JP2021017709A - 既存屋根の改修用屋根材およびそれを用いた施工構造 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明のある局面に係る改修用屋根材は、薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、前記化粧面部に流水制御手段が形成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記流水制御手段または前記凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折りにより形成され、前記軒側斜面の傾斜角度は、前記既存屋根の屋根勾配未満であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記軒側折り返し部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されているように構成することができる。
さらに好ましくは、前記軒棟方向の垂直方向の両端縁が裏面側へヘミング加工されているように構成することができる。
また、本発明のさらに別の局面に係る改修用屋根材の施工構造は、薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材の施工構造であって、前記改修用屋根材は、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、前記化粧面部に流水制御手段が形成され、前記軒側折り返し部の端縁がヘミング加工され、施工時において、前記棟側差し込み部の端縁を前記軒側折り返し部の端縁より棟側に位置させていることを特徴とする。
なお、この改修用屋根材は、本発明に係る改修用屋根材が以下の形状に限定されるものではないが、軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)が軒棟方向に沿った方向よりも長い矩形形状の金属製薄板を折り曲げ加工等されている。そして、その長手方向(軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向))の両端側をヘミング加工していない改修用屋根材100について図1〜図5を参照して第1の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工している改修用屋根材200について図6〜図10を参照して第2の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工せず流水制御手段が改修用屋根材100および改修用屋根材200とは異なる改修用屋根材300について図11〜図15を参照して第3の実施の形態として説明して、両端側をヘミング加工するとともに流水制御手段が改修用屋根材100、改修用屋根材200および改修用屋根材300とは異なる改修用屋根材400について図16〜図20を参照して第4の実施の形態として説明して、その後にこれらの実施の形態に適用可能な変形例について図21〜図25を参照して説明する。なお、詳しくは後述するが、流水制御手段については第1の実施の形態に係る改修用屋根材100と第2の実施の形態に係る改修用屋根材200とでは共通して、この共通する流水制御手段と、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の流水制御手段および第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の流水制御手段とでは共通しない異なるものである。
本発明の第1の実施の形態に係る改修用屋根材100を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図1、この改修用屋根材100の3面図を示す図2(A)、この改修用屋根材100とともに用いられるジョイントカバー150の3面図を示す図2(B)、図1の平面図を示す図3、図1の流れ方向の断面図を示す図4、および、図1のけらば方向の断面図を示す図5を参照して、第1の実施の形態に係る改修用屋根材100およびこの改修用屋根材100を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。
まず、この改修用屋根材100を用いて改修される既存屋根に施工されている化粧スレート1000の一例について説明する。この化粧スレート1000は既設屋根材であって、たとえば、図1に示すように、建築物(構築物を含む)の屋根に用いられている屋根材であって、屋根の下地(詳しくは後述する下地材である野地板1020、下葺材1030等)の上に施工された屋根材である。ここで、これらの図1〜図5においては、本発明と直接的には関係しないために、屋根の施工構造に関係する全ての部材について記載しているわけではない(たとえば、一部の図における軒先水切、けらば水切等は省略)。また、この図1では化粧スレート1000を千鳥配置して(改修用屋根材100も千鳥配置して)いるが、本発明に係る改修用屋根材の施工構造はこのような配置に限定されるものではない。また、この図1においては、化粧スレート1000が棟側の両角部を欠いた略矩形形状としているが、本発明に係る改修用屋根材の施工構造はこのような形状の屋根材に限定されるものではなく、完全な矩形形状、軒側端部に軒棟方向のスリットを有する形状、軒側端部に軒棟方向の凹凸を有する形状(波型、山型、段違いなど)など種々の形状の屋根材に対応できるものである。その一例を、後述する第3の実施の形態において化粧スレート3000として示す。
このように施工された既存屋根において化粧スレート1000を取り外すことなく、化粧スレート1000に本実施の形態に係る改修用屋根材100を覆うように(カバーするように)施工して改修用屋根材100を用いた施工構造が完成する。この場合において、本実施の形態に係る改修用屋根材100はジョイントカバー150と組み合わせて施工される。これらの改修用屋根材100およびジョイントカバー150について次に詳しく説明する。
本実施の形態に係る改修用屋根材100は、薄板形状の既設屋根材(化粧スレート1000)が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材である。
図2(A)に示すように、この改修用屋根材100は、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成され、化粧面部110に流水制御手段が形成されている。そして、この流水制御手段の一例として、化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成されている。さらに、この凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(図2に示す山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成され、図4(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度β(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg:度)未満である。なお、凹部は化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向に沿って略全長にわたり形成されていることが好ましい。
さらに、棟側差し込み部130の端縁が裏面側(図2に示す改修用屋根材100においては下方(裏面)側への折り返し)へヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されている。また、軒側折り返し部120の端縁が裏面側(図2に示す改修用屋根材100においては上方(表面)側への折り返し)へヘミング加工(軒側ヘミング加工部122)されている。なお、この裏面側へのヘミング加工とは、この改修用屋根材100は、上述したように軒棟方向に垂直な方向(左右方向:桁方向)の長さWが軒棟方向に沿った方向の長さLよりも長い矩形形状の金属製薄板を折り曲げ加工等により棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成された構造を備えるが、この折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へのヘミング加工を意味する。また、ヘミング加工には、第1の実施の形態および第2の実施の形態において採用される断面がループ形状であるもの(軒側ヘミング加工部122)も、第3の実施の形態および第4の実施の形態において採用される断面が折り畳み形状であるもの(軒側ヘミング加工部322)も、それら以外の形状で強度向上を主たる目的として端部(端面)が折り返された形状に加工されているものを基本的に全て含む。
図2(A)に示すように、この改修用屋根材100は、上述したように、棟側差し込み部130と化粧面部110と軒側折り返し部120とが一体的に形成されている。上述したように、化粧面部110においては流水制御手段の一例である蛇腹折り形状が設けられ、棟側差し込み部130においてはその端縁が裏面側へヘミング加工(棟側ヘミング加工部132)されている。
上述したように、化粧スレート1000で施工された既存屋根に対して、既設の化粧スレート1000の上側に化粧スレート1000を覆うように改修用屋根材100が施工され、その桁方向に施工された改修用屋根材100どうしの間隙を覆うようにそれらの間にジョイントカバー150が設けられる。以下においては、この施工構造について主として図4を参照して説明する。なお、ここでは、本発明と直接的には関係しないために、改修用屋根材100およびジョイントカバー150以外の屋根の施工構造および施工方法については説明していないものがある。
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材100およびそれを用いた施工構造によると、以下の作用効果を奏する。
(1)化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成され、この凹部の一例として少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(図2に示す山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成され図4(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度β(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
これにより、化粧面部110の軒側端部付近に、雨水の表面張力による残留を抑制できるよう改修用屋根材100の水切り性能を向上させたり、改修用屋根材100の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材100の強度を向上することができたりする。
これにより、改修用屋根材100の水返し性能が向上し建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができたり、改修用屋根材100の強度を向上することができたり、施工後の改修用屋根材100どうしの抜け止めを好ましく実現することができたりする。
これにより、改修用屋根材100の軒側における化粧スレートへの挿入が容易にすることができたり、改修用屋根材100の強度を向上させたりすることができる。ここで、(3)の棟側差し込み部130の端縁のヘミング加工と(4)の軒側折り返し部120の端縁のヘミング加工とは、折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板に対するヘミング加工であるために、同じ方向へのヘミング加工(化粧面部の外側(外気側)を表面とすると両方とも裏面側へ折り返すヘミング加工)であるために容易にヘミング加工することができる。
これにより、棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)が軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)より棟側(上側)に位置させているために、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができる。また、棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部132)と軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部122)とが互いに反発し合って、建屋内への雨水の進入を好ましく阻止することができたり、施工後の改修用屋根材100どうしの抜け止めを好ましく実現することができたりする。
次に本発明の第2の実施の形態に係る改修用屋根材200を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図6、この改修用屋根材200の3面図を示す図7(A)、この改修用屋根材200とともに用いられるジョイント捨て板250の3面図を示す図7(B)、図6の平面図を示す図8、図6の流れ方向の断面図を示す図9、および、図6のけらば方向の断面図を示す図10を参照して、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200およびこの改修用屋根材200を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図6が上述の図1に、図7が上述の図2に、図8が上述の図3に、図9が上述の図4に、図10が上述の図5に、それぞれ対応する。
図7と図2とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材200は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が備えない)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部202を備え、本実施の形態に係るジョイント捨て板250は(第1の実施の形態に係るジョイントカバー150が備える)桁方向の両端側にヘミング加工されたカバーヘミング加工部152を備えない。なお、図6および図8〜図10に示すように改修用屋根材200の下側に隠れるジョイント捨て板250は、図7に示すようにジョイントカバー150よりも桁方向の長さが長くても構わない。
示している。
以上のようにして、本実施の形態に係る改修用屋根材200およびそれを用いた施工構造によっても、上述した作用効果(1)〜(5)を奏する。
なお、作用効果(2)に関しては、以下の通りである。化粧面部110と軒側折り返し部120との間の表面側に水切り部228(一例として図7に示すように45degの面取り形状)が形成されている。
また、改修用屋根材200においては、以下の作用効果を奏する。
(6)軒棟方向の垂直方向(長手方向(桁方向))の両端縁が裏面側へヘミング加工(屋根材ヘミング加工部202、形状はループ形状)されている。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材200およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
次に本発明の第3の実施の形態に係る改修用屋根材300を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図11、この改修用屋根材300の3面図を示す図12(A)、この改修用屋根材300とともに用いられるジョイント捨て板350の3面図を示す図12(B)、図11の平面図を示す図13、図11の流れ方向の断面図を示す図14、および、図11のけらば方向の断面図を示す図15を参照して、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300およびこの改修用屋根材300を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図11が上述の図1および図6に、図12が上述の図2および図7に、図13が上述の図3および図8に、図14が上述の図4および図9に、図15が上述の図5および図10に、それぞれ対応する。これらの図11〜図15に示すように、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300およびこの改修用屋根材300を用いた屋根の施工構造は、以下に示す特徴を備える。以下においてはこのような特徴について、上述した第1の実施の形態およ
び第2の実施の形態と異なる点を主として説明する。それ以外の構造および施工構造であって第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じ構造については、この第3の実施の形態において第1の実施の形態および第2の実施の形態と同じ符号を付している。そして、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、以下においては繰り返して説明しない。
図12と図2および図7とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材300は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100が備えず、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が備える)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部202を備えず、本実施の形態に係るジョイント捨て板350は(第1の実施の形態に係るジョイントカバー150が備え、第2の実施の形態に係るジョイント捨て板250が備えない)桁方向の両端側にヘミング加工されたカバーヘミング加工部152を備えない。なお、図11および図13〜図15に示すように改修用屋根材300の下側に隠れるジョイント捨て板350は、図12に示すようにジョイントカバー350よりも桁方向の長さが長くても構わないものであり、改修用屋根材300と同じ材料から製造する場合、改修用屋根材300の軒側差し込み部124のような折り返し部分を形成しないため、特に切断しない限りジョイントカバー350よりも桁方向の長さが長くなる。
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によると、以下の作用効果を奏する。
(7)化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成され、この凹部は、凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成され図14(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度γ(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
これにより、化粧面部110の軒側端部付近に、雨水の表面張力による残留を抑制できるよう改修用屋根材300の水切り性能を向上させたり、改修用屋根材300の意匠性を向上することができたり、改修用屋根材300の強度を向上することができたり、改修用屋根材300の軒側折り返し部120の内懐の最大高さ(T)を化粧スレート3000の厚みよりも大きくし化粧スレート3000の厚みのバラツキに対応できたりする。
これにより、改修用屋根材300の棟側における化粧スレートへの挿入が容易にすることができたり、製造時の工程を削減することができたりする。
(10)軒側折り返し部120の端縁が裏面側へ(折り曲げ加工等される前の矩形形状かつ平面形状の金属製薄板における裏面側へ)ヘミング加工(軒側ヘミング加工部322、形状は折り畳み形状)されている。
(11)改修用屋根材300の棟側差し込み部130の端縁(棟側ヘミング加工部なし)を軒側折り返し部120の端縁(軒側ヘミング加工部322)より棟側に位置させている。
以上のようにして、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によっても、上述した作用効果(1)〜(5)と同様の作用効果(7)〜(11)を奏する。
また、改修用屋根材300においては、これらの作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
これにより、ループ形状に比べて、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができ、施工性が向上する。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材300およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
次に本発明の第4の実施の形態に係る改修用屋根材400を用いた改修中の屋根の斜視図を示す図16、この改修用屋根材400の3面図を示す図17(A)、この改修用屋根材400とともに用いられるジョイント捨て板350の3面図を示す図17(B)、図16の平面図を示す図18、図16の流れ方向の断面図を示す図19、および、図16のけらば方向の断面図を示す図20を参照して、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400およびこの改修用屋根材400を用いた屋根の施工構造について詳しく説明する。なお、図16が上述の図1、図6および図11に、図17が上述の図2、図7および図12に、図18が上述の図3、図8および図13に、図19が上述の図4、図9および図14に、図20が上述の図5、図10および図15に、それぞれ対応する。これらの図16〜図21に示すように、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400およびこの改修用屋根材400を用いた屋根の施工構造は、以下に示す特徴を備える。以下においてはこのような特徴について、上述した第1の実施の形態〜第3の実施の形態と異なる点を主として説明する。それ以外の構造および施工構造であって第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同じ構造については、この第4の実施の形態において第1の実施の形態〜第3の実施の形態と同じ符号を付している。そして、それらについての説明は、上述した説明と重複するために、以下においては繰り返して説明しない。
図17および図19に示すように、上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200の流水制御手段は化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折り形状(山折れと谷折れとの繰り返し形状)により形成されており、上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の流水制御手段は凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成されていることに対して、この凹部を強調した図19(C)に示すようにこの第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の流水制御手段は凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成されている点では第3の実施の形態に係る改修用屋根材300と同様であるが、改修用屋根材400の化粧面部110に形成された流水制御手段である1つの凹部(谷折れの屈曲形状)に加えて、この凹部よりも軒側に1つの山折りが形成され、山折れと谷折れとが1回ずつ形成されている。この山折りにより、改修用屋根材400の水切り部428の棟側端部の位置(図19(C)に示すH(2))が軒側折り返し部120の軒側端部の位置(図19(C)に示すH(1))と平面視略同一であるもののH(2)>H(1)となり水切り性を発現させている。このため、水切り部428は、面取りにより形成された水切り部128、水切り部228および水切り部328に比べて緩やかに形成されている。
軒側折り返し部120の端縁の裏面側へのヘミング加工(軒側ヘミング加工部322)は、上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の軒側ヘミング加工部322と、折り畳み形状に形成されている点で共通している。
図17と図2、図7および図12とを比較して、本実施の形態に係る改修用屋根材400は(第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第3の実施の形態に係る改修用屋根材300が備えず、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200が備える)桁方向の両端側にヘミング加工された屋根材ヘミング加工部402を備える。このように桁方向の両端側がヘミング加工されている点では、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200と共通するがその形状がループ形状ではなく折り畳み形状である点が異なる。なお、改修用屋根材400の下側に隠れるジョイント捨て板350は、第3の実施の形態と同じである。
以上のようにして、本発明の実施の形態に係る改修用屋根材400およびそれを用いた施工構造によっても上述した作用効果(7)〜(11)を奏する。
なお、作用効果(7)に関しては、以下の通りである。改修用屋根材400においても化粧面部110に流水制御手段が形成され、この流水制御手段の一例として化粧面部110に軒棟方向の略垂直方向(左右方向:桁方向)に沿った凹部が形成され、この凹部は、凹部が1つの軒側斜面のみからなる谷折れの屈曲形状により形成され(さらに水切り部428を形成するための山折れを備え)図19(D)に示すように軒側斜面の傾斜角度δ(deg)は、既存屋根の屋根勾配α(deg)未満である。
また、改修用屋根材400においては、異なる形状の屋根材ヘミング加工部202を備えた改修用屋根材200と同様の以下の作用効果を奏する。
(12)軒棟方向の垂直方向(長手方向(桁方向))の両端縁が裏面側へヘミング加工(屋根材ヘミング加工部402、形状は折り畳み形状)されている。
また、改修用屋根材400においては、これらの作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
(13)図19(C)に示すようにH(2)>H(1)を満足するとともに、化粧面部110における部位434と軒側差し込み部124とが平行である。
このように、本実施の形態に係る改修用屋根材400およびそれを用いた施工構造によると、軒棟方向に階段状に重ねられて施工された薄板形状の既設屋根材を覆って施工される改修用屋根材であって、軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化できる改修用屋根材およびその改修用屋根材を用いた施工構造を提供することができる。
上述した実施の形態に適用可能な変形例について、以下に詳しく説明する。
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300および第4の実施の形態に係る改修用屋根材400に共通する変形例について図21を参照して以下に説明する。
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100および第2の実施の形態に係る改修用屋根材200に共通する第2の変形例について図22を参照して以下に説明する。
図22に示す変形例は、化粧面部110に形成される流水制御手段の変形例である。図22(A)に示す蛇腹折り形状による流水制御手段であるのに対して、図22(B)に示す流水制御手段は山の傾斜と谷の傾斜とが異なる幅比率を変化させた形状による流水制御手段であって、図22(C)に示す流水制御手段はピッチを異ならせて軒側と棟側とで曲げ率を変化させた形状による流水制御手段である。この図22(C)に示す流水制御手段においては軒側と棟側とが図示する向きが好ましい。このような向きであることにより、棟側の曲率が小さく棟側が軒側よりも直線に近く、棟側から軒側に施工する場合において棟側へ容易に差し込むことができるようになる。
図22(B)〜図22(G)に示す流水制御手段によっても、図22(A)に示す流水制御手段と同じ作用効果を奏することができる。さらに、流水制御手段としてさまざまな形状を採用できるために、化粧面部の意匠性を好ましく向上させることができる。
上述した第1の実施の形態に係る改修用屋根材100、第2の実施の形態に係る改修用屋根材200、第3の実施の形態に係る改修用屋根材300および第4の実施の形態に係る改修用屋根材400に共通する変形例について図23を参照して以下に説明する。なお、図23は改修用屋根材400の変形例であるが、他の改修用屋根材100、改修用屋根材200および改修用屋根材300への適用も可能である。
すなわち、軒側差し込み部124の途中から軒側ヘミング加工部322側を下側へ曲げて折れ部724Bを形成している。
このように軒側折り返し部120において折れ部724Bを設けることにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができて施工性が向上する。
このように軒側折り返し部120において水平部724AをV字形状に形成することにより、化粧スレートへの挿入時の抵抗を抑えることができて施工性が向上するとともに、図23(C)に示すようにこの改修用屋根材800を用いた既存屋根の改修用屋根材の施工構造によると、空気層ASを形成することができて、毛細管現象の発生による建屋内への雨水の進入をこの空気層ASにより好ましく阻止することができる。
上述した第3の実施の形態に係る改修用屋根材300の変形例について図24を参照して、第4の実施の形態に係る改修用屋根材400の変形例について図25を参照して以下に説明する。
図24および図25に示す変形例は、化粧面部110の谷折れ屈曲形状の棟側の部分に軒棟方向に流れを制御する流水制御手段が形成された変形例である。この軒棟方向に流れを制御する流水制御手段として、化粧面部110の概ね軒棟方向に連続して、かつ、桁方向に並設された複数の模様311、模様411を備える。
桁方向に並設された2枚の改修用屋根材300、400の間隙に雨水が流れにくいように軒棟方向の流れを作り、かつ、軒棟方向に定ピッチ(軒棟方向の働き長さと同等)で存在する軒側斜面により軒棟方向に垂直な方向(左右方向)の雨水の流量を平均化することを繰り返すことで、より好ましい雨水の流れを実現しやすくする。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
なお、本発明に係る改修用屋根材が備える流水制御手段(桁方向も軒棟方向も)においては、上述した態様に限定されるものではなく、化粧面部に凹部や凸部を形成し、雨水の流れをコントロールできる(少しでもコントロール(より詳しくは平均化)できる)ものであれば良い。
150 ジョイントカバー
200 改修用屋根材(第2の実施の形態)
250 ジョイント捨て板
300 改修用屋根材(第3の実施の形態)
350 ジョイント捨て板
400 改修用屋根材(第4の実施の形態)
1000 化粧スレート(既設屋根材)
3000 化粧スレート(既設屋根材)
1002 屋根釘(既設)
1010 垂木(既設)
1020 野地板(既設)
1030 下葺材(既設)
1040 軒先水切(既設)
1050 スタータ(既設)
1060 けらば水切(既設)
1070 シーリング
Claims (8)
- 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、
棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
前記化粧面部に流水制御手段が形成されていることを特徴とする改修用屋根材。 - 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材であって、
棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
前記化粧面部に前記軒棟方向の略垂直方向に沿った凹部が形成されていることを特徴とする改修用屋根材。 - 前記流水制御手段または前記凹部は、少なくとも軒側斜面および棟側斜面の2つの斜面を含む蛇腹折りにより形成され、
前記軒側斜面の傾斜角度は、前記既存屋根の屋根勾配未満であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の改修用屋根材。 - 前記化粧面部と前記軒側折り返し部との間の表面側に水切り部が形成されていることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の改修用屋根材。
- 前記軒側折り返し部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の改修用屋根材。
- 前記軒棟方向の垂直方向の両端縁が裏面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の改修用屋根材。
- 前記棟側差し込み部の端縁が裏面側または表面側へヘミング加工されていることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の改修用屋根材。
- 薄板形状の既設屋根材が軒棟方向に階段状に重ねられて施工された既存屋根の改修用屋根材の施工構造であって、
前記改修用屋根材は、棟側差し込み部と化粧面部と軒側折り返し部とが一体的に形成され、
前記化粧面部に流水制御手段が形成され、
前記軒側折り返し部の端縁がヘミング加工され、
施工時において、前記棟側差し込み部の端縁を前記軒側折り返し部の端縁より棟側に位置させていることを特徴とする改修用屋根材の施工構造。
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