JP2515735B2 - 光ディスク原盤のカッティング方法 - Google Patents

光ディスク原盤のカッティング方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、トラック中心を光スポットで追跡するため
のトラッキング方式に関し、特に案内溝(プリグルー
プ)を用いる回折差動法、いわゆるプッシュプルトラッ
キング法と、トラック中心から左右に振り分けたウォブ
ルピット(チドリマーク)を用いるウォブルトラッキン
グ法との複合方式のトラッキング方式に用いるのに好適
な光ディスク原版のカッティング方法に関する。本発明
のカッティング方法は、録再可能な追記型光ディスク装
置並びに消去可能型光ディスク装置等の光ディスクファ
イル装置に用いて好適である。
〔従来の技術〕
プッシュプルトラッキング法は、回転方向に沿って予
め設けられた案内溝を有する光ディスクを用い、この光
ディスクに光スポットを照射し、その反射光の案内溝に
よる回折分布のアンバランスを用いてトラッキング誤差
を検出し、サーボ系を構成する方式であり、例えば、特
開昭54−130102号公報に開示されている。このプッシュ
プルトラッキング法は、回折分布を利用する方式である
ため、ディスクに偏心や傾きなどに起因するオフセット
を生じやすく、光スポットをトラッキング中心に精度よ
く位置させることができないという問題があった。
この問題を解決するため、プッシュプル法とプリウォ
ブリング法の2つのトラッキング方式を組みあわせたコ
ンポジット・トラックウォブリング方式というトラッキ
ング方式が提案されている(例えば、光メモリシンポジ
ウム'85論文集第181頁〜第188頁(1985年12月、光協
会)参照。)。このトラッキング方式は、トラッキング
案内溝(プリグループ)を用いたプッシュプルトラッキ
ングループと、トラック中心から左右に振り分けた1対
のプリビット(プリウォブルマーク)を用いたウォブリ
ングループとを複合した2重サーボ構造となっており、
プシュプルループで発生を余儀なくされるオフセットを
ウォブリングループが抑圧せしめる構成となっていた。
しかし、プリグループによるトラッキング信号の中
心、即ちプシュプル・エラー信号の中心部と、実際に読
出すべきプリビットされたデータの中心、即ちウォプリ
ング・エラー信号の中心とが一致しない場合についての
配慮がなされおらず、隣接する案内溝間の平坦な領域に
ユーザデータビットを記録する溝間記録を行なう場合、
問題があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
コンポジット・トラックウォブリング方式を用いて溝
間記録を行なう場合の問題点につき、第8図を用いて説
明する。
コンポジットプリウォブリング方式で溝間記録を行な
うときのトラック構造の一例を第8図(a)に示す。す
なわち隣接する案内溝1,1′の間に1体のプリウォーブ
ルマーク2a,2bが間欠的に設けられている。6は、アド
レス情報などを表わすために予め設けられたプリフォー
マットビットである。第8図(a)のような構造のディ
スクをカッティングするために考案されている原盤レー
ザ記録装置(原盤カッティング装置)の一例を第8図
(c)に示す。溝間記録方式の場合には、レーザ源139
からのレーザビーム140をハーフミラー又はハーフプリ
ズム等の光ビーム分離手段によって案内溝カッティング
用ビーム145とプリウォーブルピットカッティング用ビ
ーム144に分け、2ビームでディスク原盤110に塗布され
たホトレジスト層を露光することにより、カッティング
を行なう。プリウォブリングピット用のビーム144は、A
O変調器146で強度変調を行なうとともに、AO偏向器147
でウォーブルマークの中心7に対して左右に所定量だけ
ビームを偏向させて、1対のプリウォーブルビット2a,2
bを間欠的に形成させる。このようにカッティング方式
は、案内溝1とウォーブルビット2は別々のビームでカ
ッティングするものであった。
しかし、第8図(c)の様なカッティング方式では以
下のような問題点が生じる。すなわち、第8図(a)に
おいて、理想的には1対のプリウォーブルマーク2a,2b
の中心線7は案内溝間の中心線5と一致するはずである
が、実際には案内溝1を記録するためのビームと、プリ
ウォーブルビットおよびプリフォーマットビットを記録
するためのビームとは別々のビームによってカッティン
グされるので、両ビーム間の距離Dが常にトラックピッ
チpの1/2と一致する保証はない。したがって、プリウ
ォーブルマークの中心線7と案内溝間の中心線5の間に
ズレΔdが生じる。このΔdは第8図(c)の装置にお
いて、ボールネジ162のピッチむら等によるトラックピ
チpのむらや、ハーフミラー142の設定誤差および経時
変化等によるビーム間隔Dの変動によって発生する。
コンポジット・トラックウォブリングトラッキング法
では、サーボ系の目標点が、プリフォブリングマークの
中心線7であり、光スポットは正しくサーボが働くと中
心線7の上にあることになる。一方、プッシュプルトラ
ッキング系の目標点は案内溝間の中心線5であるが、低
周波領域ではプリウォブルサーボ系の利得の方が高く光
スポトは中心線5からずれた7の位置にあるため、第8
図(b)のようにプッシュプル動作曲線11の平衡点5
(8)からΔdだけずれた位置10が動作点となる。プリ
ウォブルトラッキング系は低周波の外乱にのみ有効であ
るから、高周波の外乱に対してはプッシュプルトラッキ
ング系が動作曲線11によって制御動作を行なうが、動作
点が10であるので正方向へ加わる外乱に対する動作範囲
M1と負方向へ加わる外乱の動お範囲M2が等しくなり、第
8図(b)の場合、正方向の外乱に対しては動作領域が
かなり狭まってしまう。なお、点線15は、プリウォブル
サーボ系の動作曲線を示す。
したがって、コンポジット・トラックウォブリングに
よるトラッキング方式で溝間記録を行なうためには案内
溝間の中心線5とウォブルビットの中心線7とのズレΔ
dを極力小さく押えないと、特定方向の外乱に対してサ
ーボ系が弱くなる。このズレΔdとしては、実用上0.05
μm以下程度の精度が要求されるが、機械精度などから
Δdを0.05μm以下に常に押えこむのは非常に困難であ
る。
本発明の目的は、コンポジット・トラックウォブリン
グ方式の優れたビット中心追跡性能を損うことなく、プ
ッシュプルエラー信号の中心とウォブリング・エラー信
号の中心との誤差による動作点シフト量を低減し、安定
かつ高精度なトラッキングが可能な光ディスクを作るの
に好適な原盤のカッティング方法を提供することにあ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、光ディスク媒体の情報層に回転方向に沿
って複数回転の溝を設けておくと共に、隣接しあう2つ
の溝間に、一方の溝の中心線から所定量だけ離れて設け
られたピットと他方の溝の中心線から同じく所定量だけ
離れて設けられたビットからなる1ペアのウォブルピッ
トを間欠的に設け、溝の間を情報記録トラックとする光
ディスク媒体の原盤カッティング方法において、光ディ
スク原盤を回転させながら単一の光ビームを偏向するこ
とにより、溝及びその両側に配置された異なるペアに属
する2つのビットをカッティングすることにより、達成
される。
〔作用〕
本発明によれば、隣接しあう2つの案内溝間に間欠的
に設けられる少なくとも1対のウォブルビットを、一方
の案内溝の中心線から所定量だけウォブルされたビット
と他方の案内溝の中心線から同じ所定量だけウォブルさ
れたビットとで構成し、溝とウォブルビットとを同じビ
ームで形成(カッティング)するので、その結果、原盤
カッティング時に生じるトラックピッチpの変動やビー
ム間隔Dの変動に関係なく、ウォブルビットの中心線を
案内溝間の中心線と実質上一致させることができ、プッ
シュプル誤差信号の中心とウォブリング誤差信号の中心
との誤差による悪影響なく、安定かつ高精度なトラッキ
ングを行ないながら案内溝間のランド部にデータを記
録、再生することができる。尚、ウォブルビットの中心
線と案内溝間の中心線との位置精度は、主に、原盤カッ
ティング時のウォブル幅ΔWの精度に依存するが、これ
は音影光学偏向器(AO偏向器)に入力される超音波周波
数の安定度で決まり、その発振器として水晶発振器を用
いれば、0.05μm以下の高精度を容易に実現できる。
また、ウォブリング誤差信号を非線形信号とし、ウォ
ブリングサーボ系を非線形(k・Xm)な構成とするの
で、この非線形なウォブリング・サーボ系は、プシュプ
ル・サーボ系に生じているトラックずれが小さいときに
は小さく、また大きなトラックずれに対しては大きく作
用し、常に一定の許容値内にオフセットを抑圧せしめる
ように動作することもできる。
それによって、原盤ディスク作成時に生じてしまうオ
フセット,即ちプシュプル・エラーの中心とウォブリン
グ・エラーの中心との物理的偏差のような小さなトラッ
クずれ要因に対しては、オフセットの抑圧力は小さくな
り、プシュプル・エラー信号の動作点シフトが抑えら
れ、結果として高域においても安定したトラッキング特
性を維持することができ、安定かつ高精度なトラッキン
グを行ないながら案内溝間のランド部にデータを記録、
再生することができる。
〔実施例〕
以下、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
第1図は本発明で用いる記録担体100の一例を示す平
面図である。矢印で示される区域Aは記録領域を示し、
この領域にはスパイラル状又は同心円上にトラックが一
定のピッチで設けられている。トラックの1回転は多数
の領域121,122,123,…に分割され、例えば64個の領域に
分割されている。これら領域はセクタと呼ばれ、情報の
書き込み、読み出し、あるいは消去を行なう際の最小単
位である。セクタ121,122,123…の各々は、プリフォー
マットビットが形成しておくヘッダ領域130と、ユーザ
が光スポットを用いて情報を記録するデータ領域131を
有する。少くともデータ領域132には、案内溝1,1′,1″
…がスパイラル状又は同心円状に多数回転設けられてい
る。第1図では、トラック中心は隣接しあう2つの案内
溝1と1′,1′と1″の間の中心線5に一致し、この中
心線に沿って情報は案内溝間のランド部に記録される。
尚、図では、案内溝1,1′,1″…は、ヘッダ領域130に
おいて一部切断されているが、データ領域132及びヘッ
ダ領域130のすべてにわたり連続した切れ目のない案内
溝としてもよい。各ヘッダ領域130には、隣接する2つ
の案内溝1,1′にはさまれて、1対のウォブルビット2
a′と2bおよびプリフォーマットビット6が設けられて
いる。隣接する2つの案内溝1,1′又は1′,1″にはさ
まれて設けられる1対のウォブルビット2a′,2b又は2
a″,2b′は、一方の案内溝1又は1′の中心線から所定
量(ウォブル幅)ΔWだけウォブルされて設けられた長
円ビット2b又は2b′と、他方の案内溝1′又は1″の中
心線から同じ所定量ΔWだけウォブルされて設けられた
長円ビット2a′又は2a″とから構成される。一対の長円
ビット2a,2b又は2a′,2b′もしくは2a″,2b″は、原盤
カッティング時に案内溝1又は1′もしくは1″を形成
するレーザビームを、案内溝の中心線に対し所定量ΔW
だけ左右にウォブルすることにより形成される。
ウォブル幅ΔWは、トラックピッチである案内溝間隔
pの1/2以下にするのが好ましく、本実施例ではp/4であ
る。プリフォーマットビット6,6′は、トラックを識別
するためのトラックアドレスや当該セクタを指定するた
めのセクタアドレス等の、当該セクタ内の情報を管理す
るために必要なアドレス情報及び同期信号であり、これ
らプリフォーマットビット6,6′は、案内溝間のほぼ中
心線に沿って設けられる。プリフォーマットビット6,
6′は、原盤カッティング時には、案内溝及びウォブル
ビットを形成するためのレーザビームとは別のレーザビ
ームによって形成される。記録、再生又は消去のための
光スポット4は、案内溝による回折光から案内溝間の中
心線5を目標とするプッシュプルトラック誤差信号を検
出するとともに、案内溝1の中心線からΔWだけウォブ
ルされた長円ビット2bと案内溝1′の中心線からΔWだ
けウォブルされた長円ビット2a′とで構成される一対の
ウォブルビットから長円ビット2bと2a′の間の中心線7
を目標とするウォブルトラック誤差信号を検出し、これ
らプッシュプルトラック誤差信号とウォブルトラック誤
差信号によって案内溝間の中心線に位置づけされ、案内
溝間のランド部にデータビット3の記録、再生又は消去
を行なう。本実施例では、1対のウォルビット2a′,2b
又は2a″,2b′の中心線7又は7′は、案内溝間隔pの
変動等に関係なく、隣接する案内溝1,1′又は1′,1″
の間の中心線5又は5′と実質上一致するので、プッシ
ュプルトラック誤差信号の目標点とウォブルトラック誤
差信号の目標点とのズレによる悪影響なく、安定かつ高
精度なトラッキングを行なうことができる。
第1図の例では、1対のウォブルトラックピット2
a′,2bは、各セクタの先頭を示すセクタマークとの兼用
で配置されているが、他の位置、例えばセクタマークの
アドレス信号との間、あるいはアドレス信号等のプリフ
ォーマットビットとデータ領域の間のギャップに配置し
てもよい。なお、ヘッダ領域に設けられるウォブルピッ
ト及びプリフォーマットビットは、記録,再生又は消去
に使用する光スポットの波長に対して、1/4になる光学
的深さ(物理的深さ×ディスク基板の屈折率)の位相構
造(凹凸ビット)とするのが好適である。また、案内溝
は、1/8〜1/4波長深さの位相構造(プリグループ)とす
る。
第2図に第1図の記録担体100の半径方向断面図を示
す。113はプラスチック等の透明な光ディスク基板であ
り、上述したウォブルビット、プリフォーマットビット
及び案内溝を形成したディスク原盤から、レプリケーシ
ョンによって大量複製される。このウォブルビット、プ
リフォーマットビット及び案内溝つき光ディスク基板11
3の表面に、必要に応じて保護層112でははさみ込まれた
所望の記録膜111を形成することにより、記録担体100が
得られる。記録膜111としては、記録形態に応じて種々
のものが用いられる。例えば、穴明け記録の場合、Teを
主組成とする例えばTeSePb膜が用いられ、光磁気記録で
はTaFeを主組成とする例えばTeFeCoの垂直磁化膜が用い
られ、また相変化記録では、例えばTe系の非晶質膜が用
いられる。更に、ディスク構造としても種々のものがあ
り、図示のような片面記録の単板構造や、両面記録の密
着粘合せ構造及びエアーサンドイッチ構造がある。尚、
保護層112は必要に応じて設ければよく、例えば穴明け
記録のエアーサンドイッチ構造では保護層112は保護層1
12を設けない方が好適である。
第3図(a)は、第1図に示したトラック構成を記録
するレーザ記録装置の一例を示す概略構成図であり、デ
ィスク原盤に塗布されたホトレジスト膜に、上述のウォ
ブルビット、プリフォーマットビット及び案内溝(プリ
グループ)を露光する原盤カッティング装置である。第
3図(c)はその詳細を示すブロック図である。
レーザ光源39から発光されたレーザビーム40はレンズ
41を経て、ハーフプリズム等のビームスプリッタ42へ入
射し、2つのビームに分割される。その一方のビーム44
は音響光学変調器(AOM)46と音響光学偏向器(AOD)47
によって変調、偏向されウォブルビットと案内溝を露光
記録するためのビームとして使用される。一方、ビーム
スプリッタ42で分岐された他方のレーザビーム45は音響
光学変調器(AOM)50で変調され、プリフォーマットビ
ットを露光記録するためのビームとして使用される。AO
D47,AOM50からのビーム44,45は反射鏡48,51によって所
定の角度をなして対物レンズ(チ光レンズ)49に入射さ
れ、ディスク原盤110に塗布されたλ/4(λ;ユーザデ
ータの記録再生用レーザ光の波長)厚さのホトレジスト
膜にそれぞれスポット44′,45′として径方向に沿って
所定距離隔てて集光される。ディスク原盤110は、モー
タ63によって回転しており、また送り制御装置61,ボー
ルネジ62によって径方向に一定速度で送り制御されてい
る。2つの集光されたレーザスポット44′と45′間の距
離Dは、トラックピッチである案内溝間の間隔p(例え
ば、1.6μm)の2分の1(例えば0.8μmとなる)に設
定されるが、機械的精度ならびにレーザビーム光路長の
差などの要因によって誤差が生じる。しかしながら、本
実施例では、ウォブルビットと案内溝を同じレーザビー
ム44で露光記録し、レーザビーム45はプリフォーマット
を露光記録するためにのみ使用するので、スポット44′
と45′間の距離Dの変動は、案内溝間の中心線5とフォ
ルブルビット間の中心線7との位置ずれに何ら影響を与
えない。また、ボールネジ62のピッチむら等によって、
トラックピッチである案内溝間隔pが変動するが、この
変動も案内溝間の中心線5とウォブルビット間の中心線
7との位置ずれに何ら影響を与えない。
なお、第3図(a)における反射鏡43′は、レーザ光
源39からのレーザ光の光路を変更するために設けたもの
であり、第3図(c)のように省略してもよい。また、
ビームスプリッタ42によって分割したレーザビームのう
ち、いずれを案内溝及びウォブルビットの露光記録用に
使用してもよい。第3図(a)ではビームスプリッタ42
によって反射されたビームをプリフォーマットの露光記
録用として、透過したビームを案内溝及びウォーブルビ
ットの露光記録用としているに対し、第3図(c)で
は、その逆に使用している。
フオーマッタ52は露光記録すべきフオーマットを管理
している。音響光学変調器(AOM)46及び50の入力は、
数十〜数百メガヘルツの特定の単一周波数信号であり、
その高周波信号の振幅の大きさに比例してAOMを通過さ
せるレーザの光量が変調される。したがって、AOM46,50
の駆動回路57,58はフォーマッタ52からの制御信号M,Gを
高周波でAM変調する機能を有する。本実施例では、発振
周波数250MHzの発振器(OSC)57,58を用いた。一方、音
響光学偏向器(AOD)47の入力は周波数が変化する高周
波信号であり、特定の周波数範囲において、AODに入力
される周波数とAODから出射されるレーザビームの偏向
角が比例する。したがって、AOD47の駆動回路60は3つ
の偏向角のうち、どの偏向角を選択するかを指示する制
御信号、f+,f0,f-によって発振周波数を変化させる機
能を有する。本実施例では、第3図(c)に図示のよう
に、互いに発振周波数の異なる(実施例では、それぞれ
260MHz,250MHz,240MHzである)3つの発振器(OSC)53,
54,55と、これら発振器の出力を合成するパワーコンバ
イナ56とで構成した。なお、これら発振器としては安定
度の点から水晶発振器を用いるのが好適である。
次に、第3図(b)を用いて、制御信号f+,f0,f-,
M,Gのタイミングの関係を説明する。信号f+はウォー
ブルピット2a,2a′,2a″…を形成するために必要な偏向
角に対応する発振周波数を有する発振器53の起動を指令
する信号であり、同様に信号f0は案内溝1,1′,1″…形
成するために用いられる発振器54を、信号f-はウォーブ
ルピット2b,2b′,2b″…を形成するために用いられる発
振器55をそれぞれ制御する信号である。一方、音響光学
変調器(AOM)46を制御する信号Mは、波高値がAOM46か
ら得られるレーザビームの強度、すなわちビットの深さ
に対応し、案内溝部ではウォーブルピット部よりも波高
値は小さい。これは、1/4深さのウォブルピットと、λ/
8深さの案内溝を形成する為である。また、プリフォー
マットピット5,6′…を形成するためのレーザビーム45
を変調するための制御信号Gも同様に波高値がビーム強
度に対応する。本実施例では、λ/4深さのプリフォーマ
ットピットを形成する。以上5つの制御信号は第3図
(b)に示されるタイミング関係とすることにより図1
のようなトラック構造を有するディスク原盤が得られ
る。すなわち、案内溝1,1′,1″…中心線に対し左側に
ウォブルするときには、フォーマッタ52から信号f+を
出力し、260MHzの高周波発振器53の出力を得、パワーコ
ンパイナ56を経由して音響光学偏向器(AOD)47を駆動
し、レーザスポット44′が案内溝1の中心線に対しウォ
ブル幅ΔWだけ左側に集光するように設定し、また、フ
ォーマッタ52からパルス信号Mを出力することによっ
て、高周波発振器57から250MHzの高周波が出力し、音響
光学偏調器(AOM)46はレーザビーム44を信号Mのパル
ス期間のみ通過させ、ウォブルピット(左側ウォブルマ
ーク)2a,2a′,2a″…が露光記録される。同様に、案内
溝1,1′,1″,…を露光する場合には、フォーマッタ52
から信号f0を出力し、発振器54を駆動し、案内溝の中心
線に対し右側にウォブルするときは、フォーマッタ52か
らの信号f-によって発振器56を駆動し、信号Mによって
音響光学変調器(AOM)46のオン・オフ動作を行ない、
また、フォーマッタ52からの信号Gを高周波発振器58に
与えることによって、もう一方の音響光学変調器(AO
M)50でレーザビーム45を遮断または通過状態にし、プ
リフォーマッタ6,6′…を露光記録することができる。
本実施例では、ウォーブル幅ΔWをP/4としているた
め、ウォブリングトラッキング信号の感度が高く、良好
なトラッキング信号が得られる。
なお、実施例では、変調器としては音響光学変調器を
用いたが、電気光学変調器(EOM)など他の変調器の使
用も当然可能である。また、ウォーブルマークは2a,2b
の1つづつの長円ピットで形成したが各々を複数個づつ
で1個のプリウォーブルマークとすることは、トラック
エラー信号をより確実に検出するために有効である。さ
らに、本実施例で、ウォーブルマーク部では案内溝を中
断させたが、制御信号f0,Mを適当に変更すれば、ウォー
ブルマーク部でも案内溝を、切れ目のない連続したもの
とすることも可能である。
なお、第3図の装置によって露光記録されたウォブル
ピット、案内溝及びプリフォーマットピットは、その部
分を現象で溶出して形成せしめ、例えば、ニッケル電鋳
メッキすることでスタンパとし、レプリケーションによ
ってウォブルピット1案内溝(プリグループ)及びプリ
フォーマットビットつき光ディスク基板とし大量補製さ
れ、その表面に所望の記録膜を形成して図1の記録担体
が得られる。
第4図は、本発明のトラッキング方式を実施する記録
再生装置の一例を示す構成図であり、図1の記録担体
(光ディスク)を用いた光ディスク装置である。
半導体レーザ20からのレーザビーム21は、レンズ22に
より平行光となり、ハーフミラー等のビームスプリッタ
23で反射され対物レンズ24によって光ディスク100のプ
リグループ1と1′の中間ランド部に光スポット4とし
て集光し、その反射光は、ビームスプリッタ23を透過
し、プリズム25およびレンズ26によってディテクタ27の
受光面A,B,Cにそれぞれ集光される。ディテクタ27の受
光面AとBには、プリグループによる回折分布が受光さ
れており、差動減算器28で差動をとることにより、ブシ
ュブル・トラックエラー信号11となる。つまの、光スポ
ット4がプリグループ間のランド部にある場合、光スポ
ットは2つのプリグループ1,1′にまたがって広がり、
受光面AとBには回折による干渉パターンが受光されて
いる。光スポット4が溝間の中心線5と一致している場
合には、この干渉パターンは中心線5に対して対称であ
るが、中心線5からずれると干渉パターンの対称性がく
ずれるので、受光面AとBの差動出力が零でなくなり、
トラック誤差が検出できる。一方、ディテクタ27の受光
面A,B,Cの総和、即ち、ディスク面からの反射総光量を
加算器29によって検出し、タイミング回路30によってウ
ォブルピットを分離・判別し、それぞれのピット2a′,2
bの波高値をサンプルホールド回路31に記憶し、減算回
路32によって、ウォブルピットの前段波高値と後段ピッ
ト波高値との差動をとり、30Hzのローパスフィルタ33を
経由し、ウォブリング・トラックエラー信号15を得る。
ウォブルマーク(ウォフルピット)2a′,2bによるト
ラッキングエラーの検出法を第5図を用いて説明する。
図には、光スポット4が図示のbのように、ウォブルピ
ット2a′,2b間の中心線上を正しくトレースした場合
と、進行方向左側にずれてaをトレースした場合の光検
出器が受ける総信号光量の変化をそれぞれ実線、破線で
示す。光スポット4がウォブルピット2a′,2bの中心線
5上を正しくトレースすると、光スポットはウォブルピ
ット2a′,2bとも等しくかかるため、総信号光量は実線
bのように、ピット2a′,2bをそれぞれを通過する際に
同じ量だけ減少する。一方、光スポット4が左側にずれ
てaの様にトレースすると、ピット2a′には大きく光ス
ポットがかかるため、ピット2a′上を通過する時には信
号光量が大きく低下するが、反対にピット2bについては
変化が小さく、したがってピット2a′と2bで信号光量に
差Δεを生じる。このΔεは光スポットが反対側の0に
ずれると、その符号は反転する。すなわち、Δεが光ス
ポット4のトラックずれ量に対応することになる。この
Δεは総光量信号だけから得られるのでオフセット成分
の影響を受けず、常に、光スポット4のウォブルピット
の中心5からの正しいズレ量を表わす。したがって、ト
ラック一周にこのようなウォブルピット2a′,2bを数十
カ所程度設けることにより、トラッキング信号の低周波
成分について正確な信号が得られる。プッシュプルトラ
ックキングで発生するオフセット成分の大部分は低周波
成分であるので、案内溝1,1′から得られるプッシュプ
ルトラックキング信号とウォブルマーク2a′,2bから得
られるウォブルトラッキング信号の両者を組みあわせ、
低周波領域ではプリウォブル信号の比率を高めるように
制御系を構成することにより、プッシュブル法のオフセ
ット成分の影響を受けずに安定なトラッキングを行なう
ことができる。
従って、加算回路35によって、プッシュプルトラック
誤差信号11とウォブルトラック誤差信号15とを加算し
て、プッシュプルサーボ系と、ウォブルサーボ系との複
合トラック誤差信号17を得て、位相補償回路36,増幅器3
7を経て、レンズアクチュエータ38を駆動せしめ、トラ
ックの追跡動作を行なう。本実施例によれば、ウォブル
ビット2a′,2bの中心線7が案内溝1,1′間の中心線5と
実質上一致するので、プッシュプルトラック誤差信号11
の目標点と、ウォブルトラック誤差信号15の目標点との
誤差による悪影響なく、安定かつ高精度なトラッキング
を行ないながら、案内溝間のランド部にデータピット3
を記録、再生することができる。なお、データピット3
は、例えば穴明け記録の場合、記録すべき情報に応じて
強度変調された光スポット4を記録膜111に照射し、該
記録膜の温度を局部的に上昇させてその部分の記録膜を
溶融、蒸発させることにより記録される。また、光磁気
記録の場合は、記録膜の温度を局部的に上昇させて磁化
を局所的に消失せしめ、その部分にその周囲の磁化方向
と逆方向の磁場を外部(例えば、ディスク100をはさん
でレンズ24に対して設けられた電磁石)より印加して、
高出力の光によって照射された部分だけに逆向きの磁化
をもつ領域を形成して記録される。
上記の実施例では、隣接する2つの案内溝間に間欠的
に設けられる1対のウォブルビットを、一方の案内溝の
中心線から所定量だけウォブルされたピットと他方の案
内溝の中心線から同じ所定量だけウォブルされたピット
で構成し、該1対のウォブルピットによって、その中心
線を目標とするウォブルトラック誤差信号を検出するこ
とによって、プッシュプルサーボ系の動作点シフトを抑
える場合について説明したが、本発明はこれに限らず、
電気回路的にプッシュプルサーボ系の動作点シフトを抑
えることもできる。その実施例について以下説明する。
第6図は、その動作原理を説明する図であり、プリグ
ループ1と1′との中間位置、即ちランド中心5と、溝
間ランド記録における2ビーム原盤カッティング時のビ
ーム間距離Dの精度不良によって、プリフォーマットビ
ット6の中心線7(第8図(a)におけるウォブルピッ
ト2a,2bの中心線)との間で誤差Δdが生じている状態
(第6図−e)のディスクを使用した際に、プリグルー
プによるプシュプル・トラックエラー信号(第6図−
a)、ウォブルマークによるウォブリング・トラックエ
ラー信号(第6図−b)、非線形に修正したウォプリン
グ・トラックエラー信号(第6図−c)ならびにプッシ
ュプル・トラックエラーとウォプリング・トラックエラ
ーとを複合した際の500Hz以上の高周波域における複合
トラックエラー信号(第6図−d)を示す。偏心な傾き
によるオフセットがない状態におけるプシュプル・トラ
ックエラー信号は、通常プリグループ1と1′とを結ぶ
S字曲線11となっており、そのトラッキング目標点8
は、ランド中心(溝間の中心線)5と一致している。ま
た、ウォプリング・トラックエラーS字曲線15のトラッ
キング目標点9は、プリフォーマットピット6の中心線
7を示しており、従来のコンポジット・トラッキング法
では原理的にこの目標点9の方へプシュプル目標点8を
シフトさせ、新たな目標点10を得ることになる。しか
し、このような目標点がシフトすることは、シフト量13
をベースとする新たなプッシュプル・トラックエラーの
S字曲線12となってしまい、上方向のS字に対する余裕
14が大きくなってしまい、プリピット中心を正確にトラ
ッキングする反面でサーボ系の安定度が不足してしまう
ことになる。そこで、ウォプリング・トラックエラのS
字曲線を任意関数発生回路(実施例では2乗関数)によ
って非線形S字曲線16に変換し、該非線形S字曲線をも
って、プッシュプル・トラックエラー信号のS字曲線と
複合せしめることによって、シフト量13′が比較的少
く、トラッキング余裕14′の大きな複合トラッキングエ
ラー信号17′を得、トラッキング目標を18とするトラッ
キング動作が行なわれる。
第7図は、本発明のトラッキング方式を実施する記録
再生装置の一実施例を示す構成図であり、例えば第8図
に示したようなカッティング装置によって形成され、案
内溝間の中心線5とウォブルピットの中心線7とに位置
ずれがある光ディスクを用いても、その位置ずれによる
プッシュプルサーボ系の動作シフトを低減し、安定かつ
高精度なトラッキングを行いながら、案内溝間のランド
部にデータピットを記録、再生することができる光ディ
スク装置である。本実施例の装置は、第4図の装置にお
いて、LPF33と加算器35の間に任意関数発生回路34を挿
入し、ウォブルトラック誤差信号15を非線形信号(実施
例では2乗関数信号)16に変形したものである。即ち、
第8図(c)の如き装置によって形成されたトラック構
造を有する光ディスクを用いた場合、ウォブルピット2
a,2bから得られるウォブルトラックエラー信号15は、ラ
ンド部のブリフォーマットピット6の中心を示している
が、プリグループ1と1′の中間位置との誤差がある場
合のブシュプル系動作点シフト量を抑えるために、任意
関数発生回路34によって非線形(実施例では2乗関数)
信号16に変形し(第6図−c)、加算回路35によって、
プッシュプル系とウォブリング系と複合エラー17′(第
6図−d)となり、位相補償回路36,増幅器37を経て、
レンズアクチューエータ38を微動せしめ、トラックの追
跡動作を行なう。
本実施例によれば、プッシュプル・トラックエラー信
号の中心点とウォプリング・トラックエラー信号の中心
点とが誤差をもっている場合においても(実施例では、
0.07μm〜0.1μm)プシュプル・サーボ系の動作点シ
フトが抑えられ、コンポジット・トラックウォブリング
方式のトラッキング制御の安定化に効果がある。
〔発明の効果〕
以上述べた如く本発明によれば、溝とウォブルピット
を同一のビームで原盤カッティングすることによって、
溝間記録用のディスクがカッティッング装置の機械精度
を上げることなく容易かつ精度よくカッティングするこ
とができる。その結果、光ディスクの生産性向上がはか
れる。
作成された光ディスクを用いれば、コンポジット・ト
ラックウォブリング方式の優れたトラック中心追跡性能
を損うことなく、プッシュプルトラック誤差信号の中心
とウォブルトラック誤差信号の中心との誤差による動作
点シフトを低減し、安定かつ高精度なトラッキング追跡
を実現できる。
また、溝間トラッキング記録方式の原盤カッティング
時におけるビーム間精度が悪い場合においても、原盤作
成時の大幅な歩止り向上の効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明で用いる記録担体の一例を示す平面図、
第2図は本発明で用いる記録担体の一例を示す断面図、
第3図は図1の示した記録担体のトラック構造を形成す
るためのレーザ記録装置の構成及びその動作を説明する
図、第4図は本発明のトラッキング方式を実施する記録
再生装置の一例を示す構成図、第5図はウォブルピット
によるトラッキングエラー信号の検出法を説明するため
の図、第6図は本発明の他のトラッキング方式の動作原
理を説明するための図、第7図はそれを実施する記録再
生装置の一例を示す構成図、第8図は従来のコンポジッ
ト・トラックウォブルトラッキング方式の問題点を説明
するための図である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光ディスク媒体の情報層に回転方向に沿っ
    て複数回転の溝を設けておくと共に、隣接しあう2つの
    上記溝間に、一方の溝の中心線から所定量だけ離れて設
    けられたピットと他方の溝の中心線から上記所定量だけ
    離れて設けられたピットからなる1ペアのウォブルピッ
    トを間欠的に設け、該溝の間を情報記録トラックとする
    光ディスク媒体の原盤カッティング方法において、該光
    ディスク原盤を回転させながら単一の光ビームを偏向す
    ることにより、上記溝及びその両側に配置された異なる
    ペアに属する2つのピットをカッティングすることを特
    徴とする光ディスク原盤のカッティング方法。
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