JP2554646B2 - スクロ−ル圧縮機のオルダム継手 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、スクロール圧縮機の自転防止に使用される
オルダム継手に関するものである。

［従来の技術］ スクロール圧縮機の圧縮作用の原理、およびオルダム
継手の構造、作動原理は特開昭60−88226号、特開昭58
−174101号に記載されている。従来、この種のスクロー
ル圧縮機用オルダム継手の構造は上記従来技術に記載さ
れているように、旋回スクロールおよびフレームにオル
ダム継手のキーが摺動するキー溝を有する場合、オルダ
ム継手は環状部材の両面に直交するキーを有する。この
種オルダム継手のキー状突起の形成のし方は、予じめ機
械加工されたキー状突起を環状部材にカシメピン用いて
取付け固定したり、また厚さが環状部材とキーの高さの
２倍を足した素材より機械（フライス）加工によって両
面４個所のキー部材以外の部分を削落してキー部分を突
出していた。

［発明が解決しようとする問題点］ 上記従来技術の前者の方法は、カシメピンを用いるた
めキーに穴加工を必要とし加工に手間を要するばかり
か、各々のキーの平行、直角度を出すことが難しかっ
た。

また、後者は、キー部を残してフライス加工を実施し
なければならないため、多くの工数を要するとともに、
素材のムダになる部分が多かった。

また、環状部材の厚さが薄いと応力が大きくなり、オ
ルダム継手の破損の原因になる恐れがあり、また余り安
全性を見越して環状部材の厚さを厚くすると、オルダム
継手の素材及び重量が大きくなり、その製造コストを上
げるとともに、運転効率を下げる原因となっていた。

本発明の目的は、オルダム機構の環状部材の応力を小
さくすると同時に、加工性を良くすることにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的は、オルダム継手の環状部材の片面には直径
方向にキー状突起を設け、その背面にも上記突起と直交
する方向にキー状突起を設け、両面のキー状突起と、旋
回スクロール部材の台板背面及びフレームの台座に設け
たキー溝を係合する構造を有する装置において、環状部
材に互いに平行で間隔をおいた、機械加工された２個の
突起形成溝が設けられ、環状部材の少なくとも片面の突
起は、両突起形成溝の離間部によって形成されており、
且つ、環状部材の突起形成溝部の厚さより他の部分の厚
さを厚くしたことにより達成される。

［作用］ オルダム継手の全部の厚さは、環状部材の厚さとキー
状突起の２倍を足した物から成り、少くとも片方の面に
は直線状の突起形成溝を設けて、該溝によって形成され
る突起をキーとして使用することによって、加工面積を
減らすと共に、環状部材の運転中、環状部材の突起形成
溝部の厚さより他の部分の厚さを厚くしたことによって
応力を小さくすると同時に、キー溝加工によってキーを
形成することによって加工性を良くする。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を第１図乃至第６図を参照し
て説明する。第２図はスクロール圧縮機の圧縮機構部を
示す。

密閉容器10内には、上方に圧縮機部、下方に電動機部
（図示せず）を回転軸３を介して連設した電動スクロー
ル圧縮機が配設されている。スクロール圧縮機部は、台
板1aにうず巻状のラップ1bを直立した固定スクロール部
材１と、台板2aにうず巻状のラップ2bを直立した旋回ス
クロール部材２を、ラップを互いに噛合せて圧縮機構部
を形成し、固定スクロール部材１の外周部に吸込口9s、
中央部に吐出口9dを開口する。上記回転軸３は、フレー
ム４の中央部の軸受4aに支承され、先端には、クランク
ピン3aを突出し、このクランクピン3aが旋回スクロール
２の台板2a下方に配設したポス2cに挿入されて、クラン
クピン3aと旋回スクロール部材２が係合される。５は自
転防止機構としてのオルダム継手、旋回スクロール部材
２が固定スクロール部材１に対し、自転することなく旋
回運動をする継手であり、旋回スクロール部材２の台板
2aの背面とフレーム４の静止台座4bとの間に設けられて
いる。

上記圧縮機構部は、回転軸４の回転によるクランクピ
ン4aの偏心回転により、旋回スクロール部材２は自転す
ることなく、固定スクロール部材１に対し旋回運動を行
ない、吸入口1aを介し、吸入ガスを両スクロールラップ
で形成される密閉室に吸入し、上記旋回運動により、密
閉室は中央部に移動し容積を減少してガスを圧縮し、圧
縮ガスを吐出口9dより吐出室に吐出する。

上記オルダム機構５は、第３図に示す旋回スクロール
部材２の背面に設けられた直線状のキー溝2eと、第４図
に示すフレーム４の静止台座4bの設けられた直線状のキ
ー溝4cと、第１図に示すオルダム継手５からなってい
る。このオルダム継手５は、環状部材６の上面にはスク
ロール部材２のキー溝2eと摺動するキー状突起6aが、フ
ライスその他の機械加工等により設けられ、また下面に
は、上面のキー状突起6aと直交する直線状のキー状突起
6bが設けられている。該キー状突起6bは、互いに平行で
円周方向に間隔をおいて、２個の直線状の突起形成溝6c
を、フライス加工等の機械加工により生成し、これら溝
6cの離間部によって形成されている。該キー状突起6bは
静止台座4bのキー溝4cと摺動する。また、第５図に示す
ように溝突起形成6cの外幅6dは静止台座4bの幅より大き
くしてあり、静止台座4bの上をオルダム継手５の突起形
成溝6cの底面は摺動する。以上の如くキー状突起6bは突
起形成溝6cを設けることによって形成される。また、オ
ルダム継手５は旋回スクロール２の自転を防止するため
キー状突起6a,6bには第６図に示すような力Ｆが発生し
オルダム継手５の環状部材６には曲げモーメントが生じ
最大応力となる所は直交するキー状突起6a,6bの中央部
となる。

第６図に示すように、上記オルダム継手５の突起形成
溝6cの最大溝幅6dは、キー状突起6bの中心線（イ）から
の角度45゜の延長線と交わる点（ロ）の巾より狭く形成
されているので、前記キー状突起6a,6bの中央部、即ち
点（ロ）の近傍は、突起形成溝6cが存在せず、環状部材
６の厚さが確保され、その強度の低下がない。

上記実施例においては、キー状突起6bは、突起形成溝
6cによって、環状部材６の下面に形成されるものとして
説明したが、環状部材６の上面のみ、若しくは上下両面
に、キー状突起を突起形成溝によって構成できることは
勿論である。

［発明の効果］ 本発明によれば、キー状突起を溝加工によって形成
し、オルダム継手を形成したので、加工する部分が少な
くなり加工時間が少なくなった。また環状部材の突起形
成溝部の厚さより他の部分の厚さを厚くし最も応力の大
きい部分を厚くすることが可能になったので応力は小さ
くなり信頼性が確保される。また応力を小さくすること
が本発明によって可能になったのでオルダム継手の材質
をAl材等の非鉄金属あるいはFC材Al材等の上に樹脂をコ
ーティングした複合材質から成るオルダム継手が可能に
なった。

以上の如くこの発明によれば非常に量産性にすぐれた
実用的なオルダム継手を得ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すスクロール圧縮機のオ
ルダム継手の斜視図、第２図はスクロール圧縮機の圧縮
機構部を示す縦断面図、第３図は旋回スクロール部材の
断面図、第４図はフレームの上面図、第５図は第１図の
オルダム継手の正面図、第６図はオルダム継手の上面図
を示す。 １……固定スクロール部材 ２……旋回スクロール部材 2b……キー溝、３……クランク軸 ４……フレーム、4b……静止台座 4c……キー溝、５……オルダム継手 ６……環状部材、6a……キー状突起 6b……キー状突起、6c……溝。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】台板にうず巻状のラップを直立する固定ス
   クロール部材および旋回スクロール部材を、ラップを互
   いに噛合せてフレームに保持し、旋回スクロール部材の
   台板背面をクランクピンに係合し、この台板背面とフレ
   ームの台座との間に旋回スクロール部材の自転を防止す
   るオルダム継手を備え、このオルダム継手は、環状部材
   の片面には直径方向にキー状突起を設け、その背面にも
   上記突起と直交する方向にキー状突起を設け、両面のキ
   ー状突起と、旋回スクロール部材の台板背面及びフレー
   ムの台座に設けたキー溝を係合する構造を有する装置に
   おいて、 環状部材に互いに平行で間隔をおいた、機械加工された
   ２個の突起形成溝が設けられ、環状部材の少なくとも片
   面の突起は、両突起形成溝の離間部によって形成されて
   おり、且つ、環状部材の突起形成溝部の厚さより他の部
   分の厚さを厚くしたことを特徴とするスクロール圧縮機
   のオルダム継手。
2. 【請求項２】平行する２個の溝の全体の最大巾が、両溝
   中間の突起の中心線から45度の線と交わる点より小さい
   特許請求の範囲第１項記載のスクロール圧縮機のオルダ
   ム継手。
3. 【請求項３】オルダム継手の環状部材が、非鉄金属、樹
   脂あるいは金属と樹脂との複合材にて形成されている特
   許請求の範囲第１項記載のスクロール圧縮機のオルダム
   継手。