JP2569841B2 - サスペンション制御装置 - Google Patents

サスペンション制御装置

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JP2569841B2 JP1295355A JP29535589A JP2569841B2 JP 2569841 B2 JP2569841 B2 JP 2569841B2 JP 1295355 A JP1295355 A JP 1295355A JP 29535589 A JP29535589 A JP 29535589A JP 2569841 B2 JP2569841 B2 JP 2569841B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の目的 [産業上の利用分野] 本発明はサスペンション制御装置に関し、詳しくは減
衰力の設定を可変し得るショックアブソーバを備え、車
両の走行状態に基づいてショックアブソーバの減衰力の
発生パターンを制御し、乗り心地と操縦安定性とを改善
しようとするサスペンション制御装置に関する。
[従来の技術] この種のサスペンション制御装置として、ショックア
ブソーバの減衰力の変化率を検出し、この変化率が所定
以上となったとき、即ち路面の凹凸やブレーキ操作等に
基づいて減衰力が急変するとき、ショックアブソーバの
減衰力の発生パターンを小さな値の側に速やかに切り換
えて、ショックアブソーバの制御の応答性を高めたもの
が知られている。更に、減衰力の設定の切り換えを判断
する減衰力変化率の調整用基準値の大きさを、車速等の
車両の運転状態に基づいて変更し、乗り心地を一層改善
しようとするサスペンション制御装置も提案されている
(例えば、特開昭64−67407号公報)。
[発明が解決しようとする課題] かかるサスペンション制御装置は、路面状態の変化に
対して減衰力のパターンを素早く追従させて、乗り心地
を良好に保つ優れたものであるが、車両の状況によって
は、操縦安定性が必ずしも充分でないという問題があっ
た。例えば、車両が急減速、即ち制動状態にあるとき
に、減衰力変化率が基準値を越えたとしてサスペンショ
ンをハードからソフトに変更すると、車両のダイブ量が
大きくなる場合がある。特に、前輪側でこの傾向が顕著
となる。
また、車両が急加速状態やピッチング状態にあるとき
に、減衰力変化率が基準値を越えたとしてサスペンショ
ンをハードからソフトに変更した場合も、スクォートや
ピッチングの発生・拡大が起きる。
本発明のサスペンション制御装置は上記課題を解決
し、主に急加減速時における車両の姿勢安定性を保持
し、操縦安定性や走行性能を向上することを目的とす
る。
発明の構成 かかる目的を達成する本発明の構成について以下説明
する。
[課題を解決するための手段] 本発明の第1のサスペンション制御装置は、第1図
(A)に例示するように、車両のサスペンションSに設
けられ、減衰力の発生パターンを設定し得るショックア
ブソーバM1と、 該ショックアブソーバM1の減衰力の変化率を検出する
減衰力変化率検出手段M2と、 該検出された減衰力の変化率が減衰力調整用の基準値
より大きくなったとき、前記ショックアブソーバM1の減
衰力を小さい側に変更することが可能な減衰力制御手段
M3と を備えたサスペンション制御装置において、 前記ショックアブソーバSの減衰力が大きい状態にあ
るか否かを判定する減衰力大きさ判定手段M4と、 少なくとも前記車両の左右同一側の前後輪の振動が逆
相か否かの判定または向かい合う左右輪の振動が同相か
否かの判定を行なう位相判定手段M5と、 前記減衰力大きさ判定手段M4によって、ショックアブ
ソーバの減衰力が大きい状態にあると判定され、かつ前
記位相判定手段M5によって、左右同一側の前後輪の振動
が逆相及び/または向かい合う左右輪の振動が同相と判
定されたとき、前記減衰力制御手段M3による減衰力の小
さい側への変更を制限または禁止する変更制限・禁止手
段M6と を備えたことを特徴とする。
本発明の第2のサスペンション制御装置は、第1図
(B)に例示するように、車両のサスペンションSに設
けられ、減衰力の発生パターンを設定し得るショックア
ブソーバM1と、 該ショックアブソーバM1の減衰力の変化率を検出する
減衰力変化率検出手段M2と、 該検出された減衰力の変化率が減衰力調整用の基準値
より大きくなったとき、前記ショックアブソーバの減衰
力を小さい側に変更することが可能な減衰力制御手段M3
と を備えたサスペンション制御装置において、 前記車両が急加減速状態にあることを検出する急加減
速検出手段M11と、 該急加減速検出手段M11により該車両が急加速または
急減速状態にあるとされたとき、少なくとも急加減速に
より荷重配分の大きくなる側に関し、前記減衰力制御手
段による減衰力の小さい側への変更を制限または禁止す
る変更制限・禁止手段M12と、 前記車両が急加速または急減速状態でなくなったこと
を検出する急加減速終了検出手段M13と、 該急加減速終了検出手段M13により該車両が急加速ま
たは急減速状態でなくなったとされた後、さらに所定時
間の経過を待って、前記変更制限・禁止手段M12による
変更の制限または禁止を解除する変更制限・禁止の解除
手段M14とを備えたことを特徴とする。
[作用] 上記構成を有する本発明の第1のサスペンション制御
装置は、減衰力変化率検出手段M2により、ショックアブ
ソーバSの減衰力の変化率を検出して、その値が減衰力
調整用の基準値より大きくなったとき、原則としてショ
ックアブソーバSの減衰力を小さい側に変更し、乗り心
地の向上を図る。
しかしながら、減衰力変化率が基準値よりも大きくな
った場合であっても、サスペンションの減衰力が大きい
状態にあると判定され、かつ、左右同一側の前後輪の振
動が逆相及び/または向かい合う左右輪の振動が同相と
判定されたときは、減衰力の小さい側への変更を制限ま
たは禁止する。
ここで、位相判定手段M5は、車両がピッチング方向に
運動していることを判定するものである。また、減衰力
大きさ判定手段M4は、車両に対して加わる上下方向の加
速度が大きい状態にあることを判定するものである。そ
して、両手段M4,M5の判定を用いることで、車両の前部
又は後部が大きく沈みこもうとする状態にあるか否か、
即ち、ダイブやスクォートを生じ得る状態にあるか否か
を判定することができるのである。
従って、本発明の第1のサスペンション装置によれ
ば、主として急加速時や急減速時における車両のダイ
ブ,スクォート発生・拡大を防止することができる。
上記の様な作用を発揮する本発明の第1のサスペンシ
ョン装置において、位相判定手段M5は、車両の左右同一
側の前後輪の振動が逆相か否かの判定のみ行なうもの
(以下、前後輪位相判定手段と称す)、向かい合う左右
輪の振動が同相か否かの判定のみ行なうもの(以下、左
右輪位相判定手段と称す)、あるいはそれら両方を判定
するもの(以下、全輪位相判定手段と称す)が挙げられ
る。
変更制限・禁止手段M6を動作させるための1必須条件
としては、次のからに向かうに連れて好ましい。そ
の順に従うほど、減衰力の小さい側への変更を制限また
は禁止すべき場合であるか否かが、正確に判定できるか
らである。
左右輪位相判定手段を用い、向かい合う左右輪の振動
が同相と判断されたとき 前後輪位相判定手段を用い、左右同一側の前後輪の振
動が逆相と判断されたとき 全輪位相判定手段を用い、左右同一側の前後輪の振動
が逆相または向かい合う左右輪の振動が同相と判断され
たとき 全輪位相判定手段を用い、左右同一側の前後輪の振動
が逆相で且つ向かい合う左右輪の振動が同相と判断され
たとき 尚、位相判定手段M5における判定に用いる入力信号
は、目地・突起等の路面入力を除外するため推定減衰力
に数Hzのローパスフィルタをかけたものを用いることが
できる。
本発明の第2のサスペンション制御装置でも、通常は
第1のサスペンション装置の原則的な制御を実施する。
しかも、急加減速検出手段M11により車両が急加速また
は急減速と判断されたとき、急加減速により少なくとも
荷重配分が大きくなる側のショックアブソーバSに関
し、変更制限・禁止手段M12によって、減衰力制御手段M
3による減衰力の小さい側への変更を制限または禁止す
る。そして、この制限または禁止は、車両が急加速また
は急減速状態でなくなった後、さらに所定時間が経過す
るまで続行される。ここで、所定時間待つのは、急加速
や急減速状態でなくなった直後は車両に対するダイブ・
スクォート方向の荷重が慣性力として残っているので、
これがなくなるかある程度解消してダイブ,スクォート
の可能性がなくなるか小さくなるのを待つためである。
この第2のサスペンション制御装置によれば、急加速時
や急減速時の車両のダイブ,スクォートの防止が一層確
実なものとなる。
[実施例] 以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにする
ために、以下本発明の第1,2のサスペンション制御装置
の好適な実施例について説明する。
第2図はこの第1のサスペンション制御装置1全体の
構成を表わす概略構成図であり、第3図(A)はショッ
クアブソーバを一部破断した断面図であり、第3図
(B)はショックアブソーバの要部拡大断面図である。
第2図に示すように、本実施例のサスペンション制御
装置1は、減衰力を2段階に変更可能なショックアブソ
ーバ2FL,2FR,2RL,2RR(以下、総てを呼称するときは2F
L,FR,RL,RRと略記する。他の部材も同様に記載する)
と、これら各ショックアブソーバに接続されその減衰力
を制限する電子制御装置4とから構成されている。各シ
ョックアブソーバ2FL,FR,RL,RRは、夫々、左右前後輪5F
L,FR,RL,RRのサスペンションロワーアーム6FL,FR,RL,RR
と車体7との間に、コイルスプリング8FL,FR,RL,RRと共
に併設されている。
ショックアブソーバ2FL,FR,RL,RRは、後述するよう
に、ショックアブソーバ2FL,FR,RL,RRに作用する力を検
出するピエゾ荷重センサと、ショックアブソーバ2FL,F
R,RL,RRの減衰力の発生パターンの設定を切り換えるピ
エゾアクチュエータとを各々一組ずつ内臓している。
次に、上記各ショックアブソーバ2FL,FR,RL,RRの構造
を説明するが、上記各ショックアブソーバ2FL,FR,RL,RR
の構造は総て同一であるため、ここでは左前輪5FL側の
ショックアブソーバ2FLを例にとり説明する。また、以
下の説明では、各車輪に設けられた各部材の符号には、
必要に応じて、左前輪5FL,右前輪5FR,左後輪5RL,右後輪
5RRに対応する添え字FL,FR,RL,RRを付けるものとし、各
輪に関して差異がない場合には、添え字を省略するもの
とする。
ショックアブソーバ2は、第3図(A)に示すよう
に、シリンダ11側の下端にて車軸側部材11aを介してサ
スペンションロワーアーム6に固定され、一方、シリン
ダ11に貫挿されたロッド13の上端にて、ベアリング7a及
び防振ゴム7bを介して車体7にコイルスプリング8と共
に固定されている。
シリンダ11内部には、ロッド13の下端に連接された内
部シリン15,連結部材16および筒状部材17と、シリンダ1
1内周面にそって摺動自在なメインピストン18とが、配
設されている。ショックアブソーバ2のロッド13に連結
された内部シリンダ15には、ピエゾ荷重センサ25とピエ
ゾアクチュエータ27とが収納されている。
メインピストン18は、筒状部材17に外嵌されており、
シリンダ11に嵌合する外周にはシール材19が介装されて
いる。従って、シリンダ11内は、このメインピストン18
により第1の液室21と第2の液室23とに区画されてい
る。筒状部材17の先端にはバックアップ部材28が螺合さ
れており、筒状部材17との間に、メインピストン18と共
に、スペーサ29とリーフバルブ30を筒状部材17側に、リ
ーフバルブ31とカラー32をバックアップ部材28側に、そ
れぞれ押圧・固定してい。また、リーフバルブ31とバッ
クアップ部材28との間には、メインバルブ34とばね35が
介装されており、リーフバルブ31をメインピストン18方
向に付勢している。
これらリーフバルブ30,31は、メインピストン18が停
止している状態では、メインピストン18に設けられた伸
び側及び縮み側通路18a.18bを、各々片側で閉塞してお
り、メインピストン18が矢印AもしくはB方向に移動す
るのに伴って片側に開く。従って、両液室21,23に充填
された作動油は、メインピストン18の移動に伴って、両
通路18a,18bのいずれかを通って、両液室21,23間を移動
する。このように両液室21,23間の作動油の移動が両通
路18a,18bに限られている状態では、ロッド13の動きに
対して発生する減衰力は大きく、サスペンションの特性
はハードとなる。
内部シリンダ15の内部に収納されピエゾ荷重センサ25
及びピエゾアクチュエータ27は、第3図(A),(B)
に示すように、圧電セラミックスの薄板を電極を挟んで
積層した電歪素子積層体である。ピエゾ荷重センサ25の
各電歪素子は、ショックアブソーバ2に作用する力、即
ち減衰力によって分極する。従って、ピエゾ荷重センサ
25の出力を所定インピーダンスの回路により電圧信号と
して取り出せば、減衰力の変化率を検出することができ
る。
ピエゾアクチュエータ27は、高電圧が印加されると応
答性良く伸縮する電歪素子を積層してその伸縮量を大き
くしたものであり、直接にはピストン36を駆動する。ピ
ストン36が第3図(B)矢印B方向に移動されると、油
密室33内の作動油を介してプランジャ37及びH字状の断
面を有するスプール41も同方向に移動される。こうして
第3図(B)に示す位置(原点位置)にあるスプール41
が図中B方向に移動すると、第1の液室21につながる副
流路16cと第2の液室23につながるブッシュ39の副流路3
9bとが連通されることになる。この副流路39bは、更に
プレートバルブ45に設けられた油穴45aを介して筒状部
材17内の流路17aとが連通されているので、スプール41
が矢印B方向に移動すると、結果的に、第1の液室21と
第2の液室23との間を流動する作動油流量が増加する。
つまり、ショックアブソーバ2は、ピエゾアクチュエー
タ27が高電圧印加により伸張すると、その減衰力特性を
減衰力大(ハード)の状態から減衰力小(ソフト)側に
切り換え、電荷が放電されて収縮すると減衰力特性を減
衰力大(ハード)の状態に復帰させる。
尚、メインピストン18の下面に設けられたリーフバル
ブ31の移動量は、バネ35により、リーフバルブ30と較べ
て規制されている。また、プレートバルブ45には、油穴
45aより大径の油穴45bが、油穴45aより外側に設けられ
ており、プレートバルブ45がばね46の付勢力に抗してブ
ッシュ39方向に移動すると、作動油は、油穴45bを通っ
て移動可能となる。従って、スプール41の位置の如何を
問わず、メインピストン18が矢印B方向に移動する場合
の作動油流量は、メインピストン8が矢印A方向に移動
する場合より大きくなる。即ち、メインピストン18の移
動方向によって減衰力を変え、ショックアブソーバとし
ての特性を一層良好なものとしているのである。また、
油密室33と第1の液室21との間には作動油補給路38がチ
ェック弁38aと共に設けられており、油密室33内の作動
油流量を一定に保っている。
次に、上記したショックアブソーバ2の減衰力の発生
パターンを切換制御する電子制御装置4について、第4
図を用いて説明する。
この電子制御装置4には、車両の走行状態を検出する
ためのセンサとして、各ショックアブソーバ2のピエゾ
荷重センサ25の他、図示しないステアリングの操舵角を
検出するステアリングセンサ50と、車両の走行速度を検
出する車速センサ51と、図示しない変速機のシフト位置
を検出するシフト位置センサ52と、図示しないブレーキ
ペダルが踏まれたときに信号を発するストップランプス
イッチ53と、図示しないスロットルバルブの開度を検出
するスロットル開度センサ54等が接続されている。
これら検出信号等に基づき上述したピエゾアクチュエ
ータ27に制御信号を出力する電子制御装置4は、周知の
CPU61,ROM62,RAM64を中心に算術論理演算回路として構
成され、これらとコモンバス65を介して相互に接続され
た入力部67及び出力部68により外部との入出力を行な
う。
電子制御装置4には、このほかピエゾ荷重センサ25の
接続された減衰力変化率検出回路70、この減衰力変化率
検出回路70に接続され且つ1.3Hz以下の振動をカットす
るローパスフィルタ72を介して入力部67に接続されてい
る積分回路71、ステアリングセンサ50および車速センサ
51の接続された波形整形回路73、ピエゾアクチュエータ
27に接続される高電圧印加回路75、イグニッションスイ
ッチ76を介してバッテリ77から電源の供給を受けピエゾ
アクチュエータ駆動用の駆動電圧を出力するいわゆるス
イッチングレギュレータ型の高電圧電源回路79、バッテ
リ77の電圧を変圧して電子制御装置4の作動電圧(5v)
を発生する定電圧電源回路80等が備えられている。シフ
ト位置センサ52、ストップランプスイッチ53,スロット
ル開度センサ54,減衰力変化率検出回路70,波形整形回路
73は入力部67に、一方、高電圧印加回路75,高電圧電源
回路79は出力部68にそれぞれ接続されている。
減衰力変化率検出回路70は各ピエゾ荷重センサ25FL,F
R,RL,RRに対応して設けられた4個の検出回路からな
り、おのおのの検出回路は、路面からショックアブソー
バ2が受ける作用力に応じてピエゾ荷重センサ25を含む
回路から出力される電圧信号を、ショックアブソーバ2
の減衰力変化率Vとして、各検出回路に対応する4個の
積分実施回路から成る積分回路71とCPU61とに出力する
よう構成されている。
積分回路71は、各積分実施回路からの信号をローパス
フィルタ72を介して入力部67に出力する。
また、波形整形回路73は、ステアリングセンサ50や車
速センサ51からの検出信号を、CPU61における処理に適
した信号に波形整形して出力する回路である。従って、
CPU61は、この減衰力変化率検出回路70と波形整形回路7
3とからの出力信号、更には自己の処理結果等に基づ
き、路面状態や車両の走行状態等を判定することができ
る。CPU61はかかる判定に基づいて各車輪に対応して設
けられた高電圧印加回路75に制御信号を出力する。
この高電圧印加回路75は、高電圧電源回路79から出力
される+500ボルトもしくは−100ボルトの電圧を、CPU6
1からの制御信号に応じて、ピエゾアクチュエータ27に
印加する回路である。従って、この減衰力切換信号によ
って、ピエゾアクチュエータ27が伸張(+500ボルト印
加時)もしくは収縮(−100ボルト印加時)し、作動油
流量が切り換えられて、ショックアブソーバ2の減衰力
特性がソフトもしくはハードに切り換えられる。即ち、
各ショックアブソーバ2の減衰力特性は、高電圧を印加
してピエゾアクチュエータ27を伸張させたときには、既
述したスプール41(第3図(B))により、ショックア
ブソーバ2内の第1の液室21と第2の液室23と間を流動
する作動油の流量が増加するため減衰力の小さな状態と
なり、負の電圧により電荷を放電されてピエゾアクチュ
エータ27を収縮させたときには、作動油流量が減少する
ため減衰力の大きな状態となるのである。
次に、上記した構成を備える本実施例のサスペンショ
ン制御装置1が行なう減衰力制御について、第5図,第
6図,第7図のフローチャートに基づき説明する。各図
に示した各ルーチンは、割込処理により一定時間毎に各
々繰り返し実行される。各ルーチンの処理内容は次の通
りである。
減衰力制御ルーチン(第7図) 本ルーチンが減衰力制御のメインルーチンであって、
減衰力変化率Vが減衰力調整用の基準値Vrefを越えるか
下回るかに応じて、ピエゾアクチュエータ27を切り換え
て減衰力を大きい状態または小さい状態に原則として変
更・設定し、下記の変更禁止フラグ処理ルーチンによ
り、減衰力の大きい側から小さい側への変更を禁止する
状態にあると判断されている場合に、例外的に減衰力変
化率Vが減衰力調整用基準値Vrefを越えても減衰力の大
から小への設定変更を行なわない。
変更禁止フラグ処理ルーチン(第6図) 下記の減衰力判別ルーチンから求めた推定減衰力の値
の状態等を参照して、減衰力の大きい側から小さい側へ
の設定変更を、禁止する状態にあるか否かを判断する。
減衰力判別ルーチン(第5図) 減衰力変化率Vに基づき算出した推定減衰力値に基づ
いて、減衰力の値の状態を判別する。
各々のルーチンの詳細について、まず、減衰力判別ル
ーチンから説明する。尚、この減衰力判別ルーチンによ
る処理は各車輪の各ショックアブソーバ2FL,FR,RL,RRに
ついて各々実施されるものであるが、それらの処理に変
わりはないので、ショックアブソーバ2FLについての処
理を例にとって説明する。
第5図に示すように、本ルーチンが繰り返されるたび
に、まず、変更禁止開始しきい値超過フラグFS(以下、
超過フラグFSと称す)がセットされているか否かの判断
処理を行なう(ステップ100)。この超過フラグFSは、
ショックアブソーバ2FLの減衰力の値がある状態(後
述)にあるか否かを示すフラグであって、次に述べるよ
うに、このルーチンでもってセット・リセットしようと
するフラグである。
ステップ100で、超過フラグFSが値0にリセットされ
ていたら、推定減衰力値D(即ち減衰力変化率Vを積分
回路71で積分しローパスフィルタ72を通して得られた
値)の絶対値が、所定の変更禁止開始しきい値K1(>
0)を越えたかを判断する(ステップ110)。変更禁止
開始しきい値K1は、これを越えた場合にショックアブソ
ーバ2FLの減衰力が大きい状態となっており、このショ
ックアブソーバ2FLのハードからソフト状態への変更を
禁止すべき可能性が生じたと判断するため設定された値
である。ステップ110で、「YES」と判断されたら、超過
フラグFSを値1にセットすると共に、後述のステップ14
0でセットされうる変更禁止終了しきい値下回りフラグF
E(以下、下回りフラグFEと称す)を0にリセットし
(ステップ120)、本ルーチンを一旦終了する。
一方、既にステップ100で超過フラグFSが値1にセッ
トされていたら、推定減衰力値Dの絶対値が変更禁止終
了しきい値K2以下となったかを判断する(ステップ13
0)。この変更禁止終了しきい値K2は、変更禁止開始基
準値K1よりも小さい値であり、これを推定減衰力値Dが
下回ることは、ショックアブソーバ2FLの減衰力が小さ
い状態となっており、このショックアブソーバ2FLのハ
ードからソフト状態への変更禁止を終了すべき可能性が
生じたと判断するための値である。
ステップ130で、「YES」と判断されたら、下回りフラ
グFEを値1にセットすると共に超過フラグFSを0にリセ
ットし(ステップ140)、本ルーチンを一旦終了する。
尚、ステップ110,130で「NO」と判断されたら、その後
何等の処理もせず本ルーチンを一旦終了する。
尚、本実施例では、他のショックアブソーバ2FR,2RL,
2RRに関しても、しきい値K1,K2,は同じ値とするが、そ
れらは必ずしも同一でなくてよい。
次に、第6図を参照して、変更禁止フラグ処理ルーチ
ンを説明する。このルーチンは、上記のような減衰力判
別ルーチンでセットまたはリセットされる各ショックア
ブソーバ2FL,2FR等の各超過フラグ(FSFL,FSFR等と記
す)や各下回りフラグ(FEFL,FEFR等と記す)の値を参
照して実施する。尚、このルーチンは、左側の前後輪5F
L,5RLのショックアブソーバ2FL,2RLをひとまとめとして
実施され、同様に右側の前後輪5FR,5RRのショックアブ
ソーバ2FR,2RRをひとまとめとして実施されるものであ
るが、両者違いはないので、左側の前後輪5FL,5RLのシ
ョックアブソーバ2FL,2RLでの処理を例にとって説明す
る。
まず、変更禁止フラグ処理ルーチンでは、このルーチ
ンが繰り返されるたびに変更禁止フラグFINHの状態を参
照する(ステップ200)。この変更禁止フラグFINHは、
ショックアブソーバ2FLと2RLのハードからソフトへの変
更が禁止状態にある場合に値1にセットされるフラグで
あって、次に述べるように本ルーチンでもってセット・
リセットしようとするフラグである。
変更禁止フラグFINHが値1にセットされていないと判
断されたら(ステップ200)、前記した減衰力判別ルー
チンによって変更禁止開始しきい値超過フラグFSFLまた
はFSRLが値1にセットされているか否か判断する(ステ
ップ210)。「YES」の場合には、前・後輪のショックア
ブソーバ2FL,2RLの推定減衰力値(それぞれ推定減衰力D
FL,DRLと記す)とから、前輪5FLと後輪5RLの振動が、逆
相か否かを判断し(ステップ220)、その結果、逆相と
判断されたら、ショックアブソーバ2FL,2RLのハードか
らソフトへの変更を禁止すべきとして、変更禁止用フラ
グFINHを値1にセットし(ステップ230)、本ルーチン
を一旦終了する。
一方、ステップ210で「NO」あるいは220で同相と判断
されたら、変更禁止用フラグFINHを変更することなく本
ルーチンを一旦終了する。このように、超過フラグFSF
L,FSRLのどちらかが値1で且つ前後輪5FL,RLの振動が逆
相であるときは、変更禁止フラグFINHを値1とし、それ
以外では値0とする。
ステップ200で変更禁止フラグFINHが既に値1にセッ
トされていると判断されたら、次のように、ショックア
ブソーバ2FL,2RLのハードからソフトへの変更禁止を終
了すべきか否かの判断を実施する。
前記した減衰力判別ルーチンによって下回りフラグFE
FLとFERLとが共に1となっているか否か判断し(ステッ
プ240)、その結果、「YES」の場合には、タイマ変数T1
(初期値は0)を値1だけインクリメントし(ステップ
250)、タイマ変数T1が参照値Tref 1に達したか否かを
判断する(ステップ260)。参照値Tref 1は、ショック
アブソーバ2FL,2RLの減衰力値DFL,DRLが共に変更禁止終
了しきい値K2を下回ってから一定時間は、ショックアブ
ソーバ2FL,2RLのハードからソフトへの変更禁止状態を
維持するために設定されたものである。
タイマ変数T1が参照値Tref 1に達したと判断されたら
(ステップ260)、タイマ変数T1を値0とし(ステップ2
70)、変更禁止用フラグFINHを値0にリセットして(ス
テップ280)、本ルーチンを一旦終了する。ステップ260
でタイマ変数T1が参照値Tref 1に達してないとされた
ら、そのままリターンに抜ける。尚、ステップ240で、
「NO」と判断されたら、タイマ変数T1を値0とした後、
そのまま、即ち変更禁止フラグFINHを変更することなく
本ルーチンを終了する。このように、ショックアブソー
バ2FL,2RLの推定減衰力値DFL,DRLの絶対値のどちらも
が、変更禁止終了しきい値K2を下回り、その後一定時間
下回り続けたときに、ショックアブソーバ2FL,2RLのハ
ードからソフトへの変更禁止終了と判定する。
尚、参考のために第8図(a)に、推定減衰力値DFL,
DRLと、変更禁止開始しきい値K1,変更禁止終了しきい値
K2、変更禁止フラグFINHの関係を示す。
次に、メインルーチンである減衰力制御ルーチンを第
7図を参照して説明する。このルーチンは、各ショック
アブソーバ2FL,FR,RL,RRについて実施されるものであ
る。そして、ショックアブソーバ2FLと2RLとでは、上記
変更禁止フラグFINHを参照して実施され、一方、ショッ
クアブソーバ2FRと2RRとでは、上記変更禁止フラグFINH
と同様な処理にて設定される右側のショックアブソーバ
2FR,2RRに関する変更禁止フラグFINH′を参照して実施
される。各ショックアブソーバ2の処理は、本質的な違
いはないので、ショックアブソーバ2FLについての処理
を例にとって説明する。
本減衰力制御ルーチンを開始すると、減衰力変化率V
を読み込み(ステップ300)、その値Vが減衰力の調整
用基準値Vrefより大きいかを判断する(ステップ31
0)。「YES」と判断されたら、その後変更禁止フラグFI
NHを参照し(ステップ320)、そのフラグFINHが値0に
リセットされている場合には、即ちショックアブソーバ
2FLのハードからソフト状態への変更が禁止されていな
い場合には、ソフト状態フラグFSSを値1にセットし
(ステップ330)、そして、後述するステップ370等で利
用するタイマ変数T2を値0とした後に、ショックアブソ
ーバ2FLをソフトに制御(ハードからソフトに変更する
か既にソフトであればそのままソフトに保持)し、(ス
テップ340,350)一旦本ルーチンを終了する。このソフ
ト制御は、高電圧印加回路75から+500ボルトの高電圧
をピエゾアクチュエータ27FLに印加して実施する。
一方、ステップ320で変更禁止フラグFINHが値1、即
ち変更禁止状態にあると判断されたら、ソフト状態フラ
グFSSを0にリセットし(ステップ400)、ショックアブ
ソーバ2FLをハードに制御(ハードに変更もしくはハー
ドを維持)する(ステップ410)。このハード制御は、
ショックアブソーバ2FLがソフトからハードに切り換え
られた直後には高電圧印加回路75から−100ボルトをピ
エゾアクチュエータ27FLに印加してこれを縮小し、既に
ピエゾアクチュエータ27FLが縮んだ状態であればそのま
ま保持することによりなされる。
上記ステップ310で減衰力変化率Vが減衰力調整用基
準値Vrefより小さいと判断されたら、ソフト状態フラグ
FSSを参照して現在サスペンションの減衰力がソフトか
どうか判断する(ステップ360)。そこで、サスペンシ
ョンがハードと判断されたら、そのままハード状態を維
持し(ステップ410)、一方サスペンションがソフトと
判断されたら次のような処理に移る。
タイマ変数T2(初期値は0)を値1だけインクリメン
トし(ステップ370)、その値が参照値Tref 2に達した
か否か判断する(ステップ380)。この参照値Tref 2
は、減衰力変化率Vが減衰力調整用基準値Vrefを一定時
間下回り続けたときに減衰力を小さい側から大きい側に
変更するために設定した値である。ステップ380で、「N
O」と判断されたらサスペンションをソフトのままとし
(ステップ350)、「YES」と判断された場合には、タイ
マ変数T2を0とし(ステップ390)、その後ソフト状態
フラグFSSを0にリセットして(ステップ400)、サスペ
ンションをハードに制御する(ステップ410)。
以上のように、減衰力制御ルーチンでは、第8図
(b)の時刻Taのように減衰力変化率Vが減衰力調整用
基準値Vrefを越えた時には、原則的にサスペンションを
ソフトへ変更し、例外的にその制御が禁じられている場
合(同図の時刻Tb〜Tc)には、ハードに制御する。そし
て、減衰力変化率Vが減衰力調整用基準値Vrefを下回り
(同図の時刻Td)、その後一定時間(Tref 2)下回り続
けたら、サスペンションをハードに制御する。
以上説明した本実施例では、左右同一側の前後輪(以
下前後輪5sameと記す)が逆相となっている場合、即ち
急減速時(制動時)や急加速時等でダイブ,スクォート
やピッチングが起こり易い場合であってしかもショック
アブソーバ2の減衰力が高いとき(所定条件成立時)
に、ショックアブソーバ2の減衰力を大きい状態から小
さい状態へ変更することを禁止する(即ち変更禁止制御
を実施する)ので、そのようなときにサスペンションが
ソフト状態とはならず、ダイブ,スクォートやピッチン
グの発生や拡大が十分に防止できる。その結果、車両の
姿勢変化が低減し、操縦安定性が向上する。しかも、変
更禁止制御は、上記所定条件成立時、即座に実施される
ので、応答性が高い。ただし、ノイズによって、変更禁
止制御が誤って実施されないようにするためには、上記
所定条件が一定時間成立し続けたとき、変更禁止制御を
開始すればよい。
また、変更禁止制御の開始のためには、前後輪5same
のショックアブソーバ2FLと2RL(または2FRと2RR)の減
衰力のどちらかが大きいことを1条件とするのである
が、これは前後輪5sameのサスペンションの一方を変更
禁止制御する必要性があれば、他方も変更禁止を開始す
る必要性が生じる可能性が高いとの考えに基づくもので
あり、この結果前後輪5sameのサスペンションに対して
速やかに変更禁止制御が実施できる。
一方、変更禁止制御の終了は、変更禁止終了のための
条件が成立した後、所定時間経ってから実施するので、
十分に変更禁止制御の効果を享受できる。また、変更禁
止制御の終了は前後輪5same両方のショックアブソーバ
の減衰力値が低くなることを1条件とするのであるが、
これは、車両の状態を総合的に見て確実に変更禁止制御
が不要となったときにその制御を終了すべきだという考
えに基づくものであり、この点からも十分な変更禁止制
御の効果を享受できる。
更に、上記所定条件成立時、ハードからソフトへの変
更を禁止するだけでなく、ソフトからハードへの積極的
な変更を実施するので、操縦安定性が常に高い状態に保
ち得る。
上記実施例では、前後輪5sameの振動が逆相であるこ
とを1つの条件として、変更禁止制御を実施したが、急
加減速時には、一般に、向かい合う左右輪の振動が同相
となることが多いので、その様に同相に成ることを代わ
りの条件として利用してもよい。
また、上記変更禁止フラグ処理ルーチンでは、変更禁
止フラグのセット・リセットは、前後輪5sameのショッ
クアブソーバ2FLと2RL(または2FRと2RR)の推定減衰値
を参照として実施したが、減衰力制御ルーチンの対象と
なっている側のショックアブソーバ2の推定減衰値のみ
を参照して実施してもよい。このような場合等を含め
て、必ずしも総てのショックアブソーバ2FL,FR,RL,RRを
制御する必要はない。
次に本発明の第2のサスペンション制御装置の実施例
を説明する。
本実施例の機械的構成は、本発明の第1の制御装置の
前記実施例と同一である。
本実施例によるサスペンション制御処理は、後輪5RL,
5RRのショックアブソーバ2RL,RRに対して実施される。
その処理のメインルーチンは第7図で示したものを、後
輪5RL,5RRのショックアブソーバ2RL,RRに対してのもの
と見れば全く同じである。ただし、メインルーチンで参
照される変更禁止フラグの処理ルーチンは、前記実施例
と異なる。
以下、その変更禁止フラグ処理ルーチン(2)を、そ
のフローチャートである第9図を参照しつつ説明する。
まず、スロットル開度センサ54からスロットル開度θ
を読み込んでスロットル開度変化率dθを算出し(ステ
ップ400)、その後、変更禁止フラグFINHの値を参照し
(ステップ410)、その値が0であれば、スロットル開
度変化率dθがしきいち値L1を越えているか判断する
(ステップ420)。そのしきい値L1は、スロットル開度
変化率dθがそれを越えると、車両は加速状態であると
判断するために設定した値である。「YES」と判断され
れば、FINHを値1にセットして、本処理を一旦終え、一
方、「NO」と判断されれば、そのまま本処理を一旦終え
る。
ステップ410で変更禁止フラグFINHが値1と判断され
れば、スロットル開度変化率dθはしきい値L2を下回っ
ているか否か判断する(ステップ440)。しきい値L2
は、これをスロットル開度変化率dθが下回れば、車両
は加速状態を脱したと判断するために設定した値であ
る。「YES」と判断されれば、タイマ変数T3(初期値は
0)を値1だけインクリメントした後、タイマ変数T3が
参照値Tref 3(車両が加速状態を脱した状態が一定時間
維持された判断するために設定された値)を越えている
か判断し(ステップ460)、その結果、「YES」と判断さ
れれば、タイマ変数T3を0にし(ステップ470)、FINH
を値0にリセットし(ステップ480)、本ルーチンを一
旦終了し、一方、「NO」と判断されれば、そのままリタ
ーンに抜ける。なお、ステップ440で「NO」と判断され
れば、タイマ変数T3を値0とした後に、本ルーチンを一
旦終了する。
こうして設定された変更禁止フラグFINHを参照して、
第7図で示したと同様な減衰力制御ルーチンを実行す
る。
本実施例では、急加速状態(アクセルを急に踏み込ん
だとき及びその直後)のときには、必ず、サスペンショ
ンのハードからソフトへの変更が禁止されるとともに、
ソフトからハードへの積極的な変更が実施される。その
結果、急加速時には常にスクォートやピッチングが防止
され、車両の姿勢変化が低減される。特に、スクォート
やピッチングの兆候が現れる前にそれらを防止する体制
に入るので、高い応答性をもって、車両の姿勢変化を低
減できる。
次に本発明の第2のサスペンション制御装置の他の実
施例を説明する。
本実施例の機械的構成も、第1のサスペンション制御
装置の実施例と同一である。本実施例によるサスペンシ
ョン制御処理は、前輪5FL,FRのショックアブソーバ2FL,
FRに対して実施される。その処理のメインルーチンは、
第7図で示したものと同じである。ただし、メインルー
チンで参照される変更禁止フラグの処理ルーチンは、第
1のサスペンション制御装置の実施例とは異なる。
以下、その変更禁止フラグ処理ルーチン(3)を、そ
のフローチャートである第10図を参照しつつ説明する。
このルーチンでは、まず、ストップランプスイッチ53
がオンされている状態もしくはストップランプスイッチ
53がオフされてから所定時間経過していない状態に、あ
るか否かを判断し(ステップ500)、「YES」であるな
ら、変更禁止フラグFINHを値1にセットし(ステップ51
0)、「NO」であるなら変更禁止フラグFINHを値0にリ
セットする(ステップ520)。こうして処理された変更
禁止フラグFINHを参照して、サスペンション制御処理は
実施される。
本実施例では、急減速状態(制動時及びその直後)の
ときには、必ず、サスペンションのハードからソフトへ
の変更が禁止されるとともに、ソフトからハードへの積
極的な変更が実施される。その結果、急減速時には常に
ダイブが防止され、車両の姿勢変化が低減する。
上記実施例では、制動状態のときには、常にサスペン
ションをハードに制御したが、急制動の場合に限って、
サスペンションのハードからソフトへの変更禁止やソフ
トからハードへの積極的変更を実施してもよい。この場
合には、緩制動時には、乗り心地が重視でき、急制動時
には、車両の姿勢変化を低減し、操縦安定性を向上でき
る。
急制動状態であるとする条件としては、ストップラン
プスイッチ53がオンされているとともに、減衰力変化率
Vの立ち上がりが4輪同時に大きくなること等が挙げら
れる。
尚、本発明の第2のサスペンション制御装置の各実施
例では、急加減速により荷重配分が大きくなる側のショ
ックアブソーバのみ、減衰力変更禁止制御を実施しつ
つ、減衰力変化率Vに基づいた制御を行なったが、そう
でない側に関しては、同様な制御を実施しても良いし、
減衰力変更禁止制御を実施せずに減衰力変化率Vに基づ
いた制御のみ実施しても良い。
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこ
うした実施例に何等限定されるものではなく、例えば、
サスペンションを、ハードとソフト状態の他それらの中
間状態に変更可能な構成とし、上記各実施例での変更制
御禁止条件と同様な条件が成立したら、ハード状態と中
間状態と間でサスペンションの状態が変更・設定される
構成など、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
発明の効果 以上詳述したように、本発明の第1のサスペンション
制御装置によれば、ショックアブソーバの減衰力が大き
く、しかも左右同一側の前後輪の振動が逆相または向か
い合う左右輪の振動が同相のときには、減衰力変化率が
大きくなっても、ショックアブソーバの減衰力の小さい
側への変更を制限または禁止するので、主として急加速
時や急減速時における車両のダイブ,スクォートの発生
・拡大を防止することができる。
また、本発明の第2のサスペンション制御装置では、
急加速時,急減速時のスクォート,ダイブの発生・拡大
を一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本的構成を例示するブロック図、第
2図は本発明の一実施例としてのサスペンション制御装
置の全体構成を表す概略構成図、第3図(A)はショッ
クアブソーバ2の構造を示す部分断面図、第3図(B)
はショックアブソーバ2の要部拡大断面図、第4図は本
実施例の電子制御装置4の構成を表わすブロック図、第
5図は減衰力判別ルーチンを示すフローチャート、第6
図は変更禁止フラグ処理ルーチンを示すフローチャー
ト、第7図は減衰力制御ルーチンを示すフローチャー
ト、第8図は、推定減衰力値DFL,DRL、変更禁止開始し
きい値K1,減衰力変化率,制御状態等の関係を示す説明
図、第9図は変更禁止フラグ処理ルーチン(2)を示す
フローチャート、第10図は変更禁止フラグ処理ルーチン
(3)を示すフローチャートである。 2FL,FR,RL,RR…ショックアブソーバ 4…電子制御装置 25FL,FR,RL,RR…ピエゾ荷重センサ 27FL,FR,RL,RR…ピエゾアクチュエータ 51…車速センサ 70…減衰力変化率検出回路 75…高電圧印加回路、79…高電圧電源回路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両のサスペンションに設けられ、減衰力
    の発生パターンを設定し得るショックアブソーバと、 該ショックアブソーバの減衰力の変化率を検出する減衰
    力変化率検出手段と、 該検出された減衰力の変化率が減衰力調整用の基準値よ
    り大きくなったとき、前記ショックアブソーバの減衰力
    を小さい側に変更することが可能な減衰力制御手段と を備えたサスペンション制御装置において、 前記ショックアブソーバの減衰力が大きい状態にあるか
    否かを判定する減衰力大きさ判定手段と、 少なくとも前記車両の左右同一側の前後輪の振動が逆相
    か否かの判定または向かい合う左右輪の振動が同相か否
    かの判定を行なう位相判定手段と、 前記減衰力大きさ判定手段によって、ショックアブソー
    バの減衰力が大きい状態にあると判定され、かつ前記位
    相判定手段によって、左右同一側の前後輪の振動が逆相
    及び/または向かい合う左右輪の振動が同相と判定され
    たとき、前記減衰力制御手段による減衰力の小さい側へ
    の変更を制限または禁止する変更制限・禁止手段と を備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
  2. 【請求項2】車両のサスペンションに設けられ、減衰力
    の発生パターンを設定し得るショックアブソーバと、 該ショックアブソーバの減衰力の変化率を検出する減衰
    力変化率検出手段と、 該検出された減衰力の変化率が減衰力調整用の基準値よ
    り大きくなったとき、前記ショックアブソーバの減衰力
    を小さい側に変更することが可能な減衰力制御手段と を備えたサスペンション制御装置において、 前記車両が急加減速状態にあることを検出する急加減速
    検出手段と、 該急加減速検出手段により該車両が急加速または急減速
    状態にあるとされたとき、少なくとも急加減速により荷
    重配分の大きくなる側に関し、前記減衰力制御手段によ
    る減衰力の小さい側への変更を制限または禁止する変更
    制限・禁止手段と、 前記車両が急加速または急減速状態でなくなったことを
    検出する急加減速終了検出手段と、 該急加減速終了検出手段により該車両が急加速または急
    減速状態でなくなったとされた後、さらに所定時間の経
    過を待って、前記変更制限・禁止手段による変更の制限
    または禁止を解除する変更制限・禁止の解除手段と を備えたことを特徴とするサスペンション制御装置。
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