JP2573118B2 - 被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管 - Google Patents
被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管Info
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Description
造用電気抵抗溶接鋼管に関するものである。
械生産量の増大に伴い、被削性の優れた鋼材の必要性が
大きくなっている。機械構造用鋼管についても、切削加
工の自動化、高能率化によって切屑処理性、切削仕上面
の良好な材料が望まれている。一般の機械構造用鋼につ
いては、被削性を改善させるために、例えば特開昭55
−85658号公報、特開昭57−140853号公報
や特開昭62−33747号公報に示されているような
S系快削鋼、Pb快削鋼、Ca快削鋼およびこれらの複
合快削鋼が開発され、実用化されている。
物による機械的性質の劣化を防ぐために、特公昭61−
16337号公報に示すように、s ol.Alを制限
し、S、Ca、Oの量を特定しているものもある。
削鋼を用いて、被削性の良好な機械構造用鋼管を電気抵
抗溶接によって製造しようとする際には、以下に示す問
題点がある。すなわち、これらの快削鋼の快削性元素が
生成する介在物は、一般に機械的性質を劣化させ、さら
に電気抵抗溶接性を劣化させ、溶接割れ、超音波探傷試
験時のUST不良などによる大幅な歩留低下の原因とな
るため、電気抵抗溶接管の材料としては使用することが
できない。
いても、電気抵抗溶接管の素材として用いる場合には、
上記問題点を完全に解消するものでなく、さらにSiキ
ルド鋼においてOの量を0.0040重量%以下に低減
させることは通常困難である。一方、上記に示した快削
性元素を大幅な歩留低下を生じさせない範囲内で添加
し、電気抵抗溶接管素材とすることも考えられるが、こ
の程度の添加では、管に冷間引抜あるいはその他の冷間
加工を与えた場合、一般に切屑処理性が悪化するため、
その被削性は十分なものではない。
造用電縫鋼管の被削性改善要求に応えることを目的とし
てなされたものである。
ろは下記のとおりである。 (1) 重量%表示で C:0.02〜0.60%、 Si:0.4%以下、 Mn:0.20〜2.0%、 P:0.030%以下、 S:0.005〜0.040%、 T.Al:0.001〜0.030%、 N:0.0020〜0.0100%、 O:0.0025〜0.0060% を含み、さらに Bi:0.005〜0.040%、Pb:0.005〜
0.040%、Te:0.010〜0.040%の1種
以上を合計0.050%以下含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする
被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管。
した前項1記載の被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶
接鋼管。 (3) 重量%表示で C:0.02〜0.60%、 Si:0.4%以下、 Mn:0.20〜2.0%、 P:0.030%以下、 S:0.005〜0.040%、 T.Al:0.001〜0.030%、 N:0.0020〜0.0100%、 O:0.0025〜0.0060% を含み、さらに Bi:0.005〜0.040%、Pb:0.005〜
0.040%、Te:0.010〜0.040%の1種
以上を合計0.050%以下含有し、さらに、 Ca:0.020%以下で、かつ Ca%/(1.25×O%+0.625×S%)≧0.
05を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする
被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管。
した前項3記載の被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶
接鋼管。ここで、本発明は、切屑処理性の良好な電気抵
抗溶接管を、歩留よく製造することを可能とするため
に、素材のS、Ca、Oの量を限定し、さらに管の機械
的性質を劣化させることのない範囲内で快削性元素であ
るN、SとBi、Pb、Teの1種以上との複合効果を
最大限に発揮させたものである。
ように本発明鋼管の成分範囲を定めた理由について説明
する。本発明は、切屑処理性の良好な機械構造用鋼管
を、電気抵抗溶接により製造することを目的としたもの
で、S、Ca、Oの量を限定することにより、快削成分
の介在物による電気抵抗溶接の際の溶接割れ、UST不
良などを原因とする歩留の大幅低下を抑制し、S、Nお
よびBi、Pb、Teの1種以上との複合効果により被
削性を向上させている。
ため下限を0.02%とした。一方、0.60%を超え
ると靱性および被削性が劣化するうえ、製管のための電
気抵抗溶接時に、その熱影響によって著しく硬化し、加
工性を損なうので、その上限を0.60%とした。Si
は脱酸上鋼に含まれる元素であるが、過剰に添加すると
延性を低下させるほか、Siスケールの生成によって被
削材の表面性状を劣化させ、被削性も悪化させるため、
その上限値を0.4%とした。
えで不可欠な元素であり、Sによる熱間脆性を回避する
意味を併せて、下限を0.20%とした。しかしなが
ら、過度の添加は加工性・溶接性を劣化させるため、
2.0%以下とした。Pは一般に鋼中に固溶して生地を
脆化させることにより被削性を向上させる元素である
が、この量が多いと電気抵抗溶接性を劣化させる。従っ
て、その上限を0.030%とした。
素であり、0.005%以上の添加でその効果を発揮す
るが、S量の増大と共に、製管のための電気抵抗溶接の
際の溶接割れ、超音波探傷試験時のUST不良などによ
る大幅な歩留低下の原因となるため、その上限値を0.
040%とした。Nは被削性に対して有効な元素であ
る。これは切屑の温度がNによる青熱脆性温度領域に達
するため、切屑の分断性がよくなるというものであり、
0.0020%以上の添加でその作用を発揮する。しか
しながら、0.0100%を超えて添加すると溶接性を
著しく劣化させることから、その上限値を0.0100
%とした。
リムド鋼ベースのものを考慮して、T.Alの下限値を
0.001%とした。一方、Alはアルミナクラスター
の生成により鋼の被削性を悪化させるため、その上限を
0.030%とした。なおAlNの生成により本発明の
なかでNによる効果である青熱脆性を軽減させるため、
青熱脆性の効果を最大限に発揮させるためには、T.A
lを0.006%以下とし、Nを0.0040%以上添
加するのが望ましい。
場合、0.0060%超の添加によって酸化物が増大
し、超音波探傷試験時のUST不良の要因となるうえ、
後述のCa酸化物を生成することにより、次に述べる硫
化物MnSの形態を制御するためのCaを少なくするの
で、その上限を0.0060%とし、下限は0.002
5%とした。Bi、Pbはいずれも低融点で、切屑の青
熱脆性温度領域での脆化により切屑の分断性を良くする
効果がある。また、TeはSと有効に結びついてMnS
の展伸を防止することで被削性を向上させる。しかしな
がら、これらを多量に添加すると、熱延時の表面疵の原
因となるほか、冷間加工性を阻害するため、上記のS、
Nとの複合効果を前提として、Bi:0.005〜0.
040%、Pb:0.005〜0.040%、Te:
0.010〜0.040%を1種以上、合計0.050
%以下とした。本発明においては、S、Nおよび、B
i、Pb、Teの1種以上との複合効果により、被削性
向上に対して十分にその効果を発揮し、製管後に、冷間
加工により加工硬化を与えられた材料についても優れた
切屑処理性を有している。
と共に、切削工具寿命、冷間加工後の機械的性質を優れ
たものにするには、下記に示すCaの添加が有効であ
る。Caは硫化物MnSの形態を制御し、靱性を向上さ
せる効果を有しているほか、酸化物生成により工具寿
命、切削抵抗を良好とする。一方、0.020%を超え
て添加すると大型介在物となり、靱性、電気抵抗溶接性
に悪影響を及ぼす。このため、その上限を0.020%
に制限した。
625×S%)を0.05以上とすることで、製管のた
めの電気抵抗溶接の際のUST不良の原因となるMnS
の展伸を抑える効果を発揮させることができる。なお、
上式の分母は、CaがCaSとしてSと有効に結びつ
き、硫化物の多くを楕円状化してMnSの展伸を抑制
し、さらにCa、Alが有効に結びついて低融点酸化物
CaO・Al2 O3 を生成するために必要なCa量を表
している。
を考慮して、0.10%以上のCr、Mo等の合金元素
を加えた場合にも有効であり、炭素鋼をはじめ、各種の
合金鋼に対しても適用し得る。但し、これらの元素につ
いても、多量添加は機械構造用合金鋼としての被削性を
低下させるので、その上限値をCrは1.50%、Mo
は0.60%とした。さらに、必要に応じて、結晶粒を
細粒化し靱性を向上させるために、Nb、W等を含有さ
せることも可能である。また、本発明にREM(希土類
元素)を含有させることにより、機械的性質を改善させ
ることも可能である。
鋼は、転炉、電気炉などで溶製され、造塊−分塊あるい
は連続鋳造の工程を経て熱間圧延される。次いで、必要
に応じて冷間圧延を施され、管成形−電気抵抗溶接され
た後、必要に応じて所定の熱処理を受け、あるいはさら
に冷間引抜により所定の外径にされた後、機械構造用鋼
管として使用に供される。
(表3のつづき)は本発明を実施するにあたって使用に
供した鋼の化学組成を示したものである。表1〜表4に
示した成分の鋼を溶製、連続鋳造、熱間圧延を行った
後、電気抵抗溶接を行い、φ50.8×t5.0mmの電
気抵抗溶接管を製造した。また、製管後の全ての管につ
いて、超音波探傷(UST)を実施した。この際のUS
Tの歩留値と実用試験結果について表5に示す。さら
に、製管後、熱処理、冷間引抜を行い、旋盤を用いて切
削試験を実施した。その結果も併せて表5に示す。これ
らの結果をまとめて、模式的に図1、図2に本発明の効
果を示す。
RPM 、送り0.10〜0.50mm/rev.、切削速度50
〜200mm/min.、切込み1.5mmの切削条件で超硬工
具を用いて実施し、切屑を採取した。ここで、切屑処理
性指数は、切屑長さ50mm以下が得られる条件数の全条
件数に対する百分率で示した。
の機械構造用電気抵抗溶接鋼管はUST時の歩留は良好
であるが、切屑処理性が劣ること、Sレベルの高い従来
の快削鋼を素材とした場合には、切屑処理性は良好であ
るが、UST時の歩留が著しく劣ることがわかる。さら
に、S、N、Ca、Oの量を本発明で示した範囲に特定
することにより、歩留を著しく低下させることなく、切
屑処理性の良好な電気抵抗溶接鋼管を製造することが可
能であることがわかる。さらに、図2よりS、Nおよび
Bi、Pb、Teの1種以上との複合効果により、冷間
加工材においても、切屑処理性が良好であることがわか
る。
構造用電気抵抗溶接鋼管の素材のS、Ca、Oの量を本
発明の範囲に特定することにより、UST時の歩留の低
下はほとんどなくなる。さらにS、NおよびBi、P
b、Teの1種以上との複合効果によりその被削性は非
常に良好である。本発明により被削性の優れた機械構造
用電気抵抗溶接鋼管を製造することが可能となった。
る。
た図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%表示で C:0.02〜0.60%、 Si:0.4%以下、 Mn:0.20〜2.0%、 P:0.030%以下、 S:0.005〜0.040%、 T.Al:0.001〜0.030%、 N:0.0020〜0.0100%、 O:0.0025〜0.0060% を含み、さらに Bi:0.005〜0.040%、Pb:0.005〜
0.040%、Te:0.010〜0.040%の1種
以上を合計0.050%以下含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする
被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管。 - 【請求項2】 さらに、 Cr:0.10〜1.50%、 Mo:0.10〜0.60%の1種もしくは2種を添加
した請求項1記載の被削性の優れた機械構造用電気抵抗
溶接鋼管。 - 【請求項3】 重量%表示で C:0.02〜0.60%、 Si:0.4%以下、 Mn:0.20〜2.0%、 P:0.030%以下、 S:0.005〜0.040%、 T.Al:0.001〜0.030%、 N:0.0020〜0.0100%、 O:0.0025〜0.0060% を含み、さらに Bi:0.005〜0.040%、Pb:0.005〜
0.040%、Te:0.010〜0.040%の1種
以上を合計0.050%以下含有し、さらに、 Ca:0.020%以下で、かつ Ca%/(1.25×O%+0.625×S%)≧0.
05を含有し、 残部鉄および不可避的不純物からなることを特徴とする
被削性の優れた機械構造用電気抵抗溶接鋼管。 - 【請求項4】 さらに、 Cr:0.10〜1.50%、 Mo:0.10〜0.60%の1種もしくは2種を添加
した請求項3記載の被削性の優れた機械構造用電気抵抗
溶接鋼管。
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