JP2573943B2 - エンジンのブロツク構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はエンジンのブロック構造に関し、特にクラン
クシャフトのメインベアリングキャップ部の剛性向上対
策に関する。

（従来の技術） 従来、エンジンのブロック構造として、例えば特公昭
58−47568号公報に開示されるように、シリンダブロッ
クを、クランクシャフトのメインベアリング部を有する
アッパーブロックとメインベアリングキャップ部を一体
形成したロアブロックとにより構成したものが知られて
いる。該ロアブロックは、メインベアリングキャップ部
の下側に配置され各メインベアリングキャップ部を一体
的に連結するビーム部と、メインベアリングキャップ部
の両側に配置され各メインベアリングキャップ部を一体
的に連結する一対の側壁部とからなり、該ビーム部によ
って各メインベアリングキャップ部のクランクシャフト
方向への倒れを防止するとともに上記側壁部によってク
ランクシャフトを中心とした各メインベアリングキャッ
プ部の捩れ変形を防止するものである。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、このような分割タイプのシリンダブロック
を有するエンジンは可及的にその軽量化が図られる傾向
にあるため、メインベアリングキャップ部のクランクシ
ャフト方向への倒れや捩れ変形を一層有効に抑制し得る
シリンダブロックの構造が要望されている。

また、エンジンが揺動した場合、オイルパンの油面が
揺動し、回転部分によってオイルが多量にかき上げられ
たりオイルポンプへのエアの吸込みが生じて問題とな
る。

本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、メイ
ンベアリングキャップ部をその下側で一体的に連結する
部材と両側で一体的に連結する部材とを一体的に設け且
つ上記下側の部材をクランクシャフトを中心とした円弧
状に形成することにより、メインベアリングキャップ部
の剛性を向上させるとともにこの下側の部材によってオ
イルパンのオイルの揺動を制止させることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明の解決手段は、シリ
ンダブロックを、クランクシャフトのメインベアリング
部を有するアッパーブロックとメインベアリングキャッ
プ部を一体形成したロアブロックとにより構成し、該ロ
アブロックの下側にオイルパンを取付けるようにしたエ
ンジンのブロック構造を前提とし、上記ロアブロック
は、上記アッパーブロックとオイルパンとの間における
クランクシャフト両側方に配されてクランクケースを形
成する一対の側壁部と、上記メインベアリング部に対峙
するようクランクシャフト方向に所定間隔を開けて上記
一対の側壁部の間に配設され、該側壁部に両側端がそれ
ぞれ連結されてクランクシャフト方向を仕切る壁状の複
数のベアリングキャップ部と、クランクシャフト下方に
配されクランク軌跡を避けるように湾曲して左右側端部
が上記側壁部に連続的に連結され且つ上記各メインベア
リングキャップ部に前後端部が連続的に連結される湾曲
壁とを有する構成とする。加えて、該湾曲壁の中央下端
部にオイルをオイルパンに戻すドレン口を開口する構成
としたものである。

（作用） 上記の構成により、本発明では、湾曲壁によって各メ
インベアリングキャップ部の前後端部間が連続的に連結
されているので、各メインベアリングキャップ部のクラ
ンクシャフト方向への倒れが防止される。また、上記各
メインベアリングキャップ部はその両側端で側壁部に連
結しているので、各メインベアリングキャップ部のクラ
ンクシャフト周りの捩れ変形が防止される。

さらに、上記湾曲壁は左右両側端が上記側壁部に連続
して一体に連結されているので、湾曲壁及び側壁部が相
互に支持剛性を高めあう上に、上記湾曲部と各メインベ
アリングキャップ部とで例えば雨樋の途中に仕切壁を設
けた如くになり、各メインベアリングキャップ部のクラ
ンクシャフト方向への倒れに対する剛性及びクランクシ
ャフト周りの捩れ変形に対する剛性が共に高められる。

しかも、上記湾曲壁はクランク軌跡を避けるように湾
曲しているので、各メインベアリングキャップ部のクラ
ンクシャフト周りの捩れ変形に対する剛性が一層向上す
る。

加えて、上記湾曲壁はクランクケースを形成する一対
の側壁部に連結され且つ各メインベアリングキャップ部
間を連結し、加えて、下方に凸の湾曲形状をしているの
で、オイルパンのオイルの揺動を制止するバッフルとし
て機能することになり、オイルのかき上げが抑制される
とともにオイルポンプへのエアの吸込みが防止される。
また、ドレン口が湾曲壁の中央下端部に開口しているた
め、クランクシャフトがたとえ非回転状態下において
も、オイルを確実にドレンし得る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図及び第２図は本発明の実施例に係るブロック構
造を備えたＶ型エンジンを示す。１はアッパーブロッ
ク、２は該アッパーブロック１の下側に配設されたロア
ブロックであって、該アッパーブロック１とロアブロッ
ク２とによりシリンダブロック３を構成している。該シ
リンダブロック３の各バンク上にはシリンダヘッド４が
それぞれ配置され、該各シリンダヘッド４とアッパブロ
ックとによって複数のシリンダ５…が形成され、該各シ
リンダ５にはそれぞれピストンが嵌挿されている。ま
た、上記ロアブロック２の下側にはオイルパン７が取付
けられている。

そして、上記アッパーブロック１とロアブロック２と
の間にはクランクシャフト８が配設されている。すなわ
ち、アッパーブロック１において各シリンダ５間に設け
られた隔壁及び前後の端壁にはメインベアリング部９が
それぞれ形成されているとともにロアブロック２には該
各メインベアリング部９に対峙する部位にメインベアリ
ングキャップ部10,10…がそれぞれ一体形成されてお
り、このメインベアリング部9,9,…とメインベアリング
キャップ部10,10,…とによりクランクシャフト８のジャ
ーナル部を回転自在に枢支している。そして、該クラン
クシャフト８には上記各シリンダ５のピストンがコネク
ティングロッド12を介してそれぞれ連結されている。

また、第１図〜第４図に示すように、上記ロアブロッ
ク２は、左右両側方に配設された一対の側壁部12,12
と、該側壁部12,12間における各メインベアリングキャ
ップ部10間に配設された湾曲壁13,13…とを有してい
る。上記各側壁部12はその上端面がアッパーブロック１
の側壁部の下端面に連結されるフランジ面に形成されて
いるとともに下端面がオイルパン７のフランジ部を取付
けるためのレール部に形成されており、該側壁部12,12
の内方にクランクケース14が形成されている。また、該
側壁部12,12の内面には上記各メインベアリングキャッ
プ部10がその両側端においてそれぞれ連結されている。

さらに、上記各湾曲壁13はクランクシャフト８下方に
配され、クランクシャフト８のパランサやコネクティン
グロッド11大端部の回転軌跡等よりなるクランク軌跡を
避けるようにクランクシャフト８を中心とした円弧状に
なるよう下向きに凸に湾曲して形成されており、その前
後端部において各メインベアリングキャップ部10に連結
されているとともに左右側端部において上記各側壁部12
に連続的に連結されている。

そして、上記各湾曲壁13の中央下端部には、略矩形状
のドレン口15が開口されており、クランクケース14内の
オイルをオイルパン７に戻すようにしている。

また、第３図及び第４図に示すように、上記各湾曲壁
13の下側には、一端が湾曲壁13の下面に連結し他端が各
側壁部12の内面に連結する補強リブ16,16が形成されて
いる。

さらに、上記各メインベアリングキャップ部10におけ
るジャーナル摺接部の両側方にはバランスホール17,17
が貫通して形成されており、クランクケース14内におけ
る各シリンダ５のピストン背圧を隣接するシリンダ５側
に逃がしてポンピングロスを軽減するようにしている。

したがって、上記実施例においては、ロアブロック２
の湾曲壁13,13…によって各メインベアリングキャップ
部10の前後端部間が連結されているので、各メインベア
リングキャップ部10のクランクシャフト８方向へ倒れが
防止される。また、上記各メインベアリングキャップ部
10はその両側端でロアブロック２の側壁部12,12に連結
しているので、各メインベアリングキャップ部10のクラ
ンクシャフト８周りの捩れ変形が防止される。

さらに、上記湾曲壁13,13…は上記側壁部12,12に一体
に連結しているので、湾曲壁13,13…及び側壁部12,12が
相互に支持剛性を高め合うことにより各メインベアリン
グキャップ部10のクランクシャフト８方向への倒れに対
する剛性及びクランクシャフト８周りの捩れ変形に対す
る剛性が共に高められる。

しかも、上記湾曲壁13,13…は、クランクシャフト８
を中心とした円弧状になるよう湾曲しているので、各メ
インベアリングキャップ部10のクランクシャフト８周り
の捩れ変形に対する剛性が一層向上する。

さらに、上記湾曲壁13,13…には補強リブ16,16によっ
て補強されているので、上記各剛性の向上を実効あるも
のにすることができる。

加えて、上記湾曲壁13,13…は側壁部12,12に連結され
且つ各メインベアリングキャップ部10間を連結し、ま
た、下向きに凸に湾曲しているので、オイルパン７のオ
イルの揺動を制止するバッフルとして機能することにな
り、クランクケース14内にオイルが多量にかき上げられ
たりオイルポンプへエアが吸込まれることを有効に防止
することができる。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明のエンジンのブロック構
造によれば、シリンダブロックのロアブロックを、アッ
パーブロックとオイルパンとの間におけるクランクシャ
フト両側方に配されてクランクケースを形成する一対の
側壁部と、該側壁部に両側端がそれぞれ連結されてクラ
ンクシャフト方向を仕切る壁状の複数のベアリングキャ
ップ部と、クランクシャフト下方に配されクランク軌跡
を避けるように湾曲して上記側壁部に連結され且つ上記
各メインベアリングキャップ部間を連結する湾曲壁とに
より構成し、該湾曲壁にオイルをオイルパンに戻すドレ
ン口を開口したので、各メインベアリングキャップ部の
支持剛性が高められ、クランクシャフト方向への倒れ及
びクランクシャフト周りの捩れ変形をそれぞれ有効に防
止することができるとともに、湾曲壁のもつバッフル機
能によってオイルの揺動を有効に制止することができる
一方、クランクケース内のオイルをドレン口を通して効
果的にドレンさせることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図はエンジンの縦断
正面図、第２図は同縦断側面図、第３図はロアブロック
の底面図、第４図はロアブロックの縦断正面図である。 １……アッパーブロック、２……ロアブロック、３……
シリンダブロック、７……オイルパン、８……クランク
シャフト、９……メインベアリング部、10……メインベ
アリングキャップ部、12……側壁部、13……湾曲壁、14
……クランクケース、15……ドレン口。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダブロックを、クランクシャフトの
   メインベアリング部を有するアッパーブロックとメイン
   ベアリングキャップ部を一体形成したロアブロックとに
   より構成し、該ロアブロックの下側にオイルパンを取付
   けるようにしたエンジンのブロック構造において、 上記ロアブロックは、上記アッパーブロックとオイルパ
   ンとの間におけるクランクシャフト両側方に配されてク
   ランクケースを形成する一対の側壁部と、 上記メインベアリング部に対峙するようクランクシャフ
   ト方向に所定間隔を開けて上記一対の側壁部の間に配設
   され、該側壁部に両側端がそれぞれ連結されてクランク
   シャフト方向を仕切る壁状の複数のベアリングキャップ
   部と、 クランクシャフト下方に配されクランク軌跡を避けるよ
   うに湾曲して左右側端部が上記側壁部に連続的に連結さ
   れ且つ上記各メインベアリングキャップ部に前後端部が
   連続的に連結される湾曲壁と を有し、 該湾曲壁の中央下端部にはオイルをオイルパンに戻すド
   レン口が開口されていることを特徴とするエンジンのブ
   ロック構造。