JP2526040Y2 - エンジンのギヤケース構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は、その周端部に沿い所定間隔を存して複数の
取付ボルトによりエンジンフロント面に取付固定され、
クランクシャフトに設けられる駆動ギヤおよびこの駆動
ギヤに無端ベルト体を介して連結される動弁系ギヤなど
を覆うギヤケースに係り、特にエンジン駆動にともなう
ギヤケースに生じる膜振動の減衰構造に関する。

（従来の技術） 第１図に示すように、エンジン１はシリンダヘッド2,
このシリンダヘッド２が載設されるシリンダブロック3,
このシリンダブロック３の下部に取付固定されるオイル
パン４および後述するギヤケース５などから構成され
る。上記ギヤケース５から突出するクランクシャフト６
の端部には冷却ファン７が嵌着され、さらにこのフロン
ト側に配置される図示しないラジエタに送風するように
なっている。一方、上記エンジン１のリヤ側にはクラッ
チケース８を介してトランスミッション９が連結され、
これらは駆動系を構成する。

上記ギヤケース５についてなお説明すると、第４図に
示すように、エンジン１のフロント面であるシリンダブ
ロック３フロント面から突出するクランクシャフト６に
嵌着される駆動ギヤ10と、この駆動ギヤ10にチェーンあ
るいはタイミングベルトなどの無端ベルト体11を介して
連結される動弁系ギヤ12,12およびテンションギヤ13,13
などを覆うものである。したがって、シリンダブロック
３側のみ開口し、かつ他の面は閉塞するよう形成され
る、比較的薄肉の金属板体からなる。その周端部に沿い
所定間隔を存して複数の取付ボルト14…が挿通し、これ
らは上記シリンダブロック３のフロント面に螺挿する。
すなわち、これら取付ボルト14…でギヤケース５をシリ
ンダブロック３に取付固定するようになっている。

（考案が解決しようとする課題） このようにして構成されるエンジンが駆動すると、上
記シリンダブロック３内のピストンの往復動にともなっ
て、ある程度の振動が必ず生じる。特に上記ギヤケース
５においては第３図に示すように、略中央部については
何等の取付固定もなされていないので、エンジン１から
伝達した振動が集中する。この部位が最も振幅の大き
い、いわば振動発生源となり、その周囲に向って振動が
波紋のように拡散する、いわゆる膜振動が生じ易い。こ
のような振動モードは、振動変位が大であるから、騒音
となって外部に伝達することになる。

上記膜振動による騒音抑制のために考えられること
は、ギヤケース５の板厚をさらに厚くして、容易には振
動しないようにすることである。しかしながら、今度は
エンジン重量の増大化につながるとともに取付作業性が
低下するなどの不具合が生じる。

本考案は、上記事情に着目してなされたものであり、
エンジン駆動にともなうギヤケースの膜振動減衰を図
り、よって騒音低減化を得るエンジンのギヤケース構造
を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は、ギヤケースの周端部に沿い所定間隔を存す
る複数の取付ボルトによりエンジンのフロント面に取付
固定し、このギヤケースでクランクシャフトに設けられ
る駆動ギヤおよびこの駆動ギヤに無端ベルト体を介して
連結される動弁系ギヤなどを覆うものにおいて、上記ギ
ヤ類および無端ベルト体の運動に障害とならない位置
で、かつギヤケースの略中央部を振動低減用ボルトで上
記エンジンフロント面に取付固定し、上記ギヤケースの
表面側もしくは内面側のいずれか一方で、かつ振動低減
用ボルト挿通部位から複数の上記取付ボルト挿通部位に
向って複数条のリブを放射状に設けたことを特徴とする
エンジンのギヤケース構造である。

（作用） エンジン駆動にともなう振動がギヤケースに生じて
も、最も振動が生じ易い略中央部は振動低減用ボルトで
エンジンに固定しているから振動を減衰できるととも
に、ここから放射状に設けられるリブがさらに振動の伝
達を抑制する。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第２図にもとづいて説明す
るに、エンジン１自体の構成は、先に第１図で説明した
ものと全く変りがないので、同図を適用して新たな説明
は省略する。すなわち新たなギヤケース50は、その材
質，板厚，外観寸法および取付ボルト14…による取付位
置など、従来のものと変りがない。ただし、このギヤケ
ース50の略中央部で、かつ上記ギヤ類10,12,13および無
端ベルト体11の運動に障害とならない位置に振動低減用
ボルト51を挿通し、このねじ部を上記シリンダブロック
３フロント面に螺着する。そしてさらに上記ギヤケース
50の表面側で、かつ上記振動低減用ボルト51が挿通する
部位から所定の上記取付ボルト14…挿通部位に向って、
複数条のリブ52…を放射状に、かつ一体に設ける。これ
らリブ52…の高さ寸法を約10mm,幅寸法を約6mmとする
と、後述するように振動減衰に最大の効果が現われた。
また、リブ52…はギヤケース50の外表面に設ける代わり
に、内面側に設けても略同様の効果がある。

しかして、エンジン駆動にともないギヤケース50に振
動が伝達しても、振動減衰用ボルト51およびリブ52…が
その振動を減衰する。すなわち、ギヤケース50における
振動発生源部位ともなる略中央部は、上記振動減衰用ボ
ルト51でシリンダブロック３に強固に固定されているの
で、振動が規制される。そしてまた、この振動減衰用ボ
ルト51から放射状に設けられるリブ52…は、振動の伝ぱ
を規制する。なお、ギヤケース50の全面に亘って均等に
振動減衰用ボルト51を取付けることができれば確実な振
動規制が可能となるが、上記ギヤ類10他の関係で均等な
取付けは不可能である。このことから図示するように、
ある程度の振動は発生するが、従来のものと比較すると
極端に小さく、したがって騒音が低減する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案によれば、ギヤケースの略
中央部を振動減衰用ボルトで固定し、上記ギヤケースの
表面側もしくは内面側のいずれか一方で、かつこの振動
減衰用ボルト挿通部位から放射状に所定の取付ボルト挿
通部位に向って複数条のリブを設けるという、比較的簡
単な構成で、膜振動を抑制し、エンジン駆動にともなう
騒音の低減化に寄与するという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はエンジンと駆動系の概略側面図、第２図は本考
案の一実施例を示すギヤケースの正面図、第３図は本考
案の従来例を示すギヤケースの膜振動を説明する正面
図、第４図はギヤケースの正面図である。 １…エンジン、14…取付ボルト、10…駆動ギヤ、11…無
端ベルト体、12…動弁系ギヤ、51…振動減衰用ボルト、
52…リブ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】その周端部に沿い所定間隔を存して複数の
   取付ボルトによりエンジンフロント面に取付け固定さ
   れ、クランクシャフトに設けられる駆動ギヤおよびこの
   駆動ギヤに無端ベルトを介して連結される動弁系ギヤな
   どを覆うギヤケースにおいて、上記ギヤ類および無端ベ
   ルト体の運動に障害とならない位置で、かつギヤケース
   の略中央部に振動低減用ボルトを挿通してエンジンフロ
   ント面に取付け固定し、上記ギヤケースの表面側もしく
   は内面側のいずれか一方で、かつ振動低減用ボルト挿通
   部位から複数の上記取付ボルト挿通部位に向かって複数
   条のリブを放射状に設けたことを特徴とするエンジンの
   ギヤケース構造。