JP2557501B2 - 塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物

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JP2557501B2 JP63278570A JP27857088A JP2557501B2 JP 2557501 B2 JP2557501 B2 JP 2557501B2 JP 63278570 A JP63278570 A JP 63278570A JP 27857088 A JP27857088 A JP 27857088A JP 2557501 B2 JP2557501 B2 JP 2557501B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
さらに詳しくは成形加工時において十分な熱安定性お
よび耐熱着色性を保持するとともに成形製品が微生物に
よって汚染されない特性をもつ塩化ビニル系樹脂組成物
に関するものである。
〔従来の技術〕
軟質塩化ビニル系樹脂は、機械的特性、印刷性がすぐ
れており、また可塑剤の種類や量によりさまざまな特性
が付与でき、かつ着色が容易であることから非常に汎用
性に富んでいる。
製品の種類は極めて多く、農業用フィルム,家具用レ
ザー,ガーデンホース等多方面に使用されている。
しかし、塩化ビニル系樹脂は熱および光に対する安定
性が劣り、加熱成形加工を行う際に主として脱塩化水素
に起因する熱分解反応を起しやすく、機械的性質の低
下,変色等の欠点がある。
従来よりこのような欠点を避けるため、塩化ビニル系
樹脂の成形加工に際して一種あるいは数種類の安定剤を
樹脂に配合することが行われている。
一般に軟質塩化ビニル系樹脂の成形加工時、安定剤と
してカルシウム,バリウム,マグネシウム,亜鉛等の金
属と高級脂肪酸の金属セッケンが組み合わされて使用さ
れる。
また、これらの金属セッケンの安定剤としての性能を
補うため、エポキシ化大豆油,エポキシ化アマニ油等の
エポキシ化合物およびトリスデシシルフォスファイト,
トリスノニルフェニルフォスファイト等の有機亜リン酸
化合物、ジベンゾイルメタン,ブチル化ヒドロキシトル
エン等の抗酸化剤を必要に応じて添加し成形加工を行っ
ている。
一般的には可塑剤や安定剤などの配合剤を含むと微生
物による影響を受けやすくなり、特に可塑剤を多く含む
軟質塩化ビニル系の成形品は微生物の攻撃を受けやす
い。
たとえば成形品の用途や使用条件によっては微生物の
作用により直接または間接的に被害を受け、汚染や電機
的絶縁不良、透視度の低下などが発生することが明らか
となり大きな問題として注目されて来た。
微生物による劣化が問題とされる分野の成形品につい
ては、特開昭48−639,特開昭51−151740,特開昭63−196
657,特公昭62−26340に開示されているように、防カビ
剤を添加する方法、あるいは特開昭60−203643に開示さ
れているように成形品の表面をプラズマ処理する方法等
がある。
塩化ビニル系樹脂中に配合可能な防カビ剤の種類は多
く、中には優れたカビ発生防止能を有する防カビ剤もあ
る。しかし、防カビ剤を配合中に添加する方法は、成形
品の使用時に安全性を問われる用途には使用できる薬剤
は大幅に制限される欠点がある。さらに一般に防カビ剤
は特異な臭気がある成形、加工時の作業員の労働衛生上
の問題もある。また一般に使用中に薬剤の効果が減少あ
るいは消滅するので長期間にわたり耐微生物性が要求さ
れる分野では使用できない。
さらに、防カビ剤は高価であり成形品価格の面で使用
量が制限される場合もある。
プラズマ処理する方法は、防カビ剤を添加する方法の
ような欠点はないが、プラズマ処理するためには特殊な
装置が必要であり、成形品の形状や大きさが制限され
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は上記種々の問題点を解決し、人体に安
全で、熱安定性、耐熱変色性に優れさらに長期にわたっ
て微生物汚染抵抗性を有する塩化ビニル系樹脂組成物を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、前記の問題点を解決すべく、成形品に
配合する添加剤を選択することにより特に成形品の微生
物汚染抵抗性を向上させる方法について鋭意検討した結
果、塩化ビニル系樹脂において添加する可塑剤,安定
剤,安定化助剤に関して微生物に攻撃されにくいものを
選択して組み合わせ、成形加工時における熱安定性なら
びに耐熱着色性に優れ、しかも微生物に汚染されにくい
塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
すなわち本発明は塩化ビニル系樹脂100重量部当り、
アルキル基の炭素原子数が4〜10であるフタル酸ジアル
キルエステル又はエチレン−酢酸ビニル系高分子可塑剤
の一種以上を30〜150重量部,芳香族有機酸金属塩,フ
ェノール類の金属塩又は金属の酸化物,水酸化物,無機
酸塩からなる群から選ばれた化合物の一種以上を0.1〜1
0重量部、有機亜リン酸化合物を0.1〜5.0重量部、およ
び有機錫メルカプトカルボン酸エステルを0.1〜5.0重量
部配合してなる微生物汚染抵抗性を有する塩化ビニル系
樹脂組成物である。
本発明において塩化ビニル系樹脂とは例えば次のよう
なものがある。
ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル−エチレン共重合体,
塩化ビニル−プロピレン共重合体,塩化ビニル−スチレ
ン共重合体,塩化ビニル−イソブチレン共重合体,塩化
ビニル−塩化ビニリデン共重合体,塩化ビニル−スチレ
ン−無水マレイン酸三元共重合体,塩化ビニル−スチレ
ン−アクリロニトリル三元共重合体,塩化ビニル−ブタ
ジエン共重合体,塩化ビニル−イソプレン共重合体,塩
化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体,
塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体,塩化ビニル
−マレイン酸エステル共重合体などの塩化ビニル系樹
脂、又はこれらの樹脂類とポリエチレン,ポリプロピレ
ン,ポリブデン,ポリ−3−メチルブテンなどのα−オ
レフィン重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体,アクリ酸エステル−ブタジエン−スチレ
ン共重合体とのブレンド品、ブロック共重合体もしくは
グラフト共重合体などを挙げることができる。
本発明に用いられる可塑剤はフタル酸ジアルキルエス
テル系可塑剤(各アルキル基の炭素原子数は4〜10)ま
たはエチレン−酢酸ビニル系高分子可塑剤で単独または
混合して30〜150重量部使用する。
フタル酸ジアルキルエステル系可塑剤とは例えば次の
ようなものがある。
フタル酸ジブチル,フタル酸ジヘキシル,フタル酸ジ
2−エチルヘキシル,フタル酸ジn−オクチル,フタル
酸ジイソオクシル,フタル酸ジイソノニル,フタル酸ジ
デシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ヘプチルノニ
ルなどを挙げられ、単独または組み合わせて使用でき
る。
また、エチレン−酢酸ビニル系高分子可塑剤として
は、三井デュポンポリケミカル株式会社製「エルバロイ
741」,「エルバロイ 742」がある。
通常可塑剤としては上記の他に、アジピン酸ジ2−エ
チルヘキシル,アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル,セ
バシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル,エポキ
シ化大豆油,エポキシ化ステアリン酸ブチル等のエポキ
シ系可塑剤、オレイン酸ブチル,アセチルリシノール類
メチル等の脂肪酸エステル等がある。
しかし、一般に長鎖脂肪酸エステル,脂肪族二塩基酸
エステル,エポキシ系可塑剤は微生物に侵されやすく、
微生物抵抗性を要求される分野には適さない。
また、トリクレジルリン酸エステル,トリオクチルリ
ン酸エステル等のリン酸エステル系可塑剤は、耐菌性に
は優れているが耐寒性、耐移行性が劣るという欠点があ
る。
しかし、他の特性を付与する目的で前記の可塑剤類を
微生物汚染抵抗性を損なわない範囲内で添加することが
できる。
前記高分子可塑剤の添加量は、前記塩化ビニル系樹脂
100重量部当り30〜150重量部で、30重量部未満の場合は
配合による微生物汚染におよぼす影響は少なく、150重
量部以上では本発明による配合組成でも十分な微生物汚
染抵抗性は得られない。本発明に用いられる芳香族有機
酸金属塩とは一般式〔I〕 (式中R1は水素,アルキル基又はアルコキシ基、M1はナ
トリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スト
ロンチウム,バリウム,亜鉛又はジアルキル錫、m1は1
又は2である) で表わされ、次の化合物が例示できる。
安息香酸カルシウム、安息香酸バリウム、ジブチル錫
安息香酸塩、P−エチル安息香酸ナトリウム、P−第3
級ブチル安息香酸カリウム、P−第3級ブチル安息香酸
亜鉛、P−オクチル安息香酸マグネシウム、P−デシル
安息香酸ストロンチウム、P−エトキシ安息香酸バリウ
ム、P−ブトキシ安息香酸マグネシウム。
フェノール類の金属塩は一般式〔II〕 (式中R2は水素,アルキル基、アルコキシ基又はフェニ
ル基、M2はナトリウム,カリウム,マグネシウム,カル
シウム,ストロンチウム,バリウム又はジアルキル錫、
m2は1又は2である) で表わされ次の化合物が例示できる。
フェノールナトリウム塩,フェノールマグネシウム
塩,o−エチルフェノールカリウム塩,o−オクチルフェノ
ールカルシウム塩,p−ノニルフェノールバリウム塩,ジ
オクチル錫ノニルフェノール塩,p−第3級ブチルフェノ
ールストロンチウム塩,p−エトキシフェノールマグネシ
ウム塩,o−ヘプチルオキシバリウム塩,フェニルフェノ
ールカルシウム塩,フェニルフェノールカリウム塩。
本発明において用いられる無機金属化合物はナトリウ
ム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチ
ウム,バリウム,亜鉛又はアルミニウムの酸化物,水酸
化物又は無機酸塩である。金属無機酸塩を構成する無機
酸としては、リン酸,亜リン酸,ケイ酸,ホウ酸又は炭
酸である。また、塩のタイプとしては酸性塩,正塩,塩
基性塩のいずれでも良いが、特に塩基性塩が好ましい。
これらは複塩の形態を取っても良く、また無水物でも結
晶水を有するものでも良い。さらには、上記無機酸塩
と、酸化物,水酸化物との任意の混合物であってもよ
い。
無機金属化合物としては例えば次のようなものがあ
る。
酸化物として、酸化亜鉛,酸化アルミニウム,酸化マ
グネシウム等、水酸化物として、水酸化マグネシウム,
水酸化ストロンチウム,水酸化アルミニウム等、リン酸
塩として、リン酸亜鉛,リン酸アルミニウム,リン酸水
素バリウム等、亜リン酸塩として、亜リン酸ナトリウ
ム,亜リン酸カリウム,亜リン酸マグネシウム等、ケイ
酸塩として、ケイ酸ナトリウム,ケイ酸カルシウム,ケ
イ酸アルミニウム等、ホウ酸塩として、メタホウ酸ナト
リウム,メタホウ酸カリウム等、炭酸塩として、炭酸カ
リウム,炭酸カルシウム,炭酸ストロンチウム等、複塩
としては、アルミン酸ナトリウム,アルミノケイ酸カリ
ウム,メタケイ酸マグネシウムカルシウム,酸化アルミ
ニウムバリウム,炭酸カリウムナトリウム等が挙げられ
る。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物において、塩化ビニ
ル系樹脂100重量部当り上記芳香族有機酸もしくはフェ
ノール類の金属塩又は無機金属化合物の一種以上を0.1
〜10.0重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部添加する。0.
1重量部未満では熱安定性は不十分であり、10.0重量部
を超えると機械適強度を低下させる。
本発明に用いられる有機亜リン酸化合物は一般式 (式中R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9はアルキル基又はアリール
基、Y1は−CnH2n−, で表わされる化合物で例えば次のようなものがある。
〔III〕の化合物としては、トリフェニルホスファイ
ト,ジフェニルイソデシルホスファイト,トリス(ノニ
ルフェニル)ホスファイト,ジオクチルフェニルホスフ
ァイト等、〔IV〕の化合物としては、テトラ(トリデシ
ル)−4,4′−イソプロピリデン・ジフェニルホスファ
イト,4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t
−ブチルフェニルトリデシルホスファイト)等。
これらは、単独または組み合わせて使用することが可
能であり、前記塩化ビニル系樹脂100重量部当り0.1〜5.
0重量部、好ましくは0.5〜2.0重量部添加する。
0.1重量部未満では耐熱着色性は不十分であり、5.0重
量部を超えると、耐熱着色性の向上効果は飽和し、むし
ろマイグレーションを生じる。
本発明で用いられる有機錫メルカプトカルボン酸エス
テルは次の一般式〔V〕で表わされるモノアルキル錫ト
リス(メルカプトカルボン酸エステル)0〜70重量%及
び次の一般式〔VI〕で表わされるジアルキル錫ジ(メル
カプトカルボン酸エステル)100〜30重量%からなる。
R10Sn(SY2COOR11 ……〔V〕 (R102Sn(SY2COOR11 ……〔VI〕 (式中R10は炭素原子数1〜8のアルキル基、Y2は−CH2
−又は−C2H4−、R11は炭素原子数4〜18のアルキル基
又はアルコキシ置換基をもつアルキル基を示す)。
〔V〕の化合物としては、メチル錫トリス(チオグリ
コール酸イソオクチル),ブチル錫トリス(チオグリコ
ール酸ブチル),ブチル錫トリス(チオグリコール酸2
−エチルヘキシル),ブチル錫トリス(3−メルカプト
プロピオン酸イソオクチル),ブチル錫トリス(3−メ
ルカプトプロピオン酸メトキシブチル),オクチル錫ト
リス(チオグリコール酸イソオクチル),オクチル錫ト
リス(3−メルカプトプロピオン酸ブチル)、〔VI〕の
化合物としては、ジメチル錫ジ(チオグリコール酸イソ
オクチル),ジブチル錫ジ(チオグリコール酸ブチ
ル),ジブチル錫ジ(チオグリコール酸2−エチルヘキ
シル),ジブチル錫ジ(3−メルカプトプロピオン酸イ
ソオクチル),ジブチル錫ジ(3−メルカプトプロピオ
ン酸メトキシブチル),ジオクチル錫ジ(チオグリコー
ル酸イソオクチル),ジオクチル錫ジ(3−メルカプト
プロピオン酸ブチル)などを挙げることができる。
〔V〕0〜70重量%および〔VI〕100〜30重量%からな
る有機錫メルカプトカルボン酸エステルは、前記塩化ビ
ニル系樹脂100重量部当り0.1〜5.0重量部添加する。添
加量が0.1重量部未満では熱安定性が不十分であり、5.0
重量を超えて添加しても熱安定性をさらに向上させるこ
とはできずむしろプレート・アウトを生ずる。
本発明に使用される芳香族有機酸もしくはフェノール
類の金属塩,無機金属化合物,有機亜リン酸化合物又は
有機錫メルカプトカルボン酸エステルはいかなる製法に
よって得られたものであってもよい。
また、微生物抵抗性をさらに付与するために、テトラ
クロロイソフタロニトリル,N−(フルオロジクロロメチ
ルチオ)−フタロイミド,N−ジメチル−N′−フェニル
−(N′−フロロジクロロメチルチオ)スルファミド,N
−(トリクロロメチルチオ)−テトラヒドロフタルイミ
ド,2−メトキシカルボニルアミノベンツイミダゾール,2
−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾール,2,3,5,6−
テトラクロロ−4(メチルスルホニル)ピリジン、2−
n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン等の防カビ剤
を単独又は2種以上を組み合わせて添加することができ
る。
その他必要に応じて、フェノール系酸化防止剤,紫外
線吸収剤,ジケトン化合物のような安定化助剤,滑剤,
加工助剤,難燃化剤,架橋剤,充填剤,顔料等を本発明
の組成物に添加することができる。
本発明の組成物は、塩化ビニル系樹脂を前記各種配合
物、必要により公知の他の樹脂添加剤とともに、リボン
ブレンダー,バンバリーミキサー,スーパーミキサーそ
の他の慣用の混合機に投入混合して製造される。
さらに、このようにして得られた樹脂組成物を押出し
成形法,カレンダー成形法,射出成形法,ブロー成形法
等公知の方法により成形品とすることができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例にもとづいて詳細に説明するが
本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定され
ることはない。
先ず各実施例中の樹脂シートの性能試験法について述
べる。
(1)熱安定性試験 樹脂シートを適当に切断し、あらかじめ190℃の雰囲
気に加熱設定されたギヤー式老化試験機の中に入れ、褐
色あるいは黒色に変化するまでの時間(分)を測定し
た。
(2)耐熱変色試験 切断したシートを6枚重ね180℃,30kg/cm2の圧力で30
分間プレスし、シートの変色程度を調べ、その結果を4
段階で評価した。
○:変色なし, ○△:若干変色あり, △:変色あり, ×:強く変色 (3)カビ抵抗性試験 3−1供試材料 JIS Z 2911に準ず 供試菌 Aspergillus niger Penicillium citrinum Rhizopus Stolonifer Cladosporium cladosporioides Chaetomium globosum 培地 無機塩寒天培地(JIS Z 2911の6,2,2(3)に依
った。) 3−2試験方法 90mmφシャーレ中にあらかじめ滅菌固化させておいた
培地に50×50mmの大きさに切り取った試験シートを置
き、供試菌の胞子懸濁液をマイクロスプレーで接種し、
28℃±2℃で培養する。経過日数ごとに試験片上にカビ
の成育する様子を観察し、カビ抵抗性を評価した。
カビ抵抗性の評価は下記の5段階表示とした。
5 試験片上にカビの成育が認められない。
4 試験片上のカビの成育面積が1/4以下。
3 試験片上のカビの成育面積が1/4〜1/2。
2 試験片上のカビの成育面積が1/2〜3/4。
1 試験片上のカビの成育面接が3/4以上。
実施例−1 下記の基本配合に〔表−1〕に示される可塑剤を所定
量添加し、十分混合した後あらかじめ表面温度180℃に
加熱設定された2本テストロール機で5分間混練し、厚
さ約0.5mmの均一なシートを調製した。試験結果は〔表
−1〕に示した。
基本配合 ビニクロン 2000M1) 100重量部 ノニルフェノール・バリウム塩 0.5 〃 p−第3級ブチル安息香酸亜鉛塩 0.2 〃 アルカマイザー22) 1.0 〃 DPDP3) 1.0 〃 DOTDIOTG4) 0.2 〃 1)ポリ塩化ビニル樹脂 重合度1050、三井東圧化学
(株)製 2)ハイドロタルサイト 共和化学工業(株)製 3)ジフェニルデシルホスファイト 4)ジオクチル錫ジ(チオグリコール酸イソオクチル) 〔表−1〕に示されるように、フタル酸ジアルキルエ
ステル系可塑剤およびエチレン−酢酸ビニル系可塑剤を
添加した場合、脂肪酸エステル系可塑剤と比較して優れ
たカビ抵抗性を示した。
実施例−2 下記の基本配合に〔表−2〕で示される金属化合物を
添加して、実施例−1と同様にしてシートを調製し、性
能試験を行った。〔表−2〕にこれらの結果を示した。
基本配合 ビニクロン 2000M 100重量部 フタル酸ジオクチル 70 〃 DPDT1) 1.0 〃 DBTDMPO2) 0.5 〃 1)ジフェニルトリデシルホスファイト 2)ジブチル錫ジ(3−メルカプトプロピオン酸2−エ
チルヘキシル) 〔表−2〕に示したように従来の高級脂肪酸金属塩を
使用した場合、熱安定性が低く、カビ抵抗性も低かっ
た。また、熱安定性を改良するためにエポキシ化大豆油
を添加した場合、耐熱性は向上するがカビ抵抗性はさら
に低くなった。
また、金属化合物を添加しない場合、熱安定性,カビ
抵抗性とも劣った。
実施例−3 下記の基本配合に〔表−3〕に示される有機亜リン酸
化合物を添加して実施例−1と同様にしてシートを調製
し、性能試験を行った。〔表−3〕にこれらの結果を示
す。
基本配合 ビニクロン 2000M 100重量部 フタル酸ジブチル 120 〃 p−第3級ブチル安息香酸亜鉛 0.3 〃 ノニルフェノールカルシウム塩 1.5 〃 DOTDIOTG 0.7 〃 MOTTIOTG 0.3 〃 * モノオクチル錫トリス(チオグリコール酸イソオク
チル) 〔表−3〕に示したように有機亜リン酸化合物を添加
することにより耐熱変色性,カビ抵抗性が向上した。
実施例−4 下記の基本配合に〔表−4〕に示されるジアルキル錫
ジメルカプトカルボン酸エステル又はジアルキル錫ジメ
ルカプトカルボン酸エステルとモノアルキル錫トリスメ
ルカプトカルボン酸エステル混合物を添加して実施例−
1と同様にシートを調製し、性能試験を行った。〔表−
4〕にこれらの結果を示す。
基本配合 ビニクロン 2000M 100重量部 エルバロイ 742 100 〃 ジブチル錫ジノニルフェノール 2.0 〃 トリスノニルフェニルホスファイト 1.0 〃 〔表−4〕に示したように有機錫メルカプトカルボン
酸エステルを添加することにより,熱安定性,耐熱変色
性を向上させ、しかも優れたカビ抵抗性を維持した。
〔発明の効果〕 以上、述べたように本発明の塩化ビニル系樹脂組成物
は成形加工時における熱安定性、耐熱着色性に優れてい
るとともに微生物に汚染されにくい特性をもち、長期間
使用される分野においてはきわめて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/524 KHX C08K 5/524 KHX 5/58 KJC 5/58 KJC C08L 23/08 LCJ C08L 23/08 LCJ 27/06 LEU 27/06 LEU 31/04 LDJ 31/04 LDJ (72)発明者 藤崎 章男 神奈川県横浜市磯子区汐見台1―4 (72)発明者 大橋 信夫 神奈川県横浜市戸塚区平戸3―42―7― 248 (56)参考文献 特開 昭48−26732(JP,A) 特開 昭47−11940(JP,A) 特開 昭50−89452(JP,A) 特開 昭62−34941(JP,A) 特公 昭47−18216(JP,B1)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系樹脂100重量部当り、アルキ
    ル基の炭素原子数が4〜10であるフタル酸ジアルキルエ
    ステルもしくはエチレン−酢酸ビニル系高分子可塑剤の
    一種以上を30〜150重量部、芳香族有機酸金属塩もしく
    はフェノール類の金属塩、および酸化物,水酸化物,無
    機酸塩からなる無機金属化合物から選ばれた一種以上の
    化合物を0.1〜10重量部、有機亜リン酸化合物を0.1〜5.
    0重量部、有機錫メルカプトカルボン酸エステルを0.1〜
    5.0重量部配合してなる微生物汚染抵抗性を有する塩化
    ビニル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】芳香族有機酸金属塩が次の一般式〔I〕 (式中R1は水素,アルキル基又はアルコキシ基、M1はナ
    トリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,スト
    ロンチウム,バリウム,亜鉛又はジアルキル錫、m1は1
    又は2である) で示される請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】フェノール類の金属塩が次の一般式〔II〕 (式中R2は水素,アルキル基,アルコキシ基又はフェニ
    ル基、M2はナトリウム,カリウム,マグネシウム,カル
    シウム,ストロンチウム,バリウム又はジアルキル錫、
    m2は1又は2である) で示される請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】無機金属化合物がナトリウム,カリウム,
    マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
    ム,亜鉛もしくはアルミニウムの酸化物,水酸化物、又
    は前記金属のリン酸,亜リン酸,ケイ酸,ホウ酸もしく
    は炭酸塩である請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】有機亜リン酸化合物が一般式〔III〕又は
    〔IV〕 (式中R3,R4,R5,R6,R7,R8およびR9はアルキル基または
    アリール基、Y1は−CnH2n−, で示される請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】有機錫メルカプトカルボン酸エステルが次
    の一般式〔V〕で表わされるモノアルキル錫トリス(メ
    ルカプトカルボン酸エステル)0〜70重量%及び次の一
    般〔VI〕で表わされるジアルキル錫ジ(メルカプトカル
    ボン酸エステル)100〜30重量%からなる請求項1記載
    の塩化ビニル系樹脂組成物。 R10Sn(SY2COOR11 ……〔V〕 (R102Sn(SY2COOR11 ……〔VI〕 (式中、R10は炭素原子数1〜8のアルキル基、Y2は−C
    H2−又は−C2H4−、R11は炭素原子数4〜18のアルキル
    基又はアルコキシ置換基をもつアルキル基を示す)。
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