JP2024023799A - 既存屋根の改修用屋根材およびそれを用いた施工構造 - Google Patents

既存屋根の改修用屋根材およびそれを用いた施工構造 Download PDF

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一善 藤澤
博之 押田
友英 染矢
純二 小田
正章 和泉
智弘 山田
慎吾 池本
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Abstract

【課題】軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材における雨水の流量を平均化させる。【解決手段】改修用屋根材100は、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成され、化粧面部110に流水制御手段が形成されている。そして、この流水制御手段の一例として、化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成されている。さらに、この凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成され、軒側斜面の傾斜角度β(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。【選択図】図2

Description

本発明は、既存屋根の改修用屋根材およびそれを用いた施工構造に関し、特に、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材およびそれを用いた施工構造に関する。
住宅等の建築物の屋根は、矩形薄板の屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工されることが多い。この場合における階段状に重ねられるとは、屋根勾配方向における下側(軒側)に配置された屋根材の上端部の上に、屋根勾配方向における上側(棟側)に配置された屋根材の下端部が順次重ねられて設置されることを意味する。このように屋根材で葺いた屋根を葺き替えるには、既設屋根材を全部剥がして新しい屋根材に葺き替えることが行われるが、これでは屋根材を剥がすのに手間がかかるうえに建物を使用しながら葺き替えることが困難であった。このため、既設屋根材の表面に改装用(改修用と同じ意味で以下において区別しない)屋根材を取り付けて、既設屋根材を覆うことにより屋根の葺き替え(このような葺き替え工法はカバー工法とも呼ばれる)を行っている。
特開2001-073506号公報(特許文献1)は、このような屋根の葺き替え作業が容易な改装用屋根材を開示する。この特許文献1に開示された改装用屋根材は、屋根の勾配方向に沿って連設され、かつ、勾配方向下側に配置された屋根材の上端部の上に、勾配方向上側に配置された屋根材の下端部が順次重ねられて設置される複数の屋根材の表面に設けられる改装用屋根材であって、前記屋根材の表面を覆う本体と、前記屋根材の勾配方向下側の端部を表裏から挟む挟持部と、前記屋根材およびこの屋根材の勾配方向上側に配置される屋根材の間に挟まれる被挟持部とを備えることを特徴とする。
この特許文献1に開示された改装用屋根材によると、本体を屋根材の表面に沿って、勾配方向下側から勾配方向上側に滑らせ、被挟持部を屋根材およびこの屋根材の勾配方向上側に配置される屋根材の間に挟むとともに、挟持部を屋根材の端面に嵌め込むことで、改装用屋根材を屋根材に取り付けることが可能となる。これにより、改装用屋根材を他の改装用屋根材に係合させる必要がなく、従来に比べて、改装用屋根材の取付作業が容易となる。
特開2001-073506号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示された改装用屋根材(リフォーム屋根材)は、既設屋根材であるスレート屋根材を覆う本体と、スレート屋根材の下部を挟持する挟持部と、上下のスレート屋根材間に挟まれる被挟持部とを含んで構成されており、これらの本体、挟持部および被挟持部は1枚の金属製板材を折り曲げて形成されたものであって本体は平らな面で形成されているために、雨天時に棟から軒へ雨水が流れる場合において軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)の雨水の流量は何ら制御されるものではなく成り行き任せである。このため、特許文献1に開示された改装用屋根材(リフォーム屋根材)を用いた屋根構造においては、屋根の左右方向における雨水の流量に著しい偏りが発生したり、または、不自然な流れが発生したりすることに起因する不具合が発生する可能性があった。
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)の雨水の流量を平均化できたり、または、スムーズな流れを発生させたりできる改修用屋根材を提供することおよびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のある局面に係る改修用屋根材は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明のある局面に係る改修用屋根材は、薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、前記化粧面部に流水制御手段が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の別の局面に係る改修用屋根材は、薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、前記化粧面部に前記軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記流水制御手段または前記凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折りにより形成され、前記軒側斜面の傾斜角度は、前記既存屋根の屋根勾配未満であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記化粧面部と前記軒側折り返し部との間の表面側に水切り部が形成されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記軒側折り返し部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記軒棟方向の垂直方向の両端縁が裏面側へヘミング加工されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記棟側差し込み部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されているように構成することができる。
また、本発明のさらに別の局面に係る改修用屋根材の施工構造は、薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材の施工構造であって、前記改修用屋根材は、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、前記化粧面部に流水制御手段が形成され、前記軒側折り返し部の端縁がヘミング加工され、施工時において、前記棟側差し込み部の端縁を前記軒側折り返し部の端縁より棟側に位置させていることを特徴とする。
本発明によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できたり、または、スムーズな流れを発生させたりできる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る改修用屋根材100を用いた改修中の屋根における部分的な斜視図である。 図1における(A)改修用屋根材100の3面図、(B)ジョイントカバー150の3面図である。 図1の平面図である。 図1の流れ方向の断面図である。 図1のけらば方向の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る改修用屋根材200を用いた改修中の屋根における部分的な斜視図である。 図6における(A)改修用屋根材200の3面図、(B)ジョイント捨て板250の3面図である。 図6の平面図である。 図6の流れ方向の断面図である。 図6のけらば方向の断面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る改修用屋根材300を用いた改修中の屋根における部分的な斜視図である。 図11における(A)改修用屋根材300の3面図、(B)ジョイント捨て板350の3面図である。 図11の平面図である。 図11の流れ方向の断面図である。 図11のけらば方向の断面図である。 本発明の第4の実施の形態に係る改修用屋根材300を用いた改修中の屋根における部分的な斜視図である。 図16における(A)改修用屋根材400の3面図、(B)ジョイント捨て板350の3面図である。 図16の平面図である。 図16の流れ方向の断面図である。 図16のけらば方向の断面図である。 改修用屋根材100、改修用屋根材200、改修用屋根材300および改修用屋根材400に共通する第1の変形例を示す図である。 改修用屋根材100および改修用屋根材200に共通する第2の変形例を示す図である。 改修用屋根材100、改修用屋根材200、改修用屋根材300および改修用屋根材400に共通する第3の変形例を示す図である。 改修用屋根材300の変形例を示す図である。 改修用屋根材400の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材およびこの改修用屋根材を用いた屋根の施工構造を、図面に基づき詳しく説明する。
なお、この改修用屋根材は、本発明に係る改修用屋根材が以下の形状に限定されるものではないが、軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)が軒棟方向に沿った方向よりも長い矩形形状の金属製薄板を折り曲げ加工等されている。そして、その長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工していない改修用屋根材100について図1~図5を参照して第1の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工している改修用屋根材200について図6~図10を参照して第2の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工せず流水制御手段が改修用屋根材100および改修用屋根材200とは異なる改修用屋根材300について図11~図15を参照して第3の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工するとともに流水制御手段が改修用屋根材100、改修用屋根材200および改修用屋根材300とは異なる改修用屋根材400について図16~図20を参照して第4の実施の形態として説明して、その後にこれらの実施の形態に適用可能な変形例について図21~図25を参照して説明する。なお、詳しくは後述するが、流水制御手段については第1の実施の形態に係る改修用屋根材100と第2の実施の形態に係る改修用屋根材200とでは共通して、この共通する流水制御手
段と、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の流水制御手段および第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の流水制御手段とでは共通しない異なるものである。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態に係る改修用屋根材100を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図1、この改修用屋根材100の3面図を示す図2(A)、この改修用屋根材100とともに用いられるジョイントカバー150の3面図を示す図2(B)、図1の平面図を示す図3、図1の流れ方向の断面図を示す図4、および、図1のけらば方向の断面図を示す図5を参照して、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100およびこの改修用屋根材100を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。
・既存屋根
まず、この改修用屋根材100を用いて改修される既存屋根に施工されている化粧スレート1000の一例について説明する。この化粧スレート1000は既設屋根材であって、たとえば、図1に示すように、建築物(構築物を含む)の屋根に用いられている屋根材であって、屋根の下地(詳しくは後述する下地材である野地板1020、下葺材1030等)の上に施工された屋根材である。ここで、これらの図1~図5においては、本発明と直接的には関係しないために、屋根の施工構造に関係する全ての部材について記載しているわけではない(たとえば、一部の図における軒先水切、けらば水切等は省略)。また、この図1では化粧スレート1000を千鳥配置して(改修用屋根材100も千鳥配置して)いるが、本発明に係る改修用屋根材の施工構造はこのような配置に限定されるものではない。また、この図1においては、化粧スレート1000が棟側の両角部を欠いた略矩形形状としているが、本発明に係る改修用屋根材の施工構造はこのような形状の屋根材に限定されるものではなく、完全な矩形形状、軒側端部に軒棟方向のスリットを有する形状、軒側端部に軒棟方向の凹凸を有する形状(波型、山型、段違いなど)など種々の形状の屋根材に対応できるものである。その一例を、後述する第3の実施の形態において化粧スレート3000として示す。
この化粧スレート1000は、図1および図4に示すように、大略的には、複数の化粧スレート1000が軒棟方向において階段状に重ねられて施工されたものである。このように複数の化粧スレート1000が軒棟方向(軒棟方向については軒側から棟側へ順次)および桁方向(桁方向についてはいずれか一方端から他方端へ順次)に施工されて既存屋根の施工構造が完成されている。すなわち、軒棟方向の最も軒側(軒側から1番目:N=1)について桁方向に一列分の化粧スレート1000をいずれか一方端から他方端へ順次施工する(順次葺く)と、軒棟方向の軒側からN番目(N=2、3・・・)について桁方向に一列分の化粧スレート1000をいずれか一方端から他方端へ(または逆でも構わない)順次施工することを、棟側に到達するまで繰り返されている。なお、軒棟方向の軒側から葺かれたものではなく棟側から葺かれたものであっても構わない。さらに、桁方向に一列分の化粧スレート1000を施工(葺く)場合には、いずれか一方端から他方端への葺かれたものではなく中央から葺かれたものであっても構わない。また、化粧スレート1000は屋根釘1002により固定されている。
なお、屋根の施工構造において一般的に用いられている、軒側、棟側、軒棟方向、桁方向等を図1に示す。
このように施工された既存屋根において化粧スレート1000を取り外すことなく、化粧スレート1000に本実施の形態に係る改修用屋根材100を覆うように(カバーするように)施工して改修用屋根材100を用いた施工構造が完成する。この場合において、本実施の形態に係る改修用屋根材100はジョイントカバー150と組み合わせて施工される。これらの改修用屋根材100およびジョイントカバー150について次に詳しく説明する。
・改修用屋根材100およびジョイントカバー150
本実施の形態に係る改修用屋根材100は、薄板形状の既設屋根材(化粧スレート1000)が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材である。
図2(A)に示すように、この改修用屋根材100は、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成され、化粧面部110に流水制御手段が形成されている。そして、この流水制御手段の一例として、化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成されている。さらに、この凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(図2に示す山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成され、図4(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度β(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg:度)未満である。なお、凹部は化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向に沿って略全長にわたり形成されていることが好ましい。
さらに、化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部128が形成されている。この水切り部128の一例として、図2に示すように略30degの面取り形状が挙げられる。なお、面取り形状により水切り部を形成する場合には略5deg~略60degが好ましい。
さらに、棟側差し込み部130の端縁が裏面側(図2に示す改修用屋根材100においては下方(裏面)側への折り返し)へヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されている。また、軒側折り返し部120の端縁が裏面側(図2に示す改修用屋根材100においては上方(表面)側への折り返し)へヘミング加工(軒側ヘミング加工部122)されている。なお、この裏面側へのヘミング加工とは、この改修用屋根材100は、上述したように軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)の長さWが軒棟方向に沿った方向の長さLよりも長い矩形形状の金属製薄板を折り曲げ加工等により棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成された構造を備えるが、この折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へのヘミング加工を意味する。また、ヘミング加工には、第1の実施の形態および第2の実施の形態において採用される断面がループ形状であるもの(軒側ヘミング加工部122)も、第3の実施の形態および第4の実施の形態において採用される断面が折り畳み形状であるもの(軒側ヘミング加工部322)も、それら以外の形状で強度向上を主たる目的として端部(端面)が折り返された形状に加工されているものを基本的に全て含む。
なお、限定されるものではないが、その一例として、この改修用屋根材100における桁方向の長さWは1800mm~2000mm程度であって、軒棟方向に沿った方向の長さLは200mm~250mm程度であって、既存屋根の化粧スレート1000における桁方向の長さWは略W/2、軒棟方向に沿った方向の長さLは略2Lである。すなわち、桁方向に並設された2枚の化粧スレート1000を、軒棟方向に並設された2枚の改修用屋根材100で覆うことになる。
ここで、この改修用屋根材100は、金属製薄板(略薄板状の部材)を、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とを含めて、所定の形状に折り曲げて形成されている。この場合において、たとえば、ロール状に巻かれた金属製薄板を桁方向に繰り出して、長さWで切断した後にヘミング加工を含めて所定の形状に折り曲げられて製造される。なお、本実施の形態においては、金属製薄板を所定長さWで切断した後にベンダー加工等によりヘミング加工や折り曲げ加工を施す場合について説明したがこれに限らず、ロール状に巻かれた金属製薄板を桁方向に繰り出しながら、ロールフォーミング加工により、ヘミング加工や折り曲げ加工を施してもよく、また、これらの加工方法に限定されるものではない。
また、この改修用屋根材100(およびジョイントカバー150)は、限定されるものではないが、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)等(これらを各種色調に塗装した金属製カラー板を含む)の一種、または、合成樹脂製板材、たとえば塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(これらを各種色調に塗装した合成樹脂製カラー板を含む)の一種、が採用される。これらの中でも、金属製薄板材(厚さ0.3mm~0.4mm程度)が好ましく採用され、さらに、たとえば、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板またはこのアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板にマグネシウムにより防錆効果を付与した鋼板がさらに好ましく採用され、ロール成形、プレス成形、押出成形、切り欠き加工等によって各種形状に成形したものである。
さらに詳しく改修用屋根材100およびこの改修用屋根材100と組み合わせて用いられるジョイントカバー150について説明する。
図2(A)に示すように、この改修用屋根材100は、上述したように、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成されている。上述したように、化粧面部110においては流水制御手段の一例である蛇腹折り形状が設けられ、棟側差し込み部130においてはその端縁が裏面側へヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されている。
軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略30度折り曲げられた水切り部128、その水切り部128から裏面側へさらに略60度折り曲げられた垂直部126、その垂直部126から棟側(軒側差し込み部124が略水平方向になる側)へさらに略90度折り曲げられた軒側差し込み部124、および、軒側折り返し部120の端縁(軒側差し込み部124の縁縁)が裏面側へヘミング加工(軒側ヘミング加工部122)されている。ここで、桁方向に一定の間隔で、垂直部126と軒側差し込み部124との境界近傍に小径の水抜き孔140を設けることも好ましい。
この改修用屋根材100と組み合わせて使用されるジョイントカバー150は、桁方向に並設された2枚の改修用屋根材100の間隙を改修用屋根材100の上側から覆うカバーである。このジョイントカバー150は、上述した改修用屋根材100の化粧面部110の形状および軒側折り返し部120の形状(より詳しくは垂直部126および水切り部128)に略合致する形状を備えて(棟側差し込み部130に略合致する形状を備えない)一体的に形成されている。
このジョイントカバー150は、改修用屋根材100の化粧面部110の形状に略合致するカバー化粧面部160と、改修用屋根材100の垂直部126および水切り部128に略合致するカバー軒側折り返し部170とを備え、改修用屋根材100の垂直部126にジョイントカバー150のカバー垂直部176が、改修用屋根材100の水切り部128にジョイントカバー150のカバー水切り部178が、それぞれに略合致する。なお、ジョイントカバー150のカバー垂直部176は改修用屋根材100の水抜き孔140を塞がない。なお、このジョイントカバー150は、桁方向の両端側がヘミング加工されている(カバーヘミング加工部152)。なお、水抜き孔140からの雨水の進行方向を、図4(B)の黒塗り矢示で示す。
このジョイントカバー150は、既設の化粧スレート1000の上側に化粧スレート1000を覆うように施工された改修用屋根材100とその桁方向に施工された改修用屋根材100との間に設けられる。このような改修用屋根材100およびジョイントカバー150を用いた施工構造について次に詳しく説明する。
・施工構造
上述したように、化粧スレート1000で施工された既存屋根に対して、既設の化粧スレート1000の上側に化粧スレート1000を覆うように改修用屋根材100が施工され、その桁方向に施工された改修用屋根材100どうしの間隙を覆うようにそれらの間にジョイントカバー150が設けられる。以下においては、この施工構造について主として図4を参照して説明する。なお、ここでは、本発明と直接的には関係しないために、改修用屋根材100およびジョイントカバー150以外の屋根の施工構造および施工方法については説明していないものがある。
なお、図1および図4においては、軒側から棟側へ改修用屋根材100を施工している途中の図を示しているが、本実施の形態に係る改修用屋根材100の施工においては、軒側から棟側への施工でも棟側から軒側への施工であっても構わない。以下においては、棟側から軒側への施工であるとして説明する。この場合、作業者が改修用屋根材100を施工するときには、施工により改修用屋根材100により覆われる化粧スレート1000の1つか2つ程度軒側の化粧スレート1000に作業者が乗って軒側から棟側へ手を伸ばして改修用屋根材100を桁方向に一列分のいずれか一方端から他方端へ順次施工(順次葺く)して、桁方向の一列分(改修用屋根材100の一段分)の全ての改修用屋根材100およびジョイントカバー150を施工し終えたら、作業者は少なくとも一段分だけ軒側へ移動して(棟側の化粧スレート1000から軒側の化粧スレート1000へ作業者が下るように乗り移ることになる)、施工された一段よりも1つ軒側の一段分を施工する。すなわち、軒棟方向の最も棟側(棟側から1番目:N=1)について桁方向に一列分の改修用屋根材100およびジョイントカバー150をいずれか一方端から他方端へ順次施工する(順次葺く)と、軒棟方向の棟側からN番目(N=2、3・・・)について桁方向に一列分の改修用屋根材100およびジョイントカバー150をいずれか一方端から他方端へ(または逆でも構わない)順次施工することを、軒側に到達するまで繰り返す。このように施工することにより、既設の化粧スレート1000に作業者が乗ることがあっても、施工後の改修用屋根材100およびジョイントカバー150に作業者が乗ることを回避することができる点で好ましい。
まず、既設屋根材である化粧スレート1000を覆うように改修用屋根材100が施工される場合において、図4に示すように、改修用屋根材100の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側に位置させている。より詳しくは、図4(B)に示すように、改修用屋根材100(ここでは軒側改修用屋根材100D)の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)を、軒側改修用屋根材100Dのひとつ棟側の改修用屋根材100(ここでは棟側改修用屋根材100U)の軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側に位置させている位置関係になる。軒棟方向における改修用屋根材100どうしの位置関係が、このような位置関係になるように、改修用屋根材100を施工する。このように改修用屋根材100を桁方向に施工するとともに、桁方向に隣接する改修用屋根材100どうしの間隙をカバーするように、図4(B)に示すように、改修用屋根材100(ここでは軒側改修用屋根材100D)の棟側差し込み部130と、軒側改修用屋根材100Dのひとつ棟側の改修用屋根材100(ここでは棟側改修用屋根材100U)の軒側折り返し部120との間にジョイントカバー150(ここでは軒側ジョイントカバー150D)が位置するように、施工後の改修用屋根材100の上側にジョイントカバー150を施工する。なお、図4(B)には、棟側ジョイントカバー150Uが直接的に棟側改修用屋根材100Uの上側に配置されている状態(表面側からジョイントカバー150、改修用屋根材100、化粧スレート1000の順)が表されている。ここで、図4(B)は流れ方向の断面図であるために、軒側ジョイントカバー150Dと棟側ジョイントカバー150Uとは桁方向の位置が改修用屋根材100の長さWの半分だけずれている。
このような作業を、軒棟方向の最も棟側(棟側から1番目:N=1)について桁方向に一列分の改修用屋根材100およびジョイントカバー150をいずれか一方端から他方端へ順次施工する(順次葺く)と、軒棟方向の棟側からN番目(N=2、3・・・)について桁方向に一列分の改修用屋根材100およびジョイントカバー150をいずれか一方端から他方端へ(または逆でも構わない)順次施工することを、軒側に到達するまで繰り返す。ここで、軒棟方向の最も軒側については、図4(A)に示すように改修用屋根材100の軒側折り返し部120は(屋根傾斜を一致させるための)スタータ1050を覆わないで化粧スレート1000のみを覆うようにしても構わないし、図4(C)に示すように改修用屋根材100の代わりに軒側折り返し部の垂直部126をスタータ1050の厚み分に対応させて延長した垂直部196を備えた改修用屋根材190を用いて、軒側折り返し部がスタータ1050および化粧スレート1000を覆うようにしても構わない。改修用屋根材100およびジョイントカバー150の固定には、差し込むだけでもよく、接着剤を用いて化粧スレート1000に接着固定してもよく、その他、一般的な方法を用いることができる。
なお、化粧スレート1000(および屋根釘1002)に加えて、図4における垂木1010、野地板1020、下葺材1030、軒先水切1040、および、スタータ1050は既設の部材である。また、図5には、けらば水切1060およびシーリング1070を記載している。
・作用効果
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材100およびそれを用いた施工構造によると、以下の作用効果を奏する。
(1)化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成され、この凹部の一例として少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(図2に示す山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成され図4(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度β(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
これにより、流水制御手段の一例である凹部により、(軒側斜面の傾斜が水平以上にならないで必ず水平未満になるために凹部に)雨水が貯まることなく桁方向に雨水の流れを作ることができるので棟から軒へ流れる雨水の流れ(流量)を桁方向に平均化できる。なお、平均化できるとは、棟から桁へ流れを完全に平均化できることを意味するものでなく、少しでも平均化を発生させることができることを含むものである。また、この凹部の形状により、改修用屋根材100の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材100の強度を向上することができたりする。
(2)化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部128(一例として図2に示すように30degの面取り形状)が形成されている。
これにより、化粧面部110の軒側端部付近に、雨水の表面張力による残留を抑制できるよう改修用屋根材100の水切り性能を向上させたり、改修用屋根材100の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材100の強度を向上することができたりする。
(3)棟側差し込み部130の端縁が裏面側へ(折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へ)ヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されている。
これにより、改修用屋根材100の水返し性能が向上し建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができたり、改修用屋根材100の強度を向上することができたり、施工後の改修用屋根材100どうしの抜け止めを好ましく実現することができたりする。
(4)軒側折り返し部120の端縁が裏面側へ(折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へ)ヘミング加工(軒側ヘミング加工部122)されている。
これにより、改修用屋根材100の軒側における化粧スレートへの挿入が容易にすることができたり、改修用屋根材100の強度を向上させたりすることができる。ここで、(3)の棟側差し込み部130の端縁のヘミング加工と(4)の軒側折り返し部120の端縁のヘミング加工とは、折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板に対するヘミング加工であるために、同じ方向へのヘミング加工(化粧面部の外側(外気側)を表面とすると両方とも裏面側へ折り返すヘミング加工)であるために容易にヘミング加工することができる。
(5)改修用屋根材100の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側に位置させている。
これにより、棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)が軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側(上側)に位置させているために、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができる。また、棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)と軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)とが互いに反発し合って、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができたり、施工後の改修用屋根材100どうしの抜け止めを好ましく実現することができたりする。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材100およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態に係る改修用屋根材200を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図6、この改修用屋根材200の3面図を示す図7(A)、この改修用屋根材200とともに用いられるジョイント捨て板250の3面図を示す図7(B)、図6の平面図を示す図8、図6の流れ方向の断面図を示す図9、および、図6のけらば方向の断面図を示す図10を参照して、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200およびこの改修用屋根材200を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図6が上述の図1に、図7が上述の図2に、図8が上述の図3に、図9が上述の図4に、図10が上述の図5に、それぞれ対応する。
なお、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100がその長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工していない屋根材であることに対して、この第2の実施の形態に係る改修用屋根材200は、両端側をヘミング加工している点が異なる。それ以外の構造および施工構造であって第1の実施の形態と同じ構造については、第2の実施の形態においては第1の実施の形態と同じ符号を付している。そして、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、以下においては繰り返して説明しない。
上述したように施工された既存屋根において化粧スレート1000を取り外すことなく、化粧スレート1000に本実施の形態に係る改修用屋根材200を覆うように(カバーするように)施工して改修用屋根材200を用いた施工構造が完成する。この場合において、本実施の形態に係る改修用屋根材200はジョイント捨て板250と組み合わせて施工される。そして、これらの改修用屋根材200およびジョイント捨て板250は、化粧
スレート1000で施工された既存屋根に対して、図6および図8~図10に示すように既設の化粧スレート1000の上側に化粧スレート1000を覆う前にその桁方向に施工される改修用屋根材200どうしの間隙を下側から覆うようにそれらの間にジョイント捨て板250が設けられた後に改修用屋根材200が施工される。
すなわち、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていなくてその方向の両端がヘミング加工されたジョイントカバー150を改修用屋根材100の上側から覆うことにより桁方向に隣接する改修用屋根材100どうしの間隙を覆い隠すのに対して、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていてその方向の両端がヘミング加工されていないジョイント捨て板250を改修用屋根材100の下側に施工することにより桁方向に隣接する改修用屋根材100どうしの間隙を下側から覆い隠している。
この違いに着目して、本実施の形態に係る改修用屋根材200およびジョイント捨て板250について図7を参照して説明する。
図7と図2とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材200は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が備えない)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部202を備え、本実施の形態に係るジョイント捨て板250は(第1の実施の形態に係るジョイントカバー150が備える)桁方向の両端側にヘミング加工されたカバーヘミング加工部152を備えない。なお、図6および図8~図10に示すように改修用屋根材200の下側に隠れるジョイント捨て板250は、図7に示すようにジョイントカバー150よりも桁方向の長さが長くても構わない。
また、化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部228が形成されている。この水切り部228の一例として、図7に示すように略45degの面取り形状が挙げられる。より詳しくは、軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略45度折り曲げられた水切り部228、その水切り部228から裏面側へさらに略45度折り曲げられた垂直部126、軒側差し込み部124、および、軒側ヘミング加工部122を備える。
この改修用屋根材200と組み合わせて使用されるジョイント捨て板250は、桁方向に並設された2枚の改修用屋根材200の間隙を改修用屋根材100の下側で覆う捨て板である。このジョイント捨て板250は、上述した改修用屋根材100の化粧面部110の形状に略合致する形状を備えるとともに(軒側折り返し部120および棟側差し込み部130に略合致する形状を備えないで)、軒側の端部が略90deg折り曲げられた捨て板垂直部276を備えるように、一体的に形成されている。
なお、素材については、改修用屋根材200は改修用屋根材100と、ジョイント捨て板250はジョイントカバー150と、それぞれ同様のものであって、これらにはアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を一例とした金属製薄板材(厚さ0.3mm~0.4mm程度)が用いられる。この場合、流水制御手段の一例である蛇腹折り形状は、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100と第2の実施の形態に係る改修用屋根材200とで共通する同じものである。この蛇腹折り形状を実現する、図7に示す山折れおよび谷折れの深さは(同じであるために図9には示していないが図4(D)に示す既存屋根の屋根勾配α>軒側斜面の傾斜角度βを満足するのは当然であるが)約0.35mm~0.5mm程度である点も第1の実施の形態と同じである。これらの山折れにより生じるわずかな凸部(山部)および谷折れにより生じるわずかな凹部(谷部)は、図7においては山折れを実線により谷折れを2点鎖線により、図6および図8においてはいずれも実線により、仮想的に示している。
施工構造については、既設屋根材である化粧スレート1000を覆うように改修用屋根材200が施工される場合において、図9に示すように、改修用屋根材200の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側に位置させている点については第1の実施の形態と同じである。すなわち、図9(B)に示すように、改修用屋根材200(ここでは軒側改修用屋根材200D)の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)を、軒側改修用屋根材200Dのひとつ棟側の改修用屋根材200(ここでは棟側改修用屋根材200U)の軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側に位置させている位置関係になる。軒棟方向における改修用屋根材200どうしの位置関係が、このような位置関係になるように、改修用屋根材200を施工する。このように改修用屋根材200を桁方向に施工する前に、桁方向に隣接する改修用屋根材200どうしの間隙を下側から覆うように、図9(B)に示すように、改修用屋根材200(ここでは軒側改修用屋根材200D)の棟側差し込み部130および軒側改修用屋根材200Dのひとつ棟側の改修用屋根材200(ここでは棟側改修用屋根材200U)の軒側折り返し部120の下にジョイント捨て板250(ここでは軒側ジョイント捨て板250D)が位置するように、施工後の改修用屋根材200の下側にジョイント捨て板250を施工する。なお、図9(B)には、棟側ジョイント捨て板250Uが直接的に棟側改修用屋根材200Uの下側に配置されている状態(表面側から改修用屋根材200、ジョイント捨て板250、化粧スレート1000の順)が表されている。ここで、図9(B)は流れ方向の断面図であるために、軒側ジョイント捨て板250Dと棟側ジョイント捨て板250Uとは桁方向の位置が改修用屋根材200の長さWの半分だけずれている。
・作用効果
以上のようにして、本実施の形態に係る改修用屋根材200およびそれを用いた施工構造によっても、上述した作用効果(1)~(5)を奏する。
なお、作用効果(2)に関しては、以下の通りである。化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部228(一例として図7に示すように45degの面取り形状)が形成されている。
また、改修用屋根材200においては、以下の作用効果を奏する。
(6)軒棟方向の垂直方向(長手方向(桁方向))の両端縁が裏面側へヘミング加工(屋根材ヘミング加工部202、形状はループ形状)されている。
これにより、改修用屋根材200を施工する際、位置合わせのために、金づちや木づちなどの工具で改修用屋根材200の桁方向の端縁を強く叩いても変形し難くすることができたりする。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材200およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
<第3の実施の形態>
次に本発明の第3の実施の形態に係る改修用屋根材300を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図11、この改修用屋根材300の3面図を示す図12(A)、この改修用屋根材300とともに用いられるジョイント捨て板350の3面図を示す図12(B)、図11の平面図を示す図13、図11の流れ方向の断面図を示す図14、および、図11のけらば方向の断面図を示す図15を参照して、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300およびこの改修用屋根材300を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図11が上述の図1および図6に、図12が上述の図2および図7に、図13が上述の図3および図8に、図14が上述の図4および図9に、図15が上述の図5および図10に、それぞれ対応する。これらの図11~図15に示すように、第3の実施の形態に係る改
修用屋根材300およびこの改修用屋根材300を用いた屋根の施工構造は、以下に示す特徴を備える。以下においてはこのような特徴について、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態と異なる点を主として説明する。それ以外の構造および施工構造であって第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じ構造については、この第3の実施の形態において第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じ符号を付している。そして、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、以下においては繰り返して説明しない。
図11および図13に示すように、上述した第1の実施の形態および第2の実施の形態における既存屋根材が、両角部を欠いた略矩形形状としている化粧スレート1000であることに対して、この第3の実施の形態における既存屋根材は、軒側端部に軒棟方向の凹凸を有する波型形状としている化粧スレート3000である点が異なる。
図12および図14に示すように、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が流水制御手段の一例として、化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成され、この凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成されている屋根材であることに対して、この凹部を強調した図14(C)に示すようにこの第3の実施の形態に係る改修用屋根材300は、凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成されている点が異なる。また、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が棟側差し込み部130の端縁が裏面側へヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されていることに対して、この第3の実施の形態に係る改修用屋根材300は、棟側差し込み部130の端縁がヘミング加工されていない点で異なる。また、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200の軒側折り返し部120の端縁が裏面側へヘミング加工(軒側ヘミング加工部122)されていることに対して、この第3の実施の形態に係る改修用屋根材300も軒側折り返し部120の端縁が裏面側へヘミング加工(軒側ヘミング加工部322)されている点で共通するが、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200における軒側ヘミング加工部122がループ形状に形成されていることに対して、この第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の軒側ヘミング加工部322は折り畳み形状に形成されている点で異なる。また、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100がその長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工していない屋根材であり、この第3の実施の形態に係る改修用屋根材300もその長手方向の両端側をヘミング加工していない点で共通する。また、上述した第2の実施の形態に係る改修用屋根材200がその長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工している屋根材であることに対して、この第3の実施の形態に係る改修用屋根材300は、その長手方向の両端側をヘミング加工していない点が異なる。
なお、上述した第2の実施の形態に係るジョイント捨て板250が、改修用屋根材200の蛇腹折り形状に沿うように形成されていることに対して(図7(B)参照)、この第3の実施の形態に係るジョイント捨て板350は、図12(B)に示すように、軒側端部を略90度下に折り曲げ、その他の部分については谷折れの屈曲形状ではなく平坦に形成されている点が異なる。
上述したように施工された既存屋根において化粧スレート3000を取り外すことなく、化粧スレート3000に本実施の形態に係る改修用屋根材300を覆うように(カバーするように)施工して改修用屋根材300を用いた施工構造が完成する。この場合において、本実施の形態に係る改修用屋根材300はジョイント捨て板350と組み合わせて施
工される。そして、これらの改修用屋根材300およびジョイント捨て板350は、化粧スレート3000で施工された既存屋根に対して、図11および図13~図15に示すように既設の化粧スレート3000の上側に化粧スレート3000を覆う前にその桁方向に施工される改修用屋根材300どうしの間隙を下側から覆うようにそれらの間にジョイント捨て板350が設けられた後に改修用屋根材300が施工される。
すなわち、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていなくてその方向の両端がヘミング加工されたジョイントカバー150を改修用屋根材100の上側から覆うことにより桁方向に隣接する改修用屋根材100どうしの間隙を覆い隠しており、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていてその方向の両端がヘミング加工されていないジョイント捨て板250を改修用屋根材100の下側に施工することにより桁方向に隣接する改修用屋根材100どうしの間隙を下側から覆い隠すのに対して、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300が、長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていなくてその方向の両端がヘミング加工されていないジョイント捨て板350を改修用屋根材300の下側に施工することにより桁方向に隣接する改修用屋根材300どうしの間隙を下側から覆い隠している。
この違いに着目して、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびジョイント捨て板350について図12を参照して説明する。
図12と図2および図7とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材300は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が備えず、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が備える)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部202を備えず、本実施の形態に係るジョイント捨て板350は(第1の実施の形態に係るジョイントカバー150が備え、第2の実施の形態に係るジョイント捨て板250が備えない)桁方向の両端側にヘミング加工されたカバーヘミング加工部152を備えない。なお、図11および図13~図15に示すように改修用屋根材300の下側に隠れるジョイント捨て板350は、図12に示すようにジョイントカバー350よりも桁方向の長さが長くても構わないものであり、改修用屋根材300と同じ材料から製造する場合、改修用屋根材300の軒側差し込み部124のような折り返し部分を形成しないため、特に切断しない限りジョイントカバー350よりも桁方向の長さが長くなる。
また、化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部328が形成されている。この水切り部328の一例として、図12に示すように略60degの面取り形状が挙げられる。より詳しくは、軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略60度折り曲げられた水切り部328、その水切り部328から裏面側へさらに略30度折り曲げられた垂直部126、軒側差し込み部124、および、軒側ヘミング加工部322(後述する折り畳み形状)を備える。
この改修用屋根材300と組み合わせて使用されるジョイント捨て板350は、桁方向に並設された2枚の改修用屋根材300の間隙を改修用屋根材300の下側で覆う捨て板である。このジョイント捨て板350は、上述した改修用屋根材300の化粧面部110の形状に略合致する形状を備えるとともに(軒側折り返し部120に略合致する形状を備えないで)、軒側の端部が略90deg折り曲げられた捨て板垂直部276を備えるように、一体的に形成されている。
なお、素材については、改修用屋根材300は改修用屋根材100または改修用屋根材200と、ジョイント捨て板350はジョイントカバー150またはジョイント捨て板250と、それぞれ同様のものであって、これらにはアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を一例とした金属製薄板材(厚さ0.3mm~0.4mm程度)が用いられる。この場合、
流水制御手段の一例である凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状は、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100と第2の実施の形態に係る改修用屋根材200とで共通する蛇腹折り形状とは別のものである。この凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状を実現する、図12に示す谷折れの深さは(図14(D)に示す既存屋根の屋根勾配α>軒側斜面の傾斜角度γを満足するのは当然であるが)約0.35mm~0.5mm程度である点は第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じである。この谷折れにより生じるわずかな凹部(谷部)は、図12においては2点鎖線により、図11および図13においてはいずれも実線により、仮想的に示している。
施工構造については、既設屋根材である化粧スレート3000を覆うように改修用屋根材300が施工される場合において、図14に示すように、改修用屋根材300の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)より棟側に位置させている点については第1の実施の形態と同じである。すなわち、図14(B)に示すように、改修用屋根材300(ここでは軒側改修用屋根材300D)の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を、軒側改修用屋根材300Dのひとつ棟側の改修用屋根材300(ここでは棟側改修用屋根材300U)の軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)より棟側に位置させている位置関係になる。軒棟方向における改修用屋根材300どうしの位置関係が、このような位置関係になるように、改修用屋根材300を施工する。このように改修用屋根材300を桁方向に施工する前に、桁方向に隣接する改修用屋根材300どうしの間隙を下側から覆うように、図14(B)に示すように、改修用屋根材300(ここでは軒側改修用屋根材300D)の棟側差し込み部130および軒側改修用屋根材300Dのひとつ棟側の改修用屋根材300(ここでは棟側改修用屋根材300U)の軒側折り返し部120の下にジョイント捨て板350(ここでは軒側ジョイント捨て板350D)が位置するように、施工後の改修用屋根材300の下側にジョイント捨て板350を施工する。なお、図14(B)には、棟側ジョイント捨て板350Uが直接的に棟側改修用屋根材300Uの下側に配置されている状態(表面側から改修用屋根材300、ジョイント捨て板350、化粧スレート3000の順)が表されている。ここで、図14(B)は流れ方向の断面図であるために、軒側ジョイント捨て板350Dと棟側ジョイント捨て板350Uとは桁方向の位置が改修用屋根材300の長さWの半分だけずれている。なお、図12(A)および図14(C)に示すように、改修用屋根材300の軒側折り返し部120の内懐の最大高さ(T)を化粧スレート3000の厚みよりも大きく形成することで、化粧スレート3000の厚みのバラツキに対応できるようにしている。垂直部126の高さを化粧スレート3000の厚みと同等、或いは厚み以上に形成する。
・作用効果
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によると、以下の作用効果を奏する。
(7)化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成され、この凹部は、凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成され図14(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度γ(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
これにより、流水制御手段の一例である凹部により、(軒側斜面の傾斜が水平以上にならないで必ず水平未満になるために凹部に)雨水が貯まることなく桁方向に雨水の流れを作ることができるので棟から軒へ流れる雨水の流れ(流量)を桁方向に平均化できる。なお、平均化できるの意味は上述した通りである。また、この凹部の形状により、軒棟方向に定ピッチ(軒棟方向の働き長さと同等)で谷折れ屈曲形状のラインが視認でき改修用屋
根材300の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材300の強度を向上することができたりする。
(8)化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部328(一例として図12に示すように60degの面取り形状)が形成されている。
これにより、化粧面部110の軒側端部付近に、雨水の表面張力による残留を抑制できるよう改修用屋根材300の水切り性能を向上させたり、改修用屋根材300の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材300の強度を向上することができたり、改修用屋根材300の軒側折り返し部120の内懐の最大高さ(T)を化粧スレート3000の厚みよりも大きくし化粧スレート3000の厚みのバラツキに対応できたりする。
ここで、上述した改修用屋根材100における水切り部128は30度、改修用屋根材200における水切り部228は45度、本実施の形態に係る改修用屋根材300における水切り部328は60度としているが、面取りにより水切り部を形成する場合にはこのような略30度~略60度程度が好ましい。
(9)棟側差し込み部130の端縁がヘミング加工されていない。
これにより、改修用屋根材300の棟側における化粧スレートへの挿入が容易にすることができたり、製造時の工程を削減することができたりする。
(10)軒側折り返し部120の端縁が裏面側へ(折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へ)ヘミング加工(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)されている。
これにより、改修用屋根材300の軒側における化粧スレートへの挿入が容易にすることができたり、改修用屋根材300の強度を向上させたりすることができたり、軒側ヘミング加工部322が化粧スレートの裏面に擦れることで施工後の改修用屋根材300の抜け止めを好ましく実現することができたりする。
(11)改修用屋根材300の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322)より棟側に位置させている。
これにより、棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)が軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322)より棟側(上側)に位置させているために、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができる。また、棟側差し込み部130と軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322)とが互いに密着し合って、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができたり、施工後の改修用屋根材100どうしの抜け止めを好ましく実現することができたりする。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によっても、上述した作用効果(1)~(5)と同様の作用効果(7)~(11)を奏する。
また、改修用屋根材300においては、これらの作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
(12)改修用屋根材300の軒側ヘミング加工部322が、ループ形状ではなく折り畳み形状に形成されている。
これにより、ループ形状に比べて、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができ、施工性が向上する。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
<第4の実施の形態>
次に本発明の第4の実施の形態に係る改修用屋根材400を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図16、この改修用屋根材400の3面図を示す図17(A)、この改修用屋根材400とともに用いられるジョイント捨て板350の3面図を示す図17(B)、図16の平面図を示す図18、図16の流れ方向の断面図を示す図19、および、図16のけらば方向の断面図を示す図20を参照して、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400およびこの改修用屋根材400を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図16が上述の図1、図6および図11に、図17が上述の図2、図7および図12に、図18が上述の図3、図8および図13に、図19が上述の図4、図9および図14に、図20が上述の図5、図10および図15に、それぞれ対応する。これらの図16~図21に示すように、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400およびこの改修用屋根材400を用いた屋根の施工構造は、以下に示す特徴を備える。以下においてはこのような特徴について、上述した第1の実施の形態~第3の実施の形態と異なる点を主として説明する。それ以外の構造および施工構造であって第1の実施の形態~第3の実施の形態と同じ構造については、この第4の実施の形態において第1の実施の形態~第3の実施の形態と同じ符号を付している。そして、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、以下においては繰り返して説明しない。
図16および図18に示すように、この第4の実施の形態に係る既存屋根材は、上述した第1の実施の形態に係る既存屋根材および第2の実施の形態に係る既存屋根材と同様、両角部を欠いた略矩形形状の化粧スレート1000である。
図17および図19に示すように、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200の流水制御手段は化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成されており、上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の流水制御手段は凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成されていることに対して、この凹部を強調した図19(C)に示すようにこの第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の流水制御手段は凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成されている点では第3の実施の形態に係る改修用屋根材300と同様であるが、改修用屋根材400の化粧面部110に形成された流水制御手段である1つの凹部(谷折れの屈曲形状)に加えて、この凹部よりも軒側に1つの山折りが形成され、山折れと谷折れとが1回ずつ形成されている。この山折りにより、改修用屋根材400の水切り部428の棟側端部の位置(図19(C)に示すH(2))が軒側折り返し部120の軒側端部の位置(図19(C)に示すH(1))と平面視略同一であるもののH(2)>H(1)となり水切り性を発現させている。このため、水切り部428は、面取りにより形成された水切り部128、水切り部228および水切り部328に比べて緩やかに形成されている。
このように水切り部428が形成されているために、図17(A)に示すように、軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略90度折り曲げられた垂直部426、その垂直部426から棟側(軒側差し込み部124が略水平方向になる側)へさらに略90度折り曲げられた軒側差し込み部124、および、軒側ヘミング加工部322を備える。
棟側差し込み部130は、上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300と、端縁がヘミング加工されていない点で共通している。
軒側折り返し部120の端縁の裏面側へのヘミング加工(軒側ヘミング加工部322)は、上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の軒側ヘミング加工部322と、折り畳み形状に形成されている点で共通している。
屋根材ヘミング加工部402は、上述した第2の実施の形態に係る改修用屋根材200がその長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工して屋根材ヘミング加工部202が形成されている点で共通しているが、第2の実施の形態の屋根材ヘミング加工部202はループ形状に形成されていることに対して、図17(A)に示すようにこの第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の屋根材ヘミング加工部402が折り畳み形状に形成されている点が異なる。
上述したように施工された既存屋根において化粧スレート1000を取り外すことなく、化粧スレート1000に本実施の形態に係る改修用屋根材400を覆うように(カバーするように)施工して改修用屋根材400を用いた施工構造が完成する。この場合において、本実施の形態に係る改修用屋根材400はジョイント捨て板350と組み合わせて施工される。そして、これらの改修用屋根材400およびジョイント捨て板350は、化粧スレート1000で施工された既存屋根に対して、図16および図18~図20に示すように既設の化粧スレート1000の上側に化粧スレート1000を覆う前にその桁方向に施工される改修用屋根材400どうしの間隙を下側から覆うようにそれらの間にジョイント捨て板350が設けられた後に改修用屋根材400が施工される。
すなわち、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300が、長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工されていなくてその方向の両端がヘミング加工されていないジョイント捨て板350を改修用屋根材300の下側に施工することにより桁方向に隣接する改修用屋根材300どうしの間隙を下側から覆い隠すのに対して、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400が、長手方向(桁方向)の両端がヘミング加工(折り畳み形状)されていてその方向の両端がヘミング加工されていないジョイント捨て板350を改修用屋根材400の下側に施工することにより桁方向に隣接する改修用屋根材400どうしの間隙を下側から覆い隠している。
この違いに着目して、本実施の形態に係る改修用屋根材400およびジョイント捨て板350について図17を参照して説明する。
図17と図2、図7および図12とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材400は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第3の実施の形態に係る改修用屋根材300が備えず、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が備える)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部402を備える。このように桁方向の両端側がヘミング加工されている点では、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200と共通するがその形状がループ形状ではなく折り畳み形状である点が異なる。なお、改修用屋根材400の下側に隠れるジョイント捨て板350は、第3の実施の形態と同じである。
また、化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部428が形成されている。この水切り部428は上述したように、図17(A)に示すように、流水制御手段である1つの凹部(谷折れの屈曲形状)に加えてこれよりも軒側に形成された1つの山折りにより実現されている。このため、軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略90度折り曲げられた垂直部426、その垂直部426から棟側(軒側差し込み部124が略水平方向になる側)へさらに略90度折り曲げられた軒側差し込み部1
24、および、軒側ヘミング加工部322を備える。
なお、素材については、改修用屋根材400は改修用屋根材100、改修用屋根材200または改修用屋根材300と、それぞれ同様のものであって(ジョイント捨て板350は第3の実施の形態と第4の実施の形態とで共通)、これらにはアルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板を一例とした金属製薄板材(厚さ0.3mm~0.4mm程度)が用いられる。この場合、流水制御手段の一例である1つの凹部と1つの凸部からなる谷折りおよび山折りの屈曲形状は、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100と第2の実施の形態に係る改修用屋根材200とで共通する蛇腹折り形状とは別のものである。この谷折りおよび山折りの屈曲形状を実現する、図17に示す山折れおよび谷折れの深さは(図19(D)に示す既存屋根の屋根勾配α>軒側斜面の傾斜角度δを満足するのは当然であるが)約0.35mm~0.5mm程度である点は第1の実施の形態、第2の実施の形態および第3の実施の形態と同じである。これらの山折れにより生じるわずかな凸部(山部)および谷折れにより生じるわずかな凹部(谷部)は、図17においては山折れを実線により谷折れを2点鎖線により、図16および図18においてはいずれも実線により、仮想的に示している。
施工構造については、既設屋根材である化粧スレート1000を覆うように改修用屋根材400が施工される場合において、図19に示すように、改修用屋根材400の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)より棟側に位置させている点については第3の実施の形態と同じである。すなわち、図19(B)に示すように、改修用屋根材400(ここでは軒側改修用屋根材400D)の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を、軒側改修用屋根材400Dのひとつ棟側の改修用屋根材400(ここでは棟側改修用屋根材400U)の軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)より棟側に位置させている位置関係になる。軒棟方向における改修用屋根材400どうしの位置関係が、このような位置関係になるように、改修用屋根材400を施工する。このように改修用屋根材400を桁方向に施工する前に、桁方向に隣接する改修用屋根材400どうしの間隙を下側から覆うように、図19(B)に示すように、改修用屋根材400(ここでは軒側改修用屋根材400D)の棟側差し込み部130および軒側改修用屋根材400Dのひとつ棟側の改修用屋根材400(ここでは棟側改修用屋根材400U)の軒側折り返し部120の下にジョイント捨て板350(ここでは軒側ジョイント捨て板350D)が位置するように、施工後の改修用屋根材400の下側にジョイント捨て板350を施工する。なお、図19(B)には、棟側ジョイント捨て板350Uが直接的に棟側改修用屋根材400Uの下側に配置されている状態(表面側から改修用屋根材400、ジョイント捨て板350、化粧スレート1000の順)が表されている。
ここで、軒棟方向の最も軒側については、図19(A)に示すように改修用屋根材400の軒側折り返し部120は(屋根傾斜を一致させるための)スタータ1050を覆わないで化粧スレート1000のみを覆うようにしても構わないし、図19(E)に示すように改修用屋根材400の代わりに軒側折り返し部の垂直部426をスタータ1050の厚み分に対応させて延長した垂直部496を備えた改修用屋根材490を用いて、軒側折り返し部がスタータ1050および化粧スレート1000を覆うようにしても構わない。
この改修用屋根材400のさらなる特徴について、流水制御手段である凹部を強調した図19(C)を参照して説明する。図19(C)に示すように、この改修用屋根材400の軒側折り返し部120は、化粧面部110から裏面側へ略90度折り曲げられた垂直部426、その垂直部426から棟側(軒側差し込み部124が略水平方向になる側)へさらに略90度折り曲げられた軒側差し込み部124、および、軒側ヘミング加工部322
を備えることとは上述した通りである。これに加えて、H(2)>H(1)を満足するとともに、化粧面部110における部位434と軒側差し込み部124とが平行であることを特徴として備える。これらにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができる。
・作用効果
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材400およびそれを用いた施工構造によっても上述した作用効果(7)~(11)を奏する。
なお、作用効果(7)に関しては、以下の通りである。改修用屋根材400においても化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成され、この凹部は、凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成され(さらに水切り部428を形成するための山折れを備え)図19(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度δ(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
これにより、流水制御手段の一例である凹部により、(軒側斜面の傾斜が水平以上にならないで必ず水平未満になるために凹部に)雨水が貯まることなく桁方向に雨水の流れを作ることができるので棟から軒へ流れる雨水の流れ(流量)を桁方向に平均化できる。なお、平均化できるの意味は上述した通りである。また、この凹部の形状により、軒棟方向に定ピッチ(軒棟方向の働き長さと同等)で谷折れ屈曲形状のラインが視認できるとともに、さらに水切り部428を形成するための山折れのラインが視認でき改修用屋根材400の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材400の強度を向上することができたりする。
また、図19(B)に示すように、改修用屋根材400の山折れの裏面と化粧スレート1000の表面との間に僅かな空間が形成されるため、侵入した雨水に毛細管現象が生じにくくなり、雨水が水抜き孔にスムーズに導かれて排水性を向上することができる。
また、改修用屋根材400においては、異なる形状の屋根材ヘミング加工部202を備えた改修用屋根材200と同様の以下の作用効果を奏する。
(12)軒棟方向の垂直方向(長手方向(桁方向))の両端縁が裏面側へヘミング加工(屋根材ヘミング加工部402、形状は折り畳み形状)されている。
これにより、改修用屋根材400を施工する際、位置合わせのために、金づちや木づちなどの工具で改修用屋根材400の桁方向の端縁を強く叩いても変形し難くすることができたりする。
また、改修用屋根材400においては、これらの作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
(13)図19(C)に示すようにH(2)>H(1)を満足するとともに、化粧面部110における部位434と軒側差し込み部124とが平行である。
これらにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができる。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材400およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
上述した実施の形態に適用可能な変形例について、以下に詳しく説明する。
<第1の変形例>
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300および第4の実施の形態に係
る改修用屋根材400に共通する変形例について図21を参照して以下に説明する。
図21に示す第1の変形例は、化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に形成された水切り部128の変形例である。図21(A)に示す水切り部128が30deg(水切り部228のように45degであっても水切り部328のように60degであっても構わない)で垂直部126を備える面取り形状であるのに対して、図21(B)に示す改修用屋根材500の水切り部528は垂直部を備えず先端が開先略90degを備える面取り形状であり、図21(C)に示す改修用屋根材600の水切り部628は垂直部を備えず先端が円弧状を備える面取り形状である。
いずれの改修用屋根材500の水切り部528および改修用屋根材600の水切り部628においても改修用屋根材100の水切り部128に続く垂直部126(改修用屋根材400の垂直部426も)を備えない。このため、この軒側折り返し部の先端に当て木等を当ててたたいて1つ棟側の改修用屋根材に差し込む場合に、この軒側折り返し部が開く方向に広がって改修用屋根材どうしが突っ張るようになり、施工後の改修用屋根材どうしの抜け止めを好ましく実現することができる。
<第2の変形例>
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200に共通する第2の変形例について図22を参照して以下に説明する。
図22に示す変形例は、化粧面部110に形成される流水制御手段の変形例である。図22(A)に示す蛇腹折り形状による流水制御手段であるのに対して、図22(B)に示す流水制御手段は山の傾斜と谷の傾斜とが異なる幅比率を変化させた形状による流水制御手段であって、図22(C)に示す流水制御手段はピッチを異ならせて軒側と棟側とで曲げ率を変化させた形状による流水制御手段である。この図22(C)に示す流水制御手段においては軒側と棟側とが図示する向きが好ましい。このような向きであることにより、棟側の曲率が小さく棟側が軒側よりも直線に近く、棟側から軒側に施工する場合において棟側へ容易に差し込むことができるようになる。
さらに、図22(D)に示す流水制御手段は波形状による流水制御手段であって、図22(E)に示す流水制御手段は部分的な山形形状による流水制御手段であって、図22(F)に示す流水制御手段は部分的な台形形状による流水制御手段であって、図22(G)に示す流水制御手段は部分的な曲面形状による流水制御手段である。
図22(B)~図22(G)に示す流水制御手段によっても、図22(A)に示す流水制御手段と同じ作用効果を奏することができる。さらに、流水制御手段としてさまざまな形状を採用できるために、化粧面部の意匠性を好ましく向上させることができる。
<第3の変形例>
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300および第4の実施の形態に係る改修用屋根材400に共通する変形例について図23を参照して以下に説明する。なお、図23は改修用屋根材400の変形例であるが、他の改修用屋根材100、改修用屋根材200および改修用屋根材300への適用も可能である。
図23(A)に示す変形例は、改修用屋根材700の軒側折り返し部120において、軒側差し込み部124を水平部724Aと折れ部724Bとにより形成したものである。すなわち、軒側差し込み部124の途中から軒側ヘミング加工部322側を下側へ曲げて折れ部724Bを形成している。
このように軒側折り返し部120において折れ部724Bを設けることにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができて施工性が向上する。
図23(B)に示す変形例は、改修用屋根材800の軒側折り返し部120において、上述した折れ部724Bを備えることは共通して、水平部724Aの略中央部で下側へ曲げて斜面824A1と斜面824A2とを形成している。すなわち、水平部724Aを略V字形状に形成している。
このように軒側折り返し部120において水平部724AをV字形状に形成することにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができて施工性が向上するとともに、図23(C)に示すようにこの改修用屋根材800を用いた既存屋根の改修用屋根材の施工構造によると、空気層ASを形成することができて、毛細管現象の発生による建屋内への雨水の進入をこの空気層ASにより好ましく阻止することができる。
<他の変形例>
上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の変形例について図24を参照して、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の変形例について図25を参照して以下に説明する。
図24および図25に示す変形例は、化粧面部110の谷折れ屈曲形状の棟側の部分に軒棟方向に流れを制御する流水制御手段が形成された変形例である。この軒棟方向に流れを制御する流水制御手段として、化粧面部110の概ね軒棟方向に連続して、かつ、桁方向に並設された複数の模様311、模様411を備える。
桁方向に並設された2枚の改修用屋根材300、400の間隙に雨水が流れにくいように軒棟方向の流れを作り、かつ、軒棟方向に定ピッチ(軒棟方向の働き長さと同等)で存在する軒側斜面により軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化することを繰り返すことで、より好ましい雨水の流れを実現しやすくする。
この軒棟方向の流水制御手段は、上述した模様311、411により実現しているが、化粧面部に凹部や凸部を形成し、雨水の流れをコントロールできるものであれば限定されるものではない。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
たとえば、特に図示しないが、改修用屋根材の桁方向の両端側のヘミング加工の有無、ジョイントカバーおよびジョイント捨て板の両端のヘミングの有無の組み合わせについては、上述した実施の形態に限定されるものでなく、また、ジョイントカバーとジョイント捨て板のいずれを使用するかは、意匠などの面から自由に選択することができる。
なお、本発明に係る改修用屋根材が備える流水制御手段(桁方向も軒棟方向も)においては、上述した態様に限定されるものではなく、化粧面部に凹部や凸部を形成し、雨水の流れをコントロールできる(少しでもコントロール(より詳しくは平均化)できる)ものであれば良い。
本発明は、既存屋根の屋根材を取り外すことなく既存屋根を改修することのできる改修用屋根材およびそれを用いた施工構造に好ましく、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材およびそれを用いた施工構造に特に好ましい。
100 改修用屋根材(第1の実施の形態)
150 ジョイントカバー
200 改修用屋根材(第2の実施の形態)
250 ジョイント捨て板
300 改修用屋根材(第3の実施の形態)
350 ジョイント捨て板
400 改修用屋根材(第4の実施の形態)
1000 化粧スレート(既設屋根材)
3000 化粧スレート(既設屋根材)
1002 屋根釘(既設)
1010 垂木(既設)
1020 野地板(既設)
1030 下葺材(既設)
1040 軒先水切(既設)
1050 スタータ(既設)
1060 けらば水切(既設)
1070 シーリング

Claims (8)

  1. 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、
    棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
    前記化粧面部に流水制御手段が形成されていることを特徴とする改修用屋根材。
  2. 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、
    棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
    前記化粧面部に前記軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成されていることを特徴とする改修用屋根材。
  3. 前記流水制御手段または前記凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折りにより形成され、
    前記軒側斜面の傾斜角度は、前記既存屋根の屋根勾配未満であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の改修用屋根材。
  4. 前記化粧面部と前記軒側折り返し部との間の表面側に水切り部が形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれかに記載の改修用屋根材。
  5. 前記軒側折り返し部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1~請求項4のいずれかに記載の改修用屋根材。
  6. 前記軒棟方向の垂直方向の両端縁が裏面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1~請求項5のいずれかに記載の改修用屋根材。
  7. 前記棟側差し込み部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれかに記載の改修用屋根材。
  8. 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材の施工構造であって、
    前記改修用屋根材は、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
    前記化粧面部に流水制御手段が形成され、
    前記軒側折り返し部の端縁がヘミング加工され、
    施工時において、前記棟側差し込み部の端縁を前記軒側折り返し部の端縁より棟側に位置させていることを特徴とする改修用屋根材の施工構造。
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