JP2574619Y2 - 非対称不安定形状物の支持搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、搬送方向に沿って非対
称に形成され、かつ不安定な状態で搬送される加工物を
安定状態で搬送するに好適な非対称不安定形状物の支持
搬送装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】加工物を搬送コンベア等上に搭載して搬
入側から搬出側に向かって搬送し、かつ途中で所定の加
工を行う場合には、前記加工物を搬送コンベア上に安定
状態に搭載することが望まれる。例えば、細長の加工物
の場合には横に倒した状態で搬送コンベア上に搭載する
のが望ましい。一方、加工物を不安定の状態で搬送コン
ベア上に搭載する必要がある場合には、少なくともクラ
ンプ装置により加工物を挟持することが必要となる。し
かしながら、加工物が対称形の場合には、加工物の前後
を把持するための把持具を同時に加工物に当接係合して
もよいが、非対称の加工物の場合には、把持具を同時に
係合することが出来ない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】多気筒エンジンのシリ
ンダブロックのような加工物は、クランク軸方向に沿っ
て細長に形成されているため、搬送コンベア上にシリン
ダブロックを搭載する場合にはクランク軸方向を搬送方
向に沿わせて横置きにすることが安定支持上望ましい。
しかしながら、この場合にはシリンダブロックのシリン
ダ孔を加工する場合に、加工ヘッドを搬送方向に沿って
移動することが必要となり、加工ヘッドおよびその装置
が横長な大型のものとなる。そのため、シリンダブロッ
クのクランク軸方向を搬送コンベアの面に対して垂直方
向に立てることが望まれる。しかしながら、シリンダブ
ロックを搬送コンベア上に立設させると不安定になり、
そのままの状態では所定の搬送速度でシリンダブロック
を円滑に移送することが出来ない。そこで、シリンダブ
ロックを搬送方向の前後に沿って支持する支持具が必要
になる。しかしながら、シリンダブロック等の加工物は
その前面側および後面側がシリンダ孔に対して対称形状
で形成されない場合が多い。そのため、前記把持具は非
対称の前後形状に見合うものが必要となる。

【０００４】本考案は、以上の事情に鑑みて創案された
ものであり、非対称で、かつ不安定形状の加工物を安定
状態で円滑に搬送出来ると共に、比較的コンパクトにま
とめられる非対称不安定形状物の支持搬送装置を提供す
ることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、以上の目的を
達成するめに、倒れ易い状態で搬送台上に搭載される非
対称の不安定形状物を把持し、搬入側から所定の加工位
置を介して搬出側まで搬送する把持搬送装置であって、
前記不安定形状物の搬送方向に沿う後面側および前面側
に着脱可能に当接係合し前記不安定形状物を挟持する第
１の支持具および第２の支持具を有するクランプ装置
と、該クランプ装置をその搬送方向に沿って摺動可能に
支持し装置の不動側に配設されるガイドレールと、前記
クランプ装置を前記ガイドレールに沿って移動させる移
動装置と、前記クランプ装置に係合し、前記第１の支持
具が前記不安定形状物に当接係合した後に前記第２の支
持具を前記不安定形状物に当接係合すべく動作制御する
制御装置を設けてなる把持搬送装置を構成し、更に詳細
に説明すると、前記第１および第２のシリンダを設け、
それ等を制御装置により動作制御するようにした非対称
不安定形状物の搬送装置を構成するものである。

【０００６】

【作用】搬入側から搬送台上に搭載される非対称不安定
形状物はクランプ装置の第１の支持具によりその後面側
を支持される。次に、第２の支持具が前記非対称不安定
形状物の前面側に当接する。以上により、非対称不安定
形状物が支持され、搬送台上に安定支持される。非対称
不安定形状物を把持したクランプ装置をガイドレールに
沿って搬入側から加工位置まで移送し、所定の加工を行
った後、該形状物は排出側に移送されて搬出される。以
上により、非対称不安定形状物は安定支持されながら搬
入側から搬出側に向かって移送される。

【０００７】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明
する。本実施例では、非対称不安定形状物としてエンジ
ンのシリンダブロックを採用する。以下このシリンダブ
ロックを加工物６と称呼する。支持搬送装置１は、図１
乃至図３に示すように加工物６を支持するクランプ装置
２（図４および図５に詳細に示す）と、クランプ装置２
を摺動可能に支持するガイドレール３と、クランプ装置
２をガイドレール３に沿って移動させるための移動装置
４と、クランプ装置２や移動装置４の動作制御を行う制
御装置５からなる。クランプ装置２は後に詳細に説明す
るが、加工物６を支持する第１の支持具７および第２の
支持具８と、それ等を作動する第１のシリンダ９および
第２のシリンダ１０等を備えるものからなる。また、支
持搬送装置１の配設されるステーションとしては、搬入
ステーション（Ａで示す）と、加工ステーション（Ｂで
示す）および搬出ステーション（Ｃで示す）とからな
る。搬入ステーション（Ａ）には加工物６を搭載すると
共にそれを搬送台１１（図１，図３）上に搭載するため
の搬入台１２（詳細構造省略）が配置される。加工ステ
ーション（Ｂ）には加工物６を回転可能に支持する回転
台１３および加工ヘッド１４等が配置される。また、搬
出ステーション（Ｃ）には加工物６を搬出するための搬
出台１５（詳細構造省略）が配置される。

【０００８】まず、クランプ装置２を図４および図５に
より説明する。本実施例では第１の支持具７は加工物６
の搬送方向に沿う後面側を支持し、第２の支持具８が加
工物の前面側を支持するものとする。図５に示すよう
に、ケース本体１６には第１の軸１７と第２の軸１８が
枢支され、第１の軸１７および第２の軸１８の両端側に
は一対の第１の支持具７，７および第２の支持具８，８
の基端側が固定される。第１の支持具７はアーム状部材
からなり、その先端側には加工物６の後面に当接係合す
る当て板１９が固着される。一方、第２の支持具８の先
端側にはピン２０を介し当て具２１の基端側がピン係合
し、当て具２１の端部には加工物６の前面に当接係合す
る当て板２２が固着される。第１の軸１７および第２の
軸１８には第１のピニオンギヤ２３および第２のピニオ
ンギヤ２４が固定される。一方、ケース本体１６には第
１のシリンダ９および第２のシリンダ１０がそれぞれ固
定される。なお、第１のシリンダ９と第２のシリンダ１
０は左右方向に少しずれた位置にそれぞれ配置される。
第１のシリンダ９には第１のラック２５を形成する第１
のロッド２６が連結し、第２のシリンダ１０には第２の
ラック２７を形成する第２のロッド２８が連結される。
なお、第１のロッド２６および第２のロッド２８はケー
ス本体１６にその軸線方向に沿って摺動自在に支持され
る。また、第１のラック２５は第１のピニオンギヤ２３
に噛合し、第２のラック２７は第２のピニオンギヤ２４
にそれぞれ噛合する。以上の構造により、第１のシリン
ダ９を所定ストロークだけ動作すると、第１のラック２
５に噛合する第１のピニオンギヤ２３が回動し、第１の
支持具７が回動してその当て板１９を加工物６の後面に
当接係合させる。一方、第２のシリンダ１０を作動する
ことにより、第２のラック２７に噛合する第２のピニオ
ンギヤ２４が回動し、第２の支持具８が回動し、その先
端側にピン結合する当り具２１の当て板２１が加工物６
の前面に当接させる。加工物６は当て板１９と当て板２
２により挟持されて支持される。また、第１のシリンダ
９のシリンダ力が第２のシリンダ１０のシリンダ力より
も大きいため、加工物６は第２の支持具８により第１の
支持具７側に押圧された状態で支持される。一方、図４
に示すようにケース本体１６の下方側にはガイドブロッ
ク２９，２９が固定される。

【０００９】図４に示すように、制御装置５は第１のシ
リンダ９および第２のシリンダ１０を動作制御すると共
に、後に説明する移動装置４等の動作制御を行うもので
ある。第１の支持具７の当て板１９側には当て板１９が
加工物６の後面に当接したことを検出する検出手段３０
が配置され、検出手段３０の検出信号は制御装置５に入
力される。制御装置５は第１のシリンダ９をまず動作
し、前記検出信号の入力により、第２のシリンダ１０を
動作するように回路構成される。すなわち、加工物６は
第１のシリンダ９により動作される第１の支持具７によ
りその後面側を保持された後、第２のシリンダ１０によ
り動作される第２の支持具８により固定されるように動
作制御される。

【００１０】次に、図１乃至図３によりガイドレール３
およびその周辺の構造について説明する。ガイドレール
３は本実施例では互いに並設される２本のレールからな
り、搬送方向に沿って伸延して配置される。搬入側の枠
体３１および搬出側の枠体３２およびそれ等の中間に配
置される枠体３３，３４，３５，３６等によりガイドレ
ール３，３は支持される。ガイドレール３，３はクラン
プ装置２のケース本体１６に固定されるガイドブロック
３０，３０に係合し、ケース本体１６をガイドレール
３，３の配設方向に沿って摺動自在に支持する。なお、
ガイドレール３，３およびガイドブロック３０，３０
は、例えばＬＭガイドのようなものから構成される。

【００１１】次に、移動装置４を図１乃至図３等により
説明する。枠体３１，３２には、第１のチェーンホイー
ル３７，３８、第２のチェーンホイール３９，４０、第
３のチェーンホイール４１，４２が配置される。第１の
チェーンホイール３７（３８）と第２のチェーンホイー
ル３９（４０）は支持軸４３（４４）上に支持され、第
２のチェーンホイール３９（４０）と第３のチェーンホ
イール４１（４２）とは駆動チェーン４５（４６）によ
り連結させる。また、第３のチェーンホイール４１の支
持軸は駆動モータ４７に連結し、第３のチェーンホイー
ル４２の支持軸は支持具４８により片持ち支持される。
前後の第１のチェーンホイール３７，３８間には搬送用
チェーンホイール４９が架設される。なお、搬送用チェ
ーンホイール４９にはクランプ装置２のケース本体１６
に固定されるチェーン連結具５０が連結される。以上の
構造により、駆動モータ４７を作動することにより、第
３のチェーンホイール４１（４２），駆動チェーン４５
（４６），第２のチェーンホイール３９（４０）および
第１のチェーンホイール３７（３８）を介して搬送用チ
ェーン４９が移動し、連結具５０を介しクランプ装置２
が移動する。

【００１２】図１および図３に示すように加工物６を支
持する搬送台１１は２本のレール部材からなり、図３に
示すように加工物６は搬送台１１上に支持され、それに
接触しながら搬送される。また、加工物６の両側には倒
れを防止するための保持具５１，５２が調整自在に当接
係合する。搬送台１１は加工ステーション（Ｂ）の位置
では分断される。分断された搬送台１１，１１は図１に
示すように回転台１３側に固定される。なお、回転台１
３は図３に示すように、装置の固定側に支持され、シリ
ンダ５３（図１）等により割り出し回転される。

【００１３】次に、本実施例の作用について説明する。
加工物６は図略の搬入手段により搬入台１２上に搭載さ
れ、手動又は図略の自動搬入装置により２本のレール部
材からなる搬送台１１上に搭載される。搬入ステーショ
ン（Ａ）側に待機しているクランプ装置２は第１の支持
具７と第２の支持具８を外方側に開いた状態で加工物６
に係合する。制御装置５は、まず、第１のシリンダ９を
作動する。それにより、前記したように第１の支持具７
が加工物６側に回動し、加工物６の後面に当て板１９が
当接する所定位置で停止する。検出手段３０の検出信号
により制御装置５は第１のシリンダ９の作動が停止する
と共に、第２のシリンダ１０が作動する。それにより、
第２の支持具８が加工物６の方向に回動し、当て板２２
が加工物６の前面側に当接し、加工物６を第１の支持具
７側に押圧する。それにより、加工物６は挟持され、安
定状態に保持される。加工物６が非対称の形状であって
も、第１および第２の支持具７，８が独立に作動するた
め、加工物６は第１および第２の支持具７，８により挟
持される。次に、移動装置４の駆動モータ４７を作動す
ると、搬送用チェーン４９が移動し、連結具５０を介し
てクランプ装置２が搬送方向に移送される。移送時にお
いて、第１のシリンダ９のシリンダ力が第２のシリンダ
１０のシリンダ力よりも強いため、搬送時において加工
物６がぐらつかないで安定状態で移送される。制御装置
５はクランプ装置２に支持された加工物６を加工ステー
ション（Ｂ）の位置で停止すべく動作制御する。クラン
プ装置２は加工ステーション（Ｂ）においては分断され
た搬送台１１上に移し換えられるため、回転台１３上に
回動可能に支持される。加工物６は加工ステーション
（Ｂ）の位置で加工ヘッド１４により所定の加工が行わ
れる。所定の加工が終了したら、搬送用チェーン４９を
移動させ、クランプ装置２に支持されている加工物６を
搬出ステーション（Ｃ）の搬出台１２の場所まで移送す
る。クランプ装置２が搬出台１２上に搭載されたら、第
１および第２のシリンダ９，１０を逆方向に作動し、第
１および第２の支持具７，８を加工物６から離隔する方
向に回動させる。加工物６は図略の搬出装置により次工
程側に移送される。所定の加工が完了したら駆動モータ
４７を逆転し搬送用チェーン４９を逆方向に移動しクラ
ンプ装置２をもとの搬入ステーション（Ａ）側に戻入し
次の加工物６のため待機させる。以下、同様の動作を繰
返し行う。以上の全動作は制御装置５により自動制御さ
れる。

【００１４】以上の説明によって明らかなように、本実
施例の支持搬送装置１のクランプ装置２は回動式の第１
および第２の支持具７，８を第１および第２のシリンダ
９，１０により作動する比較的簡単な構造のものからな
り、移動装置４もチェーンを用いた簡単なものである。
従って装置構造はコンパクトにまとめられ、かつ安価に
実施することが出来る。また、クランプ装置２はガイド
レール３と搬送台１１等により安定支持されるため、円
滑に、かつ所定の搬送速度で搬送することが出来る。ま
た、加工物の形状が変っても、第１および第２の支持具
７，８等を該加工物の前後面形状に見合ったものにする
ことにより、容易に対応することが出来る。なお、本実
施例において、加工物６としてシリンダブロックを採用
したが、勿論それに限定するものではない。

【００１５】

【考案の効果】本考案によれば、次のような顕著な効果
を奏する。 （１）非対称の不安定形状物であっても独立のシリンダ
を有する支持具からなるクランプ装置により前後面を支
持されるため安定保持される。また、クランプ装置自体
がガイドレールに沿って搬送方向に摺動可能に安定支持
されるため非対称の不安定形状物は所定の搬送速度で円
滑に搬送される。 （２）非対称不安定形状物は加工し易い姿勢で搬送台上
に支持されるため、加工が円滑に、かつ迅速に行われ、
加工効率を向上することが出来る。 （３）加工ステーションにおいて縦長に加工物が配置さ
れるため、加工ヘッド側の配置面積が低減し、装置が小
形化される。 （４）クランプ装置およびその移動装置が比較的簡便構
造のものから構成され、安価に実施することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の平面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図２の側面図である。

【図４】本実施例のクランプ装置の平面図である。

【図５】図４のクランプ装置のＡ−Ａ線断面図である。

【符号の説明】

１ 支持搬送装置 ２ クランプ装置 ３ ガイドレール ４ 移動装置 ５ 制御装置 ６ 加工物 ７ 第１の支持具 ８ 第２の支持具 ９ 第１のシリンダ １０ 第２のシリンダ １１ 搬送台 １２ 搬入台 １３ 回転台 １４ 加工ヘッド １５ 搬出台 １６ ケース本体 １７ 第１の軸 １８ 第２の軸 １９ 当て板 ２０ ピン ２１ 当て具 ２２ 当て板 ２３ 第１のピニオンギヤ ２４ 第２のピニオンギヤ ２５ 第１のラック ２６ 第１のロッド ２７ 第２のラック ２８ 第２のロッド ２９ ガイドブロック ３０ 検出手段 ３１ 枠体 ３２ 枠体 ３３ 枠体 ３４ 枠体 ３５ 枠体 ３６ 枠体 ３７ 第１のチェーンホイール ３８ 第１のチェーンホイール ３９ 第２のチェーンホイール ４０ 第２のチェーンホイール ４１ 第３のチェーンホイール ４２ 第３のチェーンホイール ４３ 支持軸 ４４ 支持軸 ４５ 駆動チェーン ４６ 駆動チェーン ４７ 駆動モータ ４８ 支持具 ４９ 搬送用チェーン ５０ チェーン連結具 ５１ 保持具 ５２ 保持具 ５３ シリンダ

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 倒れ易い状態で搬送台上に搭載される非
   対称の不安定形状物を把持し、搬入側から所定の加工位
   置を介して搬出側まで搬送する把持搬送装置であって、
   前記不安定形状物の搬送方向に沿う後面側および前面側
   に着脱可能に当接係合し前記不安定形状物を挟持する第
   １の支持具および第２の支持具を有するクランプ装置
   と、該クランプ装置をその搬送方向に沿って摺動可能に
   支持し装置の不動側に配設されるガイドレールと、前記
   クランプ装置を前記ガイドレールに沿って移動させる移
   動装置と、前記クランプ装置に係合し、前記第１の支持
   具が前記不安定形状物に当接係合した後に前記第２の支
   持具を前記不安定形状物に当接係合すべく動作制御する
   制御装置を設けることを特徴とする非対称不安定形状物
   の支持搬送装置。
2. 【請求項２】 前記クランプ装置が前記第１および第２
   の支持具を動作する第１のシリンダおよび第２のシリン
   ダを設けるものからなり、前記前記制御装置は前記第１
   および第２のシリンダおよび前記移動装置を動作制御す
   るものである請求項１に記載の非対称不安定形状物の支
   持搬送装置。
3. 【請求項３】 前記第１のシリンダは、前記第２のシリ
   ンダよりも大きなシリンダ力を有するものからなる請求
   項１に記載の非対称不安定形状物の支持搬送装置。