JP6060780B2 - 車両の発進制御装置 - Google Patents

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この発明は、駆動力源から駆動輪に摩擦力によってトルクを伝達する主変速機と、主変速機を介さずに駆動力源から駆動輪にトルクを伝達する副変速機とを備えた車両の制御装置に関し、特に、路面摩擦係数が低い路面を発進するときの車両の発進制御装置に関するものである。
従来知られた車両は、駆動力源から出力されたトルクを増減して駆動輪に伝達するために、通常、変速機構を備えている。この変速機構としては、動力を伝達するギヤ列を変更して変速する有段変速機や、ベルトの巻き掛け半径を変化させて変速比を無段階に変化させるベルト式無段変速機、あるいはパワーローラの傾斜角度を変化させて変速比を無段階に変化させるトロイダル式無段変速機などが利用されている。また、それら変速機構を備えた車両が路面摩擦係数が小さい低μ路を発進する場合には、駆動輪がスリップすることを抑制もしくは防止するために、一般的に、発進する際に設定させる変速機構の変速比を、低μ路でない路面を車両が発進する際に設定される変速比よりも小さくするように制御される。
上述したように低μ路を車両が発進するときにおけるスリップを抑制もしくは防止するように構成された制御装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された制御装置は、無段変速機や有段変速機によって構成された主変速機と、エンジンから出力されたトルクを増減して主変速機に伝達する副変速機とを備えた車両を対象としたものであって、車両が低μ路を発進するときに、駆動輪の出力トルクを小さくするために副変速機の変速比を小さくするように構成されている。
なお、特許文献2には、ベルト式無段変速機と、ベルト式無段変速機を介さずにエンジンから駆動輪にトルクを伝達しかつベルト式無段変速機で設定することができる最大の変速比よりも大きい変速比に設定されたギヤ列とを備えた動力伝達装置が記載されている。そして、特許文献2に記載された制御装置は、登坂路を車両が発進するときなど要求される出力トルクが大きいときには、ギヤ列を介してエンジンから駆動輪にトルクを伝達するように構成されている。
特開2004−332867号公報 特開平6−109119号公報
上述したように車両が低μ路を発進するときには、変速機の変速比を小さくすることによって駆動輪がスリップすることを抑制もしくは防止することができる。一方、車両が路面摩擦係数が小さい登坂路を発進するときには、車両が発進するために駆動輪に伝達されるトルクと対抗したトルクが駆動輪から変速機に入力される。そのため、ベルト式無段変速機などの摩擦力によってトルクを伝達する変速機を介してエンジンから駆動輪にトルクを伝達する場合には、車両が発進する方向と反対方向に車両が走行すると、ベルトとプーリとが滑ることを抑制もしくは防止するために必要な挟圧力が増加するので、車両が路面摩擦係数が小さい登坂路を発進するときに、ベルトとそのベルトに接触してトルクを伝達するプーリとが滑ってしまう可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、路面摩擦係数が小さい登坂路を車両が発進するときに、摩擦力によってトルクを伝達する変速機に設けられた伝動部材と、その伝動部材に摩擦接触する部材とが滑ることを抑制もしくは防止することができる車両の発進制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車両の駆動力を発生させるための駆動力源から出力されたトルクを、伝動部材とその伝動部材に摩擦接触する部材との摩擦力によって駆動輪に伝達する主変速機と、前記駆動力源から出力されたトルクを前記主変速機を介さずに前記駆動輪に伝達するとともに、前記主変速機で設定することができる最大変速比よりも大きい変速比に設定された副変速機と、を備えた車両の発進制御装置において、前記車両が発進するときの路面の路面摩擦係数が所定の路面摩擦係数以上となる第1条件を満たす路面を発進する場合には、前記副変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達し、また、前記路面の路面摩擦係数が前記所定の路面摩擦係数より小さく、かつ前記路面の勾配が所定の勾配以下となる第2条件を満たす路面を発進する場合には、前記主変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達し、さらに、前記路面の路面摩擦係数が前記所定の路面摩擦係数より小さく、かつ前記路面の勾配が前記所定の勾配を超える勾配となる第3条件を満たす登坂路を発進する場合には、前記副変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達するように構成されているものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第3条件を満たす登板路を発進する場合には、前記駆動力源が出力するトルクを、前記第2条件を満たすときに前記駆動力源が出力するトルクよりも低下させるように構成されていることを特徴とする車両の発進制御装置である。
請求項1の発明によれば、車両が路面摩擦係数が所定の路面摩擦係数より小さく、かつ勾配が所定の勾配以上の登坂路を発進するときに、主変速機を介さずに副変速機を介して駆動力源から出力されたトルクを駆動輪に伝達するように構成されている。したがって、路面の路面摩擦係数が小さい登坂路を車両が発進するときに、副変速機を介して駆動輪にトルクを伝達して発進することができるとともに、主変速機に設けられた伝動部材とその伝動部材にと摩擦接触する部材とが滑ってしまうことを抑制もしくは防止することができる。
請求項2の発明によれば、前記第3条件を満たす登板路を発進する場合に、駆動力源が出力するトルクを、前記第2条件を満たすときに前記駆動力源が出力するトルクよりも低下させるように構成されている。したがって、路面摩擦係数が所定の路面摩擦係数よりも小さい路面を車両が発進するときに、主変速機によって設定することができる最大変速比よりも大きい変速比に設定された副変速機を介して駆動力源の出力トルクを駆動輪に伝達する場合であっても、駆動力源の出力トルクを低下させることにより駆動輪がスリップしてしまうことを抑制もしくは防止することができる。
この発明に係る車両の発進制御装置の一例を説明するためのフローチャートである。 この発明における車両の対象とすることができる動力伝達装置の一例を説明するための模式図である。
この発明で対象とする車両は、駆動力源から出力されたトルクを摩擦力によって伝達する主変速機と、その主変速機を介さずに駆動力源から駆動輪にトルクを伝達するとともに、主変速機で設定することができる最大の変速比よりも大きい変速比に設定された副変速機とを備えたものであり、それら主変速機と副変速機とを備えた動力伝達装置の構成の一例を図2に模式的に示している。図2に示す動力伝達装置は、駆動力源として機能するエンジン1を備えている。このエンジン1は、供給された燃料を燃焼して動力を出力するものであり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンあるいはLPGエンジンなどである。なお、図2には、エンジン1を駆動力源とした車両を例に挙げて示しているが、電動機を駆動力源とした電気自動車であってもよく、あるいは上記エンジン1と電動機との双方を駆動力源としたハイブリッド車であってもよい。
エンジン1の出力軸2には、流体継手として機能するトルクコンバータ3が連結されている。このトルクコンバータ3は、従来知られたものと同様の構成のものであって、出力軸2およびフロントカバー4を介してエンジン1に連結されたポンプインペラー3aと、そのポンプインペラー3aに対向して配置されかつ後述する前後進切替機構5に連結されたタービンランナー3bと、ポンプインペラー3aおよびタービンランナー3bの間に配置されかつ図示しないワンウェイクラッチを介してケース6に連結されたステータ3cとによって構成されている。そして、ポンプインペラー3aとタービンランナー3bとに囲われた空間に作動流体が封入されている。このように構成されたトルクコンバータ3は、エンジン1から伝達されたトルクによって、ポンプインペラー3aが回転する。そして、ポンプインペラー3aが回転することによって封入された作動流体が流動してタービンランナー3bを回転させる。すなわち、作動流体によってトルクを伝達する流体継手として機能する。また、その作動流体が流れる方向を規制するためにステータ3cが設けられており、タービンランナー3bの回転数がポンプインペラー3aの回転数よりも高回転数となるときに、ワンウェイクラッチを介してステータ3cが回転しないようにケース6に固定される。このようにトルクコンバータ3を構成することによって、いわゆるコンバータ領域では、エンジン1から出力されたトルクを増幅して前後進切替機構5に出力することができる。
一方、ポンプインペラー3aの回転数とタービンランナー3bの回転数とが一致したときなどに、トルクコンバータ3を介さずに動力を伝達するように、上記トルクコンバータ3と並列に配置され、ポンプインペラー3aとタービンランナー3bとを一体に回転させるように構成されたロックアップクラッチ7が設けられている。このロックアップクラッチ7は、円板状に形成された摩擦係合部材であって、表裏の油圧差によって駆動するように構成されている。図2に示す例では、ロックアップクラッチ7のエンジン1側(図2における右側)の油圧を減圧して、トルクコンバータ3側(図2における左側)の油圧よりも低圧とすることによって、ロックアップクラッチ7がエンジン1側に移動する。そして、ロックアップクラッチ7とフロントカバー4とが摩擦係合することによってポンプインペラー3aとタービンランナー3bとを一体化させる。それとは反対に、ロックアップクラッチ7のエンジン1側の油圧を増圧して、トルクコンバータ3側の油圧よりも高圧とすることによって、ロックアップクラッチ7がフロントカバー4から離れるように構成されている。
タービンランナー3bと一体化された出力軸8は、後述するベルト式無段変速機9を介さずに駆動輪にトルクを伝達する場合に、その伝達するトルクが駆動輪に作用する方向を変化させる前後進切替機構5に連結されている。図2に示す前後進切替機構5は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。この前後進切替機構5の構成について簡単に説明すると、まず、ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、出力軸8と一体化されたサンギヤ5Sと、そのサンギヤ5Sの回転軸線と同軸上に配置されたリングギヤ5Rと、サンギヤ5Sと噛み合う第1ピニオンギヤ5Pと、第1ピニオンギヤ5Pおよびリングギヤ5Rに噛み合う第2ピニオンギヤ5Pと、第1ピニオンギヤ5Pおよび第2ピニオンギヤ5Pを自転および公転可能に保持するとともに、ギヤトレーン部10に第1出力ギヤ11を介して連結されたキャリヤ5Cとによって構成されている。そして、係合することによってサンギヤ5Sとキャリヤ5Cとを一体に回転させるクラッチC1が出力軸8に設けられている。また、リングギヤ5Rを固定するブレーキB1が設けられている。
上記前後進切替機構5は、サンギヤ5Sが入力要素として機能し、リングギヤ5Rが反力要素として機能し、キャリヤ5Cが出力要素として機能するように構成されている。したがって、クラッチC1を係合しかつブレーキB1を解放することによりサンギヤ5Sとキャリヤ5Cとが一体化するので、出力軸8と第1出力ギヤ11とが一体となって回転し、それとは反対にクラッチC1を開放してブレーキB1を係合することにより、サンギヤ5Sとキャリヤ5Cとが反対方向に回転する。そのため、出力軸8の回転方向と第1出力ギヤ11の回転方向とが反対となる。そして、上記クラッチC1やブレーキB1は、それぞれに供給される油圧によって係合力が制御される摩擦係合装置であって、図示しないシフトレバーの操作に応じてクラッチC1とブレーキB1とのいずれを係合するかを定めることができる。また、前後進切替機構5およびギヤトレーン部10を介して駆動輪にトルクを伝達する際の変速比は、後述するベルト式無段変速機9を介して駆動輪にトルクを伝達する最大変速比よりも大きい変速比となるようにギヤ比が設定されている。
具体的には、第1出力ギヤ11と噛み合いかつその第1出力ギヤ11よりも大きい第2出力ギヤ12と、その第2出力ギヤ12と一体となって回転する第3出力ギヤ13と、第3出力ギヤ13と噛み合いかつその第3出力ギヤ13よりも大きい第4出力ギヤ14とによって、ギヤトレーン部10が構成されている。したがって、ギヤトレーン部10における変速比は、第1出力ギヤ11と第2出力ギヤ12とのギヤ比と、第3出力ギヤ13と第4出力ギヤ14とのギヤ比との積により求めることができる変速比であって、その変速比がベルト式無段変速機9により設定することができる最大の変速比よりも大きく設定されている。なお、ギヤトレーン部10が、この発明における「副変速機」に相当する。
また、出力軸8には、この発明における「主変速機」に相当するベルト式無段変速機9が連結されている。図2に示すベルト式無段変速機9は、従来知られたベルト式無段変速機と同様に構成することができるものであって、出力軸8と連結されたプライマリープーリ15と、その出力軸8と平行に配置された出力軸16に連結されたセカンダリープーリ17と、各プーリ15,17に巻き掛けられたベルト18とによって構成されている。また、図2に示すベルト18は、複数のエレメントを円周方向に積層してリングによってそれら複数のエレメントを束ねるように構成されている。そして、各プーリ15,17には、それぞれ油圧アクチュエータ19,20が付設されており、主に、プライマリープーリ15に付設された油圧アクチュエータ19の油圧あるいは油量を制御することによってベルト18の巻き掛け半径を変更して変速比を変化させ、セカンダリープーリ17に付設された油圧アクチュエータ20の油圧を制御することによってベルト18を挟み付ける挟圧力を制御して伝達トルク容量を変化させるように構成されている。このベルト式無段変速機9は、ベルト18を挟み付ける挟圧力に応じた摩擦力によってトルクを伝達するものであり、ベルト18がこの発明における「伝動部材」に相当し、各プーリ15,17は、ベルト18と摩擦接触してトルクを伝達するものであり、この発明における「伝動部材に摩擦接触する部材」に相当する。
図2に示すベルト式無段変速機9は、油圧アクチュエータ20に供給される油圧に応じてセカンダリープーリ17がベルト18を挟み付ける挟圧力と、各プーリ15,17のプーリ面の摩擦係数とに基づいて伝達トルク容量が定まるように構成されている。したがって、油圧アクチュエータ20には、ベルト式無段変速機9に入力されるトルクを想定し、その想定されたトルクが入力されたときであってもベルト18が各プーリ15,17の円周方向に滑ることを抑制もしくは防止するように油圧が供給される。より具体的には、図示しないアクセルペダルの踏み込み量や車速などに応じて油圧アクチュエータ20に供給する油圧が定められている。
そして、ベルト式無段変速機の出力軸16には、クラッチC2が連結されており、そのクラッチC2を介して出力軸21にトルクが伝達される。すなわち、ベルト式無段変速機9と駆動輪とのトルクの伝達を可能とする際にクラッチC2を係合させるように構成されており、このクラッチC2は、供給される油圧に応じて伝達トルク容量が制御されるように構成されている。
出力軸21には、前後進切替機構5と駆動輪とのトルクの伝達を可能とする際に係合されるドグクラッチD1が設けられている。具体的には、第4出力ギヤ14と出力軸21とを連結させることができるドグクラッチD1が設けられている。すなわち、発進時にドグクラッチD1を係合することにより、第4出力ギヤ14と出力軸21とが動力伝達可能に連結される。このドグクラッチD1は、図示しない電動アクチュエータによって係合あるいは解放を制御するように構成されている。そして、出力軸21には、ギヤトレーン部22およびデファレンシャルギヤ23ならびにドライブシャフト24,24を介して駆動輪が連結されている。
上述したように構成された動力伝達装置は、エンジン1の出力トルクを、ギヤトレーン部10を介して駆動輪に伝達するときの変速比が最大となるように構成されている。したがって、車両が発進する際には、通常、要求される出力トルク(駆動トルク)が大きくなるので、ギヤトレーン部10を介してエンジン1から駆動輪にトルクを伝達するように構成されている。すなわち、車両が発進するときには、クラッチC1およびドグクラッチD1を係合しかつクラッチC2を解放する。なお、シフトレバーが「R」ポジションにあるときには、クラッチC1に代えてブレーキB1を係合させる。なお、ここで説明する車両の発進には、車両が一時的に停車して再発進するときや、メインスイッチがONされて車両が発進するときが含まれる。
一方、車両が路面摩擦係数が小さい低μ路を発進するときや、運転者によってスノーモードスイッチがONされるなど発進時に要求される変速比が小さいときには、駆動トルクを比較的小さくして駆動輪がスリップすることを抑制もしくは防止するように構成されている。具体的には、通常、発進時に設定させる変速比よりも小さい変速比に設定される。すなわち、ベルト式無段変速機9を介してエンジン1から出力されたトルクを駆動輪に伝達するように制御される。より具体的には、クラッチC1(ブレーキB1)とドグクラッチD1との少なくともいずれか一方を解放するとともに、クラッチC2を係合させてエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達するように構成されている。なお、発進時にベルト式無段変速機9を介してトルクを伝達する場合には、ベルト式無段変速機9で設定可能な最大変速比に設定してもよく、その最大変速比よりも小さい変速比に設定してもよい。
さらに、車両が登坂路を発進するときには、エンジン1から駆動輪に伝達されるトルクよりも重力によって車両が発進する方向と反対方向に車両が走行する(下がる)場合がある。そのような場合には、ベルト18におけるエレメント同士の間隔が変化したりベルト18の姿勢が変化したりすることにより、ベルト18と各プーリ15,17とが滑ることを抑制もしくは防止するために必要な挟圧力が増大することがある。特に、その登坂路の路面摩擦係数が小さい場合には、車両が発進するためにエンジン1から駆動輪に伝達されるトルクが小さいので、発進時に車両が下がる可能性が高い。そのため、発進時に車両が下がる可能性が高く、ベルト式無段変速機9におけるベルト18が各プーリ15,17の円周方向に滑る可能性があるときには、ギヤトレーン部10を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達するように構成されている。具体的には、クラッチC1およびドグクラッチD1を係合しかつクラッチC2を解放する。言い換えると、低μ路で発進するときであっても、ベルト式無段変速機9を介してエンジン1から駆動輪にトルクを伝達することを禁止するように構成されている。このようにクラッチC2を解放することによりベルト式無段変速機9に伝達されるトルクが高くなることを防止して、ベルト18が滑ることを抑制もしくは防止することができる。
図1は、発進時における動力伝達装置の制御の一例を説明するためのフローチャートであって、車両が発進するときに制御が開始される。まず、車両が発進する時における路面の路面摩擦係数が所定の路面摩擦係数よりも小さい、低μ路か否かを判断する(ステップS1)。このステップS1は、ナビゲーションシステムによって検出される路面の路面摩擦係数や、車両が停止したときに負荷した制動力と加速度の変化とに基づいて算出することができる路面摩擦係数など種々の方法により路面の路面摩擦係数を判断し、その判断された路面の路面摩擦係数が、ギヤトレーン部10を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達した場合に、駆動輪がスリップしてしまう路面摩擦係数か否かによって判断することができる。すなわち、ステップS1における所定の路面摩擦係数は、ギヤトレーン部10を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達した場合に、駆動輪がスリップしてしまう路面摩擦係数であり、その所定の路面摩擦係数は予め実験やシミュレーションあるいは設計により定めることができる。また、ステップS1は、運転者によってスノーモードスイッチがONされて、発進時における変速比を小さくすることが要求されているか否かを判断するように構成していてもよい。すなわち、ステップS1は、設定される変速比を比較的小さくすることが要求されているか否かを判断する。
ステップS1で否定的に判断されたときには、設定される変速比を小さくすることが要求されていないので、通常時に発進するときに設定する変速比となるように、具体的にはギヤトレーン部10を介してトルクを駆動輪に伝達するように制御される。なお、ステップS1で否定的に判断された場合は、第1条件を満たす場合に相当する。すなわち、クラッチC1(あるいはブレーキB1)とドグクラッチD1を係合しかつクラッチC2を解放する。これは、駆動トルクが大きくても路面の路面摩擦係数が大きいことにより駆動輪がスリップしてしまう可能性が低く、また発進時に設定される変速比を小さくすることが運転者によって要求されていないためである。それとは反対に、路面の路面摩擦係数が小さい低μ路であったり、発進時に設定される変速比を小さくすることが運転者によって要求されている場合には、登坂路でないか否かが判断される(ステップS2)。このステップS2は、発進時に車両が下がる可能性があるか否かを判断するためである。したがって、シフトレバーの位置が車両を前進走行させる「D」レンジにある場合には、上り坂路であるときにステップS2で否定的に判断され、シフトレバーの位置が車両を後進走行させる「R」レンジにある場合には、下り坂路であるときにステップS2で否定的に判断される。なお、路面の勾配は、ナビゲーションシステムや加速度センサなどによって検出することができ、また車両が停止したときに負荷した制動力などに基づいて理論上算出することができる加速度と、実際の加速度とを比較して求めることができる。
なお、発進時にエンジン1からベルト式無段変速機9を介して駆動輪に伝達されるトルク(駆動トルク)が、重力によって車両が下がる方向に作用する荷重に基づいて駆動輪に作用するトルク(逆トルク)よりも小さいか否かによってステップS2を判断してもよい。すなわち、発進時における逆トルクは、車両の重量と路面の勾配とに基づいて予め求めることができるので、予め実験やシミュレーションあるいは設計によって定めた発進時に出力される駆動トルク以上となる路面の勾配のときに、ステップS2で否定的に判断されるように構成してもよい。したがって、ステップS2は、路面の勾配が所定の勾配以下か否かによって判断してもよい。なお、発進時に油圧アクチュエータ20に供給することができる油圧が可変の場合には、ステップS2の判断は、その油圧アクチュエータ20に供給することができる油圧に基づく伝達トルク容量に応じて変化させてもよい。
発進時における路面の勾配が登坂路でなく、ステップS2で肯定的に判断された場合は、第2条件を満たす場合に相当する。この場合は、ベルト式無段変速機9を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達しても車両が下がる可能性が低く、ベルト18と各プーリ15,17とが滑る可能性が低いので、ベルト式無段変速機9を介してエンジン1のトルクを駆動輪に伝達するように動力伝達装置を制御して(ステップS3)、このルーチンを一旦終了する。すなわち、ステップS2で肯定的に判断された場合には、クラッチC1(あるいはブレーキB1)やドグクラッチD1を解放するとともに、クラッチC2を係合する。
それとは反対に、発進時における路面の勾配が登坂路であり、ステップS2で否定的に判断された場合は、ベルト式無段変速機9を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達すると車両が下がることに起因してベルト18が滑る可能性があるので、ベルト式無段変速機9を介してトルクを伝達することを禁止する。なお、ステップS2で否定的に判断された場合は、第3条件を満たす場合に相当する。すなわち、ギヤトレーン部10を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達するように動力伝達装置を制御して(ステップS4)、このルーチンを一旦終了する。具体的には、ステップS2で否定的に判断された場合には、クラッチC1(あるいはブレーキB1)とドグクラッチD1とを係合させるとともに、クラッチC2を解放する。なお、ステップS2で否定的に判断されることによってギヤトレーン部10を介してエンジン1の出力トルクを駆動輪に伝達するときには、ガソリンエンジンの場合には、スロットル開度を小さくしてエンジン1へ供給する空気量を低下させ、ディーゼルエンジンの場合には、供給する燃料の噴射量を低下させるなどによりエンジン1の出力トルクを低下させることによって、駆動トルクが大きいことによる駆動輪のスリップを抑制もしくは防止するように制御される。
上述したように制御することによって、車両が路面摩擦係数が小さい登坂路を発進するときに、駆動輪がスリップしてしまうことを抑制もしくは防止することができるとともに、ベルト式無段変速機9におけるベルト18と各プーリ15,17とが滑ってしまうことを防止することができる。また、登坂路ではない低μ路を発進するときには、ベルト式無段変速機9を介して駆動輪にトルクを伝達することによって、駆動トルクが過剰に大きくなって駆動輪がスリップしてしまうことを抑制もしくは防止することができるとともに、発進後における変速制御が複雑となることを抑制もしくは防止することができる。さらに、路面摩擦係数が小さい登坂路を発進するときに変速比が大きいギヤトレーン部10を介して駆動輪にトルクを伝達する場合であっても、エンジン1の出力トルクを低下させることにより駆動輪がスリップしてしまうことを抑制もしくは防止することができる。
1…エンジン、 9…ベルト式無段変速機、 10…ギヤトレーン部、 11,12,13,14…出力ギヤ、 15,17…プーリ、 18…ベルト。

Claims (2)

  1. 車両の駆動力を発生させるための駆動力源から出力されたトルクを、伝動部材とその伝動部材に摩擦接触する部材との摩擦力によって駆動輪に伝達する主変速機と、前記駆動力源から出力されたトルクを前記主変速機を介さずに前記駆動輪に伝達するとともに、前記主変速機で設定することができる最大変速比よりも大きい変速比に設定された副変速機とを備えた車両の発進制御装置において、
    前記車両が発進するときの路面の路面摩擦係数が所定の路面摩擦係数以上となる第1条件を満たす路面を発進する場合には、前記副変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達し、
    また、前記路面の路面摩擦係数が前記所定の路面摩擦係数より小さく、かつ前記路面の勾配が所定の勾配以下となる第2条件を満たす路面を発進する場合には、前記主変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達し、
    さらに、前記路面の路面摩擦係数が前記所定の路面摩擦係数より小さく、かつ前記路面の勾配が前記所定の勾配を超える勾配となる第3条件を満たす登坂路を発進する場合には、前記副変速機を介して前記駆動力源から前記駆動輪にトルクを伝達するように構成されていることを特徴とする車両の発進制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両の発進制御装置において、
    前記第3条件を満たす登板路を発進する場合には、前記駆動力源が出力するトルクを、前記第2条件を満たすときに前記駆動力源が出力するトルクよりも低下させるように構成されていることを特徴とする車両の発進制御装置。
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