JP2023153337A - 保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板 - Google Patents

保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板 Download PDF

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Kazuhiro Sasaki
達宏 池谷
Tatsuhiro Iketani
健一 中西
Kenichi Nakanishi
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Abstract

【課題】高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい硬化物が得られる光硬化性粘着剤組成物を提供する。【解決手段】下記(A)~(C)成分を含有し、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し(A)成分を25~65質量%(B)成分を35~75質量%を含有する光硬化性粘着剤組成物。(A)ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーの末端に、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが付加された化合物であり、数平均分子量5,000~40,000である(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオレフィン化合物(B)エチレン性不飽和基含有モノマー、但し(B)成分のうち少なくとも一種は(B3)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(C)光重合開始剤。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性粘着剤組成物および粘着シートに関する。
近年、回路基板に設けられる配線の細密化により、電子部品の小型化、軽量化、薄膜化などの高性能化が進んでいる。回路基板の中でも、近年、フレキシブルプリント配線(FPC)基板の需要が急速に伸びている。FPC基板は、携帯電話などの情報端末電子機器に用いられている。
FPC基板は、柔軟性に優れる絶縁性の基材フィルムに、導体からなる回路パターンを形成したものであり、破損し易い。このため、FPC基板の製造工程においては、基板の裏面(回路パターンを形成する面と反対側の面)に破損を防ぐ保護フィルムが用いられている。
例えば、特許文献1には、窒素原子含有モノマーを含有し、アクリル系樹脂のアゾ系重合開始剤含有濃度が280ppm以下である耐熱粘着フィルム用アクリル系樹脂が開示されている。
特開2018-80341号公報
FPC基板の製造工程においては、FPC基板用の基材フィルムに保護フィルムを貼付した後に、打ち抜き加工、露光、エッチング、熱プレスなどの種々の工程を行う。そして、最終工程が終了し、完成したFPC基板から保護フィルムを剥離する。
FPC基板の製造工程において用いられる保護フィルムのように、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される粘着シートには、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくいことが要求される。
しかしながら、従来の粘着シートは、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくいものではなかった。
このため、従来の粘着シートを、FPC基板の製造工程において使用した場合、以下に示す不都合が生じることがあった。
すなわち、FPC基板の製造工程において高温条件に晒されることにより粘着力が上昇し、FPC基板に貼付した保護フィルムがFPC基板に固着し、FPC基板から保護フィルムを剥離する際に、FPC基板が破損したり、保護フィルムの粘着剤層がFPC基板に転写される糊残りが生じたりすることがあった。また、FPC基板の製造工程において、保護フィルムにFPC基板からの浮きが発生し、保護フィルムとFPC基板との間に空間が形成されて、保護フィルムによる保護能力が十分に発揮されなくなることがあった。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい硬化物が得られる光硬化性粘着剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層を有し、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい粘着シートを提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
[1]下記(A)~(C)成分を含有し、
前記(A)成分および前記(B)成分の合計質量に対し、前記(A)成分を25~65質量%含有し、前記(B)成分を35~75質量%を含有することを特徴とする光硬化性粘着剤組成物。
(A)ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーの末端に、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが付加された化合物であり、数平均分子量5,000~40,000である(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオレフィン化合物
(B)エチレン性不飽和基含有モノマー、但し、(B)成分のうち少なくとも一種は、(B3)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートである
(C)光重合開始剤。
[2]前記(B)成分が、(B1)炭素数1~20の鎖状アルキル(メタ)アクリレートおよび(B2)炭素数7~20の橋かけ脂環構造を有する(メタ)アクリレートをさらに含有する、[1]に記載の光硬化性粘着剤組成物。
[3]前記(A)成分および前記(B)成分の合計質量に対し、前記(B1)成分を20~60質量%含有し、前記(B2)成分を5~30質量%を含有し、
前記(B1)成分の質量(b1)と前記(B2)成分の質量(b2)との比(b1:b2)が45:55~95:5である、[2]に記載の光硬化性粘着剤組成物。
[4]前記ポリオレフィンポリオールの数平均分子量が500~5000である、[1]~[3]のいずれかに記載の光硬化性粘着剤組成物。
[5]前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートの水素添加物またはイソホロンジイソシアネートである、[1]~[4]のいずれかに記載の光硬化性粘着剤組成物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シート。
本発明の光硬化性粘着剤組成物によれば、これを硬化させることにより、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい硬化物が得られる。したがって、本発明の光硬化性粘着剤組成物は、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される用途に用いられる粘着シートにおける粘着剤層の材料として好適である。
本発明の粘着シートは、本発明の光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層を有する。このため、本発明の粘着シートは、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい。したがって、本発明の粘着シートは、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される用途に好適である。
以下、本発明の光硬化性粘着剤組成物および粘着シートについて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態のみに限定されるものではない。
[光硬化性粘着剤組成物]
本実施形態の光硬化性粘着剤組成物(以下「組成物」という場合がある。)は、下記(A)~(C)の成分を含有する。
(A)ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーの末端に、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが付加された化合物であり、数平均分子量5,000~40,000である(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオレフィン化合物(以下、単に「(A)成分」ともいう。)。
(B)エチレン性不飽和基含有モノマー(以下、単に「(B)成分」ともいう。)。
(C)光重合開始剤(以下、単に「(C)成分」ともいう。)。
本明細書において、(メタ)アクリロイルオキシ基とは、化学式「CH=CH-CO-」で表される基、または化学式「CH=C(CH)-CO-」で表される基を意味する。
本明細書において、イソシアナト基とは、化学式「-N=C=O」で表される基を意味する。
<(A)成分>
本実施形態の組成物の含有する(A)成分は、ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーの末端に、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが付加された(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオレフィン化合物である。
(A)成分は、組成物の硬化物において、耐熱性、粘着力、凝集力を向上させる。
(ポリオレフィンポリオール)
(A)成分の原料として用いるポリオレフィンポリオールとしては、種々の飽和及び不飽和のアルキル化合物のポリオール化物を使用できる。具体例としては、ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等が挙げられる。これらの中でも、組成物に用いる際の粘度、硬化物を粘着剤層として用いる場合の耐熱性の観点から、水素添加1,2-ポリブタジエンポリオールまたは水素添加ポリイソプレンポリオールが好ましい。
水素添加1,2-ポリブタジエンポリオールとは、1,2-ポリブタジエンポリオールの二重結合部分に水素を反応させて単結合に変えたものをいう。水素添加ポリイソプレンポリオールについても同様である。
(A)成分の原料として用いるポリオレフィンポリオールの数平均分子量は、500~5000であることが好ましく、800~4000であることがより好ましく、1000~3500であることがさらに好ましい。上記の数平均分子量が500以上であると、(A)成分の分子量が高くなる。このため、(A)成分を含む組成物は、優れた粘着力を有する硬化物が得られるものとなる。また、上記の数平均分子量が5000以下であると、(A)成分を含む組成物は、塗工時の取り扱いが容易なものとなる。
本明細書におけるポリオレフィンポリオールの数平均分子量の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC-101)を用いて、下記条件にて常温で測定し、ポリスチレン換算にて算出されたものである。
カラム:昭和電工株式会社製LF-804
カラム温度:40℃
試料:ポリオレフィンポリオールの0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器(示差屈折率検出器)
(ポリイソシアネート)
(A)成分の原料として用いるポリイソシアネートとしては、一分子中に2個以上のイソシアナト基を有するものであれば特に制限は無く、公知の化合物を用いることができる。例えば、ポリイソシアネートとして、芳香族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートの水素添加物、脂肪族ポリイソシアネート等を例示できる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートの水素添加物としては、上記の芳香族ポリイソシアネートに水素添加した化合物が挙げられ、特に、粘着性および耐熱性の良好な粘着シートが得られるため、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの水素添加物を用いることが好ましい。4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの水素添加物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの有する2つの芳香環に含まれる二重結合うちの一部または全部が単結合とされた1種または2種以上の化合物を用いることができ、2つの芳香環に含まれる全ての二重結合が単結合とされたジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートを含むことが好ましい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
(A)成分の原料として用いるポリイソシアネートは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(A)成分の原料として用いるポリイソシアネートとしては、上記の中でも、耐熱性の良好な硬化物が得られる組成物となるため、脂肪族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、イソホロンジイソシアネートおよび/またはジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートを用いることがより好ましい。
(ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート)
ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーが、末端にイソシアナト基を有する場合、ウレタンプレポリマーにヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを付加して(A)成分を得る。
末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーと反応させるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート等が例示できる。
末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーと反応させるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、上記の中でも、ウレタンプレポリマーの有するイソシアナト基との反応性が良好であり、光硬化性の優れた組成物が得られるため、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよび/または4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
(イソシアナト基含有(メタ)アクリレート)
ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーが、末端にヒドロキシ基を有する場合、ウレタンプレポリマーにイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを付加して(A)成分を得る。
末端にヒドロキシ基を有するウレタンプレポリマーと反応させるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、1,1-ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも特に、ウレタンプレポリマーの有するヒドロキシ基との反応性が良好であり、光硬化性の優れた組成物が得られるため、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
末端にヒドロキシ基を有するウレタンプレポリマーと反応させるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートは、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートまたは各種ポリオール由来の(メタ)アクリレートモノオールと、ジイソシアネート化合物とを反応させることにより得られた末端にイソシアナト基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物であってもよい。
(A)成分の数平均分子量は、5,000~40,000であり、6,000~35,000であることが好ましく、8,000~30,000であることがより好ましい。(A)成分の数平均分子量が上記範囲内であると、(A)成分を含む組成物を硬化させることにより、良好な耐熱性および粘着力を有する硬化物が得られる。
(A)成分の数平均分子量が5,000未満であると、(A)成分を含む組成物の硬化物は、粘着力の不十分なものとなる。一方、(A)成分の数平均分子量が40,000を超えると、(A)成分を含む組成物の硬化物は、耐熱性が不十分なものとなる。このことから、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、被着体に貼付した状態で高温条件に晒すと、粘着力が高くなりやすく、粘着シートを被着体から剥離する際に糊残りが生じやすい。
(A)成分の重量均分子量は、5,000~300,000であることが好ましく、10,000~250,000であることがより好ましい。
本明細書における(A)成分の数平均分子量および重量平均分子量の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(昭和電工株式会社製Shodex GPC-101)を用いて、下記条件にて常温で測定し、ポリスチレン換算にて算出されるものである。
カラム:昭和電工株式会社製LF-804
カラム温度:40℃
試料:(A)成分の0.2質量%テトラヒドロフラン溶液
流量:1ml/分
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI検出器(示差屈折率検出器)
(A)成分のガラス転移温度(Tg)は、-80~0℃であることが好ましく、-70~-20℃であることがより好ましい。(A)成分のガラス転移温度が-80℃以上であると、(A)成分を含む組成物の硬化物は、良好な凝集力を有するものとなる。その結果、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、高温条件に晒されても、被着体表面からの浮きがより一層発生しにくいものとなり、好ましい。また、(A)成分のガラス転移温度が0℃以下であると、(A)成分を含む組成物は、より一層タック(粘着力)の良好なものとなり、好ましい。
(A)成分のガラス転移温度は、以下に示す方法により求められる。
10mgの(A)成分からなる試料について、DSC(示差走査熱量計)を用いて測定を行う。試料を、10℃/分の昇温速度で-100℃から200℃まで昇温し、ガラス転移による吸熱開始温度をガラス転移温度(Tg)とする。なお、ガラス転移温度(Tg)が2つ観察された場合には、2つのガラス転移温度(Tg)の相加平均値を、上記試料のガラス転移温度(Tg)とする。
(A)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、25~65質量%であり、35~55質量%であることが好ましく、40~50質量%であることがより好ましい。(A)成分の含有量が25質量%未満であると、(A)成分を含む組成物の硬化物が、糊残りの生じやすいものとなる。(A)成分の含有量が65質量%を超えると、(A)成分を含む組成物の硬化物は、耐熱性が不十分なものとなる。このため、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、被着体に貼付した状態で高温条件に晒すことにより、被着体表面からの浮きが発生しやすいものとなる。
(A)成分は、例えば、以下に示す「第一の合成方法」または「第二の合成方法」を用いて合成できる。
「第一の合成方法」
上述したポリオレフィンポリオールと、上述したポリイソシアネートとを、ポリイソシアネートのイソシアナト基量がポリオレフィンポリオールのヒドロキシ基量より多くなる割合で反応させる。このことにより、末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを合成する。
ウレタンプレポリマーを合成する際に、原料中におけるポリオレフィンポリオールのヒドロキシ基量とポリイソシアネートのイソシアナト基量とを調整することで、(A)成分の分子量を調整できる。具体的には、イソシアナト基量に対するヒドロキシ基量の割合が大きくなるほど、(A)成分の分子量は大きくなる。反対に、イソシアナト基量に対するヒドロキシ基量の割合が小さくなるほど、(A)成分の分子量は小さくなる。
次に、ウレタンプレポリマーのイソシアナト基に、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを付加反応させる。このことにより(A)成分が得られる。
ウレタンプレポリマーのイソシアナト基のモル数に対する、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの付加量は、90~100モル%であることが好ましく、95~100モル%であることがより好ましい。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの付加量が、上記範囲内であると、(A)成分を含む組成物の硬化物が、より高い凝集力を有し、より良好な耐熱性を有するものとなる。
第一の合成方法において、末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを付加反応させる際には、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとともにアルキルアルコールを反応させても良い。アルキルアルコールとしては、特に限定は無く、直鎖状、分岐状、脂環式のいずれを用いてもよい。アルキルアルコールは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
末端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとともにアルキルアルコールを反応させる場合、アルキルアルコールの使用量を調整することにより、(A)成分に含まれる(メタ)アクリロイルオキシ基の含有量を調整できる。
「第二の合成方法」
上述したポリオレフィンポリオールと、上述したポリイソシアネートとを、ポリオレフィンポリオールのヒドロキシ基量がポリイソシアネートのイソシアナト基量より多くなる割合で反応させる。このことにより、末端にヒドロキシ基を有するウレタンプレポリマーを合成する。
ウレタンプレポリマーを合成する際に、原料中におけるポリオレフィンポリオールのヒドロキシ基量とポリイソシアネートのイソシアナト基量とを調整することで、(A)成分の分子量を調整できる。具体的には、イソシアナト基量に対するヒドロキシ基量の割合が大きくなるほど、(A)成分の分子量は小さくなる。反対に、イソシアナト基量に対するヒドロキシ基量の割合が小さくなるほど、(A)成分の分子量は大きくなる。
次に、ウレタンプレポリマーのヒドロキシ基に、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートを付加反応させる。このことにより(A)成分が得られる。
この時、ウレタンプレポリマーのヒドロキシ基に対して、付加反応させるイソシアナト基含有(メタ)アクリレートの使用量を調整することにより、(A)成分に含まれる(メタ)アクリロイルオキシ基の含有量を調整できる。
ウレタンプレポリマーのヒドロキシ基のモル数に対する、イソシアナト基含有(メタ)アクリレートの付加量は、90~100モル%であることが好ましく、95~100モル%であることがより好ましい。イソシアナト基含有(メタ)アクリレートの付加量が、上記範囲内であると、(A)成分を含む組成物の硬化物が、より高い凝集力を有し、より良好な耐熱性を有するものとなる。
上述した「第一の合成方法」および「第二の合成方法」における反応は、いずれも、ヒドロキシ基とイソシアナト基との反応である。いずれの反応も、無溶媒あるいはイソシアナト基に不活性な有機溶媒の存在下で、ウレタン化触媒を用いて、通常、30~100℃で1~5時間程度継続して行うことができる。
イソシアナト基に不活性な有機溶媒としては、例えば、トルエンなどを用いることができる。
ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエートなどの一般的なものを用いることができる。ウレタン化触媒の使用量は、反応に供される原料の合計質量を基準とし、通常50~500ppmとする。
<(B)成分>
本実施形態の組成物の含有する(B)成分は、エチレン性不飽和基含有モノマーである。(B)成分は、少なくとも(B3)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレート(以下、単に「(B3)成分」ということがある。)を含有する。なお、(A)成分と(B)成分の双方の要件を満たす化合物は(A)成分に分類する。
(B)成分は、(B)成分を含む組成物の硬化物において、粘着力およびガラス転移温度(Tg)を調整し、糊残りを生じにくくする目的で含有される。
(B)成分としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などのラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物であれば、単官能の化合物を用いてもよいし、多官能の化合物を用いてもよいし、単官能の化合物と多官能の化合物の両方を用いてもよい。
ここで言う単官能もしくは多官能の官能基とは、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などラジカル重合可能なエチレン性不飽和基を指す。
(B)成分の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート;
エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;
メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;
オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、α,ω-ジ(メタ)アクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロキシエチルフォスフェート等の多官能(メタ)アクリレート;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(B)成分は、(B3)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートを、少なくとも含有するものであり、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する1種類の多官能(メタ)アクリレートのみからなるものであってもよい。また、(B)成分は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートの少なくとも一種とともに、単官能のエチレン性不飽和基含有モノマーを、1種または2種類以上含有するものであってもよい。
(B)成分としては、(B)成分を含む組成物の硬化物が、高温条件に晒されても粘着力が上昇しにくいものとなるように、エポキシ基、イソシアナト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基等の架橋性官能基を含有しないエチレン性不飽和基含有モノマーを用いることが好ましい。
(B)成分は、(B)成分を含む組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)を調整し、所望の粘着力を得るために、鎖状アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。鎖状アルキル(メタ)アクリレートとしては、(B1)炭素数1~20の鎖状アルキル(メタ)アクリレート(以下、単に「(B1)成分」ともいう。)を1種以上含むことがより好ましい。環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、(B2)炭素数7~20の橋かけ脂環構造を有する(メタ)アクリレート(以下、単に「(B2)成分」ともいう。)を1種以上含むことがより好ましい。(B)成分は、(B1)成分および(B2)成分の両方を含むことがさらに好ましい。
(B1)成分の有する炭素数1~20の鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、2-エチルヘキシル基、イソステアリル基などが挙げられる。(B)成分を含む組成物の硬化物が、粘着シートの粘着剤層として良好な粘着力を有するものとなるため、(B1)成分の有する炭素数1~20の鎖状アルキル基は、炭素数2~16のアルキル基であることが好ましく、炭素数6~12のアルキル基であることがより好ましい。(B1)成分の好ましい具体例としては、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも特に、粘着シートの粘着性の観点から、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。
(B2)成分の有する炭素数7~20の橋かけ脂環構造としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、トリシクロデカニル基等が挙げられる。(B2)成分の好ましい具体例としては、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルナニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも特に、粘着シートの耐熱性の観点から、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
(B)成分は、(B)成分を含む組成物の硬化物が、高温条件に晒されても粘着力が上昇しにくいものとなるように、(B3)(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能(メタ)アクリレートを必須成分として含有する。
(B3)成分としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどを用いることが好ましい。これらの中でも特に、耐熱性と粘着性のバランスが良好な粘着シートが得られるため、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。(B3)成分は、1種類の化合物からなるものでもよく、2種類以上の化合物からなるものでもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、35~75質量%であり、好ましくは45~65質量%、より好ましくは50~60質量%である。(B)成分の含有量が35質量%未満であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、被着体への密着性が不十分なものとなる。また、(B)成分の含有量が75質量%を超えると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、耐熱性が不十分なものとなる。このことにより、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、被着体に貼付した状態で高温条件に晒すことにより、剥離性が悪くなる場合がある。
(B)成分が、(B1)成分と(B2)成分と(B3)成分とを含む場合、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、(B1)成分の含有量は20~60質量%であることが好ましく、30~50質量%がより好ましい。この場合、(B1)成分の含有量が20質量%以上であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、被着体への密着性がより一層良好なものとなる。また、(B1)成分の含有量が60質量%以下であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、より一層耐熱性が良好なものとなる。
(B)成分が、(B1)成分と(B2)成分と(B3)成分とを含む場合、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、(B2)成分の含有量は5~30質量%であることが好ましく、5~20質量%がより好ましい。この場合、(B2)成分の含有量が5質量%以上であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、より一層耐熱性の良好なものとなる。また、(B2)成分の含有量が30質量%以下であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、より一層被着体への密着性が良好なものとなる。
(B)成分が、(B1)成分と(B2)成分と(B3)成分とを含む場合、(B1)成分の質量(b1)と(B2)成分の質量(b2)との比(b1:b2)は、45:55~95:5であることが好ましく、50:50~90:10であることがより好ましく、55:45~65:35であることがさらに好ましい。上記質量比(b1:b2)が上記範囲内であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、粘着力と凝集力のバランスがより好適なものとなる。このことにより、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、高温条件に晒されることによる粘着力の上昇が抑制されたものとなる。
(B)成分に含まれる(B3)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計質量に対して、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~8質量%であることがより好ましい。(B3)成分の含有量が0.1質量%以上であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、より一層耐熱性が良好なものとなる。その結果、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、高温条件に晒されることによる粘着力の上昇が、抑制されたものとなる。また、(B3)成分の含有量が10質量%以下であると、(B)成分を含む組成物の硬化物は、被着体への密着性がより一層良好なものとなる。その結果、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、切断加工性に優れるものとなる。
(B)成分が、架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートを含有する場合、その含有量は、高温条件に晒されても粘着力が上昇しにくい硬化物が得られる組成物とするために、少ない方が良い。具体的には、架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートは、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態の組成物においては、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、(A)成分の含有量が25~65質量%であって、(B)成分の含有量が35~75質量%である。このため、本実施形態の組成物を硬化させることにより、良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい硬化物が得られる。
<(C)成分>
本実施形態の組成物の含有する(C)成分は、光重合開始剤である。
(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、カルボニル系光重合開始剤、スルフィド系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、キノン系光重合開始剤、スルホクロリド系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
カルボニル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ω-ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルホルメート、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4-N,N’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
スルフィド系光重合開始剤としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルアンモニウムモノスルフィド等が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド等が挙げられる。
キノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン系光重合開始剤が挙げられる。
スルホクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライド等が挙げられる。
チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン等が挙げられる。
これらの例示された化合物の中でも、透明性の良好な硬化物の得られる組成物となるため、(C)成分として、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、および/または2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドを用いることが好ましい。
(C)成分は、1種類の化合物からなるものであってもよいし、2種類以上の化合物からなるものであってもよい。
(C)成分の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計量の100質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることがさらに好ましい。(C)成分の含有量が0.1質量部以上であると、組成物の光硬化性が十分に得られる。(C)成分の含有量が5質量部以下であると、凝集力および粘着力の良好な硬化物が得られる組成物となる。
<その他成分>
(粘着付与樹脂)
本実施形態の組成物は、硬化物の接着力を向上させる目的で、必要に応じて、硬化物の耐熱性を損なわない範囲で粘着付与樹脂を含有しても良い。
粘着付与樹脂の例としては、ロジン、水添ロジン、不均化ロジンのエステル化物、ロジンのエステル化物などのロジン系樹脂;ジテルペン重合体、α-ピネン-フェノール共重合体などのテルペン系樹脂;脂肪族系(C5系)、芳香族系(C9系)などの石油樹脂;その他、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
これらの粘着付与樹脂の中でも特に、硬化物の耐光性の点から、不飽和二重結合が少ない水添ロジン、不均化ロジンのエステル化物、脂肪族系、芳香族系の石油樹脂、高ガラス転移温度(Tg)アクリル樹脂等が好ましい。
粘着付与樹脂の含有量は、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、0超~10質量部の範囲であることが好ましい。
(添加剤)
本実施形態の組成物は、必要に応じて、硬化物の耐熱性を損なわない範囲で公知の各種添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、ベンゾトリアゾール系等の光安定剤、リン酸エステル系およびその他の難燃剤、界面活性剤のような帯電防止剤、染料などが挙げられる。
(有機溶媒)
本実施形態の組成物は、基材フィルム等へ塗工する際の粘度調整を目的として、有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノン、n-へキサン、トルエン、キシレン、n-プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
本実施形態の組成物は、上記の合成方法により得られた(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、必要に応じて添加されるその他成分とを混合する方法により製造できる。
本実施形態の組成物に含まれる各成分を混合する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ホモディスパー、パドル翼などの攪拌翼を取り付けた攪拌装置を用いて行うことができる。
本実施形態の組成物は、上述した(A)成分~(C)成分を含有し、(A)成分および(B)成分の合計質量に対し、(A)成分を25~65質量%含有し、(B)成分を35~75質量%を含有する。このため、本実施形態の組成物を光硬化させた硬化物は、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性および粘着力を有し、かつ糊残りが生じにくい。したがって、本実施形態の組成物は、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される用途に用いられる粘着シートにおける粘着剤層の材料として好適である。
これに対し、例えば、原料としてポリオレフィンポリオールの代わりに、ポリアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールを用いた(メタ)アクリロイル基含有ポリエーテル化合物を含む組成物の硬化物は、耐熱性が不十分なものとなる。これは、この硬化物が高温条件に晒されると、硬化物中のポリエーテルポリオールに起因するエーテル基が酸化劣化するためである。このことから、この硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートは、被着体に貼付された状態で高温条件に晒されると、粘着シートに被着体からの浮きが発生する場合があり、好ましくない。また、この粘着シートを被着体に貼付した状態で高温条件に晒すと、粘着剤層の濡れ性が上昇して粘着力が上昇し、被着体から剥離する際に糊残りが生じる場合がある。
[粘着シート]
本実施形態の粘着シートは、上記の組成物の硬化物からなる粘着剤層を有する。粘着剤層は、単一層で形成されていてもよいし、複数層で形成されたものであってもよい。粘着剤層が複数層で形成されている場合、全ての層が同じ粘着剤組成物の硬化物からなるものであってもよいし、一部または全ての層が異なる粘着剤組成物の硬化物からなるものであってもよい。
本実施形態の粘着シートの有する粘着剤層の膜厚は、5~500μmであることが好ましく、10~300μmであることがより好ましく、15~100μmであることがさらに好ましい。粘着剤層の膜厚が5μm以上であると、被着体と粘着剤層との貼り合わせが容易な粘着シートとなる。粘着剤層の膜厚が500μm以下であると、粘着剤層の膜厚の制御が容易である。
粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、-70~0℃であることが好ましく、-70~-40℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が-70℃以上であると、粘着シートの被着体に対する密着性が十分に得られる。粘着剤層のガラス転移温度が0℃以下であると、高温条件に晒された後の粘着力の上昇が抑制された粘着シートとなる。
粘着剤層のガラス転移温度は、本実施形態の組成物に含まれる(A)成分のガラス転移温度と同様にして測定できる。
本実施形態の粘着シートは、粘着剤層のみからなる両面粘着シートとして用いられるものであってもよいし、基材フィルムと、基材フィルム上に形成された粘着剤層とを有する片面粘着シートとして用いられるものであってもよい。
本実施形態の粘着シートが基材フィルムを有する場合、基材フィルムの材質としては、粘着シートの用途に応じて適宜選択可能であり、例えば樹脂フィルムが挙げられる。
粘着シートが、例えば、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される保護シートとして用いられる場合、基材フィルムとして透明な樹脂フィルムを用いることが好ましい。透明な樹脂フィルムを用いることで、保護シートが貼付された状態で、例えば、被着体の傷や異物の有無の検査を行うことができ、好ましい。
透明な樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、セルロース等からなるものが挙げられる。
また、基材フィルムに耐熱性が要求される場合、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド等からなる透明な樹脂フィルムを用いることが好ましい。
基材フィルムの厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜選択可能であり、特に限定されない。基材フィルムとして樹脂フィルムを用いる場合、基材フィルムの厚さは、ハンドリング性および強度の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、樹脂フィルムの可撓性を考えると、基材フィルムの厚さは、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
基材フィルムとしては、帯電防止処理が施されているものを用いても良い。基材フィルムに施される帯電防止処理としては、特に限定されないが、例えば、基材フィルムの少なくとも片面に帯電防止層を設ける方法、基材フィルムに帯電防止剤を練り込む方法などを用いることができる。
さらに、基材フィルムの粘着剤層が形成される面には、必要に応じて、酸処理、アルカリ処理、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、オゾン処理等の易接着処理が施されていてもよい。
粘着シートには、粘着剤層を保護する目的で、粘着剤層の表面にラミネートする方法などにより、セパレーターが設けられていてもよい。セパレーターの材料としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系等の剥離処理剤により表面処理された紙、樹脂フィルムなどを用いることができる。セパレーターとしては、表面平滑性に優れる点から樹脂フィルムが好適である。セパレーターとして用いる樹脂フィルムは、粘着剤層を保護し得るものであればよく、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン等からなる樹脂フィルムが挙げられる。また、セパレーターの厚さ等も特に制限されない。
本実施形態の粘着シートは、例えば、以下に示す方法により製造できる。
本実施形態では、基材フィルムとセパレーター間に、粘着剤層が配置された粘着シートを製造する場合を例に挙げて説明する。
まず、基材フィルム上に、上記の組成物を塗布する。次いで、塗布した組成物の上面をセパレーターで覆う。その後、組成物の上面を覆うセパレーターを介して、紫外線照射装置等を用いて、組成物に紫外線を照射し、組成物を光硬化させる。このことにより、基材フィルムとセパレーター間に、上記の組成物の光硬化物からなる粘着剤層が形成された粘着シートが得られる。
基材フィルム上に、組成物を塗布(塗工)方法としては、公知のコーティング法を用いることができる。具体的には、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどの慣用のコーターを用いることができる。
本実施形態の粘着シートは、本実施形態の組成物の硬化物からなる粘着剤層を有する。このため、本実施形態の粘着シートは、高温条件に晒されても粘着力が変化しにくく浮きが発生しにくい良好な耐熱性、および被着体を保持するのに十分な粘着力を有する。しかも、本実施形態の粘着シートは、糊残りが生じにくい。したがって、本実施形態の粘着シートは、被着体に貼付された状態で高温条件に晒され、その後に剥離される用途に好適である。
具体的には、本実施形態の粘着シートの用途として、プリント基板、特にフレキシブルプリント基板等の製造工程において用いられる基板保護用キャリアフィルム、プリント基板ハンダメッキ用保護フィルム、耐熱トランス等の絶縁および耐熱保護用フィルム、電子回路基板のハンダリフロー工程中のマスキング用フィルム、各種の仮固定用および部品保護用フィルム、スルーホールのシール用フィルム等が挙げられ、耐熱を要するマスキング用途および仮固定用途全般に広く用いることが可能である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されない。なお、以下の実施例および比較例に記載の「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
「(メタ)アクリロイル基含有ポリオレフィン化合物の合成」
<化合物(A-1)>
温度計、撹拌器、滴下ロート、乾燥管付き冷却管を備えた四つ口フラスコに、表1に示すポリオレフィンポリオール6モルと、表1に示すポリイソシアネート7モルとを仕込み、60℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーであるイソシアナト基末端水素添加ポリブタジエンを得た。
このようにして得られたイソシアナト基末端水素添加ポリブタジエンに、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートである2-ヒドロキシエチルアクリレート2モルを仕込み、70℃まで昇温して2時間反応させた。
得られた反応生成物の赤外吸収(IR)測定を行って、イソシアナト基由来のピークが消失したことを確認してから反応を終了し、アクリロイル基含有水素添加1,2-ポリブタジエン化合物からなる化合物(A-1)を得た。
<化合物(A-2)~(A-4)(A-6)(A-7)>
表1に記載のポリオレフィンポリオール、ポリイソシアネート、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを、表1に示す割合で用いたこと以外は、化合物(A-1)と同様にして、アクリロイル基含有ポリオレフィン化合物である化合物(A-2)~(A-4)(A-6)(A-7)の合成を行った。
<化合物(A-5)>
ポリオレフィンポリオールに代えて、ポリプロピレングリコールを用い、表1に記載のポリイソシアネート、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートを、表1に示す割合で用いたこと以外は、化合物(A-1)と同様にして、アクリロイル基含有ポリオレフィン化合物である(A-5)の合成を行った。
Figure 2023153337000001
表1中に記載の下記記号は、以下に示す化合物である。
*1:水酸基末端水素添加1,2-ポリブタジエンポリオール(日本曹達株式会社製、製品名:GI-3000、水酸基価29mgKOH/g、数平均分子量3100)
*2:水酸基末端水素添加ポリイソプレンポリオール(出光興産株式会社製、製品名:エポール、水酸基価40mgKOH/g、数平均分子量2500)
*3:ポリプロピレングリコールD-4000(三井化学製、水酸基価30mgKOH/g、数平均分子量4,000)
このようにして得られた化合物(A-1)~(A-7)について、上述した方法により数平均分子量および重量平均分子量を測定した。その結果を表1に示す。
「光硬化性粘着剤組成物」
(実施例1~16、比較例1~6)
上記の化合物(A-1)~(A-7)と、表2~表4に示す(B)成分と、光重合開始剤((C)成分)とを用意した。そして、化合物(A-1)~(A-7)と(B)成分の合計量に対して、それぞれ表2~表4に示す配合量(質量%)となるように、化合物(A-1)~(A-7)および(B)成分を配合した。次に、化合物(A-1)~(A-7)と(B)成分の合計量の100質量部に対して、表2~表4に示す組成となるように(C)成分を配合し、混合物とした。得られた混合物を、25℃でディスパーを用いて混合し、実施例1~16、比較例1~6の光硬化性粘着剤組成物を得た。
Figure 2023153337000002
Figure 2023153337000003
Figure 2023153337000004
表2~表4中に記載の下記記号は、以下に示す化合物である。
BA:n-ブチルアクリレート(東亜合成株式会社製)
EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(東亜合成株式会社製)
ISTA:イソステアリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
IBOA:イソボルニルアクリレート(株式会社日本触媒製)
DMAA:ジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ株式会社製)
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
AA:アクリル酸(株式会社日本触媒製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成株式会社製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亜合成株式会社製)
TPO(Omnirad TPO H):2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(IGM Resins B.V.社製)
「粘着シート」
次に、実施例1~16、比較例1~6の光硬化性粘着剤組成物を用いて、以下に示す方法により、粘着シートを製造した。
基材フィルムとしての厚み25μmのポリイミドフィルム(東レデュポン社製、カプトン)(300mm×200mm)上に、アプリケーターを用いて光硬化性粘着剤組成物を、膜厚が20μmとなるように塗布した。次いで、塗布した光硬化性粘着剤組成物の上面を、セパレーターとしての厚み50μmの離型PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムで覆った。
その後、紫外線照射装置(日本電池株式会社製、UV照射装置4kw×1、出力:160W/cm、メタルハライドランプ)を用いて、照射距離12cm、ランプ移動速度20m/min、照射量約1000mJ/cmの条件で、離型PETフィルムを介して光硬化性粘着剤組成物に紫外線を照射し、光硬化性粘着剤組成物を光硬化させた。
以上の工程により、ポリイミドフィルムと剥離PETフィルムとの間に、膜厚約20μmの粘着剤層を有する実施例1~16、比較例1~6の粘着シートを得た。
次に、実施例1~16、比較例1~6の粘着シートの粘着剤層について、それぞれ以下に示す方法により、耐熱試験前粘着力、耐熱試験後粘着力、糊残り、シートの浮きを調べ、評価した。
(耐熱試験前粘着力測定)
粘着シートを25mm×100mmの大きさに切り取り、短冊状の試験片を作製した。次いで、得られた試験片から、離型PETフィルムを剥がした。続いて、露出した粘着剤層(測定面)を、ガラス板からなる試験板上に対向配置した。そして、ポリイミドフィルム上を、2kgのゴムローラー(幅:約50mm)を1往復させることにより、粘着剤層の測定面を試験板上に貼付した。以上の工程により、ポリイミドフィルムと、粘着剤層と、試験板とが、この順に積層された測定用サンプルを得た。
その後、測定用サンプルを、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着剤層のガラス板に対する粘着力(N/25mm)を測定した。その結果を、表2~表4に示す。
(耐熱試験後粘着力測定)
また、測定用サンプルを空気中温度200℃で5時間加熱し、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で180°方向の引張試験を行い、粘着剤層のガラス板に対する耐熱試験後の粘着力(N/25mm)を測定した。その結果を、表2~表4に示す。
(糊残り)
粘着シートを50mm×50mmの大きさに切り取り、試験片を作製した。そして、耐熱試験前粘着力測定と同様の手順で、ポリイミドフィルムと、粘着剤層と、ガラス板とが、この順に積層された測定用サンプルを得た。この測定用サンプルを空気中200℃で5時間加熱した後、剥離速度300mm/分で180°方向にガラス板から粘着シートを剥がした。その後、ガラス板の表面への糊残りを目視で確認し、下記基準で評価した。その結果を、表2~表4に示す。
(糊残りの評価基準)
○:ガラス板の表面が粘着剤層と貼り合せる前と比較して変化なし。
△:ガラス板の表面の端部にのみ糊残りが確認される。
×:ガラス板の表面の全面に糊残りが確認される。
(シートの浮き)
粘着シートを50mm×50mmの大きさに切り取り、試験片を作製した。そして、耐熱試験前粘着力測定と同様の手順で、ポリイミドフィルムと、粘着剤層と、ガラス板とが、この順に積層された測定用サンプルを得た。この測定用サンプルを200℃で5時間加熱した。その後、ガラス板と粘着シートとの付着状態を目視で確認し、200℃で加熱する前の状態と比較し、粘着シートのガラス板からの浮きを、下記基準で評価した。その結果を、表2~表4に示す。
(シートの浮き評価基準)
○:変化なし。
△:1か所のみガラス板からの浮きが発生。
×:2か所以上ガラス板からの浮きが発生。
表2~表4から明らかなように、実施例1~16の粘着シートは、十分な粘着力を有し、かつ耐熱試験前粘着力と耐熱試験後粘着力との差が小さいものであった。また、実施例1~16の粘着シートは、糊残りの評価が「〇」または「△」であり、糊残りが生じにくいものであった。さらに、実施例1~16の粘着シートは、シートの浮きの評価が「〇」または「△」であり、良好な耐熱性を有するものであった。
一方、ポリオレフィンポリオールに代えて、ポリプロピレングリコールを用いて合成した化合物(A-5)を含む光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例1の粘着シートは、耐熱試験前粘着力と耐熱試験後粘着力との差が大きいものであった。また、比較例1の粘着シートは、糊残りおよびシートの浮きの評価が「×」であった。
数平均分子量の小さい化合物(A-6)を含む光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例2の粘着シートは、シートの浮きの評価が「×」であり、耐熱性が不十分であった。
また、数平均分子量の大きい化合物(A-7)を含む光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例3の粘着シートは、耐熱試験前粘着力と耐熱試験後粘着力との差が大きく、糊残りの評価が「×」であった。
化合物(A-1)の含有量の少ない光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例4の粘着シートは、耐熱試験前粘着力と耐熱試験後粘着力との差が大きく、糊残りの評価が「×」であった。
また、化合物(A-1)の含有量の多い光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例5の粘着シートは、シートの浮きの評価が「×」であり、耐熱性が不十分であった。
(B3)多官能(メタ)アクリレートを含まない光硬化性粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する比較例6は、耐熱試験前粘着力と耐熱試験後粘着力との差が大きく、糊残りの評価が「×」であった。
本発明によれば、粘着力および耐熱性に優れる硬化物が得られる光硬化性粘着剤組成物、および前記光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなる粘着剤層を有する粘着シートが提供される。
本発明の光硬化性粘着剤組成物および粘着シートは、プリント基板、特にフレキシブルプリント基板等の工程用キャリアフィルム、プリント基板ハンダメッキ用保護フィルム、耐熱トランス等の絶縁及び耐熱保護用フィルム、電子回路基板のハンダリフロー工程中のマスキング用フィルム、各種の仮固定や部品保護用フィルム、スルーホールのシール用フィルム等、耐熱性を要するマスキング用途および仮固定用途全般に広く用いることができる。

Claims (7)

  1. フレキシブルプリント配線基板と、前記フレキシブルプリント配線基板の裏面に貼付された保護フィルムとを有し、
    前記保護フィルムが、基材フィルムと粘着剤層とを有する粘着シートからなり、
    前記粘着剤層が光硬化性粘着剤組成物の硬化物からなり、
    前記光硬化性粘着剤組成物が、下記(A)~(C)成分を含有し、
    前記(A)成分および前記(B)成分の合計質量に対し、前記(A)成分を25~65質量%含有し、前記(B)成分を35~75質量%を含有することを特徴とする保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
    (A)ポリオレフィンポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるウレタンプレポリマーの末端に、ヒドロキシ基またはイソシアナト基含有(メタ)アクリレートが付加された化合物であり、数平均分子量5,000~40,000である(メタ)アクリロイルオキシ基含有ポリオレフィン化合物
    (B)エチレン性不飽和基含有モノマー、但し、(B)成分のうち少なくとも一種は、(B3)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリヒドロキシ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートから選ばれる1種または2種以上の化合物であり、前記(B)成分が、(B1)炭素数1~20の鎖状アルキル(メタ)アクリレートおよび(B2)炭素数7~20の橋かけ脂環構造を有する(メタ)アクリレートをさらに含有する
    (C)光重合開始剤。
  2. 前記(A)成分および前記(B)成分の合計質量に対し、前記(B1)成分を20~60質量%含有し、前記(B2)成分を5~30質量%を含有し、
    前記(B1)成分の質量(b1)と前記(B2)成分の質量(b2)との比(b1:b2)が45:55~95:5である、請求項1に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
  3. 前記ポリオレフィンポリオールの数平均分子量が500~5000である、請求項1または請求項2に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
  4. 前記ポリイソシアネートが、ジフェニルメタンジイソシアネートの水素添加物またはイソホロンジイソシアネートである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
  5. 前記基材フィルムが、樹脂フィルムである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
  6. 前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドからなる群から選択される樹脂フィルムである、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
  7. 前記基材フィルムの厚さが5μm以上100μm以下であり、前記粘着剤層の厚さが5μm~500μmである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の保護フィルム付きフレキシブルプリント配線基板。
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