JPH0620733Y2 - 塵芥収集車の安全装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は塵芥収集車の安全装置に係り、特に塵芥の排出
時すなわち塵芥収容箱並びにテールゲートを後方へダン
プさせた時、塵芥収集車が後方へ転倒しないようにした
塵芥収集車の安全装置に関する。

〔従来の技術〕

一般に、荷台フレーム上に後方へダンプ自在に塵芥収容
箱を設け、この塵芥収容箱の後端に後方へダンプ自在に
テールゲートを設けてなる塵芥収集車は知られている。
この種の塵芥収集車では、塵芥収容箱内に収集した塵芥
を塵芥処理場にて排出する際、上述の塵芥収容箱および
テールゲートを後方へダンプさせる。

ところで、塵芥処理場などでは地盤が軟弱なことが多
く、排出される塵芥の量が多過ぎた場合などには、車両
の重心が後方へ大きく移動し、塵芥収集車が転倒してし
まうという問題が生じる。

この問題を解消するため、従来、車体フレームの後方に
油圧シリンダで上下動するサポータを設けたもの（実開
昭６１−１４５７０４号公報）、あるいは車体フレーム
の後方に支持脚を設けたもの（実開昭５８−１２７００
５号公報）など種々の技術が提案されている。

しかしながら、油圧シリンダで上下動作するサポータを
車体フレームの後方に設けたものでは、油圧シリンダの
操作が面倒であり、その操作を忘れるとサポータが作動
しないので、塵芥収集の転倒を妨げなくなるという問題
がある。

また、車体フレームの後方に支持脚を設けたものでは、
この支持脚の傾動が塵芥収集車の停止位置により制約を
受けて、どのような位置であっても支持脚を作動させる
ことができるわけではなく、その作動は極めて不安定に
なるという問題がある。

これらの問題を解消するために、出願人は、荷台フレー
ムの後端に油圧ジャッキ装置を配設し、この油圧ジャッ
キ装置をテールゲートダンプの油圧回路に組込み、テー
ルゲートをダンプさせるに際し、常に、油圧ジャッキ装
置を作動させ、塵芥収集車の転倒を防止するようにした
ものを提案している（実願昭６３−３００７１号公
報）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、この装置では、テールゲートダンプの油
圧回路に直接油圧ジャッキ装置を組込んでいるので、こ
の油圧ジャッキ装置のシリンダの伸長時には高圧の作動
油が該シリンダ内に流入することになり、この伸長が常
に繰返されると、高圧力が繰返して負荷されて、処理場
の輪止めを損傷させるという問題がある。

また、処理場の輪止めにシリンダの先端が当接して、さ
らにシリンダのストロークに余裕がある場合には、車両
の後輪の重さの一部または全部が処理場の輪止めに負荷
されることになり、これを防止するためには、シリンダ
ストロークを選定するに際して、各処理場毎に輪止め高
さをチェックしなければならないという問題がある。

このように、従来の装置では、積載重量の多少に拘ら
ず、常に、油圧ジャッキ装置を作動させるので、処理場
での輪止め損傷につながり易く、また油圧ジャッキ装置
のシリンダの大形化にもつながるという問題がある。

そこで、本考案の目的は、上述した従来の技術が有する
問題点を解消し、油圧ジャッキ装置を排出の動作に連動
させるだけでなく、処理場の輪止めに過大な負荷をかけ
ることのないようにした塵芥収集車の安全装置を提供す
ることにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、荷台フレームの
上部に搭載された塵芥収容箱と、この塵芥収容箱の後部
に連接され塵芥積込装置を内蔵したテールゲートと、塵
芥排出時に前記塵芥収容箱と前記テールゲートとをダン
プさせる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の切換弁で
あって切換中立位置にあっては油圧ポンプと油タンクと
を連通する電磁切換弁と、前記荷台フレームの後端に取
付けられた車両転倒防止用の油圧ジャッキ装置と、この
油圧ジャッキ装置の切換弁であって前記電磁切換弁と並
列に接続され切換中位位置にあっては全ての弁ポートを
ブロックするジャッキ電磁切換弁とを備えたことを特徴
とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、油圧駆動装置の切換弁と油圧ジャッキ
装置の切換弁とを並列に接続し、前者の切換弁には切換
中立位置にあって油圧ポンプと油タンクとを連通する電
磁切換弁を使用しているので、後者のジャッキ電磁切換
弁を切換えるに際して、前者の電磁切換弁を中立位置に
しておけば、ジャッキ電磁切換弁を通して油圧ジャッキ
装置に流入する作動油は管路抵抗による程度の低い圧力
になり、よって油圧ジャッキ装置に過大な力が作用する
ことはなく、これを小形化することができ、また処理場
等の輪止めに過大な力が作用することもないので、この
輪止めを損傷させるようなこともない。

〔実施例〕

以下、本考案による塵芥収集車の安全装置の一実施例を
添附図面を参照して説明する。

第１図において符号１は塵芥収容箱を示し、この塵芥収
容箱１の後端には支軸２を介してテールゲート３が連結
されている。このテールゲート３は、第２図に示すよう
に、テールゲートシリンダ４を介してダンプされる。テ
ールゲート３内には支点５まわりを揺動する押込パネル
６と、支点７まわりを回転する回転パネル８とが設けら
れ、押込パネル６は押込シリンダ１０で、回転パネル８
は回転モータ１１で駆動されるようになっている。符号
１２は塵芥の逆流を防止するデフレクタである。

また、塵芥収容箱１は荷台フレーム１５の後端に支軸１
６を介して連結され、この塵芥収容箱１は、第３図に示
すように、塵芥収容箱シリンダ１７を介してダンプされ
るようになっている。なお、符号１８はフックシリンダ
を示し、これが作動するとフック１９を介して塵芥収容
箱１に対してテールゲート３が緊締されるようになって
いる。

しかして、本実施例によれば、荷台フレーム１５の後部
車輪よりも後方の下面に、ほぼ鉛直方向に伸縮する油圧
シリンダ２０で動作する油圧ジャッキ装置２１が設けら
れている。なお、油圧ジャッキ装置２１としては、例え
ば荷台フレーム１５の後部に支持棒を設け、この支持棒
にトグル装置などを介して油圧シリンダを連結し、この
油圧シリンダを介して支持棒を上下動させるよう構成し
ても良い。

第４図は油圧回路を示し、油圧シリンダ２０は各シリン
ダ４、１０、１１、１７、１８の作動回路内に組込まれ
ている。同図で、符号Ｖ１〜Ｖ６は電磁切換弁を示して
いる。これら電磁切換弁のうち、電磁切換弁Ｖ１〜Ｖ４
は、全てが中立位置にあるとき油圧ポンプＰと油圧タン
クＴとを連通させ、いずれかの電磁切換弁が切換わった
とき、上述の各シリンダ４、１０、１１、１７、１８の
いずれかを動作させるようになっている。

また、電磁切換弁Ｖ１〜Ｖ４が全て中立位置にあると
き、すなわち油圧ポンプＰと油圧タンクＴとが連通され
ているとき、ジャッキ電磁切換弁Ｖ６が切換えられる
と、シリンダ２０が伸縮するが、このシリンダ２０は管
路内の背圧だけで伸縮されるようになっている。

第５図は電気回路を示し、電源、及びヒューズに連なる
切換スイッチ２３には積込回路２４と排出回路２９とが
接続されている。排出回路２９はダンプスイッチ２６を
有し、このダンプスイッチ２６は上昇用の接点Ｊと下降
用の接点Ｋとを有している。接点Ｊに電流が流れた時に
は、タイマ２７に電流が流れ、タイマ設定時間を経過し
て限時ｂ接点Ｔｂが開くまでの間、ソレノイドＢが付勢
されて油圧シリンダ２０が伸長し、タイマ設定時間が経
過して限時ａ接点Ｔｂが開くと、今度はソレノイドＣが
付勢されて塵芥収容箱１が上昇する。この時、ソレノイ
ドＢは消磁されて電磁切換弁Ｖ６（第４図）中立位置に
戻っている。

すなわち、この実施例によれば、ソレノイドＢが付勢さ
れてジャッキ電磁切換弁Ｖ６が作動しているときには、
電磁切換弁Ｖ１〜Ｖ４（第４図）は全て中立位置にあっ
て、油圧ポンプＰと油圧タンクＴとは連通し、油圧シリ
ンダ２０には管路内の背圧だけがかかっている。

また、接点Ｋに電流が流れた時には、ソレノイドＤが付
勢されて塵芥収容箱１が降下し、それと一緒にソレノイ
ドＡが付勢されて油圧シリンダ２０が収縮する。これら
ソレノイドＤ，Ａは塵芥収容箱１の降下完了確認スイッ
チ２８の作動により消磁される。

次に、本実施例の作用を説明する。

塵芥の排出時には、第１図に示すように、塵芥収集車の
後部車輪が止め２５に到達するまで塵芥収集車を後退さ
せて、テールゲートシリンダ４を動作させ、テールゲー
ト３を後方へダンプさせる。次に、第５図に示すよう
に、ダンプスイッチ２６を上昇側に入れて、タイマ２７
を励磁し、タイマ設定時間だけ限時ｂ接点Ｔｂを通して
ソレノイドＢを付勢し、油圧ジャッキ装置２１を降下さ
せ、第３図に示すように、油圧ジャッキ装置２０の先端
を輪止め２５に当接させる。

このときジャッキ電磁切換弁Ｖ６は切換わるが、その他
の電磁切換弁Ｖ１〜Ｖ５は中位位置にあるので、油圧ポ
ンプＰと油圧タンクＴとは連通して、油圧シリンダ２０
には管路内の背圧だけがかかる（第４図）。したがっ
て、油圧ジャッキ装置２１に過大な力がかかることはな
く、輪止め２５を損傷させることはない。また、油圧ジ
ャッキ装置２１のシリンダは小形にすることができる。

また、タイマ設定時間が経過すると、限時ｂ接点Ｔｂが
開いてソレノイドＢが消磁して、それと同時に、今度は
限時ａ接点Ｔａが閉じて、ソレノイドＣが付勢されて、
塵芥収容箱１が上昇する。このときには上述したように
既に油圧ジャッキ装置２１が作動しているので、塵芥収
容箱１の上昇動作は安定し、塵芥収集車が後方へ転倒し
たりすることはない。

塵芥の排出後、第５図において、ダンプスイッチ２６を
下降側に入れて、ソレノイドＤ，Ａを付勢する。これに
よって塵芥収容箱１が下降し、一緒に、油圧ジャッキ装
置２１が格納される。これらソレノイドＤ，Ａは塵芥収
容箱１の降下完了確認スイッチ２８の作動により消磁さ
れる。その後、スイッチ３０をテールゲート下降側の接
点Ｎに切換えテールゲート３を下降させる。

しかして、本実施例によれば、第４図に示すように、既
存の油圧回路内にジャッキ電磁切換弁Ｖ６を介して油圧
シリンダ２０を接続するだけの簡単な構成で、車両の転
倒防止の目的を確実に達成することができる。また、油
圧シリンダ２０には低圧力の作動油が流入するので、こ
れを小形化することができ、しかも塵芥処理場の輪止め
を傷めることがない等の効果が得られる。

〔考案の効果〕

以上の説明から明らかなように、本考案によれば、荷台
フレームの上部に搭載された塵芥収容箱と、この塵芥収
容箱の後部に連接され塵芥積込装置を内蔵したテールゲ
ートと、塵芥排出時に塵芥収容箱とテールゲートとをダ
ンプさせる油圧駆動装置と、この油圧駆動装置の切換弁
であって切換中立位置にあっては油圧ポンプと油タンク
とを連通する電磁切換弁と、荷台フレームの後端に取付
けられた車両転倒防止用の油圧ジャッキ装置と、この油
圧ジャッキ装置の切換弁であって前記電磁切換弁と並列
に接続され切換中立位置にあっては全ての弁ポートをブ
ロックするジャッキ電磁切換弁とを備えているので、ジ
ャッキ電磁切換弁を切換えるに際して、前記電磁切換弁
を中立位置にしておけば、ジャッキ電磁切換弁を通して
油圧ジャッキ装置に流入する作動油は管路抵抗だけの低
い圧力になり、よって油圧ジャッキ装置に過大な力が作
用することはなく、これを小形化することができ、また
塵芥処理場等の輪止めに過大な力が作用することがな
く、輪止めを損傷させるようなことはない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による塵芥収集車の安全装置の一実施例
を示す側面図、第２図および第３図はそれぞれテールゲ
ートと塵芥収容箱とをダンプさせた状態を示す側面図、
第４図は油圧回路図、第５図は電気回路図である。 １……塵芥収容箱、３……テールゲート、４……テール
ゲートシリンダ、１５……荷台フレーム、１７……塵芥
収容箱シリンダ、２０……油圧シリンダ、２１……油圧
ジャッキ装置、Ｖ１〜Ｖ５……電磁切換弁、Ｖ６……ジ
ャッキ電磁切換弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】荷台フレームの上部に搭載された塵芥収容
   箱と、この塵芥収容箱の後部に連接され塵芥積込装置を
   内蔵したテールゲートと、塵芥排出時に前記塵芥収容箱
   と前記テールゲートとをダンプさせる油圧駆動装置と、
   この油圧駆動装置の切換弁であって切換中立位置にあっ
   ては油圧ポンプと油タンクとを連通する電磁切換弁と、
   前記荷台フレームの後端に取付けられた車両転倒防止用
   の油圧ジャッキ装置と、この油圧ジャッキ装置の切換弁
   であって前記電磁切換弁と並列に接続され切換中立位置
   にあっては全ての弁ポートをブロックするジャッキ電磁
   切換弁とを備えたことを特徴とする塵芥収集車の安全装
   置。