JP2508673Y2 - トレ―供給排出装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、マガジンに整列収納さ
れた複数の平板状トレーを一枚ずつ所定のステージに供
給し、ステージから排出するトレー供給排出装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】物品の保管、搬送等に使用される平板状
トレー、このトレーを縦多段に整列収納するマガジン、
このマガジンからトレーを一枚ずつ切り出して所定のス
テージに供給する装置の具体例を、図11と図12を参照し
て説明する。

【０００３】図11に示されるマガジン（30）は前後開口
の箱体で、定ピッチ移動式のエレベータ機構（34）に支
持される。マガジン（30）は、図12に示すように、対向
内壁面に上下多段に水平な複数条の溝（31）…を有す
る。対向する一対の溝（31）に一枚の平板状トレー（3
2）が挿入されて、マガジン（30）に複数枚のトレー（3
2）…が所定間隔をもって整列収納される。トレー（3
2）上には物品、例えば半導体ペレットなどの薄板状ワ
ーク（33）の複数が位置決め搭載される。エレベータ機
構（34）はマガジン（30）を搭載して、溝（31）の配列
ピッチで間欠上昇（又は下降）させる。マガジン（30）
の両側方定位置にプッシャ（35）とステージ（36）が配
置される。プッシャ（35）はシリンダ（37）を駆動源と
して水平方向に往復移動して、マガジン（30）からトレ
ー（32）を一枚ずつステージ（36）上に切り出す。

【０００４】エレベータ機構（34）でマガジン（30）を
１ピッチ上昇させ、一枚のトレー（32）がプッシャ（3
5）の高さ位置になると、プッシャ（35）が前進して一
枚のトレー（32）をマガジン（30）から押し出し、ステ
ージ（36）上に切り出す。ステージ（36）は、この上に
供給されたトレー（32）からワーク（33）がピックアッ
プなどで取り出されるように水平方向に移動する作業ス
テージである。ステージ（36）上で作業が行われる間
に、プッシャ（35）が後退し、マガジン（30）が１ピッ
チ上昇して、次のトレー切り出しに待機する。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】上記のようなマガジン
やエレベータ機構、プッシャを使ったトレー供給装置
は、次の（Ａ）〜（Ｃ）の問題を含む。

【０００６】（Ａ）マガジンを定ピッチで上下動させる
エレベータ機構が複雑、大形、コスト高であるし、ま
た、ステージに切り出されたトレーからワーク取出しな
どの作業をさせるためのステージ駆動機構や、前記作業
完了後にトレーをステージから回収ボックスなどに排出
するためのトレー排出機構を必要とする。従って、トレ
ー供給と排出の装置全体が複雑、大形化し、コスト高と
なる。

【０００７】（Ｂ）マガジンに間隔をもって収納される
トレーの最大収納枚数は、所定間隔をもって整列される
トレー間の空間分だけ少なく、その分、装置全体の動き
を止めて空マガジンを交換をする頻度が高くなり、装置
の稼動率を上げることが難しくなる。

【０００８】（Ｃ）ステージからトレーを排出した後、
マガジンよりステージにトレーを切り出す一連の動作の
連続稼働、高速化が難しい。

【０００９】本考案はこれら問題点を解決するもので、
マガジン交換頻度が少なくて稼動率の良い、而も、ステ
ージへのトレー供給と排出の高速化、装置全体の小形化
が容易なトレー供給排出装置を提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案は上記目的を達成
するため、縦に積層された複数の平板状トレーを収納す
るマガジンを位置決め搭載する第１ステージと、第１ス
テージに隣接する同一高さの第２ステージと、第１ステ
ージ上のマガジン内の最下層のトレーを押して第２ステ
ージ上に切り出すと共に、この切り出したトレーで第２
ステージ上に先に供給されたトレーを押し、第２ステー
ジから排出するプッシャ、及び、そのプッシャ駆動機構
とを具備したトレー供給排出装置が提案される。更に、
上記の構成要素に付加して、以上の構成要素全体を支持
して所望方向に移動させる可動テーブルとを具備したこ
とを特徴とするトレー供給排出装置が開示される。

【００１１】

【作用】マガジンにトレーを縦に重ね積みして収納する
ことで、マガジン内にトレーを無駄な空間無く、より多
数枚が収納でき、その分、マガジン交換頻度が少なくな
り、装置の稼動率が上がる。マガジン内の最下層のトレ
ーをプッシャで第２ステージに切り出し、プッシャを元
の位置に戻すと、マガジン内のトレーは自重で下がり、
先に切り出された最下層に次のトレーが自動的に位置
し、また、第２ステージに切り出したトレーで第２ステ
ージの先に供給されたトレーが押し出されて排出され
る。つまり、プッシャの１前進運動で、１枚のトレーの
切り出し供給とトレー排出が同時に連続して行われる。

【００１２】また、第１ステージ、第２ステージ、プッ
シャとその駆動機構を共通の可動テーブル上に設置する
ことで、トレーが供給される第２ステージを可動式作業
ステージとして使用でき、このように使用すると、トレ
ー切り出し動作中にステージ移動させるなどの実用上便
利な作業動作が可能となる。

【００１３】

【実施例】一実施例について、図１乃至図10を参照して
説明する。図１乃至図４に示す本考案装置は、トレー
（１）を縦に積層して収納するマガジン（２）を使用す
る。本考案装置は、一体的に隣接する第１ステージ
（４）と第２ステージ（５）、上下左右運動するプッシ
ャ（６）とそのプッシャ駆動機構（７）、トレー回収用
のボックス（９）を含む構成要素全体を支持する可動テ
ーブル（８）を備える。第１ステージ（４）に位置決め
搭載されたマガジン（２）の最下層のトレー（１）が、
前進動するプッシャ６）にて第２ステージ（５）上に切
り出される。プッシャ（６）で切り出されるトレー
（１）で第２ステージ（５）上の先に供給されたトレー
（１）が押し出されて、回収ボックス（９）へと排出さ
れる。プッシャ（６）は前進してトレー（１）を切り出
すと、下降し後退して元の位置に戻る。第２ステージ
（５）は、後述するようにトレー（１）からの物品取出
しを行う可動式作業ステージとして使用される。

【００１４】マガジン（２）に積層収納されるトレー
（１）は矩形平板状で、図５に示すように、上面に物品
収納用の凹部（10）を有し、この凹部（10）に半導体ペ
レットなどの薄いワーク（３）が収納される。凹部（1
0）はワーク（３）が突出しない深さである。従って、
マガジン（２）内にワーク搭載のトレー（１）を積み重
ねても、ワーク（３）は安全である。マガジン（２）に
トレー（１）を積層収納することで、マガジン（２）内
でのトレー収納空間に無駄が無くなり、ここに最大多数
のトレー（１）が収納でき、或いは、単位枚数のトレー
（１）を収納するマガジン（２）の小形化が可能とな
る。

【００１５】マガジン（２）の具体例を図６に示す。マ
ガジン（２）は、トレー（１）を左右２列に多段に積層
収納するもので、対向する一対の側壁（2a）と、側壁
（2a）の中央部を連結する把手付仕切壁（2b）とで２つ
の並列トレー収納空間（ｍ）を形成する。トレー収納空
間（ｍ）の下部開口の４隅に突起状のトレー受け（２
ｃ）が形成され、この上に最下層のトレー（１）が載せ
られ、最下層のトレー（１）上に多段にトレー（１）が
積層される。側壁（2a）の下部両側に、最下層のトレー
（１）の出入口（11）が形成される。側壁（2a）の下部
中央に、出入口（11）からのトレー抜け落ちを防止する
ストッパ（12）が上下動可能に装着される。図７に示す
ように、ストッパ（12）はバネ（13）で常時下方に押圧
されており、マガジン（２）が第１ステージ（４）にセ
ットされるまでの平常時のストッパ（12）は出入口（1
1）の片側に突出して、出入口（11）からトレー（１）
が抜け出すのを防止している。図８に示すように、マガ
ジン（２）を第１ステージ（４）に位置決め搭載する
と、ストッパ（12）は第２ステージ（５）上に突設した
突起（14）で突き上げられて出入口（11）から外れ、出
入口（11）からのトレー（１）の切り出しが可能とな
る。

【００１６】第１ステージ（４）と第２ステージ（５）
は、可動テーブル（８）上に隣接させて同一高さで固定
される。第２ステージ（５）は、マガジン（２）の一対
のトレー収納空間（ｍ）から同時に切り出された一対の
トレー（１）のそれぞれを位置決めして支持する手段、
例えば図９と図10に示すような爪（15）とピン（16）を
有する。爪（15）は、第２ステージ（５）上のトレー移
動路の両側に突設された逆Ｌ形のトレー押えで、図10に
示すように、マガジン（２）から第２ステージ（５）上
に切り出されたトレー（１）は爪（15）と第２ステージ
（５）の間を通り、爪（15）で高さ位置が規制される。
ピン（16）は、第２ステージ（５）に固定された位置決
めシリンダ（17）のピストンで、第２ステージ（５）の
トレー移動路の中央に配置される。第２ステージ（５）
上にトレー（１）が定位置まで切り出されると、ピン
（16）はシリンダ（17）で上昇動して、図９に示すよう
に、トレー（１）の下面の所定箇所に形成された逆円錐
形の位置決め穴（18）に嵌挿され、トレー（１）の前後
左右の位置決めを行う。

【００１７】プッシャ（６）は、第１ステージ（４）上
のマガジン（２）の出入口（11）の高さで、ステージ配
列のＸ方向に前後動可能に配置される。プッシャ駆動機
構（７）は、第１ステージ（４）と可動テーブル（８）
の間に設置される。プッシャ駆動機構（７）は、プッシ
ャ（６）をＸ方向に定ストローク前後動させるシリンダ
（20）と、シリンダ（20）を支持する昇降台（21）と、
昇降台（21）を上下動させるシリンダ（22）を備える。
シリンダ（22）は可動テーブル（８）に固定され、昇降
台（21）は可動テーブル（８）に突設されたガイドロッ
ド（23）にガイドされて定ストローク上下動する。２つ
のシリンダ（20）（22）でプッシャ（６）は前進、下
降、後退、上昇の運動を繰り返してトレー切り出しを実
行する。

【００１８】可動テーブル（８）は、水平なＸ方向と、
この方向と直交するＹ方向に移動するＸＹ作業テーブル
で、第２ステージ（５）上のトレー（１）の凹部（10）
を順にワーク取出しの定ポジションＰに送る。定ポジシ
ョンＰには、上下動してワーク（３）を真空吸着して取
り出す例えばピックアップ（24）が配置され、これの動
作は後述する。可動テーブル（８）の一端には、回収ボ
ックス（９）を搭載するボックス支持台（25）が固定さ
れる。回収ボックス（９）は第２ステージ（５）に隣接
して設置され、ここに第２ステージ（５）から押し出さ
れたワーク無しの空トレー（１）が落下して収納され
る。

【００１９】以上の装置のトレー供給排出と、ワーク取
出しの動作を説明する。図１、図２の状態にある装置に
おいて、第１ステージ（４）に搭載されたマガジン
（２）内の最下層のトレー（１）の後方に待機するプッ
シャ（６）をシリンダ（20）で前進させる。前進するプ
ッシャ（６）は、マガジン（２）の片方の出入口（11）
に入り、最下層のトレー（１）を押す。押し出されたト
レー（１）は第１ステージ（４）と上段のトレー（１）
の間を滑り、マガジン（２）の他方の出入口（11）から
第２ステージ（５）上へと切り出される。第２ステージ
（５）上には先に供給されたトレー（１）が在り、これ
がプッシャ（６）で切り出されるトレー（１）で押され
て、第２ステージ（５）上から回収ボックス（９）側に
移動し、図３に示すように、回収ボックス（９）に落下
排出される。つまり、前進するプッシャ（６）は２枚の
トレー（１）（１）を同時に押し出して、先行する１枚
を回収ボックス（９）に排出し、後行する１枚を第２ス
テージ（５）の所定位置に供給する。プッシャ（６）の
前進は、トレー供給と排出を同時に行ったところで停止
する。第２ステージ（５）に供給されたトレー（１）か
らのワーク取出し作業が行われる間に、プッシャ（６）
は図４に示すように、下降、後退、上昇の運動をして元
の位置に戻る。プッシャ（６）がシリンダ（22）で下降
するとき、マガジン（２）内のプッシャ（６）の上の多
段の積層トレー（１）…がプッシャ（６）と共に下降
し、その最下層のトレー（１）がマガジン（２）の出入
口（11）の位置まで自動的に移動し、次の切り出しに待
機する。

【００２０】第２ステージ（５）に供給されたトレー
（１）は、爪（15）とピン（16）で位置決め支持され
る。この状態で可動テーブル（８）がＸＹ方向に移動し
て、第２ステージ（５）のトレー（１）の所望の凹部
（10）をピックアップ（24）の在る定ポジションＰに移
動させる。ピックアップ（24）が凹部（10）のワーク
（３）を取出すと、可動テーブル（８）が再度移動し、
トレー（１）の別の凹部（10）を定ポジションＰに移動
させる。このような可動テーブル（８）の間欠移動が繰
り返し行われて、トレー（１）の全てのワーク（３）の
取出しが順次に行われる。全ワーク取出しが完了する
と、プッシャ（６）が前進して新しいトレー（１）の切
り出し供給と、空のトレー（１）の排出が行われる。

【００２１】ところで、トレー（１）の複数の凹部（1
0）…からのワーク取出しの順番は、予め決められてい
るのが通常であり、全ワークの取出しが完了すると、可
動テーブル（８）は第２ステージ（５）上のトレー
（１）の、１番始めにワーク取出しが行われる凹部（1
0）が定ポジションＰに位置するように移動する。この
可動テーブル（８）の元の位置への移動は、トレー切り
出しの動作と併行させて同時に行うことが、時間的無駄
が無くて望ましく、また、このような同時併行動作は、
可動テーブル（８）上に装置全体が設置されているから
可能となる。なお、仮に第２ステージ（５）を独自のＸ
Ｙテーブルで移動させるようにすると、第２ステージ
（５）の移動とトレー切り出し動作を同時に行うことが
できず、第２ステージ（５）をワーク取出し始めの元の
位置に移動させてから、トレー切り出し動作を開始させ
る必要があり、時間的無駄が生じる。

【００２２】

【考案の効果】本考案によれば、トレーを縦に積層した
状態で収納するマガジンを使用することで、マガジン内
にトレーがより多数枚収納され、その分、マガジン交換
頻度が少なくなって、トレー供給排出装置、この装置を
使用した各種製造装置の稼動率が上がる。また、マガジ
ンからプッシャで第２ステージに切り出したトレーで、
第２ステージの先に供給されたトレーを押し出し排出す
るので、トレーの切り出し供給とトレー排出の動作が同
時に連続して行われ、高速化が可能となる。また、トレ
ー供給と排出が１つのプッシャ機構で行われるので、装
置全体の簡略化、小形化、低コスト化が可能となる。

【００２３】また、第１ステージ、第２ステージ、プッ
シャとその駆動機構を共通の可動テーブル上に設置した
ので、トレーが供給される第２ステージを可動式作業ス
テージとして使用すると、トレー切り出し動作中に作業
ステージを移動させて、時間的無駄を省くなどの実用上
便利な作業動作が可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案装置の一実施例を示す一部省略、断面部
分を含む正面図

【図２】図１装置の平面図

【図３】図１装置のトレー切り出し時の正面図

【図４】図１装置のプッシャ復帰時の部分正面図

【図５】積層トレーの部分断面図

【図６】マガジンの斜視図

【図７】取付前のトレーと第１ステージの部分拡大側面
図

【図８】取付後のトレーと第１ステージの部分拡大側面
図

【図９】トレーと第２ステージの部分拡大断面図

【図10】トレー供給時の第２ステージの部分拡大断面図

【図11】一般的なトレー供給装置の正面図

【図12】図11の装置のマガジンの正面図

【符号の説明】

１ トレー ２ マガジン ４ 第１ステージ ５ 第２ステージ ６ プッシャ ７ プッシャ駆動機構 ８ 可動テーブル

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の平板状トレーを積層収納するマガ
   ジンを位置決め配置する第１ステージと、この第１ステ
   ージに隣接させ同一高さにした第２ステージと、前記マ
   ガジン内の最下層のトレーを押して第２ステージに切り
   出すと共に、この切り出したトレーで第２ステージ上に
   先に供給されたトレーを押し、第２ステージから排出す
   るプッシャ、及びこのプッシャを切り出す前進とその後
   の下降、後退、上昇の各運動をするプッシャ駆動機構と
   を具備したことを特徴とするトレー供給排出装置。
2. 【請求項２】 前記第１ステージ、第２ステージ、プッ
   シャ及びプッシャ駆動機構の全体を支持して所望方向に
   移動させる可動テーブルを具備し、前記第２ステージの
   作業位置出しを可能にする請求項１記載のトレー供給排
   出装置。