JP2536282Y2 - 竪型粉砕機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は，回転テーブルと粉砕ロ
ーラとの協働により，石灰石やセメント原料，石炭や高
炉スラグ，セメントクリンカ，化学品などの原料を粉砕
する竪型粉砕機に係り，特に摩耗の激しい原料に適する
粉砕ローラを有する竪型粉砕機に関する。

【０００２】

【従来の技術】石灰石や高炉スラグ，セメント原料など
の原料を細かく粉砕し粉体とする粉砕機の一種として，
図３に示すように，回転テーブルと粉砕ローラとを備え
た竪型粉砕機１が広く用いられている。この種の粉砕機
は，円筒状ケーシング１ａの下部においてモータ２Ａに
より減速機２で駆動されて低速回転する円盤状の回転テ
ーブル３Ａと，その上面外周部を円周方向へ等分する箇
所に油圧などで圧接されて従動回転する複数個の粉砕ロ
ーラ４とを備えている。

【０００３】粉砕ローラ４はケーシング１ａに軸６によ
って揺動自在に軸支されたアーム５とアーム７を介して
油圧シリンダ９のピストンロッド１０に連結されてお
り，油圧シリング９を作動させることにより，粉砕ロー
ラ４を回転テーブル３Ａ上に押圧して原料への粉砕圧力
を与えている。３Ｂは回転テーブル３Ａの外周縁に設け
られ原料層圧を調整するダムリング，１４は回転テーブ
ル３Ａ周囲のガス吹上用の環状空間通路，１５は熱風吹
上通路，１３は羽根１３Ａにより粉砕された原料を分級
する回転セパレータ，１６はガスと共に製品を取り出す
排出口，１７は原料投入シュートである。

【０００４】このような竪型粉砕機において，回転テー
ブル３Ａの中央部へ原料投入シュート１７で供給された
原料は，回転テーブル３Ａの回転によりテーブル半径方
向の遠心力を受けて回転テーブル３Ａ上を滑るときに回
転テーブル３Ａにより回転方向の力を受け，回転テーブ
ル３Ａとの間で滑って回転テーブル３Ａの回転数よりい
くらか遅い回転を行なう。以上２つの力，すなわち，半
径方向と回転方向の力とが合成され，原料は回転テーブ
ル３Ａ上を渦巻状の軌跡を描いて回転テーブル３Ａの外
周部へ移動する。この外周部には，ローラが圧接されて
回転しているので，渦巻線を描いた原料は粉砕ローラ４
と回転テーブル３Ａとの間へローラ軸方向とある角度を
なす方向から進入して噛み込まれて粉砕される。

【０００５】一方，ケーシング１ａの基部にはダクトに
よって空気，あるいは熱風などのガスが導かれており，
このガスが回転テーブル３Ａの外周面とケーシングの内
周面との間の環状空間通路１４から吹き上がることによ
り，粉砕された微粉体はガスに同伴されてケーシング１
ａ内を上昇し，上部に位置するセパレータ１３の羽根１
３Ａにより分級作用を受け，所定粒度の製品はガスと共
に排出口１６から排出され次の工程へ送られる。

【０００６】また，粉砕ローラ４は，図４に示すよう
に，截頭円錐台形状のローラタイヤ４ａが同じく截頭円
錐台形状のボスに外嵌されており，図３に示す状態で，
回転テーブル３Ａに対向して両者の間に介在する原料に
強い圧力を加えて粉砕する。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが，高炉スラグ
やセメントクリンカあるいは硬質のセラミックス原料等
の粉砕原料は粉砕ローラに激しい摩耗を発生させるばか
りでなく，回転テーブル３Ａの外周寄りに位置するロー
ラタイヤ４ａの大径側を選択的に激しく摩耗させ，図５
に示すように摩耗部Ｘを生じさせる。この状態を放置し
てそのまま運転を継続するとやがてローラタイヤ４ａは
破損し，破片が散一して他のローラタイヤに次々と噛み
込み重大な機器損傷を惹起する。したがって，こうした
偏摩耗が生じたときには，速やかに運転を休止して新品
のローラタイヤと取替えるか，あるいは，摩耗個所を補
修するかしなければならず，その経済的損失は著しく大
きいものであった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに，本考案の竪型粉砕機は，回転テーブルの外周部上
面に複数個の回転自在な粉砕ローラを配置し，回転テー
ブル中央部に原料投入シュートを経由して供給した原料
を粉砕ローラに所定の粉砕圧力を与えて回転テーブル上
面と粉砕ローラ周面との間で粉砕する竪型粉砕機におい
て，前記粉砕ローラは截頭円錐台形状のボスと該ボスに
外嵌される截頭円錐台形状のローラタイヤからなり，該
ローラタイヤは軸方向に２分割され，大径側には耐摩耗
鋳鉄からなる第１のローラタイヤを配設し，小径側には
炭素鋼もしくは耐摩耗鋳鋼からなる第２のローラタイヤ
を第１のローラタイヤに嵌合して配設した。

【０００９】

【作用】本考案の竪型粉砕機の粉砕ローラのローラタイ
ヤは，截頭円錐台形状のボスに軸方向に２分割された第
１のローラタイヤと第２のローラタイヤが各々外嵌され
ており，特に摩耗の激しい大径側には，高度な耐摩耗性
を有する材質の耐摩耗鋳鉄を配設し，比較的摩耗進行の
軽微な小径側には炭素鋼やあるいは耐摩耗鋳鋼を外嵌し
た構造としたので，摩耗の激しい粉砕原料の操業に際し
て，粉砕ローラの軸方向の摩耗進行を平準化して寿命の
延命化を図るばかりでなく，大径側に偏摩耗が生じても
第１のローラタイヤを取替えるだけでよいので，経済的
でランニングコストの低減に資することが出来る。

【００１０】

【実施例】以下，図面について本考案の実施例を詳細に
説明する。図１〜図２は本考案の実施例に係り，図１は
粉砕ローラの縦断面図，図２は粉砕ローラの摩耗状況を
示す縦断面図である。

【００１１】図において，粉砕ローラ４は截頭円錐台形
状のボス４ｂに同じく截頭円錐台形状のローラタイヤ４
ａが外嵌されて構成される。ローラタイヤ４ａは軸方向
に２分割され，大径側の耐摩耗性鋳鉄を材質とする第１
のローラタイヤ４ｊと小径側の炭素鋼もしくは耐摩耗性
鋳鋼を材質とする第２のローラタイヤ４ｋとを図に示す
段付部を介して嵌合し連結した構成とする。第１のロー
ラタイヤ４ｊには，たとえば，ＦＣＷ６（高クロム白銑
鋳鉄品）やＦＣＷ５Ｌ（ニ・ハード白銑鋳鋼品）など高
硬質でＨｓ（ショア高度）が５０〜７０のものが使用で
きる。一方，第２のローラタイヤ４ｋには，普通のＳＳ
材やＳＣ４６などの炭素鋼やＳＣＭｎＣｒ２Ａなどのマ
ンガンクロム鋼鋳鋼品を使用できる。

【００１２】このように形成された粉砕ローラ４を有す
る竪型粉砕機１によって，比較的摩耗の激しい原料を粉
砕しても，本来粉砕仕事の主要な働きをするローラタイ
ヤ４ａの大径側には，小径側に比べて硬質の耐摩耗性の
強い材質を有する第１のローラタイヤ４ｊが配設されて
いるので，従来のような偏摩耗が軽減されて摩耗の平準
化が促進される。また，このような対策にも拘らずなお
大径側の偏摩耗が著しい場合には，第２のローラタイヤ
４ｋを取替えることなく，第１のローラタイヤ４ｊのみ
取替えるのみで対応できる。

【００１３】

【考案の効果】以上説明したように，本考案の竪型粉砕
機においては，粉砕ローラのローラタイヤを軸方向に２
分割し，大径側に耐摩耗性鋳鉄の第１のローラタイヤ
を，小径側に炭素鋼もしくは耐摩耗鋳鋼の第２のローラ
タイヤを配した構成としたので，摩耗進行の平準化を図
って粉砕ローラタイヤの長寿命化を達成できる。また，
大径側に偏摩耗が生じても大径側の第１のローラタイヤ
のみの取替えで済むので経済的でランニングコスト低減
を助長することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す粉砕ローラの縦断面図で
ある。

【図２】本考案の実施例を示す粉砕ローラの摩耗状況を
示す縦断面図である。

【図３】従来の竪型粉砕機の実施例を示す全体縦断面図
である。

【図４】従来の粉砕ローラの実施例を示す縦断面図であ
る。

【図５】従来の粉砕ローラの摩耗状況を示す縦断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 竪型粉砕機 ２ 減速機 ２Ａ 電動機 ３Ａ 回転テーブル ４ 粉砕ローラ ４ａ ローラタイヤ ４ｂ ボス ４ｊ 第１のローラタイヤ ４ｋ 第２のローラタイヤ Ｘ 摩耗部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転テーブルの外周部上面に複数個の回
   転自在な粉砕ローラを配置し，回転テーブル中央部に原
   料投入シュートを経由して供給した原料を粉砕ローラに
   所定の粉砕圧力を与えて回転テーブル上面と粉砕ローラ
   周面との間で粉砕する竪型粉砕機において，前記粉砕ロ
   ーラは截頭円錐台形状のボスと該ボスに外嵌される截頭
   円錐台形状のローラタイヤからなり，該ローラタイヤは
   軸方向に２分割され，大径側には耐摩耗鋳鉄からなる第
   １のローラタイヤを配設し，小径側には炭素鋼もしくは
   耐摩耗鋳鋼からなる第２のローラタイヤを第１のローラ
   タイヤに嵌合して配設したことを特徴とする竪型粉砕
   機。