JP2576651B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2576651B2 JP1327020A JP32702089A JP2576651B2 JP 2576651 B2 JP2576651 B2 JP 2576651B2 JP 1327020 A JP1327020 A JP 1327020A JP 32702089 A JP32702089 A JP 32702089A JP 2576651 B2 JP2576651 B2 JP 2576651B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明はサスペンション制御装置に関し、詳しくは路
面の変化により発生する車輪の振動状態に基づいて、各
車輪に設けられたショックアブソーバの発生する減衰力
発生パターンの設定を変更するサスペンション制御装置
に関する。
[従来の技術] この種のサスペンション制御装置として、ショックア
ブソーバの減衰力の変化率を検出し、この変化率が所定
以上となったとき、即ち路面の凹凸やブレーキ操作等に
基づいて減衰力が急変するとき、ショックアブソーバの
ストロークに対する減衰力の発生パターンを大きな値の
側(ハード)から小さな値の側(ソフト)に速やかに切
り換えて、ショックアブソーバの制御の応答性を高めた
ものが知られている(例えば、特開昭64−67407号公
報)。
[発明が解決しようとする課題] かかるサスペンション制御装置は、路面状態の変化に
減衰力のパターンを素早く追従させて乗り心地を良好に
保つ優れたものであるが、ハードとソフトの2段階でサ
スペンションの固さを切り換える制御しかできないた
め、例えば操縦安定性を重視したスポーツモードや、乗
り心地を重視したノーマルモードといった性格の異なる
サスペンション特性のモードを実現できなかった。
また、サスペンション制御装置の中にはハード、ノー
マル、ソフトの3段階に亘ってその固さを切り換え可能
に構成し、例えば通常の走行時、路面状態に応じてハー
ドとノーマルの間で切換制御をすることによりスポーツ
モードを実現し、ノーマルとソフトの間で切換制御をす
ることによりノーマルモードを実現するものもあるが、
こうしたサスペンション制御装置においても、一層各モ
ードの性格を明確にしたいという要請があった。
本発明のサスペンション制御装置は上記課題を解決
し、例えばハードとソフトの2段階の設定しかないよう
なサスペンション制御装置でも、スポーツモードやノー
マルモード等の性格の異なるサスペンション特性を実現
できるようにすることを目的とする。
発明の構成 かかる目的を達成する本発明の構成について以下説明
する。
[課題を解決するための手段] 本発明のサスペンション制御装置は、第1図に例示す
るように、 各車輪M1に設けられ、各輪独立して減衰力の発生パタ
ーンを変更し得るショックアブソーバM2と、 路面の変化により発生する車輪M1の振動状態を車輪毎
に検出する振動状態検出手段M3と、 該検出された振動状態が所定の条件を満たした場合、
該条件を満たした車輪M1のショックアブソーバM2の減衰
力発生パターンの設定を変更して、車輪毎に独立した減
衰力制御を行なう第1モード実現手段M4と、 前輪又は後輪を左右一組(例えばM1R,M1L)とし、該
組となっている左右車輪M1R,M1Lの少なくとも一方の振
動状態が前記条件を満たしたとき、該条件を満たした車
輪M1R(又はM1L)及び該車輪M1R(又はM1L)と組になっ
ている車輪M1L(又はM1R)の両方のショックアブソーバ
M2R,M2Lの減衰力の発生パターンの設定を同時に変更
し、左右車輪M1R,M1Lの組毎に減衰力制御を行なう第2
モード実現手段M5と、 前記第1モード実現手段M4および前記第2モード実現
手段M5を外部からの指令に応じて切り換えるモード切換
手段M6とを備えることを要旨とする。
[作用] 上記構成を有する本発明のサスペンション制御装置
は、路面の変化により発生する車輪M1の振動状態を振動
状態検出手段M3により車輪毎に検出し、検出された振動
状態に基づいて第1モード実現手段M4あるいは第2モー
ド実現手段M5がショックアブソーバM2の減衰力制御を行
なう。第1モード実現手段M4が行なう減衰力制御は、検
出された振動状態が所定の条件を満たした場合、条件を
満たした車輪M1のショックアブソーバM2の減衰力を変更
するという車輪毎に独立した制御である。従って、操縦
安定性を重視するいわゆるスポーツモードが実現され
る。一方、第2モード実現手段M5が行なう減衰力制御
は、左右一組となっている車輪M1R,M1Lの少なくとも一
方の振動状態が前記条件を満たしたとき、該条件を満た
した車輪M1R(又はM1L)及び該車輪M1R(又はM1L)と組
になっている車輪M1L(又はM1R)の両方のショックアブ
ソーバM2R,M2Lの減衰力の発生パターンの設定を同時に
変更するという左右車輪M1R,M1Lの組毎に行なう制御で
ある。従って、ばね上の動きがスムースになり、乗り心
地を重視するいわゆるノーマルモードが実現される。
モード切換手段M6は、これら第1モード実現手段M4お
よび第2モード実現手段M5を外部からの指令、即ち運転
者の選択に応じて切り換え、所望のモードを提供する。
尚、第1図では、車輪が4個ある車両を例示したが、
車輪が6個の車両等、その他の種々の数の車輪を備えた
車両に本発明を適用することは何等差し支えない。
[実施例] 以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにする
ために、以下本発明のサスペンション制御装置の好適な
実施例について説明する。
第2図はこのサスペンション制御装置1全体の構成を
表わす概略構成図であり、第3図(A)はショックアブ
ソーバを一部破断した断面図であり、第3図(B)はシ
ョックアブソーバの要部拡大断面図である。
第2図に示すように、本実施例のサスペンション制御
装置1は、減衰力を2段階に変更可能なショックアブソ
ーバ(以下,単にショックアブソーバという)2FL,2FR,
2RL,2RRと、これら各ショックアブソーバに接続されそ
の減衰力を制御する電子制御装置4とから構成されてい
る。各ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRは、夫々、
左右前後輪5FL,5FR,5RL,5RRのサスペンションロワーア
ーム6FL,6FR,6RL,6RRと車体7との間に、コイルスプリ
ング8FL,8FR,8RL,8RRと共に併設されている。
ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRは、後述するよ
うに、ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRに作用する
力を検出するピエゾ荷重センサと、ショックアブソーバ
2FL,2FR,2RL,2RRにおいてストロークに対する減衰力の
発生パターンの設定を切り換えるピエゾアクチュエータ
とを各々一組ずつ内蔵している。
次に、上記各ショックアブソーバ2FL,2FR,2RL,2RRの
構造を説明するが、上記各ショックアブソーバ2FL,2FR,
2RL,2RRの構造は総て同一であるため、ここでは左前輪5
FL側のショックアブソーバ2FLを例にとり説明する。ま
た、以下の説明では、各車輪に設けられた各部材の符号
には、必要に応じて、左前輪5FL,右前輪5FR,左後輪5RL,
右後輪5RRに対応する添え字FL,FR,RL,RRを付けるものと
し、各輪に関して差異がない場合には、添え字を省略す
るものとする。
ショックアブソーバ2は、第3図(A)に示すよう
に、シリンダ11側の下端にて車軸側部材11aを介してサ
スペンションロワーアーム6に固定され、一方、シリン
ダ11に貫挿されたロッド13の上端にて、ベアリング7a及
び防振ゴム7bを介して車体7にコイルスプリング8と共
に固定されている。
シリンダ11内部には、ロッド13の下端に連接された内
部シリンダ15,連結部材16および筒状部材17と、シリン
ダ11内周面にそって摺動自在なメインピストン18とが、
配設されている。ショックアブソーバ2のロッド13に連
結された内部シリンダ15には、ピエゾ荷重センサ25とピ
エゾアクチュエータ27とが収納されている。
メインピストン18は、筒状部材17に外嵌されており、
シリンダ11に嵌合する外周にはシール材19が介装されて
いる。従って、シリンダ11内は、このメインピストン18
により第1の液室21と第2の液室23とに区画されてい
る。筒状部材17の先端にはバックアップ部材28が螺合さ
れており、筒状部材17との間に、メインピストン18と共
に、スペーサ29とリーフバルブ30を筒状部材17側に、リ
ーフバルブ31とカラー32をバックアップ部材28側に、そ
れぞれ押圧・固定している。また、リーフバルブ31とと
バックアップ部材28との間には、メインバルブ34とばね
35が介装されており、リーフバルブ31をメインピストン
18方向に付勢している。
これらリーフバルブ30,31は、メインピストン18が停
止している状態では、メインピストン18に設けられた伸
び側及び縮み側通路18a,18bを、各々片側で閉塞してお
り、メインピストン18が矢印AもしくはB方向に移動す
るのに伴って片側に開く。従って、両液室21,23に充填
された作動油は、メインピストン18の移動に伴って、両
通路18a,18bのいずれかを通って、両液室21,23間を移動
する。このように両液室21,23間の作動油の移動が両通
路18a,18bに限られている状態では、ロッド13の動きに
対して発生する減衰力は大きく、サスペンションの特性
はハードとなる。
内部シリンダ15の内部に収納されピエゾ荷重センサ25
及びピエゾアクチュエータ27は、第3図(A),(B)
に示すように、圧電セラミックスの薄板を電極を挟んで
積層した電歪素子積層体である。ピエゾ荷重センサ25の
各電歪素子は、ショックアブソーバ2に発生する力、即
ち減衰力によって分極する。従って、ピエゾ荷重センサ
25の出力を所定インピーダンスの回路により電圧信号と
して取り出せば、減衰力の変化率を検出することができ
る。
ピエゾアクチュエータ27は、高電圧が印加されると応
答性良く伸縮する電歪素子を積層してその伸縮量を大き
くしたものであり、直接にはピストン31を駆動する。ピ
ストン31が第3図(B)矢印B方向に移動されると、油
密室33内の作動油を介してプランジャ37及びH字状の断
面を有するスプール41も同方向に移動される。こうして
第3図(B)に示す位置(原点位置)にあるスプール41
が図中B方向に移動すると、第1の液室21につながる副
流路16cと第2の液室23につながるブッシュ39の副流路3
9bとが連通されることになる。この副流路39bは、更に
プレートバルブ45に設けられた油穴45aを介して筒状部
材17内の流路17aとが連通されているので、スプール41
が矢印B方向に移動すると、結果的に、第1の液室21と
第2の液室23との間を流動する作動油流量が増加する。
つまり、ショックアブソーバ2は、ピエゾアクチュエー
タ27が高電圧印加により伸張すると、その減衰力特性を
減衰力大(ハード)の状態から減衰力小(ソフト)側に
切り換え、電荷が放電されて収縮すると減衰力特性を減
衰力大(ハード)の状態に復帰させる。
尚、メインピストン18の下面に設けられたリーフバル
ブ31の移動量は、バネ35により、リーフバルブ30と較べ
て規定されている。また、プレートバルブ45には、油穴
45aより大径の油穴45bが、油穴45aより外側に設けられ
ており、プレートバルブ45がばね46の付勢力に抗してブ
ッシュ39方向に移動すると、作動油は、油穴45bを通っ
て移動可能となる。従って、スプール41の位置の如何を
問わず、メインピストン18が矢印B方向に移動する場合
の作動油流量は、メインピストン18が矢印A方向に移動
する場合より大きくなる。即ち、メインピストン18の移
動方向によって減衰力を変え、ショックアブソーバとし
ての特性を一層良好なものとしているのである。また、
油密室33と第1の液室21との間には作動油補給路38がチ
ェック弁38aと共に設けられており、油密室33内の作動
油流量を一定に保っている。
次に、上記したショックアブソーバ2の減衰力の発生
パターンを切換制御する電子制御装置4について、第4
図を用いて説明する。
この電子制御装置4には、車両の走行状態を検出する
ためのセンサとして、各ショックアブソーバ2のピエゾ
荷重センサ25の他、図示しないステアリングの操舵角を
検出するステアリングセンサ50と、車両の走行速度を検
出する車速センサ51と、図示しない変速機のシフト位置
を検出するシフト位置センサ52と、スポーツモードかノ
ーマルモードかによって接点の状態を変えるモード設定
スイッチ53等が接続されている。
これら検出信号等に基づき上述したピエゾアクチュエ
ータ27に制御信号を出力する電子制御装置4は、周知の
CPU61,ROM62,RAM64を中心に算術論理演算回路として構
成され、これらとコモンバス65を介して相互に接続され
た入力部67及び出力部68により外部との入出力を行な
う。
電子制御装置4には、このほかピエゾ荷重センサ25の
接続された減衰力変化率検出回路70、ステアリングセン
サ50および車速センサ51の接続された波形整形回路73、
ピエゾアクチュエータ27に接続される高電圧印加回路7
5、イグニッションスイッチ76を介してバッテリ77から
電源の供給を受けピエゾアクチュエータ駆動用の駆動電
圧を出力するいわゆるスイッチングレギュレータ型の高
電圧電源回路79、バッテリ77の電圧を変圧して電子制御
装置4の作動電圧(5v)を発生する定電圧電源回路80等
が備えられている。シフト位置センサ52,モード設定ス
イッチ53,減衰力変化率検出回路70,波形整形回路73は入
力部67に、一方、高電圧印加回路75,高電圧電源回路79
は出力部68にそれぞれ接続されている。
減衰力変化率検出回路70は各ピエゾ荷重センサ25FL,F
R,RL,RRに対応して設けられた4個の検出回路からな
り、おのおのの検出回路は、路面からショックアブソー
バ2が受ける作用力に応じてピエゾ荷重センサ25を含む
回路から出力される電圧信号Vを、ショックアブソーバ
2の減衰力変化率としてCPU61に出力するよう構成され
ている。また、波形整形回路73は、ステアリングセンサ
50や車速センサ51からの検出信号を、CPU61における処
理に適した信号に波形整形して出力する回路である。従
って、CPU61は、この減衰力変化率検出回路70と波形整
形回路73とからの出力信号、更には自己の処理結果等に
基づき、路面状態や車両の走行状態等を判定することが
できる。CPU61はかかる判定に基づいて各車輪に対応し
て設けられた高電圧印加回路75に制御信号を出力する。
高電圧印加回路75は、高電圧電源回路79から出力され
る+500ボルトもしくは−100ボルトの電圧を、CPU61か
らの制御信号に応じて、ピエゾアクチュエータ27に印加
する回路である。従って、この減衰力切換信号によっ
て、ピエゾアクチュエータ27が伸張(+500ボルト印加
時)もしくは収縮(−100ボルト印加時)し、作動油流
量が切り換えられて、ショックアブソーバ2の減衰力特
性がソフトもしくはハードに切り換えられる。即ち、各
ショックアブソーバ2の減衰力特性は、高電圧を印加し
てピエゾアクチュエータ27を伸張させたときには、既述
したスプール41(第3図(B))により、ショックアブ
ソーバ2内の第1の液室21と第2の液室23と間を流動す
る作動油の流量が増加するため減衰力の小さな状態とな
り、負の電圧により電荷を放電されてピエゾアクチュエ
ータ27を収縮させたときには、作動油流量が減少するた
め減衰力の大きな状態となる。
次に、上記した構成を備える本実施例のサスペンショ
ン制御装置1が行なう減衰力制御について、第5図,第
6図,第7図のフローチャートに基づき説明する。各図
に示した各ルーチンは、割込処理により各々繰り返し実
行される。各ルーチンの処理内容は次の通りである。
モード設定ルーチ(第5図) モード設定スイッチ53の接点の状態に基づいて運転者
の希望する制御モードがスポーツモードかノーマルモー
ドかを判別し、判別した設定モードに応じて減衰力パタ
ーン切換制御ルーチンの処理内容を変更する。
減衰力パターン切換制御ルーチン(第6図,第7
図) 各車輪5FL,5FR,5RL,5RRについて独立して実行される
もので、路面状態に応じて変化する減衰力の変化率Vに
基づいてピエゾアクチュエータ27を切り換え、各車輪5F
L,5FR,5RL,5RR毎に、減衰力を大きな状態(ハード)も
しくは小さな状態(ソフト)に切り換える。このルーチ
ンは、モード設定ルーチンで判別された設定モードに
応じてその処理内容が変更され、(1)減衰力の切換制
御を各車輪5FL,5FR,5RL,5RR毎に独立して行なうモード
と、(2)減衰力の切換制御を前輪側の左右車輪5FL,5F
Rの組ならびに後輪側の左右車輪5RL,5RRの組毎に行なう
左右車輪同時のモードとを実現する。
各ルーチンの詳細について、モード設定ルーチン(第
5図)から順に説明する。
本ルーチンを開始すると、モード設定スイッチ53の状
態を読み込み(ステップ100)、モードがスポーツモー
ドかノーマルモードかを判断する処理(ステップ110)
を行なう。モーダがスポーツモードであれば(ステップ
110)、減衰力パターン切換制御ルーチンの処理内容を
4輪独立の減衰力切換制御処理にすべく、モードフラグ
FMを値1にセットする処理(ステップ120)を行なう。
一方、モードがノーマルモードであれば(ステップ11
0)、減衰力パターン切換制御ルーチンの処理内容を左
右輪同時の減衰力切換制御処理にすべく、モードフラグ
FMを値0にリセットする処理(ステップ130)を行な
う。以上の処理を経て本ルーチンを終了する。
以下に各車輪毎に実行される減衰力パターン切換制御
ルーチン(第6図,第7図)を説明する。
第6図のフローチャートに示すルーチンは、前後の2
個の右車輪5FR,5RRのショックアブソーバ2FR,2RRについ
て各々実行されるもので、第7図のフローチャートに示
すルーチンは、前後の2個の左車輪5FL,5RLのショック
アブソーバ2FL,2RLについて各々実行されるものであ
る。各図に示すルーチンはともに、前後車輪の処理に変
わりはないので、前後車輪については特に区別せずに説
明する。
まず、右車輪5FR,5RR(以下右車輪5Rという)のショ
ックアブソーバ2FR,2RR(以下ショックアブソーバ2Rと
いう)について各々実行される減衰力パターン切換制御
ルーチン(第6図)を説明する。
このルーチンを開始すると、最初にモードフラグFMが
値1にセットされているか否かの判断処理(ステップ20
0)を行なう。モードフラグFMが値1であれば(ステッ
プ200)、設定モードはスポーツモードなので、次に、
入力部67を介して減衰力変化率検出回路70から、右車輪
5Rのショックアブソーバ2Rの減衰力の変化率VRを読み
込む処理を行ない(ステップ210)、減衰力変化率VRが
切換基準値Vrefより大きいか否かの判断を行なう(ステ
ップ220)。
一方、モードフラグFMが値1でなければ(ステップ20
0)、設定モードはノーマルモードなので、減衰力変化
率検出回路70から、左右車輪5R,5Lのショックアブソー
バ2R,2Lの減衰力変化率VR,VLを読み込む処理を行ない
(ステップ230)、左右の減衰力変化率VR,VLの一方で
も切換基準値Vrefより大きいか否かの判断を行なう(ス
テップ240)。尚、ステップ230で読み込まれる左車輪5L
のショックアブソーバ2Lの減衰力変化率VLは、本ルー
チンが対象とする前輪あるいは後輪の右車輪5Rについて
前後車輪関係が同じ組の左後輪5Lにかかる減衰力変化率
VLである。
以上のように設定モードに応じて判断処理を行ない
(ステップ220或はステップ240)、その結果、スポーツ
モードでは減衰力変化率VRが切換基準値Vrefより小さ
い場合(ステップ220)、或はノーマルモードでは左右
の減衰力変化率VR,VLの両方が切換基準値Vrefより小さ
い場合(ステップ240)は、次に、サスペンションの特
性がソフトに設定されていることを示すフラグFHSRが値
1か否かの判断を行なう(ステップ250)。フラグFHSR
が値1でない場合(ステップ250)、即ちソフトに設定
されていない場合には、右車輪5Rのサスペンションをハ
ードに制御して(ステップ260)、本ルーチンを一旦終
了する。尚、ステップ260の処理は、ショックアブソー
バ2Rの減衰力の設定がソフトからハードに切り換えられ
た直後には、出力部68からの制御信号により高電圧印加
回路75から−100ボルトをピエゾアクチュエータ27に印
加してこれを縮小し、既にピエゾアクチュエータ27が縮
んだ状態であればそのままに保持することによりなされ
る。
これに対して、スポーツモードで減衰力変化率VRが
切換基準値Vrefより大きい場合(ステップ220)、或は
ノーマルモードで左右の減衰力変化率VR,VLの少なくと
も一方が切換基準値Vrefより大きい場合(ステップ24
0)は、タイマをスタートする処理、即ちタイマ変数T
を値0にリセットする処理を行ない(ステップ270)、
更にサスペンションの特性をソフトに設定するとして、
フラグFHSRに値1をセットする処理を行なう(ステップ
280)。その後、高電圧印加回路75から+500ボルトの高
電圧をピエゾアクチュエータ27に印加して、ショックア
ブソーバ2の減衰力を小さな状態(ソフト)に切換・制
御し(ステップ290)、本ルーチンを終了する。
こうしてショックアブソーバ2Rの減衰力を小さい状態
に切り換えた後、スポーツモードでは減衰力変化率VR
が切換基準値Vrefを上回っている場合(ステップ21
0)、或はノーマルモードでは左右の減衰力変化率VR,V
Lの一方でも切換基準値Vrefを上回っている場合(ステ
ップ240)は、上述したタイマのスタートと減衰力を小
さい状態にする制御とを繰り返すが、スポーツモードで
減衰力変化率VRが切換基準値Vref以下となったとき
(ステップ210)、或はノーマルモードで左右の減衰力
変化率VR,VLの両方が切換基準値Vref以下となったとき
(ステップ240)は、フラグFHSRの値をチェックした後
(ステップ250)、タイマ変数Tが予め設定された参照
値TSを越えているか否かの判断を行なう(ステップ30
0)。参照値TSは、ショックアブソーバ2Rが一旦減衰力
の小さな状態に切り換えられた後、一定時間その状態を
継続するために設定された値である。従って、タイマ変
数Tが参照値TS以下であれば(ステップ300)、この変
数Tを値1だけインクリメントした上で(ステップ31
0)、そのままショックアブソーバ2Rの減衰力を小さな
状態に制御する処理を継続する(ステップ290)。従っ
て、サスペンションはソフトに維持される。
この後、スポーツモードでは減衰力変化率VRが切換
基準値Vref以下となってから所定時間(TSに相当する時
間)経過するまで、ノーマルモードでは左右の減衰力変
化率VR,VLの両方が切換基準値Vref以下となってから所
定時間(TSに相当する時間)経過するまで、減衰力変化
率VR或は左右の減衰力変化率VR,VLが切換基準値Vref
を上回ることがなければ、ステップ300での判断は「YE
S」となるから、次にフラグFHSRを値0にリセットして
(ステップ320)、ショックアブソーバ2の減衰力を大
きな状態に制御する(ステップ260)。
従って、スポーツモードでは、本ルーチンが繰り返し
実行されると、第6図中、主に一点鎖線で囲った部分R
の右車輪5Rにかかる減衰力変化率VRに基づいた処理を
繰り返して次の制御を実現する。即ち、右車輪5Rにかか
る減衰力変化率VRが切換基準値Vrefを上回るとショッ
クアブソーバ2Rの減衰力を直ちに小さい状態(ソフト)
に設定し、減衰力変化率VRが切換基準値Vref以下とな
ってから、少なくとも参照値TSに対応した時間はそのま
まの状態(ソフト)に保持する。こうして減衰力変化率
VRが切換基準値Vref以下となったまま所定時間が経過
すると、再び減衰力の大きな状態(ハード)に設定す
る。
一方、ノーマルモードでは、本ルーチンが繰り返し実
行されると、左右の減衰力変化率VR,VLに基づいた処理
を繰り返して次の制御を行なう。即ち、左右の減衰力変
化率VR,VLの一方が切換基準値Vrefを上回るとショック
アブソーバ2Rの減衰力を直ちに小さい状態(ソフト)に
設定し、左右の減衰力変化率VR,VLの両方が切換基準値
Vref以下となってから少なくとも参照値TSに対応した時
間はそのままの状態(ソフト)に保持する。その後、左
右の減衰力変化率VR,VLの両方が切換基準値Vref以下と
なったまま所定時間が経過すると、再び減衰力の大きな
状態(ハード)に設定する。
次に、左車輪5FL,5RL(以下左車輪5Lという)のショ
ックアブソーバ2FL,2RL(以下ショックアブソーバ2Lと
いう)について各々実行される減衰力パターン切換制御
ルーチン(第7図)を説明する。
本ルーチンを開始すると、まず、モードフラグFMが値
1か否かを判断し(ステップ400)、モードフラグFMが
値1であって、スポーツモードならば、左車輪5Lの減衰
力の変化率VLに基づいた減衰力切換制御装置(ステッ
プ410)を行なう。この処理(ステップ410)は、第6図
のフローチャートで一点鎖線で囲った部分Rと同等の処
理、即ち左車輪5Lの減衰力の変化率VLを切換基準値Vre
fと比較しながら、左車輪5Lのショックアブソーバ2Lの
減衰力の切換制御を行なう処理である。その詳細は第6
図のフローチャートで一点鎖線で囲った部分Rと同じで
あり、説明を省略する。
モードフラグFMが値1でなく(ステップ400)、ノー
マルモードであれば、次に、右車輪5Rの減衰力の切換状
態を示すフラグFHSRが値1か否かを判断する処理を行な
う(ステップ420)。右車輪のフラグFHSRが値1であれ
ば、右車輪5Rの減衰力の切換状態に揃えて、左車輪5Lの
ショックアブソーバ2Lの減衰力を小さな状態(ソフト)
に切換・制御する処理(ステップ430)を実行し、本ル
ーチンを終了する。
一方、右車輪5RのフラグFHSRが値1でなければ、右車
輪5Rの減衰力の切換状態に揃えて、ショックアブソーバ
2Rの減衰力を大きな状態(ハード)に切換・制御する処
理(ステップ440)を実行し、本ルーチンを終了する。
従って、スポーツモードでは、左車輪5Lの減衰力の変
化率VLに基づいて左車輪5Lのショックアブソーバ2Lの
減衰力の切換制御を行なう処理を実行する。ノーマルモ
ードでは、右車輪5Rの減衰力の切換状態に揃えて左車輪
5Lのショックアブソーバ2Lの減衰力を切り換える制御を
行なう。
以上説明した右車輪5Rについての減衰力パターン切換
制御ルーチン(第6図)と、左車輪5Lについての減衰力
パターン切換制御ルーチン(第7図)がそれぞれ繰り返
し実行される結果、スポーツモードでは、各車輪5FL,5F
R,5RL,5RR毎に独立して減衰力変化率Vと切換基準値Vre
fとの大小関係に基づく減衰力の切換制御が行なわれ、
操縦安定性を重視した軽快なスポーツモードが実現され
る。
また、ノーマルモードでは、前輪側の左右ショックア
ブソーバ2FL,2FRの組、あるいは後輪側の左右ショック
アブソーバ2RL,2RRの組の各々について、減衰力変化率
VR,VLと切換基準値Vrefとの大小関係に基づき右車輪5R
の減衰力の切換制御を行ない、こうして制御される右車
輪5Rの減衰力の切換制御に揃えて、ほぼ同時に左車輪5L
の減衰力の切換制御を行なうから、前輪側,後輪側の左
右車輪の組それぞれについて左右車輪同時の減衰力の切
換制御が行なわれる。こうした左右輪同時の減衰力の切
換制御が実行される結果、ばね上の動きがスムースで上
品な乗り心地のノーマルモードが実現される。
以上説明したように、サスペンション制御装置1によ
れば、ハードとソフトの2段階にしか切換できないサス
ペンション構造であっても、4輪独立して制御するか、
左右車輪の組毎に制御するか選択できる構成とすること
により、スポーツモードとノーマルモードという2種の
性格の異なる特性を実現できるという優れた効果を奏す
る。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し
得ることは勿論である。例えば本発明を適用するショッ
クアブソーバはその発生する減衰力の大きさの変更が3
段階以上に亘って切り換えできるものや、連続的に減衰
力の大きさを変更できるものでもよい。車輪の振動状態
は、実施例のようにショックアブソーバ2において検出
される減衰力の変化率により検出する以外に、車輪と車
体との相対車高の変化等、その他の変数に基づいて検出
してもよい。
発明の効果 以上詳述したように、本発明のサスペンション制御装
置によれば、ショックアブソーバの構造のいかんを問わ
ず、車輪毎に独立して制御するか、左右車輪の組毎に制
御するかを選択するだけで、2種の性格の相違するモー
ドを実現できるという優れた効果を奏する。従って、シ
ョックアブソーバの構成が簡単で、例えば固さを2段階
にしか切り換えできないサスペンション構造であって
も、性格の異なる複数のモードが実現可能になる。ま
た、サスペンションの固さを3段階以上に亘って切り換
えできるサスペンション構造等においては、設定したモ
ードの性格を一層明確にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成を例示するブロック図、第
2図は本発明の一実施例としてのショックアブソーバ制
御装置の全体構成を表わす概略構成図、第3図(A)は
ショックアブソーバ2の構造を示す部分断面図、第3図
(B)はショックアブソーバ2の要部拡大断面図、第4
図は本実施例の電子制御装置4の構成を表わすブロック
図、第5図はモード設定ルーチンを示すフローチャー
ト、第6図は右車輪にかかる減衰力パターン切換制御ル
ーチンを示すフローチャート、第7図は左車輪にかかる
減衰力パターン切換制御ルーチンを示すフローチャート
である。 2……減衰力可変型ショックアブソーバ 4……電子制御装置 25……荷重センサ 27……ピエゾアクチュエータ 51……車速センサ 53……モード設定スイッチ 75……高電圧印加回路 79……高電圧電源回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各車輪に設けられ、各輪独立して減衰力の
    発生パターンを変更し得るショックアブソーバと、 路面の変化により発生する車輪の振動状態を車輪毎に検
    出する振動状態検出手段と、 該検出された振動状態が所定の条件を満たした場合、該
    条件を満たした車輪のショックアブソーバの減衰力発生
    パターンの設定を変更して、車輪毎に独立した減衰力制
    御を行なう第1モード実現手段と、 前輪又は後輪を左右一組とし、該組となっている左右車
    輪の少なくとも一方の振動状態が前記条件を満たしたと
    き、該条件を満たした車輪及び該車輪と組になっている
    車輪の両方のショックアブソーバの減衰力の発生パター
    ンの設定を同時に変更し、左右車輪の組毎に減衰力制御
    を行なう第2モード実現手段と、 前記第1モード実現手段および前記第2モード実現手段
    を外部からの指令に応じて切り換えるモード切換手段と を備えるサスペンション制御装置。
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