JP2527043B2 - 車両用トラクション制御装置 - Google Patents

車両用トラクション制御装置

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JP2527043B2 JP1237560A JP23756089A JP2527043B2 JP 2527043 B2 JP2527043 B2 JP 2527043B2 JP 1237560 A JP1237560 A JP 1237560A JP 23756089 A JP23756089 A JP 23756089A JP 2527043 B2 JP2527043 B2 JP 2527043B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、車両用トラクション制御装置に関するもの
である。
従来の技術 変速比が無段階に変化させられる無段変速機を備えた
車両が知られている。このような車両においては、予め
定められた関係から実際のスロットル開度などの要求出
力量に基づいて自動的に変速比が調節され、燃費率およ
び運転性能などが好適に得られるようになっている。そ
して、上記のように無段変速機を備えた車両において
は、たとえば、特開昭61-46725号に記載されているよう
に、加速時の駆動輪のスリップ制御装置、すなわち、遊
動輪から得られた車体速度と駆動輪から得られた車速で
ある駆動輪速度とに基づくスリップ率が所定の範囲内と
なるようにエンジンの出力を制御し、駆動輪速度が車体
速度に沿って変化するように制御する形式のトラクショ
ン制御装置が設けられる場合がある。
発明が解決すべき課題 ところで、上記のように無段変速機およびトラクショ
ン制御装置を備えた車両においてエンジンの出力を制御
する際には、たとえばスロットル開度のようなエンジン
出力調節部材がアクチュエータにより駆動操作されるよ
うに構成されるが、そのエンジン出力調節部材とエンジ
ンの出力との関係を表す特性曲線には、たとえば第8図
に示すように、エンジン出力調節部材の変位に対してエ
ンジンの出力が大きく変化する領域と殆ど変化しない領
域とが存在する。このため、トラクション制御装置が駆
動輪のスリップ率を制御するために駆動輪の駆動トルク
を調節しようとすると、たとえば路面摩擦係数が小さい
状態ではスロットル開度が小さい領域で変化させられて
スロットル開度の変更により敏感に駆動トルクを変動せ
しめることが可能である。しかし、路面摩擦係数が大き
い状態ではスロットル開度が大きい領域で駆動トルクを
調節する必要が生じるため、第8図をみても明らかなよ
うにわずかな駆動トルクの変化要求に対して、スロット
ル開度を大幅に変化させる必要が生じることから、駆動
トルクを変化させる制御の応答遅れが発生するので、路
面摩擦係数の変化全域にわたってスリップ収束性を良好
に維持することは難しいという問題があった。
本発明者は、車両の発進加速に際して駆動輪のスリッ
プ制御に関して路面摩擦係数に関わらず好適な制御特性
が得られる車両用トラクション制御装置を提供すること
を目的として種々検討を重ねた結果、無段変速機の変速
比と駆動輪回転速度との関係は非線型であって、変速比
が減速側の値となるほど一定の変速比の変化に対する駆
動輪の回転速度の変化が小さくなることから、スロット
ル開度および無段変速機の変速比を併用して駆動輪の駆
動力を調節する一方、路面の摩擦係数が小さい状態では
スロットル開度に基づいて駆動輪の駆動力を制御する割
合を多くし、路面の摩擦抵抗が大きい状態では無段変速
機の変速比に基づいて駆動輪の駆動力を調整する割合を
多くすると、路面摩擦係数に関わらず好適な制御特性が
得られる事実を見出した。本発明は、かかる知見に基づ
いて為されたものである。
課題を解決するための手段 すなわち本発明の要旨とするところは、駆動輪の駆動
トルクを制御するためのエンジン出力調節部材と、変速
比が無段階に変化させられる無段変速機とを備えた車両
において、車両の発進時における駆動輪のスリップ率が
所定の値となるように調節する車両用トラクション制御
装置であって、(a)前記車両の走行路面の摩擦係数を
検出する路面摩擦係数検出手段と、(b)前記エンジン
出力調節部材を変位させることにより前記車両の発進時
における駆動輪の駆動トルクを調節する第1調節手段
と、(c)前記無段変速機の変速比を変化させることに
より前記車両の発進時における駆動輪の駆動トルクを調
節する第2調節手段と、(d)前記路面摩擦係数検出手
段により検出された路面摩擦係数が低い場合には前記第
1調節手段によって前記駆動トルクを調節する割合を多
くし、高い場合には前記第2調節手段によって前記駆動
トルクを調節する割合を多くする制御手段とを、含むこ
とにある。
作用および発明の効果 一般に、路面摩擦抵抗が低い状態では、駆動輪のスリ
ップが発生する限界駆動力も低く、エンジン出力調節部
材の変位が小さい(スロットル開度が小さい)領域で駆
動輪のスリップ率の制御が行われるが、路面摩擦抵抗が
高い状態では、駆動輪のスリップが発生する限界駆動力
も高く、エンジン出力調節部材の変位が大きい(スロッ
トル開度が大きい)領域で駆動輪のスリップ率の制御が
行われる。このため、本発明によれば、上記路面摩擦係
数が低い領域では、エンジン出力調節部材の変位が小さ
く且つその変位に対して駆動トルクの変化が大きいの
で、前記第1調節手段によってエンジン出力調節部材に
基づいて駆動トルクを調節する割合が前記制御手段によ
って多くされることにより、駆動輪のスリップ率を制御
する際の駆動輪の駆動トルクの制御特性が良好に得られ
る。また、上記路面摩擦抵抗が高い領域では、エンジン
出力調節部材の変位が大きく且つその変位に対して駆動
トルクの変化が小さいので、前記第2調節手段によって
変速比に基づいて駆動トルクを調節する割合が前記制御
手段によって多くされることにより、駆動トルクの変化
の応答遅れが好適に改善され、駆動輪のスリップ率を制
御する際の駆動輪の駆動トルクの制御特性が良好に得ら
れる。したがって、路面の摩擦係数の変化に拘わらず、
好適な制御特性が得られるのである。
実施例 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。
第1図において、エンジン10の回転は、ロックアップ
クラッチを備えたフルードカップリング12を介してベル
ト式無段変速機(以下、CVTという)14へ伝達され、こ
のCVT14により無段階に変速された後、前後進切替装置1
5および差動歯車装置17を介して左右の駆動輪(前輪)1
6および18へ伝達されるようになっている。
上記CVT14は、フルードカップリング12を介してエン
ジン10に連結された入力軸19と、前後進切替装置15およ
び差動歯車装置17を介して左右の駆動輪16および18に連
結された出力軸21と、それら入力軸19および出力軸21に
それぞれ設けられた有効径が可変は一対の可変プーリ20
および22と、それら一対の可変プーリ20および22に巻き
掛けられた伝動ベルト24とを備えている。このため、CV
T油圧制御回路25内の変速制御によって、一対の可変プ
ーリ20および22に挟圧力(推力)をそれぞれ付与する一
対の油圧シリンダの一方へ作動油が供給され、且つ他方
から作動油を排出させることにより、変速比R(=入力
軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が変化させられ
るようになっている。上記CVT油圧制御回路25は、本実
施例では車両の発進加速時において変速比Rを調節して
駆動輪の駆動トルクを制御するための第2調節手段とし
て機能している。
また、上記前後進切替装置15は、遊星歯車機構、前進
用クラッチ、および後進用ブレーキを備えており、シフ
トレバー26のDレンジなどの前進レンジまたはRレンジ
への操作に連動して、前進用クラッチまたは後進用ブレ
ーキが選択的に作動させられることにより、車両を前進
または後進させるようになっている。また、上記シフト
レバー26がPレンジ或いはNレンジへ操作されて上記前
進用クラッチおよび後進用ブレーキが共に作動させられ
ない場合には、前後進切替装置15内における動力伝達が
遮断されるようになっている。
エンジン10に対する要求出力量を検出するためのスロ
ットルセンサ30からはスロットル弁28の開度Thを表す信
号Sthがトラクション電子制御装置32およびCVT電子制御
装置34へ供給されている。また、CVT14の入力軸回転速
度NinおよびCVT14の出力軸回転速度Noutを検出するため
の回転センサ36および38からは、入力軸回転速度Nin
よび出力軸回転速度Noutを表す信号SR1およびSR2がトラ
クション電子制御装置32およびCVT電子制御装置34へ供
給されるとともに、シフトレバー26の操作位置を検出す
るためのシフト位置センサ40からはシフトレバー26の操
作位置を表す信号SPがCVT電子制御装置34へ供給されて
いる。また、エンジン回転速度Neを検出するためのエン
ジン回転センサ42からはエンジン回転速度Neを表す信号
SEがCVT電子制御装置34へ供給されている。
上記CVT電子制御装置34は、CPU、ROM、RAMを含む所謂
マイクロコンピュータであって、そのCPUはRAMの記憶機
能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従っ
て入力信号を処理し、図示しないCVT用油圧制御回路に
ロックアップクラッチの係合状態、CVT14の変速比Rな
どを制御させる。たとえば、CVT電子制御装置34におい
て、CVT14に関しては、上記CVT14の出力軸回転速度Nout
から駆動輪車速Vが算出される一方、燃費および運転性
能を考慮した最適曲線に沿ってエンジン10を作動させる
ために予め記憶された第3図に示す関係から、実際のス
ロットル開度Thおよび車速Vに基づいて目標入力軸回転
速度Nin *が決定され、この目標入力軸回転速度Nin *と実
際の入力軸回転速度Ninとが一致するようにCVT14の変速
比Rが調節される。或いは、入力軸回転速度Ninおよび
出力軸回転速度Noutから実際のCVT14の変速比Rが算出
された後、最適曲線に沿ってエンジン10を作動させるた
めの予め記憶された関係から、実際のスロットル開度Th
および車速Vに基づいて目標変速比R*が決定され、この
目標変速比R*と実際の変速比Rとが一致するようにCVT1
4の変速比Rが調節される。目標変速比R*、目標入力軸
回転速度Nin *、および車速Vに対応する出力軸回転速度
Noutの間には、R*=Nout/Nin *なる関係があるから、上
記の前者の制御と後者の制御とは実質的に同じである。
一方、前記トラクション電子制御装置32は、特に低摩
擦路面の走行中における車両の操縦安定性を高めるため
に、発進などの加速操作に関連して駆動輪16および18の
スリップ状態を所定の範囲内に維持するようにスロット
ル弁28の開度を自動的に調節する。すなわち、車両の左
右の前輪16および18と左右の後輪46および48とには、そ
れぞれの回転速度を検出するための車輪回転センサ50、
52、54、56がそれぞれ設けられており、それら車輪回転
センサ50、52、54、56からは各車輪16、18、46、48の回
転速度を表す信号SW1、SW2、SW3、SW4がトラクション電
子制御装置32へ供給されている。また、アクセルペダル
60の加速操作量を検出するためのアクセルセンサ62が設
けられており、加速操作量を表す信号SAがトラクション
電子制御装置32へ供給されている。
上記トラクション電子制御装置32も、CPU、ROM、RAM
を含む所謂マイクロコンピュータであって、そのCPUはR
AMの記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログ
ラムに従って入力信号を処理する。上記CPUは、加速操
作量を表す信号SAに対応した駆動信号をスロットルアク
チュエータ58に供給して、スロットル弁28の開度Thを加
速操作量に対応した値とするが、加速時において駆動輪
である前輪16または18のスリップが発生すると、そのス
リップが所定の範囲内となるように上記駆動信号を調節
する。例えば前輪16または18の回転速度から駆動輪速度
(車速)VWを算出し且つ遊動輪である後輪46または48の
回転速度から実際の車体速度VSOを算出するとともに、
車体速度VSO(非駆動輪速度)に基づいてそれよりも所
定値或いは所定割合だけ高い制御目標速度VW *を決定
し、その制御目標速度VW *と実際の駆動輪速度VWとが一
致するように、スロットルアクチュエータ58によりスロ
ットル弁28を開閉させる。或いは、上記駆動輪速度VW
車体速度VSOとに基づいて駆動輪のスリップ率Sを次式
(1)から算出し、 S=(VW-VSO)/VSO ・・・(1) そのスリップ率Sが所定の範囲内となるようにスロット
ルアクチュエータ58によりスロットル弁28を開閉させ
る。すなわち、上記トラクション電子制御装置32では、
駆動輪速度VWが車体速度VSOに沿って変化するようにス
ロットル弁28の開度が制御されるようになっているので
ある。本実施例では、上記スロットルアクチュエータ58
が、スロットル弁28の開度を変更することにより車両の
発進時における駆動輪の駆動トルクを調節する第1調節
手段として機能する。
そして、トラクション(スリップ)制御の作動中であ
ることを表す1ビットの信号SBと、上記トラクション制
御のために目標とされる目標変速比RSLPを表す信号SCと
が、トラクション電子制御装置32からCVT電子制御装置3
4へ供給されるようになっている。
以下、上記CVT電子制御装置34の作動の要部を、第2
図のフローチャートに従って説明する。
第2図は、CVT電子制御装置34において所定の周期、
たとえば8ms周期で繰り返し実行されるルーチンを示し
ている。先ず、ステップSC1においては、実際のスロッ
トル開度Thがスロットルセンサ30からの信号Sthに基づ
いて読み込まれ、出力軸回転速度Noutから実際の車速SP
Dが算出されるとともに、入力軸回転速度(入力プーリ
回転数)Ninおよび出力軸回転速度(出力プーリ回転
数)Noutから実際の変速比Rnが算出される。そして、ス
テップSC2においては、トラクション制御中、すなわち
加速スリップ制御中であるか否かが、フラグFSLPの内容
が「1」であるか否かに従って判断される。このフラグ
FSLPはトラクション電子制御装置32からの信号SBに対応
してセットおよびリセットされる。上記ステップSC2に
おいて加速スリップ制御中でないと判断された場合に
は、通常走行の変速比制御を実行するために、ステップ
SC3において、予め記憶された関係から実際のスロット
ル開度Thおよび車速Vに基づいて目標変速比R*が決定さ
れる。この関係は、燃費および運転性能が得られるよう
に予め求められた最適曲線であり、たとえば第3図に示
すものである。
前記ステップSC2において加速スリップ制御中である
と判断された場合には、ステップSC4において目標変速
比R*の内容が、トラクション電子制御装置32から送信さ
れた信号SCの内容、すなわち加速スリップ制御のための
変速比RSLPに更新される。そして、ステップSC5におい
ては、上記ステップSC3あるいはSC4において決定或いは
更新された目標変速比R*と実際の変速比Rnとが一致する
ように制御信号がCVT電子制御装置34からCVT油圧制御回
路25へ出力される。
以上のサイクルが繰り返し実行されることにより、た
とえば車両の発進加速走行時においては、CVT14の変速
比Rが加速スリップ制御のための変速比RSLPとされるこ
とにより、駆動輪の駆動トルクが調節される。
第4図は、トラクション電子制御装置32において所定
の周期、たとえば8ms周期で繰り返し実行されるルーチ
ンを示している。先ず、ステップST1においては、実際
のスロットル開度Thがスロットルセンサ30からの信号S
thに基づいて読み込まれ、各車輪16、18、46、48の回転
速度を表す信号SW1、SW2、SW3、SW4から実際の駆動輪車
速VWおよび非駆動輪車速VSOが算出され、入力軸回転速
度Ninおよび出力軸回転速度Noutから実際の変速比Rm
算出される。次いで、ステップST2においては、予め定
められた関係からアクセルペダル60の加速操作量を表す
信号SAに基づいてスロットル開度基本制御値ThBが決定
される。上記の関係は、アクセルペダル60の加速操作量
に対応したスロットル開度Thを得るための線型あるいは
非線型の関係である。
ステップST3においては、スロットル開度Thが全閉で
あるか否か、すなわちアクセルペダル操作量が零である
か否かが判断される。全閉であると判断された場合に
は、加速走行状態ではないので、アクセルペダル操作量
に対応したスロットル開度基本制御値ThBをトラクショ
ン制御のために修正する量であるスロットル補正量Th
SLPの内容がステップST11において「0」にクリアされ
た後、後述のステップST12以下が実行される。しかし、
ステップST3においてスロットル開度Thが全閉でないと
判断された場合には、加速操作中であるので、ステップ
ST4において前記の式(1)からスリップ率Sが求めら
れた後、ステップST5において実際のスリップ率Sが目
標スリップ率S*とそれよりも所定値aだけ低い値(S*
a)との間の範囲内にあるか否か、換言すれば実際のス
リップ率Sが目標スリップ率S*よりも僅かに小さい状態
であるか否かが判断される。上記目標スリップ率S*は、
トラクション制御の目標値であって、路面と駆動輪との
間の摩擦係数が最大となる付近の値に予め決定されてい
る。また、上記所定値aは、実際のスリップ率Sと目標
スリップ率S*との一致性を判断するための基準値であ
り、比較的小さな値が用いられる。
上記ステップST5において、実際のスリップ率Sが目
標スリップ率S*とそれよりも所定値aだけ低い値(S*
a)との間の範囲内にないと判断された場合には、後述
のステップST9以下が実行されるが、実際のスリップ率
Sが目標スリップ率S*と値(S*−a)との間の範囲内に
あると判断された場合には、実際のスリップ率Sと目標
スリップ率S*とが略一致している状態であるので、本実
施例の路面摩擦係数検出手段に対応するステップST6乃
至ST8において路面摩擦係数μが求められる。すなわ
ち、ステップST6においては、予め記憶された関係から
実際のスロットル開度Thおよびエンジン回転速度Neに基
づいてエンジン出力トルクTeが求められる。上記関係
は、たとえば、エンジン回転速度Neと出力トルクTeとの
関係がスロットル開度Th毎にエンジン10から求められ、
データマップ化されたものである。ステップST7では、
駆動輪の駆動力Fが次式(2)から実際の変速比Rmおよ
び上記出力トルクTeに基づいて算出される。
F=Te・R・iD・ηk/rD ・・・(2) 但し、iDはCVT14より後段の減速比、ηkは動力伝達装
置の伝達効率、rDは駆動輪の動荷重半径である。
ステップST8においては、予め記憶された次式(3)
の関係から上記駆動力Fに基づいて路面摩擦係数μが算
出される。但し、WDWは車両の総荷重に関連して駆動輪
から路面に加えられる荷重である。
μ=F/WDW ・・・(3) ステップST9においてはスロットル補正量ThSLPの内容
が「0」であるか否かが判断されるとともに、ステップ
ST10においては実際のスリップ率Sが目標スリップ率S*
よりも小さいか否かが判断される。上記ステップST9に
おいてスロットル補正量ThSLPの内容が「0」であると
判断され、且つステップST10において実際のスリップ率
Sが目標スリップ率S*より小であると判断された場合に
は、トラクション制御が必要でない状態であるので、ス
テップST12においてトラクション制御のために目標とさ
れる目標変速比RSLPの内容が実際の変速比Rmに置換さ
れ、且つステップST13においてトラクション制御中を示
すフラグFSLPの内容が「0」にリセットされた後、ステ
ップST23において目標スロットル開度Th*が次式(4)
から算出されるとともに、ステップST24において上記目
標スロットル開度Th*が得られるようにスロットルアク
チュエータ58が駆動される。上記のように、ステップST
3においてスロットルが全閉であると判断された後にお
いては、スロットル補正値ThSLPが零とされているの
で、ステップST23が実行されても、Th*=ThBとなり、基
本スロットル開度ThBがそのまま目標スロットル開度Th*
となっている。
Th*=ThB+ThSLP ・・・(4) しかし、ステップST9においてスロットル補正量ThSLP
の内容が「0」でないと判断された場合には、トラクシ
ョン制御のために補正が行われている状態であるので、
トラクション制御のための後述のステップST14以下が実
行される。また、ステップST9においてスロットル補正
量ThSLPの内容が「0」であると判断されても、ステッ
プST10において実際のスリップ率Sが目標スリップ率S*
以上であると判断された場合には、トラクション制御が
必要であるので、上記と同様にステップST14以下が実行
される。
ステップST14では、実際のスリップ率Sと目標スリッ
プ率S*とのスリップ率偏差ΔS(=S−S*)が算出され
る。次いで、ステップST15では、たとえば第5図のデー
タマップに示す予め記憶された関係から実際のスリップ
率偏差ΔSおよび路面摩擦係数μに基づいてスロットル
制御利得Kthが算出され、ステップST16では、たとえば
第6図のデータマップに示す予め記憶された関係から実
際のスリップ率偏差ΔSおよび路面摩擦係数μに基づい
て変速比制御利得KRが算出され、ステップST17では、た
とえば第7図のデータマップに示す予め記憶された関係
から実際のエンジン回転速度Neおよび変速比Rmに基づい
て上記スロットル制御利得Kthの補正量KthRNが算出され
る。上記第5図および第6図のデータマップに示された
関係は、スロットル開度Thを変化させて駆動輪の駆動力
Fを調節することによりスリップ制御をする割合を、変
速比Rmを変化させて駆動輪の駆動力Fを調節することに
よりスリップ制御をする割合よりも、路面摩擦係数μの
増加に応じて減少させて発進加速時のスリップ制御特性
を得るように予め求められたものである。また、上記第
7図の関係は、スロットル開度Thの変化に対して駆動力
Fに換算した変化量が略一定となるように補正するため
のものである。
そして、ステップST18では、スリップ制御用の制御値
であるスロットル補正値ThSLPが次式(5)から前回の
サイクルにおいて求められたスロットル補正値Th
SLP(-1)、スロットル制御利得Kth、および上記補正量K
thRNに基づいて求められる。なお、(5)式右変第2項
は、目標スリップ率S*よりも実際のスリップ率Sが大き
いときには負の値となり、小さいときには正の値とな
る。
ThSLP=ThSLP(-1)+Kth・KthRN ・・・(5) そして、ステップST19では、スリップ制御用スロット
ル開度ThSLPの値が零または負であるか否かが判断され
る。零または負である場合には次のステップST21が実行
されるが、正であればステップST20においてスリップ制
御用スロットル補正値ThSLPの内容が零に制限された
後、次のステップST21が実行される。ステップST21で
は、スリップ制御用の目標変速比RSLPが次式(6)から
前回の目標変速比RSLP(-1)および変速比制御利得KRに基
づいて算出されるとともに、ステップST22ではフラグF
SLPの内容が「1」にセットされる。
RSLP=RSLP(-1)+KR ・・・(6) 上記のステップST14乃至ST22を経たときにはスロット
ル補正値ThSLPが零でない場合が多いので、ステップST2
3において基本スロットル開度ThBにスロットル補正値Th
SLP(負または零)が加えられることにより目標スロッ
トル開度Th*が算出される。
ここで、前記エンジン10の出力トルク(正味トルク)
Teとスロットル開度Thとの間には、第8図に示すよう
に、スロットル開度Thが小さい領域ではスロットル開度
Thに対して出力トルクTeが敏感に変化するが、スロット
ル開度Thが大きい領域ではスロットル開度Thに対して出
力トルクTeがそれ程変化しない特性があり、しかもその
特性はエンジン回転速度Neに応じて変化する。また、入
力トルクが一定であるときのCVT14の変速比Rと駆動輪
の駆動力Fとの間には第9図に示すように線型の関係が
あるが、入力回転数が一定であるときのCVT14の変速比
Rと駆動輪速度VW(駆動輪回転速度)との間には、第10
図に示すように、変速比Rが小さい(増速側)領域では
変速比Rに対して駆動輪回転速度が敏感に変化するが、
変速比Rが大きい(減速側)領域では変速比Rに対して
駆動輪回転速度がそれ程変化しない特性がある。変速比
を小さくすることで車輪駆動力を低減させスリップ制御
を行う場合、第10図から明らかなように変速比の低減に
伴い駆動輪速度VWが増加する。従って、スリップ収束性
を考慮した場合、変速比の減少量ΔRに対して駆動輪速
度の増加量ΔVが比較的小さい減速側、すなわち路面摩
擦係数μが高い領域において、変速比に基づいたスリッ
プ制御を行うことが望ましい。また、車両が走行する路
面では、第11図に示すように、路面摩擦係数μの低下に
伴って駆動輪のスリップが発生する限界駆動力が低下す
ることから、路面摩擦係数μが低い状態では、駆動輪の
スリップが発生する限界駆動力も低いために、アクセル
ペダル60の踏込量が少ない(スロットル開度Thが小さ
い)状態で発進加速時の駆動輪のスリップ制御(トラク
ション制御)が行われるが、路面摩擦係数μが高い状態
では、駆動輪のスリップが発生する限界駆動力が高いた
めに、アクセルペダル60の踏込量が多い(スロットル開
度Thが大きい)状態で発進加速時の駆動輪のスリップ制
御が行われる。
前述の実施例のステップST15では第5図の関係から実
際のスリップ率偏差ΔSおよび路面摩擦係数μに基づい
てスロットル制御利得Kthが算出され、ステップST16で
は第6図の関係から実際のスリップ率偏差ΔSおよび路
面摩擦係数μに基づいて変速比制御利得KRが算出され、
ステップST17では第7図の関係から実際のエンジン回転
速度Neおよび変速比Rmに基づいて上記スロットル制御利
得Kthの補正量KthRNが算出される一方、上記変速比制御
利得KRに基づいてスリップ制御用の目標変速比RSLPが決
定され、ST18では上記スロットル制御利得Kthおよびそ
の補正量KthRNに基づいてスリップ制御用の制御値であ
るスロットル補正値ThSLPが決定され、ST23ではそのス
ロットル補正値ThSLPから目標スロットル開度Th*が決定
される。このため、スロットル開度Thが小さく且つその
スロットル開度Thに対して出力トルクTeの変化が大きい
路面摩擦係数μの低い領域では、スロットル開度に基づ
いて駆動力Fを制御する割合が多くされることにより、
駆動輪のスリップ率を制御する際の駆動輪の駆動力Fの
制御特性が良好に得られる。また、スロットル開度Thが
大きく且つそのスロットル開度Thの変化に対して出力ト
ルクTeの変化が小さい路面摩擦係数μが高い領域では、
変速比Rに基づいて駆動力Fを制御する割合が多くされ
ることにより、駆動輪のスリップ率を制御する際の駆動
輪の駆動トルクの制御特性が良好に得られる。それ故、
本実施例によれば、車両の発進加速時において、路面の
摩擦係数μの変化に拘わらず、好適な制御特性が得られ
るのである。
なお、本実施例では、トラクション電子制御装置32
は、上記のように、トラクション制御中においてステッ
プST6乃至ST8にて算出された路面摩擦係数μが低い場合
にはスロットルアクチュエータ58により駆動輪の駆動力
Fを制御する割合を多くし、高い場合にはCVT油圧制御
回路25を用いてCVT14の変速比Rを調節することにより
駆動輪の駆動力を制御する割合を多くする制御手段とし
て機能しているのである。
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明した
が、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、エンジン10の出力を調節するためにスロッ
トル弁28が用いられていたが、アクセルペダル、燃料噴
射量調節レバーなどがエンジン出力調節部材として用い
られてもよいのである。
また、前述の実施例では、トラクション電子制御装置
32とCVT電子制御装置34とが独立に設けられているが、
それらトラクション電子制御装置32およびCVT電子制御
装置34と同等の機能を有する単一の電子制御装置が用い
られてもよいのである。
また、前述の実施例では、スロットル弁28が専らスロ
ットルアクチュエータ58によって駆動される形式の車両
について説明されていたが、スロットル弁28がアクセル
ペダル60およびスロットルアクチュエータ58によって駆
動される形式の車両などであってもよい。要するに、ト
ラクション制御に際してエンジンの出力を変化させるた
めに調節されるパラメータが変速比制御のためにも用い
られる形式の車両において本発明が適用され得るのであ
る。
また、前述のステップSC3において、目標変速比R*
決定する際にスロットル開度Thが用いられていたが、吸
気管負圧、燃料噴射量、燃料噴射装置の調節レバーの回
動量などの量が用いられてもよい。
また、前述の実施例のCVT14はベルト式無段変速機で
あったが、他の形式の無段変速機であってもよいのであ
る。
また、前述の実施例ではFF車両の場合について詳述し
たが、FR車両の場合についても同様に本発明が適用され
得る。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施例であ
り、本発明はその精神を逸脱しない範囲において種々変
更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例を示す車両のCVT制御機構
およびトラクション制御機構を示すブロック線図であ
る。第2図は、第1図の実施例におけるCVT制御作動の
要部を示すフローチャートである。第3図は、第1図の
CVT電子制御装置において用いられる関係である。第4
図は、第3図の制御作動を説明するフローチャートであ
る。第5図、第6図、および第7図は、第1図のトラク
ション電子制御装置において用いられる関係をそれぞれ
示すデータマップの一例であって、第5図はスロットル
制御利得を求めるための関係、第6図は変速比制御利得
を求めるための関係、第7図は上記スロットル制御利得
をエンジン回転数および変速比に基づいて補正する補正
量を求める関係を示す。第8図は、第1図のエンジンに
おけるエンジン出力トルクとスロットル開度との関係を
示す特性図である。第9図は、第1図の無段変速機にお
ける変速比と車輪駆動力との関係を示す特性図、第10図
は、その変速比と車輪回転速度との関係を示す特性図で
ある。第11図は、車両走行路における車輪と路面との間
の摩擦係数と限界駆動力との関係を示す図である。 10:エンジン 14:CVT(無段変速機) 16,18:前輪(駆動輪) 25:CVT油圧制御回路(第2調節手段) 28:スロットル弁(エンジン出力調節部材) 32:トラクション電子制御装置(制御手段) 34:CVT電子制御装置 58:スロットルアクチュエータ(第1調節手段) ステップST6乃至ST8:路面摩擦係数検出手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動輪の駆動トルクを制御するためのエン
    ジン出力調節部材と、変速比が無段階に変化させられる
    無段変速機とを備えた車両において、車両の発進時にお
    ける駆動輪のスリップ率が所定の値となるように調節す
    る車両用トラクション制御装置であって、 前記車両の走行路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数
    検出手段と、 前記エンジン出力調節部材を変位させることにより前記
    車両の発進時における駆動輪の駆動トルクを調節する第
    1調節手段と、 前記無段変速機の変速比を変化させることにより前記車
    両の発進時における駆動輪の駆動トルクを調節する第2
    調節手段と、 前記路面摩擦係数検出手段により検出された路面摩擦係
    数が低い場合には前記第1調節手段によって前記駆動ト
    ルクを調節する割合を多くし、高い場合には前記第2調
    節手段によって前記駆動トルクを調節する割合を多くす
    る制御手段と を含むことを特徴とする車両用トラクション制御装置。
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