JP2576315B2 - 難燃性樹脂発泡体用組成物、難燃材、難燃性樹脂発泡体及び難燃性樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

難燃性樹脂発泡体用組成物、難燃材、難燃性樹脂発泡体及び難燃性樹脂発泡体の製造方法

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JP2576315B2 JP23915791A JP23915791A JP2576315B2 JP 2576315 B2 JP2576315 B2 JP 2576315B2 JP 23915791 A JP23915791 A JP 23915791A JP 23915791 A JP23915791 A JP 23915791A JP 2576315 B2 JP2576315 B2 JP 2576315B2
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resin foam
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂発泡体用組成物、
難燃材、樹脂発泡体及び樹脂発泡体の製造方法、特に、
難燃性樹脂発泡体用組成物、それに用いられる難燃材、
難燃性樹脂発泡体及び難燃性樹脂発泡体の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリオレフィン系樹脂発泡体
は、軽量であり、また優れた断熱性や遮音性を有してい
ることから、建材、産業資材、生活用品及び車輌用内装
材等の分野で広く利用されている。しかし、ポリオレフ
ィン系樹脂は燃えやすいので、その難燃化が種々検討さ
れている。たとえば、難燃性のポリオレフィン系樹脂発
泡体として、デカブロムジフェニルエーテル,ヘキサブ
ロモベンゼン等のハロゲン化芳香族化合物と三酸化アン
チモン等の難燃助剤とを含む難燃剤や、テトラブロムビ
スフェノールAグリシジルエーテル等のエポキシ系難燃
剤を添加したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の難燃性ポリ
オレフィン系樹脂発泡体は、架橋・発泡時に難燃剤の分
散状態が変化し、この結果、発泡体全体が均一でありか
つ安定した難燃性を示さない場合がある。すなわち、難
燃性の異方性や、難燃性不足の発生する場合がある。
【0004】第1、第2、第3及び第4の発明の目的
は、難燃性の異方性が小さな樹脂発泡体が形成できる難
燃性樹脂発泡体用組成物を提供することにある。第5、
第6及び第7の発明の目的は、樹脂発泡体に異方性の小
さな難燃性を付与できる難燃材を提供することにある。
第8の発明の目的は、難燃性の異方性が小さな難燃性樹
脂発泡体を提供することにある。
【0005】第9の発明の目的は、第8の発明に係る難
燃性樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る難燃性
樹脂発泡体用組成物は、ポリオレフィン系樹脂と、難燃
材とを含んでいる。難燃材は、難燃剤からなる核粒子
と、核粒子をコーティングする発泡剤層とを備えてい
る。第2の発明に係る難燃性樹脂発泡体用組成物は、第
1の発明で用いられるポリオレフィン系樹脂として、密
度が0.910〜0.930g/cm3 でありかつメル
トフローレートが0.5〜50g/10分の低密度ポリ
エチレン樹脂を用いている。
【0007】第3の発明に係る組成物は、第2の発明で
用いられる低密度ポリエチレン樹脂として、他のポリオ
レフィン系樹脂を90重量%未満含む低密度ポリエチレ
ン樹脂を用いている。第4の発明に係る難燃性樹脂発泡
体用組成物は、第1の発明で用いられるポリオレフィン
系樹脂として、エチレンを2〜5重量%含むエチレン−
プロピレン共重合体50〜90重量%と、密度が0.8
90〜0.930g/cm3 のエチレン−αオレフィン
共重合体50〜10重量%とを含むものを用いている。
【0008】第5の発明に係る難燃材は、難燃剤からな
る核粒子と、核粒子をコーティングする発泡剤層とを備
えている。第6の発明に係る難燃材は、第5の発明で用
いられる難燃剤として、融点、軟化点またはガラス転位
温度が150〜250℃のものを用いている。
【0009】第7の発明に係る難燃材は、第5または第
6の発明で用いられる難燃剤として、リン及びハロゲン
を合計で30〜80重量%含むハロゲン化含リン化合物
系の難燃剤を用いている。第8の発明に係る難燃性樹脂
発泡体は、ポリオレフィン系樹脂からなりかつ実質的に
難燃剤からなる被膜が気泡内面に形成されている。
【0010】第9の発明に係る難燃性樹脂発泡体の製造
方法は、次の工程を含んでいる。 ◎ポリオレフィン系樹脂と、難燃剤からなる核粒子が発
泡剤によりコーティングされた難燃材とを含む難燃性樹
脂発泡体用組成物を成形する工程。 ◎成形された難燃性樹脂発泡体用組成物を加熱して架橋
・発泡する工程。 *******ポリオレフィン系樹脂 本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、低
密度ポリエチレン樹脂が例示できる。低密度ポリエチレ
ン樹脂としては、密度が0.910〜0.930g/c
3 (より好ましくは0.920〜0.925g/cm
3 )でありかつメルトフローレートが0.5〜50g/
10分のものが好ましい。密度が0.910g/cm3
未満の場合は、樹脂の結晶性が低くなるため、発泡体の
機械物性が低下する。また、発泡体の製造工程におい
て、本発明の組成物がブロッキングして取扱いにくくな
る。逆に、0.930g/cm3 を超えると、結晶性が
増すので、架橋しにくくなる。また、メルトフローレー
トが0.5g/10分未満の場合は、押出加工時に剪断
発熱を生じ、発泡剤が分解する場合がある。逆に、50
g/10分を超えると、押出加工時に特殊な冷却装置を
使用しないと平面性が良好な発泡用シートが得られにく
い。
【0011】上述の低密度ポリエチレン樹脂には、他の
ポリオレフィン系樹脂が90重量%未満混合されていて
もよい。他のポリオレフィン系樹脂の混合量が90重量
%を超えると、混合する樹脂によっては各種の架橋法が
適用しにくくなる場合がある。なお、他のポリオレフィ
ン系樹脂としては、エチレン−プロピレン共重合体、直
鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレ
ン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アル
キルアクリレート共重合体、エチレン−メタアルキルア
クリレート共重合体及びこれらのポリエチレン系共重合
体に第3成分として無水マレイン酸を共重合した3元共
重合体等が例示できる。
【0012】ポリオレフィン系樹脂として特に好ましい
のは、エチレン含有量が2〜5重量%のエチレン−プロ
ピレン共重合体50〜90重量%と、密度が0.890
〜0.930g/cm3 (より好ましくは0.900〜
0.925g/cm3 )のエチレン−αオレフィン共重
合体50〜10重量%とを含む混合樹脂である。このよ
うな混合樹脂を用いると、難燃性、成形性及び耐熱性の
優れた樹脂発泡体が得られる。なお、この混合樹脂にお
いて、エチレン−プロピレン共重合体が50重量%未満
でありかつエチレン−αオレフィン共重合体が50重量
%を超える場合は、発泡体の耐熱性が低下する。一方、
エチレン−プピレン共重合体が90重量%を超えかつエ
チレン−αオレフィン共重合体が10重量%未満の場合
は、難燃化を妨げるプロピレン成分が増加するので、難
燃性の良好な発泡体が得られない。また、得られた発泡
体は、柔軟性及び緩衝性が良好でない。
【0013】なお、本発明で用いられるポリオレフィン
系樹脂は、上述の各種ポリオレフィン系樹脂には限定さ
れない。難燃材 本発明で用いられる難燃材は、難燃剤からなる核粒子を
発泡剤によりコーティングしたものである。
【0014】核粒子を構成する難燃剤は、融点、軟化点
またはガラス転位温度が150〜250℃、さらに18
0〜230℃のものが好ましい。150℃未満の場合
は、難燃材が上述のポリオレフィン系樹脂中に不規則に
分散してしまうため、発泡体に粗大気泡を発生させる場
合がある。また、本発明の組成物をシート状に成形した
ときに、シートの表面に難燃材がブリードアウトする場
合がある。逆に、250℃を超えると、発泡体の気泡内
面に難燃剤による薄膜を形成するのが困難になる。
【0015】難燃剤は、上述の融点等の条件を満たして
いれば特に限定されるものではないが、臭素を30〜8
0重量%含みかつテトラブロムビスフェノールA骨格を
有するエポキシ系難燃剤、具体的にはSR−TBA50
00〜20000(坂本薬品工業(株)製)等が例示で
きる。
【0016】難燃剤として、特に好ましいのは、リン及
びハロゲンを同時に分子骨格に含有するハロゲン化含リ
ン化合物系の難燃剤、特に含ハロゲンリン酸エステル系
難燃剤である。この種の難燃剤としては、トリス(トリ
ブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(トリブロ
モフェニル)ホスフェート等が例示できる。この種の難
燃剤において、リン及びハロゲンの含有率は、合計で3
0〜80重量%、さらに50〜75重量%が好ましい。
リン及びハロゲンの含有率が30重量%未満の場合は、
発泡体の難燃性を高めるために多量の難燃剤を用いる必
要があるので、発泡体の気泡内面に形成される難燃剤の
被膜が厚くなる。この結果、発泡体の緩衝特性が低下し
たり、発泡倍率が低くなる。逆に、80重量%を超える
と、難燃剤の安定性が低下するので、却って発泡体の難
燃性が低下し、また発泡体の気泡内面に難燃剤からなる
被膜が充分に形成できない。
【0017】難燃剤は、粒径が0.2〜50μm、さら
に0.5〜20μmが好ましい。粒径が0.2μm未満
の場合は、これに伴って難燃材のかさ密度が高くなるの
で、ポリオレフィン系樹脂成分に対する難燃材の分散性
が低下し、発泡体に粗大気泡を発生させやすい。また、
難燃材が2次凝集して粗大粒子になりやすいので、発泡
体に粗大気泡を発生させやすい。さらに、難燃剤にコー
ティングする発泡剤の厚み制御が困難になるので、発泡
体の気泡内面に形成される難燃剤の被膜が薄くなり、被
膜が破れて発泡体の難燃性が低下する。逆に、粒径が5
0μmを超えると、発泡体のセル強度が弱まり、発泡体
の機械的強度が低下する。また、発泡剤による発泡ガス
が逸散しやすくなるので、高発泡倍率で緩衝性の良好な
発泡体を形成しにくい。さらに、難燃材の粒径が大きく
なるので、発泡体に粗大気泡を発生させやすい。
【0018】上述の難燃剤にコーティングされる発泡剤
は、分解型発泡剤である。分解型発泡剤としては、有機
系または無機系のいずれの発泡剤が用いられてもよい。
有機系の分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミ
ド、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、
p,p’−オキシベンゼンスルホニルヒドラジド等が例
示できる。無機系の分解型発泡剤としては、炭酸ナトリ
ウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシ
ウムアジド等が例示できる。
【0019】本発明で用いられる難燃材は、上述の難燃
剤を核剤としてメカノフュージョン法により発泡剤を均
一にコーティングしたホスト・ゲスト構造の粒子が好ま
しい。このような粒子は、円筒状のケーシングと、当該
ケーシングの内径よりも小さい内径を有しかつ固定され
たインナーピースとからなるオングミルに難燃剤と発泡
剤とを投入し、ケーシングを所定時間高速回転すると製
造できる。メカノフュージョン法によるコーティングが
好ましい理由は次のように考えられる。すなわち、メカ
ノフュージョン法によりコーティングされた発泡剤は、
難燃剤の核粒子の表面に単に付着した状態ではなく、核
粒子の表面に侵入した状態となり、表面融合等のメカノ
ケミカル結合により強固なコーティング膜を形成する。
この結果、難燃材は、ポリオレフィン系樹脂成分に添加
して組成物を作成する場合や、その組成物を溶融押し出
しするときに、剪断力を受けてもその構造を維持するた
め、組成物中で安定した分散状態を示し、発泡体の気泡
内面に難燃剤の被膜が安定に形成でき、また気泡の整泡
が可能なためと考えられる。
【0020】なお、難燃材において、発泡剤のコーティ
ング量は、難燃剤の50重量%未満に設定するのが好ま
しい。50重量%以上の場合は、本発明の組成物を作成
するときに難燃剤から発泡剤が脱落し、発泡体の気泡内
面に難燃剤からなる均一な被膜を形成するのが困難にな
る。難燃性樹脂発泡体用組成物 本発明の難燃性樹脂発泡体用組成物において、難燃材の
添加量は、後述する発泡剤を除く組成物中に占める割合
が2〜30重量%(より好ましくは5〜25重量%)と
なるよう設定するのが好ましい。難燃剤の添加量が2重
量%未満の場合は、難燃剤からなる被膜が形成された気
泡の割合が少なくなるので、発泡体の難燃性が低下す
る。逆に、30重量%を超えると、気泡の内面に形成さ
れた難燃剤の被膜が厚くなり、発泡体の緩衝性やその他
の機能が損なわれるおそれがある。
【0021】また、本発明の難燃性樹脂発泡体用組成物
は、上述の難燃材を構成する発泡剤とは別に、発泡剤を
含んでいても良い。この発泡剤としては、上述の分解型
発泡剤と同様のものが利用できる。さらに、本発明の難
燃性樹脂発泡体用組成物には、その他必要に応じて、熱
安定剤、耐候剤、難燃助剤(たとえばアンチモン化合
物)、分散剤、架橋剤、架橋助剤、無機充填剤等が添加
されていてもよい。なお、無機充填剤を添加する場合、
その添加量は、難燃剤と無機充填剤との合計が発泡剤を
除いた組成物の体積分率で50重量%未満になるよう設
定するのが好ましい。この場合は、高発泡倍率の発泡体
が得られる。難燃性樹脂発泡体の製造方法 ここでは、上述の難燃性樹脂発泡体用組成物を用いて連
続シート状の難燃性樹脂発泡体を製造する場合を例にし
て説明する。
【0022】まず、難燃性樹脂発泡体用組成物を製造す
る。ここでは、ポリオレフィン系樹脂、難燃材、発泡剤
及びその他の添加物を加圧ニーダ、バンバリーミキサ
ー、ヘンシェルミキサーまたは熱ロール等の混練機内に
投入し、均一に分散させる。この際、各成分を同時に添
加するのではなく、まず樹脂成分のみを比較的低速で混
合し、その後に難燃材、発泡剤及びその他の添加物を添
加して高速で均一分散させるのが好ましい。樹脂成分と
難燃材やその他の添加物を同時に混合すると、粒子が凝
集して粗大粒子を形成し、発泡体に粗大気泡を形成して
しまう場合がある。
【0023】次に、得られた樹脂発泡体用組成物を発泡
剤の分解しない温度に加熱したベント付押出機に供給
し、空気巻込みによる気泡がない、厚みが一定の連続シ
ート状に成形して巻き取る。次に、得られた連続シート
に必要に応じて部分架橋処理を施す。部分架橋処理方法
としては、放射線架橋法が採用され得る。この場合は、
電子線、α線、β線及びγ線等の電離性放射線を連続シ
ートの両面に照射する。放射線の照射は、発泡体の架橋
度が15〜60%となるように実施するのが好ましい。
【0024】次に、上述の連続シートを発泡させる。こ
こでは、発泡剤の分解温度よりも30〜100℃高い温
度に加熱した発泡炉内に連続シートを連続的に導入す
る。このとき、発泡剤(難燃材を構成する発泡剤を含
む)の分解により連続シートが発泡し、連続シート状の
発泡体が得られる。この際、発泡剤により形成された気
泡の内面には、難燃材を構成する難燃剤による被膜が形
成される。なお、発泡方法としては、公知の方法が適用
でき、具体的には縦型熱風発泡法、横型熱風発泡法、横
型薬液浴上発泡法等が例示できる。
【0025】上述の製造方法において、化学架橋法が併
用されてもよい。この場合は、過酸化物系の架橋剤を予
め難燃性樹脂発泡体用組成物中に添加しておく。この場
合は、連続シートを発泡する工程において、加熱による
発泡と架橋剤による架橋反応とが同時に進行する。架橋
剤としては、ジクミルパーオキサイド、ターシャリーブ
チルパーベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキ
サイド等が用いられる。これらの架橋剤は、樹脂成分に
対して0.5〜5重量部添加するのが好ましい。難燃性樹脂発泡体 上述の製造方法により得られた本発明の難燃性樹脂発泡
体では、ポリオレフィン系樹脂成分が架橋している。ま
た、気泡の内面には、上述の難燃剤による被膜が形成さ
れている。難燃剤による被膜が気泡の内面に形成される
理由は明らかではないが、次のように考えられる。すな
わち、発泡工程では、発泡剤の分解ガスによって気泡が
形成されるが、このとき同時に溶解した難燃剤が気泡内
部に付着して被膜を形成する。通常は、このままの状態
であれば難燃剤が流れ出して被膜層は消滅すると考えら
れるが、気泡は発泡ガスにより加圧された状態で急激に
冷却されるため、難燃剤は流れ出す間もなく被膜層とし
て保持されると考えられる。
【0026】なお、気泡の内面に形成された難燃剤によ
る被膜は、発泡体を薄片に裁断し、電子顕微鏡を用いて
5000〜10000倍に拡大すると観察できる。な
お、難燃剤による被膜の厚みは、気泡膜の厚みが4〜6
μmの場合、通常1〜2μmである。本発明の難燃性樹
脂発泡体は、架橋度が15〜60%でありかつ発泡倍率
が2〜50倍が好ましい。架橋度が15%未満の場合
は、発泡時に発泡ガスの逸散が生じやすくなるので、所
定の発泡倍率になりにくい。また、難燃剤の被膜が、気
泡の内面に形成されにくくなる。逆に、60%を越える
と、発泡体の伸びが損なわれ、成形性が悪化する。一
方、発泡倍率が2倍未満の場合は、発泡体の緩衝性が悪
化する。逆に、50倍を越えると、柔軟性の点では好ま
しいが、緩衝性が悪化する。さらに、発泡体の伸びが低
下し、また成形性が悪化する。
【0027】なお、上述の架橋度は、次のようにして測
定した値である。まず、発泡体を裁断し、0.2g精秤
する。これを130℃のテトラリン中に浸漬し、攪拌し
ながら3時間加熱して溶融残渣を取り出す。そして、こ
の溶融残渣からアセトンを用いてテトラリンを除去し、
さらに純水を用いてアセトンを除去する。洗浄後の溶融
残渣を120℃の熱風乾燥機を用いて乾燥させ、室温ま
で自然冷却する。そのときの残渣の重量W1 を次の式
(1)に代入し、架橋度を求める。
【0028】
【数1】
【0029】また、発泡倍率は、次のようにして測定し
た値である。発泡体から10×10cmの試験片を切り
取り、その厚みt1 (cm)と重量W2 (g)とを測定
する。そして、t1 及びW2 を次の式(2)に代入し、
発泡倍率を求める。
【0030】
【数2】
【0031】本発明の発泡体は、燃焼性が異方性を示さ
ず、全体に均一な難燃性を有している。これは、発泡体
の気泡内面に難燃剤の被膜が形成されているため、発泡
体の全体に難燃剤が行き渡っているためと考えられる。
また、燃焼時には、難燃剤の被膜層が溶融して燃焼部を
被覆するため、高い難燃性を示すものと考えられる。ま
た、本発明の発泡体は、難燃剤としてハロゲン化含リン
化合物系の難燃剤を用いていれば、燃焼時に延焼しにく
い。これは、難燃剤に含まれるリン成分が発泡体の炭化
を促進し、燃焼残渣の固形化を促進して燃焼時の発熱量
を抑制するためと考えられる。また、難燃剤に含まれる
ハロゲンが、発泡体の燃焼時に生じる可燃性成分を希釈
するためと考えられる。
【0032】本発明の発泡体は、たとえば、パイプカバ
ー、エアコンパネル裏打ち材、鉄板と貼り合わせて山形
に成形された断熱折り板、自動車内装材用緩衝材、エン
ジンルーム仕切り板、無機繊維マットと貼り合わせた不
燃性ボード用裏打ち材等、金属板、金属ホイル、フィル
ム、無機繊維等との複合品として各種の分野で利用でき
る。
【0033】
【実施例】実施例1〜5、比較例1〜3 表1(実施例)及び表2(比較例)に示す難燃材を用意
した。そして、この難燃材と、表3(実施例)及び表4
(比較例)に示すポリオレフィン系樹脂と、同じく表3
及び表4に示す分解型発泡剤と、熱安定剤(Irgan
oz1010:チバガイギー(株)製)と、着色用のカ
ーボンブラック系顔料とをヘンシルミキサーにより混合
した。得られた組成物を120℃に加熱したベント付の
65mmφ2軸押出機に供給し、押出機に装着されたT
ダイより押し出して幅が400mmで厚みが2.2mm
の長尺シートを製造した。
【0034】次に、得られた長尺シートを、表3及び表
4に示す架橋方法及び発泡方法により架橋・発泡処理し
た。なお、電子線架橋法による場合は、シートの両面に
2.0Mradの電子線を照射した。また、化学架橋法
による場合は、架橋剤として8重量部のジクミルパーオ
キサイドを用いた。発泡方法では、薬液浴上発泡法の場
合は、210℃→220℃→225℃の順に加熱したシ
リコーン薬液浴を用いた。また、縦型熱風発泡法及び横
型熱風発泡法の場合は、280℃に加熱した熱風とラジ
エーションヒータを用いて加熱した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】評価 各実施例及び各比較例で得られた連続シート状の難燃性
樹脂発泡体について、次の評価を行った。 長さ及び幅方向の配向度 発泡前の長尺シートに5×5cmの枡目をマジックイン
キを用いて書き入れておき、発泡後に自然冷却して得ら
れた発泡体のマジックインキの枡目の長さ方向(M
t )(cm)及び幅方向(TDt )(cm)の長さを
測り、次の式(3)により長さ方向(MD)及び幅方向
(TD)の配向度を算出した。
【0040】
【数3】
【0041】難燃性 UL−94燃焼試験法(A法)に準じた評価と、MVS
S302燃焼試験法(B法)に準じた評価とを、発泡体
の長さ方向及び幅方向について行った。UL−94燃焼
試験法の場合は、HF−1相当の品質を合格と判定し
た。また、MVSS302燃焼試験法の場合は、燃焼性
1級相当の品質を合格と判定した。 機械物性 JIS−K6767に準じて引っ張り強度及び伸びを測
定した。 成形性 直径(b)と深さ(H)との比率(H/D)が0.4
0、0.50、0.60、0.70及び0.80に設定
された直径5cmのカップ状の成形金型を備えた真空成
形機により、発泡体を130〜180℃に加熱して真空
成形した。発泡体が破れることなく成形できた場合の比
率(H/D)を成形性とした。
【0042】各評価の結果を表5及び表6に示す。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
【発明の効果】第1、第2、第3及び第4の発明に係る
難燃性樹脂発泡体用組成物によれば、上述の難燃材を含
んでいるため、難燃性の異方性が小さな難燃性樹脂発泡
体が得られる。第5、第6及び第7の発明に係る難燃材
によれば、難燃剤からなる核粒子に発泡剤をコーティン
グしているので、樹脂発泡体に異方性が小さな難燃性を
付与できる。特に、第7の発明では、上述のハロゲン化
含リン化合物系の難燃剤を用いているので、低発煙性で
ありかつ延焼しにくい難燃性樹脂発泡体が実現できる。
【0046】第8の発明に係る難燃性樹脂発泡体では、
上述のように気泡内面に難燃剤からなる被膜が形成され
ているので、難燃性の異方性が小さい。第9の発明に係
る難燃性樹脂発泡体の製造方法によれば、第8の発明に
係る難燃性樹脂発泡体が製造できる。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂と、難燃材とを含
    み、 前記難燃材は、難燃剤からなる核粒子と、前記核粒子を
    コーティングする発泡剤層とを備えている、 難燃性樹脂発泡体用組成物。
  2. 【請求項2】前記ポリオレフィン系樹脂は、密度が0.
    910〜0.930g/cm3 でありかつメルトフロー
    レートが0.5〜50g/10分の低密度ポリエチレン
    樹脂である請求項(1)に記載の難燃性樹脂発泡体用組
    成物。
  3. 【請求項3】前記低密度ポリエチレン樹脂は、他のポリ
    オレフィン系樹脂を90重量%未満含んでいる請求項
    (2)に記載の難燃性樹脂発泡体用組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリオレフィン系樹脂は、エチレンを
    2〜5重量%含むエチレン−プロピレン共重合体50〜
    90重量%と、密度が0.890〜0.930g/cm
    3 のエチレン−αオレフィン共重合体50〜10重量%
    とを含む請求項(1)に記載の難燃性樹脂発泡体用組成
    物。
  5. 【請求項5】難燃剤からなる核粒子と、 前記核粒子をコーティングする発泡剤層と、 を備えた難燃材。
  6. 【請求項6】前記難燃剤は、融点、軟化点またはガラス
    転位温度が150〜250℃である請求項(5)に記載
    の難燃材。
  7. 【請求項7】前記難燃剤は、ハロゲン化含リン化合物系
    の難燃剤であり、リン及びハロゲンを合計で30〜80
    重量%含んでいる請求項(5)または(6)に記載の難
    燃材。
  8. 【請求項8】ポリオレフィン系樹脂からなりかつ実質的
    に難燃剤からなる被膜が気泡内面に形成されている、 難燃性樹脂発泡体。
  9. 【請求項9】ポリオレフィン系樹脂と、難燃剤からなる
    核粒子が発泡剤によりコーティングされた難燃材とを含
    む難燃性樹脂発泡体用組成物を成形する工程と、 成形された前記難燃性樹脂発泡体用組成物を加熱して架
    橋・発泡する工程と、を含む難燃性樹脂発泡体の製造方
    法。
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