JP2551472B2 - 5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキサミド誘導体とその製造方法及び植物成長抑制剤 - Google Patents

5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキサミド誘導体とその製造方法及び植物成長抑制剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキ
サミドに属する新規化合物とその製造方法及び植物に対
する成長抑制剤に関するものである。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 従来、γ−ピロン−3−カルボキサミドに属する化合
物については以下に示す文献に記載されている。J.Org.
Chem.,29,3548(1964):J.Org.Chem.,29,3555(196
4);薬学雑誌、87,1212(1967);薬学雑誌、87,1351
(1967);特公昭45−31663号;薬学雑誌、101,43(198
1)。また、特開昭61−158977号及び特開昭63−115878
号には、ある種のγ−ピロン−3−カルボキサミドが植
物に対して成長抑制作用を示すことが開示されている。
しかしながら、本発明の式(I)に示すようなγ−ピロ
ン環と5位にアルコシキ基を有する5−アルコキシ−γ
−ピロン−3−カルボキサミド誘導体及びこれを有効成
分とする植物成長抑制剤は、これまで知られていなかっ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の如き5−アルコキシ−γ−ピロ
ン−3−カルボキサミド誘導体を得るべく鋭意研究の結
果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、 一般式(I); [式中、R1とR8は、異なっても同一でもよく、それぞれ
C1〜C11のアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキ
ニル基、又はアリール基;R2,R3,R4,R5,R6は異なっても
同一でもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原
子、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は
ハロゲン化低級アルキル基;R7はC1〜C11のアルキル基、
アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表す]
で示される5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキ
サミド誘導体を提供するものである。この発明で、アル
キル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、オク
チルなど直鎖状又は分枝状のアルキル基が含まれる。ア
ルケニル基には、ビニル、アリル、イソプロペニル、2
−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、1,4
−ペンタジエニル、1,6−ヘプタジエニル、1−ヘキセ
ニルなどが、又アルキニル基には、エチニル、2−プロ
ピニルなどが含まれる。尚、この発明で低級とはC1〜C5
の炭素原子を含有する基を意味する。
アリール基には、フェニル基;ハロゲン原子、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハ
ロゲン化低級アルキル基の1又は2以上で置換されたフ
ェニル基が含まれる。ハロゲン原子には、塩素、臭素、
ヨウ素、又はフッ素原子が挙げられる。
アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、イソプロポキシ、ブトキシなどが含まれる。
アリールオキシ基には、フェニルオキシ、ナフチルオ
キシ基などが含まれる。ハロゲン化低級アルキル基に
は、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、クロロメ
チル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−クロロプロピ
ルなどが含まれる。さらに、本発明は、 一般式(II): [式中R7は、C1〜C11のアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、又はアリール基;R8は、C1〜C11のアルキル
基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、又はアリー
ル基;R9は、アルキル基、又はアリール基を表す]で示
される化合物をモレキュラーシーブの存在下、 一般式(III)又は(III′): [式(III)又は(III′)中R1は、C1〜C11のアルキル
基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、又はアリー
ル基;R2,R3,R4,R5,R6は異なっても同一でもよく、水素
原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アル
コキシ基、アリールオキシ基、又はハロゲン化低級アル
キル基;R10はアルキル基、N,N−ジアルキルアミノ基、
N,N−ジアルキルアミノアルキル基、1−ピロリジニル
アルキル基、ピペリジノアルキル基、又はモルホリノア
ルキル基を表す]で示される化合物を反応させることを
特徴とする 一般式(I): [式中R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8は上記と同じ]で示さ
れる5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキサミド
誘導体の製造方法を提供するものである。
この発明の製造方法において、原料として用いる。式
(II)(III)又は(III′)の化合物は、既知の方法で
製造することができる。式(II)と式(III′)の化合
物は互いに互変異性体である。
式(III)又は(III′)におけるR10はメチル、エチ
ル、プロピル、ブチルなどのアルキル基、N,N−ジメチ
ルアミノ、N,N−ジエチルアミノなどのN,N−ジアルキル
アミノ基;N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチル
アミノプロピルなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル
基;1−ピロリジニルエチル、1−ピロリジニルプロピル
などの1−ピロリジニルアルキル基;ピペリジノエチ
ル、ピペリジノプロピルなどのピペリジノアルキル基;
モルホリノエチル、モルホリノプロピルなどのモルホリ
ノアルキル基を表す。なおR10がアルキル基の場合に
は、反応系内にピリジンあるいはトリエチルアミン等の
第三級アミンなど有機塩基を添加すると収率が向上す
る。
式(II)の化合物と式(III)又は(III′)の化合物
との反応は不活性溶媒中、モレキュラーシーブの存在下
で好都合に行われる。好ましい不活性溶媒の例として、
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリ
ン、デカリンなどが挙げられる。反応温度としては、通
常80〜300℃程度の温度が用いられるが、120〜170℃付
近が好適である。モレキュラーシーブとしては、例えば
3A,4A,5A,13Xなどが使用できる。
生成した式(III)の化合物は例えば抽出、再結晶、
カラムクロマトグラフィー、蒸留等により分離精製する
ことができる。さらに本発明は式(I)の化合物の少な
くとも1種を有効成分として含有することからなる植物
成長抑制剤を提供する。この発明の植物成長抑制剤は、
前記(I)で示される。有効成分化合物をそのまま使用
してもよいが、一般にはその使用目的に応じて固体担
体、液体担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤と混
合して、水和剤、粒剤、乳剤等に製剤する。
これらの製剤には、有効成分として、水和剤では10〜
80%、粒剤では0.1〜20%、乳剤では10〜50%(いずれ
も重量%を示す)を含有することが望ましい。
製剤に使用される固体担体には、カオリン、ベントナ
イト、クレー類、タルク、珪藻土、ジークライト、ゼオ
ライト、パイロフィライト、合成含水酸化珪素、炭酸カ
ルシウムなどの微粉末あるいは粒状物があり、液体担体
には、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素
類、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコー
ル、メチルセロソルブ等のアルコール類、アセトン、イ
ソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類、大豆油、綿
実油等の植物油、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホオキシド、アセトニトリル、水等がある。乳化、分
散、湿展等のために用いられる界面活性剤には、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンア
ルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキエチレン
ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオ
キシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活
性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸
塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤等
がある。
製剤用補助剤には、リグニンスルホン酸塩、アルギン
酸塩、ポリアクリレート類、ポリビニルアルコール、植
物ガム類、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒド
ロキシエチルセルロース(HEC)等がある。
以上のようにして製剤された水和剤、乳剤通常水で希
釈して、粒剤はそのままで、土壌散布あるいは茎葉散布
して施用できる。
また本発明の植物成長抑制剤は、殺線虫剤、殺菌剤、
肥料または土壌改良剤と混合使用することもできる、 この発明の植物成長抑制剤を土壌処理、茎葉処理のい
ずれかで用いる場合、施用量は相当広範囲で変えること
ができるが、通常は1アール当たり有効成分量で0.1〜2
00g、好ましくは1〜100gであり、施用濃度は水和剤、
乳剤の水希釈剤では、1%〜80%である。これらの施用
量、施用濃度は製剤の種類、施用場所、方法、時期、作
物、雑草害の程度、気象条件等によって上記の範囲にか
かわることなく増減することができる。
(実施例) 次に実施例により、本発明を更に具体的に説明する。
実施例1 N−(2,6−ジエチルフェニル)−5−メトキシ−6
−メチル−4−オキソ−2−プロピル−4H−ピラン−3
−カルボキサミドの製造 本実施例の反応式は次の式により示される。
メチル3−オキソ−2−メトキシブチレート8.62g(5
9mmol)、N−(2,6−ジエチルフェニル)−3−(N,N
−ジメチルヒドラゾノ)−ヘキサンアミド7.89g(26mmo
l)、モレキュラーシーブス5A10.94gのキシレン(27.8m
l)溶液を窒素下、ディーンスタルクを用い、150℃で2
7.5時間加熱した。反応溶液を冷却し、モレキュラーシ
ーブスを除いた後、1規定塩酸水で洗浄し、次いで飽和
炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
する。溶媒を減圧留去し、カラムクロマトグラフィー
(シリカゲルW−200、溶媒酢酸エチルエステル/ヘキ
サン=1/6)を行い、更にカラムクロマトグラフィー
(溶媒塩化メチヘン/ヘキサン=8/1)を行うことによ
り題記化合物が753mg得られた。得られた化合物の1H−N
MR及びIRの結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;0.80−1.40(m,3H),1.17(t,6
H),1.40−2.10(m,2H),2.33(s,3H),2.63(q,4H),
3.00−3.40(m,2H),3.83(s,3H),7.00−7.20(m,3
H),11.00(brs,1H). IR(neat)cm-1;3180,1680,1650. 化合物はオイル状。
実施例2 N−(2,6−ジエチルフェニル)−5−メトキシ−2
−メチル−4−オキソ−6−プロピル−4H−ピラン−3
−カルボキサミドの製造 原料の置換基を変化させたほかは、実施例1と同様の
操作を行った。本実施例の反応式、収率、及び得られた
化合物の1H−NMR,IR、融点の結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;0.80−1.30(m,3H),1.17(t,6
H),1.40−2.03(m,2H),2.37−2.90(m,6H),2.77(s,
3H),3.83(s,3H),6.90−7.10(m,3H),11.00(brs,1
H), IR(KBr)cm-1;3180,1670,1640. 融点;77.5〜79.0℃(ヘキサン) 実施例3 N−(2,6−ジエチルフェニル)−5−メトキシ−2,6
−ジメチル−4−オキソ−4H−ピラン−3−カルボキサ
ミドの製造 原料の置換基を変化させたほかは、実施例1と同様の
操作を行った。本実施例の反応式、収率、及び得られた
化合物の1H−NMR,IR、融点の結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;1.20(t,6H),2.33(s,3H),2.6
0(q4H),2.77(s,3H),3.80(s,3H),6.97−7.17(m,3
H),11.00(brs,1H). IR(KBr)cm-1;3150,1680. 融点;65〜66.5℃ 実施例4 5−エトキシ−N−(2,6−ジエチルフェニル)−6
−メチル−4−オキソ−2−プロピル−4H−ピラン−3
−カルボキサミドの製造 原料の置換基を変化させたほかは、実施例1と同様の
操作を行った。本実施例の反応式、収率、及び得られた
化合物の1H−NMR,IRの結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;0.80−1.43(m,12H),1.43−2.1
0(m,2H),2.38(s,3H),2.60(q,4H),3.03−3.37(m,
2H),4.10(q,2H),6.97−7.15(m,3H),10.97(brs,1
H). IR(neat)cm-1;3180,1680,1650. 化合物はオイル状。
実施例5 N−(4−ブロモ−2,6−ジエチルフェニル)−5−
メトキシ−6−メチル−4−オキソ−2−プロピル−4H
−ピラン−3−カルボキサミドの製造 原料の置換基を変化させたほかは、実施例1と同様の
操作を行った。本実施例の反応式、収率、及び得られた
化合物の1H−NMR、IRの結果を以下に示す。
1H−NMR(CDCl3)δ;0.73−1.40(m,3H),1.10(t,6
H),1.40−2.10(m,2H),2.30(s,3H),2.53(q,4H),
2.97−3.35(m,2H),3.80(s,3H),7.15(s,2H),11.03
(brs,1H). IR(neat)cm-1;3180,1690,1650. 化合物はオイル状。
試験例 実施例1〜5で得た化合物の性能評価を示す。ただし
“性能評価”とは次のとおりである。
タルク(50重量部)、ベントナイト(25重量部)、ソ
ルポール−9047(東邦化学製、2重量部)、ソルポール
−5039(同前、3重量部)、を混合しキャリアーを調製
した。テスト化合物50重量部と前記キャリアー200重量
部とを混合し、20%水和剤を作った。この水和剤を純水
に分散させ所定濃度の水和剤分散液を得た。別にイネ、
タイヌビエ、二十日ダイコン種子を催芽させたシャーレ
を用意し、上記水和剤分散液を添加し、25℃の照明付き
定温庫で7日間育苗して成長程度を観察した。
結果の表示法は、1=無影響、2=25%成長抑剤、3
=50%成長抑剤、4=75%成長抑剤、5=完全枯死とす
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): [式中、R1とR8は異なっても同一でも良く、それぞれC1
    〜C11のアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニ
    ル基、又は、アリール基;R2,R3,R4,R5,R6は異なっても
    同一でもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原
    子、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又は
    ハロゲン化低級アルキル基;R7はC1〜C11のアルキル基、
    アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基を表す]
    で示される5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキ
    サミド誘導体。
  2. 【請求項2】一般式(II): [式中、R7はC1〜C11のアルキル基、アルケニル基、ア
    ルキニル基、又はアリール基;R8はC1〜C11のアルキル
    基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、又は、アリ
    ール基;R9はアルキル基、又はアリール基を表す]で示
    される化合物をモレキュラーシーブの存在下、 一般式(III)又は(III′): [式(III)又は(III′)中R1はC1〜C11のアルキル
    基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、又はアリー
    ル基;R2,R3,R4,R5,R6は異なっても同一でもよく、水素
    原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、アル
    コキシ基、アリールオキシ基、又はハロゲン化低級アル
    キル基;R10はアルキル基、N,N−ジアルキルアミノ基、
    N,N,−ジアルキルアミノアルキル基、1−ピロリジニル
    アルキル基、ピペリジノアルキル基、又はモルホリノア
    ルキル基を表す]で示される化合物と反応させることを
    特徴とする。 一般式(I): [式中R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8は上記と同じ]で示さ
    れる5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキサミド
    誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】一般式(I) [式中R1とR8は異なっても同一でもよく、それぞれC1
    C11のアルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル
    基、又はアリール基;R2,R3,R4,R5,R6は異なっても同一
    でもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、
    シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はハロ
    ゲン化低級アルキル基;R7はC1〜C11のアルキル基、アル
    ケニル基、アルキニル基、又は、アリール基を表す]で
    示される5−アルコキシ−γ−ピロン−3−カルボキサ
    ミド誘導体の少なくとも1種を有効成分として含有する
    ことからなる植物成長抑制剤。
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