JP2540870Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、コンパクト容器に関するものである。

《従来の技術》 一般のコンパクト容器の基本構造は、化粧料の収納さ
れた容器本体と、下面に鏡が貼着された蓋体とがそれぞ
れの後端部で開閉自在に連結された構成としている。

そして、係るコンパクト容器では、蓋体を閉止状態に
維持するために、通常は蓋体の前端下面に爪片を垂設す
ると共にその爪片の後面に係合突起を形成し、一方その
係合突起に係合可能な係合突起を容器本体の前端面に形
成している。そして、両係合突起同士を係合させあうこ
とにより蓋体を閉止させている。また、この状態から蓋
体を開放するには、蓋体の前端を上方に負荷し、蓋体に
形成した係合突起が容器本体に形成した係合突起を乗り
越えて上方移動させることにより係合を解除させ、これ
により開放可能としている。

ところで、近年では、この開放作業性の向上を図るた
め、例えば実開昭62-33705号などに示されるように、容
器本体の前面にプッシュピースを揺動可能に配設し、そ
のプッシュピースを内方に押し込むことによりプッシュ
ピースの端部が爪片を上方に付勢するようにし、これに
より両係合突起同士の係合を解除し、蓋体を開放可能と
している。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、上記した従来のコンパクト容器では、
以下に示す種々の問題がある。

すなわち、コンパクト容器に装着されるプッシュピー
スは爪片の幅と同じか一回り大きい程度で非常に小さい
ため、押しにくく操作性がさほど向上しない。

また、容器本体の前面所定位置には、そのプッシュピ
ースに符合する小さな凹部を容器本体に形成し、その凹
部内にプッシュピースを装着していたため、その取り付
け作業が非常に煩雑である。

さらには、蓋体に付与される付加機能としては、せい
ぜい鏡を貼着しているにすぎず、蓋体部位のスペースの
有効利用が充分になされていなかった。

この考案は、上記した背景に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは蓋体の開放操作性が良好でかつ
蓋体部位の有効利用を図るコンパクト容器を提供するに
ある。

《課題を解決するための手段》 上記した目的を達成するため、本考案に係るコンパク
ト容器では、化粧料の収納された容器本体と蓋体とをそ
れぞれの後端部で開閉自在に連結するとともに、これら
容器本体側および蓋体側それぞれに互いに係脱自在に係
合されて該蓋体を閉止する係合部を設けたコンパクト容
器において、該蓋体に下向きに開口形成された収納凹部
と、該収納凹部を区画する該蓋体の周縁に幅広に形成さ
れた切欠溝部と、平板状に形成されて該蓋体の該収納凹
部の開口縁に沿ってスライド自在に設けられるととも
に、該切欠溝部から該蓋体外方へ突出させて配置され、
該蓋体から外方に引き出されて該収納凹部を開閉自在に
開放するとともに、該蓋体の内方に押し込まれて該係合
部の係合を解除するプッシュプレートとを備えた。

《作用》 閉止状態にある蓋体を開放するには、まず、蓋体周縁
の切欠溝部から外方へ突出されて配置されているプッシ
ュプレートを蓋体の内方に押し込む。すると、容器本体
側および蓋体側それぞれに設けられて互いに係合してい
る係合部の係合が解除されて蓋体が開放可能となる。殊
にこの係合解除操作は、蓋体の周縁に幅広に形成された
切欠溝部から蓋体外方へ突出される平板状のプッシュプ
レートを押し込むことで行うことができるため、蓋体の
開放操作性は良好となる。

また、蓋体に形成した収納凹部内に収納された物品を
取り出すには、上記切欠溝部から突出されているプッシ
ュプレートを外方に引き出すことにより収納凹部が開放
され、これにより容易に取り出すことができる。

そして、蓋体の周縁から外方に引き出されて収納凹部
を開閉自在に開放し、かつ蓋体の内方に押し込まれて係
合部の係合を解除する、これらの収納凹部の開閉並びに
蓋体の開放を、一つのプッシュプレートのスライド操作
により行えるため、構成が簡略でコンパクト容器の肉厚
をさほど厚くすること無く収納凹部が確保される。

《実施例》 以下、本考案の好適な実施例について添付図面を参照
にして説明する。

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２図はそ
の断面図である。本実施例は基本的には、化粧料12の収
納された容器本体10と蓋体20とをそれぞれの後端部で開
閉自在に連結するとともに、これら容器本体10側および
蓋体20側それぞれに互いに係脱自在に係合されて蓋体20
を閉止する係合部14,37を設けたコンパクト容器におい
て、蓋体20に下向きに開口形成された収納凹部42と、収
納凹部42を区画する蓋体20の周縁に幅広に形成された切
欠溝部20cと、平板状に形成されて蓋体20の収納凹部42
の開口縁に沿ってスライド自在に設けられるとともに、
切欠溝部20cから蓋体20外方へ突出させて配置され、蓋
体20から外方に引き出されて収納凹部42を開閉自在に開
放するとともに、蓋体20の内方に押し込まれて係合部1
4,37の係合を解除するプッシュプレート30とを備えて構
成される。

同図に示すように、平面略矩形の容器本体10の上面に
はそのほぼ全面に渡って化粧料収納凹所11が設けられて
おり、その化粧料収納凹所11内に化粧料12が充填されて
いる。また、容器本体10の上面前方には、小矩形状の凹
部13が設けられ、この凹部13の前壁には、第１の係合突
起14が一体的に後方に向けて突出形成されている。一
方、容器本体10の後端中央部位には、凹状切欠部15が形
成されており、この凹状切欠部15内に蓋体20の後端部が
回動自在に挿入され、これにより蓋体20が容器本体10に
対してその後端部で開閉自在に連結される。

すなわち、蓋体20は、容器本体10と略同一平面形状を
有し、その下面の後端中央部位には略直方体状のブロッ
ク体21が一体的に垂下形成されている。このブロック体
21は、上記凹状切欠部15に略符合する形状であって、そ
のブロック体21を凹状切欠部15内に挿入した状態で、左
右両側から蝶番ピン17を装着し、これにより蓋体20が枢
着される。

ここで本考案では、まず、蓋体20を下方に開口された
収納凹部42を有する箱状に形成し、その内部に空間部を
設ける。そして、この蓋体20の下方開口部を覆うよう
に、平板状のプッシュプレート30を前後方向にスライド
自在に装着している。すなわち、蓋体20の両内側壁20a,
20aの下端近傍に前後方向に伸びるガイド溝22を形成す
る。このガイド溝22の前端は開口されている。一方、収
納凹部42を区画する蓋体20の前端縁にはその幅方向に幅
広に切欠溝部20cが形成される。この切欠溝部20cには、
これより蓋体20外方へ突出するようにプッシュプレート
30が配置されている。そしてまた、このガイド溝22に符
合するように、プッシュプレート30の両側面には突条31
を一体的に突出形成している。そして、この突条31が上
記ガイド溝22に摺動自在に符合させられることにより、
プッシュプレート30が安定して前後方向に移動できるよ
うになっている。このような構成により、プッシュプレ
ート30は、蓋体20から外方に引き出されて収納凹部42を
開閉自在に開放するとともに、蓋体20の内方に押し込ま
れて第１の係合突起14と後述する第２の係合突起37との
係合を解除するようになっている。さらに本例では、図
示省略するが、突条31の後端部はさらに側外方に向かっ
て突出した幅広となっており、プッシュプレート30の蓋
体20からの離脱が抑制されている。

また、上記プッシュプレート30には鏡35が貼着されて
いると共に、プッシュプレート30の下面前方中央部に
は、爪片36が一体的に垂下形成されており、その爪片36
の前面下方に第２の係合突起37が形成されている。そし
て、蓋体20の閉塞時には、その爪片36が容器本体10の凹
部13内に挿入すると共に、爪片36に設けた第２の係合突
起37と凹部13に設けられた第１の係合突起14とが係合し
あい、蓋体20が閉止位置をとどめることになる。

さらに本例では、蓋体20の内側後壁20bの中央部位に
は円弧状に前方に突出した板ばね28が装着されており、
この板バネ28が上記プッシュプレート30の後面に当接可
能となっている。これにより、その板バネ28がプッシュ
プレート30を前方に向けて付勢し、上記閉止位置をとど
めるようになっている。

さらにまた、本考案では、プッシュプレート30の上方
と蓋体20の内面との間に上記所望の空間部が画成されて
おり、この空間部があぶらとり紙40を収納するための収
納凹部42となる。

次に上記した実施例のコンパクト容器の使用方法につ
いて説明すると、まず、第２図に示すように蓋体20が閉
止位置を占める状態から蓋体20を開放するには、蓋体20
の切欠溝部20cから蓋体20前方へ突出されているプッシ
ュプレート30の前端を蓋体20内方に向かって後方へ押圧
する。すると、プッシュプレート30はガイド溝22に沿っ
て後方に移動する。これによりプッシュプレート30の爪
片36も後方に移動し、その爪片36に設けられた第２の係
合突起37が第１の係合突起14から離脱し、係合が解除さ
れる。この後、蓋体20の前端を上方に向けて回動するこ
とにより、蓋体20が開放される。

また、このプッシュプレート30の後方移動の際に、こ
のプッシュプレート30の後面が板バネ28を付勢し、圧縮
変形する。したがって、蓋体20の開放後、プッシュプレ
ート30への後方への付勢を解除すると、板バネ28の弾性
復元力により、プッシュプレート30は前方へ移動し、元
の位置に戻るが、蓋体20の収納凹部42はプッシュプレー
ト30に被蓋されたままとなっている（第３図参照）。

その結果、蓋体20を開放しても収納凹部42に収納され
たあぶらとり紙40は外部に露出しないで脱落が抑制さ
れ、鏡35を見ながらの通常のコンパクト使用ができる。

一方、化粧直しの際に顔などの化粧面に浮きでてきた
油分を吸い取り、その後の化粧料の乗りをよくするため
にあぶらとり紙40を使用するには、上記のようにして蓋
体20を開放した後、開放作業とは逆にプッシュプレート
30を、蓋体20から前方に向けて引き出す。すると、プッ
シュプレート30はガイド溝22に案内されて真っ直ぐに引
き出され、蓋体20の下面が開口され、収納凹部42が露出
する。したがって、その収納凹部42内に収納されている
あぶらとり紙40を取り出せば良い。その後は再び残った
あぶらとり紙40を収納凹部42内に収納すると共にプッシ
ュプレート30を閉じ、通常のコンパクトとして使用す
る。

なお、上記した実施例では、第1,第２の係合突起14,3
7を前方に設けたが、側方に設けるようにし、プッシュ
プレート30をスライドさせることにより両係合突起がそ
の突起の配置方向に沿って相対的に移動して係合を解除
するようにしても良く、また、上記した実施例ではプッ
シュプレート30を前後方向にスライド自在に装着した
が、本考案はこれに限ること無く横方向にスライドする
ようにしても良い。すなわち、プッシュプレート30のス
ライド方向と両係合突起14,37の係合解除方向とは任意
に設定でき、ようは、プッシュプレート30をスライドさ
せることにより係合が解除できる位置関係に両係合突起
14,37があれば良いのである。

なおまた、上記した実施例では、収納凹部42内に収納
する物品としてあぶらとり紙40の例を示したが、本考案
ではこれに限ること無く種々の物品（小物）を収納で
き、その収納対象物はかならずしも化粧（コンパクト容
器）に関連するものに限られない。そして、今までのコ
ンパクト容器では、蓋体20に付与する付加機能として
は、せいぜい鏡35を貼着しているにすきなかったため、
秘密の収納部として利用することも可能であり、他人に
持ち歩いていることを知られたくない物品をその収納凹
部42内に収納することにより、人に知られること無く安
心してそれを持ち歩くことができる。

さらにはコンパクト容器自体の構成として、上記した
実施例では、蓋体20と容器本体10とを蝶番を介して開閉
可能に連結した例について説明したが、例えば、ヒンジ
結合や可撓性を有するシート材などにて連結させたり、
さらには両者を一体的に形成するなど種々のものを用い
ることができるのはいうまでもない。

《考案の効果》 以上のように、本考案に係るコンパクト容器では、蓋
体の周縁に幅広に切欠溝部を形成するとともに、平板状
に形成されて上記切欠溝部から蓋体外方へ突出されて配
置され、蓋体内方へ押し込まれて、蓋体を閉止する係合
部の係合を解除するプッシュプレートを備えて構成した
ので、従来のプッシュピースに相当するプッシュプレー
トは比較的大きく、蓋体の開放操作性が良好となる。

そして、この様なプッシュプレートを蓋体にスライド
自在に取り付ける作業は、作業対象物が比較的大きいた
めに簡単となる。

さらに、蓋体に下向きに収納凹部を開口形成するとと
もに、蓋体の収納凹部の開口縁に沿ってスライド自在で
あって、蓋体から外方へ引き出されてこの収納凹部を開
閉自在に開放するプッシュプレートを備えて構成したの
で、この収納凹部にあぶらとり紙などの物品を収納する
ことができる。

これにより、従来鏡を貼着する程度の付加機能しかな
かった蓋体の機能面での有効利用が図れる。この結果、
化粧時に必要不可欠であったあぶらとり紙などの物品を
コンパクト容器内に収納し、一体に持ち運びができるの
で、従来のように別途持ち歩くと共にハンドバックなど
から別々に取り出すといった不便さがなくなる。

さらにまた、本考案では、プッシュプレートに蓋体の
開放操作を行う機能と収納凹部の開閉蓋としての機能と
を兼ねさせたため、収納凹部を設けたにも拘らずコンパ
クト容器の全体的な肉厚が厚くならない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るコンパクト容器の一実施例を示す
斜視図、第２図は蓋体を閉じた状態における断面図、第
３図は通常のコンパクト使用時における蓋体の開放状態
を示す斜視図である。 10……容器本体、14……第１の係合突起 20……蓋体、30……プッシュプレート 20c……切欠溝部、37……第２の係合突起 42……収納凹部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】化粧料の収納された容器本体と蓋体とをそ
   れぞれの後端部で開閉自在に連結するとともに、これら
   容器本体側および蓋体側それぞれに互いに係脱自在に係
   合されて該蓋体を閉止する係合部を設けたコンパクト容
   器において、 該蓋体に下向きに開口形成された収納凹部と、 該収納凹部を区画する該蓋体の周縁に幅広に形成された
   切欠溝部と、 平板状に形成されて該蓋体の該収納凹部の開口縁に沿っ
   てスライド自在に設けられるとともに、該切欠溝部から
   該蓋体外方へ突出させて配置され、該蓋体から外方に引
   き出されて該収納凹部を開閉自在に開放するとともに、
   該蓋体の内方に押し込まれて該係合部の係合を解除する
   プッシュプレートと を備えたことを特徴とするコンパクト容器。