JPH085295Y2 - エンジンのバッフルプレート装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、クランクシャフトの下方にオイルパンを貫
通する別のシャフトを配置したエンジンにおけるバッフ
ルプレート装置に関する。

（従来の技術） 従来、特開平１−301411号公報により、クランクシャ
フトの下方に、オイルパンの側部に設けた差動装置の一
方の出力軸から成るシャフトをオイルパンに貫通させて
配置したエンジンは知られている。

このエンジンにはバッフルプレートは設けられていな
いが、クランク室側から戻されるオイルの勢いを弱めて
オイルパン内の油面の波立ちを抑えるために、オイルパ
ンにバッフルプレートを設けることも公知である。

（考案が解決しようとする課題） バッフルプレートは、クランク室側から戻されるオイ
ルを一旦受け止めて、これに形成したオイル戻し穴を通
してオイルパンにオイルを戻すように構成されており、
この場合オイル戻し穴が小さいとオイルの還流効率が悪
くなり、一方、オイル戻し穴が大きいとこの穴を素通り
するオイル量が増して、オイルの勢いを弱めるというバ
ッファ機能が低下し、オイル戻し穴の大きさの設定は極
めて難しい事項となっている。

本考案は、オイルパンを貫通するシャフトを有するエ
ンジンにおいて、バッフルプレートとシャフトとの組合
わせにより、バッファ機能を損うことなくオイルの還流
効率を向上し得るようにした装置を提供することをその
目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成すべく、本考案では、クランクシャフ
トの下方にオイルパンを貫通する別のシャフトを配置し
たエンジンにおいて、オイルパンに該シャフトの上下一
側に位置させてバッフルプレートを設け、該バッフルプ
レートの該シャフトに対向する部分にオイル戻し穴を形
成した。

（作用） オイルの還流効率を向上するためにオイル戻し穴を大
きくしても、オイル戻し穴に対向するシャフトが障害物
となるため、オイル戻し穴を素通りしてオイルが勢いよ
くオイルパンに落下することはない。

（実施例） 第１図及び第２図を参照して、（１）は車両用の縦置
Ｖ型６気筒エンジンのシリンダブロックを示し、該シリ
ンダブロック（１）内のクランク室にクランクシャフト
（２）をその４箇所のジャーナル部（2a）において夫々
ジャーナル軸受（３）によって軸支し、クランクシャフ
ト（２）のこれらジャーナル部（2a）間に設けた各１対
のクランクアーム（2b）（2b）間に、Ｖバンクの一方と
他方のシリンダボアに嵌挿されるピストン（４）のコン
ロッド（4a）を枢着した。

シリンダブロック（１）の下端にはオイルパン（５）
が設けられており、シリンダブロック（１）の一端面に
タイミングベルト（６）を介して駆動されるオイルポン
プ（７）を設けて、その吸入側に連なるストレーナ（8
a）付きのオイル吸入管（８）をオイルパン（５）に挿
入し、オイルパン（５）内のオイルをオイルポンプ
（７）を介してクランクシャフト（２）のジャーナル部
（2a）に形成した油孔（９）を含む所要の潤滑箇所に給
油するようにした。

オイルパン（５）の一側部には、変速機の出力側に連
結される差動装置（10）が配置されており、該差動装置
（10）の一方の出力軸（11）をクランクシャフト（２）
の下方において該シャフト（２）と直交方向にオイルパ
ン（５）を貫通させ、その先端部をオイルパン（５）の
他側部に取付けた軸受スリーブ（12）に軸支し、該出力
軸（11）をその先端に連結する図外のプロペラシャフト
を介して車両の一方の駆動輪に連結するようにした。

尚、該出力軸（11）は、オイルパン（５）の両側壁に
跨って取付けたパイプ（13）に挿通してオイルパン
（５）を貫通させるものとした。

図中（14）はオイルパン（５）にパイプ（13）の上側
に位置させて設けたバッフルプレートを示し、該バッフ
ルプレート（14）のパイプ（13）に対向する部分にオイ
ル戻し穴（14a）を形成した。該バッフルプレート（1
4）は、第３図及び第４図に示す通り、両側部を起立さ
せた樋状を成すと共に、両側部上縁にオイルパン（５）
への取付フランジ（14b）と、その底部にパイプ（13）
の上部を受入れる上方への凹入部（14c）とが形成され
ており、該凹入部（14c）に前記オイル戻し穴（14a）
を、凹入部（14c）の長手方向を長軸とする楕円形で且
つ短軸方向の孔縁部が下方に凹入するように形成し、該
オイル戻し穴（14a）にこれに対向するパイプ（13）の
部分が入り込むようにした。これによれば、バッフルプ
レート（14）をパイプ（13）に可及的に接近させてコン
パクトに配置することが可能となる。

尚、このバッフルプレート（14）には、前記オイル戻
し穴（14a）の外に開口面積の小さい補助的なオイル戻
し穴（14d）が複数個形成されているが、第５図に示す
実施例のように、バッフルプレート（14）の底部にオイ
ル戻し穴（14a）に向う下り勾配の傾斜を付ければ、こ
れらの補助的なオイル戻し穴（14d）は不要となる。

又、オイルパン（５）の実質的な内容積がパイプ（1
3）によって減少することを阻止する上でパイプ（13）
は可及的上方位置に配置することが望まれ、そこで上記
実施例では、パイプ（13）を上方配置に有利なクランク
シャフト（２）のジャーナル部（2a）の直下に配置する
ものとし、更に該ジャーナル部（2a）の両側のクランク
アーム（2b）（2b）の外面間の距離l₁よりパイプ（13）
の径l₂を大きくし、駆動時にクランクアーム（2b）から
飛散するオイルを該パイプ（13）によって受け止められ
るようにした。

図中（15）は、加速時等にオイルパン（５）内の油面
が傾くことを防止するために、オイルパン（５）内に設
けたサブバッフルプレートを示す。

上記構成によれば、クランク室側からのオイルがオイ
ル戻し穴（14a）を素通りしても、このオイルはパイプ
（13）に受け止められ、かくてオイル戻し穴（14a）を
大きくしてもバッファ機能を損うことはなく、オイルの
還流効率を向上させて、エンジン駆動時にオイルパン
（５）内の油面レベルを停止時のレベルａから大幅に下
がらないｂのレベルに維持することが可能となる。

これは、バッフルプレート（14）をパイプ（13）の下
側に設ける場合も同様である。

又、パイプ（13）を省略し、バッフルプレート（14）
に出力軸（11）たるオイルパン（５）内のシャフトに直
接対向するようにオイル戻し穴（14a）を形成しても良
いが、この場合はシャフト（11）がこれへのオイルの当
りによる回転抵抗を受けたり、シャフト（11）からオイ
ルが飛散されるため、上記実施例の如くパイプ（13）内
にシャフト（11）を挿通し、シャフト（11）にパイプ
（13）を介して対向するようにオイル戻し穴（14a）を
形成することが望ましい。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案によれば、オ
イル戻し穴を大きく形成してもバッファ機能を損わず、
バッファ機能とオイル還流効率との両立を図れる効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案装置を具備するエンジンの１例の横断面
図、第２図は第１図のII−II線で截断したエンジンの縦
断面図、第３図はバッフルプレートの平面図、第４図は
第３図の左側面図、第５図は他の実施例のエンジンの縦
断面図である。 （２）…クランクシャフト （５）…オイルパン （11）…出力軸（別のシャフト） （13）…パイプ （14）…バッフルプレート （14a）…オイル戻し穴

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】クランクシャフトの下方にオイルパンを貫
   通する別のシャフトを配置したエンジンにおいて、オイ
   ルパンに該シャフトの上下一側に位置させてバッフルプ
   レートを設け、該バッフルプレートの該シャフトに対向
   する部分にオイル戻し穴を形成したことを特徴とするエ
   ンジンのバッフルプレート装置