JP6072610B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、変速機の入力側及び出力側に、それぞれクラッチが設けられている車両用制御装置に関する。

従来、変速機の入力側及び出力側に、それぞれクラッチを設けた車両用制御装置が知られており、その一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された車両用制御装置は、エンジン(動力源)から駆動輪に至る無段変速機が設けられており、エンジンと無段変速機との間に前後進切換機構が設けられている。前後進切換機構は、シングルピニオン型の遊星歯車機構と、遊星歯車機構のサンギヤとリングギヤとを接続または解放するクラッチ(第1クラッチ)と、遊星歯車機構のピニオンギヤを支持したキャリヤに選択的に制動力を与えるブレーキとを有する。サンギヤはエンジンに連結されており、リングギヤは無段変速機の入力軸に連結されている。また、無段変速機と駆動輪との間に発進クラッチ(第2クラッチ)が設けられている。

そして、シフトレバーの位置がドライブレンジにあると、クラッチが係合され、かつ、ブレーキが解放されて、サンギヤと無段変速機の入力軸とが一体回転する。これに対して、シフトレバーの位置がリバースレンジにあると、ブレーキが係合され、かつ、クラッチが解放される。したがって、キャリヤが反力要素となり、サンギヤの回転方向に対してリングギヤが逆向きに回転する。なお、特許文献1に記載された車両用制御装置は、発進クラッチの係合力を制御する制御弁の故障を判定する。

特開2001−208177号公報

しかしながら、特許文献1に記載されている車両用制御装置には、無段変速機の上流側に配置されている第1クラッチの故障についての記載がないため、第2クラッチが係合されている状態で、無段変速機の上流に配置された第1クラッチが故障すると、エンジンが回転慣性質量体となって駆動力が変化し、ショックとして体感される問題があった。

本発明の目的は、変速機の上流に配置されている第1クラッチのトルク容量が増加する故障が発生した場合に、駆動力が急変することを抑制できる、車両用制御装置を提供することにある。

本発明は、動力源と駆動輪との間に設けられた変速機と、前記動力源と前記変速機との間に設けられた第1クラッチと、前記第1クラッチのトルク容量を制御するアクチュエータと、前記変速機と前記駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を有する車両用制御装置であって、前記第1クラッチは、前記アクチュエータが故障するとトルク容量が増加する構造であり、前記アクチュエータが故障したかどうかを検知する故障検知部と、前記アクチュエータが故障したことが検知されると、前記第2クラッチのトルク容量を低下させるクラッチ制御部と、を有する。

本発明によれば、アクチュエータが故障すると、第2クラッチのトルク容量を低下する。したがって、車両の駆動輪における駆動力の急変を抑制できる。

本発明を適用した車両の構成例を示す模式図である。 本発明の一実施の形態である車両用制御装置の構成を示す模式図である。 図2の制御ユニットによって実行される制御ロジックの一例を示すフローチャートである。 図3のフローチャートに対応するタイムチャートの一例を示す図である。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明を適用した車両10の構成例を示す模式図、図2は、本発明の制御装置の構成を示す模式図である。車両10のパワートレーンは、第1動力源としてのエンジン11と、第2動力源としての走行用モータ12とを有している。エンジン11は、燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換する動力源である。走行用モータ12は、電気エネルギを運動エネルギに変換する動力源である。エンジン11は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、液化石油ガスエンジン等うちのいずれでもよい。

すなわち、車両10は、動力の発生原理が異なる2種類の動力源を備えたハイブリッド車である。また、パワートレーンは、バリエータとしての無段変速機13を有しており、無段変速機13は、プライマリプーリ14およびセカンダリプーリ15を備えている。プライマリプーリ14の長手方向の端には、トルクコンバータ16を介してエンジン11が連結されている。

トルクコンバータ16は、クランク軸22に連結されたポンプインペラ88と、トルク伝達軸89に連結されたタービンランナ90と、ステータとを有している。トルクコンバータ16は、作動油の運動エネルギにより動力伝達を行う流体伝動装置であり、ステータの作用によりトルクを増幅することが可能である。

一方、プライマリプーリ14の長手方向の他端には、走行用モータ12が連結されている。走行用モータ12のステータ78には、インバータ79を介して蓄電装置が接続されている。走行用モータ12は、発電機および電動機として機能する所謂モータジェネレータである。このため、蓄電装置の電力を走行用モータ12に供給して電動機として起動させる制御と、プライマリ軸32の動力で走行用モータ12を発電機として起動させ、発生した電力を蓄電装置に蓄電する制御とを実行可能である。

また、セカンダリプーリ15には、ヒューズクラッチ17を介して駆動輪出力軸18が連結されている。この駆動輪出力軸18には、ディファレンシャル機構19およびアクスル軸20を介して駆動輪21が連結されている。また、エンジン11のクランク軸22には、駆動チェーン36を介してISG(Integrated Starter Generator)24が連結されている。エンジン11が停止している場合に、ISG24のトルクによりクランク軸22をクランキングさせ、かつ、エンジン11で燃料噴射制御及び点火制御を行い、エンジン11を自律回転させることができる。すなわち、1SG24は、エンジン11を始動させる機能を有する始動用発電電動機である。

トルク伝達軸89と、無段変速機13のプライマリ軸23との間の動力伝達経路には、解放状態と係合状態とに切り換えられる入力クラッチ30が設けられている。入力クラッチ30は、多板クラッチまたは単板クラッチのいずれでもよい。また、入力クラッチ30は、湿式クラッチまたは乾式クラッチのいずれでもよい。また、入力クラッチ30のトルク容量を制御する油圧室92が設けられている。入力クラッチ30は、油圧室92の油圧が制御されてトルク容量が調整され、係合状態と解放状態とに切り換えられる。入力クラッチ30は、油圧室92の油圧が上昇すると係合され、油圧室92の油圧が低下すると解放される。

エンジン11及び走行用モータ12から、駆動輪21に至る動力伝達経路に設けられた無段変速機13は、走行用モータ12のロータ軸31に連結されるプライマリ軸32と、プライマリ軸32と平行なセカンダリ軸33とを有している。プライマリ軸32にはプライマリプーリ14が設けられており、プライマリプーリ14の背面側にはプライマリ室34が区画されている。プライマリプーリ14は、プライマリ軸32の長手方向に移動可能な可動シーブと、プライマリ軸32の長手方向には移動不可能な固定シーブとを有する。プライマリ室34の油圧は、プライマリプーリ14の可動シーブの背面に作用する。

また、セカンダリ軸33にはセカンダリプーリ15が設けられており、セカンダリプーリ15は、セカンダリ軸33の長手方向に移動可能な可動シーブと、セカンダリ軸33の長手方向には移動不可能な固定シーブとを有する。セカンダリプーリ15の背面側にはセカンダリ室35が区画されている。セカンダリ室35の油圧は、セカンダリプーリ15の可動シーブの背面に作用する。さらに、セカンダリ室35内にはリターンスプリングが設けられており、リターンスプリングは、セカンダリプーリ15の可動シーブを固定シーブに近づける向きの力を生じる。

さらに、プライマリプーリ14およびセカンダリプーリ15には駆動チェーン36が巻き掛けられている。このため、リターンスプリングの力によってセカンダリプーリ15は駆動チェーン36に挟圧力を加えている。

そして、プライマリ室34における作動油量を制御すると、駆動チェーン36の張力と、プライマリプーリ14の可動シーブに加わる推力との関係に基づきプライマリプーリ14の可動シーブが長手方向に移動し、プライマリプーリ14における駆動チェーン36の巻き掛け径が変化する。例えば、プライマリ室34の作動油量が増加すると、プライマリプーリ14における駆動チェーン36の巻き掛け径が大きくなり、無段変速機13でアップシフトが行われる。

これに対して、プライマリ室34の作動油量が減少すると、プライマリプーリ14における駆動チェーン36の巻き掛け径が小さくなり、無段変速機13でダウンシフトが行われる。このようにして、プライマリ軸32の回転速度と、セカンダリ軸33の回転速度との比、つまり、変速比を無段階に変更することができる。

また、セカンダリ室35の油圧を制御すると、セカンダリプーリ15から駆動チェーン36に加えられる挟圧力が変化し、無段変速機13のトルク容量を制御することができる。

前述したように、無段変速機13と駆動輪21との間には、ヒューズクラッチ17が設けられている。ヒューズクラッチ17は、セカンダリ軸33と駆動輪出力軸18との間におけるトルク容量を制御する機構である。ヒューズクラッチ17は、多板クラッチまたは単板クラッチのいずれでもよい。また、ヒューズクラッチ17は、湿式クラッチまたは乾式クラッチのいずれでもよい。そして、ヒューズクラッチ17は、油圧制御によりトルク容量が制御される。ヒューズクラッチ17は、金属製のディスクの表面に摩擦材を貼り付けてある。

このヒューズクラッチ17は、外乱が発生した場合、例えば、駆動輪21がスリップした場合に、ヒューズクラッチ17に入力されるトルクが設定トルクを超えると、自動的にスリップ状態となる摩擦クラッチである。ヒューズクラッチ17は、無段変速機13に過大なトルクが入力されて駆動チェーン36が滑ることを防止する、トルクリミッタとして機能する。

前述した無段変速機13やトルクコンバータ16等のオイル必要部に対して、作動油を供給するため、トロコイドポンプ等のメカポンプ41が設けられている。また、オイル必要部に供給する作動油の流量または圧力を制御するため、バルブユニット42が設けられている。バルブユニット42は、プライマリ室34の作動油量を制御する流量制御弁、セカンダリ室35、油圧室91,92の油圧を別々に制御する圧力制御弁、これらのバルブ同士及びオイルパンを接続する油圧回路等を有する。

圧力制御弁は、通電と非通電との比率であるデューティ比を制御することにより、出力油圧を制御することのできるデューティソレノイドバルブである。また、流量制御弁は、開閉を切り換えることにより、作動油量を制御するオン・オフソレノイドバルブである。

そして、バルブユニット42は、油圧室92の油圧を制御するデューティソレノイドバルブ97の故障を検知する故障検知センサ97aを有しており、故障検知センサ97aの信号が制御ユニット73に入力される。故障検知センサ97aは、例えば、デューティソレノイドバルブ97に電力を供給する回路の電圧により、デューティソレノイドバルブ97に電力を供給する電線の断線、漏電等の故障を検知する。漏電が生じると、蓄電装置の電力は、デューティソレノイドバルブ97に供給されずに、地落する。そして、本実施形態の入力クラッチ30は、デューティソレノイドバルブ97に電力が供給されない状態になると、係合されて、トルク容量が増加する構造である。

そして、メカポンプ41が駆動して、メカポンプ41から吐出された作動油は、バルブユニット42を経て、無段変速機13、トルクコンバータ16、ヒューズクラッチ17、入力クラッチ30等に供給される。具体的には、プライマリ室34の作動油の流量、セカンダリ室35の作動油の油圧、油圧室91,92の油圧が、それぞれ別々に制御される。

メカポンプ41は、アウタロータ43と、アウタロータ43に組み込まれるインナロータ44とを備えている。インナロータ44の一端には、ロータ軸45および従動スプロケット46が取り付けられている。ロータ軸45に平行となるプライマリ軸32には、一方向クラッチ47を介して駆動スプロケット48が取り付けられている。

駆動スプロケット48および従動スプロケット46にはチェーン49が巻き掛けられており、プライマリ軸32とインナロータ44とはチェーン機構50を介して連結されている。このように、メカポンプ41は、チェーン機構50によって構成される第1駆動系51を介して、動力伝達経路52の一部を構成するプライマリ軸32に連結されている。なお、動力伝達経路52は、無段変速機13、ヒューズクラッチ17、駆動輪出力軸18、ディファレンシャル機構19およびアクスル軸20等を含む。

メカポンプ41のインナロータ44の他端には、ロータ軸61および従動スプロケット62が取り付けられている。トルクコンバータ16のポンプシェルに固定されるとともにロータ軸61に平行となる中空軸64には、一方向クラッチ65を介して駆動スプロケット66が取り付けられている。駆動スプロケット66および従動スプロケット62にはチェーン67が巻き掛けられており、中空軸64とインナロータ44とはチェーン機構68を介して連結されている。このように、メカポンプ41は、チェーン機構68およびトルクコンバータ16によって構成される第2駆動系69を介して、エンジン11のクランク軸22に連結されている。

第1駆動系51を構成する一方向クラッチ47は、正転方向に回転するプライマリ軸32からインナロータ44に動力を伝達する一方、これとは逆向きの動力伝達を遮断している。同様に、第2駆動系69を構成する一方向クラッチ65は、正転方向に回転する中空軸64からインナロータ44に動力を伝達する一方、これとは逆向きの動力伝達を遮断する。

すなわち、プライマリ軸32が中空軸64よりも速く回転する場合には、走行用モータ12側のプライマリ軸32によってメカポンプ41が駆動される一方、中空軸64がプライマリ軸32よりも速く回転する場合には、エンジン11側の中空軸64によってメカポンプ41が駆動される。

なお、プライマリ軸32の正転方向とは、前進走行時におけるプライマリ軸32の回転方向である。また、中空軸64の正転方向とは、エンジン作動時におけるクランク軸22の回転方向である。

前述したように、メカポンプ41のインナロータ44には、プライマリ軸32と中空軸64とが連結されている。これにより、エンジン11が駆動されるパラレル走行モードにおいては、エンジン11によって常にメカポンプ41を駆動することができ、メカポンプ41から吐出された作動油を、無段変速機13及びトルクコンバータ16、入力クラッチ30のトルク容量を制御する油圧室91、ヒューズクラッチ17のトルク容量を制御する油圧室92等に供給することが可能である。

車両制御装置70は、車両10の走行モードとしてモータ走行モードまたはパラレル走行モードを選択できる。モータ走行モードが選択されると、入力クラッチ30が解放され、エンジン11とプライマリ軸32との間の動力伝達経路が遮断される。また、モータ走行モードが選択されると、エンジン11が停止されるとともに、アクセルペダルが踏み込まれていると、走行用モータ12を電動機として起動させ、走行用モータ12のトルクを駆動輪21に伝達する。

なお、モータ走行モードが選択され、かつ、車両10の走行中にアクセルペダルが戻されると、車両10の惰力走行による運動エネルギが、駆動輪出力軸18、無段変速機13を経由してプライマリ軸32に伝達されるため、走行用モータ12を発電機として起動させ、駆動輪21に回生制動力を与えることもできる。

一方、車両10の走行モードとしてパラレル走行モードが選択されると、入力クラッチ30が係合され、かつ、エンジン11のトルクを、無段変速機13を経由して駆動輪21に伝達することができる。なお、パラレル走行モードが選択されると、エンジン11のトルク及び走行用モータ12のトルクの両方を、駆動輪21に伝達することもできる。エンジン11のトルクだけを駆動輪21に伝達するか、エンジン11のトルク及び走行用モータ12のトルクの両方を駆動輪21に伝達するかは、車速、アクセル開度等から求められる目標駆動力、エンジン11の燃費、走行用モータ12に接続された蓄電装置の充電量等の条件に基づいて、制御ユニット73が判断する。

なお、車両制御装置70は、運転者がモード切替スイッチを操作することにより、モータ走行モードとパラレルモードとを切り換える構成、または、運転者がモード切替スイッチを操作することなく、車両10の状況に応じて自動的に切り替えられる構成のいずれでもよい。このため、制御ユニット73は、走行用モータ12に接続された蓄電装置の充電量、目標駆動力から求められる目標出力、エンジン11の燃費等に基づいて、エンジン11及び走行用モータ12を制御するマップ、データ等を記憶している。

そして、モータ走行モードが選択されてエンジン11が停止され、かつ、走行用モータ12が駆動されると、プライマリ軸32の動力によってメカポンプ41を駆動することが可能となる。このように、メカポンプ41は、無段変速機13の入力側に設けられたプライマリ軸32の動力によって駆動される。

ところで、モータ走行モードが選択され、かつ、車両10が停止する時には、プライマリ軸32と共にメカポンプ41が停止することになる。しかしながら、この車両10の停止時においても、無段変速機13、油圧室91,92等のオイル必要部に対して作動油を供給する必要がある。

そこで、車両制御装置70は、モータ走行モードが選択され、かつ、車両10が停止している時、または、車両10の減速中等のように、メカポンプ41の作動油の吐出量が少ない場合は、バルブユニット42の油圧回路の基本油圧、つまり、ライン圧を確保するため、電動モータ71によって駆動される電動ポンプ72を備えている。

図2に示すように、車両制御装置70は、電動ポンプ72、無段変速機13の変速比及びトルク容量、エンジン11、走行用モータ12、ISG24等を制御する制御ユニット73を有する。制御ユニット73は、制御信号等を演算するCPU、制御プログラム、演算式およびマップデータ等を格納するROM、一時的にデータを格納するRAM等によって構成される。

制御ユニット73には、駆動輪21の回転速度を検出する車輪速センサ74の信号、走行用モータ12が備えるロータ75の回転速度を検出するモータ回転センサ76の信号、運転者によるブレーキペダルの踏み込み状況を検出するブレーキスイッチ77の信号、プライマリ軸32の回転数を検出するプライマリ軸センサ93の信号、セカンダリ軸33の回転数を検出するセカンダリ軸センサ94の信号、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサの信号、トルク伝達軸89の回転数を検知するタービン回転数センサ95の信号、駆動輪出力軸18の回転数を検出する回転数センサ96の信号等が入力される。

制御ユニット73は、インバータ79を介して走行用モータ12の回転速度、回生トルク、力行トルク等を制御する。回生トルクは、走行用モータ12を発電機として起動させる場合のトルクであり、力行トルクは、走行用モータ12を電動機として起動させる場合のトルクである。

上記構成の車両10において、モータ走行モードが選択されてエンジン11が停止し、かつ、入力クラッチ30が解放されている状態で、車両10が走行し、次いで、車速が緩やかに低下して所定値未満になると、プライマリ軸32の回転数の低下に伴いメカポンプ41の吐出圧力が低下する。このため、メカポンプ41の吐出油圧では、油圧回路の実ライン圧が、オイル必要部の条件に応じた目標ライン圧未満となる可能性がある。制御ユニット73は、このような場合に電動ポンプ72を駆動する。

電動ポンプ72を駆動すると、メカポンプ41及び電動ポンプ72の両方から吐出された作動油がバルブユニット42に供給される。したがって、バルブユニット42の油圧回路におけるライン圧を確保することが可能となる。より具体的には、バルブユニット42における実ライン圧を、オイル必要部の条件に応じた目標ライン圧に制御することができる。

次に、制御ユニット73により行われる制御ロジックの一例を、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3のフローチャートで示される制御ロジックは、アクセルペダルが踏み込まれてモータ走行モードが選択され、かつ、エンジン11が停止され、かつ、入力クラッチ30が解放され、さらに、走行用モータ12のトルクが駆動輪21に伝達されている場合に実行される。

まず、制御ユニット73は、ステップS10において、入力クラッチ30が故障しているか否かを判断する。制御ユニット73は、入力クラッチ30が故障しているか否かを、故障検知センサ97aの信号に基づいて間接的に判断する。

制御ユニット73は、入力クラッチ30が正常でありステップS10でNoと判断すると、ステップS12において、セカンダリ軸33と駆動輪出力軸18との回転数差等のパラメータを用いて、ヒューズクラッチ17の学習値OUTTRQLRN を算出する。この学習値OUTTRQLRN の技術的意味は後述する。また、図3のフローチャートに記載された「出力クラッチ」はヒューズクラッチ17を意味する。

制御ユニット73は、ステップS11に次ぐステップS12で目標クラッチ圧OUTTRQを求め、図3の制御ルーチンを終了する。目標クラッチ圧OUTTRQは、油圧室91の油圧の目標値であり、目標クラッチ圧OUTTRQは、例えば、数式(1)により求めることができる。

OUTTRQ=基準圧+学習値OUTTRQLRN ・・・数式(1)
数式(1)において、基準圧は、無段変速機13に入力されるトルク、及び無段変速機13の変速比等から定まる値である。この基準圧は、無段変速機13から出力されたトルクを駆動輪出力軸18に伝達するにあたり、ヒューズクラッチ17が滑ることを防止できる値である。また、基準圧は、車両10で外乱、例えば、駆動輪21のスリップ等が生じて駆動輪出力軸18に過大なトルクが入力された場合に、無段変速機13で駆動チェーン36の滑りが生じる前に、ヒューズクラッチ17を滑らせる値である。

次に、学習値OUTTRQLRN の技術的意味を説明する。ヒューズクラッチ17の摩擦材の摩擦係数が、予め定められた値以上であれば、油圧室91の油圧を基準圧とすると、ヒューズクラッチ17のトルク容量を、目標トルク容量に制御することができる。すなわち、無段変速機13から出力されたトルクを駆動輪出力軸18に伝達するにあたり、ヒューズクラッチ17が滑ることを防止できる。また、駆動輪21のスリップ等が生じて駆動輪出力軸18に過大なトルクが入力された場合に、無段変速機13で駆動チェーン36の滑りが生じる前に、ヒューズクラッチ17を滑らせることができる。

しかし、ヒューズクラッチ17の摩擦材が経年変化により摩耗して、摩擦材の摩擦係数が予め定められた値よりも小さくなると、油圧室91の油圧を基準圧に制御しても、ヒューズクラッチ17のトルク容量は、目標トルク容量未満になる。すると、無段変速機13から出力されたトルクを駆動輪出力軸18に伝達する際にヒューズクラッチ17が滑る可能性がある。

制御ユニット73は、ヒューズクラッチ17のトルク容量を増加して、上記不都合を未然に回避するために、基準圧に加える圧力の増加分として、学習値OUTTRQLRN を求めている。

このように、制御ユニット73は、ステップS12において、基準圧と学習値OUTTRQLRN とを加算して目標クラッチ圧OUTTRQを求めている。したがって、ヒューズクラッチ17の摩擦材の摩擦係数が小さくなっても、無段変速機13からヒューズクラッチ17に伝達されるトルクで、ヒューズクラッチ17が滑ることを、未然に防止できる。

一方、制御ユニット73は、ステップS10でYesと判断すると、ステップS13において、ヒューズクラッチ17のトルク容量を制御する学習値OUTTRQLRN をリセットする、つまり「0(零)Mpa 」とする制御を行い、ステップS12に進む。

このように、ステップS13を経由してステップS12に進んだ場合、目標クラッチ圧OUTTRQは、事実上、一時的に基準圧となる。すなわち、ヒューズクラッチ17のトルク容量は、動力を伝達できる最低の値となる。このため、入力クラッチ30が故障して係合されて、エンジン11を含む動力伝達系が回転慣性質量体となり、セカンダリ軸33に伝達されるトルクが変動しても、そのトルク変動が駆動輪21に伝達されることを防止できる。なお、ステップS13を経由してステップS12に進み、そのステップS12で求められる目標クラッチ圧OUTTRQは、時間の経過に伴い上昇させ、最終的には入力クラッチ30が正常である場合の値まで戻される。

次に、図3のフローチャートに示された制御ロジックに対応するタイムチャートの一例を、図4に基づいて説明する。まず、時刻t1以前においては、入力クラッチの状態は「OK」、つまり、正常と判断されている。また、入力クラッチの係合圧は「0Nm」に制御されている。

さらに、入力クラッチが解放されているため、プライマリ軸の回転数とタービン回転数とに所定の回転数差がある。また、車両は、走行用モータのトルクにより一定車速で走行しており、車両の前後加速度Gは「0」である。さらに、ヒューズクラッチの目標クラッチ圧は、基準圧に学習値を加算した値となっている。さらにまた、セカンダリ軸と駆動輪出力軸との回転数差は「0」である。

そして、時刻t1で、入力クラッチ圧が上昇し、入力クラッチの状態がNG、つまり、故障と判断されている。入力クラッチ圧は、油圧室92の油圧である。また、時刻t1以降、タービン回転数が上昇し始めている。さらに、時刻t1で学習値がリセットされるため、ヒューズクラッチの目標クラッチ圧は基準圧となる。このため、時刻t1以降、セカンダリ軸の回転数が低下して、セカンダリ軸と駆動輪出力軸との回転数差が増加している。

そして、時刻t2以降は、入力クラッチの油圧がほぼ一定となり、入力クラッチが係合状態となる。このため、プライマリ軸の回転数とタービン回転数とが一致する。なお、時刻t1以降は、ヒューズクラッチの目標クラッチ圧が基本圧に設定されてから、時間の経過に伴い、基本圧+学習値の値としてされ、徐々に増加するようにして求められているため、ヒューズクラッチのトルク容量が徐々に増加する。したがって、時刻t2以降は、セカンダリ軸と駆動輪出力軸との回転数差が減少する。

さらに、時刻t3以降は、セカンダリ軸33と駆動輪出力軸18との回転数差が「0」となり、時刻t4において、ヒューズクラッチの目標クラッチ圧が、時刻t1以前の目標クラッチ圧と同じになっている。

このように、制御ユニット73は、モータ走行モードが選択されて、エンジン11が停止し、かつ、入力クラッチ30が解放され、かつ、走行用モータ12のトルクを駆動輪21に伝達している状態で、入力クラッチ30のトルク容量が増加する故障が生じると、ヒューズクラッチ17のトルク容量を、一旦低下させる制御を実行する。

このため、解放されるべき入力クラッチ30が故障して係合されて、エンジン11を含む動力伝達系がプライマリ軸32の慣性質量体となった場合でも、駆動輪21に伝達されるトルクの変動を抑制できる。したがって、駆動輪21で発生する駆動力が変化することを抑制でき、運転者が体感するショックを軽減できる。

また、入力クラッチ30が係合される故障が発生した際に、ヒューズクラッチ17を完全に解放させることなく、目標クラッチ圧を基準圧まで低下さることに留めている。その後、ヒューズクラッチ17の目標クラッチ圧を、図4のタイムチャートのように斜めに上昇させる制御を実行する。したがって、運転者が違和感を持つことなく、ヒューズクラッチ17のトルク容量を、時刻t1以前の値に復帰することができる。

図4のタイムチャートに示された破線は、本実施形態の制御に対応する比較例を示す。この比較例では、入力クラッチが係合する故障が発生した時刻t1以降も、ヒューズクラッチの目標クラッチ圧を、時刻t1以前と同様に一定に制御している。このため、セカンダリ軸の回転数と駆動輪出力軸の回転数との差は、時刻t1以降も「0」であり、かつ、車両の前後加速度Gが変化する。

つまり、車両の前後方向の加速度は、「0」を境として正及び負を交互に行き来する。これは、エンジンに接続された動力伝達軸が、回転方向の中心線の回りで所定方向に捻じれ、その復元力で元の形状に復帰し、次いで逆方向に捻じれる作用を、一定時間の間に繰り返すからである。

本実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、入力クラッチ30が、本発明の第1クラッチであり、ヒューズクラッチ17が、本発明の第2クラッチであり、プライマリ軸32が、本発明のトルク伝達要素であり、駆動チェーン36が、本発明の巻き掛け伝動部材に相当し、デューティソレノイドバルブ97が、本発明のアクチュエータに相当する。また、制御ユニット73が、本発明の故障検知部及びクラッチ制御部である。また、基準圧が、本発明の基準値に相当する。

本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、無段変速機としてチェーンドライブ式の無段変速機を示しているが、本発明における無段変速機は、ベルトドライブ式やトラクションドライブ式の無段変速機を含む。ベルトドライブ式の無段変速機では、プライマリプーリ及びセカンダリプーリに巻き掛けられるベルトが、本発明の巻き掛け伝動部材に相当する。トラクションドライブ式の無段変速機は、入力ディスク及び出力ディスクと、入力ディスクと出力ディスクとの間に介在されるパワーローラとを有する。本発明の無段変速機は、入力要素と出力要素との間におけるトルク容量を低下させずに、変速比を無段階に変更することができる。

さらに、本発明の駆動輪は、前輪または後輪の少なくとも一方であればよい。さらに、本発明で対象とする車両は、走行用モータに代えてフライホイールシステムを動力源とする車両を含む。さらに、本発明で対象とする車両は、走行用モータに代えて油圧モータを動力源とする車両を含む。さらに、本発明のトルク伝達要素は、回転軸、ギヤ等を含む。

さらに、本発明の第1クラッチ及び第2クラッチは、油圧でトルク容量が制御される油圧制御式クラッチの他、電磁力でトルク容量が制御される電磁クラッチを含む。この場合、基準値及び学習値は、共に電磁力で表される。

10 車両
11 エンジン
12 走行用モータ
13 無段変速機
17 ヒューズクラッチ
21 駆動輪
30 入力クラッチ
73 制御ユニット
97 デューティソレノイドバルブ

Claims (3)

  1. 動力源と駆動輪との間に設けられた変速機と、前記動力源と前記変速機との間に設けられた第1クラッチと、前記第1クラッチのトルク容量を制御するアクチュエータと、前記変速機と前記駆動輪との間に設けられた第2クラッチと、を有する車両用制御装置であって、
    前記第1クラッチは、前記アクチュエータが故障するとトルク容量が増加する構造であり、
    前記アクチュエータが故障したかどうかを検知する故障検知部と、
    前記アクチュエータが故障したことが検知されると、前記第2クラッチのトルク容量を低下させるクラッチ制御部と、
    を有する、車両用制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用制御装置において、
    前記動力源は、エンジンであり、
    前記変速機は、巻き掛け伝動部材を備えた無段変速機であり、
    前記第1クラッチから前記無段変速機に至る動力伝達経路に連結された電動モータが設けられており、
    前記故障検知部は、正常な前記アクチュエータにより前記第1クラッチのトルク容量を低下させる制御を行い、かつ、前記電動モータのトルクが前記無段変速機に伝達されている際に、前記アクチュエータが故障したかどうかを検知する、車両用制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両用制御装置において、
    前記クラッチ制御部は、前記アクチュエータが正常である際に、
    前記無段変速機から伝達されるトルクで前記第2クラッチが滑ることを防止でき、かつ、前記駆動輪から伝達されるトルクで前記無段変速機で滑りが生じる前に前記第2クラッチを滑らせるための基準値と、
    前記第2クラッチの摩擦係数が低下して、前記無段変速機から伝達されるトルクで前記第2クラッチが滑ることを防止する学習値と、
    を求め、前記基準値と前記学習値とを加算して前記第2クラッチの目標トルク容量を制御する一方、
    前記クラッチ制御部は、前記アクチュエータの故障が検知されると、前記学習値を零として前記第2クラッチのトルク容量を低下させる、車両用制御装置。
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