JPH09280080A - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JPH09280080A
JPH09280080A JP8092567A JP9256796A JPH09280080A JP H09280080 A JPH09280080 A JP H09280080A JP 8092567 A JP8092567 A JP 8092567A JP 9256796 A JP9256796 A JP 9256796A JP H09280080 A JPH09280080 A JP H09280080A
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driving force
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limit value
vehicle
slip ratio
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Sota Yasuda
荘太 安田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走行抵抗が大きい場合にも、駆動輪の空転を
抑制しながら確実に加速を行う。 【解決手段】 流体伝動手段100を介して原動機に連
結された駆動輪101と、この駆動輪101の路面に対
するスリップ率が所定値を超えたときに駆動輪の空転を
判定するスリップ判定手段109と、前記スリップ判定
手段109が駆動輪101の空転を判定したときに前記
駆動輪101の駆動力を低減する駆動力抑制手段102
とを備えた車両用駆動力制御装置において、前記流体伝
動手段100のスリップ率TRQSLPを演算するスリ
ップ率演算手段103と、このスリップ率TRQSLP
に基づいて駆動力の下限値TRQMNを演算する下限値
設定手段104と、前記スリップ判定手段109が駆動
輪の空転を判定したときに、前記駆動力抑制手段102
で低減される駆動力を前記下限値TRQMN以上に規制
する駆動力下限値規制手段105とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動輪の空転を防
いで車両の安定性及び運転性を確保する駆動力制御装置
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加速時等に駆動輪が空転して、加速性能
が低下するのを防止する駆動力制御装置(あるいはとラ
クションコントロールシステム)としては、エンジン出
力や制動力を制御するものが従来から知られており、例
えば、特開平4−55156号公報等が知られている。
【0003】これは、駆動輪が空転すると、従動輪速度
からその都度求めた車両加速度により路面摩擦係数μを
推定する一方、所定時間経過後には平均化した車両加速
度に応じて路面摩擦係数μを推定して、これら路面摩擦
係数μに応じてエンジン出力等の低減等を行うものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の駆動力制御装置においては、路面摩擦係数μ
の高い登坂路等のように走行抵抗(または路面抵抗)が
大きい状態で駆動輪が空転すると、従動輪速度に基づい
て駆動力抑制制御が開始され、第1回目の制御で駆動力
の低減が過大になると、走行抵抗が大きいために充分な
加速力が得られないばかりか、駆動力の復帰を迅速に行
うことができず、所定の加速度に到達するまでに時間を
要し、加速性能の低下に加えて運転者に違和感を与えて
しまうという問題点があった。
【0005】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなさ
れたもので、走行抵抗が大きい場合に駆動輪が空転した
場合であっても、駆動力の過大な減少と駆動輪の空転を
同時に抑制しながら確実に加速可能な駆動力制御装置を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図11に
示すように、流体伝動手段100を介して原動機に連結
された駆動輪101と、この駆動輪101の路面に対す
るスリップ率が所定値を超えたときに駆動輪の空転を判
定するスリップ判定手段109と、前記スリップ判定手
段109が駆動輪101の空転を判定したときに前記駆
動輪101の駆動力を低減する駆動力抑制手段102と
を備えた車両用駆動力制御装置において、前記流体伝動
手段100のスリップ率TRQSLPを演算するスリッ
プ率演算手段103と、このスリップ率TRQSLPに
基づいて駆動力の下限値TRQMNを演算する下限値設
定手段104と、前記スリップ判定手段109が駆動輪
の空転を判定したときに、前記駆動力抑制手段102で
低減される駆動力を前記下限値TRQMN以上に規制す
る駆動力下限値規制手段105とを備える。
【0007】また、第2の発明は、図11に示すよう
に、前記第1の発明において、前記下限値設定手段10
4は、流体伝動手段のスリップ率に基づいて路面摩擦係
数を演算する路面摩擦係数演算手段106を備え、この
路面摩擦係数に応じて駆動力の下限値TRQMNを設定
する。
【0008】また、第3の発明は、図11に示すよう
に、前記第1の発明において、前記下限値設定手段10
4は、前記駆動輪の空転が判定されたときの駆動力の下
限値を所定時間保持する。
【0009】また、第4の発明は、図11に示すよう
に、前記第1の発明において、前記駆動力下限値規制手
段105は、車両に発生する前後加速度Xgに基づいて
目標駆動力TRQEを演算する目標駆動力演算手段10
7と、この目標駆動力と前記駆動力の下限値のうちの大
きい方を駆動力の下限値として設定する選択手段108
とを備える。
【0010】
【作用】したがって、第1の発明は、駆動力抑制手段
は、駆動輪の路面に対するスリップ率が所定値を超える
と流体伝動装置を介して駆動輪に伝達される駆動力を低
減して、駆動輪のスリップを抑制するが、低減される駆
動力は、流体伝動手段のスリップ率に基づいて決定され
た下限値以上に規制されるため、空転防止のための駆動
力抑制が過大になるのを防ぐことができ、駆動力の下限
値を流体伝動手段のスリップ率に基づいて決定すること
により、走行抵抗の大きさに応じた駆動力の下限値を設
定でき、例えば、登坂路等で走行抵抗が大きい場合に駆
動輪が空転しても、駆動輪の空転を防ぎながら迅速に車
両の加速を行うことができる。
【0011】また、第2の発明は、下限値設定手段は、
流体伝動手段のスリップ率から確実に路面摩擦係数を演
算することができ、この路面摩擦係数に応じて駆動力の
下限値を設定するため、路面摩擦係数の大きさに応じた
駆動力の下限値を設定でき、例えば、高μ路等で駆動輪
が空転しても、駆動力の低減が過大になるのを防ぐこと
で、駆動輪の空転を抑制しながら迅速に車両の加速を行
うことができる。
【0012】また、第3の発明は、下限値設定手段は、
駆動輪の空転が判定されたときの駆動力の下限値を所定
時間保持するため、駆動輪の空転を確実に抑制しながら
迅速に車両の加速を行うことができる。
【0013】また、第4の発明は、駆動力下限値規制手
段が、車両に発生する前後加速度に基づいて求めた目標
駆動力と、流体伝動手段のスリップ率から求めた駆動力
の下限値のうちの大きい方を駆動力の下限値として設定
するため、車両の加速に必要な最低限の駆動力を確保で
き、駆動輪の空転を抑制しながら迅速に車両の加速を行
うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付
図面に基づいて説明する。
【0015】図1は、駆動力制御装置はマイクロコンピ
ュータ等から構成されたTCSコントローラ1と、アク
チュエータ9を介してこのTCSコントローラ1に制御
される駆動力抑制手段としての第2スロットル10から
構成した場合を示す。
【0016】4はトルクコンバータ5を介して変速機6
に連結されたエンジンで、エンジン4はエンジンコント
ローラ2によって燃料噴射量や点火時期等を運転状態に
応じて制御されるもので、エンジン4の回転数Neはエ
ンジンコントローラ2からTCSコントローラ1へ送出
される。
【0017】なお、変速機6は後輪RR、RLと連結さ
れるFR式を構成しており、以下、左右後輪RL、RR
を駆動輪とし、左右前輪FL、FRを従動輪とする。
【0018】このエンジン4の吸気通路には、アクセル
ペダル7に応動する第1スロットル8と、アクチュエー
タ9を介してTCSコントローラ1に制御される第2ス
ロットル10が配設され、第1スロットル10の開度を
検出する開度センサ11は、この第1スロットル8の開
度TVOをTCSコントローラ1へ出力する。
【0019】トルクコンバータ5を介してエンジン4と
連結した変速機6は、変速コントローラ3によって運転
状態に応じたギア比あるいは変速比に設定されるもの
で、この変速コントローラ3は設定したギア比iGEA
RをTCSコントローラ1へ送出する。
【0020】TCSコントローラ1には、各車輪または
車軸の回転速度を検出する車輪速センサ12FR、12
FL、12RR、12RLの検出信号がそれぞれ入力さ
れ、TCSコントローラ1は、これら各車輪速VTF
R、VTFL、VTRR,VTRLに基づいて駆動輪R
R、RLの空転と車両の前後加速度Xgを検出し、駆動
輪RR、RLが空転した場合には、アクチュエータ9を
介して第2スロットル10を制御し、エンジン4の駆動
力を調整することで駆動輪の空転を抑制するものであ
る。
【0021】このTCSコントローラ1で行われる制御
の一例を図2〜図4のフローチャートに示し、以下、こ
れらフローチャートを参照しながら駆動力制御について
詳述する。なお、これらフローチャートに基づく制御は
所定時間毎に実行されるものである。
【0022】まず、ステップS1では、各車輪速センサ
12FR〜12RLの出力を読み込んで、ステップS2
で各車輪の速度VTFR、VTFL、VTRR,VTR
Lを演算する。
【0023】そして、ステップS3では、エンジンコン
トローラ2と変速コントローラ3からエンジン回転数N
e、ギア比iGEARをそれぞれ読み込む。
【0024】ステップS4では、従動輪の平均速度VF
Fを、左右前輪FR、FLの車輪速VTFR、VTFL
の平均値より求め、ステップS5では、同様にして駆動
輪の平均速度VRRを左右後輪RR、RLの車輪速VT
RR、VTRLから求める。
【0025】次に、ステップS6では、駆動輪の空転を
検出するための駆動輪速しきい値VRRBSを、現在の
車速に対応する従動輪平均速VFFに所定の定数βを加
算して求める。
【0026】VRRBS=VFF+β ステップS7では、現在の車速に応じた駆動輪速の目標
値VRRSを、従動輪平均速VFFに所定の定数αを加
算して求める。
【0027】VRRS=VFF+α ただし、所定値はα<βに設定される。
【0028】ステップS8では、上記従動輪平均速VF
Fの現在の値VFF(n)と、前回の処理で求めた値VF
F(n-1)の差に所定の変換定数Kを乗じて車両の前後加
速度Xgを求める。
【0029】Xg={VFF(n)−VFF(n-1)}×K 上記ステップS1〜S8で、駆動輪平均速VRR、駆動
輪速しきい値VRRBS、駆動輪速目標値VRRS及び
前後加速度Xgを求めてから、ステップS9では、駆動
輪平均速VRRが駆動輪速しきい値VRRBSを越えた
か否かを判定することで駆動輪の空転を検出し、駆動輪
が空転した場合にはステップS10の処理へ進んで、駆
動輪RR,RLの空転を抑制するための駆動力制御フラ
グFTCS(以下、TCS制御フラグとする)を1にセ
ットする。
【0030】次に、ステップS11では、上記ステップ
S8で求めた前後加速度Xgに基づいて、車両の加速に
必要な目標駆動トルクTRQEを次式により演算する。
【0031】TRQE=Xg×INN ただし、INNは車両及び駆動系の慣性質量である。
【0032】ステップS12では、トルコンバータ5の
タービンとインペラの回転数の比であるスリップ率TR
QSLPの演算を行う(以下、トルコンスリップ率TR
QSLPとする)。このトルコンスリップ率TRQSL
Pは、出力側のタービンと入力側のインペラの回転数が
等しい直結状態のときに1となる一方、アイドリング停
車状態ではタービン回転数が0となるためスリップ率T
RQSLPも0となる。
【0033】このトルコンスリップ率TRQSLPの演
算は、まず、ステップS3で読み込んだ変速機6のギア
位置GEARより既知の変速比iGEARを求め、同じ
く読み込んだエンジン回転数Neから、トルコンスリッ
プ率TRQSLPが1と仮定した駆動輪回転数である直
結駆動輪速VENGを次式より求める。
【0034】VENG=Ne/iGEAR そして、上記ステップS5で求めた実際の駆動輪回転数
である駆動輪平均速VRRと、トルコンバータ5が直結
状態と仮定した直結駆動輪速VENGの比をトルコンス
リップ率TRQSLPとし、次のように表現する。
【0035】TRQSLP=VRR/VENG なお、トルコンバータ5にタービン及びインペラに回転
数センサを備える場合では、これらの検出回転数の比を
トルコンスリップ率TRQSLPとすればよい。
【0036】次にステップS13では、現在の駆動輪の
状態が定常状態であるか否かを、上記ステップS9、1
0で設定されたTCS制御フラグFTCSが1、かつ駆
動輪平均速VRRと駆動輪速目標値VRRSの差が所定
値DS1未満であれば、ステップS14へ進む一方、そ
うでない場合にはステップS16の処理へ進む。
【0037】ステップS14では、所定時間TS1が経
過したか否かを判定し、所定時間TS1が経過していれ
ばステップS15へ進んで、定常判断フラグFSRBを
1にセットする。
【0038】すなわち、所定時間TS1経過後に駆動輪
平均速VRRがしきい値VRRBSを越えて空転した場
合でも、駆動輪平均速VRRと駆動輪速目標値VRRS
の差が所定値DS1未満であれば定常状態と判定する。
【0039】なお、所定値DS1は、駆動輪速の平均値
VRRと目標値VRRSの差のしきい値を示し、例え
ば、図5に示すように、所定値DS1は後述する所定値
DS2よりも小さく、0に小さい値に設定され、また、
所定時間TS1はTCS制御フラグFTCSが0から1
に変化してからの経過時間の所定値を示すものである。
【0040】一方、ステップS14、15の判定でNO
となった場合には、ステップS16へ進んで、駆動輪速
の平均値VRRと目標値VRRSの差が図5に示した所
定値DS2以上であれば、定常状態から逸脱したと判定
してステップS17へ進み定常判断フラグFSTBを0
にクリアする。
【0041】なお、定常判断フラグFSTBのセット、
クリア条件は次表のようになる。
【0042】
【表1】
【0043】駆動輪速の平均値と目標値の差と所定値D
S1、2を比較することにより、定常判断フラグFST
Bの設定を行った後、ステップS18へ進んでTCS制
御フラグFTCSと定常判断フラグFSTBの状態に基
づいて条件分岐を行う。
【0044】この条件分岐は、TCS制御フラグFTC
S=1かつ定常判断フラグ=0のときにステップS19
へ進み、目標駆動トルク下限値TRQMNの演算を行う
一方、そうでない場合には、ステップS20へ進んで目
標駆動トルク下限値TRQMNをTCS制御フラグFT
CS=1となったときの値を維持する。
【0045】ステップS19の演算では、上記ステップ
S12で求めたトルコンスリップ率TRQSLPに応じ
て、図6に示すように予め設定されたマップまたは関数
より目標駆動トルク下限値TRQMNを求める。なお、
このマップまたは関数は、トルコンスリップ率TRQS
LPの増大(出力側タービン回転数の増大)に応じて、
所定値まで漸減するよう設定され、入力側インペラ回転
数の方が大きい高負荷時では、目標駆動トルク下限値T
RQMNは大きな値に設定される。
【0046】次にステップS21では、目標駆動トルク
下限に制限を加えるため、上記ステップS20で求めた
目標駆動トルク下限値TRQMNとステップS11で求
めた目標駆動トルクTRQEのうちの大きいほうを、目
標駆動トルクTRQE’として設定する。
【0047】そして、ステップS22では、この目標駆
動トルクTRQE’と変速機6に設定され変速比iGE
ARより、目標エンジントルクTRQを次のように演算
する。
【0048】TRQ=TRQE’×iGEAR ステップS23では、この目標エンジントルクTRQと
エンジン回転数Neに応じて予め設定されたマップ(F
2)より、第2スロットル10の開度THRを求める。
【0049】こうして、トルコンスリップ率TRQSL
Pに応じて求めた目標駆動トルク下限値TRQMNと前
後加速度Xgに応じて求めた目標駆動トルクTRQEの
うちの大きい方を目標駆動トルクTRQE’とし、この
目標駆動トルクTRQE’から第2スロットル開度TH
Rが求められる。
【0050】そして、ステップS24では、第2スロッ
トル開度THRが全開(8/8)であるか否かを判定し
て、全開であれば駆動力抑制処理を終了するため、ステ
ップS25、26でTCS制御フラグFTCS及び定常
判断フラグFSTBを0にクリアし、第2スロットル開
度THRが全開でない場合には、そのままステップS2
7で上記ステップS3で求めた第2スロットル開度TH
Rを出力し、アクチュエータ9を駆動して第2スロット
ル10を所定量だけ閉じる。
【0051】以上のような制御を所定時間毎に行うこと
により、発進、加速時の駆動輪の空転を抑制しながらも
車両の加速を確実に行うことが可能となり、以下にその
一例を示す。
【0052】いま、図7〜図9に示すように、路面摩擦
係数μの高い登坂路などで発進、加速を行った場合につ
いて説明すると、時間t0から運転者がアクセルペダル
7を全開まで踏み込んで行くと第1スロットル開度TV
Oが増大し、これに伴ってエンジン回転数Neも上昇し
て駆動輪平均速VRRが上昇する一方、従動輪平均速V
FFは0のまま上昇せずに駆動輪は空転状態となる。
【0053】そして、時間t1では駆動輪平均速VRR
がしきい値VRRBSを越えて、上記ステップS9、1
0でTCS制御フラグFTCSが1にセットされるた
め、ステップS24以降で、第2スロットル開度THR
は目標駆動トルク下限値TRQMNに応じた値に閉じら
れ、目標駆動エンジントルクTRQが抑制される。
【0054】このとき、駆動輪平均速VRRが、図5に
示したように駆動輪速目標値VRRSより所定値DS2
を越えるため、上記ステップS16、17で定常判断フ
ラグFSTBが0にクリアされ、TCS制御フラグFT
CSが1になったときの目標駆動トルク下限値TRQM
Nが図9のように所定時間TS1の間維持される(ステ
ップS18、20)。
【0055】TCS制御フラグFTCSが1にセットさ
れたときの目標駆動トルク下限値TRQMNは、図6、
図8に示すように、駆動輪平均速VRRと直結駆動輪速
VENGの比から求めたトルコンスリップ率TRQSL
Pに応じて設定されたもので、トルコンスリップ率TR
QSLPが0に近付くほど、換言すれば、トルコンバー
タ5の入力側のインペラ回転数が、出力側のタービン回
転数よりも大きくなるほど目標駆動トルク下限値TRQ
MNは大きな値に設定される。
【0056】つまり、時間t0の発進直前のように、ト
ルコンスリップ率TRQSLPが0に近い程負荷は大き
く、すなわち、走行抵抗が大きい状態であり、一方、時
間t2以降の車両が発進した後のように、トルコンスリ
ップ率TRQSLPが1に近付くほど負荷が減少した状
態、すなわち、走行抵抗が小さい状態として捕えること
ができる。
【0057】ところで、前記従来例では、時間t1で駆
動輪の空転が開始されると、第2スロットル開度THR
が、図7の一点鎖線で示すように、ほぼ全閉状態になっ
て、エンジントルクTRQは走行抵抗に比して過大に減
少される(図9)。このため、駆動輪の空転は抑制され
るものの、図7のように、時間t2以降でも従来例の駆
動輪速VRR’及び従動輪速VFF’はほとんど伸び
ず、円滑な加速を行うことができないため、運転者に違
和感を与えてしまう。
【0058】一方、本発明のように、トルコンスリップ
率TRQSLPの大きさを走行抵抗の大きさとしてとら
えて、図6に示したように、このトルコンスリップ率T
RQSLPに応じて駆動トルクの下限値TRQMNを可
変制御することにより、前記従来例のような目標駆動ト
ルクの下限値TRQMNの過大な減少を規制し、登坂路
や路面摩擦係数μ等の走行抵抗が大きい場合には、図7
のように、第2スロットル開度THR(実線)は、従来
例(一点鎖線)よりも大きな値となって、走行抵抗に抗
して従動輪速VFFが円滑に立ち上がるとともに、駆動
輪速VRRの空転も抑制され、車速(従動輪速)の伸び
も前記従来例のVFF’に比して大きなものとなり、運
転者の運転意図に応じた加速力を得ることが可能となっ
て駆動力制御装置を備えた車両の運転性及び加速性能
を、前記従来例に比して大幅に向上させることができる
のである。
【0059】ここで、トルコンスリップ率TRQSLP
を走行抵抗の大きさとして捕えたが、このトルコンスリ
ップ率TRQSLPの大きさを路面摩擦係数μとして捕
えることもでき、この場合では、トルコンスリップ率に
対する目標駆動トルク下限値TRQMN及び路面摩擦係
数μ、走行抵抗の関係は次表のようになる。
【0060】
【表2】
【0061】したがって、トルコンスリップ率TRQS
LPに基づいて、路面摩擦係数μを正確に検出すること
ができ、図10に示すように、予め設定した路面摩擦係
数μと目標駆動トルク下限値TRQMNのマップあるい
は関数より、路面状態に応じて目標駆動トルク下限値T
RQMNを可変制御し、路面状態の変化に拘わらず駆動
輪の空転を抑制しながら確実な加速を行うことが可能と
なって、駆動力制御装置を備えた車両の運転性及び加速
性能を向上させることができるのである。
【0062】なお、上記実施形態において、駆動力を抑
制する手段をアクチュエータ9を介して駆動される第2
スロットル10より構成したが、図示はしないが、燃料
カットやタイミングリタード等のエンジン制御や、駆動
輪RR、RLのブレーキを作動させることでも上記と同
様の作用、効果を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明は、駆動
力抑制手段は、駆動輪の路面に対するスリップ率が所定
値を超えると流体伝動装置を介して駆動輪に伝達される
駆動力を低減して、駆動輪のスリップを抑制するが、低
減される駆動力は、流体伝動手段のスリップ率に基づい
て決定された下限値以上に規制されるため、空転防止の
ための駆動力抑制が過大になるのを防ぐことができ、駆
動力の下限値を流体伝動手段のスリップ率に基づいて決
定することにより、走行抵抗の大きさに応じた駆動力の
下限値を設定でき、例えば、登坂路等で走行抵抗が大き
い場合に駆動輪が空転しても、駆動輪の空転を防ぎなが
ら迅速に車両の加速を行うことが可能となって、前記従
来例のように、空転直後の第1回目の駆動力抑制制御で
駆動力が過大に減少されるのを防止して、運転者の加速
意図に応じながら駆動輪の空転を抑制することが可能と
なり、駆動力制御装置を備えた車両の運転性及び加速性
能を大幅に向上させることができる。
【0064】また、第2の発明は、流体伝動手段のスリ
ップ率に基づいて路面摩擦係数を演算することができ、
この路面摩擦係数に応じて駆動力の下限値を設定するた
め、路面状態に応じた駆動力の下限値を設定でき、例え
ば、高μ路等で駆動輪が空転しても、駆動力の低減が過
大になるのを防ぐことで、駆動輪の空転を抑制しながら
迅速に車両の加速を行うことが可能となって、運転者の
加速意図に応じながら駆動輪の空転を抑制することが可
能となり、駆動力制御装置を備えた車両の運転性及び加
速性能を大幅に向上させることができる。
【0065】また、第3の発明は、駆動輪の空転が判定
されたときの駆動力の下限値を所定時間保持するため、
駆動輪の空転を確実に抑制しながら迅速に車両の加速を
行って、駆動力制御装置を備えた車両の加速性能を向上
することができる。
【0066】また、第4の発明は、駆動力下限値規制手
段が、車両に発生する前後加速度に基づいて求めた目標
駆動力と、流体伝動手段のスリップ率から求めた駆動力
の下限値のうちの大きい方を駆動力の下限値として設定
するため、車両の加速に必要な最低限の駆動力を確保で
き、駆動輪の空転を抑制しながら迅速に車両の加速を確
実に行うことができ、前記従来例のような駆動力の過大
な減少を防いで、運転者の意図に応じて車両の加速を行
いながら駆動輪の空転を抑制することが可能となって、
駆動力制御装置を備えた車両の運転性及び加速性能を大
幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す駆動力制御装置の概
略図。
【図2】同じくTCSコントローラで行われる制御の一
例を示すフローチャートで、前半部を示す。
【図3】同じくフローチャートで、中間部を示す。
【図4】同じくフローチャートで、後半部を示す。
【図5】トルコンスリップ率TRQSLPに応じて設定
された目標駆動トルク下限値TRQMNを示すマップで
ある。
【図6】各車輪速と目標駆動輪速並びに駆動輪速平均値
と目標値の差と所定値DS1、DS2の関係を示すグラ
フである。
【図7】発進の際の駆動力制御の様子を示し、車輪速、
スロットル開度、エンジン回転数と時間の関係を示すグ
ラフである。
【図8】同じく、直結駆動輪速、トルコンスリップ率、
目標駆動トルク下限値と時間の関係を示すグラフであ
る。
【図9】同じく、目標駆動トルク、エンジントルクと時
間の関係を示すグラフである。
【図10】他の実施形態を示し、路面摩擦係数μに応じ
た目標駆動トルク下限値TRQMNの関係を示すマップ
である。
【図11】第1ないし第4の発明のいずれかひとつに対
応するクレーム対応図である。
【符号の説明】
1 TCSコントローラ 2 エンジンコントローラ 3 変速コントローラ 4 エンジン 5 トルクコンバータ 6 変速機 7 アクセルペダル 8 第1スロットル 9 アクチュエータ 10 第2スロットル 11 スロットル開度センサ 12FR、12FL、12RR、12RL 車輪速セン
サ 100 流体伝動手段 101 駆動輪 102 駆動力抑制手段 103 スリップ率演算手段 104 下限値設定手段 105 駆動力下限値規制手段 106 路面摩擦係数演算手段 107 目標駆動力演算手段 108 選択手段 109 スリップ判定手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体伝動手段を介して原動機に連結され
    た駆動輪と、この駆動輪の路面に対するスリップ率が所
    定値を超えたときに駆動輪の空転を判定するスリップ判
    定手段と、前記スリップ判定手段が駆動輪の空転を判定
    したときに前記駆動輪の駆動力を低減する駆動力抑制手
    段とを備えた車両用駆動力制御装置において、前記流体
    伝動手段のスリップ率を演算するスリップ率演算手段
    と、このスリップ率に基づいて駆動力の下限値を演算す
    る下限値設定手段と、前記スリップ判定手段が駆動輪の
    空転を判定したときに、前記駆動力抑制手段で低減され
    る駆動力を前記下限値以上に規制する駆動力下限値規制
    手段とを備えたことを特徴とする車両用駆動力制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記下限値設定手段は、流体伝動手段の
    スリップ率に基づいて路面摩擦係数を演算する路面摩擦
    係数演算手段を備え、この路面摩擦係数に応じて駆動力
    の下限値を設定することを特徴とする請求項1に記載の
    車両用駆動力制御装置。
  3. 【請求項3】 前記下限値設定手段は、前記駆動輪の空
    転が判定されたときの駆動力の下限値を所定時間保持す
    ることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動力制御
    装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動力下限値規制手段は、車両に発
    生する前後加速度に基づいて目標駆動力を演算する目標
    駆動力演算手段と、この目標駆動力と前記駆動力の下限
    値のうちの大きい方を駆動力の下限値として設定する選
    択手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の車
    両用駆動力制御装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001138888A (ja) * 1999-10-13 2001-05-22 Robert Bosch Gmbh 車両の駆動ユニットの制御方法および装置
JP2003164013A (ja) * 2001-11-29 2003-06-06 Nissan Motor Co Ltd 車両の駆動力制御方法とその制御装置
JP2010167803A (ja) * 2009-01-20 2010-08-05 Nissan Motor Co Ltd ハイブリッド車両の制御装置
JP2010265769A (ja) * 2009-05-12 2010-11-25 Honda Motor Co Ltd インギア中の機関出力を制御する装置

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