JP2551647Y2 - ブッシング端子の絶縁キャップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、配電用小形変圧器の
高圧ブッシング端子部に装着する絶縁キャップに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来一般の、配電用小形変圧器における
高圧ブッシングは、変圧器本体タンクの上部側板より水
平に突出し、配電線の挿入孔を上方に向けて配設する。
前記高圧ブッシングは図３に示すように、ブッシング１
の先端内側に凹部２を形成し、その凹部２内の中心位置
に先端ねじ部と電線挿入孔４を形成したスタッド３を突
設固定し、凹部２の周壁の一部に電線挿入孔４と対向し
た位置に切欠部５を設けたものであり、配電線は切欠部
５を通り電線挿入孔４に挿入し、スタッド３の先端ねじ
部から締付碍子６をねじこみ締付け固定する。

【０００３】上記のごとき高圧ブッシングにおいては、
凹部２の周壁と締付碍子６のテーパー部６ａとの間に間
隙７が生じ、また、切欠部５とそこを通る配電線との間
にも間隙があり、そのため鳥類や有害な異物が充電部に
接触し、地絡事故発生原因の一つになっている。これを
防止する一つの手段として、従来図４に示すように、配
電線１４をブッシング１に取付け固定する作業が終った
後、硬質な樹脂材料による円筒状で、一部にＵ字状切欠
部８と、一端部に固定板９を溶着し形成した保護カバー
１０を、ブッシング１の先端部から被せて固定板９を、
タンク側板１１に溶着されている固定金具１２に、ねじ
１３で固定する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
保護カバー１０においては、配電線１４を締付けた後に
保護カバー１０を装着するためＵ字状切欠部８を必要と
し、そこを通る配電線１４の回りに間隙があり、しか
も、Ｕ字状切欠部８が上方を向いているので保護カバー
の機能を発揮することができず、また、保護カバー１０
を固定するための固定金具１２をタンク側板１１に溶着
するなどコストが高くなるとともに、保護カバー１０の
装着に手間がかかる欠点がある。そこで、この考案は、
ブッシング端子の絶縁キャップにおいて、ブッシング端
子の充電部分を閉塞することができ、しかも、配線作業
性の向上をはかることができるようにしたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案においては、円
筒状の胴部と、一端部および他端部を備え、胴部には、
その内部に挿入する配電線によって押し下げられる櫛歯
状突片を形成するとともに、上記一端側および他端側に
おいて水抜き孔を形成し、上記一端部には、ブッシング
の先端部を押し込む開口を形成するとともに、この開口
寄り部分に、ブッシングの谷部にはめ込む掛かり部を周
設形成し、上記他端部には、締付碍子を挿入する開口を
形成するとともに、上記他端部は、この開口に近い部分
ほど肉薄に形成する。

【０００６】

【作用】上記のように形成された、この考案の絶縁キャ
ップにおいては、一端部の開口にブッシングの先端部を
押し込んで、ブッシングの谷部に掛かり部をはめ込み、
他端部の開口より締付碍子を締付けるので絶縁キャップ
をブッシングの略中心位置に常時保持できる。また、配
電線の回りを櫛歯状突片で塞ぎ、一方締付碍子を締付け
ていくと他端部の開口端が締付碍子のテーパー部に当接
するので、テーパー部回りの間隙を塞ぐ。従って、絶縁
キャップをブッシングに装着したままで配線作業が可能
になるとともに、ブッシング端子の充電部分を閉塞する
ことになる。

【０００７】

【実施例】図１は、この考案による絶縁キャップの一例
を示し、透明で弾力性のある樹脂材料で形成する。絶縁
キャップ１５は、円筒状の胴部１６に、その内部に挿入
する配電線によって押し下げられる櫛歯状突片１７を形
成し、その反対側の両端側近傍に複数の水抜き孔１８を
形成し、胴部１６の一端部にはブッシングの先端部を押
し込む開口１９を形成するとともに、この開口１９寄り
の部分に掛かり部２０を周設形成し、胴部１６の他端部
には締付碍子を挿入する開口２１を形成するとともに、
この開口２１に近い部分ほど肉薄に形成する。

【０００８】図２は、上記絶縁キャップ１５をブッシン
グ１に装着した状態を示したもので、胴部１６の一端部
の開口１９にブッシング１の先端部を押し込んで、ブッ
シング１の谷部１ａに掛かり部２０をはめ込み、胴部１
６の櫛歯状突片１７をブッシング１の切欠部５の位置に
合わせて他端部の開口２１より締付碍子６を取り付け
る。配電線１４の先端導線を櫛歯状突片１７から突片の
一部を押し下げながら胴部１６の内部に挿入し、ブッシ
ング１の切欠部５の隙間を通り電線挿入孔４に挿入した
後、締付碍子６を締付けて配電線１４を固定する。この
例の絶縁キャップ１５は、ブッシング１に装着したまま
で配線作業ができ、また、配電線１４の回りを櫛歯状突
片１７で塞ぎ、一方締付碍子６を締付けていくと、その
テーパー部６ａに開口２１の周端が当接するのでテーパ
ー部６ａ回りの間隙を閉塞する。

【０００９】

【考案の効果】上述したように、この考案の絶縁キャッ
プをブッシングに装着することにより、次のような効果
がある。 （１）ブッシング端子充電部分の外部露出部を閉塞で
き、装着したままで配線作業が可能となり作業が容易で
ある。また、絶縁キャツプは一端部の掛かり部と他端部
の開口周端でブッシングの略中心位置に常時保持でき
る。 （２）複数の水抜き孔により、絶縁キャップ内に雨水の
溜り、凍結などがなく充電部への悪影響や絶縁キャップ
の劣化を防止できる。 （３）タンク側板に部品の溶着加工をする必要がなく、
コストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の絶縁キャップの一例を示す斜視図で
ある。

【図２】その絶縁キャップをブッシングに装着した状態
を示す一部断面正面図である。

【図３】一般的な高圧ブッシングの一部構成を示す平面
図である。

【図４】従来の保護カバーを取り付けた一例を示す平面
図である。

【符号の説明】

１ ブッシング １ａ 谷部 ４ 電線挿入孔 ５ 切欠部 ６ 締付碍子 ６ａ テーパー部 １４ 配電線 １５ 絶縁キャップ １６ 胴部 １７ 櫛歯状突片 １８ 水抜き孔 １９、２１ 開口 ２０ 掛かり部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状の胴部と、一端部および他端部を
   備え、 上記胴部には、その内部に挿入する配電線によって押し
   下げられる櫛歯状突片を形成するとともに、上記一端部
   側および他端部側において水抜き孔を形成し、 上記一端部には、ブッシングの先端部を押し込む開口を
   形成するとともに、この開口寄りの部分に、上記ブッシ
   ングの谷部にはめ込む掛かり部を周設形成し、 上記他端部には、締付碍子を挿入する開口を形成すると
   ともに、上記他端部は、この開口に近い部分ほど肉薄に
   した、 ブッシング端子の絶縁キャップ。