ集合のメンバーシップ関数を示してお
り、この関数とステップ144で求められた収束時間T
Sの値から適合度LTS1を検索する。関数12−5は
「車速が速い」というファジィ集合のメンバーシップ関
数を示しており、この関数とステップ100で求められ
た車速Sの値から適合度LS1を検索する。そして次に
このようにして検索された適合度LVP1,LTS1,
LS1のうちの最小値(図12に例示する場合LS1が
相当する)を検索する。
【0041】同様に関数12−2は「減衰力変化率が小
さい」というファジィ集合のメンバーシップ関数を示し
ており、この関数12−2とステップ134で求められ
た極値VPの値から適合度LVP2を検索する。関数1
2−4は「収束時間が短い」というファジィ集合のメン
バーシップ関数を示しており、この関数12−4とステ
ップ144で求められた収束時間TSの値から適合度L
TS2を検索する。関数12−6は「車速が遅い」とい
うファジィ集合のメンバーシップ関数を示しており、こ
の関数12−6とステップ100で求められた車速Sの
値から適合度LS2を検索する。
【0042】そして次にこのようにして検索された適合
度LS2,LTS2,LVP2のうちの最小値(図示の
例ではLVP2が相当する)を検索する。図12(g) の
関数12−7は、ソフト保持時間を台とし、「ソフト保
持時間が長い」というファジィ集合のメンバーシップ関
数を示しており、このファジィ集合に対するハッチ部1
2−9は、先に検索した最小適合度LS1のレベルで頭
打ちとしたものを示している。ここで減衰力変化率の極
値VPが大きければ、あるいは収束時間TSが長けれ
ば、あるいは車速が速ければ、ソフト保持時間を長くす
る関係にあることから、このファジィ制御制の前件部の
適合度の最小値(これがLS1に相当する)をもって
「ソフト保持時間が長い」というファジィ集合の頭度が
カットされる。
【0043】同様に12−8は「ソフト保持時間が短
い」というファジィ集合に対するメンバーシップ関数を
示しており、そのハッチ部12−10は減衰力変化率の
極値が小さければ、あるいは収束時間が短ければ、ある
いは車速が遅ければ、ソフト保持時間を短くするという
ファジィ制御規制の前件部の適合度の最小値(この場合
LVP2が相当する)で頭度をカットしたものを示して
いる。図12(g) のTSK推論値は、図12(g) のハッ
チを付した図形の重心位置を示すものであり、これがフ
ァジィ推論に基づいたときの推論値に相当する。
【0044】図8のステップ146におけるファジィ推
論処理は図12に示した処理をするのである。なお図1
2のファジィ推論プロセスはファジィ推論過程の一実施
例を示すものであり、その他の推論プロセス、例えば代
数積−加算−重心法(第5回ファジィシステムシンポジ
ウム講演論文集 461/466(1989)参照)と称されるその他
の推論手法等を用いることができる。さて図8のステッ
プ146で最適ソフト保持時間が推論されると、次にス
テップ148が実行され、ソフトに切換えた後、推論さ
れた最適ソフト保持時間が経過するまではソフトに維持
され(ステップ154)、ソフト保持時間が経過したと
きにハードに復帰される(ステップ150)。
【0045】図13は図8の処理によるときの切換の態
様を示すものであり、(a) は発生している減衰力変化率
の変動の様子を示す図、(b) は特開平3−96414号
公報に示される従来の制御装置によるときのハード・ソ
フトの切換えの態様を示す図、(c) は本実施例によると
きのハード・ソフトの切換えの態様を示す図である。
(b) から従来の技術によるときは一旦ソフトに切換えら
れると、その後所定時間はソフトに維持されることが理
解される。これに対し(c) によると、図示Xに示すよう
に路面が荒れていて収束時間がTSXのように長いとき
には長いソフト保持時間TSKXが推論される一方、図
示Yに示すように単発的ショックが作用しただけでその
後急速に減衰される(収束時間がTSYのように短い)
場合にはソフト保持時間もTSKYのように短くなるこ
とが理解される。ここでソフト保持時間の推論にファジ
ィ推論法を用いているため、最適値を推論するための時
間を著しく短くすることができ、ソフトに切換えた直後
の路面状態に対応して、そのときのソフト保持時間を制
御することができる。本実施例では車速Sをも用いてフ
ァジィ推論を実施している。しかしながら車速Sは不可
欠ではなく、減衰力変化率と収束時間によってほぼ最適
なソフト保持時間が推論される。
【0046】本実施例ではソフト保持時間の推論手段の
他、参照変化率Vref を最適値に保持するための機能も
あわせもっている。まず、ハード・ソフト切換制御ルー
チン(図8)で参照する参照変化率Vref を決定するた
めに、減衰力変化率の頻度Nを検出するルーチン(図
9)について説明する。この割込ルーチンが起動される
と、まずこのルーチンの起動回数をカウントする変数C
を値1だけインクリメントする処理が行なわれ(ステッ
プ200)、次に現在のサスペンションの設定がハード
かソフトかの判定が行なわれる(ステップ210)。シ
ョックアブソーバ2の減衰力発生特性は、図8に示した
ハード・ソフト切換制御ルーチンにより制御されてお
り、フラグFHSの値を参照して、現在のパターンがソ
フトと判定されれば(FHS=1)、現在の参照変化率
Vref に値0.8×0.5を乗じ(ステップ212)、
一方、ハードと判定されれば、現在の参照変化率Vref
に値0.8を乗じて(ステップ214)、各々学習用参
照値Vref Gを算出する。
【0047】こうして学習用参照値Vref Gを求めた
後、現在の減衰力変化率Vが学習用参照値Vref Gより
大きいか否かの判定を行なう(ステップ220)。減衰
力変化率Vが学習用参照値Vref G以下であれば、フラ
グFFを値0にリセットして(ステップ230)、一旦
本ルーチンを終了する。
【0048】一方、減衰力変化率Vが学習用参照値Vre
f Gを上回っていると判断された場合には、フラグFF
の値をチェックし(ステップ240)、フラグFFが値
0、即ち減衰力変化率Vが学習用参照値Vref Gを越え
た直後には、頻度Nを値1だけインクリメントし(ステ
ップ250)、フラグFFに値1をセットして(ステッ
プ260)、本ルーチンを一旦終了する。従って、この
フラグFFは減衰力変化率Vが学習用参照値Vref Gを
越えた状態になっていることを示すことになり、その間
は頻度Nがインクリメントされることはない(ステップ
240)。換言すれば減衰力変化率Vが学習用参照値V
ref Gを越えたと新たに判断されたときに頻度Nが1ず
つインクリメントされるのである。
【0049】以上説明した頻度検出割込ルーチンを繰返
し実行することにより、参照変化率Vref に基づいて学
習用参照値Vref Gを更新する処理と、減衰力変化率V
がこの学習用参照値Vref Gを上回る頻度Nの検出とが
なされることになる。
【0050】かかる処理に用いられる参照変化率Vref
の学習ルーチンについて次に説明する。図10に示すよ
うに、参照変化率学習ルーチンが起動されると、まず、
入力部67を介してストップランプスイッチ53、ステ
アリングセンサ50、車速センサ51等から走行状態を
読込む処理を行ない(ステップ300)、その走行状態
に基づいて、アンチダイブやアンチロール等の制御を実
行すべきか否かの判断を行う(ステップ310)。ブレ
ーキを踏んだ場合や急ハンドルを切った場合等は、アン
チダイブ等の処理等を行なうとして、これらの処理に備
えて参照変化率Vref を切換える処理を行ない(ステッ
プ315)、そのまま本ルーチンを終了する。
【0051】一方、車両の走行状態がアンチダイブ処理
等を必要としないと判断された場合には、変数Cが値i
に等しくなったか否かの判断を行なう(ステップ32
0)。変数Cは図9に示した頻度検出割込ルーチンが1
回実行される度に1ずつインクリメントされる値であ
り、変数Cの値により頻度Nの大きさを判定するのに必
要な時間(予め設定されている)が経過したか否かの判
断を行なうのである。なお、この時間は前記振動の収束
の判定に用いた値T2Cに比較して充分に長い時間が設
定されており、充分な統計数が得られる期間に設定され
ている。頻度検出割込ルーチンの実行回数が少なく(C
<i)、頻度の判断をするタイミングに至っていないと
判断された場合には、「RTN」に抜けて本ルーチンを
一旦終了する。
【0052】頻度検出割込ルーチンがi回実行される度
に、ステップ320での判断は「YES」となり、続い
て変数Cのリセット(ステップ330)、車速Sの読込
み(ステップ340)を実行する。こうして読込んだ車
速Sに基づいて、次に基準ベース値Vbaseを算出する処
理を行なう(ステップ350)。基準ベース値Vbaseは
参照変化率Vref の大きさを車速Sに応じた値とするた
めのものであり、図11に示すように車速Sの関数f1
(S)として決定される。
【0053】次に、頻度検出割込ルーチン(図9)でカ
ウントされた頻度Nと予め設定された頻度基準値Nref
との頻度偏差ΔNを求める処理を行ない(ステップ36
0)、この頻度偏差ΔNが値0より大きいか否かの判断
を行なう(ステップ370)。頻度偏差ΔNが値0より
大きければ、補正値ΔVを値βだけインクリメントし
(ステップ380)、一方、頻度偏差ΔNが値0以下で
あれば、補正値ΔVを値βだけデクリメントして(ステ
ップ390)、この補正値ΔVを基準ベース値Vbaseに
加えることで、参照変化率Vref を算出する処理を行な
う(ステップ400)。この結果、車速Sに応じて切換
基準値Vref は変更されるが、それまで学習した補正値
ΔVは保存され、継続して用いられることになる。ステ
ップ400の実行後、以降の頻度検出に備えて頻度Nを
値0にリセットし(ステップ410)、本ルーチンを終
了する。
【0054】以上説明した参照変化率学習ルーチンを実
行することにより、参照変化率Vref は車速Sに基づい
て設定され、頻度Nの多寡に基づいて学習・更新される
ことになる。図8ないし図10のフローチャートに示し
た処理を実行することにより、車両の各ショックアブソ
ーバ2の減衰力の発生特性、延いてはサスペンションの
硬さは次のように制御される。
【0055】(I) 平坦路を継続して走行している場
合の制御の様子を図14に例示する。図15と対比する
と明らかなように、平坦路を走行している場合には、減
衰力変化率Vもさほど大きくなく、ショックアブソーバ
2の減衰力特性はハードな状態に制御されている。この
とき、学習用参照値Vref Gは参照変化率Vref の80
%の値として演算されており(図9のステップ21
4)、所定期間(カウント値iに対応する期間)に減衰
力変化率Vが学習用参照値Vref Gを上回る頻度Nは小
さい。従って、参照変化率Vrefは値βずつ小さな値に
学習される(図10ステップ390)。この結果、減衰
力変化率Vが参照変化率Vref を越えやすくなり、平坦
路走行中の小さな凹凸等でソフトな状態に切換えられる
(図14の時刻t1,t2)。こうして参照変化率Vre
f の値が小さくされると、学習用参照値Vref Gも小さ
な値となり、所定期間内に減衰力変化率Vが学習用参照
値Vref Gを上回る頻度は大きくなる。この結果、参照
変化率Vref は+βだけ大きな値に更新され、かかる処
理を繰返すうちに参照変化率Vref は切換頻度が適正と
なる値に学習されることになる。
【0056】従って、車両が平坦路を走行して減衰力変
化率Vが比較的小さくサスペンションがハードに維持さ
れる傾向にある場合でも、頻度Nの検出、参照変化率V
refの学習、学習用参照値Vref Gの更新が行なわれる
ことにより、参照変化率Vref が漸減されてショックア
ブソーバ2は減衰力の小さな状態に、即ちサスペンショ
ンの特性はソフトに切換えられ易くなるのである。この
結果、平坦路走行が継続する場合に従来気になった路面
の小さな凹凸に好適に対処でき、乗心地が格段に向上す
ることになる。
【0057】(II) 一方、悪路を継続して走行してい
る場合には、図15に例示するように、減衰力変化率V
は大きく変化し、サスペンション特性はソフトに制御さ
れる。このとき、学習用参照値Vref Gは参照変化率V
ref の40%の値として演算されており(図9のステッ
プ212)、所定期間(カウント値iに対応する期間)
に減衰力変化率Vが学習用参照値Vref Gを上回る頻度
Nは大きな値となる。従って、参照変化率Vref は値β
ずつ大きな値に学習される(図10のステップ38
0)。この結果、減衰力変化率Vが参照変化率Vref を
越えにくくなり、悪路走行中であっても減衰力発生特性
はハードに切換えられる(図15の時刻t11,t1
2)。こうして参照変化率Vref の値が大きくなると、
学習用参照値Vref Gも大きな値となり、所定期間内に
減衰力変化率Vが学習用参照値Vref Gを上回る頻度は
小さくなる。この結果、参照変化率Vref は−βだけ小
さな値に更新され、かかる処理が繰返されることによ
り、参照変化率Vref は適正な値に学習される。
【0058】従って、車両が悪路を走行して減衰力変化
率Vが比較的大きくサスペンションがソフトに維持され
る傾向にある場合でも、頻度Nの検出、参照変化率Vre
f の学習、学習用参照値Vref Gの更新が行なわれるこ
とにより、参照変化率Vrefが漸増されてショックアブ
ソーバ2の減衰力特性は大きな状態に、即ちサスペンシ
ョン特性はハードに切換えられ易くなるのである。この
結果、悪路走行が継続する場合に従来気になった接地性
の不充分さ、いわゆる足回りの腰のなさに好適に対処で
き、操縦安定性が格段に向上することになる。
【0059】(III ) また本実施例のサスペンション
制御装置では、一旦ソフトに切換えられると、その直後
の減衰力変化率の極値と収束時間とから路面の状態が推
測され、この推測に基づいて最適なソフト保持時間が推
論される。このためショックアブソーバの減衰力発生特
性はより好ましい態様で制御され、乗心地と走行安定性
の両者がより高次元で両立される。また従来の技術のよ
うに、ハード・ソフトの切換えがむやみとハンチングす
ることを防止するために、不必要に長い時間ソフトに保
持することが防止される。
【0060】以上説明したように、本実施例のサスペン
ション制御装置1によると、平坦路を継続して走行する
場合には小さな振動を吸収し、悪路を継続して走行する
場合には接地性を向上させ、車両の乗心地と操縦安定性
とを両立させることができる。特に、これらの制御を減
衰力変化率Vref に基づいて行うため、応答性良く制御
を行なうことができる。従って、例えば悪路において参
照変化率Vref が大きな値に学習されてサスペンション
がハードに切換えられても、更に路面が荒れている場合
等には、減衰力自体が大きくなるのを待つことなく減衰
力変化率Vの値に基づいて、直ちにソフトに切換えるこ
とができ、乗心地を損うことはない。
【0061】本実施例によれば、車両が走行する路面の
状態、特に平坦路か悪路かをショックアブソーバ2の減
衰力の変化率Vによって判定しているので、新たなセン
サ等を必要とせず、応答性にも優れるという利点があ
る。更に、本実施例のサスペンション制御装置1では、
参照変化率Vref を算出するための基準ベース値Vbase
を車速Sに基づいて求めているので、車速の相違に基づ
く減衰力の発生の度合をサスペンション特性に反映する
ことができる。
【0062】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、例えば頻度Nに基づいて参照変化率Vrefを増減す
る代わりに、減衰力変化率Vが参照変化率Vref を上回
っている時間により参照変化率Vref を更新する構成、
同じくサスペンションがソフトに切換えられている時間
により参照変化率Vref を更新する構成、学習用参照値
Vref Gを減衰力発生特性がソフトかハードかに応じて
別々の値として計算する代わりに頻度基準値Nref をソ
フト用とハード用の2種類持つ構成、あるいは頻度基準
値Nref を前後左右の各車輪5FL,FR,RL,RR
毎に相違した値とした構成など、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿
論である。またファジィ集合の個数、ファジィ推論過程
も実施例に限られるものでなく、種々の変更もありえ
る。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のサスペン
ション制御装置によれば、ソフト保持時間が路面状態に
あわせて最適に制御されることにより、振動減衰器が不
必要にソフトに保持されて走行安定性に不満を抱かせる
ことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概念を模式的に示す図。
【図2】本発明の作用を説明する図。
【図3】本発明の一実施例としてのサスペンション制御
装置の全体構成を表わす概略構成図。
【図4】ショックアブソーバ2の構造を示す部分断面
図。
【図5】ショックアブソーバ2の要部拡大断面図。
【図6】本実施例の電子制御装置4の構成を表わすブロ
ック図。
【図7】インジケータ85の概略構成図。
【図8】ハード・ソフトの切換制御ルーチンを示すフロ
ーチャート。
【図9】頻度検出割込ルーチンを示すフローチャート。
【図10】参照変化率Vref 学習ルーチンを示すフロー
チャート。
【図11】車速Sと基準ベース値Vbaseとの関係を示す
グラフ。
【図12】ファジィ推論過程を示すグラフ。
【図13】ソフト保持時間の一例を示すグラフ。
【図14】平坦路を走行している場合の制御の様子を示
すグラフ。
【図15】悪路を走行している場合の制御の様子を示す
グラフ。
【符号の説明】
2FL,FR,RL,RR ショックアブソーバ 4 電子制御装置(コントローラ) 25FL,FR,RL,RR ピエゾ荷重センサ 27FL,FR,RL,RR ピエゾアクチュエータ 51 車速センサ 70 減衰力変化率検出回路 75 高電圧印加回路 79 高電圧電源回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−182828(JP,A) 特開 平2−133215(JP,A) 特開 平2−151517(JP,A) 特開 平3−16820(JP,A) 特開 昭64−67407(JP,A) 特開 平3−96414(JP,A) 特開 平2−283512(JP,A) 特開 平3−25013(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/00 - 23/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と車輪間の振動を減衰させる減衰力
    の発生特性がハードとソフトの間で切換可能な振動減衰
    器、 該振動減衰器に発生している減衰力の時間変化率を検出
    する減衰力変化率検出手段、 該減衰力変化率検出手段で検出された減衰力変化率が参
    照変化率を越えたときに該振動減衰器をソフトに切換え
    るコントローラ、とを備えたサスペンション制御装置に
    おいて、 減衰力変化率を台とする適数個のファジィ集合のメンバ
    ーシップ関数を記憶しておく手段、 該振動減衰器がハードからソフトに切換えられたときか
    ら該減衰力変化率が所定変化率内に収束するまでの収束
    時間を台とする適数個のファジィ集合のメンバーシップ
    関数を記憶しておく手段、 ソフト保持時間を台とする適数個のファジィ集合のメン
    バーシップ関数を記憶しておく手段、 該振動減衰器がハードからソフトに切換えられた後、前
    記減衰力変化率の極値と前記収束時間を前記減衰力変化
    率検出手段で検出し、検出された前記減衰力変化率の極
    値と前記収束時間を入力変数とし前記ソフト保持時間を
    出力変数とするように前記3種のメンバーシップ関数か
    らなるファジイ制御則に基づいて、前記ソフト保持時間
    の最適値を推論するファジィ推論手段、 該振動減衰器がソフトに切換えられた後、該ファジィ推
    論手段による推論値を経過したときに、該振動減衰器を
    ハードに切換える手段、とが付加されたことを特徴とす
    るサスペンション制御装置。
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