JP2513718Y2

JP2513718Y2 - コンクリ―ト製品用型枠装置

Info

Publication number: JP2513718Y2
Application number: JP645793U
Authority: JP
Inventors: 敏治星田
Original assignee: 株式会社九州セフテイ
Priority date: 1993-01-28
Filing date: 1993-01-28
Publication date: 1996-10-09
Anticipated expiration: 2006-10-09
Also published as: JPH0659015U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンクリート製品用型
枠装置に係り、更に詳しくは、効率良く孔開け作業がで
きるコンクリート製品用型枠装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、コンクリート製品としての土管
には、内部に水路を形成する貫通孔が設けられている。
従来、このような土管の製造にあっては、型枠を組む際
に、型枠内に金属管や塩化ビニル管を横架し、コンクリ
ートが生乾きの状態でこの管を引き抜く方法がある。し
かし、この方法では、コンクリート打設時に、管がスム
ーズに引抜け、しかも管を抜いても貫通孔は変形しない
ような適当なコンクリートの固化時期に管を抜かなけれ
ばならず、作業効率が悪い。また、金属管などをコンク
リートから引抜く際には、管に生乾きのコンクリートが
付着して引きずられることにより、貫通孔の内周面が粗
れてしまう虞れがある。しかも、使用後に十分に洗浄さ
れていない管を再使用すると、管周面に付着したコンク
リートは固化しているので、この付着物が管を引抜く際
の抵抗になり、スムーズに管が抜けないという問題点が
あった。

【０００３】そこで、このような問題点を解消する他の
従来手段として、前記金属管などの代わりに風船状のゴ
ムチューブを用いるものが知られている。このものは、
型枠内にゴムチューブを横架し、ゴムチューブ内に空気
を圧入した後にコンクリートを打設し、乾燥した後にゴ
ムチューブ内の空気を抜き、ゴムチューブを引き抜いて
貫通孔を形成するものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たゴムチューブを用いたものでは、コンクリート打設後
にコンクリートから引き抜かれたゴムチューブの損傷が
激しく、再使用時の空気を圧入する際に、ゴムチューブ
がパンクして貫通孔が潰れてしまい不良品が発生するな
どの問題点があった。本考案はこのような事情に鑑みて
なされたもので、効率良く孔開け作業ができ、打設され
たコンクリートの孔内面の面精度が良好であり、不良品
の発生頻度が少ないコンクリート製品用型枠装置を提供
することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項１
記載のコンクリート製品用型枠装置は、外枠と、該外枠
内に着脱可能に配置される中枠とを有し、断面角形のコ
ンクリート製品製造用型枠装置であって、前記中枠は、
前記外枠間に横架される断面角形の内枠用ゴム管と、該
内枠用ゴム管内に配置される内面押圧支持部とを備え、
しかも前記内面押圧支持部は、該内枠用ゴム管の各側面
を内側から押圧可能な複数個の内面押圧用分割片と、該
それぞれの内面押圧用分割片の少なくとも片側を前記内
枠用ゴム管の内外方向に移動させる拡縮機構とを有する
構成としている。前記請求項２記載のコンクリート製品
用型枠装置は、請求項１記載の型枠装置において、前記
内枠用ゴム管の角部を肉厚に形成した構成としている。

【０００６】

【作用】請求項１、２記載のコンクリート製品用型枠装
置は、外枠内に、角形の内枠用ゴム管を横架し、内枠用
ゴム管内に内面押圧用支持部を挿入して、拡縮機構によ
り内面押圧用分割片を外方向に移動させ、内枠用ゴム管
のそれぞれの内面を内面押圧用分割片により内側から押
圧支持し、この状態で外枠内にコンクリートを打設し
て、コンクリートが乾燥固化した後に、拡縮機構により
内面押圧用分割片を内方向に移動させ、内面押圧用支持
部による内枠用ゴム管内面の押圧を解除させるととも
に、内面押圧用支持部を抜き取り、さらに内枠用ゴム管
を抜き取って孔を形成させるようにしたので、効率良く
孔開け作業ができ、また打設されたコンクリートの孔内
面の面精度も、コンクリートが固化した後に内枠用ゴム
管を抜き取ることにより良好であり、しかも仮に内枠用
ゴム管の一部が破損していても、内枠用ゴム管の内面に
はコンクリート打設時に内面押圧用分割片が当てがわれ
るので、不良品の発生頻度が少ない。特に、請求項２記
載のコンクリート製品用型枠装置においては、内枠用ゴ
ム管の角部が肉厚に形成されているので、コンクリート
打設時に、内枠用ゴム管の角部が内面押圧用分割片によ
り内側から支持されていなくても、打ち込まれたコンク
リートの圧力により、角部が変形することはない。

【０００７】

【実施例】続いて、添付した図面を参照しつつ、本考案
を具体化した実施例につき説明し、本考案の理解に供す
る。なお、この実施例では、コンクリート製品用型枠装
置として土管を例とする。ここに、図１は本考案の一実
施例に係るコンクリート製品用型枠装置の斜視図、図２
はコンクリート打設後における前記実施例のコンクリー
ト製品用型枠装置の断面図、図３は同正面図、図４はコ
ンクリート打設後における後壁を取り除いたコンクリー
ト製品用型枠装置の背面図、図５は前記実施例に使用さ
れる内面押圧用分割片の剥離時におけるコンクリート製
品用型枠装置の断面図、図６は図５のコンクリート製品
用型枠装置の後壁を取り除いた状態を示す背面図であ
る。

【０００８】図１に示すように、本考案の一実施例に係
るコンクリート製品用型枠装置１０は、主に容器状の外
枠１１と、外枠１１内に着脱可能に配置される中枠１１
ａとからなり、中枠１１ａは硬質ゴム製の中枠用ゴム管
２０およびコンクリート打設時に内枠用ゴム管２０を内
側から押圧して支持する内面押圧用支持部１２を有して
いる。前記外枠１１の底壁１３には、両側壁１４と、内
面の中央部に溝部１５ａが形成された後壁１５とが、そ
れぞれヒンジ１６により展開自在に取り付けられてお
り、また大きな略正方形の開口部１７が形成された前壁
１８が、底壁１３および両側壁１４の前端面に、前後方
向に取り外し可能に設けられている。なお、各壁１３、
１４、１５、１８の内面には、図外の鉄板が設けられ、
補強されている。前壁１８の開口部１７付近の表面に
は、開口部１７の各辺に沿ってヒンジ１９が固着されて
おり、前壁１８には、このヒンジ１９を介して、前記内
面押圧用支持部１２が取り付けられている。前記内枠用
ゴム管２０は、前後壁１５、１８間に横架される正面視
して略正方形の管状体であり、それぞれの角部２０ａは
肉厚に形成されている。これは、図３に示すように、内
枠用ゴム管２０内で内面押圧用分割片２１が外方向に張
られた際に、この角部２０ａを内面押圧用分割片２１に
より支持できず、その分を補強するためである。次に、
図１〜４を参照して内面押圧用支持部１２を詳細に説明
する。

【０００９】図１〜３に示すように、内面押圧用支持部
１２は、内枠用ゴム管２０のほぼ全長長さを有して、内
枠用ゴム管２０のそれぞれの側面を内側から押圧可能な
４個の内面押圧用分割片２１と、それぞれの内面押圧用
分割片２１を内枠用ゴム管２０の内外方向に移動させる
拡縮機構２２とを有している。それぞれの内面押圧用分
割片２１の両端には、内側に突出するリブ２３を形成し
ており、それぞれのリブ２３の両端部は、内面押圧用分
割片２１が内枠用ゴム管２０の内方向に移動できるよう
に切欠されている。また、前後一対のリブ２３のうち、
前側のリブ２３が前記前壁１８に設けられたヒンジ１９
に連結されており、これにより内面押圧用分割片２１が
前壁１８に回動可能に取り付けられる。

【００１０】前記拡縮機構２２は、それぞれ内面押圧用
分割片２１の後側のリブ２３に先端部が取り付けられた
４本の放射状に延びるリンク構造体２４を有しており、
各々のリンク構造２４の基端部はナット２５に取り付け
られている。ナット２５は、前後壁１５、１８間の長さ
よりやや長い、長尺なボルト２６の先端部のネジ部に螺
合されており、ボルト２６の基端側には取り付けリング
２７が遊挿されている。取り付けリング２７は、底壁１
３側の内面押圧用分割片２１上に設けられた左右一対の
支持部材２８間に枢着されている。コンクリート製品用
型枠装置１０の使用時に、ボルト２６を回転させと、ナ
ット２５が前後方向に移動してリンク構造体２４が伸縮
し、これにより４個の内面押圧用分割片２１が、前壁１
８のヒンジ１９を中心に内枠用ゴム管２０の内外方向に
回動する（図２、５参照）。なお、図中、符号２９はコ
ンクリート打設時にコンクリート製品用型枠装置１０を
振動させて、外枠１１内にコンクリートをむらのないよ
うに流し込む振動台、符号３０はコンクリート製品の一
例である打設された土管を示す。

【００１１】続いて、本考案の実施例に係るコンクリー
ト製品用型枠装置１０の動作について説明する。コンク
リート製品用型枠装置１０を用いて土管３０を製造する
際には、図１に示すように内枠用ゴム管２０内に前壁１
８に設けられた内面押圧用支持部１２を挿入し、次いで
底壁１３上において、両側壁１４および後壁１５をそれ
ぞれのヒンジ１６を中心に回動させて立ち上げ、外枠１
１内に内枠用ゴム管２０を挿入した状態で、前壁１８を
各壁１３、１４の前端に取り付けることにより外枠１１
を組み立てる。このとき、図２に示すように、ボルト２
６の先端部は後壁１５の溝部１５ａ内に遊挿されてお
り、また内枠用ゴム管２０は、ボルト２６を回転させる
ことにより、ナット２５が後方に移動してそれぞれのリ
ンク構造体２４が伸長し、これにより各々の内面押圧用
分割片２１が、前壁１８のヒンジ１９を中心に内枠用ゴ
ム管２０の外方向に回動して、この内枠用ゴム管２０の
側面を内側から内面押圧用分割片２１により押圧した状
態になっている（図３、４も参照）。

【００１２】次いで、振動台３０を振動させながら外枠
１１内にコンクリートを流し込み、コンクリートを乾燥
固化させることにより土管３０が製造される。この際、
内枠用ゴム管２０の角部２０ａは、内面押圧用分割片２
１により内側から支持されていないので、角部２０ａに
は外方から、流し込まれたコンクリートの自重による押
圧力がかかる。しかし、この角部２０ａは前述したよう
に肉厚に形成されているので、この押圧力による湾曲は
防止される。従って、この押圧力を原因とした、製造後
の土管３０に設けられる貫通孔の変形を防止できる。図
５、６に示すように、打設後、ボルト２６を逆方向に回
転させると、ナット２５が前方向に移動してリンク構造
体２４が収縮し、それぞれの内面押圧用分割片２１が前
壁１８のヒンジ１９を中心に内枠用ゴム管２０の内方向
に回動して、内面押圧用分割片２１による内枠用ゴム管
２０の押圧状態が解除される。その後、前壁１８を引き
抜いて内枠用ゴム管２０内から内面押圧用分割片２１を
取り出してから、この内枠用ゴム管２０を抜き取り、次
いで側壁１４および後壁１５をヒンジ１６により外方向
に回動して外枠１１を分解し、それから中央部に大きな
貫通孔が穿孔された土管３０を取り出す。

【００１３】このように、コンクリート打設後に、コン
クリートが完全に固化してから貫通孔を成形する内枠用
ゴム管２０を抜き取るようにしているので、例えば従来
手段の貫通孔成形用の金属管などを用いるもののよう
に、コンクリートの固まり具合を観察しながら管を引き
抜く時期を見計らう必要がなくなり、効率の良い孔開け
作業ができる。また、打設された土管３０の貫通孔内面
の面精度も、このようにコンクリートが固化した後に内
枠用ゴム管２０を抜き取ることにより良好である。しか
も、仮に内枠用ゴム管２０の一部が破損していても、内
枠用ゴム管２０の内面には、コンクリート打設時に内面
押圧用分割片２１が当てがわれているので、コンクリー
トが貫通孔内に流れ込めず、不良品の発生頻度が少な
い。

【００１４】以上、本考案の実施例を説明したが、本考
案はこの実施例に限定されるものではなく、要旨を逸脱
しない範囲での設計変更があっても本考案に含まれる。
例えば、実施例では、内枠用ゴム管として、略正方形の
ものを示したが、これに限定しなくても、例えば三角
形、長方形、五角形、六角形などの多角形、台形、Ｕ字
形などどのような角形のゴム管であってもよい。なお、
このように内枠用ゴム管の形状が異なれば、内面押圧用
分割片の個数および形状もそれに応じて異なるのは言う
までもない。また、内面押圧用分割片の拡縮機構は、実
施例のものに限定しなくても、内面押圧用分割片の少な
くとも片側を内枠用ゴム管の内外方向に移動できれば、
どのような構造のものであってもよい。

【００１５】

【考案の効果】本考案のコンクリート製品用型枠装置
は、このようにコンクリート打設後において、コンクリ
ートが完全に固化してから、コンクリート製品の貫通孔
を成形する内枠用ゴム管を抜き取るようにしているの
で、例えば従来手段の貫通孔成形用の金属管などを用い
るもののように、コンクリートの固まり具合を観察しな
がら管を引き抜く時期を見計らう必要がなくなり、効率
の良い孔開け作業ができる。また、打設されたコンクリ
ート製品の貫通孔内面の面精度も、このようにコンクリ
ートが固化した後に内枠用ゴム管を抜き取ることにより
良好である。しかも、仮に内枠用ゴム管の一部が破損し
ていても、内枠用ゴム管の内面には、コンクリート打設
時に内面押圧用分割片が当てがわれているので、不良品
の発生頻度が少ない。特に、請求項２記載のコンクリー
ト製品用型枠装置においては、内枠用ゴム管の角部が肉
厚に形成されているので、コンクリート打設時に、内枠
用ゴム管の角部が内面押圧用分割片により内側から支持
されていなくても、打ち込まれたコンクリートの圧力に
より、この角部が変形することはなく、よって、製造さ
れたコンクリート製品の貫通孔の角部の変形を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るコンクリート製品用型
枠装置の斜視図である。

【図２】コンクリート打設後における前記実施例のコン
クリート製品用型枠装置の断面図である。

【図３】同正面図である。

【図４】コンクリート打設後における後壁を取り除いた
コンクリート製品用型枠装置の背面図である。

【図５】前記実施例に使用される内面押圧用分割片の剥
離時におけるコンクリート製品用型枠装置の断面図であ
る。

【図６】図５のコンクリート製品用型枠装置の後壁を取
り除いた状態を示す背面図である。

【符号の説明】

１０コンクリート製品用型枠装置１１外枠１１ａ中枠１２内面押圧用支持部１３底壁１４側壁１５後壁１５ａ溝部１６ヒンジ１７開口部１８前壁１９ヒンジ２０内枠用ゴム管２０ａ角部２１内面押圧用分割片２２拡縮機構２３リブ２４リンク構造体２５ナット２６ボルト２７取り付けリング２８支持部材２９振動台３０土管（コンクリート製品）

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】外枠と、該外枠内に着脱可能に配置され
る中枠とを有し、断面角形のコンクリート製品製造用型
枠装置であって、前記中枠は、前記外枠間に横架される断面角形の内枠用
ゴム管と、該内枠用ゴム管内に配置される内面押圧支持
部とを備え、しかも、前記内面押圧支持部は、該内枠用ゴム管の各側
面を内側から押圧可能な複数個の内面押圧用分割片と、
該それぞれの内面押圧用分割片の少なくとも片側を前記
内枠用ゴム管の内外方向に移動させる拡縮機構とを有す
ることを特徴とするコンクリート製品用型枠装置。
【請求項２】前記内枠用ゴム管の角部が肉厚に形成さ
れている請求項１記載のコンクリート製品用型枠装置。