JP2519836B2 - 竪型ミル - Google Patents

竪型ミル

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JP2519836B2
JP2519836B2 JP3008241A JP824191A JP2519836B2 JP 2519836 B2 JP2519836 B2 JP 2519836B2 JP 3008241 A JP3008241 A JP 3008241A JP 824191 A JP824191 A JP 824191A JP 2519836 B2 JP2519836 B2 JP 2519836B2
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roller
crushing
liner
table liner
radial direction
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橋本  勲
進 内山
周二 橋本
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Chichibu Onoda Kk
Kawasaki Motors Ltd
Original Assignee
Chichibu Onoda Kk
Kawasaki Jukogyo KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、竪型ミルに関する。
【0002】
【従来の技術】竪型ミルは、鉛直回転軸線を有するテー
ブル上に、テーブルの半径方向に沿う回転軸線を有する
ローラを圧接回転して、テーブルに備えられるテーブル
ライナとローラとの間で原料を粉砕する構成を有する。
このような竪型ミルは、スラグおよびクリンカなどの粉
砕のために採用されており、大幅な省エネルギが実現さ
れる。このような竪型ミルにおいて、現在、次の2点
(1),(2)が重要な課題となっている。(1)粉砕
効率をさらに一層改善すること。(2)テーブルライナ
とローラとの寿命を増大すること。
【0003】このような課題(1),(2)を、高品質
な製品を製造しながら達成することが望まれている。
【0004】本発明の典型的な先行技術は、たとえば特
開昭62−129153に開示されており、この竪型ミ
ルの一部の構成は図10に示されている。竪型ミル1
は、ハウジング2内に鉛直軸線3を有するテーブル4を
有し、このテーブル4は、テーブルライナ5およびテー
ブル本体6から構成される。テーブルライナ5には、ロ
ーラ7が支持軸8のまわりに、テーブル4の回転駆動に
伴って回転する。テーブルライナ5とローラ7との間で
粉砕された原料は、ノズル9を介しハウジング2内で矢
符10の方向に吹上げられる気体流によって上昇され
る。ローラ7の外周面は、その回転軸線11に垂直な接
触中心線12上の中心位置13を中心とする曲率半径R
0を有する円弧面である。線12は、ローラ7の軸線方
向の中央位置にあり、d1=d2である。テーブルライ
ナ5の表面は、接触中心線12と交わる位置14よりも
半径方向外側(図10の左方)では、前記中心位置13
を中心とする半径R2を有し、半径方向内側(図10の
右方)では接触中心線12上の前記中心位置13よりも
遠去かった中心位置15を中心とする半径R1を有する
円弧面である。
【0005】このような構成を有する竪型ミルにおい
て、位置14よりもテーブル4の半径方向外側における
テーブルライナ5の表面とローラ7の表面との間隙a1
は一定値となり、ローラ7による粉体層への圧力が粉砕
に確実に寄与され、位置14よりも半径方向外側の間隙
a1で主として摩砕され、エネルギ損失が少なく、粉砕
効率が大幅に向上される。位置14よりも半径方向内側
では、テーブルライナ5の表面とローラ7の表面との間
隙a2は、半径方向内方になるにつれて大きくなり、し
たがって粉砕されるべき原料がテーブルライナ5とロー
ラ7との間に円滑に入り込んで、主として圧縮粉砕され
る。
【0006】
【発明が解決すべき課題】このような図10に示される
先行技術において、現在ではさらに、粉砕効率の向上を
図り、テーブルライナ5およびローラ7の寿命の増大が
望まれている。
【0007】本発明の目的は、粉砕効率の向上を図り、
またテーブルライナおよびローラの寿命の増大を図るこ
とができるようにした竪型ミルを提供することである。
【0008】本発明は、鉛直回転軸線を有するテーブル
上に、テーブルの半径方向に沿う回転軸線42を有する
ローラ25を圧接回転して、テーブルに備えられるテー
ブルライナ22aとローラ25との間で原料を粉砕する
竪型ミルにおいて、ローラ25の外周面とテーブルライ
ナ22aの表面との間に間隔を有してテーブルライナの
半径方向内方から外方に、第1および第2粉砕領域Z
1,Z2が、この順に形成され、ローラ25の外周面
は、ローラ25の回転軸線42に垂直であって、ローラ
25の両側部から等距離L1,L2を有する接触中心線
40上の第1位置41を中心とする第1半径R0を有す
る円弧面となっており、テーブルライナ22aの表面
は、前記第1位置41を通りかつ上方になるにつれてテ
ーブル22の中心方向に角度θ1だけ傾斜した形状中心
線43上で、第1位置41よりも上方の第2位置44に
中心を有し、テーブルライナ22aの半径方向内方か
ら、形状中心線43がテーブルライナ22aの表面と交
わる第3位置46まで、延びる前記第1粉砕領域Z1に
おける第2半径R1の円弧面と、第1位置41を中心と
する第3半径R2を有し、第3位置46からテーブルラ
イナ22aの半径方向外方に延びる前記第2粉砕領域Z
2における円弧面とから成り、 R0 < R2 < R1 であり、接触中心線40に垂直な線52上への第1およ
び第2粉砕領域への投影長さZ1,Z2を、 0.1 < Z2/(Z1+Z2) < 0.5 に選ぶことを特徴とする竪型ミルである。
【0009】
【作用】本発明に従えば、ローラとテーブルライナとの
間隙が、半径方向内方から外方に向けて狭くなる第1粉
砕領域と、この第1粉砕領域よりも半径方向外方の間隙
が一定値である第2粉砕領域とを形成し、これによって
原料は第1粉砕領域の半径方向内方側の相互間の間隙が
拡大した部分によって容易に噛込まれ、この第1粉砕領
域は上述のように半径方向外方側になるにつれて狭くな
っているので、ローラとテーブルライナとの間の圧接力
によって粉砕される。このように粉砕された原料は、第
2粉砕領域においてさらに粉砕され、この粉砕時におい
て、第2粉砕領域は半径方向に沿って相互間の間隙が一
定値となっているので、ローラとテーブルライナとの間
の圧接力は効率的に原料に与えられ、ローラとテーブル
ライナとの相対速度に基づいて原料は主として摩砕され
る。
【0010】さらに本発明に従えば、接触中心線40に
垂直な線52上への第1および第2粉砕領域の投影長さ
Z1,Z2は、 0.1 < Z2/(Z1+Z2) < 0.5 に選び、換言すると、ローラの接触中心線に垂直な線上
への第2粉砕領域の投影長さは、全粉砕領域の10%を
超え、50%未満である。これによって電力原単位(単
位kW・h/ton)を低減して、粉砕効率の向上を図
ることができ、またテーブルライナおよびローラの寿命
の増大を図ることができる。第2粉砕領域が50%以上
では、主として摩砕が行われるテーブルライナとローラ
との大きな相対的すべりを生じる第2粉砕領域での粉砕
力が相対的に低下することになり、すなわち摩砕に最も
大きく効果のあるローラのテーブル外周側端部付近での
粉砕力が相対的に低下することとなり、したがって粉砕
効率が低下する。またテーブルライナおよびローラの摩
耗が生じやすい第2粉砕領域を大きくすることによっ
て、それらの摩耗時には、主たる粉砕の仕事が、相対的
に半径方向内方で行われることになり、したがってテー
ブルライナ、タイヤが新しいときより、相対的に粉砕能
力が低いだけでなく、摩耗も相対的にテーブル中心側よ
り始まり、摩耗の進行に伴う粉砕能力の低下も早くな
る。すなわち寿命が低下する。
【0011】また第2粉砕領域が10%以下であるとき
には、この第2粉砕領域における粉砕層厚の安定的形成
が困難となり、原料の粉砕層厚の変動が大きくなり、運
転の安定性が低下し、これによって粉砕効率が低下する
とともに、摩砕の不安定化による製品品質の低下をきた
す。この第2粉砕領域において、テーブルの半径方向外
方でのローラの軸線方向外端部では、粉体層の解放のた
め摩砕力が低下し、摩耗が極めて少なく、この第2粉砕
領域の残余の部分での摩耗が大きく、したがってこのよ
うな摩耗量が大きくなってローラの位置が下降すると、
ローラの前記軸線方向外端部がテーブルライナと接触
し、いわばメタルタッチとなり、肝心の粉砕仕事ができ
なくなり、また竪型ミルの振動が大きくなり、こうして
寿命が短くなってしまう。本発明では、第2粉砕領域が
全粉砕領域の10%を超え、50%未満であるように
し、これによって粉砕効率の向上と寿命の増大を図る。
特に本発明に従えば、テーブルライナ22aの表面は、
第1粉砕領域Z1において、形状中心線43上で第1位
置41よりも上方の第2位置44に中心を有して、テー
ブルライナ22aの半径方向内方から形状中心線43が
テーブルライナ22aの表面と交わる第3位置46まで
延びる第2半径R1の円弧面と、第2粉砕領域Z2にお
いて、ローラ25の外周面の中心である第1位置41を
中心とする第3半径R2を有して、第3位置46からテ
ーブルライナ22aの半径方向外方に延びる円弧面とか
ら成るので、テーブルライナ22aの表面は、第1およ
び第2粉砕領域Z1,Z2が第3位置46で接線上で連
なって連続的に結ばれることになり、したがってローラ
25の外周面とテーブルライナ22aの表面との間で安
定した粉砕が初めて可能になる。また本発明に従えば、
テーブルライナ22aの第1粉砕領域Z1における表面
の第2半径R1を有する円弧面の中心を形状中心線43
上の位置を、最大の粉砕効率が達成されかつ寿命を増大
する位置に選ぶことが容易であり、設計が容易であると
いう優れた効果もまた、達成される。
【0012】
【実施例】図1(1)は本発明の一実施例の竪型ミルの
一部の断面図であり、図2はその竪型ミルの全体の断面
図であり、図3は図2の切断面線III−IIIから見
た断面図である。これらの図面を参照して、竪型ミルの
ケーシング21には、鉛直回転軸線を有するテーブル2
2が配置されており、駆動手段23によってテーブル2
2が回転駆動される。このテーブル22は、粉砕を行う
ためのテーブルライナ22aと、このテーブルライナ2
2aが固定される本体22bとを有する。テーブル22
の真上で回転軸線に同心に、供給管24が配置される。
この供給管24からは、被粉砕物、たとえばスラグおよ
びクリンカなどの原料が供給される。
【0013】テーブルライナ22a上には、周方向に複
数(この実施例では3)のローラ25が配置される。こ
のローラ25は、それらの支持軸36のまわりに回転自
在に支持され、アーム26に取付けられる。このローラ
25を支持する支持軸36の軸線は、テーブル22の半
径方向に延び、その半径方向内方に向けて下方に傾斜し
ている。アーム26は、水平な支軸27のまわりに角変
位可能となっている。圧下手段28は、アーム26を支
軸27のまわりに弾発的に押圧し、これによってローラ
25は、テーブルライナ22a上に圧接される。
【0014】供給管4から投入された被粉砕物は、テー
ブル22の中心位置37上に落下し、遠心力によってテ
ーブルライナ22aとローラ25との間に入込んで粉砕
される。この粉砕された粒状物は、噴出口29から噴出
される空気によって噴上げられる。
【0015】ケーシング21内には、分級器31が内蔵
されている。この分級器31は、供給管24と同一の軸
線を有する逆円錐状のコーン32と、分級羽根33と案
内羽根35とを含む。
【0016】テーブルライナ22aとローラ25との間
で粉砕された微粉は、噴出口9からの空気によって噴上
げられ、ケーシング21の上部において導入口34から
分級器31に入り込み、分級され、微粉は出口36aか
ら排出され、粗粉はコーン32からテーブル22上に落
下して再び粉砕される。
【0017】前述の図1(1)において、ローラ25の
タイヤの外周面は、接触中心線40上の位置41に中心
を有する半径R0の円弧面となっている。このローラ2
5の接触中心線40は、ローラ25を支持する回転軸3
6の回転軸線42に垂直であり、そのローラ25の両側
部から等距離L1,L2(ただしL1=L2)を有する
中央位置にある。このローラ25とテーブルライナ22
aとの間では、第1粉砕領域Z1と、それよりも半径方
向外方にある第2粉砕領域Z2とが形成される。第1粉
砕領域Z1では、テーブルライナ22aの表面は、形状
中心線43上の中心位置44を中心とする半径R1の円
弧面である。形状中心線43は、接触中心線40の中心
位置41を通り、上方になるにつれてテーブル22の中
心方向に角度θ1だけ傾斜している。
【0018】第2粉砕領域Z2では、テーブルライナ2
2aの表面は、中心位置41を中心とする半径R2を有
する円弧面に形成される。したがって、
【0019】
【数1】R0<R2<R1 接触中心線40がテーブルライナ22aの表面と交わる
位置を参照符45で示し、形状中心線43がテーブルラ
イナ22aと交わる位置を参照符46で示す。なおR1
とR2は、参照符46で連続的(断がなく)に結ばれ、
各接線が共通となる。
【0020】図1(2)は、テーブルライナ22aの半
径方向の形状を一直線で示したとき、ローラ25の外周
面との間隔Δdを示す。第1粉砕領域Z1では、間隔Δ
dは、テーブルライナ22aの半径方向に関して内方
(図1(1)および図1(2)の右方)から外方(図1
(1)および図1(2)の左方)に向けて狭くなる。第
2領域Z2では、この間隔Δdは、一定値である。第1
および第2粉砕領域Z1,Z2の和である全粉砕領域は
参照符Zで示す。
【0021】図1(3)は、テーブルライナ22aとロ
ーラ25の動作を説明するグラフである。ライン47
は、テーブルライナ22aとの間で粉砕を行うローラ2
5の外周面の各部の回転軸線42のまわりの回転速度を
示し、テーブル22の半径方向(図1(3)の左右方
向)に沿って、上に凸となるように変化する。ライン4
8は、テーブル22の半径方向に沿う回転速度の分布を
示し、一直線状である。ライン47,48の交点49
は、テーブルライナ22aとローラ25とが相互に等速
度で回転している位置を示し、相対速度は零である。こ
の相対速度が零である位置49よりも半径方向内方での
速度差は斜線で示す領域50であり、交点49よりも半
径方向外方での相対速度差は斜線で示される領域51で
ある。したがってこのことから半径方向内方の第1粉砕
領域Z1ではテーブルライナ22aとローラ25との間
による被粉砕物の圧接粉砕が主として行われ、また半径
方向外方の第2粉砕領域Z2では、被粉砕物の摩砕が主
として行われることが判る。
【0022】第1粉砕領域Z1では、図1(2)に示さ
れるように間隔Δdがテーブル22の半径方向内方から
外方になるにつれて小さくなり、したがって被粉砕物の
噛込みは良好に行われ、ローラ25の圧力は被粉砕物の
粉砕に確実に寄与させることができ、こうして上述のよ
うに主として圧接粉砕が行われる。
【0023】また第2粉砕領域Z2では、図1(2)で
示されるように、間隙Δdが一定であり、したがってテ
ーブルライナ22aの表面とローラ25と外周面との間
の被粉砕物の層厚が一定値に保たれ、安定な粉砕運転を
確保させることができると同時に、ローラ25による粉
体層への圧力が粉砕に確実に寄与され、エネルギロスが
少なく、粉砕効率がよい。
【0024】本発明に従えば、第2粉砕領域Z2は、全
粉砕領域Zの10〜50%に選ばれる。すなわち、
【0025】
【数2】Z2=ε・Z
【0026】
【数3】0.1 < ε < 0.5 Z1,Z2は、ローラ25の接触中心線40に垂直な線
52上への各領域Z1,Z2の投影長さを同一参照符で
示している。ここでZ=Z1+Z2であるので、上述の
数3を書直すと、0.1<Z2/(Z1+Z2)<0.
5となる。
【0027】図4は、本件発明者の実験結果を示すグラ
フである。横軸は、ε(単位%)であり、縦軸は乾燥ス
ラグの粉砕のための電力原単位(単位kW・h/to
n)である。第2粉砕領域Z1が全粉砕領域Zの50%
以上で大きすぎると、電力原単位が上昇し、したがって
粉砕効率が圧下することが判る。その理由を述べると、
ローラ25の外周面の圧力は、主に、間隔Δdが一定値
である第2粉砕領域Z2において伝わり、この領域Z2
での粉砕が主となる。スラグおよびセメントクリンカな
どの微粉砕のためには、テーブルライナ22aとローラ
25の相対的な滑りの大きいテーブル22の半径方向外
側での摩砕が重要である。したがってこの摩砕が行われ
る領域Z2にローラ25の圧力を伝えることが重要であ
る。ところが第2粉砕領域Z2が大きくなりすぎると、
大きな相対的滑りを生じる範囲での単位面積あたりの粉
砕力が相対的に低下することになり、したがって粉砕効
率が低下する。
【0028】また第2粉砕領域Z2が全粉砕領域Zの1
0%以下となって小さくなりすぎると、電力原単位が大
きくなり粉砕効率が低下する。その理由を述べると、テ
ーブル22の半径方向外方側におけるローラ25の外端
部53は、そのローラ25による圧力の解放部であるの
で、テーブルライナ22aとローラ25との間の粉砕層
が形成されたり、されなかったりして不安定である。し
たがって前述の数2における値εを10%以下に小さく
しすぎると、テーブルライナ22aとローラ25との間
にある粉砕層の第2粉砕領域Z2における厚みの変動が
大きくなり、したがって運転の安定性が低下され、粉砕
効率が低下する。またこの第2粉砕領域Z2における摩
砕が行われる範囲が不安定化し、製品の品質の低下をき
たす。
【0029】このことから、高品質な製品を確保するた
めには、間隔Δdが一定値である第2粉砕領域Z2が最
小限必要であると同時に、εは数3に示される値の範囲
が、高い粉砕効率のために必要であることが判る。これ
と同時に第1粉砕領域Z1は大きくなり、これによって
被粉砕物の噛込みがさらに一層良好となり、このことに
よって竪型ミルの振動の低減を図ることが可能になる。
【0030】図5は本件発明者の実験結果を示すグラフ
であり、その横軸は値εを示し、縦軸は、テーブルライ
ナ22aおよびローラ25の寿命(単位は時間)を示
す。竪型ミルによる粉砕の運転時間が長くなると、図6
に示されるように粉砕能力(単位ton/h)が徐々に
減少し、また粉砕効率が低下する。前記寿命は、テーブ
ルライナ22aおよびローラ25の新品時の粉砕能力W
1に対する或る一定割合、たとえば80%の粉砕能力W
2にまで低下したときの時間Tを寿命と定義する。この
寿命Tを長くすることは、ランニングコストを低減する
ために重要となる。本発明に従えば、寿命を長くするに
は、値εが数3で示される範囲に選ばれることが必要で
あることが判る。この寿命は、図7および図8に関連し
て述べるテーブルライナ22aとローラ25の摩耗状態
によって決定される。テーブルライナ22aおよびロー
ラ25の摩耗量は、それらの相対的な滑りが大きく、し
たがって摩砕が行われる第2粉砕領域Z2で大きく生
じ、その摩耗した形状は斜線55,56で示されてい
る。テーブル22の半径方向外方側のローラ25の端部
53では、被粉砕物に対する圧力の開放があるので、ロ
ーラ25による加圧力が、被粉砕物の粉砕層に充分伝わ
らず、したがって粉砕仕事があまり冴えないので、摩耗
量が少ない。
【0031】このテーブルライナ22aとローラ25の
摩耗量は、運転時間とともに大きくなり、その初期で
は、時間とともに斜線の範囲55,56で拡がると同時
に、摩耗深さが進行する。これらの摩耗深さが、或る値
近くになると、その後は、仮想線57,58で示される
ように摩耗が生じる範囲がテーブル22の半径方向内方
へと進行していく。摩耗がテーブル22の半径方向内方
に進んで行くということは、主たる仕事が半径方向内方
になることを意味し、したがって実際的なテーブル作用
径、すなわちテーブル22の粉砕のために作用する範囲
の中央位置の直径が小さくなり、したがって粉砕能力が
低下してくることになる。粉砕能力Wは、テーブル22
の作用径をDとするとき、
【0032】
【数4】 W∝D2.5〜2.8
【0033】したがってこのテーブル作用径Dが小さく
なり、これによって粉砕能力Wが低下するのである。
【0034】斜線で示す摩耗範囲55,56が或る値に
達した後には、仮想線57,58で示されるように、半
径方向内方に摩耗する範囲が変化する理由は、今までの
主たる仕事をしていた部分の摩耗深さが或る値以上に深
くなると、摩耗範囲56の部分の実際の層厚が異常に厚
くなり、この範囲56でのローラ圧力の支持力が弱ま
り、ローラ25の位置が少しずつ下り、これによってロ
ーラ25とテーブルライナ22aの実際の間隙が狭いテ
ーブル22半径方向内方側の範囲へと、主たる仕事の範
囲が移動するからである。
【0035】第2粉砕領域Z2が全粉砕領域Zの50%
以上になると、寿命が短くなる理由を述べる。テーブル
ライナ22aおよびローラ25の摩耗が進むと、ローラ
の位置が少しずつ下がり、図8(1)のように、テーブ
ル22の半径方向内方側の範囲65でのテーブルライナ
22aとローラ25との間の間隙Δdが小さくなり、第
1粉砕領域Z1における間隙Δdが小さくなり、被粉砕
物が、この第1粉砕領域Z1に円滑に噛込まれなくなっ
てしまい、その範囲65が主たる粉砕仕事を行う範囲に
なることは、前述のとおりである。このように第2粉砕
領域Z2を大きくすることは、初めから、テーブル22
の半径方向内方側の範囲65の間隙Δdを狭くすること
を意味し、寿命を短くすることになる。
【0036】またこれとは逆に、第2粉砕領域Z2が全
粉砕領域Zの10%以下であって小さすぎると、寿命が
却って短くなる理由を述べる。ローラ25の外端部53
では、前述のように摩耗量が極めて少ない。したがって
摩耗部分55,56の摩耗深さが短時間の運転で大きく
なって、ローラ25の位置が図8(2)の仮想線66の
ように下ってテーブルライナ22aに近接してくると、
図8(2)で示されるように、摩耗部分55,56が深
く進行しても、第1粉砕領域Z1への被粉砕物の噛込み
は行われるものの、ローラ25の外端部53はテーブル
ライナ22aに接触する。これによってローラ25の圧
下力は、外端部53でいわばメタルタツチの状態でテー
ブルライナ22aに向けられることになり、肝心の粉砕
仕事ができなくなってしまい、またこのメタルタッチに
よって、竪型ミルの振動が大きくなる。このようにし
て、第2粉砕領域Z2が小さすぎると、短い寿命にな
る。
【0037】このことから、第2粉砕領域Z2は、全粉
砕領域Zの10〜50%に選ぶことによって、粉砕効率
の向上を図り、また寿命を長くすることができることが
判る。
【0038】図9は、本発明の他の実施例の一部の断面
図である。この実施例は前述の実施例に類似し、対応す
る部分には同一の参照符を付す。この実施例では、テー
ブル22の半径方向外方端部付近に、形成されているい
わゆるダム部62の上端部には、テーブル22の全周に
わたって、または周方向に間隔をあけて、環状突出部6
3が設けられる。この環状突出部63の半径方向内方端
部64はダム部62から半径方向内方に突出しており、
たとえばその内周面は、上方になるに従って半径が小さ
くなる円錐台面となっており、こうしていわばオーバハ
ングが設けられる。このような環状突出部63を形成す
ることによって、テーブル22の半径方向外方の部分で
粉砕層が確実に形成され、したがって第2粉砕領域Z2
では、強い摩砕力を、ローラ25の端部53付近まで安
定して作用させることができる。したがって粉砕効率を
一層改善することができるとともに、前記値εが小さい
範囲の値であっても、効率的な運転が可能となる。さら
にまた高品質な製品を、振動が小さいより静かな運転
で、より高効率で粉砕することが可能になる。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、テーブル
ライナとローラとの間の間隙が、第1粉砕領域では半径
方向内方から外方に向けて狭くなるように形成され、こ
の第1粉砕領域よりも半径方向外方の第2粉砕領域で
は、間隙が一定値であり、したがってテーブル上に供給
された粉砕されるべき原料は、テーブルの回転による遠
心力によって、半径方向外方に移動し、まず、第1粉砕
領域に容易に噛込まれてローラのテーブルライナへの圧
下力によって主として圧縮粉砕される。
【0040】このような粉砕過程の原料は、さらに半径
方向外方に移動し、第2粉砕領域において摩砕されて粉
砕される。
【0041】しかも本発明によれば、第2粉砕領域が全
粉砕領域の10%を超え、50%未満であり、そのため
電力原単位の低減を図って粉砕効率を向上し、またテー
ブルライナおよびローラの寿命を増大することができる
ようになる。特に本発明によれば、テーブルライナ22
aの表面は、形状中心線43上で第1位置41よりも上
方の第2位置44に中心を有して第3位置46まで延び
る第1粉砕領域Z1における第2半径R1を有する円弧
面と、ローラ25の外周面の第1半径R0を有する円弧
面の中心である第1位置41を中心として第3半径R2
を有して第3位置46からテーブルライナ22aの半径
方向外方に延びる第2粉砕領域Z2における円弧面とか
ら成り、したがって第3位置46では、これらの第2お
よび第3半径R1,R2を有する円弧面は接線を共通に
して連続する。これによってローラ25の外周面とテー
ブルライナ22aの表面との間の間隔が連続的となり、
これらの間隔における粉砕すべき原料が円滑に安定して
粉砕されることになるという優れた効果が達成される。
したがってこのことによって、粉砕効率がさらに向上
し、ローラ25などの寿命がさらに長くなり、振動がな
くなるなどの効果がさらに、達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す一部の断面図である。
【図2】その実施例の竪型ミルの断面図である。
【図3】図2の切断面線III−IIIから見た断面図
である。
【図4】値εと電力原単位との関係を示す実験結果のグ
ラフである。
【図5】値εとローラテーブル22aおよびローラ25
の寿命との関係を示す実験結果のグラフである。
【図6】寿命の定義を説明するための図である。
【図7】テーブルライナ22aとローラ25の摩耗状態
を示す断面図である。
【図8】その摩耗の状態をさらに詳細に示す断面図であ
る。
【図9】本発明の他の実施例の一部の断面図である。
【図10】先行技術の一部の断面図である。
【符号の説明】
21 竪型ミル 22 テーブル 22a テーブルライナ 22b 本体 25 ローラ Z1 第1粉砕領域 Z2 第2粉砕領域 Z 全粉砕領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 周二 埼玉県熊谷市大字三ケ尻5310番地秩父セ メント株式会社 熊谷工場内 (56)参考文献 特開 昭62−129153(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛直回転軸線を有するテーブル上に、テ
    ーブルの半径方向に沿う回転軸線42を有するローラ2
    5を圧接回転して、テーブルに備えられるテーブルライ
    ナ22aとローラ25との間で原料を粉砕する竪型ミル
    において、 ローラ25の外周面とテーブルライナ22aの表面との
    間に間隔を有してテーブルライナの半径方向内方から外
    方に、第1および第2粉砕領域Z1,Z2が、この順に
    形成され、 ローラ25の外周面は、ローラ25の回転軸線42に垂
    直であって、ローラ25の両側部から等距離L1,L2
    を有する接触中心線40上の第1位置41を中心とする
    第1半径R0を有する円弧面となっており、 テーブルライナ22aの表面は、 前記第1位置41を通りかつ上方になるにつれてテーブ
    ル22の中心方向に角度θ1だけ傾斜した形状中心線4
    3上で、第1位置41よりも上方の第2位置44に中心
    を有し、テーブルライナ22aの半径方向内方から、形
    状中心線43がテーブルライナ22aの表面と交わる第
    3位置46まで、延びる前記第1粉砕領域Z1における
    第2半径R1の円弧面と、 第1位置41を中心とする第3半径R2を有し、第3位
    置46からテーブルライナ22aの半径方向外方に延び
    る前記第2粉砕領域Z2における円弧面とから成り、 R0 < R2 < R1 であり、接触中心線40に垂直な線52上への第1およ
    び第2粉砕領域への投影長さZ1,Z2を、 0.1 < Z2/(Z1+Z2) < 0.5 に選ぶことを特徴とする竪型ミル。
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