JP2516096C - - Google Patents

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JP2516096C
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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、例えば、心臓機能の補助に使用される大動脈内用バルーンカテーテ
ルのようなバルーンカテーテルおよびこれに用いられるバルーンに関する。 〈従来の技術〉 近年、IABP(大動脈内バルーンポンピング)は、急性心筋梗塞等による左
心機能の低下、体外循環脱離困難例、心臓手術後の心不全、低心拍出量症候群な
どに対する補助循環法として、徐々に普及して来ている。 従来のIABPは、血管を露出して挿入する外科的挿入法を用いるものが一般
的であったが、近年では、経皮的に挿入可能なIABPが考えられるようになっ
てきている。この経皮的挿入可能なIABPの出現により、外科医以外の、例え
ば、内科医、麻酔科医にもIABPが簡易、迅速に挿入可能となってきたため、
IABPを予防的に使用する例も見られるようになり、近年、特に普及の傾向を
示している。 しかし、IABPの適用が拡大する一方、IABPの使用に伴なう合併症の問
題も発生して来ている。問題とされている合併症としては、血管系合併症、虚血
性疾患、臓器不全などがあり、その発現には、患者側に起因するものばかりでな
く、カテーテルの種類、挿入法、抜去法など医療側に起因すると思われるものも
ある。 このようなIABP用バルーンカテーテルとしては、例えば、米国特許第4,
327,709号明細書に示されるものがある。このバルーンカテーテルは、カ
テーテルの先端にバルーンの基端部が固定されており、バルーンの先端は、カテ
ーテルの内部を挿通した剛性のワイヤーの先端に固定された構造となっている。
そして、バルーンカテーテルの挿入時には、バルーンを収縮した状態とし、ワイ
ヤーに巻き付け、折り畳んだ状態(ラッピング)とする。これにより、バルーン
装着部分の径が細くなり、セルジンガー法等による経皮的な挿入が可能となる。 ところで、このような大動脈内用バルーンカテーテルにおけるバルーンには、
バルーンの拡張、収縮により効率的な送血機能が得られるように、柔軟性、すな
わち、所定のコンプライアンスが要求され、さらには、挿入時やポンピングの最
中にバルーンが損傷、破裂するようなことがないように、十分な強度および耐久
性が要求される。そのため、バルーンは、各種ポリオレフィン、ポリエステル、
熱可塑性エラストマー等よりなる薄肉部材で構成され、その厚さは、強度を考慮
して、130〜150μm程度、またはそれ以上のものが使用されている。 しかしながら、このような厚さのバルーンではラッピングがしにくく、またラ
ッピングしたときにバルーン装着部分の細径化が十分に図れない。例えば、セル
ジンガー法によりシースを用いてバルーンカテーテルを経皮的に挿入する場合、
バルーン装着部分の径が大きいと、これに伴って内径の大きいシースを使用しな
ければならないが、シースの径が大きくなると、下肢虚血などによる合併症が生
じ易くなり、また患者の負担も増大する。 さらに、バルーン装着部分の径が大きいと、シースの内径との関係で、血管へ
の挿入および抜去の際に、バルーンを損傷するおそれも生じる。 また、従来のバルーンは、その構成材料によっては、血液適合性が不足するも
のもあり、長期間挿入しているとバルーンに血栓が付着するものもあった。この 場合、バルーンに付着した血栓は、バルーンの拡張、収縮動作によりバルーンか
ら離脱し、この離脱した血栓が下肢虚血等を引き起こし、合併症の原因となる。 〈発明が解決しようとする課題〉 本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、
バルーンの柔軟性、強度および耐久性を十分に確保しつつ、その厚さを薄くする
ことができ、また、血液適合性に優れるバルーンおよびバルーンカテーテルを提
供することにある。 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、下記(1)〜(8)の本発明により達成される。 (1)駆動流体の注入、抜去に伴って内容積を拡張、縮小しうるバルーンであっ
て、 結晶性プラスチックスよりなる内層と、該内層と一体的に形成され、血液適合
性を有する弾性材料よりなる外層とを少なくとも有する積層体よりなる薄肉部材
で構成され、 前記内層と外層は、2色成形またはインサート成形により、あるいは予め成形
された2層チューブをその長さ方向に延伸しながらブロー成形することにより、
前記薄肉部材の内面および外面、ならびに前記内層と前記外層の境界がいずれも
平滑となるよう一体的に形成されたものであることを特徴とするバルーン。 (2)前記血液適合性を有する弾性材料は、ミクロ相分離構造を有する抗血栓性
ポリマーである上記(1)に記載のバルーン。 (3)前記ミクロ相分離構造を有する抗血栓性ポリマーは、セグメント化ポリウ
レタンまたはセグメント化ポリアミドである上記(2)に記載のバルーン。 (4)前記結晶性プラスチックは、延伸加工が施されたものである上記(1)〜
(3)のいずれかに記載のバルーン。 (5)前記薄肉部材の厚さが30〜100μmである上記(1)〜(4)のいず
れかに記載のバルーン。 (6)内部にルーメンを有する管状体と、該ルーメンと連通する上記(1)〜(
5)のいずれかに記載のバルーンとを少なくとも有することを特徴とするバルー
ンカテーテル。 (7)前記バルーンカテーテルは、前記ルーメン内に挿通された芯材を有し、前
記バルーンの先端部は、該芯材の先端部に固着されており、前記バルーンの基端
部は、前記管状体の先端部に固着されている上記(6)に記載のバルーンカテー
テル。 (8)前記芯材は、内部にルーメンを有する管状芯材である上記(7)に記載の
バルーンカテーテル。 〈作用〉 本発明では、バルーンが、結晶性プラスチックよりなる内層と、血液適合性を
有する弾性材料よりなる外層とを少なくとも有する薄肉部材で構成され、しかも
、内層と外層とが一体化された積層体であるため、その厚さを従来より薄くして
も十分な強度および柔軟性(コンプライアンス)が得られ、また耐久性にも優れ
る。 これにより、バルーンカテーテル、特に、大動脈内用バルーンカテーテルにお
いては、バルーンのラッピングを容易に行なうことができ、しかも、ラッピング
したときのバルーン装着部分の外径を小さくすることができる。 そして、バルーン装着部分の外径が小さくなるので、バルーンカテーテルの経
皮的挿入が容易となり、また、挿入器具であるシースの内径を小さくすることが
できる。その結果、患者の負担が軽減され、また、シースの内径に由来する虚血
等が防止され、合併症の発生を抑制する。 また、バルーンの外層が、血液適合性、特に、抗血栓性を有する弾性材料で構
成されているため、長期間にわたり継続して使用した場合でも、バルーンへの血
栓の付着等がなく、バルーンから離脱した血栓による虚血等が防止され、合併症
の発生を抑制する。 〈発明の構成〉 以下、本発明のバルーンおよびバルーンカテーテルを添付図面に示す好適実施
例に基いて詳細に説明する。 第1図は、本発明のバルーンカテーテルを大動脈内用バルーンカテーテルに適
用した場合の構成例を示す部分縦断面図である。 同図に示すように大動脈内用バルーンカテーテル1(以下、単にバルーンカテ ーテルともいう)は、管状体2、本発明のバルーン3、芯材4および分岐ハブ1
0で構成されている。 具体的に説明すると、第1図に示す構成のバルーンカテーテル1は、管状体2
と、この管状体2に形成されたルーメン9内を挿通し、先端にバルーン3の先端
部が固着された芯材4とを有し、管状体2の基端部には、管状体ハブ6が固着さ
れており、芯材4の基端部には芯材ハブ7が固着されており、管状体ハブ6と芯
材ハブ7とにより分岐ハブ10が構成されている。また、芯材4の先端には先端
部材5が取り付けられており、バルーン3の先端部はこの先端部材5に固着され
ており、バルーン3の基端部は、管状体2の先端部に固着されている。 管状体2としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、その構成材料
としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル
、ポリアミドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、
ラテックスゴム等が挙げられる。そのなかでも、上記の熱可塑性樹脂が好ましく
、より好ましくはポリオレフィンである。 芯材4としては、ステンレス鋼(好ましくは、バネ用高張力ステンレス鋼)、
ピアノ線(好ましくは、ニッケルメッキあるいはクロムメッキが施されたピアノ
線)、または超弾性合金などが挙げられる。 超弾性合金としては、49〜58原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜4
1.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(
X=Be、Si、Sn、Al、Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金
等の超弾性金属体が好適に使用される。このうちでも、特に好ましくは、上記の
Ti−Ni合金である。 なお、芯材4の管状体2の先端から突出した部分(以下、突出部分という)に
は、芯材4の折れ曲がり防止等を目的として、補強部材(図示せず)を設けても
よい。この補強部材としては、例えば芯材4の外周にらせん状に巻回されたもの
等が挙げられ、その構成材料としては、前記造影性を有する金属材料が好適に使
用される。 芯材4の先端に固着された先端部材5は、バルーンカテーテル1の誘導部とし て機能し、また、バルーンカテーテル1の先端部が血管内に挿入中に血管壁に損
傷を与えないようにするために設けられている。このため、先端部材5の先端は
砲弾状、半球状をなし、曲面が形成されている。 先端部材5の構成材料としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体のようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミ
ドエラストマー、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックス
ゴム等が挙げられる。そのなかでも、上記の熱可塑性樹脂が好ましい。 さらに、先端部材5は、後述するバルーン3との接着性に優れるものが好まし
い。 また、先端部材5は、バルーンカテーテル1の先端部でもあるため、X線透視
下においてその位置を容易に確認できることが好ましい。このため、先端部材5
の内部に、PtまたはPt系合金、WまたはW系合金、AgまたはAg系合金な
どにより構成された金属部材の埋設、あるいは金属粉末の混入を行なってもよい
。 本発明のバルーン3は、内圧の変化により内容積が拡張(膨張)、縮小(収縮
)が可能なものであり、一端が開放し、他端が閉塞したチューブ状(第1図の構
成例)または両端が開放した筒状(第2図の構成例)をなすものである。 このバルーン3は、芯材4の突出部分の外周を被包するように装着されている
。そして、バルーンカテーテル1の血管への挿入時等にはバルーン3を収縮させ
、芯材4の外周に巻き付けられた状態(ラッピング)とする。 すなわち、バルーン3は、芯材4の先端に固着された先端部材5にその先端部
が、例えば接着または融着により固定され、さらにバルーン3の基端部は、管状
体2の先端部に、例えば接着または融着により固定されている。 また、バルーン3の内部は、管状体2の先端開口を介して、管状体2の内部に
形成されたルーメン9と連通しており、該ルーメン9を通じてバルーン3の内部
に駆動流体を注入し、またはバルーン3の内部から駆動流体を抜去することがで
きるようになっている。 このような駆動流体の注入、抜去に伴なって大動脈内の所定位置に挿入されて いるバルーン3は、拡張、収縮し、血液を脈動的に送出することができる。 駆動流体としては気体でも液体でもよく、例えば、へリウムガス、CO2ガス
、O2ガス等の血液に容易に溶解する気体や、生理食塩水等の液体が挙げられる
。 なお、バルーン3自体の構成、寸法等については後に詳述する。 分岐ハブ10は、管状体ハブ6と芯材ハブ7とで構成されている。管状体ハブ
6は、管状体2の基端部に気密または液密に固着されており、管状体2のルーメ
ン9と連通する開口部8を有しており、この開口部8は、バルーンを拡張、収縮
させる駆動流体の流入、流出口として機能する。 管状体ハブ6の材質としては、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルホン
、ポリアリレート、メタクリレート−ブチレン−スチレン共重合体などの熱可塑
性樹脂が挙げられる。 また、芯材ハブ7は、芯材4の基端に気密または液密に固着されている。そし
て、芯材ハブ7と管状体ハブ6とは固着されていてもよいが、両者間の気密また
は液密状態を維持したまま、芯材ハブ7を回転できるように構成してもよい。こ
の場合には、芯材ハブ7を回転させることにより、芯材4も追従して回転するた
め、ラッピングに際し、芯材4の外周にバルーン3を容易に巻き付けることが可
能となる。 第2図は、本発明の大動脈内用バルーンカテーテルの他の構成例を示す部分縦
断面図である。同図に示すバルーンカテーテル1’は、前記芯材が、内部にルー
メン11を有する管状芯材40となっているものである。このルーメン11は先
端側に開放しており、ガイドワイヤーを挿通する通路として、必要な薬剤の
投与のための流路として、または大動脈圧の測定用として用いることができる
。 管状芯材40としては、ある程度の可撓性を有するものが好ましく、例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢
酸ビニル共重合体のようななポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポ
リイミド、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−ポリ四フッ化エチレン共重合体、
ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等で構成され たものが挙げられる。 また、管状芯材40としては、金属管状体を用いても良く、金属管状体として
は、ステンレス製管状体、超弾性合金製管状体等が好適である。特に、超弾性合
金管状体が好適であり、49〜58原子%NiのTi−Ni合金、38.5〜4
1.5重量%ZnのCu−Zn合金、1〜10重量%XのCu−Zn−X合金(
X=Be、Si、Sn、Al、Ga)、36〜38原子%AlのNi−Al合金
等の超弾性金属体が好適に使用される。このうちでも、特に好ましくは、上記の
Ti−Ni合金である。 また、前記と同様、管状芯材4の突出部分に、補強部材を設けてもよい。 分岐ハブ10は、管状体ハブ6と管状芯材ハブ13とで構成されている。 管状芯材40の後端には、管状芯材ハブ13が固着されており、その後端には
、管状芯材40の内部のルーメン11と連通する開口部12が設けられている。
そして、管状芯材ハブ13と管状体ハブ6とは固着されていてもよいが、上述の
ように、管状芯材バブ13を回転できるように構成してもよい。このような場合
には、管状芯材ハブ13を回転させることにより、管状芯材4も追従して回転す
るため、ラッピングに際し、管状芯材4の外周にバルーン3を容易に巻き付ける
ことが可能となる。 このようなバルーンカテーテル1および1’における各所の好適な寸法は、下
記表1に示す通りである。 【表 1】 次に、本発明のバルーンカテーテルに用いられるバルーン3の構成について説
明する。 第3図は、バルーン3の構成を拡大して示す縦断面図である。同図に示すよう
に、バルーン3は、内層31と外層32とを積層一体化した積層体よりなる薄肉
部材30で構成されている。また、薄肉部材30の内面および外面、ならびに前
記内層31と前記外層32の境界がいずれも平滑となるよう一体的に形成されて
いる。 内層31は、主にバルーン3の強度を担う部分であり、結晶性プラスチックで
構成されている。ここで、結晶性プラスチックとは、結晶化度が0.2〜1の結
晶化可能なプラスチックをいう。 なお、結晶性プラスチックの結晶化度は、例えばX線法、密度法、赤外線法、
核磁気共鳴吸収法等により測定することができる。 内層31に結晶性プラスチックを用いる理由は、結晶性プラスチックに延伸加
工を施したものとすれば、強度が高くかつ薄い内層31を得ることができるから
である。 従って、下記のような結晶性プラスチック素材をそのまま用いてもよいが、延
伸加工(例えば、延伸ブロー成形)を施して使用するのが好ましい。 このような結晶性プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンイソフタ
レートおよびこれらの共重合体のような結晶性ポリエステル、ポリアミド、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、そのなかでも特に、PET、ポリアミ
ドが好ましい。 外層32は、主にバルーン3の柔軟性を担う部分であり、血液適合性を有する
弾性材料で構成されている。ここで、血液適合性を有する弾性材料とは、その材
料自体または添加物の添加によって、血液と接触したときに、血小板やタンパク
質などが付着しにくい性質を有する弾性材料を言う。従って、外層32にこのよ
うな材料を用いると、血液凝固が生じ難く、また、血管と接触したときに、血管
の内膜を損傷し難い。 血液適合性を有する弾性材料としては、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の 各種ゴム、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー
、ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー等の各種熱可塑
性エラストマー等が挙げられる。 また、このような弾性材料中に、例えば、ヘパリン、プロスタグランジン、ウ
ロキナーゼ、アルギニン誘導体等の抗血栓性薬剤を配合し、抗血栓性を有する材
料としてもよい。 また、血液適合性を有する弾性材料のうち、それ自体抗血栓性を有する材料と
して、電顕によるモルフォロジー観察を行なったとき、ミクロ相分離構造を有す
る抗血栓性ポリマーを用いてもよい。 このミクロ相分離構造を有する抗血栓性ポリマーとしては、例えば、セグメン
ト化ポリウレタン、含フッ素セグメント化ポリウレタン等のウレタン系、セグメ
ント化ポリアミド(特願平01−314924号、特願平02−74357号記
載)等のアミド系、ポリヒドロキシエチルメタクリレート−ポリスチレンブロッ
ク共重合体、ポリエーテル−ポリエステルブロック共重合体等のエステル系等の
各種ブロック共重合体が挙げられる。そのなかでも、特に、耐疲労性、適度な柔
軟性、高い抗血栓性などの点で、ウレタン系、アミド系またはスチレン系のもの
が好ましく、さらには、セグメント化ポリウレタンまたはセグメント化ポリアミ
ドが好ましい。このような材料を用いると、外層32の表面に形成されるミクロ
相分離構造が優れた抗血栓性(特に、血小板の粘着抑制)を発揮する。 なお、参考のため、セグメント化ポリウレタンの物理的性質を下記表2に示す 【表 2】 このように、バルーン3の外層32が、血液適合性、特に、抗血栓性を有する
弾性材料で構成されているため、長期間にわたり継続して使用した場合でも、バ
ルーンへの血栓の付着等が防止される。また、外層32は弾性材料で構成されて
いるため、血管内壁を損傷するおそれもなくなる。 そして、本発明におけるバルーン3は、結晶性プラスチックよりなる内層31
と、血液適合性を有する弾性材料よりなる外層32とを組み合せたことにより、
バルーン3の強度および耐久性と、柔軟性と両立することができ、よって、薄肉
部材30の厚さを従来のバルーンより薄くすることが可能となる。 このような、大動脈内バルーンカテーテルに用いられるバルーン3の各所の好
適な寸法は、下記表3に示す通りである。 【表 3】 このようなバルーン3の製造方法としては、例えば次のようなものが挙げられ
る。 内層31と外層32とを、2色成形またはインサート成形等により一体的に
成形する。 内層31と外層32とを、予め2層チューブに成形した後、これを長さ方向
に延伸しながらブロー成形し、一体的に成形する。 このように、本発明のバルーンは、容易に製造することができ、特に、従来の
1層構成のバルーンの製造方法のように、バルーンの構成材料の溶液をディッピ
ングするに際しての型となるワックスが不要となるため、ワックスを製造する作
業および前記溶液の固化後、ワックスを溶かし出す作業が不要となり、製造工程
の簡略化およびコストダウンを図ることができる。 なお、本発明におけるバルーンは、前記内層と外層とを少なくとも有していれ
ばよく、例えば、内層31と外層32との間に、中間層を有するものや、内層3
1の内側にさらに最内層を有するもの(いずれも図示せず)等、内層31および
外層32を含む3層以上の積層体であってもよい。 また、第1図および第2図に示す例では、バルーン拡張時のバルーン3の外径
は、バルーン長手方向に沿ってほぼ一定となっているが、本発明はこれに限らず
、バルーンの拡張時最大外径部分がバルーンの長手方向の中央付近にあるもの、
バルーンの拡張時最大外径部分がバルーンの長手方向中央より先端側にあるもの
、またはバルーンの拡張時最大外径部分がバルーンの長手方向中央より基端側に
あるもののいずれでもよい。 この場合、バルーンの拡張時最大外径部分がバルーンの長手方向中央より先端
側または基端側にあるものを用いた場合には、それぞれ、末梢側または中枢側に
血液をより確実に送血することができ、補助循環効果を確実に発揮するという利
点がある。 なお、本発明のバルーンおよびバルーンカテーテルは、上記大動脈内用バルー
ンカテーテルとして用いられるものに限らず、例えば、PTCA用バルーンカテ
ーテル、血管内視鏡、各種モニター用カテーテル、血栓除去用バルーンカテーテ
ルなどのバルーンおよびバルーンカテーテルとして用いることもできる。 また、本発明のバルーンカテーテルの構成も、図示のものに限定されないこと
は、言うまでもない。 〈発明の効果〉 以上述べたように、本発明によれば、バルーンの柔軟性、強度および耐久性を
十分に確保した上で、バルーンの厚さを薄くすることができる。 これにより、本発明を大動脈内用バルーンカテーテルに適用した場合には、バ
ルーンのラッピングを容易に行なうことができ、しかも、ラッピングしたときの
バルーン装着部分の外径を小さくすることができる。そして、バルーン装着部分
の外径が小さくなるので、バルーンカテーテルの経皮的挿入が容易となり、また
、挿入器具であるシースの径を小さくすることができ、その結果、患者の負担が
軽減されるとともに、虚血等が防止され、合併症の発生を抑制する。 また、バルーンの外層が、血液適合性、特に、抗血栓性を有する弾性材料で構
成されているため、長期間にわたり継続して使用した場合でも、バルーンへの血
栓の付着等がなく、バルーンから離脱した血栓による虚血等が防止され、合併症
の発生を抑制する。
【図面の簡単な説明】 第1図は、本発明のバルーンカテーテルの構成例を示す部分縦断面図である。 第2図は、本発明のバルーンカテーテルの他の構成例を示す部分縦断面図であ
る。 第3図は、本発明のバルーンの構成を拡大して示す縦断面図である。 符号の説明 1、1’…バルーンカテーテル 2…管状体 3…バルーン 30…薄肉部材 31…内層 32…外層 4…芯材 40…管状芯材 5…先端部材 6…管状体ハブ 7…芯材ハブ 8…開口部 9…ルーメン 10…分岐ハブ 11…ルーメン 12…開口部 13…管状芯材ハブ

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1)駆動流体の注入、抜去に伴って内容積を拡張、縮小しうるバルーンであっ
    て、 結晶性プラスチックスよりなる内層と、該内層と一体的に形成され、血液適合
    性を有する弾性材料よりなる外層とを少なくとも有する積層体よりなる薄肉部材
    で構成され、 前記内層と外層は、2色成形またはインサート成形により、あるいは予め成形
    された2層チューブをその長さ方向に延伸しながらブロー成形することにより、
    前記薄肉部材の内面および外面、ならびに前記内層と前記外層の境界がいずれも
    平滑となるよう一体的に形成されたものであることを特徴とするバルーン。 (2)内部にルーメンを有する管状体と、該ルーメンと連通する請求項1に記載
    のバルーンとを少なくとも有することを特徴とするバルーンカテーテル。

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