JP2552691B2 - 生物学的試料中の核酸評価のためのカオトロピック方法 - Google Patents

生物学的試料中の核酸評価のためのカオトロピック方法

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    • C12Q1/702Specific hybridization probes for retroviruses
    • C12Q1/703Viruses associated with AIDS

Description

【発明の詳細な説明】 この出願は、米国特許出願第859003号(1986年5月2
日出願)の一部継続出願であり、これは米国特許出願第
594308号(1984年3月8日出願)の一部継続出願であ
り、そしてこれは米国特許出願第378711号(1982年5月
17日出願)[米国特許第4483920号]の一部継続出願で
あって、これら出願の対象物はすべて本明細書に包含さ
せる。
[発明の分野] この発明は分析化学および医学の分野に関するもので
あって、ことに生物学的試料中の核酸を評価するための
新規方法に関するものであり、ここで上記核酸はカオト
ロピック溶解によって評価するために入手可能としたも
のである。該核酸はカオトロピック溶液中で相補的な核
酸プローブとの分子ハイブリッド形成によって評価され
る。
1.一般的な考察 患者の組織は、日常的に、疾病状態を指示し得る「マ
ーカー」を測定する。マーカー評価は患者の初期診断の
重要な一部と成り得ると同時に、処置に対する患者の反
応およびその将来の予後に関し継続した測定を提供する
ことができる。従来の組織マーカーとしては、細胞の形
態学およびその代謝、特定の酵素活性またはタンパク質
または生物学上関連のあるその他の分子の存在、そのよ
うな分子の蓄積または消失等が挙げられる。近年、遺伝
子構造がある種疾患のマーカーとして提供された[ジー
バーら、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・
アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・USA(以下PNA
Sと略称する)、78巻、5081〜5085頁(1981年)、オー
キンら、ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メ
ジシン、299巻、166〜172頁(1981年)、チャンおよび
カン、PNAS、76巻、2886〜2889頁(1979年)、フィリッ
プスら、PNAS、77巻、2853〜2856頁(1980年)]。
しかしながら、この発明に至るまで初代遺伝子の活性
化、即ち特異メッセージRNA分子の蓄積(RNA転写)を容
易かつ経済的に測定することは比較的困難であった。一
般に既存の方法は、好適な「プローブ」、通常、放射能
を標識した既知核酸配列のDNA分子を使用し、「分子ハ
イブリッド形成」と呼ばれる方法によって特異的な(相
補的な)メッセージRNA配列の量を測定する[ギレスピ
ー、D.、メソッズ・エンザイモロジー、12B、641〜668
頁(1968年)]。通常そのような方法は、まず細胞また
は組織からメッセージRNAを精製する、費用がかさみか
つ繁雑な操作を必要とする。ついでプローブに対して精
製したRNAの分子ハイブリッド形成を行うが、この場
合、RNAを固体表面へ固定化することによって初めて達
成できる[ギルハム、P.T.バイオケミストリー、7巻、
2809〜2813頁(1968年)、ポニアン、M.S.ら、バイオケ
ミストリー、10巻、424〜427頁(1971年)、ワグナー、
A.F.ら、バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・
リサーチ・コミュニケーションズ、45巻、184〜189頁
(1971年)、シェルドン、R.ら、PNAS、69巻、417〜421
頁(1972年)、サクシンジャー、W.C.ら、PNAS、69巻、
2975〜2978頁(1972年)、ノイエス、B.E.およびスター
ク、G.R.、セル、5巻、301〜310頁(1975年)、アルウ
イン、J.C.ら、PNAS、74巻、5350〜5354頁(1977年)、
トマス、P.S.、PNAS、77巻、5201〜5205頁]。これらの
方法にとって、何れの場合も固定化以外のRNA精製が必
要である。
別法として顕微鏡スライド等の表面に細胞をおき、細
胞内メッセージRNAについて分子ハイブリッド形成を行
う「イン・サイチュ・分子ハイブリッド形成」と呼ばれ
る技術が実施できる[パーデュー、M.L.およびギャル、
J.G.、PNAS、64巻、600〜604頁(1969年)、ブラヒッ
ク、M.およびハーゼ、A.T.、PNAS、75巻、6125〜6129頁
(1978年)、アンジェラー、L.M.およびアンジェラー、
R.C.、ヌクレイック・アシッズ・リサーチ、9巻、2819
〜2840頁(1981年)]。しかしこの方法は時間がかか
り、信頼性に欠けることがあるので、単一細胞について
検定を実施する場合にのみ有用である。
2.背景物質の説明 A.NaCl中におけるDNAの固定化 以下、固体支持体上にDNAを固定化した研究の歴史の
概略を説明する。
1977年以来、DNAの操作技術およびDNA構造に関する知
識は飛躍的な進歩を遂げた。これは、主としてDNA固定
化の技術により、さらに近年はDNAの配列決定技術によ
って可能となったものである。精製した一本鎖DNAをニ
トロセルロース(NC)膜に結合させたニガードおよびホ
ール[バイオフィジカル・アンド・バイオケミカル・リ
サーチ・コミュニケーション、12巻、98〜104頁(1963
年)]、およびギレスピーおよびスピーゲルマン[ジャ
ーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、12巻、82
9〜842頁(1965年)]による最初の業績以来、DNA-NCに
よって魅力に富み、かつ優れた一連の方法が開発され
た。
最も魅力的な進展の一つは、全細胞のDNAだけを膜に
結合し、その膜の原コロニーのDNAイメージを提供する
方法により、全細胞のコロニーをNCにブロットするブロ
ッティング方法を発見したグルンスタインおよびホグネ
スによって考案された[プロシーディングズ・オブ・ザ
・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ
・USA、72巻、3961〜3965頁(1975年)]。この「コロ
ニー・リフト(吊り上げ)」技術により組換え生物体の
迅速なスクリーニングが可能となり、およそ5〜10年間
で現在の遺伝子クローニング技術水準にまで進歩した。
しかし、この方法およびこれと同一原理に基づいた他の
方法[例えばスコットら、ヘパトロジー、3巻、279〜2
84頁(1983年)]はDNA変性(NaOH)を起こすのに用い
られる条件がDNA固定化を妨害するため定量的ではな
い。
DNA固定化の最も優れた進展の一つはサザーンによっ
て考案された[ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイ
オロジー、98巻、503〜517頁(1975年)]。彼は、DNA
を精製し、ついでその大きさに応じアガロース・ゲルで
分画したDNAをNCへ移す手段を推論した。彼はゲル分画
を行ったDNAのDNAイメージをNC上に生産し、これを選ば
れた配列に対するプローブとすることができた。恐らく
「サザーン・トランスファー」または「サザーン・ブロ
ット」は、DNA配列決定まではいかぬにしても、今日比
較遺伝子構造分析に利用し得る最も重要な技術であろ
う。
B.NaClにおけるmRNAの固定化 以下、固体支持体上にRNAを固定化した研究の歴史の
概略を説明する。
初期のDNA固定化の業績で、ギレスピーおよびスピー
ゲルマン[ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロ
ジー、12巻、829〜842頁(1965年)]はRNAがNCに結合
しないであろうと断言的に報告した。それから数年後に
デ・ラルコおよびガロフは、極めて濃厚なNaCl溶液を使
用してRNAをNCへ固定化することによって、この誤った
結論を訂正した。彼らはある種のRNA分子だけ、ことに
アデノシン残基群からなる末端域、所謂「ポリ(A)尾
部」を持った特殊なRNA分子だけがNCと結合するものと
考えた。十分に長いポリ(A)尾部をもったすべてのRN
A分子[これらを「ポリ(A)−プラスRNA」と呼ぶ]は
濃厚NaCl中でNCと結合できる。発明者らの知る限り、こ
れらのポリアデニル化RNA分子はすべてタンパク質を暗
号化し得るメッセージRNAである。ポリ(A)を欠いたR
NA分子[これらを「ポリ(A)−マイナスRNA」と呼
ぶ]は濃厚NaCl中でNCと相互反応をしそうには見えな
い。このポリ(A)−マイナスRNAのうちの数%は「尾
部をもたない」メッセージRNAであるが、上記ポリ
(A)−マイナスRNAの大部分はリボソームRNAおよび転
移RNAであって、それらは非暗号源性のRNA種である。し
たがって、精製したRNAをNCへ結合する濃厚NaCl法はメ
ッセージRNAに対して選択的ではあるが、すべてのメッ
セージRNA種を包含するものではない。
1970年代の中期および後期に、mRNAの固定化に役立つ
幾つかの報告がなされた[シード、B.、ジェネティック
・エンジニアリング、4巻、91〜102頁(1982年)、総
説、参照]。これらは純粋なRNAが共有結合的に結合し
得る反応性グループを提供したさまざまな報文である。
それらの反応性グループにはDNAおよびタンパク質も結
合し得るので、これらの報告はmRNAに選択的なものでな
く、もしくはRNAでさえも選択的ではない。しかしこれ
らの報告は選ばれた集団ではなく、すべてのRNA分子が
これらの反応性グループへ固定化し得るという点で有用
である。
1979年にパット・トーマスは重要な知見を報告した。
彼女はあらゆる種類の変性したRNAが濃厚NaCl溶液中でN
Cへ固定化し得ることを指摘した[プロシーディングズ
・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエン
シズ・オブ・USA、77巻、5201〜5205頁(1980年)]。
彼女は、サザーン・トランスファーのRNA相似形質を開
発し、極めて自然に「ノーザン・トランスファー」と呼
ばれる方法を開発することによってこの知見を導き出す
ことができた。パット・トーマスの業績は、デ・ラルコ
/ガロフの結果に対して新しい解釈、即ち濃厚なNaCl中
でNCに結合したRNAは、長いポリ(A)尾部を介してそ
うなるのではなく、短くポリ(A)または末端でないポ
リ(A)を有するRNAより自然に一層著しく変性される
ためであるという解釈を導入した。
残念なことにノーザーン・トランスファー手法それ自
体は、細胞全体またはその他天然産の生物学的供給源か
らのmRNAの固定化には役立たなかった。ホワイトおよび
バンクロフト[ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー、257巻、8659〜8572頁(1982年)]は、パ
ット・トーマスの変性方法に基づいて、細胞質抽出物か
ら全RNAを固定化する方法を開発し得たが、恐らくタン
パク質が一緒に固定化されたこと、および変性されたDN
Aがどれだけ一緒に不動化されたかという厄介な問題に
よって提出された多数の問題のために普及するには至ら
なかった。NaCl中では、ドデシル硫酸ナトリウムによっ
てDNA-NCおよびタンパク質−NCの相互作用が抑制される
が、mRNA-NCの相互作用は妨害されないということが判
明したことによって多少進展が見られたが[ブレッサー
ら、DNA、2巻、243〜254頁(1983年)]、選択的に洗
剤を使用することに基づいたこの手法も信頼性ある定量
化に達し得ず、すべて、少量の細胞物質への使用だけに
制限される。
上にあげた方法はすべてNaClが促進するNCとDNAまた
はNCとRNAとの相互作用に依存している。これらすべて
の場合、高温で焼き付けることによって核酸をNCへ固定
しなければならない。したがってNCに吸着されたRNAは
生物学的に不活性であり逆転写または翻訳できなかっ
た。
ギレスピーら[米国特許第4483920号(1984年11月20
日発行)]は、細胞のmRNAをカオトロピック塩で可溶化
して、所望により焼き付け段階を加え、選択的にmRNAを
結合し得るフィルターへこれを固定化する、mRNAを細胞
から紙上へ直接固定化する方法を報告した。
このようにして固定化した標的mRNAを、ついで標識DN
Aプローブでハイブリッドする。
コックスら[FEBSレターズ、155巻、1号、73〜80頁
(1983年5月)]は、とりわけグアニジニウムイソチオ
シアナートで可溶化することによって露出し、アミノチ
オフェノール紙へ結合することによって固定化した相
補的なDNAへハイブリッド化することによるフィサリウ
ム・ポリセファルムの粗製溶解物からの固有のmRNAの一
段階単離方法を報告した。このように粗製グアニジニウ
ムイソチオシアネート溶解物中の分子ハイブリッド形成
によって、丁度、ポリ(A)−尾部ではないがmRNAの暗
号化領域が単離された。
ストレイャーら[PNAS、80巻、4770〜4774頁(1983年
8月)]は、カオトロピック溶液中でハイブリッド形成
を実施する、カオトロピックに可溶化したDNAの液−液
分子ハイブリッド形成を報告した。二本鎖領域は、二本
鎖の一本鎖要素に対する鎖長比に正比例してDNA複合体
のブイヨン性を低下し、したがってNaIの濃度勾配を用
いたDNAの分析が可能となった。
コーネ[国際特許出願第W084/02721号(1984年、7月
19日公開)]は、有機物の核酸を可溶化し、可溶化した
核酸を該核酸と相補的な標識プローブでプローブ化し、
試料RNAを精製することなく、溶液中でハイブリッド形
成を実施することからなるRNAを含有する有機物の定量
および検出方法を報告した。その34頁にコーネは可溶化
剤としてカオトロピック剤を使用することを示唆してい
る。コーネは「溶液中」ハイブリッド形成、即ちプロー
ブおよび試料RNAが何れも溶液中に溶存しているハイブ
リッド形成を利用している。
コックスら[ヨーロッパ特許公開第0127327A1号(198
4年12月5日公開)]は、細胞核酸をカオトロピックに
可溶化し、標的核酸と相補的な標識プローブを使用して
カオトロピック溶液中で分子ハイブリッド形成を実施す
ることからなる核酸の測定方法を報告している。コック
スらによって報告された実施例は、すべて固定化した標
識プローブを使用した不均質なハイブリッド形成を挙げ
ているが、7頁、18行目に、コックスらはこのハイブリ
ッド形成が「均質」であろうと示唆している。均質なハ
イブリッド形成のパラメーターは何ら報告されていな
い。
しかしながらこの発明の効果的なデータ以前には、可
溶化した試料核酸を前もって精製および/または固定化
することを必要としない、試料核酸と相補的な標識核酸
プローブと試料核酸との間の分子ハイブリッド形成を成
し得る生物学的試料核酸の評価手段に対する要望が存在
し続けていた。
一層重要なことは、臨床上の用途に適合した細胞核酸
評価方法に対する要望が存在し続けていることである。
そのような方法は、上に引用した研究所で使用の際の技
術的手法の精度および感度を保持しなければならない。
しかしながら臨床上に適合させるには、さらに迅速性、
簡易性/信頼性、経済性、汎用性および自動化の可能性
が要求される。
迅速性−理想的な臨床検査は30分間で、即ち医師の診
察室で患者が受診している間に実施されるべきである。
遺伝子診断テストは最低、競合する培養、免疫学的また
は生物学的検査より一層迅速であるべきである。実用
上、遺伝子診断テストを完了するのに最も経済的な時間
は、2〜3時間が目標とされている。
簡易性/信頼性−臨床検査は高校卒業程度の検査助手
の手で実施され得るべきである。その方法は、臨床検査
室で予想される温度、時間、容量、試料組成等に生じる
通常の変動によって混乱されるべきではない。その方法
は十分自動化し得る程度に簡単であるべきである。
経済性−臨床に適合し得る遺伝子診断テストは、臨床
市場で代替されるテストと同程度、具体的には1テスト
当り1ドル以下でなければならない。
汎用性−遺伝子診断方法は、血液、尿、固体組織、
便、綿棒等を含むウィルス、細胞、固体組織、微生物等
を含有する広範囲な「汚れた」臨床試料に適用し得るも
のであるべきである。
自動化の可能性−遺伝子診断手技のすべてまたは一部
は臨床検査室の機械で実施されるであろう。そのような
手技は手順段階を最短化し、腐食性もしくは有毒な溶媒
または溶質を使用せず、環境温度に近い温度で実施され
る。そのような手技は遠心分離または電気泳動のような
手間のかかる方法を避けるようにするのが望ましい。
臨床適合性には、上記の性質すべてのほか、さらに実
験室水準の精度および感度が追加的に要求される。発明
者の知る限り、先行技術においてこの問題を解決する方
法を提供したものはない。
C.患者中のHIV負荷の測定 エイズ患者はHTLV−Iと交差反応する抗体を持ってい
ることが判った[エセックスら、サイエンス、220巻、8
59頁(1983年)]。その後、新しいウイルスHIV、即ちH
TLVIII/LAV(エイズウイルス)が発見され[バール−シ
ヌーシら、サイエンス、220巻、868頁(1983年)、ポボ
ビックら、同誌、224巻、497頁(1984年)]、エイズ患
者が、エイズウイルスの種々のタンパク質に対する抗体
を持っていることが判明した[サーンガダランら、サイ
エンス、224巻、506頁(1984年)、カリャナラマンら、
サイエンス、225巻、321頁(1984年)]。エイズ患者は
細胞内[ハーンら、ネーチャー、312巻、166頁(1984
年)、ショーら、サイエンス、227巻、177頁(1985
年)]および脳細胞内[ショーら、サイエンス、227
巻、177頁(1985年)]にエイズウイルスのDNA配列を保
有している。ごく僅かのリンパ球にはエイズウイルスが
含まれているかも知れない[ハーンら、ネーチャー、31
2巻、166頁(1984年)、ショーら、サイエンス、226
巻、1165頁(1984年)、ショーら、サイエンス、227
巻、177頁(1985年)]。このウイルスはTヘルパー細
胞に対し細胞変性的であるが、細胞溶解を起こすことな
く他の血液細胞によって運ばれるのかも知れない(D.モ
ーガンおよびJ.レビー、私信)。
最近の推定では1リンパ球は104またはそれより少な
い感染をしていることが示唆されている。さまざまな固
体から単離されたエイズウイルスはゲノム多様性を示す
ことができる[ウオング−スタールら、サイエンス、22
9巻、759頁(1985年)]。エイズウイルスはレンチウイ
ルスと遺伝学的に関連があり[チウら、ネーチャー、31
7巻、366頁(1985年)]、レンチウイルスと同様に少な
くともT4細胞で細胞変性的である。レンチウイルスは免
疫監視を逃れることができるから(チウら)、「これら
急速に進化するレトロウイルスたちは、それらに随伴す
る疾病の予防および防除に送る挑戦を強める」。
多数の実験室および営利的企業がエイズ患者中のHIV
核酸の測定を目指して研究を行っている。シャーマン、
ガロ、ヴォルスキー、その他らは、プローブとして使用
するためHIV遺伝子のクローンを作成した。HIV核酸の測
定は、試験管内でウイルスに感染させた細胞および血液
細胞から得たRNAまたはDNAを精製して行われるが、その
技術を、臨床上の試料に日常的に使用するには迅速でな
く簡単でもない。HIV RNAの検出はイン・サイチュ・ハ
イブリッド形成をした後、顕微鏡スライド上に血液細胞
を置くことによって行われる[ショーら、サイエンス、
227巻、177頁(1985年)]。この手段は、商業的に入手
し得るキットまたはプローブの形態でENZO・バイオケミ
カルズ、ONCORおよびデュポンにより提供されている。
しかしながらこの方法は、臨床上有益なHIVテストにと
って必要とされる簡易性または信頼性を提供し得るもの
でないことは明白である。イン・サイチュ・ハイブリッ
ド形成がHIVを定量的に測定できるとか、あるいは見掛
けの陽性検出例に対してこれを確認するテストが存在す
るとかいう確たる根拠はない。これまで「ドット・ブロ
ット」という語は、感染細胞中のウイルスRNAまたはDNA
を核酸精製を行わずに測定する場合に使用されてきた。
RNAは、溶解した細胞からNaI、GuSCN、ホルムアルデヒ
ド/SDSまたはSDSへ選択的に固定化し得る。しかしRNA固
定化の効率はまちまちである。固定化した核酸へのRNA
ハイブリッド形成は比較的遅い。粗製溶解物からの核酸
固定化のもう一つの欠点は、一緒に固定化されるタンパ
ク質がハイブリッド形成を妨害することである。概して
これらの固定化手段は、溶解物を使用するにしても、あ
るいは精製した核酸を使用するにしても臨床的に有益な
HIV測定に必要とされる感度を欠いている。シータスは
標的の増幅作戦を採用したが現在は精製した核酸の場合
だけが実施可能であり、目下のところDNA標的が必要で
ある。
現行のHIVウイルス検出用テストは共存培養方法であ
る。エイズ患者から得た単核血液細胞を、感度の高い指
示細胞、通常は健常志願者のPHA刺激リンパ球と共存培
養する。共存培養1〜3週間後に、逆転写酵素またはウ
イルス抗原を測定することによって培地へ遊離されたウ
イルスを検定する。現在の共存培養テストの感度は未知
である。連続培養またはある種の患者たちに対する単離
頻度の変動が観察された。この頻度は、さまざまな提供
者によるヒト・リンパ球標本のHIV感染に対する感受性
と関係しているのかも知れない[T.フォークスら、ジャ
ーナル・オブ・イムノロジー、136巻、4049頁(1985
年)]。共存培養検定によってウイルス負荷を定量し得
る可能性はまだない。
ARC(エイズ関連複合体)/エイズ患者の血清中HIV抗
原の直接試験法を開発する研究が、アボットおよびデュ
ポン、その他で進行中である。アボットで実施されたAR
C/エイズ試料に対する検定では、直接検定によって僅か
50%の陽性率しか示されなかった。そのうえ直接抗原テ
ストが、抗原と複合体を形成し、血液から切り離される
ARC/エイズ患者中の少量ないし多量の抗体の同時共存に
よって複雑化されるであろうことは理解できる[J.グー
ズミットら、ザ・ランセット、7月26日(土曜日)号、
177〜180頁(1986年)]。
[発明の要約] この発明は疾病診断に著しい改善を提供する。この発
明は、生物学的な供給源からmRNAを固定化することに基
づく簡単で、迅速かつ正確な方法である。この方法は、
広くRNA固定化方法に関するものであって A.RNAを含有する生物学的供給源をカオトロピック塩溶
液と接触させることにより、その生物学的供給源を溶解
させ、 B.mRNAを選択的に固定化し得るフィルター材料によっ
て、このように溶解した生物学的供給源を過する 段階からなる。
この発明は、前述のように、精製段階を必要とし、さ
らに独立して固定化段階を必要とする既存の方法と比べ
て極めて有利である。この発明では、まずRNAを含有す
る細胞のような生物学的供給源をカオトロピック塩溶液
に溶解して、mRNA溶液と細胞物質からなる残部とを生成
する。ついでmRNAを選択的に固定化し得るフィルターを
通して細胞物質溶液を過することにより、即ち細胞物
質残部はフィルターを通過するので、これを除去でき
る。このようにこの発明の大いなる有利性は、固定化段
階がそのまま精製段階である点にある。精製段階を固定
化段階から分離する必要はない。
固定化段階が同時に精製段階である事実は、既存の方
法を簡素化し改良する点に関する限り重要な進歩を表
す。通常、所望の成分の固定化が完全に起こり得るよう
一緒に固定化された混入物を除去するため、生物学的試
料の広範な精製を行わなければならない。しかしこの発
明の場合は、生物学的試料を溶解するのにカオトロピッ
ク塩溶液を使用するので、対象となる成分、即ちRNA
(またはDNA、後記)は固定化フィルター材料に選択的
に固定化される結果をもたらす。
細胞または細菌のような溶解したRNA供給源からRNAを
「選択的に固定化すること」によって、少量の非RNA物
質分画を若干一緒に固定化されることは恐らく避け難い
が、異質(即ち非RNA)物質の大半は固定化フィルター
を通過する。溶解した(即ちカオトロピック溶液に)RN
A供給源を単に通過させることで、独立した精製段階を
用いる既存の方法と比べ、それ以上ではないにしても少
なくとも同程度の精製を提供する。以下に説明するよう
に、この発明は補助的手段を付け加えることによって
(即ち本質的ではない)都合よく一層効果的にし得る
が、この発明の本質的な段階は上記の(A)および
(B)である。
「カオトロピック」塩はRNAの生物学的供給源(細胞
および細菌のような)を溶解し、主としてファンデルワ
ールス引力として一般に知られている弱い分子間の力を
遮ることによって、RNAを溶液中で選択的な固定化に適
した形態とするものである。ファンデルワールス引力
は、例えば主として脂肪(例えば脂質二重層型の)細胞
膜を互いに保持する働きに関与する。またカオトロピッ
ク塩はタンパク質のようなその他の生物学的分子と溶媒
和を作る。カオトロピック塩は、この発明の用途に特に
適した幾つかの機能、即ち 1.細胞および細胞の構成要素またはその他のmRNA供給源
を溶解する、 2.核酸を変性しようとする、 3.好適な固定化表面へ核酸を選択的に結合する 等の機能を同時に発揮する。
カオトロピック塩は既知のすべての塩の範囲で合理的
に選ばれた一群を構成する。確かにすべての塩がカオト
ロピックではなく、したがってすべてがこの発明の用途
に好適であるとは限らない。カオトロピック効果とは、
生物学的供給源を実質上完全にカオトロピック塩溶液に
溶解することによって物理学的に特徴付けられる。この
発明の目的のために、溶解は微粒子によって散乱される
可視光線量(即ち不溶性物質)を介して測定できる。カ
オトロピック塩は、一般に生物学的試料を溶解して実質
上透明な溶液を作る(溶液が着色することはあるが)。
「溶解」とはカオトロピックに溶解した生物学的試料を
測定した可視光線の光学密度(例えば600ミリミクロン
で測定)を、5%グリセリン水溶液に懸濁した同一試料
の光学密度と比較して少なくとも約2倍低下することと
定義し得る。任意の特殊塩に対する「溶解」とは、濃度
既知の塩溶液1ml当り細胞1mgを混合すること(技術上公
知のように機械的に)によって操作的に測定し得る。塩
がカオトロピックであるかどうかを操作的に測定するに
は、実際の試料の場合、試料が誘導された生物学的供給
源の性質に合わせて濃度を変えることができるが、予定
した濃度は5モルである。もし塩がカオトロピックであ
れば、混合によって、5%グリセリン水溶液に懸濁した
懸濁液と比較して、標準的な濁度計で測定した散乱光を
少なくとも約2倍低下することによって示される「溶
解」がもたらされる。これに関する数学的な説明は実施
例7に示す。
試験を行い、この発明の用途に好適であることが判明
した特定のカオトロピック塩は、トリフルオロ酢酸ナト
リウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウ
ム、グアニジンチオシアナートおよびカリウムチオシア
ナート等である。アルカリ金属カチオンを含んだカオト
ロピック塩(例えばトリクロロ酢酸ナトリウム)で、異
なったアルカリ金属カチオンと置き換わると(例えばト
リクロロ酢酸カリウム)、カオトロピック挙動に多少差
があってもそれは僅かである。
生物学的供給源の溶解を実質上完全に達成し得る十分
な特定カオトロピック塩の濃度は、使用した特定塩およ
び生物学的供給源の性質および濃度によって変わる。カ
オトロピック塩の代表的な濃度は他の塩濃度とは若干異
なるが5モル程度である(実施例6参照)。例えばNaI
溶液では、後述のように飽和(25℃)である。濃度調節
はこの発明の請求範囲内で通例の最適化を表す。カオト
ロピック塩は生物学的供給源または試料の完全溶解を実
質上達成し得る十分な濃度でなければならない。
「生物学的供給源」の用語は、任意の生物から得た物
質[ただし精製された化学物質(または生化学的物質)
を除く]を表す。特に「生物学的供給源」とは、ヒトか
ら抽出した生物学的試料を指すのに用いる。発明者は、
分離された細胞、組織切片、糞便、体液(例えば血液、
リンパ液、尿、唾液等)、細菌、ウイルス、酵母および
上記供給源の多数の(分離した核または細胞質のよう
な)分画物を用いて、この発明で試験し良好な結果を得
た。このように「生物学的試料」の語は、上記任意の材
料のすべてを意味している。
選択的に固定化し得るフィルター材料は当業界で既知
のものを使用し得る。好ましくはそれらの物質には、ニ
トロセルロースおよび広く「ナイロン」の語のもとに分
類される任意のフィルター材料が含まれる。これらのフ
ィルター材料は、広く当業者にとって公知の容易に商業
的に入手し得るものである。例えばニトロセルロースは
BA85(シュライヒャーおよびシェル)およびHAWP(ミリ
ポア)として入手できる。ナイロンフィルターはビオダ
イン(商標、ポール)、ゼネスクリーン(商標、ニュー
・イングランド・ヌクレア)およびシータポアまたはシ
ータプローブ(商標、AMF、クノ)として入手できる。
ただしこれらは単に例示しただけものである。好適なフ
ィルターは文献的に多数の商業的な供給源から入手可能
である。一般にフィルターの孔径は決定的なものではな
く0.45Mが代表的である。所望によりそれより大きい孔
径または小さい孔径を使用してもよい。
一般に天然生産物である(例えば純粋な標準品に対す
る語として)「生物学的供給源」または「生物学的試
料」は何れもまたDNAを含有している。簡単な操作上の
変化を加えることにより、mRNAさえも除いてこれらのDN
Aを選択的に固定化できることが判明した。まず(DNAを
含有する)生物学的試料(またはその他の供給源)を最
低45℃の温度に加熱し、DNAを変性する十分な時間、こ
の温度を維持し(通常約20分間)、ついで固定化フィル
ターで過することによってDNAは選択的に固定化さ
れ、一方大部分の生物学的構成成分は(mRNAを含む)フ
ィルターを通過する。標準的にはできるだけ速やかにか
つ完全にDNAの変性を達成するため、少なくとも75℃よ
りも高い温度で生物学的試料を加熱する。このようにし
て、この発明はまた A.DNAを含有する生物学的供給源をカオトロピック塩溶
液と接触させることにより、その生物学的供給源を溶解
させ、 B.このようにして溶解した供給源を少なくとも45℃の温
度に加熱し、ついで C.そのDNAを選択的に固定化し得るフィルター材料でこ
の供給源を過する。
各段階からなるDNAを選択的に固定化する方法を提供す
る。
固定化は一旦試料を冷却した後、例えば室温で行って
もよいが、溶解したDNA含有試料を熱いうちに過する
方が有利である。溶解した供給源は(段階B)、速やか
にしかも完全なDNA変性と、mRNA分解を確実に行うた
め、できるだけ高温で、通常少なくとも75℃で、一層標
準的には85〜100℃で加熱するのが好ましい。
一旦固定化したら、特異的なRNA配列、とりわけ固定
化されたRNAは、その特異的なRNA配列と相補的である標
識したDNAまたはRNAプローブを使用して、これとハイブ
リッドすることにより定量できる。またそのプローブ
(および標識)を固定化することによつて、ハイブリッ
ドしたプローブの量(即ち標識を定量することによって
測定し)は、プローブをハイブリッドした特異的RNAの
量と直接関係する。このようにして、この発明は A.RNAを含有する生物学的供給源をカオトロピック塩溶
液と接触させて、その生物学的供給源を溶解させ、 B.このようにして溶解した供給源をそのRNAを選択的に
固定化し得るフィルターと接触させ、 C.固定化した特異的なRNA配列と相補的な標識プローブ
でそのRNAをハイブリッドし、そして D.その標識に基づいてそのRNAの量を測定する 各段階からなる特異的なRNA配列の定量方法を提供す
る。
同様の方法により、ただし前述のように加熱段階をこ
の方法に付け加えてDNAを定量できる。したがって、こ
の発明はまた A.DNAを含有する生物学的供給源をカオトロピック塩溶
液と接触させて、その生物学的供給源を溶解させ、 B.このようにして溶解した供給源を少なくとも45℃の温
度に加熱し、ついで C.このようにして溶解した供給源をそのDNAを選択的に
固定化し得るフィルター材料に接触させ、 D.固定化した特異的なDNA配列と相補的な標識プローブ
でそのDNAをハイブリッドし、そして E.その標識に基づいてその特異的なDNA配列の量を測定
する各段階からなる特異的なDNA配列を定量する方法を
提供する。
さらにこの発明は、それぞれ独立して A.その核酸を選択的に固定化する材料からなるフィルタ
ー、および B.カオトロピック塩 を含んだRNAおよびDNAからなる群から選ばれた核酸の固
定化を実施するのに好適なキットを提供する。
さらにこの発明は A.その核酸の選択的に固定化する材料からなるフィルタ
ー、 B.カオトロピック塩、および C.その特異的RNAまたはDNA配列と相補的な核酸からなる
プローブ を含んだ生物学的供給源中の任意の特異的なRNAまたはD
NA配列の量を測定するのに好適なキットを提供する。
さらにこの発明は、「逆プローブ化」として知られ
る、生物学的供給源から任意の特異的RNAまたはDNA配列
を選択的に分離し得る新規方法を包含する。例えば対象
となるRNA配列を分析する一方法は、前述のように生物
学的試料からRNAを固定化し、対象となる特異的なRNA配
列を、標識した相補的なプローブでハイブリッドし、対
象となる配列を定量することからなる。逆プローブ化は
正反対の技術である。
核酸を含有する生物学的な供給源中のRNAまたはDNAの
何れを探索し、分離する(そして定量する)かにかかわ
らず、供給源をまずカオトロピック塩溶液に溶解する。
もしRNAを測定するのであれば、固定化したプローブを
含有するフィルターを後述のように予備ハイブリッド形
成に掛ける(詳細な説明は第1F節参照)。予備ハイブリ
ッド形成はフィルター材料によってRNAが直接固定化さ
れるのを防止する。もしDNAを測定するのであれば、カ
オトロピック溶液に溶解した生物学的供給源を洗剤と混
合し、ハイブリッド形成を行う前に、その溶液を同様に
加熱する。洗剤はDNAがフィルター材と直接相互作用す
るのを防止する。DNAを加熱するとDNAは変性されるの
で、ハイブリッド形成が行われる。後述するような洗剤
はこの発明の実施態様に有効である。標準的にはカオト
ロピック溶液の容量(溶解した供給源をプラスし)に対
して1重量%(即ちW/V)に相当する洗剤量で十分であ
る。もし洗剤を水溶液として添加するのなら、その容量
をできるだけ少なく保って高いハイブリッド形成速度と
一致させるべきである。供給源の溶液自体はフィルター
材料で過せず、むしろ約37℃の温度で、標準的には20
時間、即ちハイブリッド形成を促進する条件下で一緒に
インキュベートする。
ハイブリッド形成の程度を分析的に測定する方法(し
たがって供給源中の対象となるRNAまたはDNA配列の量)
は実施例6で説明する。
このように、この発明は、 A.生物学的供給源をカオトロピック溶液に溶解し、 B.このようにして溶解した供給源を、少なくともそのRN
A配列の一部と相補的な固定化した1本鎖核酸プローブ
と接触させ、このように接触させた供給源を、分子ハイ
ブリッド形成を促進し、DNAを変性させない状態で維持
し得る温度でインキュベートする各段階からなる特異的
なRNA配列を含有する生物学的供給源から任意の特異的R
NA配列を選択的に分離する方法を提供する。
またこの発明は、 A.特異的なDNA配列を含有する生物学的供給源をカオト
ロピック塩溶液と接触させることによって、その供給源
を溶解させ、 B.得られた溶液を少なくとも45℃の温度で加熱してDNA
を変性し、そして C.その溶液を、少なくともその特異的DNA配列の一部と
相補的な固定化した1本鎖核酸プローブと接触させ、こ
のように接触させた供給源を分子ハイブリッド形成を促
進させる温度でインキュベートする 各段階からなる生物学的供給源から特異的なDNA配列を
選択的に分離する方法を提供する。
さらにこの発明は、「均質ハイブリッド形成」、「一
層性ハイブリッド形成」または「液−液ハイブリッド形
成」として知られている生物学的供給源から任意の特異
的なRNAまたはDNAを選択的に分離する新規方法を包含す
る。「均質ハイブリッド形成」、「一層性ハイブリッド
形成」、もしくは「液−液ハイブリッド形成」の語は何
れも同意義に用いられ、カオトロピック溶液中で行われ
る分子ハイブリッド形成において、標識プローブと標的
(試料)核酸の双方が分子ハイブリッド形成反応中、溶
液内に存在していることを表している。
核酸を含有する生物学的試料中のRNAまたはDNAの何れ
を探索し、これを同定および/または定量するため分離
するかにかかわらず、まず試料をカオトロピック塩溶液
に溶解する。もしRNAを同定および/または定量するの
なら、好適な標識をした核酸プローブ(DNAまたはRNA)
を、その標識プローブと試料RNAとのハイブリッド形成
に好ましい条件下でRNAのカオトロピック溶液へ直接添
加する。
もしDNAを測定するのなら、生物学的試料をカオトロ
ピック溶液に溶解し、ハイブリッド形成の前にその溶液
を加熱する。DNAを加熱するとその分子は変性し、それ
によって好適な標識プローブとハイブリッド形成をする
のに好適な一本鎖DNAを生じる。この場合は、先に説明
した「逆プローブ化」に使用したような洗剤は必要でな
い。
上記のようなハイブリッド形成の程度を分析的に測定
する代表的な方法(したがって試料中の対象となるRNA
またはDNA配列の量)を実施例10および15で説明する。
したがってこの発明は、さらに A.生物学的供給源をカオトロピック溶液に溶解させ、 B.溶解した供給源が溶存しているカオトロピック溶液中
で、溶解した供給源を、少なくともそのRNA配列の一部
と相補的な可溶化形態の核酸プローブと接触させ、この
ように接触させた試料を、分子ハイブリッド形成を促進
し、DNAを変性させない状態で維持する温度でインキュ
ベートする 各段階からなる、特異的なRNA配列を含有する生物学的
供給源からその特異的なRNA配列を選択的に分離し、ま
たはその特異的なRNA配列の存在または不在を測定する
方法を提供する。
またこの発明は A.特異的なDNA配列を含有する生物学的試料をカオトロ
ピック塩溶液と接触させることによって、そのような試
料を溶解させ、 B.得られたカオトロピック溶液を、それに溶解した試料
DNAとともに少なくとも45℃の温度で加熱してそのDNAを
変性し、そして C.変性した試料を含有する溶液を、少なくともその特異
的なDNA配列の一部と相補的な標識核酸プローブと接触
させ、このように接触させた試料を分子ハイブリッド形
成を促進させる温度でインキュベートする 各段階からなる特異的なDNA配列を生物学的試料から選
択的に検出および/または定量する方法を提供する。
この発明は、さらに A.カオトロピック塩、 B.分子ハイブリッド形成を行う装置一式、および C.ハイブリッドした2本鎖を検出および/または定量す
るための検定 からなるキットを別々に含んだRNAおよびDNAからなる群
からから選ばれた核酸を評価するための試料調製および
均質ハイブリッド形成を実施するのに好適なキットを提
供する。
またこの発明は A.カオトロピック塩、 B.分子ハイブリッド形成を行う装置一式、 C.ハイブリッドした2本鎖を検出および/または定量す
るための検定、 D.その特異的なRNAまたはDNA配列と相補的な核酸を含ん
だプローブ、および E.カオトロープに溶解した陽性および陰性対照の生物学
的試料を含んだ特異的なRNAまたはDNA配列量を測定する
のに好適なキットを提供する。
以上説明したように、この均質ハイブリッド形成は、
与えられた試料中の核酸の型および/または接触の分析
的測定を特に臨床適用に適合させることで格別の有用性
を提供する。実質上同じカオトロピック溶液中で試料調
製および均質ハイブリッド形成を組合わせたこの発明
は、最も進歩した実験室手技の精度ならびび感度を保持
しているその性能の点で他に類がなく、一方臨床に適合
させるのに必要な、迅速性、簡易性、経済性、汎用性お
よび自動化の可能性を併わせ持っている。この発明およ
びその新規性の理解を容易にするため、この発明に関す
る上記指標を要約し、実施例の実験と対照させて説明す
る。
精度−カオトロープ中でのハイブリッド形成は、精製
した核酸では100%の効率で行われ(実施例10、第9B
図、上の曲線)、生物学的供給源中の核酸の場合もこれ
と同等の効率で行われる(実施例10、第9C図)。液体中
のハイブリッド形成は数学的に記述できる[ブリテンお
よびコーネ、サイエンス、161巻、529頁(1968年)]。
この発明では数学モデルと一致したハイブリッド形成を
達成する(実施例12、第11図)。プローブが過剰の場
合、標的核酸の存在量とハイブリッドされたプローブ量
との間には直線的な関係があり、その比例定数は1であ
る(実施例10、第9B図、上の曲線)。それより低いプロ
ーブ量の場合でも、標的核酸の存在量およびハイブリッ
ドさせたプローブ量との間には、なお直線的な関係があ
る(実施例15、第12図)。これらの事実は、すべて、こ
の発明が生物学的供給源中の核酸の正確な評価を提供し
得ることを示している。実施例16は実施的な方法でこれ
を説明している(第13図)。
感度−相補的な標的配列の30フェントグラムを検出し
た(実施例10)。この感度水準は当時の技術状態であ
る。
迅速性−標的配列が少量であっても細菌中の標的DNA
に対しては15分間(実施例10、第9D図)、ヒトリンパ球
の標的DNAに対しては11分間(実施例10)で試料調製/
ハイブリッド形成を完了する手段を提供する。したがっ
て標的RNAの場合は、同じ手順であるが5分間のインキ
ュベート時間が除外されるので、6分間で評価し得る
が、これは適用内の代表例ではない。これらの高速実験
において、完全な正確さおよび感度が保持されることは
重要で注目すべきある。上記の迅速性が可能な理由の一
つは、一般にカオトロープによって(実施例11、第10A
および10B図)、ことにGuSCNによって(実施例11および
12、第10および11図)予期しなかったハイブリッド形成
の促進が生じることによる。
簡易性−生物学的試料中の標的RNAを評価するため
に、この発明は、単に(1)液体または微細に分割した
組織を強力なカオトロープへ約1分間接触させ、ついで
(2)プローブ約1μg/mlを添加して混合物を約5分間
インキュベートするだけである。これは実施例15および
16に例示されるが、ただし少量のプローブを使用したた
めハイブリッド形成段階が延長されている。実施例15お
よび16において、もっと多量のプローブを使用すればハ
イブリッド形成を短縮し得たであろうことは、当業者で
あれば実施例10から明白であろう。またプローブをカオ
トロープとプレミックスしてこの二つを同時に加えても
よい。
操作は未熟者でも充分実施し得る程度に簡単であり、
実際に発明者の実験室では高校低学年、高校高学年の生
徒および大学生によって実施された。
操作は臨床検査室で予想される条件の混乱に対して過
敏ではない。環境温度で実施する場合、GuSCNは3〜6.5
Mで検査は同程度に有効であり(実施例12、第11C図)、
また23〜30℃で3〜4MのGnSCNを使用すれば同程度に有
効である(実施例12、第11A、B図)。ハイブリッド形
成は5分間または数日で行われる(実施例11、第10A、
B図参照、実施例10、第9D図と比較せよ)。
試料調製および分子ハイブリッド形成に対し、そのよ
うに極端に簡単な工程で充分であることは先行技術では
理解できない。通例、試料調製には酵素、洗剤、有機溶
媒、還元剤等の組合わせが使用される。分子ハイブリッ
ド形成のための条件は通常変化し、極めて特ある。他の
高分子と比較して、生物学的試料中の標的核酸はイオン
結合、水素結合、非極性結合等を含むさまざまな力によ
って複雑化しているから、生物学的試料をカオトロープ
に接触させることで、標的核酸を正確に、効果的に良好
な感度でプローブ化し得る程度に遊離し得ることは予想
できない。確かに試料調製に使用されるのと同一溶液
で、そのようなプローブ化が実質上正確に行われること
は予想できなかった。最後にプローブ化処理の速度が、
カオトロープによって促進され一層速い処理を提供する
であろうとは予想できなかった。
カオトロープ処理の簡易性が正確さ、感度およびスピ
ードを犠牲することなく得られたことは注目に値する。
経済性−カオトロープ手法のコストは発明者が知って
いるすべての方法と比べて低廉である。全システム中、
プローブ費用、ハイブリッド検出費用、試料採集装置費
用のような各コストは同等に保っているので、カオトロ
ープ方式のホストはカオトロープそのものの費用であ
り、1測定当りのそのコストは数ペニーまたはその数分
の1となる。カオトロープ方式を用いた手動式遺伝子診
断テストを実施するのに要するコストは1.50ドル以下と
見積もられる。自動化テストのコストは計算が容易でな
いが、この発明の簡易性を考慮すればかなり安価なはず
である。
汎用性−臨床試料は便、血液、尿等のような試料の高
度の不純度のため、研究室の試料と比較すると一般に
「ダーティー」と言い得る。この発明の臨床試料のスペ
クトルを試験し、あらゆる場合に充分操作し得ることが
判明した。発明者は、先行技術中でこのような汎用性に
達し得るものを知らず、また先行技術中でこの汎用性を
予想させ得るものを知らなかった。発明者にとってこの
汎用性は全く予想外のことであった。
発明者の最良の経験として、正確さ、感度、スピー
ド、簡易性または経済性を犠牲にすることなくこの汎用
性が得られたことを強調すべきである。したがってこの
発明は、臨床に適用し得る遺伝子診断方法を特徴付け
る、すべての特徴の最善のものを予想外に実現し得たも
のである。
自動化の可能性−そのような自動化が実在するまで、
幾つかの工程どれが自動化に最も容易であるかを論じる
のは困難である。しかしこの技術の熟練者にとって、こ
の発明の簡易性の故にこれが自動化し得ることは明白で
あろう。
この発明はさらに、患者中のHIV核酸を検出および定
量する手段を提供する。
図面の簡単な説明 第1図は、ヒト血液の白血球から固定化したmRNAおよ
びDNAへのC−mycがん遺伝子プローブの分子ハイブリッ
ド形成を示したラジオオートグラフである。
第2図は、DNA対照を使用して実施した、固定化したD
NAおよびmRNAの定量を説明した一連のグラフである。
第3図は、ポリ(A)含量を対照として使用したラジ
オオートグラフによるmRNAの定量を示したラジオオート
グラフ図である。
第4図は、ポリ(A)含量を対照として使用したシン
チレーション計数によるmRNA定量を示した説明図であ
る。
第5図は、ヒト血液血小板中のB型肝炎ウイルスDNA
の検出を示したラジオオートグラフである。
第6図は、競合的逆プローブ化を模式的に示した説明
図である。
第7図は、細胞中のDNA配列の測定における競合的逆
プローブ化を用いる説明図である。
第8図は、固定化したRNAの構造測定のための手順を
模式的に示した説明図である。
第9図は、各種条件下におけるこの発明の感度の説明
を示した。
Aは純粋な標的DNA(ラジオオートグラフ)、 Bは純粋な標的DNA(シンチレーション計数のグラ
フ)、 Cは細胞と混合した標的DNA(ラジオオートグラ
フ)、 Dは細胞中の標的DNA(ラジオオートグラフ)。
第10図はこの発明の有効性を示す。
Aは3M GuSCNまたはNaIまたは50%ホルムアミド中で
のハイブリッド形成の比較(ラジオオートグラフ)、 B、Cは異なった温度におけるGuSCNまたはNaIの各種
濃度のハイブリッド形成(シンチレーション計数を示す
グラフ)。
第11図は、GuSCN中におけるハイブリッド形成速度を
示したグラフである。
Aは3M GuSCN中での23℃、37℃および45℃における速
度、 Bは4M GuSCN中での23℃、37℃および45℃における速
度、 Cは23℃における3、4、4.9、5.9、6.5M GuSCN中で
の速度。
第12図は、GuSCNに溶解したウイルス感染細胞数とハ
イブリッド形成値との関係を示したグラフである。
第13図は、使用したプローブとハイブリッド形成との
関係を示したグラフであって、生物学的試料中に存在す
る標的RNA分子数を評価するための飽和値の使い方を示
した。
第14図は、処置前に検出できなかった血清抗原を有す
る4例のARC患者で得られた共存培養およびHIV値。
第15図は処置前に検出し得た血清抗原を有する3例の
ARC患者で得られた共存培養、ハイブリッド形成および
抗原結果。
第16図は3例のエイズ患者で得られた共存培養、ハイ
ブリッド形成および抗原結果。
[詳細な説明] ここに記した全ての温度は、特に指示がない限りセッ
氏である。「NC」は、ニトロセルロースを含有する膜に
当てはまる。
(1) 補助段階を用いた分子ハイブリッド形成のため
のmRNA固定化法(実施例1参照) 伝令RNAは、以下に示す方法によって全細胞から選択
的に固定化され得る。
(a) 生物学的源を準備し、 (b) 酵素的にたん白を取り除き、 (c) デタージェント(界面活性剤、洗剤)を加え、 (d) カオトロッピック塩を加え、 (e) 固定用膜を通してろ過し、 (f) フィルターを洗浄し(例えば、H2O、EtOH/H
2O、無水酢酸中でフィルター浸漬する)、 (g) 分子ハイブリダイゼイションを行う。
上記段階中、(d)および(e)が、先に記載したよ
うに、必須である。段階(a)〜(c)および(f)
は、mRNA源の特性に左右され、以降に説明するようにmR
NA固定化の効果を高めるのに使用し得る、補助的で非必
須な段階を示す。段階(g)は定量を可能とするハイブ
リダイゼイション段階である。
a.生物学的源調製 ここで使用した「調製」は、可能な限り核酸の一次構
造の完全性を維持しながらmRNA固定化に適当な状態にmR
NA源をするに必要とされる操作に当たる。典型的な細胞
調製操作は、細胞または組織試料からの体液の取出し、
体液からの細胞または粒子の取出し、細胞、体液からの
サブフラクションの製造等を包含し得る。数種の実施例
を以下に示す。その構造的分解を妨げることによってmR
NAを安定化させる配慮がなされることを前提として、全
ての好適な方法によって、細胞を製造し得る。通常、こ
のことは、氷上で試料を操作すること、その工程の間手
袋を着けること、および細胞と接触する溶液にシクロヘ
キサアミドとリボヌクレアーゼ阻害剤を含有することに
よってなされる。シクロヘキサアミドは、リボソームで
天然の構造の範囲内にmRNAを保持することによって細胞
から得たmRNAを保護する。リボヌクレアーゼ阻害剤は、
リボヌクレアーゼによるmRNAの分解を減少する。ベルゲ
ルおよびビルケンマイヤーの方法によって製造された、
リボヌクレアーゼ阻害剤バナジルリボヌクレオシド類
は、申し分ないが、NCといっしょに残存する。バナジル
リボヌクレオシド類は、分子ハイブリダイゼイションを
妨害しないが、固定化mRNAの逆転写および読取りを阻害
する。0.5mMのオーリントリカルボン酸(シグマ・ケミ
カルズ)と1mMのヒドロキシスチルバミジンイソザミン
(メレル)または1U/mlのRNAs(プロメガ・バイオテ
ク)の組合せはこの阻害作用を持たないが、バナジルリ
ボヌクレオシド類と同様の強力なリボヌクレアーゼ阻害
剤となり得ない。
その試料が単核血液またはせき髄細胞を含有する場
合、これらは、フィコール・ハイパックで不連続密度こ
う配遠心によって製造し得る(実施例1参照)。組織培
養で育成した単層細胞は、トリプシンを用いた通常の方
法で放出させ得るが、この酵素的処理は後のプロテアー
ゼ段階を置換しない。カオトロピック塩溶液に固体組織
を直接溶解するか、または単一細胞に組込んでから固定
化してもよい。これはDNAアーゼおよびコラーゲナーゼ
(スロクムら、キャンサー・リサーチ、41巻、1428〜14
34頁)を用いて酵素的に行い得るが、低速の配合または
凍結および粉砕も有効であり得る。無限に近い種々の源
の製造段階が想像し得、さらに発明者の最良の見地によ
ればそれら全てが、この発明に適合する。
b.脱蛋白化 生物学的試料をカオトロピック塩溶液に溶解した後大
量の蛋白様材料をNCを通した場合でさえ、生物学的試料
の性質および量に左右されるが十分な蛋白がmRNAと共に
固定化し得るので、濾過の前の工程のできるだけ早く
に、できるだけ多くの蛋白を分解させることが時には望
ましい。このことは、たん白分解性酵素(プロテアーゼ
と称する)を加えて、上述のように懸濁した細胞を製造
すること、および30分間37°で細胞懸濁物をインキュベ
ートすることによって好適に行われる。例えば、プロテ
イナーゼK(シグマ)は約200ug/mlで使用し得る。プロ
ナーゼB(非RNAアーゼ、カルビオケム)は商業的に有
用なプロテアーゼの別の例であり、10mg/ml保存溶液を
製造して、30分間37°でインキュベートした後1mg/mlで
使用するべきである(ギレスピエおよびスピーゲルマ
ン、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、
12巻、829〜842頁、1965年)。細胞レベル以下の分画化
(下記参照)を所望する場合、プロテアーゼ段階は遅延
させる。
[界面活性剤(c)およびカオトロピック塩(d)の添
加] 溶液への界面活性剤類およびカオトロピック塩の添加
の順序は重大でない。最初に一方を加えてから他方を加
えても、両方一緒に加えてもよい。
界面活性剤類は、細胞を破裂させ、カオトロピック塩
溶液からの蛋白およびDNAの固定化を抑制するのを助け
る。
mRNA源の特性が高分量蛋白および/またはDNAの入手
可能なものであれば、界面活性剤の添加が望ましい。適
当な界面活性剤は当業界に公知であり、商業的に入手し
得る。ブリジ・シリーズ(シグマ)またはツイン・シリ
ーズ(シグマ)のような商業的に入手可能なポリオキシ
エチレン類のような非イオン性界面活性剤類が望まし
い。ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよびデスオキシ
コール酸ナトリウムのような弱いイオン性界面活性剤類
もよく作用する。ドデシル硫酸ナトリウムのような強力
なアニオン性界面活性剤類および塩化セチルトリメチル
アンモニウムのような強力なカチオン性界面活性剤類
は、あまり好ましくないが、必要な場合使用し得る。界
面活性剤類の混合物も使用し得る。
例えば、細胞を破裂させるために、1/20容(ここで使
用した「容(vol)」はこの工程のその時点での試料容
量に当たる)の10%ブリジ35(シグマ)を加えてから、
試料を混ぜる。その後、1/20容の10%デスオキシコール
酸ナトリウム(シグマ)を加えてから再度試料を混ぜ
る。加えるべき界面活性剤の量は、上記で与えられたも
のが一般的であるが、試料の特性に左右され(例えば、
器官組織に対する血液)、簡単な実験法または「試行」
によって調整され得、さらにこの発明の範囲内に充分含
まれる。
必要であれば、界面活性剤の添加をして、1容の過飽
和カオトロピック塩溶液を加えてカオトロピック塩につ
いてはおおよそ飽和された細胞抽出物を作る。強力な塩
溶液が容易に製造される。例としてNaIを使用すると、
過飽和NaIは、熱H2O各mlごとに2.5gmのNaI(ベイカー)
の割合(W/V)でNaIを湯水中(少ないとも75℃)に溶解
させることによって製造するのが好適である。溶液は、
室温で固体として保存し、その後使用する前に少なくと
も75°に加熱することによって溶融し得る。飽和NaI溶
液は、約1容の過飽和NaIをNaI非含有溶液、懸濁物、生
物学的源等に加えることによって製造される。1容の過
飽和NaIを、懸濁した細胞、組織試料、または体液に加
えることで透明なこはく色の溶液が得られる。他のカオ
トロピック塩を用い、もちろん差異のある分子量および
溶解性、それ故差異のあるW/Vsを調整しながら、同様の
方法を使用し得る。その容易さ、その再現性、および飽
和溶液の効力のためにカオトロピック塩中で「飽和され
た」溶液を作ることが望ましい方法である。しかしなが
ら所望により、より低い濃度でも使用し得る。
e.核酸固定化膜を通した濾過 「濾過」および「膜」の語はここで交換可能に使用す
ることを注記する。ニトロセルローズ(NC)およびナイ
ロンを含むほとんどの膜は、それらの膜をRNAアーゼ非
含有水中で湿潤し、その後それらを5分またはそれ以上
の間RNAアーゼ非含有の6×SSC中で浸漬することにより
核酸を固定化することによって製造し得る。数種の疎水
性膜はエタノールのようなアルコール中であらかじめ湿
潤させることが必要であり得る。膜は、6×SSC中で少
なくとも数日間保存し得る。ある場合、強力なNaCl溶液
に膜をさらすことはカオトロピック塩溶液中に溶解した
核酸との相互作用に対して膜を活性化する。濾過は乾燥
膜を通して行い得るが、mRNAの外部への相当な拡散がお
こり、固定化は、定量的でないかもしれない。
数種の核酸固定化法(すなわち、mRNAまたはDNAのた
めの)は、数種の希釈および/または多数の細胞試料を
濾過することを包含する。この理由から、多数の試料の
濾過のために設計された72〜96のウエルを含有する種々
の装置がこの発明に最良である。シュレイチェルおよび
シュールによって製作されたマニフォードI(商標)
は、各ウエルが比較的大きな表面域を持っているため特
に適当である。6×SSC中であらがじめ湿らせたブロッ
テイング用紙片の上の装置の真空チャンバーに膜を載せ
るのが一般的である。マニフォードプレートを膜の上に
押しつけ、その後真空下でその膜を通して試料を濾過す
る。
f.RNA含有膜の洗浄 洗浄段階の目的は、NaIおよび非核酸分子を膜から取
り除くことにある。この段階は、補助的であり、この場
合も、望まれる度合いは、分析すべき生物学的試料の性
質によって決定されることが、強調される。mRNA源中の
残存カオトロピック塩および混入物を除去するために、
mRNAフィルターをH2O、70%エタノール/30%H2Oおよび
無水酢酸中で充分に浸漬し得る。mRNAフィルターを種々
の工程から取り出してから、膜cm2当たり1〜2mlのH2O
を含有するトレイに直接置き得る。カオトロピック塩溶
液中のNCで固定化されたmRNAがリボヌクレアーゼAに顕
著に耐性を有することが観察されるにもかかわらずリボ
ヌクレアーゼとmRNAフィルターとの接触を排除するため
に充分な注意を払うべきである。手袋を着け、mRNAフィ
ルターは清潔なピンセットを用いてつかみ、RNAアーゼ
非含有H2Oを使用するべきである。少なくとも5分間室
温でmRNAフィルターを浸漬し、その後洗浄溶液を交換す
る。多数のフィルターを単一のトレイで浸漬し得る。最
初に水洗浄または、好ましくは最初にエタノール洗浄液
中にフィルターを積み上げ得る。全体として、3回交換
した水で、3回交換した70%エタノール/30%H2Oで、さ
らに1回無水酢酸でフィルターを浸漬する。
無水酢酸洗浄は分子ハイブリダイゼーション試験にと
って重要である。無水酢酸は、非特異的プローブ−蛋白
複合体の形成を最小にしながら塩基性蛋白をアセチル化
し、経過はまだ知られていないが、分子のハイブリダイ
ゼーションシグナルを高め得る。無水酢酸はH2O中では
不安定なので、保存溶液を作り保存することができな
い。0.25mlの純粋無水酢酸(フィッシャー・ケミカル
ズ)を100mlの0.1Mトリエタノールアミン(フィッシャ
ー・ケミカルズ)に加えることによって無水酢酸溶液を
作るのが好適である。溶液を激しく混ぜ、清潔なトレイ
に置いてから直ぐにmRNAフィルターを加える。無水酢酸
浸漬を10分間室温で続ける。
無水酢酸からmRNAフィルターを取り出して直ぐに使用
するか、それらを風乾してジッポ−ロック・バッグで凍
結して保存し得る。反復用試料を製造する場合、保存前
に反復物を番号づけして分けておくのが好ましい。保存
フィルターは、充分に乾燥させて微生物の成育を防止し
ておく。それらの試料を直ぐに使用するかまたは保存す
るにせよ、mRNAフィルターは分子ハイブリダイゼーショ
ンに直ちに使用する準備ができている。
予備段階(a)、(b)および(c)で加えたプロテ
アーゼ、リボヌクレアーゼ阻害剤、および界面活性剤の
濃度は、生物源の特性によって変化すること、およびこ
こに記載した量は例示を意図していることに注意を喚起
する。上記変量は、当業界の許容の範囲内での常用の最
適値を表している。
g.固定化mRNAの分子ハイブリッド形成 固定化DNAまたはRNAの主要な用途の内の1つは、全核
酵母集団に存在する1つまたは数種の特異的配列の量を
測定することにある。したがって、典型的なほ乳類細胞
から固定化した数百万の遺伝子の中で、遺伝子プロービ
ングは単一の遺伝子の存在を検出し、単一の遺伝子の量
を測定し得る。種々のほ乳類細胞から固定化した、数百
から数十万のmRNA種の内、遺伝子プロービングは、単一
のmRNAの存在を検出し、単一のmRNAの量を測定し得る。
これは、ほとんどの場合、分子ハイブリダイゼージョン
と称される相互作用段階を通して標識化遺伝子プローブ
によって特異的におよび定量的に認識され得る、特定の
ヌクレオチド配列を各遺伝子および各mRNA種が有してい
ることによる。分子ハイブリダイゼーションは、20年
来、分子生物学の分野でよく知られている方法である。
(ギレスピエ、ディーおよびスピーゲルマン、エス、ジ
ャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー、12巻、
829〜842頁、ギレスピエ、ディー、メソッズ・エンツイ
モロジー、12B、641〜668頁、シード、ビー、ジェネテ
ィック・エンジニアリング、4巻、91〜102頁、1982
年、レーニンゲル、エイ・エル、バイオケミストリー・
テキスト(ワーク・パブリッシャー)、882〜883頁、19
75年、ストライヤー、エル、バイオケミストリー・テキ
スト(フリーダム・アンド・コーポレイション)、600
〜601頁、1975年を参照)。これは、DNAの全領域の対向
鎖に見られるような相補的ヌクレオチド配列を有する2
つの核酸の水素結合の形成を含む(ワトソン、ジェイ・
ディーおよびクリック、エフ・エッチ・シー、ネイチャ
ー、71巻、737〜738頁、1953年)。したがって、1重鎖
DNAまたはそれと化学的に同等なもの(例えば、RNAまた
は修飾DNAあるいは同じヌクレオチド配列のRNA)から成
る標識プローブを使用して、相補的またはほとんど相補
的なヌクレオチド配列を有する固定化DNAまたはRNAを検
定および定量し得る。
もちろん、分子ハイブリダイゼイションはmRNAを固定
化する方法の一部とはならない。むしろ、特異的に固定
化されたmRNA配列(固定化される全ての他のものの中
で)を決定させる方法段階である。関心の対象であるmR
NA配列に相補的(言い替えると、特異的)な標識したDN
AまたはmRNA(すなわち、プローブ)をmRNAと対にする
ことによって、ハイブリダイゼイションを行う。標識の
定量は、関心の対象である固定化mRNA配列の量に直接関
係する。放射性、蛍光性、および酵素の広いカテゴリー
の範囲内にあるような、多くの標識が可能である。具体
化を容易にするために、放射性標識を使用するハイブリ
ダイゼイションを詳述するが、これは限定するものと考
えてはならない。
放射性DNAプローブを使用する分子ハイブリダイゼイ
ションに関して多くのシステムが報告されてきた。一般
に、工程は、(a)放射性DNA(プローブ)と膜との相
互作用を最小にする、プローブを欠く溶液中で、mRNAフ
ィルターを浸漬し(「プレハイブリダイゼイショ
ン」)、(b)放射性DNAとmRNAとのハイブリダイゼイ
ションを促進する、プローブを含有する溶液中で、mRNA
フィルターをインキュベートし(「ハイブリダイゼイシ
ョン」)、さらに(c)非ハイブリッド化プローブを洗
い流す(「ポストハイブリダイゼイション」)3段階で
行なわれる。放射性DNAとNCとの相互作用を最小限にす
る、一般に使用されるプレハイブリダイゼイション溶液
は、以下に示す成分を含有するのが通常である。0.2%
やぎ血清アルブミン(画分IV、シグマ)、0.2%フィコ
ール(タイプ400、ファルマシア)、0.2%ポリビニルピ
ロリドン(シグマ)、50μg/mlの低分子量DNA(例え
ば、超音波処理さけ精子DNA、シグマ)および50μg/ml
のポリ(A)(コラボレイティブ・リサーチ)。おそら
く、これらの分子の全ては、放射性プローブを引き寄せ
得るNC上で種々の部位を占めて、プローブと固定化mRNA
とのハイブリダイゼイションの間、唯一可能な反応を起
こさせる。プレハイブリダイゼイションは、上記列挙し
た成分を含有するプレハイブリダイゼイション溶液の約
1ml/cm2のNCを用いてシール−ア−ミール(例えば、シ
アーズ)バッグ中に1つまたはそれ以上のフィルターを
封入することで完了する。その後、数時間ハイブリダイ
ゼイションで使用するのと同じ温度で封入した袋をイン
キュベートし得る。
ハイブリダイゼイションのために、フィルター含有サ
ックを単純に開封し、乾燥し、少量(0.1〜0.2ml/cm2N
C)のハイブリダイゼイション溶液に置き換えて、さら
に穏やかに振盪しながら再びインキュベートする。固定
化核酸のハイブリダイゼイション用の好ましい溶液は、
(最終濃度で)50%ホルムアミド(pH7)(フルッカ−
グラニト)、0.45M・NaCl、0.045Mクエン酸ナトリウ
ム、0.05Mリン酸ナトリウム(pH7)、1%SDS(シグ
マ)、および106〜107cpm/mlのDNAのプローブを含有す
る。ハイブリダイゼイションは、この溶液中、42°で一
夜行なわれるのが普通であるが、20〜25°の低い温度を
使用するのも有効である。これより高い温度はさらに特
異的なハイブリダイゼイションを提供する。
ホルムアミドの性質および量は重要である。pH紙上で
高いpHを示す、容器から直接取り出したホルムアミドは
その固体支持体から固定化mRNAをはぎ取る。同様に、か
なかり高い濃度のホルムアミド、中程度のpHのかなり純
粋なホルムアミドでさえフィルターからmRNAを取り除
く。ハイブリダイゼイションを行う際、ホルムアミドを
再蒸留または脱イオン化することが必要であることは立
証されていないが、pHについて定期的に各容器の内容物
を試験することは重要であり、さらに容器からピッペッ
トで取るよりむしろ保存ホルムアミド容器から注ぐほう
が賢明である。純粋ホルムアミドは暗色容器中、室温で
数週間保存し得る。残った保存物は暗所、低温に置くべ
きである。
DNAプローブの特性も重要である。現在、DNAプローブ
を合成および精製するのに多くの方法が可能となってい
おり、新規方法が次々と出現している。充分なプローブ
の第一の基準は、分子ハイブリダイゼイションを支持す
るのに充分な鎖長(>20ヌクレオチド)であることおよ
びフィルターと相互作用する標識化材料から比較的免れ
ていることである。プローブ合成に関しては、ゲル精製
変性DNAのオリゴヌクレオチド・プライム化複製は個々
の成分を必要としているが、市販のキット(アマーシャ
ム)の使用によってニックトランスレーションを達成し
得る(ファインベルグおよびボーゲルスタイン、アナリ
ティカル・バイオケミストリー、132巻、6〜13頁、198
3年)。ニックトランスレーション化DNAの精製の2つの
有用な段階は、セファデックスG−100(ファルマシ
ア)を通して分子ふるいにかけることと、次にNCを通し
て濾過を行うことである(マニアテスら、モレキュラー
・クローニング、ア・ラボラトリー・マニュアル、466
〜467頁、1982年)。精製プローブを100°で10分間変性
させ、冷却し最後にさらにハイブリダイゼイション溶液
を加える。
ポストハイブリダイゼイションとしては、10×SSCと
0.1%SDSで何回もフィルターを浸漬し得る。これらの浸
漬の回数および温度要件はプローブおよび細胞試料の特
性によって変化する。通常、各30分間42°で3回の浸漬
が未ハイブリッド化プローブを除去するのに充分であ
る。まれなmRNAの定量のために、同じ温度で長時間浸漬
を繰り返し行うことが必要となり得る。全ての場合、こ
れらの浸漬は、0.015M・NaCl、0.0015M・クエン酸ナト
リウムおよび1%SDS中で60°で60分間浸漬を行い、未
ハイブリッド化プローブの最終痕跡を除去し、さらに固
定化mRNAとの非特異的水素結合を作るプローブを除去す
るべきである。上述のように、分子ハイブリダイゼイシ
ョンを操作し、ホルムアミド、尿素、エタノール、ジメ
チルスルホキシド、グアニジン塩酸または高温から成る
システムを包含する多くのシステムが発達してきた。こ
れらのシステムの全ては、この発明で固定化したmRNAま
たはDNAを有効に使用された。
当業者に明らかなように、上記された特定生物学的試
料および特定RNA(例えば、細菌源由来のrRNA、ゲノム
性RNA、mRNA、tRNAおよびhnRNA)に関して適切に修飾さ
れた上述のものと同様な方法はこの発明の範囲に含まれ
る。
(2) 補助段階としての分子ハイブリド形成のための
DNA固定化(実施例1参照) 変性DNAは下記の固定化方法により全細胞のような生
物学的資源から(mRNAさえも除いて)選択的に固定化さ
れ得る。直線状または共有結合で閉環したDNAのいずれ
も定量的に固定化できる(ブレッサーら、アナリティカ
ル・バイオケミストリー第129巻第357-364頁、1983
年)。方法はmRNA固定化に記載されたものと全く同じで
ある。ただし凍結・解凍段階が細胞破壊のために含まれ
ることがあり、デタージェント(界面活性剤)はすべて
除外されており、加熱段階がDNAの変性のために含ま
れ、濾過は熱溶液で行うことも可能である点で異なる。
方法は次の工程からなる。
(a) 細胞の調製 (b) 酵素的除蛋白、凍結・解凍 (c) NaI添加、95-100°にて20分間インキュベート (d) 膜による濾過、好ましくは熱溶液にて (e) フイルターを、水、EtOH/H2O、無水酢酸に浸漬 (f) 分子ハイブリッド形成の実施 工程(c)および(d)は固定化方法に必須である。
工程(a),(b)および(c)は補助的であり、生物
学的試料(すなわちDNA源)の性質に従って、工程をよ
り有効にするように使用するのが有利である。
a) 細胞の調製 方法は上記の「mRNA固定化」に記載
と全く同様である。ヌクレアーゼおよび蛋白合成阻害剤
は必要ではないが支障にはならない。細胞はmRNA固定化
の場合と同様、敏速に処理する必要はない。事実、凍結
試料を分析できる。
b) 除蛋白 「mRNA固定化」参照。プロテアーゼ消化
細胞は凍結・解凍のサイクルで破壊される。メタノー
ル、エノール、またはアセトンを含む凍結浴をドライア
イスで−80°にする。細胞の入った試験管を、全懸濁液
が通常5−10分で最低の温度に達し、液体表面に逆円錐
が生成し、全く凍結するまで凍結浴に漬けて細胞を凍結
する。細胞は室温に保った水浴にて解凍する。3回の凍
結・解凍サイクルで通常は細胞破壊が確実に終了する。
ホモジネート、高圧、せん断力等の他の細胞溶解方法も
同じく好結果で使用できる。
c) カオトロピック塩溶液の添加およびインキュベー
ション 1容のカオトロピック塩の過飽和溶液を除蛋白、凍結
・解凍処理細胞に添加する。溶液を完全に混和し、その
後85-100°に保った湯浴に入れ、およそ20分間放置する
が、より低温度(および45°)でも良い。より高温がDN
A変成を急速かつ完全にするために望ましい。この間
に、DNAが変成するばかりでなくmRNAも破壊される。
d) 膜による濾過 膜は「mRNA固定化」に記載したの
と同様に作製する。生物学的資源の溶解に用いたカオト
ロピック溶液は、少くとも45℃、好ましくは75℃の温度
に加熱し、熱カオトロピック塩溶液を試験管から採取
し、直ちに一部を濾過する。典型的には、カオトロピッ
ク塩溶液から試料はできるだけ高温で(沸騰または突沸
状態ではなく)、通常85-100℃で採取される。フィンピ
ペットまたはピペットマン(ブリンクマン・インスツル
メント)などの分配器の使用、および溶液を迅速に、湯
浴から室温の真空装置に接続したニトロセルローズに移
すことが、濾過中液温を50℃に保ち、DNA固定化を保証
する。
e) DNA含有膜の洗滌 洗滌工程は「mRNA固定化」に
記載されたものと同一である。
f) 固定化DNAの分子ハイブリッド形成 ハイブリッ
ド形成方法は「標準mRNA固定化」に記載されたものと同
一である。デタージェントは分子ハイブリッド形成中存
在しうる。なぜなら、デタージェントが存在の存在がDN
A-NC間相互作用を妨害するとしても、DNAはデタージェ
ントにより除去されないからである。
(3) 細胞レベル以下分画からmRNAの固定化(実施例
1参照) 細胞レベル以下固定化方法は、細胞レベル以下分画の
数種の方法が適している。下記のものはデタージェット
溶解細胞から調製した細胞質および核分画からのmRNA固
定法のための典型的な工程表である。下記の工程は例示
的なものである。前述と同様、工程(e)および(f)
は本工程の核心となるものである。
a) 細胞の調製 b) デタージェントの添加 c) 核および細胞質の分離 d) 酵素的徐蛋白 e) 1容のカオトロピック塩飽和溶液の添加 f) ニトロセルローズ膜による濾過 g) フィルターを、水、EtOH/H2O、無水酢酸に浸漬 h) 分子ハイブリッド形成 a) 細胞の調製 単一細胞懸濁液を「mRNA固定化」に
記載と全く同様に調製する。リボヌクレアーゼ阻害剤を
含ませ、インビボで分解を最低にするために注意を払
う。
b) デタージェント(界面活性剤)の添加 プラズマ
および外側の核膜はブリジ35およびDOC(ブレッサー
ら、デー・エヌ・エー第2巻第243-254頁、1983年)を
順次加えることにより崩壊する。10%ブリジ35の20分の
1容を調製した細胞に加え、懸濁液を混合し、氷上に5
分間放置する。DOCの10分の1容を加え、懸濁液を混合
する。工程の操作はRNA破壊を防止するために注意深く
行う。リボヌクレアーゼはあらゆるデタージェント溶液
から保護しなければならない。常に手袋を着用すべきで
ある。細胞試料は冷却して保ち、操作は迅速に行う。
c) 細胞質および核分画の分離 崩壊細胞を、0℃、
2500×gにて、20分間遠心分離し、核のペレットを作製
する。細胞質の上澄液を除く。1bの細胞について記載し
たと同様に核ペレットを懸濁し、ブリジ35を0.5%ま
で、およびDOCを0.5%まで添加する。
後の工程はすべて「標準mRNA固定化」に記載したのと
全く同様に行うが、ただし除蛋白工程はデタージェント
添加後に繰り下げる。
この分野の熟練者は、細胞レベル以下分画からのDNA
が、デタージェントを用いずに(プラズマ膜の崩壊をホ
モジネートなどの他の方法を使用して)、濾過の直前に
加熱工程を入れることによって、前述のDNA固定化と全
く同様に、選択的に固定化されることが想到できるであ
ろう。
(4) 分子ハイブリッド形成からデータ処理 固定化したmRNAまたはDNAによる分子ハイブリッド形
成の結果は、ラジオオートグラフ、デンシトメーター追
跡、シンチレーション計数等の方法のいずれかで行う。
これらの方法は当業者に周知であり、本発明と矛盾しな
い。さらに明確にするために、実施例にて詳述する。
例えば32P−標識プローブを用いたハイブリッド形成
実験から得られたデータの最初の例は典型的にラジオオ
ートグラフである。ラジオオートグラフィーは、−70℃
にてX線補力スクリーンを用いて行う。ラジオオートグ
ラフは、プローブが膜のDNA−またはmRNAの含有部分に
しか作用し合わないこと、ハイブリッド形成応答がmRNA
またはDNA源が稀釈された場合は適当に減少すること、
試料の側方の拡散は生じないこと等を示すのに役立つ。
さらに、特定のmRNA、またはDNA配列の量の粗比較が可
能である。
正確な定量を希望する場合は、種々の点を設定し測定
する。放射性プローブ(例えば32P)に関して述べる
と、これは500μlのプラスチック管(エッペンドル
フ)に1点を含む正方形の膜を入れ、次にシンチレーシ
ョン管に置くので経済的に実施できる。つぎにフイルタ
ーを3H(50%有効)使用して乾燥状態で、3H(80%有
効)使用して水中で、または32P(100%有効)使用でシ
ンチレーション溶液中で計測可能である。その後mRNAの
量を、mRNAの稀釈率とハイブリッド形成したプローブの
放射能の関係(この関係は直線的に仮定する)から計算
する。共固定化不純物による妨害のための細胞材料を多
量に投入した際の低いハイブリッド形成値、および膜と
相互作用するプローブ中の不純物のためのmRNAがゼロの
場合の外挿値がプラス値であることなどから通常多くの
場合非直線となる。カオトロピック塩の添加前に効果的
な蛋白分解、mRNAフィルターの水およびエタノール/水
での十分な洗滌あるいは日常的にアセチレーション段階
を入れることにより、妨害を最低にすることができる。
妨害が生じたときはハイブリッド形成値の計算に稀釈の
試料を使用して容易に訂正できる。直線のプローブ・膜
相互作用(「バックグラウンド)」はプローブの精製方
法を変えて最低化する。有効な方法の1つは、稀水溶液
中(u<0.05)、またはハイブリッド形成緩衝液中のい
ずれかでのホルムアミドハイブリッド形成である。バッ
クグラウンドはmRNAがゼロにとき得られた正の値をすべ
ての数字から減じて補正する。
結果は固定化mRNAに相当する細胞当たりのプローブの
ハイブリッド形成のユニットとして表示が可能である。
対照がない場合、このパラメーターは最小値である。な
ぜなら、プローブのmRNA固定化特性の効率、ハイブリッ
ド形成効率、計数効率等における誤差を考慮していない
からである。より有効な値は他の生理的条件で得られた
同一の値と比較した一生理的条件下での固定化mRNAに相
当する細胞当りのプローブハイブリッド形成のユニット
である。この後者の値については、化学薬品、温度、pH
などの、所与の遺伝子の発現のレベルに対する影響によ
うなものは、発生、分化、エイジング等の間における発
現の変動と同様測定できる。しかし、この値は固定化効
率における変動を考慮せず、ハイブリッド形成効率にお
ける相違の可能性のため別の実験からの値と比較できな
い。上記の2つの値はいずれも、細胞当りの所与のmRNA
の分子数に変換することができない。
内的標準mRNAはより多くの情報を提供する。複製固定
化が行われ得る。1つは試験プローブとハイブリッド形
成したもの、他の1つは1つまたはそれ以上の参照プロ
ーブとハイブリッド形成したものである。その場合、結
果は試験プローブからのハイブリッド形成値と標準プロ
ーブからのハイブリッド形成値との比で表される。研究
中の細胞における種々の条件のもとで、mRNA数/細胞が
既知のmRNAは好ましい標準品である。第2の標準品は、
多分総mRNA含量の指標であるmRNAのポリ(A)トラクト
である。放射性ポリ(T)を用いるハイブリッド形成に
よるポリ(A)の検出は、特定のmRNAのプローブによる
場合より、異なるハイブリッド形成条件を必要とする
(例えば低温)点で標準品として用いるにいくらか困難
である。mRNA標準品はすべて、mRNA試験のために使用さ
れる標準品に各々異なるプローブを使用する必要性のた
めに、不利であり、従って異なるハイブリッド形成をも
たらすプローブの特性の相違が測定を複雑化する。
内的DNA標準品はさらに満足すべき情報を提供する。
固定化条件をわずかに変えることにより、DNAが固定化
され得る。基本的には細胞はデタージェントでなく凍結
・解凍で溶解され、試料は室温で放置されるのでなく高
温でインキュベート後濾過する。すなわち、同一および
同数の細胞からmRNAおよびDNAは同一の膜の異なる場所
に固定化され所与のプローブとハイブリッド形成され
る。ついで、mRNAハイブリッド形成/DNAハイブリッド形
成の比を算出する。もしDNAにおけるハイブリッド配列
の数が既知で、もし、DNA対mRNAに対するプローブのハ
イブリッド形成の効率が既知ならば、mRNA/DNAハイブリ
ッド形成比を直ちに細胞当りのmRNA分子数に転換する。
特定の遺伝子の増幅および欠失が生じる場合の混乱の可
能性は、mRNA/DNA固定化複製物を他のプローブ、例えば
高反復DNA配列が測定されるプローブとハイブリッド形
成することにより補正される。
特定のmRNAまたはDNA配列の量が既知の陽性および陰
性対照生物学的試料の平行試験は満足すべき多くの情報
を提供する。典型的には、これらの対照試料はカオトロ
ープに溶解して使用される。これらの対照は検体に使用
したと同じプローブを採用できるという利点がある。正
確な定量のためには、目的の核酸より過剰のプローブを
使用すべきである。
本発明から得られた結果の表示方法は多種である。情
況が異なれば異なる表示法が必要である。ラジオオート
グラフの視覚的検査により、ウイルス感染のように、全
部かゼロの現象が観察されるかもしれない(生物学的資
源からの固定化DNA、またはmRNAのウイルス特異的プロ
ーブのハイブリッド形成の結果起こる)。他方細胞遺伝
子の発現の増加は上記のように数値的定量を必要とす
る。
(5) 逆転写または翻訳のためのmRNAの製法 逆転写または翻訳に用いられるmRNAフィルターを、RN
Aアーゼ無含有蒸留水(dH2O)で3回洗滌し、ついで膜
を直ちに逆転写または翻訳反応に用いるか、または風乾
し、ジップ・ロック・バッグに4℃にて保存する。洗滌
したフィルターは熱再シール可能プラスック・バッグま
たはプラスチック試験管に入れ、完全にリボヌクレーゼ
無含有蒸留水(dH2O)で濡らす。ついでフィルターを30
60分、室温にて、BSA0.92%、フィコル(型400)0.2%
およびポリビニルピロリドン0.2%含有のリボヌクレー
ゼ無含有dH2Oで洗滌する。ついで溶液を捨て、フィルタ
ーをリボヌクレーゼ無含有dH2Oで洗滌する。もし塩が揮
発性でないならば、塩含有溶液の使用は逆転写または翻
訳のためのmRNAフィルターの作製には避けるべきであ
る。
(6) 逆転写 転写はmRNAがDNA鋳型から与えられる情報により合成
(すなわち、転写)される生物学的プロセスである。逆
転写は既存のmRNAからの新しいDNA鋳型の合成である。
本発明により固定化されたmRNAは逆転写に効果的に用い
ることができる。下記のものは該当する方法の記述の典
型的なものであるが、これに限定されるものではない。
別のプラスチック管におよそ100pモルの凍結乾燥[ア
ルファ−32P]TTP(比活性>2000Ci/mM)を、トリス−H
Cl、pH8.3の1000mM、MgCl2 10mM、オリゴ(dT)12
18(シグマ)100ug/ml、KCl 150mMおよび各dNTPの1mM中
に懸濁する。この溶液(NC 0.1 ml/cm2)をmRNAフィル
ターに添加し、AMV逆転写酵素1000U/ml(ライフサイエ
ンス、セントピータースブルグ、フロリダ)を添加、フ
ィルターを42℃にて、1−3時間、緩やかに振盪しつ
つ、インキュベートする。反応はEDTA(pH 8.0)を50mM
になるまで添加して終了させる。逆転写カクテルをバッ
グから移し、貯蔵する。32P cDNAをNCから、100℃、30
秒にて、燐酸ナトリウム緩衝液(pH 7.8)5mM中に、mRN
A-cDNAフィルターを入れてに除く。32P cDNAは電気泳動
により分析し、プローブハイブリッド形成に用い、また
はcDNAクローニング法に用い得る。
(7) インビトロ翻訳 翻訳は、mRNAにより暗号化された情報がポリペプチド
の合成に使用される過程である。mRNAが翻訳され得る過
程を限定の意図なく例示すると次の通りである。
プラスチック試験管中で35Sまたは3H標識アミノ酸を
凍結乾燥し、RNAアーゼ無含有dH2O(当初容量の約20)
で再けんだくする。市販兎家網赤血球溶解物(アマーシ
ヤム社)を、溶解物が最終容積の80%になるように加え
る。混合物をmRNAフイルターに加え、緩やかにかくはん
しながら30℃で1−3時間インキュベートする。反応を
終了させ、アミノアシル−tRNA複合体を、フイルターを
37℃水浴中に10分間、ついで42℃の水浴中に10分間置く
ことにより加水分解する。溶液を取出し、標識ポリペプ
チドをポリアクリルアミドへの電気泳動を含む任意数の
手段により分析し得る。
(8) 膜からのRNA回収 mRNAは、カオトロピック塩溶液中で固定化後、NC(ニ
トロセルロース)から、mRNA NCを100%ホルムアミドま
たはジメチルスルホキシドのような水素結合破壊性溶媒
中に浸すことにより回収することができる。方法の例は
次の通りである。
a) ホルムアミドでRNAを解放する。
b) エタノールからRNAを沈澱させる。
c)「可溶性」膜成分を除く。
d) エタノールからRNAを沈澱させる。
a) ホルムアミドによるRNAの解放 これは、mRNA−膜を純ホルムアミド1ml/膜cm2中、室
温で30分インキュベートすることにより達成される。フ
イルターは物理的に除く。溶液はmRNAとホルムアミド中
に溶けたフイルター材料からなる。このフイルター材料
は25°未満でエタノールおよび水溶液に不溶であるが、
45°以上では水溶液に可溶である。
b) RNAの沈澱 RNAを冷400mMNH4Ac5容で希釈し、得られた溶液に冷エ
タノール2容を加え、冷時(例えば−20°一液または−
70° 30分)沈澱を生成させ、0°、10000×gで30分間
遠心して集める。上清は捨てる。
c) 不溶ニトロセルロースの除去 RNAペレットを45°で400mM-NH4Ac、50mMトリス、pH8
および10mM-EDTAに溶かす。溶液を0°に冷やし、10000
×gで10分間遠心して清澄化する。
d) RNA沈澱 2容の冷エタノールを加え、冷時RNAの沈澱を生成さ
せ、上記のように遠心して集める。上清を捨て、沈澱を
乾燥し、mRNAペレットを任意の好適な緩衝液に溶かす。
NaClでなく揮発性のNH4Acを用いることは、後の段階
で低塩濃度を維持する上で重要である。
生成したmRNA製品は、DNAへ逆転写し、または蛋白質
へ翻訳できる。解放されたRNAが電気泳動が分析できる
か否かは不明である。
(9) mRNA-NCの再循環 分子ハイブリッド形成後、mRNA−膜結合を危険にさら
さずにプローブを膜から除くことができる。このような
「再循環」mRNA−膜は、分子ハイブリッド形成に再使用
でき、またはDNAのテンプレートまたは膜上での蛋白合
成に使用できる。プローブを除くには、膜を100°に維
持した極めて希薄な塩溶液(例えば0.01×SSPE;0.15mM
くえん酸ナトリウム、1.5mM-NaCl、0.5mMりん酸ナトリ
ウム、0.1mM-EDTA、pH7)に30秒間浸す。ついで、フイ
ルターを再ハイブリッド形成用に製造中の前ハイブリッ
ド形成液に簡単に浸すか(前記を参照)、または逆転写
または翻訳用に製造中の適当な溶液に浸す(前記を参
照)。
(10) mRNAおよびDNA固定化および定量用キット この発明によるmRNAまたはDNA固定化用キットの一例
は、0.5mlの10%ブリジ35のようなデタージエントを含
むプラスチックバイアル(または他の適当な貯蔵器もし
くは容器)少なくとも1、および、細胞レベル以下のフ
ラクション化を実施する場合、0.5mlの10%デスオキシ
コール酸ナトリウムのような別のデタージエントを含む
プラスチックバイアル少なくとも1、約7mlの過飽和NaI
(12.5gのNaIを熱水5mlに溶かし、室温で放置して固化
させたもの)を含む褐色ガラスバイアル少なくとも1
個、100mlの飽和NaI(水中12.2モル)を含む1個または
それ以上の褐色ガラスバイアル、10mlの飽和NaIプラス
1ブリジ58を含む1個またはそれ以上の褐色ガラスバイ
アルおよび4″×5″ニトロセルロースシート(複数)
を包含し得る。塩の溶液を含ませる代りに、所望の場合
乾燥塩を同様に含ませることができ、使用者が自分用の
溶液を作ることができる。しかし、特に有効なカオトロ
ピック塩濃度が既知の(すなわち最低または最高塩濃度
を知るための試行試験が必要でない)資源からの試料に
ついて分析を行なうべき場合には、溶液を予製しておく
のが有利である。また分析試料によっては、少なくとも
1種のリボヌクレアーゼ阻害剤(またはその溶液);プ
ロテアーゼ類(またはその溶液)およびリボヌクレアー
ゼを阻害し、蛋白質を分解し、固定の選択性を改善する
に足る量または濃度のデタージエントの別個のバイアル
を含むのが有利なことがあり得る。
試薬の使用に関する適当な指示書も包含し得る。指示
書は、例えば、A:緒言、B:mRNA固定化指示の概観、C:使
用上の完全な指示、D:所望操作、および希釈計画を規定
する付録からなり得る。全細胞からのDNAおよびmRNAの
4個分製造用指示書(c)の本文の一例は次の通りであ
る。
マキシクイック・ブロット(商標) (4希釈、4回分) 全細胞…各90μlの2アリコートに分割する (全細胞濃度は101‐105細胞/μlにわたり得る) mRNA試料 1.プロテアーゼ溶液10μlを加え、混合する。
2.ステップ3へ進む。
3.37°で30分間インキュベートする。
4.試薬A5μlを加え、渦動させる。
5.試薬B5μlを加え、渦動させる。
6.試薬C100μlを加え、混合する。
7.試薬D200μlを加え、混合する。
8.付録1、表Bにしたがって試薬D中に希釈物を作る。
9.ステップ10へ進む。
10.エスアンドSミニホルド装置を用い、mRNAニトロセ
ルロースを通して50μlアリコートをろ過する。
11.RNAアーゼ無含有水を3回交換(1回5分)して室温
で膜を浸す。
12.70%エタノール/30%水を3回交換(1回5分)して
室温で膜を浸す。
13.新製した無水酢酸溶液に室温で膜を10分間浸す。
14.膜を風乾する。
15.所望ならば、膜をエスアンドエス・フンプレート(S
RC096/1)で切る。
16.乾燥した膜をヒートシール可能またはチャップ封が
可能な袋で冷凍保存する。
DNA試料 1.プロテアーゼ溶液10μlを加え、混合する。
2.凍結・解凍を3回行なう。
3.37°で30分間インキュベートする。
4.RNアーゼ無含有水10μlを加える。
5.ステップ6へ進む。
6.試薬C100μlを加え、混合する。
7.試薬E200μlを加え、混合する。
8.付録1、表Bにしたがって試薬E中に希釈物を作る。
9.90-100°で10分間加熱する。
10.エスアンドSミニホルド装置を用い、mRNAニトロセ
ルロースを通して50μlアリコートをろ過する。
11.RNAアーゼ無含有水を3回交換(1回5分)して室温
で膜を浸す。
12.70%エタノール/30%水を3回交換(1回5分)して
室温で膜を浸す。
13.新製した無水酢酸溶液に室温で膜を10分間浸す。
14.膜を風乾する。
15.所望ならば、膜をエスアンドエス・テンプレート(S
RC096/1)で切る。
16.乾燥した膜をヒートシール可能またはチャップ封が
可能な袋で冷凍保存する。
注) 試薬Aは10%ブリジ35である。
試薬Bは10%デスオキシコール酸ナトリウムであ
る。
試薬Cは10%過飽和NaIである。
試薬Dは1%ブリジ58含有過飽和NaIである。
試薬Eは飽和NaIである。
固定フイルター(または公知技術にしたがって迅速に
フイルターを作り得るフイルター材料のシート)および
カオトロピック塩は、この発明のキットに含める最低成
分を表わす。他の成分、例えば関心の対象である特定の
mRNAまたはDNA配列の定量検出用の適当なプローブ、デ
タージエント、プロテアーゼ等もまた所望によって含め
得る。各個別成分…カオトロピック塩またはその溶
液)、デタージエント、プロテアーゼ、リボヌクレアー
ゼ阻害剤、プローブ等…は、それぞれの(バイアルのよ
うな)容器中に存在する。バイアルの特定の組合わせ
を、特定の分析生物源またはその他の要因に応じて(例
えばある数および種類または寸法のバイアルを保有する
ように特注デザインした適当な箱または他の容器または
パッケージに)包装することができ、キット成分は個々
の分析上の要求に適合するように変化し得る。
明らかに、このような多数の変形が発明の枠内で可能
である。例えば、前述のように、デタージエントとなし
とするか、他のデタージエント、他の膜および他のカオ
トロピック溶液をキットに使用して(すなわち均等物と
して置換して)良好な結果を得ることができる。デター
ジエント、プロテアーゼ、希釈および浸漬段階は省くこ
とができる。分子ハイブリッド形成以外の操作も固定化
DNAまたはmRNAについて行なうことができる。
この発明が、特定のキット(すなわち、血液のような
特定の生物原料部分のみの分析用および/または特定の
疾病または症状に伴なう特定・所定のmRNAまたはDNA配
列の検出用にデザインされたキット)の製造法を開示し
ていることを、当業者は容易に認めることができる。こ
のような特別なキットは、有利には、 1.最適のmRNA源またはDNA源の性質と最を規定する。
2.原料調製用の詳細な情報を供給する。
3.原料に対しこの発明を用いるに最適なデタージエン
ト、カオトロピック塩および膜を含める。
4.関心の対象であるmRNAまたはDNA配列に相補的な特定
のプローブを含める。
5.膜の洗浄、分子ハイブリッド形成およびmRNAおよびDN
Aに適切なデータの取扱いに関する最も効果的な条件を
規定する。
6.病理情況に対して特定のキットを用いることにより得
られ得る結果に関する情報を供給する。
例えば、肝炎ウイルスmRNAまたはDNA検出用に特別の
キットを組立てることができる。肝臓がんのおそれがあ
る常習多量飲酒者の評価の場合、このようなキットは、
例えば単核細胞取得用に106単核血液細胞を規定するこ
とができる(実施例1参照)。この特別のキットは、デ
タージエントとしてブリジ58、カオトロピック塩として
よう化ナトリウム、およびナイロン膜を含むことができ
る。またこの特別のキットは、実施例3に用いるような
クローン化肝炎ウイルスゲノムからなるプローブを含み
得る。このプローブは、プローブ溶解用の適当な手段を
記載する指示書と共に凍結乾燥状態で供給することがで
きる。プローブを非標識状態で供給する場合、プローブ
標識用の指示書および/または試薬をも提供できる。適
当な標識法は当業者に周知である。この特別なキット
は、実施例3で有利であると判明したような「厳格な」
分子ハイブリッド形成条件(例えば、高温)を規定する
ことができる。特別なキットは、陽性分子ハイブリッド
形成結果が個人の血液細胞中に肝炎ウイルスDNAが存在
することを示し、常用の免疫学的試験がウイルスの存在
を示さなくてもその個人がウイルスに感染した経験をも
つことを示す旨の陳述のような、結果の解説の項目を含
み得る。
上記のキットは、説明の目的で例として示したもので
ある。任意の目的mRNAまたはDNA配列の存否および定量
の評価のために、専門化されたキットを組立てることが
可能である。このような特別なキット全ておよび各々の
利点は、mRNA源およびDNA源からmRNAまたはDNAを効果的
および選択的に固定化する能力である。
(11) 可溶化した試料核酸の分子ハイブリッド化 1984年3月8日に出願された出願番号第594308号に開
示されているこの発明の別の態様では、試料をカオトロ
ピック塩溶液に溶解することにより、関心の対象である
1個以上の核酸配列を含む生物学的試料を調製する方法
によって、生物学的試料を評価する。関心の対象である
核酸配列(標的核酸配列)は、標的核酸配列に相補的な
標識核酸プローブを用いて、調製試料に相当するカオト
ロピック媒質中でプローブされる。
「評価」の語は、標的核酸の検出および/または定量
を指向する。したがって、核酸配列を含む疑のある試料
はその配列の有無について評価することができる。同様
に、試料はまた、試料中に含まれる標的核酸の量の定量
について評価することができる。
試料を疑のある標的核酸配列の検出について評価する
場合、調製した生物学的試料を、標的核酸配列(存在す
るならば)と標識核酸プローブのハイブリッド形成が促
進される条件下で、検出すべき配列に相補的な核酸配列
を含む標識核酸プローブと共に、インキュベートするこ
とができる。インキュベーション期間後を試料をハイブ
リッド化プローブの存否について試験し得る。
試料を標的核酸の定量のために評価する場合、ハイブ
リッド化プローブの定量は公知技術を用いて行なう。
ハイブリッド化2本鎖の種々の検出法の集成は、文献
「ヌクレイック・アシッド・ハイブリダイゼーション」
(ヘイムスおよびヒギンス編、アイアールエル・プレ
ス、ワシントン、1985年)および前述の「詳細な検討」
中1f項目に見られる。
「生物学的試料」の語は、前述したのと同じ材料、す
なわち、分離細胞、組織片、便、体液(例えば血液、リ
ンパ液、尿、唾液等)、細菌、ウイルス、酵母、および
サブフラクション(例えば分離した核または細胞質)を
指向する。本書の「詳細な検討」1a項参照。
「可溶化」の語は、標的核酸が、可能な限り核酸の1
次構造上の完全性を保持したまま、標的核酸とそれに相
補的な標識核酸の効果的なハイブリッド形成が可能なよ
うに他の細胞成分から充分に分離されていることを意味
する。本書の「詳細な検討」1a、1d項参照。
「接触」の語は、生物学的試料とカオトロピック溶液
とが、カオトロピック溶液に対する試料の溶解を可能と
するやり方で並置することを意味する。代表的には、生
物学的試料をカオトロピック塩溶液の容器中に導入す
る。
「カオトロピック塩」の語は、よう化ナトリウム、過
塩素酸ナトリウム、よう化カリウム、チオシアン酸ナト
リウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸グアニジ
ン、トリクロル酢酸ナトリウムおよびトリフルオロ酢酸
ナトリウムから選ばれた塩が、発明の要約の項に記載し
た試料の「溶解」を達成するに充分な濃度で存在するこ
とを指向する。上記アニオンの他のアルカリ金属塩も同
様に使用できる。チオシアン酸グアニジンが好ましいカ
オトロピック塩である。
「核酸プローブ」の語は、標識された形の任意の核酸
配列、DNA、RNA、またはその修飾体であって、標的核酸
配列の少なくとも一部とハイブリッド形成できるものを
指向する。
「相補的」の語は、標的配列とプローブ配列がハイブ
リッド形成条件下で2本鎖形成を可能にするに充分な塩
基対マッチングを示すことを意味する。しかし、塩基対
マッチが正確なことは必要でない。本書の「詳細な検
討」1f項参照。一般的には、プローブ・標的間の各10%
の誤マッチングハイブリッド形成速度を2の係数で遅ら
せ、ハイブリッド2本鎖のTmを10℃だけ下げる。(「ヌ
クレイック・アシッド・ハイブリダイゼーション」、前
掲、7および8頁参照。) 「ハイブリッド形成を推進する条件」の語は、2本の
DNA配列、2本のRNA配列またはRNAとDNA配列間のハイブ
リッド形成推進に関する公知または本書記載の条件を意
味する。
当技術で公知のように、2本鎖DNA配列の存在下に標
的RNA配列についてプローブしようとする場合、通常ハ
イブリッド形成条件は2本鎖DNA配列が2本鎖のままで
あるようなものでなければならない。同様に、RNA配列
の存在下にDNA配列をプローブしようとする場合、2本
鎖DNAは変性した後、プローブと存在し得るRNAのハイブ
リッド形成を回避するか検出しない条件下でプローブし
なければならない。
「検出」の語は、分子ハイブリッド形成の実際の検出
および定量の両者を指向する。当分野で既知の代表的な
方法には、ヒドキロシアパタイトクロマトグラフィー、
非対プローブの酵素消化、メンブラン濾過、電気泳動等
が含まれる。(「ヌクレイック・アシッド・ハイブリダ
イゼージョン、前掲、1−4章。) この発明の態様によると、標的核酸は前述のようにカ
オトロピック塩溶液を用いて可溶化後、標識核酸プロー
ブとインキュベートする。標識核酸は固定化形でも溶液
形でもよい。標識形酸プローブが不溶形の態様は、この
発明の目的上、「逆相プロービング」と称する。逆相プ
ロービングは下記実施例4に示す。
分子ハイブリッド形成が、標的核酸配列と核酸プロー
ブの両者が均一溶液状態にある条件下で行なわれる実施
態様もまた、実施例4に含められ、他の実施例で拡張さ
れている。この発明は、代表的に下記のようなものであ
る。まず生物学的試料を随時使用可能とする。体液は、
そのまま使用するか、または血漿、無細胞濾液等のよう
な成分に分画後に使用する。分画は当分野で標準的な方
法により行なう。細胞は、体液または実験液からのペレ
ット化により、またはこのようなペレットを実験液にけ
んだくすることにより随時使用とされ、これらも標準技
術により行なわれる。固体組織の試料は、酵素的に単細
胞けんだく液に変換するか、または摩砕、配合もしくは
ホモジナイズによりけんだく液またはペースト状密度に
する。これらの技術も当分野で標準的なものである。
ついで、生物学的試料をカオトロピックイオンに接触
させる。チオシアン酸グアニジンが好ましいカオトロピ
ックイオンである。代表的には、生物学的資源を室温ブ
チオシアン酸グアニジン中約5Mにする。溶液またはけん
だく液の場合、これは上記溶液またはけんだく液0.4容
を7Mチオシアン酸グアニジン約1容に加え、混合して実
質的に固体を溶解する。ペースト密度に変換した細胞ペ
レットまたは組織試料の場合、5Mチオシアン酸グアニジ
ンを加え、生成する混合物を固体が実質的に溶解するま
で混合する。6Mトリフルオロ酢酸ナトリウム、5Mトリク
ロロ酢酸ナトリウム、5M過塩素酸ナトリウムのような、
飽和よう化ナトリウムまたはチオシアン酸グアニジン以
外の他のカオトロープ剤も生物学的試料の調製に用いら
れる。
当分野で公知のように、所望の場合試料の溶解および
/または分子成分の防腐の補助のため他の添加剤を加え
ることができる。ドデシル硫酸ナトリウムで代表される
イオン性デタージエントまたはブリジ35で代表される非
イオン性デタージエントを含む界面活性剤の使用も成功
し得る。よう化ナトリウム含有溶液の場合のヌクレアー
ゼ阻害剤およびデタージエントの使用は当分野で既知で
ある。細胞試料の溶解補助のための水素結合破壊剤およ
びデタージエントの使用も当分野で周知である。
この発明の新規な態様は、強力カオトロープ溶液中に
おける生物学的試料溶解行為が上記生物学的試料中の核
酸を分子ハイブリッド形成法を用いたプローブに使用可
能とすることである。生物学的資源が実質的に溶解後、
単に遺伝子プローブを加え、室温または僅かな加温下、
代表的には20-37℃で、数分一数時間の間溶液またはけ
んだく液をインキュベートすることにより、分子ハイブ
リッド形成が達成される。液・液ハイブリッド形成の具
体例は後述する。別法として、プローブはカオトロピッ
ク溶液の一部として加えることできる。
この発明の液・液ハイブリッド形成アッセイは、生物
学的試料のDNAまたはRNA評価に適する。ハイブリッドは
32P標識RNAプローブと細胞溶解物中の各酸の間で形成さ
れた。動物細胞またはリソチーム処理細菌を遠心で採取
し、1M-NaClを含むか含まないか5M-GuSCN/0.1M-EDTAに
溶解1ml/細胞107の率で溶解した。細胞は、室温で2−
3分間のかくはん後容易に溶解し、やや粘稠な透明こは
く色の溶液となった。細胞溶液はアッセイ用部分をとる
ために溶かす場合以外は−70°で保存した。1−2回の
凍結解凍後、溶液の粘度は減少した。
標的DNA。
RNAプローブと標的DNAのハイブリッド形成は、溶解細
胞を60°またはそれ以上に5分間おだやかに加温してDN
Aを変性し、プローブを加え、室温またはそれ以上でイ
ンキュベートし、実施例10記載のようにニトロセルロー
ス膜上でプローブRNA・標的DNAハイブリッドを捕獲する
ことにより達成された。
代表的には、末梢血リンパ球105相当量を5M-GuSCN/0.
1M-EDTA10μlに溶かした。2×SSC/0.1M-EDTA中で希釈
したRNAプローブ5ngを含む2.5マイクロリットルを加
え、ハイブリッド形成を25°で5分間行なった。ハイブ
リッドはシンチレーションカウンターまたはラジオオー
トグラフィーで可視化した。
RNA。
RNAプローブと標的RNAのハイブリッド化は、プローブ
を溶解細胞に加え、室温またはそれ以上でインキュベー
トし、ハイブリッド化プローブをTCAで沈殿させ、実施
例15記載のようにニトロセルロース膜上に沈殿を採取す
ることにより達成した。代表的には、末梢血リンパ球10
5相当量を5M-GuSCN/0.1M-EDTA10μlに溶かす。プロー
ブ5mgを含む2×SSC/0.1M-EDTA2.5マイクロリットルを
加え、ハイブリッド形成を25°で5分間行なう。ハイブ
リッドはシンチレーションカウンターまたはラジオオー
トグラフィーで可視化する。
この発明の液・液法で得たデータの取扱いについては
実質的に同じ規程を本書の「詳細な検討」4項に記載し
た。
試料調製のため、数種のカオトロピック塩を用いて成
功し(実施例6参照)、2種(NaIおよびGuSCN)を分子
ハイブリッド形成の支持に使用した(実施例11、第10図
参照)。両カオトロピック塩とも良好に作用し、標準法
(ホルムアミドおよびホスフェート)より良好な分子ハ
イブリッド形成結果を示したが、GuSCNは予想外にもNaI
系に比べて100倍以上の分子ハイブリッド形成速度加速
を示したので、この方が好ましい。
(12) 可溶化試料核酸の分子ハイブリッド形成用キッ
ト この発明による可溶化試料核酸の分子ハイブリッド化
用キットの例は、少なくとも、固体GuSCNの暗プラスチ
ックバイアルおよび固体のEDTAテトラナトリウムを含み
得、これらにH2Oまたは体液を加えて5MGuSCN/0.1MEDTA
溶液を供給することができる。H2Oを加える場合、得ら
れる溶液を107細胞または相当量当り1mlの割合で生物学
的試料に加えて可溶した生物学的試料を供給することが
できる。別法として、カオトロープの予製液を用いるこ
ともできる。上記キットはまた、生物学的試料中の所定
の配列の評価用プローブを含むことができ、上記プロー
ブは約20回の試験を実施する量(例えば、プローブ100n
g)であり得る。上記プローブは、随時使用の形(すな
わち既標識)または使用者が標識するに適した前駆体形
で供給し得る。プローブはまた、カオトロピック溶液の
一部をなすこともできる。
上記キットはまた、カオトロープに溶かした「陽性対
照」および「陰性対照」の生物学的試料を含むことがで
き、上記生物学的試料は既知量の特定核酸を含み、上記
試料について行なった分子ハイブリッド形成の結果から
未知試験生物学的試料についての結果を定量的に示す数
値をもたらすものである。
上記キットはさらに、ハイブリッド検出用材料および
装置、例えばろ過用溶液、ブロック剤、メンブラン、ヌ
クレアーゼ溶液、トリクロロ酢酸、ヒドロキシアパタイ
ト等を含むことができる。
さらにこの発明は、患者におけるHIV核酸の検出およ
び定量に適するSRC(エイズ関連コンプレックス)リス
ク患者、ARCまたはエイズ(後天性免疫不全症候群)の
診断におけるHIV保有評価に対する1つのジレンマは、
ウイルス抗原またはウイルス感染症の直接試験が、天然
免疫機構により疾病機関中のウイルス血が種々の度合で
対抗され一時的であることによって、何パーセントかの
症例で困難または不可能になるということである。この
難点は、患者が抗ウイルス抗体で処理されるか、抗体の
生成を誘発されるならば悪化する。さらに、非産性感染
細胞(例えば、潜伏生息または欠損ウイルス)が、ウイ
ルス抗原または救済感染中心を呈示せずに疾病に関与し
得る。しかし、この発明の感度、速度、多能性および自
動化性は、このような検出および定量を可能にするもの
である。
以上、この発明について一般的な説明を行なったが、
この発明の理解は以下に示す実施例を参照するとより充
分なものになる。これら実施例は説明のみを目的とする
ものであり、特にことわらない限り限定を目的とするも
のではない。
実施例1 分子ハイブリダイゼーションによるmRNAおよびDNAの
固定。
この実施例では、ひと血液からのmRNAおよびDNAの固
定および定量について詳説する。
シクロヘキサミドおよびバナジルヌクレオシドを加え
て各々最終濃度50μg/mlおよび10ミリモルにしておいた
グリーントップ・バキュテーナー管(抗凝固剤としてヘ
パリンを含有)中に15mlの血液を集めた。赤血球を1−
3時間4℃で静置し、次いで管を20分間800×gで遠心
分離にかけた。50μg/mlのシクロヘキサミドおよび10ミ
リモルのバナジルヌクレオシドを含有するハンク塩(HC
VX)に白血球界面(軟膜)を再懸濁し、20分間18900×
gでフィコル−ハイパーク密度勾配遠心分離(ボユム、
「スカンド・ジェイ・クリン・ラボ・インベスト」21
(補遺97)77-89頁、1968年)により単核細胞を精製し
た。か粒球はフィコルを通って沈澱し、単核細胞はフィ
コル上に界面を形成する。単核細胞をHCVXで洗浄し、沈
澱させ、HCVXに再懸濁し、計数した。
細胞濃度を2×107細胞/mlに調節した。mRNAを固定す
るためには、ブリージ−35を加えて0.5%とし、細胞と
混合し、次いでDOCを加えて0.5%とし、懸濁液を5分間
氷上に保った。細胞下分画を20分間4℃で1400gの遠心
分離により調製した。生成した破壊細胞または細胞下分
画を1mg/mlの自己消化プロナーゼ中37℃で10-60分間イ
ンキュベーションした。等容量の超飽和NaIを加え、連
続希釈によりNaIを12.2重量モル濃度に調製し、溶液の
アリコートを、ミニフォールド装置(シュライヒャーお
よびシュエル)を用いてNC膜によりろ過した。NC膜をH2
Oで湿らせ、次に5分間またはそれ以上6×SSCに浸し、
1枚のセルロース紙上ミニフォールドに置いた。真空下
溶液を引き込んでNCを通過させた。
同細胞からDNAを固定する場合にも、同様の固定化プ
ロトコルを使用した。細胞に対して冷凍および解凍のサ
イクルを3回行い、次に1mg/mlの自己消化プロナーゼ中
37℃で10-60分間インキュベーションした。等容積の超
飽和NaIを加え、溶液を20分間100°に加熱し、次いで連
続希釈によりNaIを12.2重量モル濃度に調製し、ミニフ
ォールド装置(シュライヒャーおよびシュエル)を用い
NC膜において熱を通過させながら溶液のアリコートをろ
過した。NC膜をH2Oで湿らせ、次に5分間またはそれ以
上6×SSCに浸し、1枚のセルロース紙上ミニフォール
ドに置いた。真空下溶液を引き込んでNCを通過させた。
ろ過後、RNA膜を3交換のH2O、次いで3交換の70エタ
ノール/30H2Oに浸して過剰のNaIを除去した。毎回約5
分間室温で浸した。最後に、膜を室温で10分間無水酢酸
溶液に浸し、塩基性蛋白質をアセチル化した。
上記の膜は直ちに分子ハイブリダイゼーションに使用
され得た。フィルターを1ml/cm2(NC)のPR(0.9モルの
NaCl、0.09モルのNa Cit、0.2%ポリビニルピロリド
ン、0.2%フィコル、1%NaドデシルSp4、50μg/mlのポ
リ(A)、50μg/mlの低分子量DNAおよび10ミリモルの
バナジルヌクレオシド)と共に「食物密閉(seal−a−
meal)」袋に密閉し、37℃で一夜振り混ぜたた。PRを除
去し、106cpm/mlの放射性プローブを含む0.1ml/cm2(N
C)のHB(50%ホルムアミド、0.9モルのNaCl、0.09モル
のNa Cit、0.05モルのNa燐酸塩、1%のドデシル硫酸ナ
トリウム(NaDodSO4)、pH7.0)と置き換えた。袋を再
密閉し、環境震とう装置中42℃で17-24時間振り混ぜ
た。ハイブリダイゼーション後、膜を除去し、30分交換
で3回、PO(0.2%うし血清アルブミンを含むPR)と共
に振り混ぜながら37℃でインキュベーションした。最後
に、RNA-NCを60℃で15分間1%NaDodSO4含有0.1×SSC中
でインキュベーションし、−70℃でヂュポン・クロヌ・
ハイスピード強化スクリーンおよびコダックBB5フィル
ムを用いてラジオオートグラフィーを行った。
第1図は、固定実験から得られた典型的分子ハイブリ
ダイゼーション結果を表す。mRNAまたはDNAは、正常な
ひとボランティアの血液から得られた単核細胞から固定
されたものである。
さらに第1図の場合、核酸は本明細書記載の方法に従
い固定された。mRNAおよびDNAは全細胞(R/D列)から固
定された。RNAは、中央に向かって頂部、累進的高希釈
液から頂部4ドットに固定された。DNAは、中央に向か
って底部、累進的高希釈液から底部4ドットに固定され
た。mRNAもまた同細胞(C/N列)の細胞質および核分画
から固定された。mRNAは、明細書記載の方法に従い調製
された細胞質分画から頂部4ドットに固定された。希釈
方向は中央に向かって頂部である。mRNAは明細書記載の
方法に従い調製された核分画から底部4ドットに固定さ
れた。希釈方向は中央に向かって底部である。ブレッサ
ー等により(「DNA」、2巻243-254頁、1983年)詳細に
記載された50ホルムアミド・システムにおいて42°で10
6cpm/mlのニック翻訳myc腫よう遺伝子プローブにより分
子ハイブリダイゼーションを行った。−70°で20時間強
化スクリーンを用いてラジオオートグラフィーを行っ
た。
第1図を実行に移すため、4種の非希釈プレパラート
(NaI中)を製造した。
・ 107全細胞/mlから標準mRNA固定、 ・ 107全細胞/mlから標準DNA固定、 ・ 相当量の107細胞/mlから細胞質mRNA固定、 ・ 相当量の107細胞/mlから核mRNA固定。
これらのプレパラートの各々からNaI中4倍希釈物を
調製し、次いで1080μlアリコートを第1図の説明に描
かれた方向づけでNCによりろ過した。32P DNAプローブ
によるハイブリダイゼーションおよびラジオオートグラ
フィーを実施することにより、第1図に描かれた結果が
得られた。R/D列の結果は、平均して遺伝子1個当たり
1分子未満のレベルでのmyc腫よう遺伝子の発現を示
し、C/N列はmRNA転写物の大部分が細胞質であることを
示している。これらの結論は、固定されたmRNAおよびDN
Aが等しい効率でハイブリダイゼーションし(これはこ
れらの条件下では当然である)、全細胞が等しくmyc遺
伝子を発現する(これは恐らく非現実的である)ことを
仮定している。それにも拘わらず、myc遺伝子発現は正
常な血液細胞の細胞質において検出され得る。
実施例2 「標準固定化」に関するデータ操作。
第2図は、白血病および脊髄増殖性疾患の患者および
正常な対照から採取した血液細胞における約20個の遺伝
子の発現を調べる大規模実験から得られた一般的結果を
示す。mRNAおよびDNAを、第1図のR/D列に関して記載し
た方向づけを用いて単核血液細胞希釈物から固定した。
24の同一R/D列を各細胞試料から製造した。フィルター
製造後、それらを完全に乾燥し、ジップ−ロック袋に冷
蔵した。プローブが使用可能になると、フィルターをフ
ィルター・バンクから抜き取り、分子ハイブリダイゼー
ションおよびラジオオートグラフィーにより分析した。
次に、個々のドットを切断し、液体シンチレーションに
より計数した。プローブ放射能を固定材料の量に対して
プロットした(1=約5×105細胞からのmRNAまたはDN
A)。所定量の細胞から固定されたmRNAに対するハイブ
リダイゼーション・シグナルを同数の細胞から固定され
たDNAに対するハイブリダイゼーション・シグナルで割
ることにより、mRNA/DNA分子ハイブリダイゼーション・
パラメーターを得た。これは理論的には1遺伝子に対し
製造されたmRNA分子の数である。
第2図により、mRNAまたはDNAの固定が行なわれる細
胞数および分子ハイブリダイゼーション・シグナル間の
関係を説明する。大部分の場合、予想通り、この関係は
一次性であった。プローブの非特異的「背景」から生じ
る直線からの偏差値(第23F図)または干渉性分子の共
固定(coimmobilization)(第2E図)を評価した。時
折、一次関係が1未満の比例定数により得られた。これ
は過剰の固定材料(不充分なプローブ)から生じたもの
であった。mRNA/DNAハイブリダイゼーション割合は、レ
ファレンスとしてDNAを用い、遺伝子安定性を仮定す
る、遺伝子発現レベルの尺度である。
第2図の場合のような結果を用いることにより、ひと
正常および白血病血液細胞における様々な遺伝子の発現
レベルをmRNA/DNAハイブリダイゼーション・パラメータ
ーを用いて計算した。これらの結果は、幾つかの腫よう
遺伝子および白血病血液細胞での幾つかの高度反復DNA
配列の発現における2−10倍上昇を示した。
第3図および第4図は、レファレンスとして固定ポリ
(A)含有物、未処理対照および他のmRNAを用いた、薬
剤処置に応じた特定遺伝子の発現レベルにおける変化を
示す。RT4ひとぼうこう癌細胞を24時間以下の間様々な
薬剤に晒した。これらの細胞からのmRNAを反復して固定
し、様々な腫よう遺伝子およびポリ(T)によりプロー
ブし、後者を固定されたmRNAにおけるポリ(A)含有量
の尺度とした。結果をラジオオートグラフィーにより表
し(第3図)、次いで個々のドットを切断および計数
し、結果を定量的に表した(第4図)。
第3図に達するために、RT4ひとぼうこう癌細胞を、
薬剤の非存在下(C)、2、6または24時間薬剤Iの存
在下(I2、I6、I24)、24時間薬剤Aの存在下(A24)ま
たは24時間薬剤IおよびAの組合わせの存在下(IA24)
に成長させた。mRNAを106細胞および3つの4倍希釈物
から固定し、高希釈物から低くなる順で並べた。16のフ
ィルターを製造し、50ホルムアミド中17時間sis腫よう
遺伝子(sis)、アブレソン白血病ウイルス腫よう遺伝
子(abl)、およびハーベイ肉腫ウイルス腫よう遺伝子
(ras−H)、キルステン肉腫ウイルス腫よう遺伝子(r
as−K)、およびモロニー肉腫ウイルス腫よう遺伝子
(mos)、ラス肉腫ウイルス腫よう遺伝子(src)、ひと
myc腫よう遺伝子(myc)、ポリチミジル酸(polyT)、
およびひと反復配列のLINES科に属する3種のクローン
構成員(KIpn1.8、Kpn1.5、Kpn1.2)に相当するプロー
ブを含む、106cpm/mlの様々なプローブとハイブリダイ
ゼーションした。プローブの記載についてはブレッサー
等、(「DNA」、2巻243-254頁、1983年)、(「プロシ
ーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステー
ツ・オブ・アメリカ」、出版中、1983年)参照。ポリ
T、sisおよびsrcプローブを37℃で、残りを42°でハイ
ブリダイゼーションした。
ハイブリダイゼーション後、結果をラジオオートグラ
フィーにより表した。
第4図では、ラジオオートグラフィー後、第3図から
のフィルターを切断し、計数した。固定mRNAおよびハイ
ブリダイゼーション・シグナルの細胞相当量間の関係を
測定し、固定mRNA投入量でのハイブリダイゼーション・
シグナルを全試料について計算した。薬剤処置試料の値
を対照値に対して正規化した。poly(T)または未調節
mRNAに対する正規化から得られた結果は、sisおよびras
−K腫よう遺伝子は薬剤IおよびAの組合わせにより調
節されるという同じ結論をもたらした。
第4図から、sis腫よう遺伝子mRNAは薬剤の組合わせ
に晒されることにより減少すること、およびその減少は
mRNA含有量の全般的減少の反映ではないことが明白であ
る。第4図は第3図の定量的結果を確認し、さらにras
−K腫よう遺伝子mRNAの場合もまた減少することを示す
ものである。
実施例3 血小板、白血球、または他の血液産物または他の人体
組織における肝炎ウイルスDNAまたはRNAの検出。
第5図は、ひと(血液)血小板におけるウイルス核酸
の固定試験から得られた一般的結果を示す。血液をヘパ
リン含有管に集めた。ヘパリンで凝血防止された血液を
20分間約500×gで遠心分離した。沈澱は白血球および
赤血球を含有しており、これらをさらにフィコル−ハイ
パークにおける遠心分離により精製した。血小板および
細胞不含有血しょうを含む上清を25〜35%しょ糖密度勾
配で層形成させ、約17時間約50000×gで遠心分離し
た。勾配の上部3分の2を遠心分離により集め、1mgの
蛋白質/mlに再懸濁し、固定用に調製した。多様な方法
を用いて血液産物を製造した。DNAおよびRNAが製造中実
質的に分解されない限り、血液分画方法および細胞、細
胞不含有材料または細胞質抽出物の純度はこの検定方法
の場合重要な要素ではなかった。
血しょう、懸濁血小板、懸濁細胞、細胞質分画または
それらから精製された核酸含有成分を前述のmRNAまたは
DNA固定手順に従い処理した。mRNA固定の場合、精製血
小板を37°で30分間200μl/mlのプロテアーゼKにより
除蛋白質し、ブリージ35およびDOC中0.5にし、希釈NaI
に関し飽和させて飽和NaIを得、室温でNCによりろ過し
た。DNA固定の場合、血しょうまたは精製血小板を37°
で20分間200μl/mlのプロテアーゼKLにより除蛋白質
し、3回冷凍−解凍を行い、NaIに関して飽和し、95°
で20分間インキュベーションし、まだ熱い間にNCにより
ろ過した。核酸含有NCフィルターを前記に従いH2O、EtO
H/H2Oおよび希無水酢酸溶液に浸した。前述の分子ハイ
ブリダイゼーション条件下(ただし、54℃の温度を用い
た)、洗浄したフィルターを放射性肝炎ウイルスDNAプ
ローブとインキュベーションし、ラジオオートグラフィ
ーを行うことにより第5図に示す結果を得た。露光の暗
い領域は陰性ハイブリダイゼーションを示し、血小板プ
レパラートにおける肝炎ウイルス核酸の存在を示す。様
々な他のウイルス性プローブを用いて血小板試料を調べ
た(第1表)。また、同じ固体から得られた他の血液産
物も同じ放射性プローブにより分析した(示さず)。か
なりの数の血液試料はウイルスにより汚染されており、
この発明はウイスル汚染を検出し得ることが第5図およ
び第1表(次頁)に示された結果から明白である。
他の血液産物を同じ方法で処理した。また血小板また
は他の血液産物も「細胞質分画からのmRNA固定」方法に
従い固定し、同じ陽性分子ハイブリダイゼーション結果
を得た。
この固定試験を用いてアメリカ赤十字から得た血液試
料、白血病患者から採取した鮮血およびエイズ/カポジ
肉腫患者から採取した鮮血におけるウイルス汚染を検出
した。汚染は、免疫試験によりウイルス不含有であると
考えられた試料からの固定により検出された。適当な核
酸プローブが入手可能である限り、この発明は、前述の
mRNAまたはDNAの様々な固定方法を用いた主としてウイ
ルス、細菌、糸状菌等によるひと、動物または植物組織
の汚染の検出に使用され得る。試験された具体的な疾
病、生物学的供給源およびプローブを第2表に列挙す
る。
細胞採取、細胞調製、細胞質分画分、分子ハイブリダ
イゼーション、データ表示およびデータ操作の領域にお
けるこの広漠とした急速に変化している分野では変形が
なされることも予想され、前記プロセスの達成方法が請
求の範囲で略述された固定化手順と矛盾しない限り、前
記領域のあらゆる形態はこの発明の範囲内に含まれるも
のと見なされる。さらに、固定化手順自体のある種の状
況、例えばカオトロピック塩またはデタージェントを使
用する場合、細胞捕獲方法を使用する場合、フィルター
支持体を使用する場合、ろ過条件を使用する場合、洗浄
液を使用する場合等において修正が行なわれ得ることも
予想され、この明細書記載の固定化の原理が保持されて
いる限り、これらの修正、すなわちカオトロピック塩の
使用により核酸を錯体混合物中に同時溶解し、核酸と固
体または半固体支持体との結合を促進する場合、デター
ジェントおよびろ過条件(例、温度)の使用制御により
前記固体支持体との選択的核酸結合を促進する場合、並
びに続いて「固定」段階(例、ベーキング、続いて洗浄
段階実施または実施せず)を行う場合または行わない場
合において効果的および選択的に核酸を保持する固体支
持体の使用もこの発明の範囲内に含まれる。
実施例4 固定プローブを用いたカオトロピック塩溶液における
逆プロービング。
この明細書における「逆プロービング」の語は、細胞
を直接強いカオトロピック塩溶液に溶解し、加熱してDN
Aを変性させ、DNAを破壊するか、または別法として加熱
せずに、分子ハイブリダイゼーション条件下および溶け
た核酸および膜の間の直接相互作用を最小限にする条件
下、プローブ含有膜とインキュベーションすることによ
る方法を意味するものとする。この方法は、固定プロー
ブと固定プローブに相補的な細胞核酸間のハイブリダイ
ゼーションに有利である。細胞を加熱する場合、細胞DN
Aが固定プローブとハイブリダイゼーションし、細胞を
加熱しない場合、細胞RNAが固定プローブとハイブリダ
イゼーションする。逆プロービングは、この発明の固定
方法の中枢をなすカオトロピック塩の化学原理を利用す
るものである。
前述の実施態様および実施例では、細胞、ウイルス、
細菌等から得られた核酸をNaI中固体支持体に固定し、
次いで分子ハイブリダイゼーションを促すため適当な溶
液に溶かした純粋な放射性、蛍光性または別の手段によ
る標識プローブにハイブリダイゼーションした。逆プロ
ービングは異なる立体配置を示す。逆プロービングにお
いて、プローブは、この発明または別の技術を用いてN
C、ナイロンまたは別の膜に固定され得、次いでハイブ
リダイゼーションは、DNAまたはmRNAおよび膜間の直接
相互作用を低下させる添加剤、例えばデタージェント、
蛋白質、オリゴヌクレオチド等の存在下、細胞、細菌、
酵母、ウイルス等またはそれらの細胞質分画をカオトロ
ピック塩、例えばNaIに溶かし、生成した混合物を前記
プローブ含有フィルターとインキュベーションすること
により実施され得る。ハイブリッド形成は幾つかの手段
により検出され得る。
例えば固定プローブに相補的な標識プローブを溶液に
含ませることにより、溶解した細胞DNA、RNAおよび標識
または固定プローブ(DNAまたはRNA)間のハイブリッド
形成は、標識プローブおよびその固定補体間のハイブリ
ダイゼーションの減少(競争)により測定され得る(第
6図)。これを「競争的逆プロービング」と称す。第7
図はこの原理を説明するための実験を表すもので、1
06、2×106または4×106の血液細胞におけるひと反復
DNAの測定を示す。3μgのひと反復DNAを含むNC膜はこ
の発明により製造された。ひと反復DNAの放射性プロー
ブはニック翻訳により製造された。1%ブリージ58を含
むNaIに単核血液細胞を溶かし、0、106、×106または
4×106細胞を含むNaI/ブリージ58の1mlアリコート(デ
ュプリケート)を調製した。各アリコートに106cpmの放
射性ひとDNA(約10-2μg)を加えた。次いで、1セッ
トの溶液を20分間沸騰させることによりDNAを変性させ
た。DNA含有膜を各溶液に加えた。17時間37°でのイン
キュベーションによりハイブリダイゼーションを行い、
次に反応した核酸をフィルターから洗浄により除いた。
フィルターにラジオオートグラフィーを行い、次いでシ
ンチレーション計数法により放射能を定量化した。両結
果を第7図に示す。沸騰試料において、106ひと細胞が
2−3μgのDNAを含むことが計算され得る程度まで顕
著な競争が行なわれたことが判る。106ひと細胞は6μ
gのDNAを含むため(このうち約40%は反復DNAであ
る)、この結果は予想と非常によく一致している。
多くの変形が可能である。プローブを変えることによ
り特定のDNA配列が測定され得る。クローン肝炎ウイル
スDNAを成分とするプローブは、細胞中の肝炎ウイルス
ゲノムまたはmRNAの検出および定量を可能にする。プロ
ーブ1ピコグラムの固定により106ウイルスゲノムの検
出が可能となる。他のウイルス性プローブを用いると、
他のウイルスゲノムの検出が可能となる。沸騰段階を削
除および/または細胞質分画を製造すると、DNAではな
くRNAの検出が可能となる。この場合、標識プローブは
一本鎖状であり、RNAと同じ配列を有するべきで、膜含
有プローブをプレハイブリダイゼーション溶液により前
処理するべきである。ウイルスRNAはウイルス性プロー
ブを用いたこの方法により検出および定量され得る。細
胞RNAはクローン遺伝子プローブ、例えばmyc遺伝子プロ
ーブ(実施例1)を用いて検出および定量され得るが、
勿論その遺伝子プローブに限定される訳ではない。DNA
またはRNAプローブが使用され得る。1)プローブ−膜
複合体が製造され得、2)分子ハイブリダイゼーション
中、直接的溶解核酸膜相互作用の非存在下ハイブリダイ
ゼーションが固定プローブにより生じ得る限り、NC以外
の他の膜も使用され得る。
競争的ハイブリダイゼーション以外に、直接明視化も
また可能である。放射性プローブを省き、前記実験を反
復した。分子ハイブリダイゼーション結果に関してラジ
オオートグラフィーを行う代わりに、膜を0.5μg/ml臭
化エチジウム含有溶液に浸した。次いでフィルターを紫
外線下で明視化することにより膜上の2本鎖核酸を検出
した。細胞を省いた場合には前記構造は検出されなかっ
た。細胞を沸騰させた場合常に蛍光が得られたが、これ
はハイブリダイゼーションが溶解変性細胞DNAおよび固
定プローブ間で行なわれたことを直接的に示すものであ
った。これを「リトマス様逆プロービング」と称す。
また競争的逆プロービングに関して前述した変性は全
てリトマス様逆プロービングに関しても可能である。さ
らに、特異抗体、アビジン−ビオチン複合体、放射能検
出システム、挿入体(インターカレーター)の使用等、
多くの他のハイブリッド構造検出方法も可能であるが、
それらに限定される訳ではない。
この特許出願の中枢をなす固定化原理故に、競争的逆
プロービングおよびリトマス様逆プロービングは良い結
果をもたらす。カオトロピック塩を用いることにより、
細胞を溶解し、核酸を変性させ、ヌクレアーゼ活性を抑
制し、特異的核酸ハイブリダイゼーションを促進するこ
とが可能である。NaIはカオトロピック系列に含まれ、
固定化方法における基本型カオトロピック塩として使用
される。グアニジンチオシアネートの使用もまた良い結
果をもたらし、他のカオトロピック塩、例えば過塩素酸
ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、トリフルオロ
酢酸ナトリウム等もまた有用であると思われる。デター
ジェントは、標準的固定方法の場合と同様、逆プロービ
ング技術の重要な局面であるDNA−膜相互作用を最小限
にする(実施態様1c参照)。この発明の他の特徴、例え
ばmRNAに関する選択性もまた逆プロービングの変性、例
えば合成RNAプローブを用いる場合の成功に貢献するも
のと予想される。
実施例5 本発明固定化技術の適用。
実施例1−4では、主として所定数の細胞から固定さ
れた特異的mRNAの量の正確な測定の達成における分子ハ
イブリダイゼーションと結び付けた固定化の有用性を扱
った。またこの発明はそれ自体、mRNA構造の測定、細胞
におけるmRNA集団のコピーのクローニング並びに個々の
種類のmRNAの精製、分析およびクローニングに関する手
順を提供するものである。これらの手順に関する技術水
準の概略を以下に述べる。
mRNA構造#1:修飾S1ヌクレアーゼ検定。
固定mRNAにハイブリダイゼーションされ、S1ヌクレア
ーゼにより消化され、フィルターから解離されたプロー
ブのサイズを測定することにより固定mRNAの構造が明ら
かにされ得る(第8図)。この実験は、標識ひとDNAの
長い一本鎖を白血病性白血球の固定核RNAにハイブリダ
イゼーションし、非ハイブリダイゼーションプローブを
S1ヌクレアーゼによりヌクレオチドに消化し、フィルタ
ーからS1耐性プローブを解離させ、それをポリアクリル
アミドゲル電気泳動で分析することにより有効に実施さ
れた。
mRNA固定およびハイブリダイゼーションを前記に従い
実施した。DNA-mRNAハイブリッドを含むドットを摘出
し、1000U/mlのS1ヌクレアーゼを含む溶液に入れ、45°
で5−10分間インキュベーションした。この実験では未
消化プローブはフィルター上に残存した。S1ヌクレアー
ゼがリボヌクレアーゼを含有する場合またはハイブリッ
ドが固定DNAにより形成される場合、未消化プローブは
フィルターから解離され得る。
S1による消化後、フィルター・ドットを溶液から除去
し、冷0.01×SSPEでリンスし、次いで15秒間沸騰0.01×
SSPEに投じた。解離されたプローブをポリアクリルアミ
ド電気泳動により分画し、結果をラジオオートグラフィ
ーにより表した。
この方法の場合、元のベーク−シャープS1ヌクレアー
ゼ検定(ベークおよびシャープ、「セル」、12巻721-72
6頁)には本来伴わない明らかな危険は存在しない。
mRNA構造#2:修飾ノーザン・トランスファー。
原則としてmRNAは、純粋なホルムアミドにより一つの
膜から解離され、ポリアクリルアミド電気泳動により分
画され、別の膜に移されることにより、放射性プローブ
とハイブリダイゼーションされ得る。実際、mRNAはNCか
ら解離され、逆転写および翻訳され(ブレッサー等、
「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシーズ」1983年)、分子ハイブリ
ダイゼーションを行うためNCに再適用されたが(ブレッ
サー等、未公開所見)、アガロース電気泳動による分画
はまだ成功していない。前記に従いmRNAを固定し、解離
した。解離したmRNAを前記に従いポリアクリルアミド電
気泳動により分画し(ブレッサー等、「プロシーディン
グズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンシーズ」、1983年)、次いでゲルをラジオオートグ
ラフィーに付した。これまでに調べた全ての場合におい
て、NCから解離後mRNAは固定前よりも低い電気泳動にお
ける運動性を示した。この理由は目下研究中である。
電気泳動後、mRNAは、NaClを用いるトーマス方法
(「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカ
デミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ユーエスエ
イ」、77巻、5201-5205頁)またはNaIを用いる(ブレッ
サー等、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシーズ」、1983年)ごと
によりトランスファーされ得る。NaClを用いると対流の
低下が生じ、NC上に鮮明な像が形成される。NaIにトラ
ンスファーされたmRNAは生物活性であり、逆転写または
翻訳され得る。
細胞におけるmRNA集団のコピーのクローニング。
定められた細胞集団からの「mRNA」ライブラリーの構
築は重要な研究道具となった。少数の細胞から固定され
たmRNAは普通の長さのcDNAに逆転写され得るため(ブレ
ッサー等、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ」、1983年)、
迅速なクローニング方法が可能である。固定されたmRNA
の転写効率が低いという問題は存するが、逆転写効率
は、(I)「mRNA固定化」の一部であり得るEtOHおよび
無水酢酸浸液を排除し、(II)mRNA−フィルター前洗浄
中に塩を除去し、(III)沈澱中NH4Acを用いることによ
りかなり高められた。固定mRNAにおける第2鎖合成は証
明されなかったが、アクチノマイシンDが合成混合物中
に含まれない場合cDNAはフィルターから解離されるとい
う事実(ブレッサー、未公開所見)から明らかである。
固定技術による精製mRNAのクリーニング。
様々な細胞からの特異的mRNAのクローニングは、関連
したmRNAの調節における差異を正確に説明するための試
薬を提供する。この方法の概略は次の通りである。
ポリアクリルアミド電気泳動によるmRNA分画。
NaI中NCへのmRNAトランスファー。
分子ハイブリダイゼーションによる適切な種類のmRNA
の配置。
ハイブリダイゼーションしたプローブの溶解。
適切なmRNAの逆転写。
cDNAのクローンおよび組換え体のスクリーン。
この方法はいかなるmRNA精製方法とも両立し得る。明
らかに、mRNA精製方法が簡単であると、方法全体も強力
なものになる。理想的には、「mRNA構造#2:修飾ノーザ
ン・トランスファー」の項で略述したmRNA精製方法は、
この実験に適したmRNA集団を形成させる。
ポリアクリルアミドからNCへのmRNAの移動は、生物活
性を保つためにNaI中で行なわれなければならない(ブ
レッサー等、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショ
ナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ」、出版中、
1983年)。これに関する手順は次の通りである。ポリア
クリルアミドゲルを飽和NaIに30-60分間浸した。水、次
いで1モルNaCl、次いで飽和NaIに浸しておいたNCのシ
ートをゲルに被せた。NCに吸着紙タオルを被せた。ゲル
の容量の10倍に等しい量のNaI溶液がゲルを通過完了す
るまで移動を続行させた。NCをポリアクリルアミドから
剥がし、H2Oに浸した。
一旦細胞mRNA全体がNCに移されてしまうと、関連した
種類のmRNAが分子ハイブリダイゼーションにより検出さ
れ得る。次に、mRNA含有バンドは膜から正確に切断され
得、必要ならば膜を沸騰0.01×SSPEに浸すことによりプ
ローブは除去され得る。逆転写およびクローニングは前
述の項で略述した手順に従い得る。全体的にこの方法
は、mRNA濃縮が有用な場合において、特異的mRNAのDNA
コピーの非常に迅速で効果的なクローニング手段を提供
する。
実施例6 様々なカオトロピック塩類を用いる固定方法。
50μg/mlのシクロヘキサミドおよび10ミリモルのバン
ダイルヌクレオシドを含むハンクス塩でK562細胞を洗浄
し、同緩衝液に107細胞/mlの濃度で再懸濁した。1mlの
アリコートを個々のエッペンドルフ遠心分離管に分配
し、10分間3000RPMで遠心分離することにより細胞を沈
澱させた。各沈澱を5モル塩溶液に懸濁した。使用され
る塩類は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KC
l)、臭化カリウム(KBr)(B)、酢酸カリウム(KA
c)、よう化カリウム(KI)、(GSCN)、グアニジン塩
酸塩(GH)、過塩素酸ナトリウム(NaClO4)、トリフル
オロ酢酸ナトリウム(NaCF3COO)およびトリクロロ酢酸
ナトリウムであった。NaCl、KCl、KAcおよびKBrの溶液
は、不透明な非粘稠性細胞懸濁液を形成した。この不透
明さは、溶液中の未溶解粒子(例えば全細胞)からの光
散乱により生じる。従って、これらの塩類は細胞を溶解
しない。KI、NaI、GSCN、NaClO4、NaCF3COOおよびNaCCl
3COOの溶液は、遊離2本鎖DNAを伴う細胞溶解を呈する
透明な(不透明ではない)僅かに粘稠性のある溶液を形
成した。これらの溶液を90°に加熱すると、DNA変性に
より粘稠性は排除された。懸濁液を90°に加熱すると、
細胞材料の凝集が生じた。すなわちNaCl、KCl、CAc、GH
およびKBrは非カオトロピック塩類である。他の塩類は
カオトロピック塩類である。
1mlの各溶液の10分の1をニトロセルロースおよびナ
イロン膜によりろ過してDNAを固定した。非加熱溶液を
室温、20-22℃でろ過した。加熱した溶液を50°を越え
る熱い間にろ過した。非カオトロピック塩類の場合はろ
過をゆっくり行うかまたは全く行わず、カオトロピック
塩類の場合にはろ過を迅速に行った。膜を3回20×SSC
(3モルNaCl、0.3モルくえん酸Na)で洗浄し、次いで
前ハイブリダイゼーション溶液に浸し、次いで放射性ab
l腫よう遺伝子プローブを用いてハイブリダイゼーショ
ンを行った。ハイブリダイゼーション後、膜を洗浄し、
ラジオオートグラフィーを行い、次いで個々のドットを
採取し、実施例5の記載と同様にして計数した。カオト
ロピック塩類の溶液中で加熱された細胞からのDNA、お
よびカオトロピック塩類の非加熱溶液中の細胞からのmR
NAの固定は、強い分子ハイブリダイゼーション・シグナ
ルを生じたが、非カオトロピック塩類の溶液中の細胞か
らの試験的mRNAまたはDNA固定はかなり弱いハイブリダ
イゼーション・シグナルしか生じなかった。非カオトロ
ピック塩類によるこの低いシグナルの理由は幾つか重な
ったものであった。すなわち、膜が詰まる前に試料の一
部しか膜によりろ過されなかったこと、DNAまたはmRNA
にまだ付着していた蛋白質が固定を妨げたこと(ブレッ
サー、ドアリングおよびジルスピー、「DNA」、2巻243
-254頁、1983年)、蛋白質の共固定(coimmobilizing)
およびポストハイブリダイゼーション段階(ブレッサ
ー、ドアリングおよびジルスピー、「DNA」、2巻243-2
54頁(1983年)と比較したジルスピーおよびスピーゲル
マン、「ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー」、12巻、829-842頁、1965年)等。この実験は、非
カオトロピック塩類の場合と異なり、カオトロピック系
列の塩類がこの発明のDNA固定において有用であること
を示す。
上述の塩溶液およびDMSOの3:2混合物により実験を反
復した。DMSOを用いない場合の同じ非カオトロピック−
カオトロピックの上記差異はDMSOを用いても観察され
た。DMSO溶液の粘稠性が劣ることを除き、DMSOを用いて
得られた結果とDMSOを用いずに得られた結果を比較して
も差異は見られなかった。
全溶液に1%ブリージ58を含ませ、室温より高く加熱
することを一切避けて実験を反復した。これらの条件は
DNA固定よりもmRNA固定を助長する。非カオトロピック
塩類およびブリージ58に懸濁した細胞は依然として不透
明および非粘稠性であったが、これは無傷で非溶解状態
の核を表しているものと思われる。カオトロピック塩類
およびブリージ58はまた、遊離2本鎖DNAを伴う細胞の
溶解を表す透明で僅かに粘稠性のある溶液を形成した。
非カオトロピック塩類およびブリージ58に懸濁した細胞
はゆっくりとろ過されるかまたは全くろ過されなかった
が、カオトロピック塩類に溶解した細胞は急速にろ過さ
れた。放射性ablプローブにハイブリダイゼーション
後、カオトロピック塩類に溶解された細胞から固定され
たmRNAは強い分子バイブリダイゼーション・シグナルを
発生したが、これはDNA固定に関する上記理由によるも
のと思われる。この実験は、非カオトロピック塩類とは
異なり、カオトロピック系列の塩類は全てmRNA固定を満
足させることを示している。
上記塩溶液およびDMSOの3:2混合物を用いてこの実験
を反復した。DMSOを用いない場合の同じ非カオトロピッ
ク−カオトロピックの上記差異はDMSOを用いても観察さ
れた。DMSO溶液の粘稠性が劣ることを除き、DMSOを用い
て得られた結果とDMSOを用いずに得られた結果を比較し
ても差異は見られなかった。
実施例7 「発明の要旨」記載の定義を用いて様々な塩類のカオ
トロピック特性を証明した。2mg/mlに相当する濃度の2
×106K562ひと白血病細胞を培養培地から沈澱させ、対
照として5%グリセリン(水中)および様々な塩溶液に
懸濁した。各塩濃度は5モルであった。様々な塩溶液に
懸濁(または溶解)された細胞が、グリセリン/水対照
により示された値と比べて約2の係数による光学密度
(600ミリミクロンで読み取り)の減少を示す場合に、
カオトロピック特性が立証された。光学密度における何
らかの変化(または誤った方向での変化、すなわち一層
高い光学密度に向かう変化)がある場合、非カオトロピ
ック特性が僅かに立証される。結果を第3表に示す。
上記に基づくと、培養培地および塩類3−7はカオト
ロピック性ではないことが容易に判る。塩類8−15はカ
オトロピック性である。
実施例8 生物学的供給源からの直接mRNAおよび/またはDNA選
択的固定用キットおよびその使用。
特定遺伝子、abl腫よう遺伝子に対応するDNAおよびmR
NA配列の存在を検出するため、K562ひと白血病細胞の培
養と一緒に、水中10%ブリージ35のガラス瓶、10%デス
オキシコール酸ナトリウム水溶液のガラス瓶、7ml超飽
和NaIのガラス瓶、1%ブリージ58含有7ml飽和NaIのガ
ラス瓶および7ml飽和NaIのガラス瓶を含むキットが研究
技術者に与えられた。報告によると、K562細胞はこの遺
伝子を含み、それを発現させる(コリンズおよびグロウ
ジン、「PNAS」80巻、4813-4817頁、1983年)。技術者
はK562細胞を捕獲し、50μg/mlのシクロヘキサミドおよ
び10ミリモルのバナジルヌクレオシドを含むハンク塩に
107細胞/mlでそれらを懸濁し、90μlアリコートを調製
し、mRNAまたはDNA固定に関する上記プロトコルに従い
細胞を処理した。溶解した細胞の4通りの4倍希釈液を
飽和NaI中で製造した。次いで「詳細な記載」に記載さ
れたプロトコルに従い膜を浸した。次いで膜をこの発明
において記載されたプレハイブリダイゼーション溶液に
浸し、32P標識ablプローブ(約108cpm/μgのDNAに標識
されたアベルソンねずみ白血病ウイルスDNAのラムダAM
−1クローンのBgl Iiフラグメントを含むpBR322プラス
ミド)とハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼ
ーションは5mlの50%ホルムアミド、3×SSC、0.1%SDS
および0.05モルNaPO4、pH7.0中で行なわれ、強化スクリ
ーンにより24時間−70°でラジオオートグラフィーが行
なわれた。使用条件下でろ過1回当たり4×105、1×1
05、2.5×104および6×103細胞に相当する4種の細胞
希釈液から固定されたDNAとのハイブリダイゼーション
は観察されたが、最大2数の使用細胞の場合mRNAとのハ
イブリダイゼーションは観察されなかった。長いハイブ
リダイゼーション時間または強力な標識プローブまたは
長いラジオオートグラフィー時間を用いると、実験の感
度は上昇し、ハイブリダイゼーション・シグナルの明視
化に必要な細胞数は減少した。
実施例9 この実施例は、カオトロピック塩溶液に溶解し、次い
で固定膜によりろ過するという、生物学的供給源からの
mRNAまたはDNA固定に必要とされる最小限の工程を証明
するものである。
血液(5cc)を正常ドナーから採取し、小量のヘパリ
ン(1ミリグラム未満)を加えて凝結を阻止した。別
に、0.2mlの5モル塩溶液を2連の試験管の各々に加
え、0.05mlの血液を各管に加えた。1連の試験管を用い
て塩化ナトリウム溶液を試験した。1連の試験管を用い
て公知カオトロピック塩、グアニジンチオシアネートを
試験した。次に、各管に関して粘稠性および不透明度を
測定した。DNA固定の評価に使用される管には32P標識DN
Aを加えた。mRNA固定の評価に使用される管には32P標識
mRNAを加えた。DNA固定の測定に使用される管を20分間9
0℃に加熱し、次いでそれらの粘稠性および不透明度を
再び測定した。次いで各管(試料)を別々のニトロセル
ロース膜によりろ過し、次いで各膜の放射能をガイガー
・カウンターにより記録した(第4表参照)。
第4表 放射能(ミリレントゲン) NaCl、加熱(DNA評価) 2未満 NaCl、非加熱(mRNA評価) 2未満 グアニジニウムSCN、加熱(DNA評価) 6より大 グアニジニウムSCN、非加熱(mRNA評価) 6より大
対照32P標識mRNA 6より大 塩化塩化ナトリウムを用いると、全ての(非加熱)管
は依然として不透明で比較的非粘稠性であったが、これ
はあったとしても僅かの溶解しか生じなかったことを示
している。塩化ナトリウム管を加熱した場合、沈澱が形
成された。塩化ナトリウム管内容物をろ過すると、フィ
ルターに屑がパイル状に集まった。フィルターの放射能
の測定前に屑をフィルターから洗い流した。
グアニジンチオシアネートを用いて血液を溶解させる
と、各管の溶液は透明であったが、溶液は緑色を帯びて
いた。溶液は比較的非粘稠性であった。加熱すると沈澱
は形成しなかった。ろ過速度は適度に速かった。
ガイガー・カウンターの示数は、グアニジンチオシア
ネート溶液からは塩化ナトリウム溶液からの場合よりも
少なくとも3倍多い核酸が固定されたことを示してい
た。
対照として、各血液試料に加えられた量に等しい量の
32P標識mRNAまたはDNAをピペットで10%トリクロロ酢酸
中に取り、NCによりろ過した。ガイガー・カウンターの
示数はスパイクされた血液試料の場合に等しく、mRNAお
よびDNA固定は定量的であることを示していた。
実施例10 標的DNA配列、標的DNAの検出においてこの発明の速度
および感度を測定する実験を行った。
EcoRIにより線状にされたSP64プラスミドDNAを5モル
GuSCN/0.1モルEDTA pH7.0に希釈した。DNA希釈物の10μ
lアリコートの同一物2つを500μlエッペンドルフ管
に調製した。管をキャップし、5分間60°に加熱し、室
温に冷却し、2×SSCに溶かしたRNAプローブ5μlと混
合した。
RNAプローブの製造。
製造会社プロメガ・バイオテクの説明に従いSP64RNA
ポリメラーゼを用いてスーパーコイル状SP64DNAにおい
てRNAプローブを合成した。1μgのDNAおよび30単位の
RNAポリメラーゼを50μlのプロメガ・バイオテクによ
り指示された溶液(500マイクロモルのATP、CTPおよびU
TPおよび5マイクロモルのGTPおよび200μCの32P GTP
(3000C/ミリモル))およびヌクレオシドトリホスフェ
ート中1時間37℃でインキュベーションした。37℃でイ
ンキュベーション後デオキシリボヌクレアーゼ(プロメ
ガ・バイオテクから3単位)を加え、37℃で15分間イン
キュベーションを続けた。ジエチルオキシジホルメート
(5μl、イーストマン・ケミカル、ジエチルピロカー
ボネートとしても知られている)を加え、エマルジョン
を激しく5秒間撹はんした。容量をTE緩衝液により200
μlに調節し、マニアチス等による概略(「モレキュラ
ー・クローニング」、コールド・スプリング・ハーバー
により出版、1982年)に従いセファデックスG50による
スパンクロマトグラフィーにより未反応ヌクレオチドを
除去した。フロー−スルーによりNaCl中0.4モルにし、2
0分間100°に加熱し、2層のニトロセルロース(BA85、
シュライヒャーおよびシュエル)によりろ過した。ろ液
を2×SSCにより106cpm/μlに希釈し、−20°で貯蔵
した。長期間貯蔵する場合、プローブを2容積のエタノ
ールから沈澱させ、15分間12000×gで遠心分離により
集め、100%ホルムアミドに溶かし、−20°に保った。
使用前プローブを2×SSC中5倍に希釈した(濃度=2
・105dpm/μl、約2ng/μlまたは5ng/ハイブリダイゼ
ーション反応)。プローブは3000ntSP64DNAの600ntを示
した。
分子ハイブリダイゼーション プローブを加えた直後、溶液を37°浴に移し、2時間
そこに置いてRNAプローブおよびSP64標的DNA間の分子ハ
イブリダイゼーションを行わせた。
ハイブリッド検出 ハイブリダイゼーション後、200μlの2×SSC/0.1モ
ルEDTAph7/50μg(1ml当たり)のポリアデニル酸を混
ぜ入れ、生成した溶液を約1ml/分の速度でニトロセルロ
ース(BA85、シュライヒャーおよびシュエル)によりろ
過した。ろ過前にニトロセルロースをH2Oで湿らせ、2
×SSCに短時間浸した。大量の未反応RNAプローブは膜を
通って流れるが、DNAおよび会合したRNAプローブは膜結
合状態になった。
ろ過後、膜を30分間55°で50mlの2×SSC/20μg(1m
l当たり)のリボヌクレアーゼA/1ml当たり20単位のリボ
ヌクレアーゼT1に浸した。この工程は結合したプローブ
を有利に除去し、ハイブリダイゼーションした膜会合プ
ローブのみを残す。x線フィルムを用いたラジオオート
グラフィー(第9図、パネルA)により膜上の放射能を
評価し、シンチレーション計数により定量化した(第9
図、パネルB)。
第9図、パネルAおよびBが示す通り、膜と会合した
RNAプローブの量は標的DNAの量の正の関数であった。こ
の実験において高い放射能シグナル)「陽性ハイブリダ
イゼーション」)を与える最小量のDNAは0.3ピコグラム
のDNAであった。これは、3時間検定における約300000
遺伝子サイズDNA分子(約100ヌクレオチド長)の検出に
相当する。これらの速度および感度パラメーターは、遺
伝子診断が最初に使用される大部分の状況の必要条件に
含まれる。プローブは標的の複合度(長さ)の1/5のみ
で構成されたため、また2本の標的鎖の一方のみが検出
されるため、0.03pg(30フェントグラム)の相補的標的
配列がこの実験では測定された。
パネルBはパネルAで示されたものと同様定量的に表
された結果である。ただし、5ngのプローブにより、ハ
イブリダイゼーションしたプローブの量は、存在する相
補的標的DNAの量と正確に等しい。すなわち、ハイブリ
ダイゼーションは標的部分の飽和に関して100%有効で
ある。
遺伝子診断にさらに匹敵し得る設定で実験を反復し
た。細胞をまず107細胞/mlの割合で5モルGuSCN/0.1モ
ルEDTA ph7.0に溶かした。これは次の要領で行なわれ
た。5mlの血液をヘパリン含有管中に引き入れた。当業
界において標準的な方法を用いてフィコル−ハイパーク
への遠心分離により単核細胞を製造した。単核細胞をPB
Sにより希釈し、血球計で計数し、遠心分離により沈澱
させ、沈澱した107細胞の各々について1mlの5モルGuSC
N/0.1モルEDTA ph7.0を加えた。1−2分穏やかに撹は
ん後、細胞は実質的に溶解した。
EcoRIにより線状にしたSP64プラスミドDNAを溶解した
細胞の溶液に希釈した。DNA希釈物の10μlアリコート
の同じもの2つを500μlエッペンドルフ管に製造し
た。管をキャップし、5分間60°に加熱し、室温に冷却
し、直ちに5μlの上記RNAプローブと混合した。前述
の通り、37°でインキュベーションし、2×SSC/0.1モ
ルEDTA pH7.0/50μg(ポリアデニル酸1ml当たり)に希
釈し、ろ過し、ヌクレアーゼ処理し、フィルム撮影し、
シンチレーション計数を行った。第9図のパネルCから
明らかな通り、溶解した細胞の存在しない場合と実質的
に同じ標的DNA定量化感度が溶解した細胞の存在下に達
成された。この結果は、この発明が臨床試料に関する遺
伝子診断において有効に使用され得ることを確立した。
この実験を反復することにより、この発明が単一細胞
懸濁液以外の体内流体に使用され得るか否かを研究し
た。まず16.6グラムの固体GuSCN(フルッカ・ケミカル
ズ)を5.6mlの0.5モルEDTAと混合することにより、7モ
ルGuSCN/0.14モルEDTAの溶液を調製した。容積を25mlに
調節し、穏やかに加熱することにより固体を溶かした。
溶液が暖かい間に0.5mlアリコートを分配した。室温に
冷却すると溶液は固化した。
ヘパリンで凝血防止した全血0.2mlを7モルGuSCN/0.1
4モルEDTAの0.5アリコートの一つに加え、固体が実質的
に溶解するまで、一般的には1−2分間、システムを室
温でゆっくりと振り混ぜた。
1)プローブを5モルGuSCN中で製造することによりハ
イブリダイゼーション中システムを5モルGuSCNに維持
したこと、2)23°でハイブリダイゼーションを行った
こと、および3)ハイブリッドを200μlの2×SSC/0.1
モルEDTA、pH7/50μg/mlのポリアデニル酸中に希釈し、
前記BA85NCによりろ過したこと以外は前記と同様に、Ec
oRIにより線状にしたSP64プラスミドDNAを溶解血液溶液
に希釈し、プローブした。溶解細胞を伴う溶解血液また
は純粋なGuSCN/EDTA溶液の存在下では実質的に同じ標的
DNA定量感度が達成された。
実験を反復することにより、この発明が固体組織にお
いて使用され得るか否かを調べた。病理研究の残片とし
て肺癌のバイオプシーを得た。組織試料を秤量し、次い
で液体窒素を充填したステンレススチール箱上に置い
た。組織凍結後、それを液体窒素中冷却された乳棒で粉
砕した。粉末を管に移し入れ、5モルGuSCN/0.1モルEDT
A pH7を粉末10mg当たり1mlの割合で加えた。1−2分間
穏やかに撹はん後、粉末は実質的に溶解した。
EcoRIにより線状にされたSP65DNAを溶解組織溶液中に
希釈し、組織を欠く5モルGuSCNに関する記載に従いプ
ローブした。溶解組織の存在下では溶解血液もしくは溶
解細胞または純粋なGuSCN/EDTA溶液の場合と実質的に同
じ標的DNA定量化感度が達成された(データは示さ
ず)。
実験を繰り返して、この発明が無傷(インタクト)の
細菌において使用され得るか否かを調べた。SP64プラス
ミドを有するエシェリヒア・コリを25°で5分間2mg/ml
のリソチームとインキュベーションし、次いで全血に関
する前記要領と同様に5モルGuSCN/0.1モルEDTAとし、6
0°で5分間加熱した。ハイブリッドは15μlの3モルG
uSCN/0.06モルEDTA中10mgのRNAプローブにより形成され
た。ハイブリダイゼーションは25°で5分間行なわれ
た。結果をラジオオートグラフィー(第9D図)およびシ
ンチレーション計数により測定した。細胞内プラスミド
の検出感度を等量の精製線状DNAの場合と比較した。細
胞内プラスミド(2569cpmハイブリダイゼーション化)
の検出は、精製DNA(5177cpmハイブリダイゼーション
化)の検出の約半分の効率であった。この非効率性は、
ニトロセルロースにおける不完全なハイブリッド捕獲に
起因するものであったと考えられる。それは、オリゴデ
オキシヌクレオチドプローブを用いる他の検出方法は、
細胞内プラスミドの測定が顕著なDNA検出に対し90-115
%の割合で有効であることを一貫して示したためである
(コリンズ、私文書)。SDSは細菌溶解を助けるため幾
つかの試料に含まれたが、不要であることが判り、事
実、ハイブリッド固定を妨げた。105°でのインキュベ
ーションはリソチーム前処理の代わりに使用され得る。
上記実験は、この発明が使用され得る速度を説明す
る。またこの速度は下記の実験により説明される。
実験を繰り返して、この発明を無傷の細胞において使
用することによりHIVウイルスRNAを測定し得るか否かを
調べた。100000個の感染または非感染リンパ球を10μl
の5モルGuSCN/0.1モルEDTA/1モルNaClに溶かし、5分
間60℃に加熱した。HIVウイルスのPstl-EcoRI gag pol
フラグメントに対応するRNAプローブ10ngと溶解細胞と
のハイブリダイゼーションは、25℃で5分間12.5μgの
4モルのGuSCN/0.08モルEDTA/0.8モルNaCl中で行なわれ
た。シンチレーション計数法によりハイブリダイゼーシ
ョンを定量した。結果は次の通りであった。培養C(感
染)=5555cpmハイブリダイゼーション化、培養D(感
染)=3585cpmハイブリダイゼーション化、培養E(非
感染)=1031cpmハイブリダイゼーション化および培養
F(非感染)=1044cpmハイブリダイゼーション化。他
の実験は反応が動力学的に完全であることを示したた
め、プローブは103cpm/pgの比活性を有したため、さら
に標的の長さは1500ヌクレオチドであったため、この結
果は、培養Cの場合ウイルス遺伝子の1細胞当たり13コ
ピーおよび培養Dの場合ウイルス遺伝子1細胞当たり7.
5コピーの平均値を示す。すなわち、この実験はこの発
明の速度、単純さおよび定量的性質を説明するものであ
る。
全体として、この実施例はこの発明の幾つかの有利な
特徴を説明している。前述の速度、単純さおよび定量に
加えて、この実施例の実験は、広範な種類の臨床試料で
使用される場合におけるこの発明の用途の広さを立証す
る。
さらに、操作の数が比較的少なく使用温度があまり高
くないということは、この発明がオートメーションに充
分適していることを意味するということは当業界の熟練
者には明白である。
これらの特徴を全て共同作用的に組合わせると、先行
技術では予想されなかった臨床適用性が得られる。
この発明の実施はプローブの性質およびハイブリッド
検出手段に左右されることに注意すべきである。例え
ば、ウイルス性ゲノムの異なるフラグメントに相補的な
プローブが使用され得る。さらに、同様または同等の効
力を有する1本鎖プローブの代わりに2本鎖プローブま
たはオリゴヌクレオチドプローブが使用された。ビオチ
ン標識プローブも使用されたことがあり、他の酵素、金
属または抗原標識プローブが放射性プローブの代わりに
使用されたこともあり得る。ろ過の代わりにエネルギー
伝達方法または他の方法により生じる光子放射を用いて
ハイブリダイゼーションの程度を測定したこともあり得
る。この実施例10に関するこの発明の必須要素は、生物
学的試料からのDNAの効率の良い可溶化およびそのDNAま
たはRNAプローブとのハイブリダイゼーションを本質的
に直ちに可能にする変性である。
実施例11 実験はGuSCN、NaIおよびホルムアミド中での液体−液
体ハイブリダイゼーションの効率を示すために実施され
た。
実施例10の記載と同様にRNAプローブを製造した。25p
gのRNAプローブを15μlのハイブリダイゼーション溶液
中線状変性SP64DNA(実施例10参照)とハイブリダイゼ
ーションした。1ハイブリダイゼーション溶液の構成成
分は、H2O中様々な濃度のGuSCNまたはNaI(2モル、3
モル、4モルまたは5モル)または50%ホルムアミド、
0.9モルNaCl/0.09モルくえん酸ナトリウム/0.014モル燐
酸ナトリウム、pH6.8であった。ハイブリダイゼーショ
ンを2時間25、37、45または55°で行った。
標的DNA過剰分とのハイブリダイゼーションを測定す
るため、200ngのDNA標的により形成された(15μl中)
RNA-DNAハイブリッドを実施例10の記載に従いニトロセ
ルロースによりろ過し、ラジオオートグラフィーを行っ
た。EDTAを欠く5モルGuSCN中、2−3モルNaI中または
50%ホルムアミド/0.9モルNaCl中、過剰のDNA標的(200
ng/15μl)に対する痕跡量のRNAプローブ(25pg/15μ
l)のハイブリダイゼーションは、RNA鎖の90%をRNA-D
NAハイブリッド構造に変換する最適条件下で効率良く行
なわれた。常用の手順により、投入された放射能の40-5
0%は、23°で0.3モルNaCl中におけるリボヌクレアーゼ
処理に耐性のあるハイブリッドに変換され得た。
適度に過剰の標的DNA(15μl中10ng)のみを用いた
実験において、25pgのRNAプローブのハイブリダイゼー
ションの程度は、最適状態に及ばない条件下2時間での
効率は劣っていたが、3−5モルGuSCN中最適温度で
は、90%を越えるプローブRNA鎖がDNAとのハイブリッド
複合体に捕獲された(第10A図)。GuSCN中でのハイブリ
ダイゼーション効率は、平行実験において42℃50ホルミ
アミド/0.9モルNaClで観察された値の50-100倍であった
(第10B図)。濃NaI中でのハイブリダイゼーションは非
効率的に行なわれた(第10C図)。
最適条件は様々なGuSCN濃度により変化し(第10
図)、温度が最適値より低いとGuSCN濃度は予想通り高
いという相関関係にあった。3モルGuSCNでの最適温度
は55°より高かったが、5モルGuSCNでは最適温度は37
°前後であった。それにも拘わらず、低用量のプローブ
の場合でも、ハイブリダイゼーション反応は広い範囲の
条件下において2時間でほぼ完了した(第10B図)。
実施例12 実験はGuSCN中における分子ハイブリダイゼーション
の速度を測定するために行なわれた。
RNAプローブを実施例10の記載に従い製造した。RNAプ
ローブを15μlのハイブリダイゼーション溶液中線状変
性SP64DNA(実施例10参照)とハイブリダイゼーション
した。ハイブリダイゼーション溶液の構成成分は、0.1
モルEDTA、pH7.0中様々な濃度のGuSCNであった。様々な
長さの時間、様々な温度でハイブリダイゼーションを行
った。
プローブ過剰状態で50%ホルムアミド中37°で形成さ
れたハイブリッド(例、実施例11)との直接比較に基づ
くと、GuSCN中におけるハイブリダイゼーションは約100
倍速くなった。同様に低いプローブ濃度では迅速な反応
速度が達成された(第11A図および第11B図)。1.3ng/ml
のプローブおよび0.25ng/mlの相補的標的DNAを用いる
と、3または4モルGuSCN中でのハイブリダイゼーショ
ンは本質的に5−10時間に亙って行なわれた。半分完了
の時間は約3時間であり、長さ1キロベースの核酸につ
いて予想された2×10-3ではなく0.03×10-3のCotl/2に
相当した。これは、ブリッテンおよびコーン標準条件
(「サイエンス」、161:529頁、1968年)における70倍
計算加速度に相当する。1モルNaClではそれ以上の加速
は得られなかった。ハイブリダイゼーション速度は23°
で広い範囲のGuSCN濃度において本質的に一定であった
(第11C図)。
ハイブリダイゼーション中カオトロープの濃度が高い
と、ハイブリダイゼーションT(最適値)は低くなり、
ハイブリダイゼーション反応は加速される。T最適値
は、浜口およびガイデュシェクが具体的に示した通り
(「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソ
サエティー」84巻1329頁、1962年)、各カオトロープに
より異なると思われる。実際、GuSCNを用いた場合のハ
イブリダイゼーション効率の方が常に優れ、ハイブリダ
イゼーション速度の加速割合も大きかったため、GuSCN
はNaIよりも好ましかった。
RNA-DNAハイブリダイゼーションは3−6モルGuSCN中
室温で行なわれ得る。1ml当たり数ナノグラムのRNAおよ
び相補的標的DNAを用いるハイブリダイゼーションにお
けるt12は約4時間である。1ml当たり100ngのプロー
ブを用いて行なわれるハイブリダイゼーションは室温で
5分間では75%またはそれ以上の完了割合である。
実施例13 全血試料に関するウイルスDNA診断におけるこの発明
の用途。
単核細胞に進行性肝炎およびB型肝炎ウイルスDNA配
列を有する2患者並びに2名の正常なウイルス不含有ボ
ランティアからヘパリンを含む排出管に血液を採取し
た。5μlの非凝固全血を円錐底0.5mlプラスチック管
中で5μlの液化超飽和NaIと混合した。10ngトリシ
ン、pH7.0/0.1ミリモルのジチオトレイトールおよびB
型肝炎ウイルスゲノム全体を含む1本鎖32P標識RNAプロ
ーブ100ngを含む溶液5μlを加え、溶液を徹底的に混
合した。実施例10の記載と同様の手順であるが、B型肝
炎ウイルスゲノム全体のクローニングに対する組換え体
SP64DNA鋳型を用いてプローブを製造した。溶液を90°
で5分間インキュベーションして試料DNAを変性させ
た。幾つかの管を37°水浴に移し、そこで4時間インキ
ュベーションすることにより分子ハイブリダイゼーショ
ンが行なわれた。ハイブリダイゼーション後、350μl
の2×SSC/0.1モルEDTA/50μg/mlのポリ(A)を含む管
に溶液を排出した。ハイブリダイゼーションされたプロ
ーブ分子は、減圧下ろ過することによりニトロセルロー
ス膜上に捕らえられた(実施例10参照)。幾つかの膜を
0.4NaCl/0.05モルトリス、pH7.2/2.0gリボヌクレアーゼ
A(1ml当たり)中30分間37°でインキュベーションす
ることにより、残留非ハイブリダイゼーション化RNAプ
ローブを破壊した。膜を全て15分間室温で0.4モルNaCl/
0.05モルのトリス、pH7に浸した。ハイブリダイゼーシ
ョンの度合をx線フィルムによるラジオオートグラフィ
ーにより評価し、常套技術を用いてシンチレーション計
数管で膜における放射能を分析することにより定量化し
た。第5表から明らかな通り、4時間のインキュベーシ
ョンにより分子ハイブリダイゼーションを促進させた場
合、非り患対照の場合と比べて、肝炎患者の血液からは
大きなハイブリダイゼーション・シグナルが得られた。
この発明を用いると、肝炎患者の血液中にウイルスDNA
配列が検出される。詳しくは明細書の実施例13参照。各
数は、シンチレーション計数法により測定された3測定
値の平均である。
別法として、肝炎ウイスルゲノム全体で構成される1
本鎖DNAプローブをRNAプローブの代わりに用い、上記と
同様にしてハイブリダイゼーション手順を実施した。分
子ハイブリダイゼーション後、製造会社ワーシントン・
バイオケミカルズの記載に従い、0.05モルのトリス−HC
l、pH7.0/0.4モルNaCl/0.1モルZnCl2/10UのS1ヌクレア
ーゼを含む溶液1mlに試料を希釈し、45°で30分間イン
キュベーションしてハイブリダイゼーションしていない
プローブを破壊した。ハイブリダイゼーションされたプ
ローブを変性およびニトロセルロースろ過により集めた
(ナイガードおよびハル、1964年)。
これらの実験状況の全てにおいて、単核血液細胞に急
性進行性肝炎および肝炎ウイルスDNA配列を有する患者
から得られた血液を用いたハイブリッド形成を、ウイル
ス陰性正常対照から得られた血液を用いたハイブリッド
形成と比較した。どの実験状況においても、肝炎患者の
血液を用いた場合の方が多くの膜結合放射能(例、分子
ハイブリダイゼーション)が得られた。
実施例14 糞試料に対する細菌性DNA診断におけるこの発明の用
途。
糞試料を下痢状態の子供から得た。糞1ml当たり微生
物104の割合で細菌カンピロバクターをアリコートに加
えた。糞試料を0.5gのGuSCNに加えて5モルGuSCNの溶液
1mlを生成した。試料を5分間105°でインキュベーショ
ンした。
10Kbのカンピロバクターゲノム転写体を成分とする10
ngの1本鎖32P標識RNAプローブを含む溶液2.5μlと10
μlの糞試料を徹底的に混合した。試料を23°で30分間
インキュベーションして分子ハイブリダイゼーションを
行わせ、実施例10の記載に従いハイブリッドを検出し
た。カンピロバクターが加えられた糞アリコートでは、
カンピロバクターを欠く糞アリコートよりも著しく高い
効率で分子ハイブリダイゼーションが行なわれた。
実施例15 少数の細胞でのHIVウイルスRNAの検出におけるこの発
明の用途。
非感染およびHIV感染細胞を107細胞/mlの割合で5モ
ルGuSCN/0.1モルEDTAに溶かした。HIV感染細胞を5モル
GuSCN/0.1モルEDTAまたは5モルGuSCN/0.1モルEDTAに非
感染細胞を溶かしたものに系列希釈した。10μlアリコ
ートに、実施例10記載のギャグ−ポールRNAプローブ100
pgを含有する2.5μlを加えた。25°で48時間ハイブリ
ダイゼーションを行った。
ハイブリダイゼーション後、200μlの2×SSC/0.1モ
ルEDTA/10μgポリ(A)/4μgリボヌクレアーゼA/4U
リボヌクレアーゼT1を加え、非ハイブリダイゼーション
プローブを25°での30分インキュベーション中に消化さ
せた。溶液を冷却してTCA中10%にし、当業界において
標準的な手法を用いてハイブリダイゼーションしたプロ
ーブをニトロセルロース膜に集めた。シンチレーション
計数法により放射能を測定した。
第12図から明らかな通り、5モルGuSCNまたは5モルG
uSCNに溶かした非感染細胞のどちらに希釈されようと、
ハイブリダイゼーションしたプローブの量は、100〜100
00細胞の範囲の感染細胞数の一次関数であった。僅か10
細胞が陽性ハイブリダイゼーション値を示した。
実施例16 細胞でのHIVウイルスRNAの定量におけるこの発明の用
途。
HIV感染細胞を107細胞/mlの割合で5モルGuSCN/0.01
モルEDTAに溶かした。10μlの細胞に様々な量の実施例
10記載のgag-polRNAプローブを含む溶液5μlを加え
た。25°で17時間ハイブリダイゼーションを行った。実
施例15の記載と同様ハイブリッドが形成された。
第13図から明らかな通り、非感染細胞を用いたハイブ
リダイゼーションは多量のプローブにより急速に増加
し、次いで「プラトー(安定状態)」に達した後、非感
染細胞を用いた場合と本質的に同じ割合で増加した。プ
ラトーに達する前のハイブリダイゼーションの最大量が
「飽和」値、すなわち標的RNA部位が全部ふさがった時
点でのハイブリダイゼーションしたプローブの量の値で
ある。プローブ過剰では、3モルGuSCNにおける標的部
位の飽和効率(実施例10の第9B図)は100%であるた
め、ハイブリダイゼーションしたプローブのμg数は試
料中に存在する標的RNAのμg数と等しい。従って、第1
2図の結果は、培養CおよぴDの105細胞当たり各々200
および150pgの標的RNAを示す。プローブは1.5ヌクレオ
チドの長さを有するため、培養CおよびDにおいて1細
胞当たり各々3250および3000分子のウイルスRNAが存在
する。
この実施例は、臨床試料における標的RNA分子数の定
量化に関するこの発明の効力を説明している。
実施例17 患者におけるHIV核酸の測定。
アンプリゲンで処置された10名のエイズ関連コンプレ
ックスおよびエイズ患者のグループにおいてこの発明を
実施した。このミスマッチした2本鎖RNA分子は、抗ウ
イルス剤および免疫増強剤、特にインビトロHIV感染の
強力な阻害剤の両方である。治療前、この試験における
10患者は全て、p24を含む主なウイルス蛋白質と反応す
るHIVに対する循環抗体の存在を示した。さらに、10患
者はアンプリゲン処置前の2回または3回の機会におけ
る共培養(coculture)検定によるとHIV陽性であった。
HIVのgag遺伝子およびpol遺伝子の大部分の5′末端
に相補的な32P RNAプローブとの分子ハイブリダイゼー
ションにより、250000細胞当たりのRNA分子数を測定し
た(実施例10参照)。次いで、フィコル勾配遠心分離に
よりヘパリンで凝血防止された血液から精製された単核
細胞を遠心分離により集め、107細胞/mlの濃度で5モル
GuSCN/0.01モルEDTA/10ミリモルDTTに溶かした。これら
の条件下でリンパ球は本質的に溶解し、標的RNAは有効
な分子ハイブリダイゼーションに直接適した形態で遊離
する。RNAプローブを直接GuSCN−溶解細胞に加え、分子
ハイブリダイゼーションを4モルGuSCN中44時間26℃で
行った。実施例15記載のリボヌクレアーゼ/TCA方法によ
りRNA-RNAハイブリッドを精製した。
第14図−第16図は、この発明を用いて、10名のエイズ
またはエイズ関連コンプレックス患者の血液細胞に存在
するエイズウイルスRNAにおいて化学療法により生じた
変化をグラフに示したものである。結果は共培養および
直接血清抗原測定結果と対照的である。
26℃で4モルGuSCN中25pgのプローブおよび250000個
の細胞を用いてハイブリダイゼーションを行った。陰性
対照を控除後ハイブリダイゼーション値を標的RNA分子
数に変換した。陰性対照は投入されたプローブの0.1-0.
2%に等しかった。プローブの比活性により異なるが、1
cpm=1500-3600HIV RNA分子である。
アンプリゲン治療の前に、直接分子ハイブリダイゼー
ションにより10名の患者のうち9名の血液細胞にHIV RN
Aが検出され得た(縦座標上に塗り潰された記号、第14
図−第16図)。10人目の患者(Fari、第14図)は、異常
に高い陰性対照値控除後ハイブリダイゼーション陰性で
あると思われ、このため誤った陰性であった可能性があ
る。HIV RNA値は、一般に250000単核血液細胞当たり約1
00000分子であり、104血液単核細胞中約1感染細胞の割
合に相当する。ハイブリダイゼーションは低い量のプロ
ーブにより行なわれたため、これらは最小限のHIV RNA
値である。処置前には10患者のうち5患者にしか血清HI
V抗原は検出されなかった(Gibm、Bror、Edwd、Tawi、F
owi)(第14図−第16図の半分塗り潰した記号)。
分子ハイブリダイゼーションにより測定された循環血
液細胞におけるHIV RNAは、アンプリゲン療法開始後最
初の時点では全患者において検出不可能であった。8週
目における2つの明らかに陽性のハイブリダイゼーショ
ン結果は異常に低い陰性対照と関連があり、再試験で陰
性であると判明した。この実施例は、直接分子ハイブリ
ダイゼーションの使用によりカオトロピック溶液の存在
下、循環血液細胞中のHIV RNAが直接定量化され得るこ
とを示す。
実施例18 細胞におけるrRNAの測定。
この発明を用いると、rRNAを精製せずに試料中の細菌
rRNAを測定することができる。この実施例では非mRNA試
料の測定を説明する。
Lブロス中でエシェリヒア・コリを培養し、遠心分離
により集め、106細胞/mlの割合で5モルGuSCN/0.1モルE
DTA/10ミリモルのジチオトレイトール(GED)と混合し
た。これらの細胞または希釈物(GED中)のアリコート1
0μlを、エシェリヒア・コリrRNAに相補的な32P標識RN
Aプローブ2×105cpm(2ng)を含有する溶液2.5μlと
混合する。混合物を5時間26℃でインキュベーション
し、次いで実施例15記載のリボヌクレアーゼ/TCA検定に
よる処理を行う。この処理により、ハイブリダイゼーシ
ョン・シグナルは1細菌当たり10cpmの範囲で存在する
エシェリヒア・コリの数の増加に伴い増加し、結果とし
て非希釈試料の場合100000cpmのハイブリダイゼーショ
ン・シグナルが生じる。
対照的に、エシェリヒア・コリRNAと相補的ではない
プローブを用いると、本質的にハイブリダイゼーション
は行なわれない(200-500cpm)。
当業界の熟練者には自明の理であるが、適当なプロー
ブが入手可能であれば、この発明を用いることにより、
これらの実施例に記載されたゲノムRNA、mRNAおよびrRN
Aだけでなくあらゆる種類のRNAを検出および定量化する
ことができる。また、この発明の有用性に著しく影響を
及ぼすことなく、かなり広い制限範囲内で例えばカオト
ロープの種類、カオトロープの濃度、ハイブリダイゼー
ションおよび他の工程の温度および時間、プローブの
量、試料の量、リボヌクレアーゼの性質および量、膜の
タイプ(NC、混合エステル、ナイロン)、ハイブリッド
精製方法等の変形も行なわれ得ることは、実施例1−18
から明白である。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物学的試料の核酸評価方法であって、
    (a)核酸を含む上記生物学的試料を、カオトロピック
    塩と接触させて当該生物学的試料の核酸を可溶化し、そ
    れにより可溶化した核酸の溶液を得、(b)上記可溶化
    した核酸の溶液を、当該可溶化した核酸の少なくとも一
    部と相補的である少なくとも1種の核酸プローブと共
    に、当該少なくとも一種の核酸プローブと当該可溶化し
    た核酸との間の分子ハイブリッド形成が促進されるよう
    な条件下でインキュベートし、(c)上記分子ハイブリ
    ッド形成を検出することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】核酸プローブが固定化されている、請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】核酸プローブが溶液である、請求項1記載
    の方法。
  4. 【請求項4】カオトロピック塩がチオシアン酸グアニジ
    ンである、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】分子ハイブリッド形成がホルムアルデヒド
    不存在下に行われる、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】少なくとも2つの容器を有する収納体であ
    って、当該容器の1つはカオトロピック塩を含み、他の
    容器の少なくとも1つは核酸プローブを含むものであ
    る、以下の生物学的試料の核酸評価方法を実施するため
    に使用するキット:(a)核酸を含む生物学的試料を、
    カオトロピック塩と接触させて当該生物学的試料の核酸
    を可溶化し、それにより可溶化した核酸の溶液を得、
    (b)上記可溶化した核酸の溶液を、当該可溶化した核
    酸の少なくとも一部と相補的である少なくとも1種の核
    酸プローブと共に、当該少なくとも一種の核酸プローブ
    と当該可溶化した核酸との間の分子ハイブリッド形成が
    促進されるような条件下でインキュベートし、(c)上
    記分子ハイブリッド形成を検出することを特徴とする方
    法。
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