JP2559573Y2 - 塵芥収集車の油圧制御装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、塵芥収集車の油圧制御装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 一般に、塵芥収集車は、塵芥収容箱の後方開口部に、
塵芥処理装置を装備した塵芥投入箱を傾動可能に連接
し、塵芥投入箱を固縛シリンダを介して塵芥収容箱に固
縛するとともに、塵芥処理装置を電気−油圧制御装置に
よって作動制御するように構成している。

さらに、適宜塵芥収容箱の塵芥を排出した後、塵芥投
入箱が降下して塵芥収容箱と連接状態になったことを電
気接点が検出すると、固縛シリンダの電磁制御弁が切換
制御されて塵芥収容箱に対する塵芥投入箱の固縛が行わ
れるように構成している（例えば、特開昭63-306101号
公報参照）。

（考案が解決しようとする課題） ところが、このような塵芥収集車においては、塵芥収
容箱と塵芥投入箱との連接状態を検出する電気接点の取
付誤差などにより、塵芥投入箱が充分な連接状態になる
直前の降下中に電気接点が作動する場合があり、この場
合には、電磁制御弁が直ちに切り換わって固縛シリンダ
が作動し、塵芥投入箱を塵芥収容箱に対して確実に固縛
できないという問題があった。

本考案はこのような問題点に鑑みてなされたもので、
塵芥収容箱と塵芥投入箱との連接状態を検出する電気接
点の取付位置に誤差などがあっても、塵芥投入箱を塵芥
収容箱に確実に固縛することのできる塵芥収集車の油圧
制御装置を提供するものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、車体上に搭載された塵芥収容箱の後方開口
部に塵芥処理装置を内部に装備した塵芥投入箱を昇降シ
リンダにより傾動自在に連接するとともに、前記塵芥投
入箱を固縛シリンダにより塵芥収容箱に固縛し、前記昇
降シリンダおよび固縛シリンダを電気−油圧制御装置を
介して作動制御する塵芥収集車において、前記昇降シリ
ンダおよび固縛シリンダを制御する電磁制御弁を設け、
塵芥投入箱の固縛解除時に高圧側となる固縛シリンダへ
の供給管路から分岐して昇降シリンダへの供給管路を接
続し、これらの供給管路の分岐接続部よりも電磁制御弁
側に絞り弁を配設し、固縛シリンダによる塵芥投入箱の
固縛作動時、固縛シリンダからの圧油を絞り弁を介して
絞ることにより、その作動速度を緩慢に制御することを
特徴とするものである。

（作用） 塵芥の排出が終了した後、昇降シリンダの縮小作動を
許容して塵芥投入箱の降下を開始させると、昇降シリン
ダからの圧油は絞り弁によって絞られ、一定の速度で緩
慢に降下する。この後、塵芥投入箱が塵芥収容箱との連
接位置に降下したことを電気接点が検出すると、電磁制
御弁が切り換えられ、固縛シリンダには塵芥投入箱を固
縛するように圧油が供給される。この際、固縛シリンダ
からの圧油は絞り弁によって絞られ、一定の速度で緩慢
に作動することになる。

この結果、塵芥収容箱と塵芥投入箱との連接状態を検
出する電気接点の取付位置に誤差などがあって電磁制御
弁が早めに切換制御されても、固縛シリンダの固縛作動
が緩慢に行われることから、塵芥投入箱を塵芥収容箱に
対して確実に固縛することができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第２図において、１は塵芥収集車で、車体２上に塵芥
収容箱３が載置されており、該塵芥収容箱３は車体２と
塵芥収容箱３との間に装設されたダンプシリンダ４によ
り枢支５部回りに適宜傾動自在である。この塵芥収容箱
３の後方開口部3aには、その上方で枢着６された塵芥投
入箱７が連接されており、この塵芥投入箱７は、後述す
るように、塵芥収容箱３と塵芥投入箱７との間に装設さ
れた昇降シリンダ（ラムシリンダ）14により枢着６部回
りに適宜傾動自在に構成されている。さらに、塵芥投入
箱７の後部には投入口８が開口されるとともに、その内
部には塵芥処理装置９が装備されている。

塵芥処理装置９は、押込板10と、回転板11と、それら
を駆動するための油圧アクチュエータである押込シリン
ダ12および油圧モータ13（第１図参照）とからなり、従
来周知のように押込板10と回転板11の協働作用により塵
芥投入箱７の貯留部18に投棄された塵芥を塵芥収容箱３
内に積み込むものである。

一方、塵芥収容箱３の裏面後部には一端を枢支された
固縛シリンダ15が配設されており、その他端は塵芥収容
箱３の下部に枢支した固縛爪16にロッド19を介して連結
されている。そして、通常固縛シリンダ15を介して固縛
爪16を塵芥投入箱７の前面に固設したＵボルト17に係合
させ、塵芥投入箱７を塵芥収容箱３に対して固縛してい
る。

次に油圧回路について第１図により説明する。

Ｐは油圧ポンプ、Ｔはオイルリザーバ、V1はダンプシ
リンダ４を制御する電磁制御弁、V2は押込シリンダ12を
制御する電磁制御弁、V3は油圧モータ13を制御する電磁
制御弁、V4は昇降シリンダ14および固縛シリンダ15を制
御する電磁制御弁であり、これらの電磁制御弁V1,V2,V
3,V4はスプール操作用ソレノイドSOLc,SOLd,SOLe,SOLf,
SOLg,SOLl,SOLa,SOLjを備えている。そして、油圧ポン
プＰの吐出管路に対し、前記電磁制御弁V1,V2,V3群と電
磁制御弁V4は並列に配置され、また、各電磁制御弁V1,V
2,V3はそれぞれ直列に配置されている。

さらに、V5は通常昇降シリンダ14から圧油の流出、す
なわち、縮小作動を阻止し、昇降シリンダ14への圧油の
流入、すなわち、伸長作動を許容する位置に付勢された
電磁開閉弁で、スプール操作用ソレノイドSOLkを備えて
いる。

そして、前記昇降シリンダ14は、塵芥収容箱３に対す
る固縛を解除する際、固縛シリンダ15の、高圧側となる
ピストン背圧側油室に接続される供給管路から分岐する
供給管路を介して接続されている。そして、これらの供
給管路の分岐接続部よりも上流側、すなわち、電磁制御
弁V4側には絞り弁20が配設されている。

次に、塵芥処理装置９による塵芥積込作動について説
明すると、塵芥投入箱７に投入口８を通して塵芥を投棄
し、図示しない始動スイッチを操作すると、まず、電流
はソレノイドSOLgに通電し、電磁制御弁V3を下方位置に
切り換える結果、油圧モータ13が作動して回転板11が正
転作動を開始する。

回転板11が所定角度を回転すると、回転板11の正転作
動を継続すると同時に、ソレノイドSOLfに流れ、電磁制
御弁V2を上方位置に切り換えて押込シリンダ12を縮小作
動せしめ、押込板10を後退させる。押込板10が後退限界
位置に達すると、ソレノイドSOLfの励磁が断たれ、電磁
制御弁V2は中正位置に復帰して押込板10の後退を停止す
る。この際、回転板11の正転作動は依然として継続さ
れ、塵芥投入箱７の貯留部18に投棄された塵芥を掻き上
げ、一回転して掻上停止位置に達すると、電磁制御弁V3
は中正位置に復帰し、回転板11の正転作動が停止すると
同時に、ソレノイドSOLeに流れ、電磁制御弁V2を下方位
置に切り換える。このため、押込シリンダ12が伸長作動
し、押込板10は前進して回転板11上に掻き上げられた塵
芥を塵芥収容箱３内に押し込む。この後、押込板10が前
進限界位置に達すると、電磁制御弁V2を中正位置に復帰
させて押込板10の前進を停止させる。ここで塵芥処理装
置９による塵芥積込の１サイクル作動が終了する。

上記のようにして塵芥収容箱３内への塵芥の積み込み
を終えると指定の処理場まで運行し、塵芥を排出する。

この排出に際しては、まず、図示しない開閉スイッチ
を操作すると、電流はソレノイドSOLaおよびソレノイド
SOLfへ流れ、電磁制御弁V2が上方位置に、電磁制御弁V4
が下方位置にそれぞれ切り換えられる。この場合、まず
負荷の軽い押込シリンダ12が縮小作動して押込板10は後
退する。押込シリンダ12が全縮小して押込板10が後退限
界位置に達すると、次に負荷の軽い固縛シリンダ15が伸
長作動する結果、固縛爪16は時計回りに回動してＵボル
ト17より離脱する。このため、塵芥投入箱７の、塵芥収
容箱３に対する固縛は解除される。固縛シリンダ15が全
伸長すると、圧油は固縛シリンダ15への供給管路から分
岐して電磁開閉弁V5を経て昇降シリンダ14のピストン背
圧側油室に供給される。この結果、昇降シリンダ14が伸
長し、塵芥収容箱３に対して塵芥投入箱７は枢着６部を
中心に開放する方向に傾動する。

そして、塵芥投入箱７が一定角度傾動した後、図示し
ないダンプスイッチを操作すれば、ソレノイドSOLcに電
流が流れ、電磁制御弁V1が下方位置に切り換わり、ダン
プシリンダ４を伸長作動させて塵芥収容箱３を傾動さ
せ、塵芥を排出することができる。

塵芥の排出が終了した後、ダンプスイッチを操作すれ
ばソレノイドSOLdに通電し、電磁制御弁V1を上方位置に
切り換えることから、ダンプシリンダ４は縮小作動し、
塵芥収容箱３を伏倒させる。

塵芥収容箱３が走行位置に復帰した後、開閉スイッチ
を操作すると、電流はソレノイドSOLkに流れ、電磁開閉
弁V5を上方位置に切り換える結果、昇降シリンダ14のピ
ストン背圧側油室は電磁開閉弁V5、絞り弁20、中正位置
にある電磁制御弁V4を経てオイルリザーバＴに連通する
ため、昇降シリンダ14は塵芥投入箱７の自重によって縮
小作動し、塵芥投入箱７が降下を開始する。この際、昇
降シリンダ14からの圧油は絞り弁20によって絞られるこ
とから、塵芥投入箱７は一定の速度で緩慢に降下する。
なお、油圧ポンプＰよりの圧油は電磁制御弁V2,V1,V4を
経てオイルリザーバＴに帰還する。

塵芥投入箱７が塵芥収容箱３に対し連接状態に達する
と、図示しない電気接点が作動してソレノイドSOLjに通
電すると同時に、ソレノイドSOLdに通電して電磁制御弁
V1およびV4を上方位置に切り換える。このため、油圧ポ
ンプＰよりの圧油は固縛シリンダ15のピストンロッド側
油室およびダンプシリンダ４のピストンロッド側油室に
供給される。このとき、ダンプシリンダ４は既に塵芥収
容箱３を伏倒して全縮小しており、さらに、固縛シリン
ダ15のピストン背圧側油室に連なる供給管路には絞り弁
20が配設されていることから、このダンプシリンダ４に
よって阻止された圧油は、固縛シリンダ15を緩慢に縮小
作動させる。この結果、固縛爪16は連接状態にある塵芥
投入箱７のＵボルト17と緩慢に係合することになる。こ
のように、固縛シリンダ15による固縛作動はゆっくりと
行われる。

この際、塵芥収容箱３と塵芥投入箱７との連接状態を
検出する電気接点の取付位置に誤差などがあって固縛シ
リンダ15の電磁制御弁V4が早めに切換制御されても、固
縛シリンダ15の固縛作動は緩慢に行われることから、塵
芥投入箱７を塵芥収容箱３に対して確実に固縛すること
ができる。

そして、走行状態に復帰すれば再び塵芥収集作業に出
発することができる。

なお、本実施例においては、押込板10と回転板11の協
働作用によって塵芥を塵芥収容箱３内に押し込む塵芥処
理装置９を例示したが、このような塵芥処理装置９に限
るものではなく、一枚板の押込板方式でもよい。また、
塵芥収容箱３内の塵芥の排出もダンプシリンダ４によっ
て塵芥収容箱３を傾動する方式だけでなく、排出板を後
方に摺動して排出する方式でもよい。

（考案の効果） 以上のように本考案にあっては、塵芥収集車を構成す
る昇降シリンダおよび固縛シリンダを制御する電磁制御
弁を設け、塵芥投入箱の固縛解除時に高圧側となる固縛
シリンダへの供給管路から分岐して昇降シリンダへの供
給管路を接続し、これらの供給管路の分岐接続部よりも
電磁制御弁側に絞り弁を配設し、固縛シリンダによる塵
芥投入箱の固縛作動時、固縛シリンダからの圧油を絞り
弁を介して絞ることにより、その作動速度を緩慢に制御
することから、塵芥収容箱と塵芥投入箱との連接状態を
検出する電気接点の取付誤差などによって固縛シリンダ
の電磁制御弁が早めに切換制御されても、塵芥投入箱を
塵芥収容箱に対して確実に固縛することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の塵芥収集車の油圧制御装置の実施例を例
示するもので、第１図は塵芥収集車の油圧回路図、第２
図は塵芥収集車の後部を一部破断して示す側面図であ
る。 ３……塵芥収容箱 ７……塵芥投入箱 ９……塵芥処理装置 14……昇降シリンダ V1,V2,V3,V4……電磁制御弁 15……固縛シリンダ 20……絞り弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 徳永 宏 神奈川県横浜市鶴見区尻手３丁目２番43 号 新明和工業株式会社特装車事業部内 (72)考案者 長尾 嘉宏 神奈川県横浜市鶴見区尻手３丁目２番43 号 新明和工業株式会社特装車事業部内 (72)考案者 小田原 利明 神奈川県横浜市鶴見区尻手３丁目２番43 号 新明和工業株式会社特装車事業部内 (72)考案者 小澤 恭典 神奈川県横浜市鶴見区尻手３丁目２番43 号 新明和工業株式会社特装車事業部内 (56)参考文献 特開 昭63−306101（ＪＰ，Ａ) 特公 昭47−4883（ＪＰ，Ｂ１)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体上に搭載された塵芥収容箱の後方開口
   部に塵芥処理装置を内部に装備した塵芥投入箱を昇降シ
   リンダにより傾動自在に連接するとともに、前記塵芥投
   入箱を固縛シリンダにより塵芥収容箱に固縛し、前記昇
   降シリンダおよび固縛シリンダを電気−油圧制御装置を
   介して作動制御する塵芥収集車において、前記昇降シリ
   ンダおよび固縛シリンダを制御する電磁制御弁を設け、
   塵芥投入箱の固縛解除時に高圧側となる固縛シリンダへ
   の供給管路から分岐して昇降シリンダへの供給管路を接
   続し、これらの供給管路の分岐接続部よりも電磁制御弁
   側に絞り弁を配設し、固縛シリンダによる塵芥投入箱の
   固縛作動時、固縛シリンダからの圧油を絞り弁を介して
   絞ることにより、その作動速度を緩慢に制御することを
   特徴とする塵芥収集車の油圧制御装置。